溶射装置
【課題】溶射材料及び酸素の供給を確実に停止させる緊急停止機構を構成した溶射装置を提供する。
【解決手段】溶射材料を貯留するホッパ21をエジェクタ22の混合口223に、供給ホース24を前記エジェクタ22の出力口222に、そして酸素供給ライン23を前記エジェクタ22の入力口221にそれぞれ接続し、酸素供給ライン23を通じてエジェクタ22へ供給される酸素にホッパ21から溶射材料を混入させ、前記エジェクタ22から供給ホース24を通じて溶射材料及び酸素をランスに混合状態で供給する溶射装置2において、酸素供給ライン23に介在させた緊急閉鎖バルブ11と、前記酸素供給ライン23から分岐した酸素分岐ライン12と、前記酸素分岐ライン12を接続したホース検知バルブ13と、前記ホース検知バルブ13と緊急閉鎖バルブ11とを結ぶ加圧ライン14と、前記加圧ライン14に設けた酸素排気バルブ15とから緊急停止機構1を構成した溶射装置2である。
【解決手段】溶射材料を貯留するホッパ21をエジェクタ22の混合口223に、供給ホース24を前記エジェクタ22の出力口222に、そして酸素供給ライン23を前記エジェクタ22の入力口221にそれぞれ接続し、酸素供給ライン23を通じてエジェクタ22へ供給される酸素にホッパ21から溶射材料を混入させ、前記エジェクタ22から供給ホース24を通じて溶射材料及び酸素をランスに混合状態で供給する溶射装置2において、酸素供給ライン23に介在させた緊急閉鎖バルブ11と、前記酸素供給ライン23から分岐した酸素分岐ライン12と、前記酸素分岐ライン12を接続したホース検知バルブ13と、前記ホース検知バルブ13と緊急閉鎖バルブ11とを結ぶ加圧ライン14と、前記加圧ライン14に設けた酸素排気バルブ15とから緊急停止機構1を構成した溶射装置2である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉の壁面を補修するため、前記壁面に溶射材料を吹き付ける溶射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉は、建設されてからずいぶんと年数を経たものが増加しており、適宜壁面が補修される。この場合、コークス炉を完全に停止させて壁面を補修することは、労力、手間、時間及びコストの観点から好ましくないことから、専ら操業しながら壁面が補修される。このコークス炉の壁面の補修方法には、大型溶射装置を用いるプラズマ溶射方法、レーザー溶射方法又は火炎溶射方法等もある。しかし、実際にはテルミット反応を利用する方法、すなわち溶射装置(特許文献1参照)により金属粉末と耐火物との混合物である溶射材料を送り出し、ランスから溶射材料を補修箇所に吹き付けて溶射体(溶射材料が酸素とテルミット反応してできる生成物)を溶着させる方法が多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-047317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶射材料を壁面の補修箇所に吹き付けて溶射体を溶着させる方法は、溶射材料の搬送にテルミット反応を促す酸素が用いられる。このため、溶射材料と酸素とが順調にランスから噴射され、壁面の補修面でテルミット反応を起こしている場合は問題がない。しかし、補修箇所の火が燃え移ってランスの噴射口で発火する事態=「先端着火」や、ランスから供給ホースを伝って溶射装置まで火が遡る事態=「逆火」が発生すると、問題になる。先端着火は逆火を誘引する場合がある。そして、逆火は、体積膨張を伴いながら音速を超える爆発(「爆轟」と呼ばれる)を引き起こし、供給ホースを破裂させたり、溶射装置から分離した供給ホースが跳ね回る危険をもたらす。
【0005】
このように、逆火は、大変危険な事態を招くほか、復旧作業に時間を要するが、原因を特定することが難しく、発生そのものを回避し難い。これから、逆火が発生することは不可避との前提に立ち、溶射装置に何らかの逆火対策が採られることが通例となっている。例えば溶射装置と供給ホースとを、クイックジョイント(通称「カプラ」)を用いず、嵌合しただけの状態で接続し、逆火による体積膨張又は爆発を利用して溶射装置と供給ホースとを分離させ、爆発時に発生する燃焼ガスを排出することにより、供給ホースの破裂を回避する対策が採られる。この対策では、溶射装置のところで爆発が生じ、溶射装置を破損する虞があるが、作業者を危険に晒すより好ましいと考えられている。
【0006】
ところが、逆火による体積膨張又は爆発を利用して溶射装置と供給ホースとを分離させる上記対策において、溶射装置と供給ホースとが分離した後も溶射材料が噴射し続けると、供給ホース端や溶射装置の供給口(エジェクタの出力口)に溶射体がこびりつき、復旧作業を困難にすることがあった。そこで、逆火による体積膨張又は爆発を利用して溶射装置と供給ホースとを分離させる対策を講じた溶射装置に、溶射材料及び酸素の供給を確実に停止させる緊急停止機構を付加するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、溶射材料を貯留するホッパをエジェクタの混合口に、供給ホースを前記エジェクタの出力口に、そして酸素供給ラインを前記エジェクタの入力口にそれぞれ接続し、酸素供給ラインを通じてエジェクタへ供給される酸素にホッパから溶射材料を混入させ、前記エジェクタから供給ホースを通じて溶射材料及び酸素をランスに混合状態で供給する溶射装置において、酸素供給ラインに介在させた緊急閉鎖バルブと、前記酸素供給ラインから分岐した酸素分岐ラインと、前記酸素分岐ラインを接続したホース検知バルブと、前記ホース検知バルブと緊急閉鎖バルブとを結ぶ加圧ラインと、前記加圧ラインに設けた酸素排気バルブとから緊急停止機構を構成した溶射装置である。
【0008】
緊急閉鎖バルブは、酸素供給ラインを入力ポートに、エジェクタの入力口を出力ポートに、そして加圧ラインをパイロットポートにそれぞれ接続し、加圧ラインの酸素の圧力をパイロットポートに受けて入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである。例えば緊急閉鎖バルブは、入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える開閉弁を常態として開いて前記入力ポート及び出力ポートを連通させ、加圧ラインに供給される酸素の圧力をパイロットポートに受けると前記開閉弁を閉じて入力ポート及び出力ポートを遮断する。これにより、エジェクタに対する酸素の供給が停止され、エジェクタによるホッパからの溶射材料の吸引もなくして、供給ホースに対する溶射材料及び酸素の供給を停止できる。遮断された入力ポート及び出力ポートは、後述する酸素排気バルブを通じて加圧ラインから酸素を排気し、開閉弁を閉いて、再び連通させる。
【0009】
ホース検知バルブは、酸素分岐ラインを入力ポートに、加圧ラインを出力ポートにそれぞれ接続し、エジェクタの出力口前方にパイロット突起を突出させ、出力口から外れた供給ホースを接触させてパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである。例えばホース検知バルブは、入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換ブロックを付勢して前記入力ポート及び出力ポートを常態として遮断させ、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から外れた供給ホースがパイロット突起に接触して切換ブロックが押されると前記入力ポート及び出力ポートを一時的に連通させ、パイロット突起に対する前記供給ホースの接触がなくなると切換ブロックが復帰して再び前記入力ポート及び出力ポートを遮断する。
【0010】
