説明

溶接装置のための接触取り付け器具

溶接装置のための接触取り付け器具(1)について説明する。該接触取り付け器具(1)は、長軸(6)、ハウジング(7)、第一接触デバイス(32)、第二接触デバイス(33)および第一接触デバイス(32)と第二接触デバイス(33)の間に配置され、第一接触デバイス(32)および第二接触デバイス(33)の両方に関連して可動な第三接触デバイス(25)を有する。該第一接触デバイス(32)は、細長い形状を有し、ハウジング(7)内に固定されて配置され、ハウジング(7)の第一端部(8)とハウジング(7)の第二端部(9)との間に配置された第一端部(24)から第二端部(13)へと伸びている。該第二接触デバイス(33)は、細長い形状を有し、ハウジング(7)にバネで留められて吊るされ、ハウジング(7)の第一端部(8)とハウジング(7)の第二端部(9)の間に配置された第一端部(17)から第二端部(18)へと伸びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置のための接触取り付け器具(contact fitting)およびそのような接触取り付け器具を備えた溶接装置に関する。さらに具体的には、本発明は接触取り付け器具および二本の溶接ワイヤーのための溶接装置に関する。特に、本発明は、粉末溶接法において使用するための接触取り付け器具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、溶接および、主としてしばしばPWと称される粉末溶接法(powder welding)のための接触取り付け器具に関する。PWの間には、少なくとも一本の溶接ワイヤーが、接触取り付け器具を通って溶接点に向かって送り込まれる。一般的な接触取り付け器具には、溶接点に向かって正方向に送られる二本の溶接ワイヤーを用いることが有利であるということが分かっている。本方法によれば、溶接接合部に更なる材料が供給され、接合部におけるフルネス係数を増大させる。フルネス係数は、通常、いわゆる溶着速度をもって測定される。
【0003】
粉末溶接法は、溶接に関連したよく知られた技術である。粉末溶接法のための既知の接触取り付け器具においては、二本のワイヤーが平行に正方向に送られ、該溶接ワイヤーは共通の第一接触子を通過し、共通の第二接触子によって押圧される。前述の解決策に対する問題点は、例えば、製造のばらつきやツルーイングデバイスにおける平坦化や給送機構が原因で、溶接ワイヤー間でいくらか直径が異なる場合、両方の接触子が溶接ワイヤーを均一に押圧しないことにより、溶接ワイヤーへの電流遷移に悪影響を与えることである。同様の現象は、接触子を外側へ押圧する溶接ワイヤーの屈曲によっても起こり得、又は接触子がワイヤーと共に接触表面において不均一に装着されている場合にも起こり得る。さらに前述の解決策に対する他の問題点は、両方の溶接ワイヤーが接触デバイスに導入されている状態で、接触子が溶接配置においてその場で(on place)組み立てられなければならないことである。組み立ては難しい精密段階であり、接触子の先端における溶接ワイヤーへの良好な電流遷移を保証するためには、接触子の弾性が正しくなるように確実に作成されなければならない。
【0004】
英国特許GB1451495において、二本のワイヤーが接触取り付け器具から平行に出力(output)される溶接ユニットが提示されている。ワイヤーのうちの一本は、固定された接触子および可動中間接触子と接触している。もう一方のワイヤーは、可動中間接触子およびバネで留められた接触子と接触している。バネで留められた接触子は、可動中間接触子に対して該もう一方のワイヤーを押圧し、その結果、順に、可動中間接触子は第一ワイヤーおよび第一接触子に対して押圧される。可動中間接触子は、可動なように吊るされ、軸の周りを回転できる。バネで留められた接触子は、基本的にワイヤーに対して垂直に移動可能なように配置され、そこではバネで留められた接触子にバネ力を発揮させるために、バネが該もう一方のワイヤーの反対側の接触子の側面に配置されている。
【0005】
