説明

溶接用治具

【課題】第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面とを溶接接合する際の作業能率を向上させることができ、設備を削減することができるとともに、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる溶接用治具を提供すること。
【解決手段】第1の管材11の一端面と、第2の管材12の一端面とを、周方向に沿って本溶接する際に用いられる溶接用治具10であって、ポジショナ21を構成する回転板22に固定されて、回転板22の回転軸線Cまわりに回転板22とともに回転するベースプレート13と、ベースプレート13から、回転軸線Cと平行になるとともに、回転板22と反対の側に延びるアーム14と、アーム14の先端部に固定されて、第1の管材11の他端部を支持するクランプ15と、を備えているとともに、クランプ15に支持された第1の管材11の長手方向軸線と、回転軸線Cとが一致するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、直管と直管、直管とL字管、L字管とL字管とを溶接接合する際に用いられて好適な溶接用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直管と直管、直管とL字管、L字管とL字管とを溶接接合する際、それぞれの部材が回転しないように、それぞれの部材を支持台の上に固定しておき、手作業にて溶接するようにしていた。
しかしながら、このような方法では、溶接棒を突き合わせ部に沿って周方向に移動させなければならない。そのため、溶接作業がやりづらく、作業能率が下がるといった問題点があった。
【0003】
そこで、直管と直管、直管とL字管、L字管とL字管とを溶接接合する際の作業能率を上げるための自動溶接装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−89685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている自動溶接装置は、構成が大がかりで、かつ、複雑であり、また、設備費として莫大な費用がかかるといった問題点があった。
さらに、上記特許文献1に開示されている自動溶接装置は、装置を設置するためのスペースを特別に設けなければならず、作業スペースの限られた工場等では採用することができないといった問題点もあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面とを溶接接合する際の作業能率を向上させることができ、設備を削減することができるとともに、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる溶接用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る溶接用治具は、第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面とを、周方向に沿って本溶接する際に用いられる溶接用治具であって、ポジショナを構成する回転板に固定されて、前記回転板の回転軸線まわりに前記回転板とともに回転するベースプレートと、前記ベースプレートから、前記回転軸線と平行になるとともに、前記回転板と反対の側に延びるアームと、前記アームの先端部に固定されて、前記第1の管材の他端部を支持するクランプと、を備えているとともに、前記クランプに支持された前記第1の管材の長手方向軸線と、前記回転軸線とが一致するように構成されている。
【0008】
本発明に係る溶接用治具によれば、第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面との間に形成された突き合わせ部が、当該溶接用治具の回転軸線まわりに回転することになる。
これにより、従来のように溶接棒を突き合わせ部に沿って周方向に移動させなくても、溶接棒を溶接作業のやり易い一点に保持しておくだけで、容易、かつ、迅速に溶接作業を行うことができて、作業能率を向上させることができる。
また、高価な自動溶接装置を使わなくても同じ溶接作業を容易、かつ、迅速に手作業で行うことができるので、設備費を大幅に削減することができる。
さらに、当該溶接用治具は自動溶接装置に比べて非常に小さいものであるので、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる。
【0009】
本発明に係る溶接用治具は、第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面とを、周方向に沿って本溶接する際に用いられる溶接用治具であって、ポジショナを構成する回転板に固定されて、前記回転板の回転軸線まわりに前記回転板とともに回転するベースプレートと、前記ベースプレートから、前記回転軸線と平行になるとともに、前記回転板と反対の側に延びるアームと、前記アームの先端部に固定されて、前記回転軸線と直交するとともに、前記回転軸線と交差するようにして延びるジョイントと、前記ジョイントの先端部に固定されて、前記第1の管材の他端部を支持するクランプと、を備えているとともに、前記クランプに支持された前記第1の管材の一端部における長手方向軸線と、前記回転軸線とが一致するように構成されている。
