説明

溶接電流制御システムおよび方法

アーク溶接装置の溶接電流の制御システムおよび方法は制御信号105を溶接電流電源106へ供給するための波形発生器101のプログラミングを含んでおり、制御信号105は固定したまたは予め定められた振幅および可変の期間を有する選択されたセグメントからなる基準波形から得られる。基準波形はアーク電流および/または電圧検出器115の出力を波形発生器101へフィードバックし、選択された予め定められた振幅セグメントの期間を変更することにより溶接状態の変化に応答して劇的に調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶接プロセス、特に予め定められた(一定である必要はない)振幅プロフィールを有する溶接電流プロフィールのセグメントのタイミングを単に変更することにより、溶接状態の変化にダイナミックに適応できる溶接電流プロフィールを含んだ広範囲の溶接電流プロフィールの生成を許容するソフトウェアベースのシステムおよび方法に関する。
【0002】
溶接電流パワー供給を制御するために波形生成を使用する従来技術のシステムと異なって、本発明の波形生成システムおよび方法は通常のハードウェアが実行するアーク電流または電圧フィードバックループを必要とせず、複雑なデジタル信号プロセッサベースの制御装置も必要としない。
【0003】
溶接電流プロフィールを生成するのに使用された基準波形は波形の各セグメントの振幅およびトリガー或いは期間値を含んだテーブルの形態であってもよい。波形は溶接電流電源への直接的なフィードバックなしに与えられるか、アーク電流および/または電圧センサからのフィードバックに基づいてデジタル的に変更される。プロフィールの変更は、好ましくは多数の溶接サイクルにわたって集められた電流および/または電圧データに基づいて基準波形を表すために使用されるテーブルの選択された振幅セグメントのトリガーまたは期間パラメータを変更し、プログラミングを簡単にし、必要とされるプロセッサリソースを減少することにより実行される。
【0004】
その簡潔さにかかわらず、本発明のソフトウェアベースの溶接電流制御は限定なしに、以下の任意の比較的複雑な溶接電流制御機能を実行できる。
・短いアーク溶接では、短絡回路の開始へ波形を同期し、
・短いアーク溶接では、早期に再アーク放電が生じるかおよび/または別の短絡回路の再設定が検出されたならば、波形の短絡回路部分を再スタートし、もとの短絡回路が単に最初から短いことを示し、
・短いアーク溶接では、再アーク放電の発生が失敗したならば、先のサイクルの解析に基づいて短絡回路の相の期間を調節し、スタブアウトを防止するための調節を含み、
・任意の消耗電極プロセスでは、複数の各電極直径、供給レート、材料のタイプ、溶接のガスタイプに対する電流振幅プロフィールを生成し、
・任意の消耗電極プロセスでは、特定の振幅プロフィールまたはテーブルに関連する以外の電極供給レートでの動作を促すために異なる電極に対して供給レートで先に発生された電流振幅プロフィール間に補間し、
・任意のパルス化されたアークプロセスでは、トーチからワークピースまでの距離crを調節することにより、トーチからワークピースの電圧の同期された感知および制御を行うためのソフトウェアを使用し、パルス化されたアークの消耗電極プロセスのみで、現在の振幅セグメントの任意の1つの期間を調節することにより、トーチからワークピースの電圧の同期された感知および制御を行うためのソフトウェアを使用する。
【0005】
勿論、本発明のシステムおよび方法が、全てのタイプのマニュアル、半自動的、自動溶接と、全てのタイプの位置外およびパイプ溶接プロセスを含んだ前述以外の溶接プロセスに適用されてもよいことが当業者に認識されるであろう。
【背景技術】
【0006】
最近、アーク溶接システムにおける溶接電流の制御を改良することに努力が注がれている。最近まで、このほとんどの努力は電極とワークピースとの間で測定された電流または電圧の変化に応答して溶接電流発生器の出力を変調するさらに精巧なフィードバック回路の設計に係わっている。しかしながら改良されたマイクロプロセッサの開発により、アーク溶接電流の制御を含む多数の溶接制御機能のデジタル化の試みが行われている。ハードウェアが実行する機能をソフトウェアへ移行することは、溶接シーケンスの各変化のために特別な回路の設計を必要とせずに、特定の装置がさらに多種の異なる溶接プロセスまたは状態に適合されることを可能にする利点を有する。
【0007】
米国特許第4,973,814号明細書は、本発明のように溶接電流パワー供給の制御を基礎として予め定められた基準波形を使用するマイクロプロセッサベースの溶接電流制御装置を示している。しかしながら、この明細書に記載されている波形発生器の出力はパワー供給電源に直接的ではなく溶接装置の電流振幅フィードバックループへのコマンド信号として与えられ、電流振幅フィードバックループは与えられた波形を実際の波形と比較してエラー信号を発生する比較器を含んでいる。それ自体の波形に対して行われる唯一の調節は基準波形と実際の波形との差のディスプレイと、所望の実際の波形を実現するために必要なときに与えられた基準波形を調節するためのキーボードにより行われる。
【0008】
米国特許第4,973,814号明細書で示されているシステムでは、溶接電流サイクルの種々の部分の期間ではなく振幅だけがダイナミックに調節され、調節は基準波形の変更によってではなく、アナログサーボによって実行される。基準波形の調節はマニュアルでのみ実行されることができる。結果として、この明細書で示されているタイプのシステムはアナログサーボによって比較的簡単で安定な溶接サイクルの自動制御を行うことができるが、一度適切な波形がマニュアル制御されると、これらはサイクル期間中に生じる事象のタイミングに大きく依存している短絡回路のアーク溶接等の溶接プロセスの自動制御を行うために使用されることができず、それにおいてはサイクルは可変長の少なくとも2つのセグメントからなる。
【0009】
他方で、米国特許第5,278,390号明細書は米国特許第4,973,814号明細書に記載されている制御装置のバージョンを開示しており、ここではハードウェアが実行する閉ループサーボ機能は“状態テーブル”で表される基準“波形”を変更できるデジタル信号プロセッサへ転送される。この明細書で開示されているシステムでは、電流プロフィールは特定の溶接プロセスに対して選択されることができる状態テーブルに記憶されている。フィードバックは米国特許第5,278,390号明細書のコラム13、13行目に説明されているように、アクチブ状態テーブルに含まれている電流振幅値を操作し、溶接電流パワーソースの出力に与えられている変更された波形を生じることにより実現される。
【0010】