前記英国特許による接触取り付け器具の問題点は、接触取り付け器具はワイヤーによって画定される平面において比較的幅広であるということである。多くの場合、ワイヤーによって画定される平面には二つ以上の接触取り付け器具を隣同士に配置することが望ましく、その場合すべてのワイヤーが溶接点においてお互いに近接して配置され得ることも望ましい。しかしながら、該英国特許による接触取り付け器具においては、ワイヤーをお互いに近接して配置することは難しい。該英国特許による接触取り付け器具における他の問題点は、バネで留められた接触子または可動中間接触子を通して行われるべきである十分な大電流を第二ワイヤーへ伝送することが、難しいことである。該英国特許による接触取り付け器具における更なる問題点は、接触デバイスの端部から比較的遠い距離において、バネで留められた接触子がワイヤーを押圧することである。その結果、溶接ワイヤーがバネで留められた接触子から溶接点までの途中で曲がることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許GB1451495
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、二本の溶接ワイヤー用に設計された溶接装置のための接触デバイス、およびそのような接触取り付け器具を備えた溶接装置を提供することであり、その接触取り付け器具は、ワイヤーの不ぞろいさとは無関係に、両方の溶接ワイヤーに均等な圧力をかけるものである。
【0008】
本発明の更なる目的は、少なくとも二本の溶接ワイヤー用に設計された溶接装置のための接触取り付け器具、およびそのような接触デバイスを備えた溶接装置を提供することであり、その接触取り付け器具は、ワイヤーによって画定される平面において狭く、および/またはワイヤーによって画定される平面に対して垂直に狭いものである。
【0009】
本発明の他の目的は、二本の溶接ワイヤー用に設計された溶接装置のための接触取り付け器具、およびそのような接触取り付け器具を備えた溶接装置を提供することであり、その接触取り付け器具は、両方の溶接ワイヤーに均等な圧力をかけるものである。
【0010】
本発明の他の目的は、二本の溶接ワイヤー用に設計された溶接装置のための接触取り付け器具、およびそのような接触取り付け器具を備えた溶接装置を提供することであり、その接触取り付け器具は、接触取り付け器具の端部と関連する安定な位置に溶接ワイヤーのための電気的接触点を提供するものである。
【0011】
本発明の更なる目的は、二本の溶接ワイヤー用に設計された溶接装置のための接触取り付け器具、およびそのような接触取り付け器具を備えた溶接装置を提供することであり、その接触取り付け器具は、接触取り付け器具の端部の近くに溶接ワイヤーのための電気的接触点を提供するものである。
【0012】
少なくとも、これらの目的の一つは、添付の独立請求項に係る接触取り付け器具および溶接装置により提供される。
【0013】
本発明の更なる利点は、従属項の特徴によって達成される。
【0014】
電流を少なくとも第一溶接ワイヤーおよび第二溶接ワイヤーに送るため、および溶接装置のために設計された本発明による接触取り付け器具は、第一端部および第二端部と共に長軸およびハウジングを有する。ハウジングは、溶接ワイヤーがハウジングの第一端部からハウジングの第二端部へと長軸に対して平行に走るように配置されている。接触取り付け器具は、第一溶接ワイヤーのみに接触するように配置されている第一接触デバイス、第二溶接ワイヤーのみに接触するように配置されている第二接触デバイス、および第一接触デバイスと第二接触デバイスの間に配置され、第一接触デバイスと第二接触デバイスに関連して可動であり、第一溶接ワイヤーと第二溶接ワイヤーの両方に接触するように配置されている第三接触デバイスを更に含む。接触デバイスは、第一接触デバイスが細長い形状を有しており、ハウジングに固定されるように配置されており、ハウジングの第一端部とハウジングの第二端部の間に配置された第一端部から基本的に長軸に平行に第二端部へと伸びていること、および、第二接触デバイスが細長い形状を有しており、ハウジングにバネで留められており、ハウジングの第一端部とハウジングの第二端部の間に配置された第一端部から基本的に第一接触デバイスと平行に第二端部へと伸びていることを特徴とする。
【0015】
第一接触デバイスは、取り外し可能なようにハウジングに取り付けられた別の部分を有していてもよく、またはハウジングと一体化されていて、それ故にハウジングから取り外せないように固定された部分を有していてもよい。
【0016】