供給ホースは、エジェクタの出力口に嵌合するだけで接続する構成であると、逆火による体積膨張又は爆発で抜けやすくなり、前記出力口近傍に配したホース検知バルブのパイロット突起に接触しやすくなる。好ましくは、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から外れた供給ホースが遠くに離れたり、暴れることを防止するため、供給ホースは、出力口前方に設けたストッパに掛合する掛合フランジを接続端に設けるとよい。この場合、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から供給ホースの接続端が抜けた際、前記掛合フランジをホース検知バルブに接触させやすくなる。供給ホースは、交換ホースを介して溶射装置の出力口に接続される場合が多いことから、本発明に言う供給ホースは、供給ホースそのもののほか、交換ホースを含む。
【0011】
酸素排気バルブは、加圧ラインを入力ポートに接続し、出力ポートを開放して、作業者が押すパイロット突起を突出させ、作業者が押してパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである。例えば酸素排気バルブは、入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換ブロックを付勢して前記入力ポート及び出力ポートを常態として遮断させ、作業者がパイロット突起を押す又は倒す等の操作により切換ブロックが押されると前記入力ポート及び出力ポートを連通させ、作業者がパイロットを操作しなくなると切換ブロックが復帰して再び前記入力ポート及び出力ポートを遮断する。
【0012】
加圧ラインは、加圧状態の有無を報知する表示灯を設けると、緊急閉鎖バルブが閉じた原因が、エジェクタの救急口から供給ホースの外れたためであることが視覚的に理解できる。表示灯は、透明なカバー内に着色突起を収納し、常態としてカバーから突出しないように着色突起を収納方向に付勢した構成を例示できる。前記表示灯は、加圧ラインに供給される酸素の圧力をパイロットポートに受けて着色突起が押されると前記カバーから覗ける位置まで着色突起を突出させる。そして、加圧ラインから酸素が排気されると、着色突起を押す圧力がなくなるため、付勢に応じて再びカバーから覗けない位置まで没する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、溶射材料及び酸素の供給を確実に停止させる緊急停止機構を、溶射装置に付加し、溶射装置の安全性や逆火後の復旧を容易にする。本発明の緊急停止機構は、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から外れた供給ホースによりホース検知バルブを作動させてから、緊急閉鎖バルブを閉じるので、逆火と溶射材料及び酸素の供給停止との対応が明確で、前記逆火に際して確実に溶射材料及び酸素の供給を停止できる。また、酸素排気バルブの操作だけで、簡単に緊急閉鎖バルブを再び開き、溶射材料及び酸素の供給を再開できる簡便さを備える。
【0014】
本発明の緊急停止機構は、電気的な操作部分を有さず、酸素分岐ラインに流れる酸素を利用して作動する点に特徴を有する。加圧ラインに付加する表示灯も、加圧ラインに供給された酸素の圧力を受けて作動するため、電気を要しない。こうした電気を要しない緊急停止機構や表示灯は、溶射装置から電気部品をなくす、すなわち溶射装置から重いバッテリや故障しやすい電子機器をなくすことのできる効果をもたらすほか、溶射装置の軽量化や、電子機器の故障に伴う動作不良をなくし、確実に溶射材料及び酸素の供給を停止できる効果をもたらしている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の緊急停止機構を適用した溶射装置の一例を斜め後方から見た斜視図である。
【図2】本例の溶射装置を左側斜め上方から見た斜視図である。
【図3】ボンネットを開いた本例の溶射装置の一部を正面斜め上方から見た斜視図である。
【図4】酸素及び溶射材料を供給している状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図5】酸素及び溶射材料を供給している状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【図6】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた直後の状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図7】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた直後の状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【図8】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図9】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【図10】緊急閉鎖バルブを再び開いた状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図11】緊急閉鎖バルブを再び開いた状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の緊急停止機構1(図4以下参照)は、例えば図1〜図3に見られるように、フレーム25に対してホッパ21、エジェクタ22を備えた溶射装置2に適用される。本例の溶射装置2は、エジェクタ22に供給される酸素を利用してホッパ21から溶射材料を吸引、混合して出力するので、電気モータ等の駆動源を要しない。また、緊急停止機構1もエジェクタ22から供給ホース24が分離することに起因して供給される酸素のみで作動する。これから、本例の溶射装置2は、電気部品を有しない。これは、電気部品が短絡して火花を発生させ、例えば酸素に引火して溶射材料を爆発させる危険のないことを意味する。本発明の緊急停止機構1の利点は、こうした電気部品を用いずに済む点にもある。
【0017】
フレーム25は、金属丸パイプを組んだ枠体である。本例のフレーム25は、後端(図1中右端、図2中左端)に車輪26が設けられた水平枠の前後中間付近から左右一対の垂直柱を立設し、前記車輪26が設けられた後端から斜め後方上向きにハンドルが延びる構成で、ホッパ21を前記垂直柱に挟んで支持している。エジェクタ22は、ホッパ21下端に配置し、ホッパ下端の投入口をエジェクタ22の混合口223(図4以下参照)に接続している。また、フレーム25の垂直柱とハンドルとの間には、複数の補強梁が架け渡され、フレーム25全体の剛性を高めている。緊急停止機構1を構成するバルブ等は、垂直柱とハンドルとの間に搭載されている。
【0018】
フレーム25の垂直柱は、前方から上方にかけて回動するボンネット251が軸着されている。ボンネット251は、コ字状に曲げた金属丸パイプに金属板を張って構成され、水平に張り出した閉じた姿勢と上方に跳ね上げた開いた姿勢との間で回動する。ボンネット251は、開いた姿勢にして、水平枠に設けたストッパ252に設けた切欠に載せた供給ホース24をエジェクタ22の出力口222に嵌合させ、閉じた姿勢にしたボンネット251と前記ストッパ252の切欠との間に供給ホース24を挟み込み、前記供給ホース24をボンネット251の下に閉じ込めることで、エジェクタ22から外れた供給ホース24が暴れる範囲をボンネット251の内側に限定する。これは、供給ホース24が溶射装置2から離れる際に飛び跳ねる危険を防止するほか、エジェクタ22から外れた供給ホース24が必ず弾性突起134に接触し、ホース検知バルブ13を確実に開くようにするためである。
【0019】