フィードバックに対して“ブルート(brute)力”方法として参照される方法を行う米国特許第5,278,390号明細書に開示されているシステムは広範囲の溶接プロセスを制御できるように見えるが、電流または電圧フィードバック値に対する応答が電流サイクルの各部分で別々にプログラムされなければならず、閉ループ制御回路は溶接電流サイクルの各部分に対する異なる要件にしたがって電流振幅値を連続して調節することにより溶接サイクルの各異なる部分を認識しそれに適切に応答するのに十分適合可能でなければならないという欠点を受ける。短絡回路アーク溶接システムのような非常に変化のある環境では、ハードウェアベースのフィードバックループの補助なしで、米国特許第5,278,390号明細書の現在の振幅制御回路は基本的に各サイクル期間に状態テーブルを書き直すことを必要とされ、溶接電流プロフィールは基本的に状態テーブルのプログラミングではなく制御回路のプログラミングにより決定される。
【0011】
本発明は対照的に、感知されたアーク電圧または電流の変化に準じるように波形を瞬時に変更しようとせず、波形が予め定められた振幅セグメントに分解され、セグメントのタイミングだけが変化される簡単でさらに全般的に適合可能な方法を行い、それによって各溶接サイクルの振幅値を連続的に調節する必要性をなくす。
【0012】
ある意味では、本発明は周期的な溶接プロセスに対して、所望の電流プロフィールと実際のプロフィールとの間の振幅の差はサイクルの部分のタイミングの差から生じることに基づいている。例えば短絡回路のアーク溶接サイクルでは、短絡回路の設定は溶接電流を増加する。短絡回路が早期に設定されるならば、米国特許第5,278,390号明細書で開示されたタイプの制御回路は、短絡回路が設けられたことをほぼ瞬時に決定する必要があり、それにしたがって状態テーブルの対応する振幅値全てを変更する。本発明のシステムおよび方法は他方で、電流振幅値を変更する必要なく、電流プロフィールの短絡回路セグメントを単にトリガーすることにより短絡回路の設定に応答でき、これらの振幅値は1つの短絡回路のサイクルから次のサイクルまで同じであると仮定される。米国特許第4,544,826号、第4,546,234号、第4,717,807号、第4,835,360号、第4,866,247号、第4,897,523号、第4,954,691号、第4,972,064号、第5,003,154号、第5,148,001号、第5,961,863号明細書に記載されているように、6以上のセグメントを有するさらに複雑な短絡回路の電流プロフィールは、状態テーブルの電流振幅値の調節を使用して実行することが非常に困難であり、一方本発明を使用するプログラマは単に適切な現在の振幅プロフィールを選択することを必要とするだけで、適切なプログラムは任意の期間にプロフィールの可変セグメントをトリガーする。
【0013】
米国特許第5,278,390号明細書で取られた状態テーブル方法の扱いにくさの根拠として、同一出願人によるその後の米国特許6,002,104号明細書では基本的に、短絡回路アーク溶接中にスプラッタを最小にするために必要とされる波形のような複雑な波形の自動的な実時間制御を行うソフトウェアを使用する考えを捨て、代わりに精巧な“短絡回路のアーク溶接電流の実時間のマニュアル調節を可能にするためのマイクロプロセッサベースの実時間制御および監視”を使用し、即ち人間の制御者が溶接プロセス中に溶接電流を調節することを可能にする。溶接パラメータの実時間マニュアル調節を行う他のシステムは米国特許第5,571,431号、4,390,954号、および第4,189,765号明細書に開示されている。
【0014】
米国特許第5,278,390号明細書に加えて、マニュアルの介入を必要とせずに周期的な基準波形を使用する溶接アークのソフトウェアベースの制御に関する本発明者によく知られた唯一の他の特許明細書は米国特許第4,650,957号明細書である。しかしながらこの明細書で記載されている基準波形は溶接電流パワー供給に適用されるのではなく、トーチからワークピースまでの距離の制御装置に適用され、したがって応用性が制限される。1968年までさかのぼる米国特許第3,838,244号明細書に記載されているものを含む複数の他のソフトウェアベースのアーク電圧または電流制御装置が従来開示されていたが、これらの特許明細書に記載されている制御装置には周期的な基準波形を使用するものはほとんどなく、溶接電流を制御するためにテーブル駆動波形発生器を使用するものはさらに少ない。このような特許明細書の例は、運搬車およびトラックに沿って溶接の動作に同期して電流またはアーク電圧レベルの予めプログラムされたデジタル制御を行うデジタル制御装置を開示した米国特許第4,019,016号、第3,838,244号、第3,689,734号明細書と、定常電流を実現するため溶接パワー供給のデジタル制御に関する米国特許第4,561,059号明細書を含んでいる。一定電流制御装置は溶接電流を調節するためソフトウェアを使用するが、検出された電流に基づいて、最初に波形を発生するか波形の一部分の継続時間を調節する必要はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
要約すると、前述の特許明細書には、振幅セグメントの時間シーケンスからなる電流プロフィールを溶接電流電源に与えることにより溶接電流を制御し、実際の溶接電流(または電圧或いはパワー/エネルギ)のフィードバックに基づいて、実時間であるかまたは先のサイクルから得られたデータに基づいて、個々のセグメントの振幅を調節せずに電流プロフィールの個々のセグメントのタイミングを単に変更することにより溶接電流を調節するためのソフトウェアを使用する概念を説明しているものはない。米国特許第4,973,814号および第5,278,390号明細書に記載されているような自動溶接電流制御に対する先の波形ベースの方法は、固定しているがアナログハードウエアが実行する電流振幅サーボ、またはテーブルの電流振幅値の連続的な調節を必要とする状態テーブル方法へマニュアルで調節可能な波形の供給に依存しており、一方、米国特許第6,002,104号明細書に記載されているような他の波形ベースの方法は自動制御を実現しようとさえしないで、波形を調節するためにオペレータの介入に全体的に依存している。
【0016】
したがって、本発明の第1の目的は、容易に広範囲の溶接プロセスに適用可能であり、溶接状態の変化に自動的に調節でき、さらに構成に高レベルのプログラミング能力や極度に大きい処理パワーを必要としないソフトウェアベースのアーク溶接電流制御を提供することによって、従来のアーク溶接電流制御システムおよび方法の欠点を克服することである。
【0017】
本発明の第2の目的は、複雑で非常に変化の大きい波形に適応でき、しかも溶接中に動作の介入を必要としないソフトウェアベースの溶接電流制御装置を提供することである。
【0018】
本発明の第3の目的は、波形を制御するための特別なフィードバック回路を必要とせずに、あまり複雑でないアーク溶接波形を生成するように構成されたさらにフレキシブルで容易に適合されるアーク溶接システムを提供することである。