【0010】
本発明に係る溶接用治具によれば、第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面との間に形成された突き合わせ部が、当該溶接用治具の回転軸線まわりに回転することになる。
これにより、従来のように溶接棒を突き合わせ部に沿って周方向に移動させなくても、溶接棒を溶接作業のやり易い一点に保持しておくだけで、容易、かつ、迅速に溶接作業を行うことができて、作業能率を向上させることができる。
また、高価な自動溶接装置を使わなくても同じ溶接作業を容易、かつ、迅速に手作業で行うことができるので、設備費を大幅に削減することができる。
さらに、当該溶接用治具は自動溶接装置に比べて非常に小さいものであるので、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる。
【0011】
本発明に係る溶接作業支援装置は、上記いずれかの溶接用治具と、ポジショナとを具備している。
【0012】
本発明に係る溶接作業支援装置によれば、第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面との間に形成された突き合わせ部が、ポジショナを構成する回転板の回転軸線まわりに自動で回転することになる。
これにより、従来のように溶接棒を突き合わせ部に沿って周方向に移動させなくても、溶接棒を溶接作業のやり易い一点に保持しておくだけで、容易、かつ、迅速に溶接作業を行うことができて、作業能率を向上させることができる。
また、高価な自動溶接装置を使わなくても同じ溶接作業を容易、かつ、迅速に手作業で行うことができるので、設備費を大幅に削減することができる。
さらに、当該溶接用治具は自動溶接装置に比べて非常に小さいものであるので、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面とを溶接接合する際の作業能率を向上させることができ、設備を削減することができるとともに、作業スペースの限られた工場等でも採用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る溶接用治具の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る溶接用治具の斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る溶接用治具の側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る溶接用治具の斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る溶接用治具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る溶接用治具について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る溶接用治具の側面図、図2は本実施形態に係る溶接用治具の斜視図である。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る溶接用治具10は、例えば、第1の直管(第1の管材)11と第2の直管(第2の管材)12、または直管(第1の管材)11とL字管(第2の管材)52(図3および図4参照)とを溶接接合する際に用いられるものであって、ベースプレート13と、アーム14と、クランプ15とを備えている。
なお、直管11と直管12、または直管11とL字管52とは、直管11の他端部をクランプ15に固定する前に、一端部の側に位置する端面同士が予め仮付け溶接されている。
【0017】
ベースプレート13は、正面視矩形状を呈する板状の部材であり、その縦方向および横方向における中央部には、ポジショナ21の回転板(正面視円形状を呈する板状の部材)22の回転中心に設けられた丸穴(図示せず)と同じ内径を有する貫通穴が、板厚方向に貫通するようにして設けられている。また、丸穴の内周面には、ベースプレートを固定するボルト23の軸部外周面に設けられた雄ねじ部(図示せず)と螺合する雌ねじ部(図示せず)が設けられており、貫通穴に挿通されたボルト23の雄ねじ部を、丸穴の雌ねじ部と螺合させ、ボルト23を締め込んでいくことにより、ベースプレート13が回転板22に固定され、ベースプレート13が回転板22とともに回転するようになっている。
【0018】
アーム14は、回転板22およびボルト23の回転軸線Cと平行になるとともに、ベースプレート13の一辺中央部から回転板22と反対の側に延びるようにしてベースプレート13の一辺中央部に立設された四角柱形状を呈する板状の部材である。ベースプレート13の回転板22と接する面の一端から支持プレート24が、回転中心を挟んだ反対側の一端から支持棒25が、それぞれアーム14を支えている。アーム14は、ベースプレート13の一辺からアーム14の両側面に接するようにして延びる二枚の支持プレート24と、ベースプレート13の他辺(ボルト23を挟んで一辺と反対の側に位置する辺)中央部からアーム14の長手方向において中央部に位置する表面14aに接するようにして延びる一本の支持棒25とを介して、ベースプレート13に固定されている。
【0019】
クランプ15は、第1の半円環状部31と、第2の半円環状部32と、ヒンジ(図示せず)と、係止具33とを備えている。
