溶液から粒子を濃縮するための方法およびシステム
液体に懸濁された粒子(例えば、細菌、ウイルス、細胞および核酸など)を濃縮するための方法およびシステムが提供される。電界誘導力が、液体中で固定化される第1の電極の方に当該粒子を追い込む。当該粒子が、第1の電極の極めて近接する(例えば、接触する)場合、電極が、液体から取り除かれ、取り除かれている電極と液体の表面との間で形成される毛管力が、粒子を電極に固定化する。液体からの電極の取り出しにおいて、以前に液体に浸漬された電極の部分は、その表面に固定化された粒子を有する。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
[関連出願についての相互参照]
本出願は、2008年6月6日提出の米国仮出願No.61/059708、2008年10月27日提出の米国仮出願No.61/108799の優先権を主張するものであり、これらのそれぞれが引用によりその全体に亘りここに組み込まれる。
【0002】
[連邦政府に助成された研究に関する陳述]
本発明は、国立科学基金により認められた承認番号0740525、および疾病管理センターにより認められた承認番号200−2007−M−22794の下での政府の助成を受けてなされたものである。政府は本発明において正当な権利を有する。
【0003】
[背景]
結核(TB)は、世界中で最も広く蔓延する疾患の1つであり、世界の人口の3分の1が感染している。2006年において、920万の新たなTBの症例が報告され、170万人が死に関係し、その大部分が発展途上国におけるものである。2006年において、約15,000の新たなTBの症例が米国において報告された。患者が活動性であるが、未治療であるために、TBは、1年当たり平均10〜15人において感染可能であり、新規のTB患者の迅速な診断が効果的な当該疾患の制御のために必須である。
【0004】
現在、TB診断のための複数の技術が存在している。しかしながら、入手可能な方法の何れも、低い検出限界、分析時間およびコストの優れた組み合わせを有するものではない。それらの検出限界の低い技術は、時間を消費するものであり、一方で、比較的高速な試験は高い検出限界を有しているが、典型的に結局は(緩慢な)アッセイにより確認される必要がある。TBを試験のための成熟した技術にも関わらず、改善された検出方法が、世界的なスケールにおいて疾患に立ち向かうために必要である。
【0005】
興味深いもう1つの分析は、細胞外DNAであり、これは疾患診断の分野および環境分子生物学において大きく興味を持たれている。生細胞におけるゲノムDNAとは異なり、細胞外DNAは、死細胞から放出された遊離DNAである。従って、体液中の細胞外DNA循環量は、癌などの種々の急性疾患のための初期の指標として使用し得る。例えば、健康なヒトについては細胞外DNAの濃度は、約30ng/mLであるが、その濃度は、癌患者については約300ng/mLまで増大する。
【0006】
環境モニタリングに関して、湖および土壌における細胞外DNAは環境の質の指標であり、それは、溶存するDNが、細胞溶解から生じるものであり、生きている生物体からの排出物であるからである。
【0007】
大きな興味にもかかわらず、細胞外DNAの研究は、現在利用される標準的なサンプル調製方法により妨げられている。従来の方法は、生サンプルからのDNAの濾過、遠心および収集で始まる。数時間が典型的に、サンプル調製過程のために必要とされ、これが細胞外DNAを崩壊し、変異させる。結果として、細胞外DNAの本来の情報が、分析前に部分的または完全に失われる。そのために、細胞外DNAを濃縮できる迅速な方法が病原体情報を識別するために極めて重要である。
【0008】
上記のTBおよび細胞外DNAの例は、科学的に意味のある分析であり、これらは、ゆっくりとした、非効率的且つ不適切な方法を使用して現在試験されている。溶液から粒子分析物、例えば、TBおよびDNAを抽出するための改善された方法は、例えば、TBおよび癌などの疾患に関して、効率、コストおよび試験の正確性を改善することにより、世界的な保健のために大きな利点を提供するであろう。
【0009】
[概要]
1つの側面において、粒子を濃縮するために方法であって、粒子を含む液体において高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;当該第1の電極を使用して電界誘導力(電気的に誘導される力)を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;および、当該液体から第1の電極を取り除くことにより、当該第1の電極と当該液体の間に形成される毛管力により、第1の電極の表面に粒子を固定化することとを含む方法が提供される。
【0010】