フレーム25の水平枠は、エジェクタ22の出力口222に対向する前辺にストッパ252が設けられ、出力口222とストッパ252とを結ぶ軸線上に弾性突起134が突出するように、ホース検知バルブ13(図1〜図3、図4、図6、図8及び図10中、ホース検知バルブ13を収めたケースで図示している)が右辺に取り付けられている。ホース検知バルブ13は、上述したように、ボンネット251と前記ストッパ252の切欠との間に供給ホース24を挟み込み、前記供給ホース24をボンネット251の下に閉じ込めることと、前述のように、出力口222とストッパ252とを結ぶ軸線上に弾性突起134を突出させることとにより、エジェクタ22から外れた供給ホース24が前記弾性突起134に必ず接触するようにしており、エジェクタ22の出力口222から供給ホース24が外れた際、確実に開く(入力ポート131と出力ポート132とを連通させる、図5参照)ようにしている。
【0020】
供給ホース24は、後端(接続端)に平板状の金属リングである掛合フランジ241を取り付けている。掛合フランジ241は、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れた際、フレーム25のストッパ252に掛合させて、供給ホース24が遠くへ飛んでいかないようにする外れ止めの働きを有する。供給ホース24は、逆火による体積膨張又は爆発があると、容易かつ確実に出力口222から外れるように、出力口222に接続端を外嵌しているだけである。同様の理由から、供給ホース24は、エジェクタ22の出力口222に内嵌するだけとしたり、出力口222に接続端を磁石により吸着させたりしてもよい。
【0021】
本例は、供給ホース24を直接エジェクタ22の出力口222に接続しているが、実際には、逆火に対する強度確保のため、エジェクタ22の出力口222に接続する部分のみ、別途交換ホースが用いられることが多い。この場合、前記交換ホースに掛合フランジ241が取り付けられるだけで、エジェクタ22の出力口222への接続態様に変わりはなく、本発明の緊急停止機構1の働きも変わらない。
【0022】
緊急停止機構1は、図4及び図5に見られるように、酸素供給ライン23(図4中「酸素」を代表する図右端の矢印からエジェクタ22の入力口221に至るライン)に介在させた緊急閉鎖バルブ11と、前記酸素供給ライン23から分岐した酸素分岐ライン12と、前記酸素分岐ライン12を接続したホース検知バルブ13と、前記ホース検知バルブ13と緊急閉鎖バルブ11とを結ぶ加圧ライン14と、そして前記加圧ライン14に設けた酸素排気バルブ15とから構成する(図4及び図5中破線枠内)。本例の緊急停止機構1は、加圧ライン14に酸素が充満して緊急閉鎖バルブ11を閉じている状態が外部から視認できるように、酸素の加圧状態を視覚的に報知する表示灯16を前記加圧ライン14に設けている。表示灯16は、パイロットポート161に酸素の加圧を受けて作動する構成であり、本発明の緊急停止機構1が電気部品を使用しないことに貢献する。
【0023】
エジェクタ22は、溶射材料を貯留するホッパ21下端の投入口を混合口223に、供給ホース24を出力口222に、酸素供給ライン23を構成する管路を入力口221にそれぞれ接続する。出力口222に対する供給ホース24の接続は、記述したように、逆火による体積膨張又は爆発で容易かつ確実に外れるように、エジェクタ22の出力口222に対する外嵌である。これに対し、混合口223に対するホッパ21の接続や入力口221に対する酸素供給ライン23の接続は、逆火に際して外れる必要がないため、強固である。酸素供給ライン23は、ガスボンベから延びるガスホースに接続された分岐アダプタ231から下流に向けて、流量計232、流量調整バルブ233を経て緊急閉鎖バルブ11を介在させ、前記緊急閉鎖バルブ11から延びる管路をエジェクタ22の入力口221に接続している。
【0024】
緊急閉鎖バルブ11は、流量調整バルブ233から延びる管路を入力ポート111に、エジェクタ22の入力口221へ延びる管路を出力ポート112に、そして酸素の圧力を与える加圧ライン14をパイロットポート113にそれぞれ接続し、加圧ライン14に流れ込む酸素の圧力をパイロットポート113に受けて入力ポート111及び出力ポート112の連通及び遮断を切り換える2ポート型切換バルブである。緊急閉鎖バルブ11は、ブロック図(図5参照)において、切換ブロックを移動させる記号として図示されているが、切換ブロックのほか、例えば開閉により連通及び遮断を切り換える弁体から構成してもよい。
【0025】
本例の緊急閉鎖バルブ11は、切換ブロック又は弁体を付勢することにより、常態として入力ポート111及び出力ポート112間に切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開いて連通させる(図5参照)。そして、加圧ライン14に流れ込む酸素の圧力をパイロットポート113に受けると、前記付勢に反して切換ブロックを移動させる又は弁体を動かすことにより、緊急閉鎖バルブ11は、入力ポート111及び出力ポート112間に切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じて遮断する(図7参照)。
【0026】
緊急閉鎖バルブ11は、加圧ライン14に酸素が閉じ込められている限り、パイロットポート113に前記酸素の圧力を受け続けて、入力ポート111及び出力ポート112間を遮断し続ける。遮断された入力ポート111及び出力ポート112は、後述する酸素排気バルブ15を通じて加圧ライン14から酸素を排気し、パイロットポート113に対する圧力をなくして、再び付勢を働かせて切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開くことにより、連通させる。
【0027】
ホース検知バルブ13は、分岐アダプタ231から分かれた酸素分岐ライン12の管路を入力ポート131に、加圧ライン14の管路を出力ポート132にそれぞれ接続し、エジェクタ22の出力口222前方に突出させた弾性突起134に、出力口222から外れた供給ホース24を接触させることにより、入力ポート131及び出力ポート132の連通及び遮断を切り換える2ポート型切換バルブである。ホース検知バルブ13は、ブロック図(図5参照)において、切換ブロックを移動させる記号として図示されているが、切換ブロックのほか、例えば開閉により連通及び遮断を切り換える弁体から構成してもよい。
【0028】
本例のホース検知バルブ13は、弾性突起134が弾性変形すると進退突起135が突出するケースにバルブ本体を内蔵した構成で、バルブ本体が備えるパイロット突起133を前記進退突起135で押す構造になっている(図5及び図7比較対照)。弾性突起134は、供給ホース24又は掛合フランジ241が接触しさえすればいずれかの方向に弾性変形する。これから、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れると、確実に弾性突起134が弾性変形し、パイロット突起133が押されることになる。
【0029】
本例のホース検知バルブ13は、切換ブロック又は弁体を付勢することにより、常態として入力ポート131及び出力ポート132間に切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じて遮断している(図5参照)。そして、上述のように、供給ホース24又は掛合フランジ241が接触して弾性突起134が弾性変形すると、突出する進退突起135にパイロット突起133が押されて、前記付勢に反して切換ブロックを移動させる又は弁体を動かさることにより、ホース検知バルブ13は、入力ポート131及び出力ポート132間に切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開いて連通させる(図7参照)。
【0030】
しかし、弾性突起134が弾性変形している時間は、供給ホース24又は掛合フランジ241が接触した極短時間である。このため、供給ホース24又は掛合フランジ241が離れて弾性突起134が元の状態に復元すると、進退突起135も後退してパイロット突起133が押されなくなり、入力ポート131及び出力ポート132は、再び付勢を働かせて切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じることにより、遮断する。これにより、加圧ライン14は、流れ込んだ酸素が排気されることなく閉じ込められ、酸素排気バルブ15から排気されるまで、緊急閉鎖バルブ11のパイロットポート113に圧力を与え続けることができる。