第1の半円環状部31は、第2の半円環状部32とともに直管11の他端部を挟み込んで直管11を支持するものであり、アーム14の一端部(先端部)表面14aに、その底部が接するようにして溶接接合されている。
【0020】
第2の半円環状部32は、第1の半円環状部31とともに直管11の他端部を挟み込んで直管11を支持するものであり、ヒンジを介して第1の半円環状部31に連結されている。
また、第1の半円環状部31の一端部と第2の半円環状部32の一端部とは、このヒンジを介して連結されており、第2の半円環状部32がヒンジまわりに回動することにより、第1の半円環状部31の他端部と第2の半円環状部32の他端部との間の隙間が拡がったり狭まったりする。
【0021】
係止具33は、ねじ軸34と、ナット35とを備えている。ねじ軸34は、第1の半円環状部31の他端部に、その一端部(基端部)が固定されている。また、ねじ軸34は、回転板22およびボルト23の回転軸線Cと平行になる軸線まわりに回動する。ナット35は、ねじ軸34の外周面に設けられた雄ねじ部(図示せず)と螺合する雌ねじ部(図示せず)がその内周面に設けられている。また、第2の半円環状部32の他端部には、ねじ軸34の他端部(先端部)を受け入れる凹所36が、板厚方向に貫通するようにして設けられている。凹所36内にねじ軸34の先端部が収容された状態で、ねじ軸34の雄ねじ部にナット35の雌ねじ部を螺合させ、ナット35を締め込んでいくことにより、直管11の他端部が第1の半円環状部31と第2の半円環状部32との間に挟み込まれて、直管11の他端部が支持されるようになっている。
【0022】
なお、ベースプレート13、アーム14、およびクランプ15は、クランプ15に支持された直管11の長手方向軸線と、回転板22およびボルト23の回転軸線Cとが一致するように、すなわち、回転板22およびボルト23の回転軸線Cの上に、クランプ15に支持された直管11の長手方向軸線が位置するように形成され、かつ、配置されている。
そして、ポジショナ21の本体26内に収容されたモータ(図示せず)により回転駆動される回転軸27の先端部に固定された回転板22が回転すると、溶接用治具10、および端面同士が仮付け溶接された直管11と直管12、または直管11とL字管52とが、回転軸27および回転板22の回転軸線Cまわりに回転することになる。
【0023】
また、図1および図2中の符号41は、本溶接された後の溶接ビード(溶接部)を、符号42は、その上面にポジショナ21の本体26が固定された台車の天板(上板)を、符号43は、ワッシャーを示している。
【0024】
本実施形態に係る溶接用治具10によれば、直管11の端面と、直管12の端面との間に形成された突き合わせ部、または直管11の端面と、L字管52の端面との間に形成された突き合わせ部が、当該溶接用治具10の回転軸線Cまわりに回転することになる。
これにより、従来のように溶接棒を突き合わせ部に沿って周方向に移動させなくても、溶接棒を溶接作業のやり易い一点に保持しておくだけで、容易、かつ、迅速に溶接作業を行うことができて、作業能率を向上させることができる。
また、高価な自動溶接装置を使わなくても同じ溶接作業を容易、かつ、迅速に手作業で行うことができるので、設備費を大幅に削減することができる。
さらに、当該溶接用治具10は自動溶接装置に比べて非常に小さいものであるので、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る溶接用治具について、図3および図4を参照しながら説明する。
図3は本実施形態に係る溶接用治具の側面図、図4は本実施形態に係る溶接用治具の斜視図である。
【0026】
図3および図4に示すように、本実施形態に係る溶接用治具50は、例えば、第1のL字管(第1の管材)51と第2のL字管(第2の管材)52、またはL字管(第1の管材)51と直管(第2の管材)12(図1および図2参照)とを溶接接合する際に用いられるものであって、ベースプレート53と、アーム54と、ジョイント55と、クランプ70とを備えている。
なお、L字管51とL字管52、またはL字管51と直管12とは、L字管51の他端部をクランプ70に固定する前に、一端部の側に位置する端面同士が予め仮付け溶接されている。
【0027】
ベースプレート53は、正面視矩形状を呈する板状の部材であり、その縦方向および横方向における中央部には、ポジショナ21の回転板22の回転中心に設けられた丸穴(図示せず)と同じ内径を有する貫通穴が、板厚方向に貫通するようにして設けられている。また、丸穴の内周面には、ベースプレートを固定するボルト23の軸部外周面に設けられた雄ねじ部(図示せず)と螺合する雌ねじ部(図示せず)が設けられており、貫通穴に挿通されたボルト23の雄ねじ部を、丸穴の雌ねじ部と螺合させ、ボルト23を締め込んでいくことにより、ベースプレート53が回転板22に固定され、ベースプレート53が回転板22とともに回転するようになっている。
【0028】