もう1つの側面において、粒子濃縮システムであって、高アスペクト比を有する第1の電極と、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり、第1の溶液は第1の粒子を含み;取り除かれている当該第1の電極と当該第1の液体との間で形成される毛管力が当該第1の電極の表面に当該第1の粒子を固定化するように、当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くように構成されたアクチュエーターと;および、当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極に向かって優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極に向かって優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるように構成された電気信号発生器とを含むシステムが提供される。
【0011】
もう1つの側面において、粒子を濃縮する方法であって、高アスペクト比を有する第1の電極を、粒子を含む液体に浸漬することと、ここにおいて、第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を当該第1の電極の方に追い込むこととを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[図面の説明]
本発明の前述の側面および多くの付随する利点は、付随する図面と組み合わせたときに、以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に認められるようになり、同様に、よりよく理解されるようになるであろう。
【図1A】図1Aは、第1の電極により生じた電界誘導性二電子伝達力(dielectrophoretic force)により第1の電極に向かう液体中の粒子の実質的に直線的な移動を含む本発明を代表する態様の一部分を示す図である。
【図1B】図1Bは、表1Aにおいて示された本発明の代表的な態様の一部分を示す図であり、そこにおいて、第1の電極が液体から取り除かれ、電界誘導性二電力伝達力を介して第1の電極に対して誘引される、液体から粒子を固定化する毛管力の結果として、その表面に濃縮された粒子を有する。
【図2】図2は、電界誘導性電気浸透力による第1の電極に向かっての液体中の粒子の循環性移動を含む本発明を代表する態様の一部分を示す図である。
【図3】図3は、粒子に対して結合された第2の結合対に対して結合可能な第1の結合対を含む第1の電極の方に粒子を追い込む、液体中の粒子における二電子伝達力および電気浸透力との組み合わせを含む本発明を代表する態様の一部分を示す図である。
【図4A】図4Aおよび4Bは、本発明において有用な炭化ケイ素とカーボンナノチューブから製作された代表的な第1の電極の顕微鏡写真である。
【図4B】記載なし
【図4C】図4Cは、本発明において有用なポリマー被覆した第1の電極の顕微鏡写真である。
【図4D】記載なし
【図5A】図5A−5Cは、本発明の方法を実施した後の、その表面に固定化されたポリマー粒子を有する炭化ケイ素とカーボンナノチューブから製作された代表的な第1の電極の顕微鏡写真である。
【図5B】記載なし
【図5C】記載なし
【図6A】図6A−6Cは、その表面に固定化されたDNAを有する本発明の代表的な第1の電極の顕微鏡写真である。
【図6B】記載なし
【図6C】記載なし
【図6D】図6Dは、本発明の方法により分析された一連のDNA溶液についてのDNA濃度対蛍光強度のグラフである。
【図7】図7は、本発明の方法により分析された一連のDNAおよび細胞についてのDNA濃度対蛍光強度のグラフである。
【図8A】図8Aは、その表面に固定化されたTB細胞を有する第1の電極の顕微鏡写真である。
【図8B】図8は、本発明の方法により分析された一連のTBの溶液についてのTB細胞濃度対蛍光強度のグラフである。
【図9A】図9Aは、参照溶液およびTBを含む溶液における第1の電極の適用電圧と測定電流を比較するグラフである。
【図9B】図9Bは、本方法の方法により分析されたTBを含む一連の溶液についてのTB細胞濃度対正規化された電流のグラフである。
【図10】図10は、その表面にハイブリダイズされたDNAを有する第1の電極とDNAを伴わない参照用の第1の電極とについての電圧対電流のグラフである。
【図11A】図11Aは、本発明の方法を使用するDNAハイブリダイゼーションについてのAC電圧対蛍光のグラフである。
【図11B】図11Bは、本発明の方法を使用するDNAハイブリダイゼーションについてのDNAハイブリダイゼーション時間対蛍光のグラフである。
【図12】図12は、本発明によりその表面に固定されたHIVを有する第1の電極の顕微鏡写真である。