接触デバイスはその一端をハウジングに吊るされており、接触デバイスは原則としてハウジング外を自由に移行する。これにより、溶接ワイヤーにかかる圧力に対してのみ寸法決定される接触デバイスが得られる。それ故に本発明の接触取り付け器具によって、接触デバイスは溶接ワイヤーが接触取り付け器具から去る場所において狭く作られることがある。これにより、溶接ワイヤーが不ぞろいであることや曲がっていることとは無関係に、両方の溶接ワイヤーに均一な圧力がかけられる時に、いくつかの接触装置が同時に溶接領域においてお互いに近接して配置されることがある。本発明の接触装置によれば、直径の異なる多数の溶接ワイヤーのうち、どれをも使用することができる。
【0017】
第一接触デバイスは、ハウジングに取り付けられた第一アームおよび第一溶接ワイヤーに接触するようにアーム上に配置された第一接触子により構成され得る。アームと接触子に分けられる第一接触デバイスによって、接触子が電流の伝送の観点から最適化されることがある一方、アームの性質は強度の観点から最適化されることがある。更に、溶接の際に磨り減るのは第一接触子であって、第一アームではない。よって、第一アームが長期間に亘って使用される場合、第一接触子は必要時に交換され得る。
【0018】
第一接触子は、ハウジングから近いアーム上の第一点から、ハウジングから遠く離れた第二点へと伸びていてもよい。第一接触子は溶接ワイヤーがそれと接触する場所においてのみ存在すればよく、それは長軸の方向にハウジングを超えている場合だけである。
【0019】
第一接触子は、第一接触デバイスの第二端部へ伸びていてもよく、すなわち、第一接触子は第一接触デバイスの最外部の点を構成する。第一接触デバイスがその第二端部において可能な限り狭い場合、つまりその端部が接触子のみで構成されている場合は、有利である。
【0020】
第一アームは、第一接触子と共に、あるいは単独で、第一接触デバイスの第二端部へと伸びていてよい。アームは、第一接触子を支持するが、ある場合には第一接触デバイスの第二端部までずっと第一接触子を支持することが有利である。
【0021】
第一アームの断面積は、ハウジングから第一接触デバイスの第二端部の方向へ向かって減少してもよい。第一アームは、第一接触子を機械的に支持するという目的を有する。これは、第一アームの横断面を減少させることで、それが接触デバイスの第二端部においてさらに小さくなり得ることによっても達成され得る。これにより、幾つかの接触取り付け器具がお互いに近くに配置され得る。
【0022】
第一アームの断面積は、とりわけ、ワイヤーによって画定される平面において減少する寸法で、あるいはワイヤーによって画定される平面に対して垂直に、減少してもよい。
【0023】
第二接触デバイスは、ハウジングに取り付けられた第二アームおよび第二溶接ワイヤーに接触するようにアームに配置された接触子により構成され得る。アームと接触子に分けられる第二接触デバイスによって、接触子が電流遷移の観点から最適化されることがある一方、アームの性質は強度の観点から最適化されることがある。更に、溶接の際に磨り減るのは第二接触子であって、第二アームではない。よって、第二アームが長期間に亘って使用される場合、第二接触子は必要時に交換されてもよい。
【0024】
第二接触子は、ハウジングから隔てられたアーム上の第一点から、ハウジングから遠く離れた第二点へと伸びている。よって第二接触子は、溶接ワイヤーがそれと接触する場所においてのみ存在すればよく、それは長軸の方向にハウジングを超えている場合だけである。
【0025】
第二接触子は、第二接触デバイスの第二端部へと伸びていてよく、すなわち、第二接触子は第二接触デバイスの最外部の点を構成する。第二接触デバイスがその第二端部において可能な限り狭い場合、つまりその端部が接触子のみで構成されている場合は、有利である。
【0026】
第二アームは、第一接触子と共に、あるいは単独で、第二接触デバイスの第二端部へと伸びていてよい。第二アームは、第二接触子を支持するが、ある場合には第二接触デバイスの第二端部までずっと第二接触子を支持することが有利である。
【0027】
第二アームの断面積は、ハウジングから第二接触デバイスの第二端部の方向へ向かって減少してもよい。第二アームは、第二接触子を機械的に支持するという目的を有する。これは、第二アームの横断面を減少させることで、それが接触デバイスの第二端部においてさらに狭くなり得ることによっても達成され得る。これは、幾つかの接触取り付け器具がお互いに近くに配置されることを可能とする。
【0028】
第二アームの断面積は、とりわけ、ワイヤーによって画定される平面において減少する寸法で、あるいはワイヤーによって画定される平面に対して垂直に、減少してもよい。