アーム54は、回転板22およびボルト23の回転軸線Cと平行になるとともに、ベースプレート53の一辺中央部から回転板22と反対の側に延びるようにしてベースプレート53の一辺中央部に立設された四角柱形状を呈する板状の部材である。ベースプレート53の回転板22と接する面の一端から支持プレート64が、回転中心を挟んだ反対側の一端から支持棒25が、それぞれアーム54を支えている。アーム54は、ベースプレート53の一辺からアーム54の両側面に接するようにして延びる二枚の支持プレート64と、ベースプレート53の他辺(ボルト23を挟んで一辺と反対の側に位置する辺)中央部からアーム54の長手方向において中央部に位置する表面54aに接するようにして延びる一本の支持棒65とを介して、ベースプレート53に固定されている。アーム54の一端部(先端部)には、板厚方向に貫通する貫通穴(図示せず)が、アーム54の長手方向にならぶとともに、アーム54の長手方向軸線と直交するようにして二つ設けられている。
【0029】
ジョイント55は、(第1の)支柱56と、(第2の)支柱57と、バランスプレート58とを備えている。
支柱56は、後述するボルト59,60およびナット61,62を介して、一端部(基端部)がアーム54の一端部に固定された際に、表面56aがアーム54の裏面54bに接し、回転板22およびボルト23の回転軸線Cと平行になるとともに、アーム54の一端部から回転板22と反対の側に延びる、四角柱形状を呈する板状の部材である。また、支柱56の一端部には、板厚方向に貫通するとともに、アーム54に設けられた貫通穴と合致する(連通する)貫通穴(図示せず)が、支柱56の長手方向にならぶとともに、支柱56の長手方向軸線と直交するようにして二つ設けられている。そして、回転板22の側に位置するアーム54の貫通穴および支柱56の貫通穴には、ボルト59の軸部が挿通され、回転板22と反対の側に位置するアーム54の貫通穴および支柱56の貫通穴には、ボルト60の軸部が挿通されて、ボルト59の雄ねじ部(図示せず)にナット61の雌ねじ部(図示せず)を螺合させ、ナット61を締め込んでいくとともに、ボルト60の雄ねじ部(図示せず)にナット62の雌ねじ部(図示せず)を螺合させ、ナット62を締め込んでいくことにより、支柱56がアーム54に対して固定される。
【0030】
支柱57は、回転板22およびボルト23の回転軸線Cと直交するようにして延びる、四角柱形状を呈する板状の部材であり、支柱56の先端面56bに、回転板22と対向する表面57aが接するようにして溶接接合されている。
バランスプレート58は、正面視矩形状を呈する板状の部材であり、その縦方向および横方向における中央部には、支柱57の一端面(支柱56と結合されている側の端面)57bが接するようにして、支柱57が溶接接合されている。
【0031】
クランプ70は、第1の半円環状部71と、第2の半円環状部72と、ヒンジ(図示せず)と、係止具73とを備えている。
第1の半円環状部71は、第2の半円環状部72とともにL字管51の他端部を挟み込んでL字管51を支持するものであり、支柱57の他端部(先端部)に、その底部が接するようにして溶接接合されている。
【0032】
第2の半円環状部72は、第1の半円環状部71とともにL字管51の他端部を挟み込んでL字管51を支持するものであり、ヒンジを介して第1の半円環状部71に連結されている。
また、第1の半円環状部71の一端部と第2の半円環状部72の一端部とは、このヒンジを介して連結されており、第2の半円環状部72がヒンジまわりに回動することにより、第1の半円環状部71の他端部と第2の半円環状部72の他端部との間の隙間が拡がったり狭まったりする。
【0033】
係止具73は、ねじ軸74と、ナット75とを備えている。ねじ軸74は、第1の半円環状部71の他端部に、その一端部(基端部)が固定されている。また、ねじ軸74は、回転板22およびボルト23の回転軸線Cと平行になる軸線まわりに回動する。ナット75は、ねじ軸74の外周面に設けられた雄ねじ部(図示せず)と螺合する雌ねじ部(図示せず)がその内周面に設けられている。また、第2の半円環状部72の他端部には、ねじ軸74の他端部(先端部)を受け入れる凹所76が、板厚方向に貫通するようにして設けられている。凹所76内にねじ軸74の先端部が収容された状態で、ねじ軸74の雄ねじ部にナット75の雌ねじ部を螺合させ、ナット75を締め込んでいくことにより、L字管51の他端部が第1の半円環状部71と第2の半円環状部72との間に挟み込まれて、L字管51の他端部が支持されるようになっている。
【0034】
なお、ベースプレート53、アーム54、ジョイント55、およびクランプ70は、クランプ70に支持されたL字管51の一端部における長手方向軸線と、回転板22およびボルト23の回転軸線Cとが一致するように、すなわち、回転板22およびボルト23の回転軸線Cの上に、クランプ70に支持されたL字管51の一端部における長手方向軸線が位置するように形成され、かつ、配置されている。
そして、ポジショナ21の本体26内に収容されたモータ(図示せず)により回転駆動される回転軸27の先端部に固定された回転板22が回転すると、溶接用治具50、および端面同士が仮付け溶接されたL字管51とL字管52、またはL字管51と直管12とが、回転軸27および回転板22の回転軸線Cまわりに回転することになる。
【0035】
また、図3および図4中の符号41は、本溶接された後の溶接ビード(溶接部)を、符号42は、その上面にポジショナ21の本体26が固定された台車の天板(上板)を、符号43は、ワッシャーを示している。
【0036】
本実施形態に係る溶接用治具50によれば、L字管51の端面と、L字管52の端面との間に形成された突き合わせ部、またはL字管51の端面と、直管12の端面との間に形成された突き合わせ部が、当該溶接用治具50の回転軸線Cまわりに回転することになる。