【0019】
本発明の第4の目的は、短いアーク、パルス化されたアーク、およびその他のタイプの消費可能および消費可能ではないアーク溶接プロセスで使用するように構成されることができるアーク溶接波形発生装置を提供することである。
【0020】
本発明の第5の目的は、ネッキング検出の必要または迅速な電流減衰を促すために付加的に高価な高パワースイッチングエレメントを提供する必要なく、改良された短いアーク溶接特性を提供するために通常の迅速応答溶接電源で使用するように構成されることができる波形発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらの目的は、溶接電流供給電源に与えられた基準波形の使用により溶接電流を制御するシステムおよび方法を提供することにより、本発明の好ましい実施形態の原理にしたがって実現され、それは波形発生器に対する電流または電圧フィードバックに基づいてダイナミックに変更されることができる。電流パワー供給を制御するために波形の発生を使用する従来技術のシステムと異なって、本発明の波形発生器のシステムおよび方法は通常のハードウェアが実行するアーク電流または電圧フィードバックループも、複雑なデジタル信号プロセッサベースの制御装置も必要としない。
【0022】
溶接電流プロフィールの発生に使用される基準波形は、波形の各セグメントに対する振幅およびトリガーまたは期間値を含んでいるテーブルの形態であることができる。波形は溶接電流の供給電源に直接的なフィードバックを行わずに、またはアーク電流および/または電圧センサからのフィードバックに基づいてデジタル的に調節される。プロフィールの調節は、好ましくは多数の溶接サイクルにわたり集められた電流および/または電圧データに基づいて、基準波形を表すために使用されるテーブル中の選択された振幅セグメントのトリガーまたは期間パラメータを変更することによって実行され、それによってプログラミングを簡単にし、必要とされるプロセッサのリソースを減少させる。
【0023】
さらに、本発明の好ましい実施形態にしたがって、システムおよび方法はアーク電流または電圧の検出に応答して以下の特定のソフトウェアの波形の調節または変更を行う。
・短いアーク溶接では、短絡の開始へ波形を同期し、
・短いアーク溶接では、早期に再度アーク放電が生じるかまたは短絡が生じたことが検出されたならば、波形の短絡部分を再スタートし、短絡が単に最初から短いことを示し、
・短いアーク溶接では、再アーク放電の発生が失敗したならば、先のサイクルの解析に基づいて短絡回路の相の期間を調節し、スタブアウトを防止するための調節を含み、
・任意の消耗電極プロセスでは、複数の各電極の直径、供給レート、材料のタイプ、溶接のガスタイプに対する電流振幅プロフィールを生成し、
・任意の消耗電極プロセスでは、他の電極供給レートでの動作を容易にするために異なる電極の供給レートに対して先に発生された電流振幅プロフィール間に補間を行い、
・任意のパルスアークプロセスでは、トーチからワークピースまでの距離を調節することにより、トーチからワークピースの電圧の同期された感知および制御を行うためにソフトウェアを使用し、パルスアークの消耗電極プロセスのみで、電流振幅セグメントの任意の1つの期間を調節することにより、トーチからワークピースの電圧の同期された感知および制御を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、アーク溶接プロセスで使用するための溶接電流の制御に使用されることができる波形の発生システムおよび方法に関し、特に波形の周期的なセグメントの振幅を表す数の時間シーケンスが生成されるシステムおよび方法に関し、したがって発生された時間シーケンスは溶接電流電源制御信号の発生中に基準として使用される。
【0025】
図1は、消耗電極アーク溶接システムの特別な文脈において、本発明の第1の好ましい実施形態のシステムを構成するための本発明の第1の好ましい実施形態の原理にしたがって構成された装置を示している。しかしながら、本発明の波形発生器は消耗電極アーク溶接システムに限定されず、示された装置は単なる例示により説明されていることが認識されるであろう。
【0026】
示されているように、本発明の第1の好ましい実施形態の装置は、電流を滑動接触部112へ与えることにより溶接プロセスを実行するための電力を供給するように構成された溶接電源106を含んでいる。滑動接触部112は電流を電極に供給することを可能にし、電極110とワークピース108との間の電圧差によって電極とワークピースとの間にアークを設定して材料をワークピース上の溶接パドルへ転送することを可能にするために、消耗電極110と滑動して結合されている。滑動接触部は溶接トーチ内に収納され、これは必要に応じてアークと溶接パドルを遮蔽するための溶接ガスを供給するためにも使用されることができる。
【0027】
消耗電極110はスプール109から与えられ、駆動ロール111によりワークピース方向に供給されるとき滑動接触部112は消耗電極110との電気接続を維持し、それにより駆動ロール111はモータ104により駆動される。モータ104は消耗電極の供給レートコマンド100に対応するレートで消耗電極110を供給するため消耗電極の供給レート制御装置103により制御される。
【0028】
この実施形態では、溶接電源106は時間ベースの溶接電流プロフィールデータ102にしたがって、コンピュータ制御されたテーブル駆動波形発生器101により発生される溶接電流コマンド信号105に応答して、溶接電流を消耗電極110へ供給する。コンピュータはまた電極の供給レートに基づいて複数のプロフィール間から適切な溶接電流プロフィールを選択および/または補間するために消耗電極供給レートコマンド100を使用することもできる。波形発生器101を制御するコンピュータ内の1以上のタイマはプロフィールデータで特定されたシーケンスおよび時間に整合するために各セグメントを時間設定するために使用される。プロフィールデータ中で特定されたセグメント時間中、コンピュータは単に対応する電流振幅を溶接電流コマンド信号105により溶接電源へ送信するだけである。
【0029】
勿論、コンピュータ制御されたテーブル駆動波形発生器101は専用の混合されたデジタルアナログ制御装置により置換されてもよく、溶接電流コマンド信号105は電源の特性に応じてデジタルまたはアナログであってもよいことが認識されるであろう。
【0030】
波形発生器は溶接電圧増幅器および検出器115に接続され、これはアーク点火検出信号114と短絡回路信号113とを波形発生器に与える。信号113と114の一方または両方が最終的な電流波形の発生に使用されるか、どちらも使用されなくてもよく、即ち信号の一方または両方が波形の特定のセグメントのトリガーとして使用され、または波形が短絡回路またはアークが生じたときに正確な瞬間を考慮せずに使用されることができる。