【0031】
酸素排気バルブ15は、加圧ライン14の管路を入力ポート151に接続し、出力ポート152を開放しており、作業者がパイロット突起153を押して変位させることにより入力ポート151及び出力ポート152の連通及び遮断を切り換える2ポート型切換バルブである。酸素排気バルブ15は、ブロック図(図5参照)において、切換ブロックを移動させる記号として図示されているが、切換ブロックのほか、例えば開閉により連通及び遮断を切り換える弁体から構成してもよい。
【0032】
本例の酸素排気バルブ15は、切換ブロック又は弁体を付勢することにより、常態として入力ポート151及び出力ポート152間に切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じて遮断している(図5参照)。そして、例えば作業者がパイロット突起153を押している間だけ、前記付勢に反して切換ブロックを移動させる又は弁体を動かさることにより、酸素排気バルブ15は、入力ポート151及び出力ポート152間に切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開いて連通させる(図10参照)。これにより、加圧ライン14に閉じ込められた酸素は、酸素排気バルブ15を介して排気される。このように、酸素排気バルブ15は、加圧ライン14から酸素を排気できればよいので、単なる開閉弁や着脱自在なキャップを代用してもよい。
【0033】
表示灯16は、透明なカバー162内に着色突起163を収納し、常態としてカバー162から突出しないように着色突起163を収納方向に付勢した構成で、加圧ライン14に供給される酸素の圧力をパイロットポート161に受けて着色突起163が押されると前記カバー162から覗ける位置まで着色突起163を突出させる(図6参照)。そして、加圧ライン14から酸素が排気されると、着色突起163を押す圧力がなくなるため、付勢に応じて再びカバー162から覗けない位置まで没する(図4参照)。加圧ライン14に酸素が残っている状態は、緊急閉鎖バルブ11が閉じている状態を意味する。これから、表示灯16は、直接的には加圧ライン14に酸素が残っているか否かを外部に知らせるが、間接的には緊急閉鎖バルブ16の開閉状態を外部に知らせる働きを有する。
【0034】
本例の緊急停止機構1の動作について説明する。緊急停止機構1は、図4及び図5に見られるように、溶射装置2が問題なく酸素及び溶射材料を供給している状態では作動しない。具体的には、分岐アダプタ23から酸素分岐ライン12を経てホース検知バルブ13まで酸素が供給されているものの、前記ホース検知バルブ13が閉じたままなので、加圧ライン14に酸素が流れ込むことがなく、緊急閉鎖バルブ11は開いたままである。加圧ライン14に酸素が供給されていないこと、そして緊急閉鎖バルブ11が開いていることは、表示灯16のカバー162に着色突起163が突出していないことからも確認される。
【0035】
逆火が発生して供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れると、図6及び図7に見られるように、瞬間的に供給ホース24又は掛合フランジ241が弾性突起134に接触して弾性変形させ、直ちにホース検知バルブ13を開いて加圧ライン14へ酸素を流れ込ませることにより、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れた時点からほとんど遅れなく、緊急閉鎖バルブ11が閉じられる。これにより、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れた直後に前記エジェクタ22への酸素の供給が停止できる。そして、エジェクタ22への酸素の供給が停止することで、ホッパ21からの溶射材料の吸引も停止させることができる。
【0036】
逆火による体積膨張又は爆発は、すべてボンネット251内で発生するため、外部に大きな被害が出る虞は少ない。そして、エジェクタ22の出力口222から外れた供給ホース24は、掛合フランジ241をストッパ252に係合させて停止するので、溶射装置2から供給ホース24が大きく逸脱する虞もない。こうして、供給ホース24が掛合フランジ241をストッパ252に係合させた段階では、掛合フランジ241と弾性突起134との接触がなくなっているため、図8及び図9に見られるように、弾性突起134は元の状態に復帰し、ホース検知バルブ13を再び閉じる。このとき、酸素排気バルブ15は閉じているため、どこからも排気されない酸素が加圧ライン14に閉じ込められ、緊急閉鎖バルブ11は閉じたままとなり、表示灯16も着色突起163をカバー162から覗かせた状態を維持する。
【0037】
復旧手順は、例えば次のとおりである。本発明の緊急停止機構1は、逆火を利用してエジェクタ22から供給ホース24を分離する際、直ちに酸素の供給を停めて、エジェクタ22の出力口222周辺又は内部に溶射体がこびりつくことを防ぐが、復旧に際し、溶射体のこびりつきの有無を確認することが望ましい。このため、図10及び図11に見られるように、流量調整バルブ233を「全閉」まで締めて酸素供給ライン23を通じた酸素の供給を停め(図示の便宜上、酸素供給ライン23の上流に流れ込む矢印を消しているが、厳密には流量調整バルブ233まで酸素が供給されている)、溶射装置2からエジェクタ22を分離し、点検する。溶射体のこびりつきが確認されると、適宜削り取られる。
【0038】
エジェクタ22の点検、溶射体の削り取りが終われば、再び溶射装置2にエジェクタ22を取り付け、出力口222に供給ホース24を接続した後、まずパイロット突起153を押して酸素排気バルブ15を開き、加圧ポート14内の酸素を排気して、緊急閉鎖バルブ11を再び開く。この段階は、酸素供給ライン23を通じて酸素が供給できる状態にあるが、依然流量調整バルブ233が「全閉」になっているので、エジェクタ22に酸素が供給されない。そして、ホッパ21からエジェクタ22の混合口223へ溶射材料が供給できることを確認してから、流量調整バルブ233を開き、徐々に供給量を増やして定常状態に移行する。こうして、供給ホース24を通じて酸素及び溶射材料を混合及び供給できる。
【符号の説明】
【0039】
1 緊急停止機構
11 緊急閉鎖バルブ
12 酸素分岐ライン
13 ホース検知バルブ
14 加圧ライン
15 酸素排気バルブ
16 表示灯
2 溶射装置
21 ホッパ
22 エジェクタ
23 酸素供給ライン
24 供給ホース
25 フレーム
26 車輪
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉の壁面を補修するため、前記壁面に溶射材料を吹き付ける溶射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉は、建設されてからずいぶんと年数を経たものが増加しており、適宜壁面が補修される。この場合、コークス炉を完全に停止させて壁面を補修することは、労力、手間、時間及びコストの観点から好ましくないことから、専ら操業しながら壁面が補修される。このコークス炉の壁面の補修方法には、大型溶射装置を用いるプラズマ溶射方法、レーザー溶射方法又は火炎溶射方法等もある。しかし、実際にはテルミット反応を利用する方法、すなわち溶射装置(特許文献1参照)により金属粉末と耐火物との混合物である溶射材料を送り出し、ランスから溶射材料を補修箇所に吹き付けて溶射体(溶射材料が酸素とテルミット反応してできる生成物)を溶着させる方法が多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-047317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶射材料を壁面の補修箇所に吹き付けて溶射体を溶着させる方法は、溶射材料の搬送にテルミット反応を促す酸素が用いられる。このため、溶射材料と酸素とが順調にランスから噴射され、壁面の補修面でテルミット反応を起こしている場合は問題がない。しかし、補修箇所の火が燃え移ってランスの噴射口で発火する事態=「先端着火」や、ランスから供給ホースを伝って溶射装置まで火が遡る事態=「逆火」が発生すると、問題になる。先端着火は逆火を誘引する場合がある。そして、逆火は、体積膨張を伴いながら音速を超える爆発(「爆轟」と呼ばれる)を引き起こし、供給ホースを破裂させたり、溶射装置から分離した供給ホースが跳ね回る危険をもたらす。