これにより、従来のように溶接棒を突き合わせ部に沿って周方向に移動させなくても、溶接棒を溶接作業のやり易い一点に保持しておくだけで、容易、かつ、迅速に溶接作業を行うことができて、作業能率を向上させることができる。
また、高価な自動溶接装置を使わなくても同じ溶接作業を容易、かつ、迅速に手作業で行うことができるので、設備費を大幅に削減することができる。
さらに、当該溶接用治具50は自動溶接装置に比べて非常に小さいものであるので、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる。
【0037】
また、上述した実施形態に係る溶接用治具10または溶接治具50と、ポジショナ21とを具備した溶接作業支援装置によれば、直管11の端面と、直管12の端面との間に形成された突き合わせ部、または直管11の端面と、L字管52の端面との間に形成された突き合わせ部、もしくはL字管51の端面と、L字管52の端面との間に形成された突き合わせ部、またはL字管51の端面と、直管12の端面との間に形成された突き合わせ部が、ポジショナ21を構成する回転板22の回転軸線Cまわりに自動で回転することになる。
これにより、従来のように溶接棒を突き合わせ部に沿って周方向に移動させなくても、溶接棒を溶接作業のやり易い一点に保持しておくだけで、容易、かつ、迅速に溶接作業を行うことができて、作業能率を向上させることができる。
また、高価な自動溶接装置を使わなくても同じ溶接作業を容易、かつ、迅速に手作業で行うことができるので、設備費を大幅に削減することができる。
さらに、当該溶接作業支援装置は自動溶接装置に比べて非常に小さいものであるので、作業スペースの限られた工場等でも採用することができる。
【0038】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態に係る溶接用治具について、図5を参照しながら説明する。図5は本実施形態に係る溶接用治具の側面図である。
図5に示すように、第1実施形態のもっぱら直管の溶接に用いられる溶接用治具10の機能と第2実施形態のもっぱらL字管に用いられる溶接用治具50の機能をひとつの溶接用治具80に実装してもよい。アーム14の第2の半円環状部32の両側に、ボルト59,60およびナット61,62を用いて、支柱56を固定する。このように構成することで、アーム14の先端部にジョイント55を固定することができる。一つの溶接用治具80で直管とL字管の両方の管材の溶接を容易に行うことができる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形・変更実施可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 溶接用治具
11 直管(第1の管材)
12 直管(第2の管材)
13 ベースプレート
14 アーム
15 クランプ
21 ポジショナ
22 回転板
50 溶接用治具
51 L字管(第1の管材)
52 L字管(第2の管材)
53 ベースプレート
54 アーム
55 ジョイント
70 クランプ
80 溶接用治具
C 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面とを、周方向に沿って本溶接する際に用いられる溶接用治具であって、
ポジショナを構成する回転板に固定されて、前記回転板の回転軸線まわりに前記回転板とともに回転するベースプレートと、
前記ベースプレートから、前記回転軸線と平行になるとともに、前記回転板と反対の側に延びるアームと、
前記アームの先端部に固定されて、前記第1の管材の他端部を支持するクランプと、を備えているとともに、
前記クランプに支持された前記第1の管材の長手方向軸線と、前記回転軸線とが一致するように構成されていることを特徴とする溶接用治具。
【請求項2】
第1の管材の一端面と、第2の管材の一端面とを、周方向に沿って本溶接する際に用いられる溶接用治具であって、
ポジショナを構成する回転板に固定されて、前記回転板の回転軸線まわりに前記回転板とともに回転するベースプレートと、
前記ベースプレートから、前記回転軸線と平行になるとともに、前記回転板と反対の側に延びるアームと、
前記アームの先端部に固定されて、前記回転軸線と直交するとともに、前記回転軸線と交差するようにして延びるジョイントと、
前記ジョイントの先端部に固定されて、前記第1の管材の他端部を支持するクランプと、を備えているとともに、
前記クランプに支持された前記第1の管材の一端部における長手方向軸線と、前記回転軸線とが一致するように構成されていることを特徴とする溶接用治具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の溶接用治具およびポジショナを具備していることを特徴とする溶接作業支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−179623(P2012−179623A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43301(P2011−43301)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】