【0029】
第三接触デバイスは、第一接触デバイスおよび第二接触デバイスに関連して回転可能かつ可動に配置され得る。そのような第三接触デバイスの配置は、第三接触デバイスと溶接ワイヤーとの間の良好な接触が維持されるという結果をもたらす。
【0030】
上記の回転性および可動性を提供するために、第三接触デバイスは、第一接触デバイスに固定されて配置された誘導手段を含み、その誘導手段は第三接触デバイスを通って伸び、第三接触デバイスの両側に突き出しており、その誘導手段を受け入れるために第一接触デバイスと第二接触デバイスに穴が開いている。
【0031】
第三接触デバイスの誘導手段は、ハウジングから隔てられた第三接触デバイスに固定されて配置された少なくとも一つのピンによって構成されることができ、そのピンを受け入れるために第一接触デバイスと第二接触デバイスには穴が開いている。この方法で第三接触デバイスを吊り下げて配置すると、溶接ワイヤーを曲げたりその厚さを変えたりすることができるようになる。従って、第三接触デバイスと溶接ワイヤーの間の良好な接触が保証される。
【0032】
誘導手段は、少なくとも二つのピンから構成され得る。二つのピンによって構成される誘導手段は、そのピンが環状の場合に、第三接触デバイスのよりよい安定性がもたらされる。
【0033】
誘導手段が二つのピンを含む場合、ピンはハウジングから異なる距離で第三接触デバイスに固定されて配置され得る。あるいは、それらはハウジングから同じ距離に配置され得る。
【0034】
あるいは、誘導手段は平板から構成され得る。そのような誘導手段は、二つのピンよりも供給が容易であり、同時に第三接触デバイスに安定性をもたらし得る。
【0035】
接触デバイスがアームと接触子に分かれている場合、第一接触デバイスと第二接触デバイスの穴は、第一接触子、第二接触子、ハウジングと第一接触子の間、ハウジングと第二接触子の間にそれぞれ配置され得る。これにより、第三接触デバイスが安定に取り付けられる。
【0036】
ハウジングは、その第二端部から隔てられた所にヒールを含むことがあり、ヒールは、第二接触デバイスがその第一端部において接触するように配置されており、その周りで、長軸と第一接触デバイスによって画定される平面において第二接触デバイスは回転可能となっている。そのようなヒールによって、ハウジングと第二接触デバイスの間の良好な電流の伝送が保証され、同時に第三接触デバイスがハウジングに関連して回転可能となる。
【0037】
第二接触デバイスは、貫通穴を有し、そこにはねじ頭付きのねじが配置され、そのねじはハウジングに留められ、第二接触デバイスにバネを利用して力を加えるために、バネ手段がねじ頭と第二接触デバイスの間に配置されている。
【0038】
バネ手段は少なくとも一つのカップバネ(cup spring)を含みうる。カップバネは、丈夫で、ほとんど場所を取らないので、本用途には有利である。バネ手段の他の実装の例としては、少なくとも、つる巻きバネ、板バネ、またはゴムバネを含む。
【0039】
それ自体でいくらかの弾力性が得られるようにするために、アームを配置することも可能である。このことは、アームの大きさや材質を適切に選択することによっても達成され得る。
【0040】
本発明の第二の態様によれば、溶接装置は、請求項の何れかによる接触取り付け器具を含んで提供される。そのような溶接装置は、本発明による接触装置と同様の利点を提供する。
【0041】
以下に本発明の好ましい実施形態を添付の図を参考にして説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態による接触取り付け器具を示す。
【図2】図1の接触取り付け器具の分解図である。
【図3】図1および図2の接触取り付け器具を含む溶接装置を示す。
【図4】本発明の別の実施形態による平板の形をした誘導手段と共に第三接触取り付け器具を概略的に示す。
【図5】本発明の別の実施形態による接触取り付け器具の端部を概略的に示す。
【図6】本発明の別の実施形態による接触取り付け器具の端部を概略的に示す。
【図7】図6の視野に対して垂直な視野で図6の接触装置の一部分を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の好ましい実施例の下記の説明において、異なる図における類似の部分は同じ参照番号によって表示される。
【0044】