【0031】
当業者は多数の適切な電圧検出器が知られまたは利用可能であり、それ故本発明は検出器115の特定の構造に限定されることを意図しないことを認識するであろう。例えば、検出器の短絡回路検出部分は知られているように、差動増幅器と、電圧が予め定められたしきい値よりも下に落ち、短絡回路状態を示したときに短絡回路検出信号113を出力する簡単なしきい値電圧比較装置(図示せず)とからなる。検出器のアーク検出部分は短絡回路検出器に使用される同一の差動増幅器と、予め定められたアーク電圧しきい値が超過されたときアーク点火信号114を出力するように設定された付加的なアークしきい値電圧比較装置(図示せず)を含むことができ、アークしきい値は短絡電圧よりも大きく、溶接電源の開回路状態よりも小さい。代わりに、再アークは短絡信号113の停止により指示され、信号114は代わりに開回路状態がないことを示すために使用され、または差動増幅器の出力をアーク電圧の直接測定のためにアナログデジタル比較装置を通して直接的にコンピュータへ供給することにより指示される。いずれの場合にも、信号113と114の一方または両方は中断としてコンピュータへ与えられるか、コンピュータが検出器115をポールするためのポーリング技術を使用する。
【0032】
溶接電源106はまた市場で入手可能なコンポーネントを使用して既知の方法で構成されることができる。電源帯域幅はコマンド信号の合理的に忠実な再生を生成するのに十分でなければならず、このことに関して、結合された電源のインダクタンスと溶接回路のケーブリングは溶接電源の電流出力における高速度の上昇および下降時間を実現するために最小にされなければならないことが当業者により認識されるであろう。他方で、電源のインダクタンスの最小化はアークを低電流で維持することを困難にし、したがって幾つかの応用では、スインギングインダクタ(図示せず)は低電流では比較的高く、高電流では比較的低い電源インダクタンスを提供するために溶接電流回路に含まれることができる。
【0033】
図2および3は図1のシステムで実行されることができる特定の溶接方法を示している。特に、図2および3の方法は短いアーク溶接プロセスでの使用に適しており、この場合には消耗電極110は連続的にワークピースに形成された溶融パドルへ与えられ、プロセスは電極からワークピースへ転送される材料が延在し、電極とワークピース間のギャップを短絡する短絡回路相と、電気アーク107に与えられるパワーが電極を溶解し、溶融されたボールまたは液滴をアーク端部で形成させ、溶融されたボールはそれが溶解されたパドルに接触して短絡回路を生じるまでワークピース方向へ進められるアーク相との間で交番する。短絡回路相期間中、高い振幅の溶接電流は磁気ピンチ効果を発生し、溶解された液滴を摘み取りパドル中へ引込ませるために使用され、電極との接触を破断する。接触が遮断されたとき、アークは電極とパドルとの間で再度形成され、アーク相は前述したように反復される。このプロセスは反復または循環的方法で継続し、アーク相と短絡相との間で交番する。
【0034】
プロセスの各部分の期間中、溶接電源106は、溶接電流振幅プロフィールデータ102にしたがって、波形発生器101により発生される溶接電流コマンド信号105に応答して溶接電流を滑動電極110へ供給する。特に、図2に示されているように波形発生器は予め定められた数のセグメントを有する波形を発生し、その波形は図3に示されているテーブル中のエントリによって与えられた予め定められた期間(時間)と振幅(電流)をそれぞれ有する。波形は短絡信号113により変更され、これは短絡回路相の開始を示し、短絡は任意の多数の短絡検出方法を使用して、溶接電圧増幅および検出器115により検出される。短絡が検出される毎に、波形発生器は図2および3に示されている波形に対応している固定した波形を出力し始める。第10のセグメントの終了時に、波形発生器はセグメントT1で開始する別のサイクルを開始する。
【0035】
勿論、図2に示されている短いアーク波形はその特性で示されており、以下さらに詳細に説明するように、所望の結果を実現するために、または電極供給レートなどの溶接プロセスのパラメータを整合するために必要であるときに変化されてもよいことが当業者により認識されるであろう。例えば、セグメント数は10より多くても、少なくてもよく、セグメントの振幅および期間は任意の所望のプロフィールに適合するようにプログラムされる。いずれにせよ、各セグメントは図3に示されているテーブルの列中に特定された対応する期間に対応する電流を伝送するようにプログラムされている。トリガー列は対応するセグメントのスタートに使用される事象を規定し、この場合には先のインターバルの終了または、セグメント1の場合には、セグメント10の終了である。
【0036】
図4および5はパルス化されたスプレーの消耗電極プロセス中の溶接電流の別の制御方法を示しており、ここではアークはパルスサイクル全体を通して維持されることを意図されている。この場合、波形は5つのセグメントのみを有し、セグメント1はセグメント5が終了するときに開始される。
【0037】
溶接電流波形が全体的に予めプログラムされている図2乃至5に示されている方法は、本発明の別の好ましい実施形態にしたがって、溶接電流振幅波形中のセグメントの1つのトリガーとしてフィードバック信号113と114の一方を使用することにより変化される。例えば、10個のセグメントを有し図2に示されている波形に対応する短絡波形の場合、第1のセグメントに対するトリガーは、第10のセグメントの終了時ではなく溶接電圧増幅および検出器115による短絡の検出時に信号113により与えられ、第10のセグメントの期間は短絡が生じるまで継続するようにプログラムされている。
【0038】
勿論、短絡の検出時に溶接電流振幅を減少することがよく知られていることが理解されるであろう。本発明は溶接電流プロフィール自体に関係するのではなく、むしろ溶接電流を減少する回路装置へ信号を供給するのとは反対に、短絡検出信号を波形発生器に供給し、信号に応答して複数の予め定められた波形セグメントの1つをトリガーすることに関する。本発明はしたがって、任意の短絡回路電流プロフィールと、当業者に知られているまたは知られるようになる任意の他の周期的または循環的な溶接電流プロフィールに適用されることができる。
【0039】
初期の短絡の現象を考慮している図6および7に示されている変形方法では、信号114により示されているように、第1のセグメントは短絡回路の初期設定時だけでなく、早期の再アーク時に再度トリガーされてもよい。これは安定な短絡回路が設定されるまで、低い振幅セグメント1の期間T1を延長する効果を有する。その代わりに、再アークを待機する代わりに、短絡が検出される度に第1のセグメントを単に再度トリガーすることが望ましく、それによって電流は安定な短絡回路が設定されるまで、即ち不完全な短絡が終了するまで低い状態である。