【0005】
このように、逆火は、大変危険な事態を招くほか、復旧作業に時間を要するが、原因を特定することが難しく、発生そのものを回避し難い。これから、逆火が発生することは不可避との前提に立ち、溶射装置に何らかの逆火対策が採られることが通例となっている。例えば溶射装置と供給ホースとを、クイックジョイント(通称「カプラ」)を用いず、嵌合しただけの状態で接続し、逆火による体積膨張又は爆発を利用して溶射装置と供給ホースとを分離させ、爆発時に発生する燃焼ガスを排出することにより、供給ホースの破裂を回避する対策が採られる。この対策では、溶射装置のところで爆発が生じ、溶射装置を破損する虞があるが、作業者を危険に晒すより好ましいと考えられている。
【0006】
ところが、逆火による体積膨張又は爆発を利用して溶射装置と供給ホースとを分離させる上記対策において、溶射装置と供給ホースとが分離した後も溶射材料が噴射し続けると、供給ホース端や溶射装置の供給口(エジェクタの出力口)に溶射体がこびりつき、復旧作業を困難にすることがあった。そこで、逆火による体積膨張又は爆発を利用して溶射装置と供給ホースとを分離させる対策を講じた溶射装置に、溶射材料及び酸素の供給を確実に停止させる緊急停止機構を付加するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、溶射材料を貯留するホッパをエジェクタの混合口に、供給ホースを前記エジェクタの出力口に、そして酸素供給ラインを前記エジェクタの入力口にそれぞれ接続し、酸素供給ラインを通じてエジェクタへ供給される酸素にホッパから溶射材料を混入させ、前記エジェクタから供給ホースを通じて溶射材料及び酸素をランスに混合状態で供給する溶射装置において、酸素供給ラインに介在させた緊急閉鎖バルブと、前記酸素供給ラインから分岐した酸素分岐ラインと、前記酸素分岐ラインを接続したホース検知バルブと、前記ホース検知バルブと緊急閉鎖バルブとを結ぶ加圧ラインと、前記加圧ラインに設けた酸素排気バルブとから緊急停止機構を構成した溶射装置である。
【0008】
緊急閉鎖バルブは、酸素供給ラインを入力ポートに、エジェクタの入力口を出力ポートに、そして加圧ラインをパイロットポートにそれぞれ接続し、加圧ラインの酸素の圧力をパイロットポートに受けて入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである。例えば緊急閉鎖バルブは、入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える開閉弁を常態として開いて前記入力ポート及び出力ポートを連通させ、加圧ラインに供給される酸素の圧力をパイロットポートに受けると前記開閉弁を閉じて入力ポート及び出力ポートを遮断する。これにより、エジェクタに対する酸素の供給が停止され、エジェクタによるホッパからの溶射材料の吸引もなくして、供給ホースに対する溶射材料及び酸素の供給を停止できる。遮断された入力ポート及び出力ポートは、後述する酸素排気バルブを通じて加圧ラインから酸素を排気し、開閉弁を閉いて、再び連通させる。
【0009】
ホース検知バルブは、酸素分岐ラインを入力ポートに、加圧ラインを出力ポートにそれぞれ接続し、エジェクタの出力口前方にパイロット突起を突出させ、出力口から外れた供給ホースを接触させてパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである。例えばホース検知バルブは、入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換ブロックを付勢して前記入力ポート及び出力ポートを常態として遮断させ、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から外れた供給ホースがパイロット突起に接触して切換ブロックが押されると前記入力ポート及び出力ポートを一時的に連通させ、パイロット突起に対する前記供給ホースの接触がなくなると切換ブロックが復帰して再び前記入力ポート及び出力ポートを遮断する。
【0010】
供給ホースは、エジェクタの出力口に嵌合するだけで接続する構成であると、逆火による体積膨張又は爆発で抜けやすくなり、前記出力口近傍に配したホース検知バルブのパイロット突起に接触しやすくなる。好ましくは、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から外れた供給ホースが遠くに離れたり、暴れることを防止するため、供給ホースは、出力口前方に設けたストッパに掛合する掛合フランジを接続端に設けるとよい。この場合、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から供給ホースの接続端が抜けた際、前記掛合フランジをホース検知バルブに接触させやすくなる。供給ホースは、交換ホースを介して溶射装置の出力口に接続される場合が多いことから、本発明に言う供給ホースは、供給ホースそのもののほか、交換ホースを含む。
【0011】
酸素排気バルブは、加圧ラインを入力ポートに接続し、出力ポートを開放して、作業者が押すパイロット突起を突出させ、作業者が押してパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである。例えば酸素排気バルブは、入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換ブロックを付勢して前記入力ポート及び出力ポートを常態として遮断させ、作業者がパイロット突起を押す又は倒す等の操作により切換ブロックが押されると前記入力ポート及び出力ポートを連通させ、作業者がパイロットを操作しなくなると切換ブロックが復帰して再び前記入力ポート及び出力ポートを遮断する。
【0012】
加圧ラインは、加圧状態の有無を報知する表示灯を設けると、緊急閉鎖バルブが閉じた原因が、エジェクタの救急口から供給ホースの外れたためであることが視覚的に理解できる。表示灯は、透明なカバー内に着色突起を収納し、常態としてカバーから突出しないように着色突起を収納方向に付勢した構成を例示できる。前記表示灯は、加圧ラインに供給される酸素の圧力をパイロットポートに受けて着色突起が押されると前記カバーから覗ける位置まで着色突起を突出させる。そして、加圧ラインから酸素が排気されると、着色突起を押す圧力がなくなるため、付勢に応じて再びカバーから覗けない位置まで没する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、溶射材料及び酸素の供給を確実に停止させる緊急停止機構を、溶射装置に付加し、溶射装置の安全性や逆火後の復旧を容易にする。本発明の緊急停止機構は、逆火による体積膨張又は爆発によりエジェクタの出力口から外れた供給ホースによりホース検知バルブを作動させてから、緊急閉鎖バルブを閉じるので、逆火と溶射材料及び酸素の供給停止との対応が明確で、前記逆火に際して確実に溶射材料及び酸素の供給を停止できる。また、酸素排気バルブの操作だけで、簡単に緊急閉鎖バルブを再び開き、溶射材料及び酸素の供給を再開できる簡便さを備える。
【0014】