図1は本発明の実施形態による接触取り付け器具1を示し、一方、図2は図1の接触取り付け器具の分解図である。図1に示されるように、第一誘導管2および第二誘導管3は接触装置1に接続され、第一溶接ワイヤー4および第二溶接ワイヤー5を接触装置1に導くように配置されている。
【0045】
接触装置1は、長軸6、第一端部8および第二端部9を有するハウジング7、ハウジング7を通り、ハウジング7の第一端部8からハウジング7の第二端部9へと長軸に平行に出力されるように配置された溶接ワイヤー4および5を有する。接触取り付け器具1は、第一アーム10および第一接触子11により構成される第一接触デバイス32をも有する。第一アーム10は、細長い形状を有し、ハウジング7の第一側面12上でハウジング7に固定されて配置され、ハウジング7の第一端部8とハウジングの第二端部9の間に配置された第一端部24から基本的に長軸に平行にハウジング7から隔たった第二端部13へと伸びている。第一接触子11は、第一溶接ワイヤー4と接触するために、ハウジング7の第一側面12から離れる方へ向かう第一アームの側面に配置され、基本的にハウジング7から第一接触デバイスの端部13へと伸びている。第一アーム10は、アームねじ手段19によってハウジング7に取り付けられ、第一接触子11は、第一接触子ねじ(shoescrews)セット手段20によって第一アーム10に取り付けられている。
【0046】
接触装置1は、第二アーム14および第二接触子15を含む第二接触デバイス33を更に有する。第二アーム14は、細長い形状を有し、ハウジング7の第二側面16上にハウジング7にバネで留められて吊り下げられており、ハウジング7の第一端部8およびハウジングの第二端部9の間に配置されている第一端部17から、基本的に長軸に平行に、ハウジング7から隔たった位置に配置されている第二端部18へと伸びている。第二接触子15は、第二溶接ワイヤー5に接触するために、および基本的にハウジング7から第二接触デバイスの第二端部18へと伸びるようにするために、第一アームに向かう第二アームの側面に配置されている。第二接触子15は、第二接触子ねじセット手段29によって第二アーム14に取り付けられている。ハウジング7の第二側面16において、ハウジングの第二端部9から隔たった所で、ヒール31が配置されており、それに対して第二アーム14の第一端部17がある。第二アーム14は、貫通した穴を有しており、そこにはねじ頭22付きのスプリングねじ21が配置され、ハウジング7にねじ留めされている。ねじ頭22それぞれと第二アーム14の間に、第一アーム10および第一接触子11の方向に向かって、第二アーム14および第二接触子15に力を働かせるカップバネ形状のばね手段23が配置されている。
【0047】
第一アーム10および第二アーム14の両方は、ハウジング7からアーム10および14の第二端部13および18方向に向かってその面積が減少するような横断面を有している。減少する断面積に起因して、アーム10および14は、アーム10および14の強度を危険にさらすことなしにそれらの第二端部13および18において小さい横断面を有するであろう。アーム10および14それぞれとその対応する接触子11および15の間の接触面は、基本的に平面である。
【0048】
第一接触子11と第二接触子15の間に、第三接触子の形式で第三接触デバイス25が配置されている。誘導ピン26の形式である誘導手段は、第三接触デバイス25に固定されて配置されており、第三接触デバイス25の両側面を通って突き出ている。第一接触子11および第二接触子15においては、誘導ピン26が配置されるのに対応する穴27が開いている。第三接触デバイス25への電流の伝送は、ハウジング7から第三接触デバイス25へ直接、または第一接触子11経由で、または第二接触子15経由で、および/または誘導ピン26経由で起こり得る。
【0049】
ハウジング7の第一側面12において、接触装置1の第一側面12を介した望まれない放電を防ぐために、第一分離スリーブ30が配置されている。これに対応して、接触取り付け器具1の第二側面16を介した望まれない放電を防ぐために、ハウジング7の第二側面16に第二分離スリーブ34が配置されている。接触取り付け器具1を溶接装置28に固定する手段を提供するために、第一クランプ35および第二クランプ36は、ハウジングの第一端部8に配置されている(図3)。
【0050】