【0040】
図8および9を参照すると、これらは特に短絡回路アーク溶接に適用し、図1に示されている装置を使用して実行され、図6の波形はさらに3つの付加的なトリガーを短絡回路トリガーSCに付加することにより変更される。第1の付加的なトリガーは先行した短絡および再アーク事象のタイミング、特に短絡回路相の開始と初期のアーク事象の開始との間の時間インターバルの期間から得られる(図8のTEおよび図9の“トリガー”列として示されている)アーク時間評価、即ち溶接プロセスの短絡回路部分の期間の時間評価に基づいている。この時間評価は幾つかの先行するサイクルにわたって集められ平均されるか、時間評価を得るためにその他の方法で処理された測定に基づいている。評価TEが一度決定されると、波形発生器は評価された短絡期間を計算し、第4のセグメントの固定された期間Tは少なく、短絡回路サイクルの終了に先行するセグメント4の開始をトリガーするためにこの計算された値(TE−T4)を使用し、短絡サイクル期間に生じる高振幅セグメントの期間が先のサイクルから集められたデータに基づいて自動的に調節されることを許容する。図9の用語“T3またはTED”はTEを決定するのに十分なデータを集めるとき、セグメント3の期間がTEに基づいて次のセグメントの開始により自動的に調節されることを示しており、即ちセグメント3の期間はもはや固定されないで、自動的に“時間評価決定される”(TED)。
【0041】
図示のテーブル構成では、第2のトリガーRAは通常、セグメント4の期間の決定に使用されるトリガーであり、実際の再アーク事象の発生に基づいている。最初に、セグメント5がトリガーされ、セグメント4の期間は予め定められた時間インターバルT4により決定される。TEに対して更新された値が得られるように十分なデータを集めるとき、RAはセグメント4を終了し、セグメント5をトリガーするために使用される。それ故、通常の状態下で、セグメント4の期間はRA事象により自動的に決定され、即ち図9の用語RADにより示されているように“再アーク決定される”。
【0042】
経歴的データに基づいて再アークの開始を評価することによって、本発明のこの構成は特に、ネッキングまたはピンチオフの検出の必要性をなくし、それ故ネッキング検出を使用するシステムの迅速な電流減衰を促すために必要なタイプの高価な高パワースイッチング素子の必要性をなくす利点を有する。従来の短絡回路アーク溶接システムでは、絶縁破壊直前に短絡回路を形成する材料の目減らし(narrowing)を検出することにより再アーク時間を予測することが必要であり、それによって電流をアークを維持する電流に調節するために十分な時間を与える。ネッキング検出器は通常、微分またはレート検出方法を使用し、これは電極との滑動接触により発生される雑音のような電気的な雑音に対する感度を増加する。対照的に、再アークは非常に大きくてアーク電圧で突然増加するため、再アーク検出はさらに簡単で非常に雑音をこうむりにくい。実際の再アーク時間に基づいて経歴的データを使用することにより、ネッキング検出器と特別なパワースイッチング素子の必要性はなくされ、再アーク時間の予測は実際にさらに正確にされる。所望ならば、経歴的データはさらに評価された再アーク時間を強化するため2以上のサイクルにわたって平均されることができる。
【0043】
セグメント5のさらなるトリガーは固定され予め定められた時間インターバルTFRであり、これは時間インターバルT4よりも大きく、再サーク事象がTFRにより与えられる時間内で生じない場合、セグメント5をトリガーする。このセットは溶接電流がセグメント4中に命令をされる状態を維持する最大の時間量をセットし、I4からI5まで電流振幅を増加することにより、スタブアウトとしても知られる故障から再アークへの回復を許容する。RA、即ち再アークはセグメント3中に生じ、この場合セグメント4は単に除去されることに注意すべきである。
【0044】
代わりに、スタブアウトの場合、スタブアウトが発生したときに直ちにセグメント6を開始することによって図8,9に示されている波形を変更することが可能であり、この場合、図9のセグメントのトリガーは“前またはTFR”を読取るために変更され、セグメント5のトリガーは“前またはRA”を読取るために変更される。
【0045】
図3、5、7、9に示されているテーブルに含まれる正確な振幅および期間値は、電極直径、供給レート、材料のタイプ、溶接ガスのタイプを含めた多数のファクタに依存している。本発明を実行する各制御装置はこれらの各変数に対する別々のテーブルを設けられていることを必要とし、例えば、選択された電極供給レートに基づいて検索可能な多数のテーブルおよび共通に使用される電極の直径、電極材料のタイプ、溶接ガスのタイプ、および/または溶接電流に影響するその他のパラメータのそれぞれに対する供給テーブルの多数のセットを記憶することが必要とされる。電流プロフィールテーブルが記憶される方法は、勿論、例えば各テーブルにコードを割当てることにより複数の方法で変化されることができ、各パラメータはコードの数字または文字の1つにより表される。
【0046】
溶接パラメータの可能な組合わせ数が便宜的にプログラムされ記憶されることのできるテーブルの数よりも多いならば、前述の原理の変化にしたがって、例えば既存のテーブルに関連する電極の供給レートの間にある電極供給レートの振幅および期間値を補間することによって、補間によりテーブルを生成することも可能である。
【0047】
図8に示されている波形は代わりに、図1に示されているシステムではなく図10に示されているシステムと、図9に示されているテーブルではなく図11に示されているテーブルを使用して実現され、それは距離制御機能が付加されている。特に図10で示されているシステムは電圧/距離フィードバックループ回路を付加し、これは溶接電圧検出器から負のフィードバック電圧信号121を受信し、フィードバック電圧信号121と電流コマンドテーブルから波形発生器101により検索された電圧コマンド信号120との間の差に応答して比較器122により生成されるエラー信号123に基づいてトーチからワークピース間での距離を調節する。エラー信号は増幅され、トーチからワークピースの距離制御装置124に与えられ、これは接触部またはスライド117と、取り付けられた溶接トーチ(図示せず)を移動し、したがってエラー信号が消えるまで効率的なトーチとワークピースの距離を変更するためにモータ118を制御する。
【0048】