本発明の緊急停止機構は、電気的な操作部分を有さず、酸素分岐ラインに流れる酸素を利用して作動する点に特徴を有する。加圧ラインに付加する表示灯も、加圧ラインに供給された酸素の圧力を受けて作動するため、電気を要しない。こうした電気を要しない緊急停止機構や表示灯は、溶射装置から電気部品をなくす、すなわち溶射装置から重いバッテリや故障しやすい電子機器をなくすことのできる効果をもたらすほか、溶射装置の軽量化や、電子機器の故障に伴う動作不良をなくし、確実に溶射材料及び酸素の供給を停止できる効果をもたらしている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の緊急停止機構を適用した溶射装置の一例を斜め後方から見た斜視図である。
【図2】本例の溶射装置を左側斜め上方から見た斜視図である。
【図3】ボンネットを開いた本例の溶射装置の一部を正面斜め上方から見た斜視図である。
【図4】酸素及び溶射材料を供給している状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図5】酸素及び溶射材料を供給している状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【図6】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた直後の状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図7】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた直後の状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【図8】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図9】逆火により供給ホースがエジェクタの出力口から外れた状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【図10】緊急閉鎖バルブを再び開いた状態を表す緊急停止機構の要部を抜粋した構成図である。
【図11】緊急閉鎖バルブを再び開いた状態を表す緊急停止機構のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の緊急停止機構1(図4以下参照)は、例えば図1〜図3に見られるように、フレーム25に対してホッパ21、エジェクタ22を備えた溶射装置2に適用される。本例の溶射装置2は、エジェクタ22に供給される酸素を利用してホッパ21から溶射材料を吸引、混合して出力するので、電気モータ等の駆動源を要しない。また、緊急停止機構1もエジェクタ22から供給ホース24が分離することに起因して供給される酸素のみで作動する。これから、本例の溶射装置2は、電気部品を有しない。これは、電気部品が短絡して火花を発生させ、例えば酸素に引火して溶射材料を爆発させる危険のないことを意味する。本発明の緊急停止機構1の利点は、こうした電気部品を用いずに済む点にもある。
【0017】
フレーム25は、金属丸パイプを組んだ枠体である。本例のフレーム25は、後端(図1中右端、図2中左端)に車輪26が設けられた水平枠の前後中間付近から左右一対の垂直柱を立設し、前記車輪26が設けられた後端から斜め後方上向きにハンドルが延びる構成で、ホッパ21を前記垂直柱に挟んで支持している。エジェクタ22は、ホッパ21下端に配置し、ホッパ下端の投入口をエジェクタ22の混合口223(図4以下参照)に接続している。また、フレーム25の垂直柱とハンドルとの間には、複数の補強梁が架け渡され、フレーム25全体の剛性を高めている。緊急停止機構1を構成するバルブ等は、垂直柱とハンドルとの間に搭載されている。
【0018】
フレーム25の垂直柱は、前方から上方にかけて回動するボンネット251が軸着されている。ボンネット251は、コ字状に曲げた金属丸パイプに金属板を張って構成され、水平に張り出した閉じた姿勢と上方に跳ね上げた開いた姿勢との間で回動する。ボンネット251は、開いた姿勢にして、水平枠に設けたストッパ252に設けた切欠に載せた供給ホース24をエジェクタ22の出力口222に嵌合させ、閉じた姿勢にしたボンネット251と前記ストッパ252の切欠との間に供給ホース24を挟み込み、前記供給ホース24をボンネット251の下に閉じ込めることで、エジェクタ22から外れた供給ホース24が暴れる範囲をボンネット251の内側に限定する。これは、供給ホース24が溶射装置2から離れる際に飛び跳ねる危険を防止するほか、エジェクタ22から外れた供給ホース24が必ず弾性突起134に接触し、ホース検知バルブ13を確実に開くようにするためである。
【0019】
フレーム25の水平枠は、エジェクタ22の出力口222に対向する前辺にストッパ252が設けられ、出力口222とストッパ252とを結ぶ軸線上に弾性突起134が突出するように、ホース検知バルブ13(図1〜図3、図4、図6、図8及び図10中、ホース検知バルブ13を収めたケースで図示している)が右辺に取り付けられている。ホース検知バルブ13は、上述したように、ボンネット251と前記ストッパ252の切欠との間に供給ホース24を挟み込み、前記供給ホース24をボンネット251の下に閉じ込めることと、前述のように、出力口222とストッパ252とを結ぶ軸線上に弾性突起134を突出させることとにより、エジェクタ22から外れた供給ホース24が前記弾性突起134に必ず接触するようにしており、エジェクタ22の出力口222から供給ホース24が外れた際、確実に開く(入力ポート131と出力ポート132とを連通させる、図5参照)ようにしている。
【0020】
供給ホース24は、後端(接続端)に平板状の金属リングである掛合フランジ241を取り付けている。掛合フランジ241は、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れた際、フレーム25のストッパ252に掛合させて、供給ホース24が遠くへ飛んでいかないようにする外れ止めの働きを有する。供給ホース24は、逆火による体積膨張又は爆発があると、容易かつ確実に出力口222から外れるように、出力口222に接続端を外嵌しているだけである。同様の理由から、供給ホース24は、エジェクタ22の出力口222に内嵌するだけとしたり、出力口222に接続端を磁石により吸着させたりしてもよい。
【0021】
本例は、供給ホース24を直接エジェクタ22の出力口222に接続しているが、実際には、逆火に対する強度確保のため、エジェクタ22の出力口222に接続する部分のみ、別途交換ホースが用いられることが多い。この場合、前記交換ホースに掛合フランジ241が取り付けられるだけで、エジェクタ22の出力口222への接続態様に変わりはなく、本発明の緊急停止機構1の働きも変わらない。
【0022】
緊急停止機構1は、図4及び図5に見られるように、酸素供給ライン23(図4中「酸素」を代表する図右端の矢印からエジェクタ22の入力口221に至るライン)に介在させた緊急閉鎖バルブ11と、前記酸素供給ライン23から分岐した酸素分岐ライン12と、前記酸素分岐ライン12を接続したホース検知バルブ13と、前記ホース検知バルブ13と緊急閉鎖バルブ11とを結ぶ加圧ライン14と、そして前記加圧ライン14に設けた酸素排気バルブ15とから構成する(図4及び図5中破線枠内)。本例の緊急停止機構1は、加圧ライン14に酸素が充満して緊急閉鎖バルブ11を閉じている状態が外部から視認できるように、酸素の加圧状態を視覚的に報知する表示灯16を前記加圧ライン14に設けている。表示灯16は、パイロットポート161に酸素の加圧を受けて作動する構成であり、本発明の緊急停止機構1が電気部品を使用しないことに貢献する。
【0023】
エジェクタ22は、溶射材料を貯留するホッパ21下端の投入口を混合口223に、供給ホース24を出力口222に、酸素供給ライン23を構成する管路を入力口221にそれぞれ接続する。出力口222に対する供給ホース24の接続は、記述したように、逆火による体積膨張又は爆発で容易かつ確実に外れるように、エジェクタ22の出力口222に対する外嵌である。これに対し、混合口223に対するホッパ21の接続や入力口221に対する酸素供給ライン23の接続は、逆火に際して外れる必要がないため、強固である。酸素供給ライン23は、ガスボンベから延びるガスホースに接続された分岐アダプタ231から下流に向けて、流量計232、流量調整バルブ233を経て緊急閉鎖バルブ11を介在させ、前記緊急閉鎖バルブ11から延びる管路をエジェクタ22の入力口221に接続している。