操作中に、第一溶接ワイヤー4および第二溶接ワイヤー5が第一誘導管2および第二誘導管3を通って接触子11および15へと送り込まれることにより、第一溶接ワイヤー4は第一接触子11と第三接触子25の間を正方向に送られ、第二溶接ワイヤー5は第二接触子15と第三接触子25の間を正方向に送られる。第二接触子15は、第二溶接ワイヤー5を押圧し、第二溶接ワイヤー5は順に第三接触子25を押圧し、第三接触子25は順に第一溶接ワイヤー4を押圧する。接触子11、15および25は、ワイヤーの直径や屈曲に関係なく、溶接ワイヤー4および5に押し付けられる。
【0051】
図3において、本発明による接触取り付け器具1を含む粉末溶接法のための溶接装置28が概略的に示されている。溶接装置は、溶接ワイヤー30を接触装置1へと送るように配置されている給送装置を含み、接触装置1と溶接表面32の間に電圧を加えるための電源に接続されている。
【0052】
図4aは、本発明の他の実施形態による平板37の形式の誘導手段を伴った第三接触デバイス25を概略的に示している。図4bにおいては、第一の視野に対して垂直な視野において、第三接触デバイス25が平板37と共に示されている。
【0053】
図5aは、本発明の他の実施形態による接触取り付け器具1の端部を概略的に示している。図5bは、図5aの視野に対して下方から垂直な視野における図5aと同じ接触装置を示している。第一接触デバイス32は、図5aの視野において見られるように、L字型を有している。図5bの視野においては、開口部39を分離するブリッジ38が示されており、開口部39には第一溶接ワイヤー4が通るように配置されており、同様に開先40には第二溶接ワイヤー5が通るように配置されている。第三接触デバイス25は、第三接触デバイス25の落下を防ぐブリッジ38の上に載っている。従って、第三接触デバイス25は、なんらの誘導手段をも必要としない。第二接触デバイス33は、開先40を通るように配置されている。第一接触デバイス32および第二接触デバイス33のうちの一つは、バネで留められて配置され得る。図5の接触装置の機能は、上記で説明されたものと同様である。
【0054】
図6は、本発明の他の実施形態による接触装置の端部を概略的に示している。図6の接触装置と図1および図2における接触装置との違いのみを説明する。第三接触デバイス25は、ハウジング7中の曲がった開先43を通り、回転軸41の周りを回転可能なように配置された、誘導ピン42の形式の誘導手段を含む。
【0055】
図7は、図6の接触取り付け器具の一部を、図6の視野に対して垂直な視野において示しており、そこでは誘導ピン42がT字型をしていることが示されている。
【0056】
ここに記載されている実施形態は、添付の請求項によってのみ限定される本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で幾通りにも変化させることができる。
【0057】
もちろん上の記載とは異なる方法で、第三接触子を可動なように配置することもできる。例えば、第三接触子はハウジング1における取り付け点の周りを回転することも出来る。
【0058】
共通の第三接触子25を押圧できるように、第一接触子11および第二接触子15の両方をバネで留めることもできる。
【0059】
本発明による接触装置は、粉末溶接法(PW)以外の溶接形式にも使用できる。
【0060】
上述の第三接触子のためのT字型の開先は、他の方法として誘導ピンが開先を離れないようにするための他の形をとることもできる。上述の観点においては、当業者にとって誘導ピンを異なるように設計することは容易であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一溶接ワイヤー(4)および第二溶接ワイヤー(5)のうちの一本に電流を送るため、および溶接装置(28)のために配置された接触取り付け器具(1)であって、該接触取り付け器具(1)は、長軸(6)と、第一端部(8)および第二端部(9)を伴い、ハウジング(7)の第一端部(8)からハウジング(7)の第二端部(9)へと長軸(6)に平行に走るように溶接ワイヤー(4、5)が配置されたハウジング(7)と、
該第一溶接ワイヤー(4)のみに接触するように配置された第一接触デバイス(32)と、
該第二溶接ワイヤー(5)のみに接触するように配置された第二接触デバイス(33)と、
該第一接触デバイス(32)と該第二接触デバイス(33)の間に配置され、該第一接触デバイス(32)と該第二接触デバイス(33)の両方に関連して可動であり、該第一溶接ワイヤー(4)と該第二溶接ワイヤー(5)の両方に接触するように配置された第三接触デバイス(25)を有し、