この装置の利点は、トーチとワークピースの距離のサーボ動作が所望のインターバル中に感知されたアーク値に基づき、サーボ動作は溶接サイクルの少なくとも残りの部分でこの感知された値で継続し、距離制御装置のプログラミングを簡単にし、制御を複雑にする電流および距離ループ間の複雑な相互動作を避けることである。通常、距離制御の感知は、溶接電圧が一定であるときと、短絡回路が形成される可能性がある前に、短絡回路溶接サイクルのアーク部分の高電流セグメント中にのみ付勢される。勿論、加算接合および/または電圧検出器と“追従および保持”(図10に表示されているように、これはフィードバック電圧をセグメント6以外のセグメント中にセグメント6の終了近くで得られた最後の値に保持するので、この名称である)はデジタルまたはアナログコンポーネントとして構成され、アナログデジタルまたはデジタルアナログ変換器は必要なときに信号の両立性を与えるために含まれることが認識されよう。
【0049】
本発明のシステムおよび方法は、短絡回路アーク溶接プロセスに限定されるものではなく、その代わりに任意の消耗電極溶接プロセスと、固定したまたは予め定められた振幅セグメントの可変タイミングによる制御に修正可能な消費可能ではない電極プロセスにより使用されてもよい。例えば、溶接電流がアーク電圧を最適化するように調節されなければならないパルススプレー消耗電極プロセスの場合、信号113と114は使用されない。代わりに、図12に示されているように、電圧信号125で置換される。第1の振幅セグメントが第5のセグメントの終了によりトリガーされる期間である最初の安定化インターバル後、測定されたアーク電圧信号はパルススプレーサイクルの第1のセグメントのトリガーに使用され、第5のセグメントの期間(VCD)はフィードバック電圧信号125を考慮に入れてプログラムされた溶接電圧V1を維持するために必要な期間である。アーク電圧の測定はセグメント1期間にのみ行われ、最後の測定または先のサイクルからの測定の平均に基づいてもよい。溶接電圧がV1よりも高いならば、セグメント5の期間は長くされ、平均電流、それ故電極消費レートを電圧がV1まで落ちるまで減少する。溶接電圧がV1よりも低いならば、セグメント5の期間は短くされ、平均電流、それ故電極消費レートを電圧がV1間で上昇するまで増加する。
【0050】
したがって、当業者が本発明を実施および使用できるようにするために、本発明の好ましい実施形態を十分に詳細に説明したが、それにもかかわらず示された実施形態の多数の変形および変更が本発明の技術的範囲を逸脱せずに行われることができることが認識されるであろう。前述のシステムおよび方法は、例えばプログラムされたエネルギレベルが実現されたとき電流セグメントを終了することにより、電流、電圧またはエネルギ、或いは任意のその組合わせにおいてプロフィールの生成に適用されることができる。代わりにまたは付加的に、電流プロフィールの部分をトリガーする事象は短絡回路またはアークに関連しない事象であってもよく、例えばパルス波形溶接プロセスのトーチクロスシームの振動中に測定される側壁停止インターバルを含んでいる。
【0051】
それ故、本発明は前述の説明または添付図面により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定されることを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の好ましい実施形態の原理にしたがって構成された基準波形発生器を含んでいるアーク溶接システムの概略図。
【図2】図1の波形発生器により発生された短絡回路アーク溶接電流プロフィールの波形図。
【図3】図2のアーク溶接電流プロフィールに対応する振幅および時間値のテーブルの図。
【図4】図1の波形発生器により発生されたパルスアーク溶接電流プロフィールの波形図。
【図5】図4の電流プロフィールに対応する振幅および時間値のテーブルの図。
【図6】対応するアーク電圧プロフィールと共に、図1の波形発生器により発生された別の短絡回路アーク溶接電流プロフィールを示す波形図。
【図7】図6の電流プロフィールに対応する振幅および時間値のテーブルの図。
【図8】対応するアーク電圧プロフィールと共に、図1の波形発生器により発生された別の短絡回路アーク溶接電流プロフィールを示す波形図。
【図9】図6の電流プロフィールに対応する振幅および時間値のテーブルの図。
【図10】本発明の第2の好ましい実施形態の原理にしたがって構成されたアーク溶接システムの概略図。
【図11】図8の電流プロフィールに対応し、図1のシステムではなく図10のシステムにより生成される振幅および時間値のテーブルの図。
【図12】本発明の第3の好ましい実施形態の原理にしたがって構成されたアーク溶接システムの概略図。
【図13】対応するアーク電圧プロフィールと共に、図12のシステムにより発生されたパルス化されたアーク溶接電流プロフィールを示す波形図。
【図14】図13の電流プロフィールに対応する振幅および時間値のテーブルの図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接装置の溶接電流を制御するシステムにおいて、制御信号を溶接電流供給電源へ出力するように構成されたデジタル波形発生器を具備し、前記制御信号は可変の期間と少なくとも2つの異なる予め定められた振幅を有する一定振幅セグメントからなる基準波形から得られるシステム。
【請求項2】
さらに、アークの電気パラメータを検出する検出器を具備し、この検出器は波形発生器に接続され、その波形発生器は検出器からのフィードバックに基づいて少なくとも1つのセグメントの期間を変化するように構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項3】
電気パラメータは電流、電圧または電力からなるグループから選択される請求項2記載のシステム。
【請求項4】
電気パラメータは電圧である請求項3記載のシステム。
【請求項5】
検出器は少なくとも1つの早期の溶接サイクル期間中に測定されたデータに基づいて波形を変化する請求項2記載のシステム。
【請求項6】
溶接装置は短絡回路アーク溶接装置である請求項2記載のシステム。
【請求項7】
波形は短絡が設定されたことを検出したとき、第1の低い振幅セグメントをトリガーすることにより調節される請求項6記載のシステム。
【請求項8】
第1の低い振幅セグメントは、短絡が各低い振幅セグメント中に設定される度に再度トリガーされ、それによって最初の短絡を考慮に入れる請求項7記載のシステム。
【請求項9】
第1の低い振幅セグメントは、各低い振幅セグメント中に再アークを検出したときに再度トリガーされ、それによって最初の短絡を考慮する請求項7記載のシステム。
【請求項10】
期間は少なくとも1つの先行するサイクルにわたって検出器により集められるデータに基づいて変化される請求項6記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの先行するサイクルにわたって検出器により集められたデータは、再アークを示す経歴データであり、波形発生器は経歴データから得られる評価された再アーク時間の直前に低い振幅のアーク維持セグメントを開始する請求項10記載のシステム。
【請求項12】
溶接装置はパルスアーク溶接装置である請求項2記載のシステム。