【0024】
緊急閉鎖バルブ11は、流量調整バルブ233から延びる管路を入力ポート111に、エジェクタ22の入力口221へ延びる管路を出力ポート112に、そして酸素の圧力を与える加圧ライン14をパイロットポート113にそれぞれ接続し、加圧ライン14に流れ込む酸素の圧力をパイロットポート113に受けて入力ポート111及び出力ポート112の連通及び遮断を切り換える2ポート型切換バルブである。緊急閉鎖バルブ11は、ブロック図(図5参照)において、切換ブロックを移動させる記号として図示されているが、切換ブロックのほか、例えば開閉により連通及び遮断を切り換える弁体から構成してもよい。
【0025】
本例の緊急閉鎖バルブ11は、切換ブロック又は弁体を付勢することにより、常態として入力ポート111及び出力ポート112間に切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開いて連通させる(図5参照)。そして、加圧ライン14に流れ込む酸素の圧力をパイロットポート113に受けると、前記付勢に反して切換ブロックを移動させる又は弁体を動かすことにより、緊急閉鎖バルブ11は、入力ポート111及び出力ポート112間に切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じて遮断する(図7参照)。
【0026】
緊急閉鎖バルブ11は、加圧ライン14に酸素が閉じ込められている限り、パイロットポート113に前記酸素の圧力を受け続けて、入力ポート111及び出力ポート112間を遮断し続ける。遮断された入力ポート111及び出力ポート112は、後述する酸素排気バルブ15を通じて加圧ライン14から酸素を排気し、パイロットポート113に対する圧力をなくして、再び付勢を働かせて切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開くことにより、連通させる。
【0027】
ホース検知バルブ13は、分岐アダプタ231から分かれた酸素分岐ライン12の管路を入力ポート131に、加圧ライン14の管路を出力ポート132にそれぞれ接続し、エジェクタ22の出力口222前方に突出させた弾性突起134に、出力口222から外れた供給ホース24を接触させることにより、入力ポート131及び出力ポート132の連通及び遮断を切り換える2ポート型切換バルブである。ホース検知バルブ13は、ブロック図(図5参照)において、切換ブロックを移動させる記号として図示されているが、切換ブロックのほか、例えば開閉により連通及び遮断を切り換える弁体から構成してもよい。
【0028】
本例のホース検知バルブ13は、弾性突起134が弾性変形すると進退突起135が突出するケースにバルブ本体を内蔵した構成で、バルブ本体が備えるパイロット突起133を前記進退突起135で押す構造になっている(図5及び図7比較対照)。弾性突起134は、供給ホース24又は掛合フランジ241が接触しさえすればいずれかの方向に弾性変形する。これから、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れると、確実に弾性突起134が弾性変形し、パイロット突起133が押されることになる。
【0029】
本例のホース検知バルブ13は、切換ブロック又は弁体を付勢することにより、常態として入力ポート131及び出力ポート132間に切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じて遮断している(図5参照)。そして、上述のように、供給ホース24又は掛合フランジ241が接触して弾性突起134が弾性変形すると、突出する進退突起135にパイロット突起133が押されて、前記付勢に反して切換ブロックを移動させる又は弁体を動かさることにより、ホース検知バルブ13は、入力ポート131及び出力ポート132間に切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開いて連通させる(図7参照)。
【0030】
しかし、弾性突起134が弾性変形している時間は、供給ホース24又は掛合フランジ241が接触した極短時間である。このため、供給ホース24又は掛合フランジ241が離れて弾性突起134が元の状態に復元すると、進退突起135も後退してパイロット突起133が押されなくなり、入力ポート131及び出力ポート132は、再び付勢を働かせて切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じることにより、遮断する。これにより、加圧ライン14は、流れ込んだ酸素が排気されることなく閉じ込められ、酸素排気バルブ15から排気されるまで、緊急閉鎖バルブ11のパイロットポート113に圧力を与え続けることができる。
【0031】
酸素排気バルブ15は、加圧ライン14の管路を入力ポート151に接続し、出力ポート152を開放しており、作業者がパイロット突起153を押して変位させることにより入力ポート151及び出力ポート152の連通及び遮断を切り換える2ポート型切換バルブである。酸素排気バルブ15は、ブロック図(図5参照)において、切換ブロックを移動させる記号として図示されているが、切換ブロックのほか、例えば開閉により連通及び遮断を切り換える弁体から構成してもよい。
【0032】
本例の酸素排気バルブ15は、切換ブロック又は弁体を付勢することにより、常態として入力ポート151及び出力ポート152間に切換ブロックの遮断側を介在させる又は弁体を閉じて遮断している(図5参照)。そして、例えば作業者がパイロット突起153を押している間だけ、前記付勢に反して切換ブロックを移動させる又は弁体を動かさることにより、酸素排気バルブ15は、入力ポート151及び出力ポート152間に切換ブロックの連通側を介在させる又は弁体を開いて連通させる(図10参照)。これにより、加圧ライン14に閉じ込められた酸素は、酸素排気バルブ15を介して排気される。このように、酸素排気バルブ15は、加圧ライン14から酸素を排気できればよいので、単なる開閉弁や着脱自在なキャップを代用してもよい。
【0033】
表示灯16は、透明なカバー162内に着色突起163を収納し、常態としてカバー162から突出しないように着色突起163を収納方向に付勢した構成で、加圧ライン14に供給される酸素の圧力をパイロットポート161に受けて着色突起163が押されると前記カバー162から覗ける位置まで着色突起163を突出させる(図6参照)。そして、加圧ライン14から酸素が排気されると、着色突起163を押す圧力がなくなるため、付勢に応じて再びカバー162から覗けない位置まで没する(図4参照)。加圧ライン14に酸素が残っている状態は、緊急閉鎖バルブ11が閉じている状態を意味する。これから、表示灯16は、直接的には加圧ライン14に酸素が残っているか否かを外部に知らせるが、間接的には緊急閉鎖バルブ16の開閉状態を外部に知らせる働きを有する。
【0034】
本例の緊急停止機構1の動作について説明する。緊急停止機構1は、図4及び図5に見られるように、溶射装置2が問題なく酸素及び溶射材料を供給している状態では作動しない。具体的には、分岐アダプタ23から酸素分岐ライン12を経てホース検知バルブ13まで酸素が供給されているものの、前記ホース検知バルブ13が閉じたままなので、加圧ライン14に酸素が流れ込むことがなく、緊急閉鎖バルブ11は開いたままである。加圧ライン14に酸素が供給されていないこと、そして緊急閉鎖バルブ11が開いていることは、表示灯16のカバー162に着色突起163が突出していないことからも確認される。
【0035】