該第一接触デバイス(32)は細長い形状を有し、該ハウジング(7)に固定されて配置され、該ハウジング(7)の第一端部(8)とハウジング(7)の第二端部(9)にある第一端部(24)から基本的に長軸(6)に平行に第二端部(13)へと伸びており、
該第二接触デバイス(33)は細長い形状を有し、
該ハウジング(7)にバネで留められて吊るされており、
該ハウジング(7)の第一端部(8)とハウジング(7)の第二端部(9)にある第一端部(17)から基本的に第一接触デバイスに平行に第二端部(18)へと伸びていることを特徴とする、
接触取り付け器具(1)。
【請求項2】
前記第一接触デバイス(32)が、前記ハウジング(7)に取り付けられた第一アーム(10)および前記第一溶接ワイヤー(4)に接触するように前記第一アーム(10)に配置された第一接触子(11)を有している請求項1に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項3】
前記第一接触子(11)が、前記ハウジング(7)から近いアーム上の第一点からハウジング(7)から遠い第二点へと伸びている請求項2に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項4】
前記第一接触子(11)が、前記第一接触デバイス(32)の第二端部(13)へと伸びている請求項3に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項5】
前記第一アーム(10)が、前記第一接触デバイス(32)の第二端部(13)へと伸びている請求項2〜4のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項6】
前記第一アーム(10)の断面積が、前記ハウジング(7)から前記第一接触デバイス(32)の第二端部(13)へと向かって減少する請求項2〜5のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項7】
前記第一アーム(10)の断面積が、前記ワイヤーによって画定される平面に垂直なその寸法で減少し、前記ハウジングから前記第一接触デバイス(32)の第二端部(13)の方向へと向かって減少する請求項6に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項8】
前記第一アーム(10)の断面積が、前記ワイヤーによって画定される平面においてその寸法で減少し、前記ハウジングから前記第一接触デバイス(32)の第二端部(13)の方向へと向かって減少する請求項6または請求項7に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項9】
前記第二接触デバイス(33)が、前記ハウジングに取り付けられた第二アーム(14)および前記第二溶接ワイヤー(5)に接触するように前記第二アーム(14)に配置された第二接触子(15)を有している請求項1〜8のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項10】
前記第二接触子(15)が、前記ハウジング(7)から隔てられた前記第二アーム(14)の第一点から、ハウジング(7)から遠く離れた第二点へと伸びている請求項9に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項11】
前記第二接触子(15)が、前記第二接触デバイス(33)の第二端部(18)へと伸びている請求項10に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項12】
前記第二アーム(14)が、前記第二接触デバイス(33)の第二端部(18)へと伸びている請求項9〜11のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項13】
前記第二アーム(14)の断面積が、前記ハウジングから前記第二接触デバイス(33)の第二端部(18)の方向へと向かって減少する請求項9〜12のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項14】