【請求項13】
波形は少なくとも1つのセグメント中にアーク電圧検出器からのフィードバックに基づいて調節される請求項12記載のシステム。
【請求項14】
波形発生器は複数の記憶された波形を含んだメモリから基準波形を検索するように構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項15】
基準波形は選択された電極供給レートに基づいて検索される請求項14記載のシステム。
【請求項16】
基準波形は選択された電極供給レートと、電極直径、電極材料のタイプ、溶接ガスのタイプからなるグループから選択された付加的なパラメータとに基づいて検索される請求項14記載のシステム。
【請求項17】
波形発生器はさらに、複数の記憶された波形中に含まれていない波形を補間するように構成されている請求項14記載のシステム。
【請求項18】
アーク溶接装置の溶接電流を制御するシステムにおいて、
制御信号を溶接電流供給電源へ出力するように構成された波形発生器を具備し、制御信号は異なる振幅のセグメントを有するデジタル基準波形から得られ、さらに、
アークの電気パラメータを検出する検出器を具備し、
前記検出器は波形発生器に接続され、波形発生器は、検出器からのフィードバックに基づいて溶接サイクル中に生じる事象に波形を同期させるために選択された前記波形セグメントの期間を変化するように構成されているシステム。
【請求項19】
電気パラメータは電流、電圧または電力からなるグループから選択される請求項18記載のシステム。
【請求項20】
電気パラメータは電圧である請求項18記載のシステム。
【請求項21】
検出器は少なくとも1つの早期の溶接サイクル期間中に測定されたデータに基づいて波形を同期する請求項18記載のシステム。
【請求項22】
溶接装置は短絡回路アーク溶接装置である請求項18記載のシステム。
【請求項23】
溶接装置はパルスアーク溶接装置である請求項18記載のシステム。
【請求項24】
波形発生器は複数の記憶された波形を含んだメモリから基準波形を検索するように構成されている請求項18記載のシステム。
【請求項25】
基準波形は選択された電極供給レートに基づいて検索される請求項24記載のシステム。
【請求項26】
基準波形は選択された電極供給レートと、電極直径、電極材料のタイプ、溶接ガスのタイプからなるグループから選択された付加的なパラメータとに基づいて検索される請求項24記載のシステム。
【請求項27】
波形発生器はさらに、複数の記憶された波形中に含まれていない波形を補間するように構成されている請求項24記載のシステム。
【請求項28】
アーク溶接プロセスの溶接電流の制御方法において、可変の期間と少なくとも2つの異なる予め定められた振幅とを有する一定振幅セグメントからなるデジタル基準波形から溶接電流供給電源の制御信号を得て、制御信号を溶接電流供給電源へ供給するステップを含んでいる方法。
【請求項29】
さらに、アークの電気パラメータを検出し、検出ステップに基づいて、少なくとも1つのセグメントの期間を変化させるステップを含んでいる請求項28記載の方法。
【請求項30】
電気パラメータは電流、電圧または電力からなるグループから選択される請求項29記載の方法。
【請求項31】
電気パラメータは電圧である請求項29記載の方法。
【請求項32】
期間を変化するステップは少なくとも1つの早期の溶接サイクル中に測定されたデータに基づいて期間を変更させるステップを含んでいる請求項29記載の方法。
【請求項33】
溶接プロセス装置は短絡回路アーク溶接プロセスである請求項29記載の方法。
【請求項34】
さらに、短絡が生じたことを検出したとき、波形の第1の低い振幅セグメントをトリガーするステップを含んでいる請求項33記載の方法。
【請求項35】
第1の低い振幅セグメントは、短絡が各低い振幅セグメント中に生じる度に再度トリガーされ、それによっ早期の短絡を考慮に入れる請求項34記載の方法。
【請求項36】
第1の低い振幅セグメントは、各低い振幅セグメント中に再アークを検出したときに再度トリガーされ、それによって早期の短絡を考慮に入れる請求項34記載の方法。
【請求項37】
期間は少なくとも1つの先行するサイクルにわたって検出により集められるデータに基づいて変化される請求項33記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つの先行するサイクルにわたって検出ステップにより集められたデータは、再アークを示す経歴データであり、さらに経歴データから得られる評価された再アーク時間の直前に低い振幅のアーク維持セグメントをトリガーするステップを含んでいる請求項37記載の方法。
【請求項39】
溶接プロセスはパルスアーク溶接プロセスである請求項28記載の方法。
【請求項40】
波形は少なくとも1つのセグメント中にアーク電圧検出器からのフィードバックに基づいて調節される請求項39記載の方法。
【請求項41】
さらに、複数の記憶された波形を含んだメモリから基準波形を検索するステップを含んでいる請求項28記載の方法。
【請求項42】
基準波形は選択された電極供給レートに基づいて検索される請求項41記載の方法。
【請求項43】
基準波形は選択された電極供給レートと、電極直径、電極材料のタイプ、溶接ガスのタイプからなるグループから選択された付加的なパラメータとに基づいて検索される請求項41記載の方法。
【請求項44】
さらに、複数の記憶された波形中に含まれていない波形を補間するステップを含んでいる請求項41記載の方法。
【請求項45】
アーク溶接装置の溶接電流を制御する方法において、
制御信号を溶接電流供給電源へ出力し、制御信号は異なる振幅のセグメントを有するデジタル基準波形から得られ、
アークの電気パラメータを検出し、
検出結果に基づいて溶接サイクル中に生じる事象に波形を同期させるために選択された前記セグメントの期間を変化させるステップを含んでいる方法。
【請求項46】
電気パラメータは電流、電圧または電力からなるグループから選択される請求項45記載の方法。
【請求項47】
電気パラメータは電圧である請求項45記載の方法。
【請求項48】
波形は少なくとも1つの早期の溶接サイクル期間中に測定されたデータに基づいて同期される請求項45記載の方法。
【請求項49】
溶接装置は短絡回路アーク溶接装置である請求項45記載の方法。
【請求項50】
溶接装置はパルスアーク溶接装置である請求項45記載の方法。
【請求項51】
さらに、複数の記憶された波形を含んだメモリから基準波形を検索するステップを含んでいる請求項45記載の方法。
【請求項52】
基準波形は選択された電極供給レートに基づいて検索される請求項51記載の方法。
【請求項53】
基準波形は選択された電極供給レートと、電極直径、電極材料のタイプ、溶接ガスのタイプからなるグループから選択された付加的なパラメータとに基づいて検索される請求項51記載の方法。
【請求項54】