逆火が発生して供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れると、図6及び図7に見られるように、瞬間的に供給ホース24又は掛合フランジ241が弾性突起134に接触して弾性変形させ、直ちにホース検知バルブ13を開いて加圧ライン14へ酸素を流れ込ませることにより、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れた時点からほとんど遅れなく、緊急閉鎖バルブ11が閉じられる。これにより、供給ホース24がエジェクタ22の出力口222から外れた直後に前記エジェクタ22への酸素の供給が停止できる。そして、エジェクタ22への酸素の供給が停止することで、ホッパ21からの溶射材料の吸引も停止させることができる。
【0036】
逆火による体積膨張又は爆発は、すべてボンネット251内で発生するため、外部に大きな被害が出る虞は少ない。そして、エジェクタ22の出力口222から外れた供給ホース24は、掛合フランジ241をストッパ252に係合させて停止するので、溶射装置2から供給ホース24が大きく逸脱する虞もない。こうして、供給ホース24が掛合フランジ241をストッパ252に係合させた段階では、掛合フランジ241と弾性突起134との接触がなくなっているため、図8及び図9に見られるように、弾性突起134は元の状態に復帰し、ホース検知バルブ13を再び閉じる。このとき、酸素排気バルブ15は閉じているため、どこからも排気されない酸素が加圧ライン14に閉じ込められ、緊急閉鎖バルブ11は閉じたままとなり、表示灯16も着色突起163をカバー162から覗かせた状態を維持する。
【0037】
復旧手順は、例えば次のとおりである。本発明の緊急停止機構1は、逆火を利用してエジェクタ22から供給ホース24を分離する際、直ちに酸素の供給を停めて、エジェクタ22の出力口222周辺又は内部に溶射体がこびりつくことを防ぐが、復旧に際し、溶射体のこびりつきの有無を確認することが望ましい。このため、図10及び図11に見られるように、流量調整バルブ233を「全閉」まで締めて酸素供給ライン23を通じた酸素の供給を停め(図示の便宜上、酸素供給ライン23の上流に流れ込む矢印を消しているが、厳密には流量調整バルブ233まで酸素が供給されている)、溶射装置2からエジェクタ22を分離し、点検する。溶射体のこびりつきが確認されると、適宜削り取られる。
【0038】
エジェクタ22の点検、溶射体の削り取りが終われば、再び溶射装置2にエジェクタ22を取り付け、出力口222に供給ホース24を接続した後、まずパイロット突起153を押して酸素排気バルブ15を開き、加圧ポート14内の酸素を排気して、緊急閉鎖バルブ11を再び開く。この段階は、酸素供給ライン23を通じて酸素が供給できる状態にあるが、依然流量調整バルブ233が「全閉」になっているので、エジェクタ22に酸素が供給されない。そして、ホッパ21からエジェクタ22の混合口223へ溶射材料が供給できることを確認してから、流量調整バルブ233を開き、徐々に供給量を増やして定常状態に移行する。こうして、供給ホース24を通じて酸素及び溶射材料を混合及び供給できる。
【符号の説明】
【0039】
1 緊急停止機構
11 緊急閉鎖バルブ
12 酸素分岐ライン
13 ホース検知バルブ
14 加圧ライン
15 酸素排気バルブ
16 表示灯
2 溶射装置
21 ホッパ
22 エジェクタ
23 酸素供給ライン
24 供給ホース
25 フレーム
26 車輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶射材料を貯留するホッパをエジェクタの混合口に、供給ホースを前記エジェクタの出力口に、そして酸素供給ラインを前記エジェクタの入力口にそれぞれ接続し、酸素供給ラインを通じてエジェクタへ供給される酸素にホッパから溶射材料を混入させ、前記エジェクタから供給ホースを通じて溶射材料及び酸素をランスに混合状態で供給する溶射装置において、
酸素供給ラインに介在させた緊急閉鎖バルブと、
前記酸素供給ラインから分岐した酸素分岐ラインと、
前記酸素分岐ラインを接続したホース検知バルブと、
前記ホース検知バルブと緊急閉鎖バルブとを結ぶ加圧ラインと、そして
前記加圧ラインに設けた酸素排気バルブとから緊急停止機構を構成してなり、
緊急閉鎖バルブは、
酸素供給ラインを入力ポートに、エジェクタの入力口を出力ポートに、そして加圧ラインをパイロットポートにそれぞれ接続し、加圧ラインの酸素の圧力をパイロットポートに受けて入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブであり、
ホース検知バルブは、
酸素分岐ラインを入力ポートに、加圧ラインを出力ポートにそれぞれ接続し、エジェクタの出力口前方にパイロット突起を突出させ、出力口から外れた供給ホースを接触させてパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブであり、
酸素排気バルブは、
加圧ラインを入力ポートに接続し、出力ポートを開放して、作業者が押すパイロット突起を突出させ、作業者が押してパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである
ことを特徴とする溶射装置。
【請求項2】
加圧ラインは、加圧状態の有無を報知する表示灯を設けた請求項1記載の溶射装置。
【請求項1】
溶射材料を貯留するホッパをエジェクタの混合口に、供給ホースを前記エジェクタの出力口に、そして酸素供給ラインを前記エジェクタの入力口にそれぞれ接続し、酸素供給ラインを通じてエジェクタへ供給される酸素にホッパから溶射材料を混入させ、前記エジェクタから供給ホースを通じて溶射材料及び酸素をランスに混合状態で供給する溶射装置において、
酸素供給ラインに介在させた緊急閉鎖バルブと、
前記酸素供給ラインから分岐した酸素分岐ラインと、
前記酸素分岐ラインを接続したホース検知バルブと、
前記ホース検知バルブと緊急閉鎖バルブとを結ぶ加圧ラインと、そして
前記加圧ラインに設けた酸素排気バルブとから緊急停止機構を構成してなり、
緊急閉鎖バルブは、
酸素供給ラインを入力ポートに、エジェクタの入力口を出力ポートに、そして加圧ラインをパイロットポートにそれぞれ接続し、加圧ラインの酸素の圧力をパイロットポートに受けて入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブであり、
ホース検知バルブは、
酸素分岐ラインを入力ポートに、加圧ラインを出力ポートにそれぞれ接続し、エジェクタの出力口前方にパイロット突起を突出させ、出力口から外れた供給ホースを接触させてパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブであり、
酸素排気バルブは、
加圧ラインを入力ポートに接続し、出力ポートを開放して、作業者が押すパイロット突起を突出させ、作業者が押してパイロット突起を変位させることにより入力ポート及び出力ポートの連通及び遮断を切り換える切換バルブである
ことを特徴とする溶射装置。
【請求項2】
加圧ラインは、加圧状態の有無を報知する表示灯を設けた請求項1記載の溶射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−111973(P2012−111973A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259114(P2010−259114)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(391029484)日本特殊炉材株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(391029484)日本特殊炉材株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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