前記第二アーム(10)の断面積が、前記ワイヤーによって画定される平面に垂直なその寸法で減少し、前記ハウジングから前記第二接触デバイス(33)の第二端部(18)の方向へと向かって減少する請求項6に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項15】
前記第二アーム(10)の断面積が、前記ワイヤーによって画定される平面においてその寸法で減少し、前記ハウスから前記第二接触デバイス(32)の第二端部(18)の方向へと向かって減少する請求項6または請求項7に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項16】
前記第三接触デバイスが、前記第一接触デバイス(32)および前記第二接触デバイス(33)と関連して回転可能かつ可動なように配置された請求項1〜12のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項17】
前記第三接触デバイスが、第三接触デバイスに固定されて配置され、第三接触デバイスを通って伸びた誘導手段を有し、第三接触デバイスの両側に突き出しており、該誘導手段を受け入れるために前記第一接触デバイス(32)および前記第二接触デバイス(33)には穴が開いている請求項16に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項18】
前記誘導手段が、前記ハウジング(7)から隔てられた第三接触デバイスに固定されて配置された少なくとも一つのピン(26)によって構成され、該ピンを受け入れるために前記第一接触デバイス(32)と前記第二接触デバイス(33)に穴(27)が開いている請求項17に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項19】
前記誘導手段が、少なくとも二つのピン(26)から構成される請求項18に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項20】
前記ピンが、前記ハウジング(7)から異なった距離において前記第三接触デバイスに固定されて配置されている請求項19に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項21】
前記誘導手段が、平板から構成されている請求項17に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項22】
前記ハウジング(7)が、その第二端部(9)から隔てられたところにヒール(31)を有し、該ヒール(31)は前記第二デバイス(33)がその第一端部(17)に接触するように配置され、その周りでは前記第二接触デバイス(33)が前記長軸(6)と前記第一接触デバイス(32)によって画定される平面において回転可能となっている請求項1〜21のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項23】
前記第二接触デバイス(33)が、貫通した穴を有し、そこをねじ頭(22)付きのねじ(21)が通っており、該ねじ(21)はハウジング(7)にねじ留めされており、前記第二接触デバイス(33)にバネを利用して力を加えるためにねじ頭(22)と第二接触デバイス(33)の間にバネ手段(23)が配置されている請求項22に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項24】
前記バネ手段(23)が、カップバネ、つる巻きバネ、板バネおよびゴムバネからなる群から選択される少なくとも一つを有する請求項23に記載の接触取り付け器具(1)。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の接触取り付け器具(1)を含む溶接装置(28)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−520062(P2010−520062A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552639(P2009−552639)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050240
【国際公開番号】WO2008/108728
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509242048)イーエスエービー エービー (6)
【Fターム(参考)】