さらに、複数の記憶された波形中に含まれていない波形を補間により生成するステップを含んでいる請求項51記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接装置の溶接電流を制御するシステムにおいて、制御信号を溶接電流供給電源へ出力するように構成されたデジタル波形発生器を具備し、前記制御信号は可変の期間と少なくとも2つの異なる予め定められた振幅を有する一定振幅セグメントからなる基準波形から得られるシステム。
【請求項2】
さらに、アークの電気パラメータを検出する検出器を具備し、この検出器は波形発生器に接続され、その波形発生器は検出器からのフィードバックに基づいて少なくとも1つのセグメントの期間を変化するように構成されており、電気パラメータは電流、電圧または電力からなるグループから選択される請求項1記載のシステム。
【請求項3】
検出器は少なくとも1つの早期の溶接サイクル期間中に測定されたデータに基づいて波形を変化させる請求項2記載のシステム。
【請求項4】
溶接装置は短絡回路アーク溶接装置であり、波形は短絡が設定されたことを検出したとき、第1の低い振幅のセグメントをトリガーすることにより調節され、第1の低い振幅のセグメントは、短絡が各低い振幅のセグメント中に設定される度に、または各低い振幅のセグメント中に再アークを検出したときに再度トリガーされ、それによって最初の短絡を考慮に入れる請求項2記載のシステム。
【請求項5】
期間は少なくとも1つの先行するサイクルにわたって検出器により集められるデータに基づいて変化される請求項2記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの先行するサイクルにわたって検出器により集められたデータは、再アークを示す経歴データであり、波形発生器は経歴データから得られる評価された再アーク時間の直前に低い振幅のアーク維持セグメントを開始する請求項5記載のシステム。
【請求項7】
溶接装置はパルスアーク溶接装置であり、波形は少なくとも1つのセグメント中にアーク電圧検出器からのフィードバックに基づいて調節される請求項2記載のシステム。
【請求項8】
波形発生器は複数の記憶された波形を含んだ基準波形をメモリから検索するように構成されており、基準波形は選択された電極供給レートに基づいて、または選択された電極供給レートと、電極直径、電極材料のタイプ、溶接ガスのタイプからなるグループから選択された付加的なパラメータとに基づいて検索される請求項1記載のシステム。
【請求項9】
波形発生器はさらに、複数の記憶された波形中に含まれていない波形を補間するように構成されている請求項8記載のシステム。
【請求項10】
アーク溶接装置の溶接電流を制御するシステムにおいて、
制御信号を溶接電流供給電源へ出力するように構成された波形発生器を具備し、制御信号は異なる振幅のセグメントを有するデジタル基準波形から得られ、さらに、
アークの電気パラメータを検出する検出器を具備し、
前記検出器は波形発生器に接続され、波形発生器は、検出器からのフィードバックに基づいて溶接サイクル中に生じる事象に波形を同期させるために選択された前記波形セグメントの期間を変化するように構成されているシステム。
【請求項11】
アーク溶接プロセスの溶接電流の制御方法において、可変の期間と少なくとも2つの異なる予め定められた振幅とを有する一定振幅のセグメントからなるデジタル基準波形から溶接電流供給電源に対する制御信号を得て、その制御信号を溶接電流供給電源へ供給するステップを含んでいる方法。
【請求項12】
さらに、アークの電気パラメータを検出し、検出ステップに基づいて、少なくとも1つのセグメントの期間を変化させるステップを含んでおり、電気パラメータは電流、電圧または電力からなるグループから選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
溶接プロセス装置は短絡回路アーク溶接プロセスであり、さらに、短絡が生じたことを検出したとき、波形の第1の低い振幅のセグメントをトリガーするステップを含んでおり、第1の低い振幅のセグメントは、短絡が各低い振幅のセグメント中に生じる度に、または各低い振幅のセグメント中に再アークを検出したときに再度トリガーされ、それによって早期の短絡を考慮に入れる請求項12記載の方法。
【請求項14】
期間は少なくとも1つの先行するサイクルにわたる検出によって集められるデータに基づいて変化される請求項12記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの先行するサイクルにわたって検出ステップにより集められたデータは、再アークを示す経歴データであり、さらに経歴データから得られる評価された再アーク時間の直前に低い振幅のアーク維持セグメントをトリガーするステップを含んでいる請求項14記載の方法。
【請求項16】
溶接プロセスはパルスアーク溶接プロセスであり、波形は少なくとも1つのセグメント中にアーク電圧検出器からのフィードバックに基づいて調節される請求項11記載の方法。
【請求項17】
選択された電極供給レートに基づいて、または選択された電極供給レートおよび、電極直径と、電極材料のタイプと、溶接ガスのタイプとからなるグループから選択された付加的なパラメータに基づいて、複数の記憶された波形を含んだ基準波形をメモリから検索するステップをさらに含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項18】
さらに、複数の記憶された波形中に含まれていない波形を補間するステップを含んでいる請求項17記載の方法。
【請求項19】
アーク溶接装置の溶接電流を制御する方法において、
制御信号を溶接電流供給電源へ出力し、制御信号は異なる振幅のセグメントを有するデジタル基準波形から得られ、
アークの電気パラメータを検出し、
検出結果に基づいて溶接サイクル中に生じる事象に波形を同期させるために選択された前記セグメントの期間を変化させるステップを含んでいる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−503707(P2006−503707A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−539884(P2003−539884)
【出願日】平成14年10月11日(2002.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2002/031567
【国際公開番号】WO2003/037560
【国際公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(399020784)ティーアールアイ・トゥール・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】