【図13A】図13Aは、本発明の方法におけるその使用の前の第1の電極の蛍光顕微鏡写真である。
【図13B】図13Bは、本発明の方法に後のそれによりHIVが電極の表面に固定化された図13Aにおいて図示された第1の電極の顕微鏡写真である。
【図14】図14は、本発明に従う電極に固定化された粒子において作用する力を示す図である。
【図15A】図15Aは、液体と、粒子が液体から取り除かれている電極に固定化されたときの異なるサイズの粒子との間に形成される臨界角度を示す図である。
【図15B】図15は、液体と、粒子が液体から取り除かれている電極に固定化されたときの異なるサイズの粒子との間に形成される分離角のグラフである。
【図16A】図16Aは、液体から取り除かれている電極に固定された粒子に作用する力を示す図である。
【図16B】図16Bは、電極の側面に固定化された複数の粒子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の詳細な説明]
1つの側面において、粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;および液体から第1の電極を取り除くことにより、第1の電極と液体の間に形成される毛管力により、第1の電極の表面に粒子を固定化することとを含む粒子を濃縮するための方法が提供される。
【0014】
液体に懸濁された粒子(例えば、細菌、ウイルス、細胞および核酸)を濃縮するための方法およびシステムが提供される。電界誘導力は、粒子を液体に浸漬された第1の電極の方に追い込む。粒子が、第1の電極の極めて近接(例えば、接触する)とき、電極が液体から取り除かれ、取り除かれている電極と液体の表面の間に形成される毛管力が粒子を電極に固定化する。液体から取り除かれた電極において、粒子は、液体に以前に浸漬された部分において固定化される。電極の幾何学的な形態に依存して、粒子は、遠位のチップ、側面またはその両方に固定化される。電極の表面における粒子は、溶液中よりも電極においてより高密度に濃縮され、従って、粒子の分析(例えば、蛍光分光法などによる)が改善される。
【0015】
分析のための粒子の濃縮に加えて、濃縮された粒子は、更に、処理できる。例えば、電極上の粒子を将来の使用のために(例えば、低温凍結で)貯蔵することも可能であり、または第2の液体に導入することも可能である(例えば、細胞への粒子のインサイチュー導入など)。更に以下に詳細に記載されるように、ここで開示される方法およびシステムは、種々の医学的な関連分析物、例えば、細菌(例えば、結核菌)、ウイルス(例えば、HIV)、細胞(例えば、ショウジョウバエ細胞)および核酸(例えば、DNAおよびRNA)などのための生物学的流体を分析するための簡単、迅速および安価な手段を提供する。
【0016】
例えば、本発明の方法は、電極上でTB細胞を濃縮および固定化し、蛍光分光法で細菌を分析することにより10分内にヒト痰から直接的に結核菌(TB)を検出することが示されている。TBを検出するための現在許容される方法、チール−ネールセンスメア試験は、典型的には完了するまでに3日間を必要とする。従って、典型的な態様において、本発明は、劇的に改善されたTBの検出を提供し;更なる態様は、同様に他の疾患の検出する可能性を提供する。
【0017】
当該方法は、第1の電極を、粒子を含む液体に浸漬することにより始まる。液体は、典型的には、複数の粒子を含み、且つ粒子は、典型的には、例えば、細菌、ウイルス、または他の検出されるべき標的分子などの分析物である。
【0018】
第1の電極は、電気的に伝導性のある物質、例えば、金属、ドープされた半導体または伝導性ポリマーなどにより作られる。以下に記載されるような電界誘導力を生じるために第1の電極により十分な電界が生じる限り、金属を被覆した絶縁体もまた、当該方法において有用である。
【0019】
ここにおいて使用されるとき、第1の電極に関して「アスペクト比」は、液体に浸漬される第1の電極の長さに対する第1の電極の直径(例えば、遠位のチップ直径など)の割合を意味する。電極が円錐である場合、電極の平均直径が、第1の電極の直径の推定値を提供する。
【0020】
第1の電極は、液体中に浸漬される比較的大きな表面積を提供するために高アスペクト比を有する。高アスペクト比のために、遠位のチップの直径は、1mmよりも小さく、それにより、当該方法の間に亘って高い強度の電界を生じるために比較的小さい領域を提供する。例えば、第1の電極の高アスペクト比は、例示的な態様において、DEPを用いる電極に対してDNAを結合するために十分な集中された電界を提供する。1つの態様において、高アスペクト比は、直径:長さの比で1:1から1:100である。
【0021】
1つの態様において、第1の電極は、チップを含み、ここにおいて、第1の電極のチップは第1の電極の遠位の末端であり、単一点で終結する。当該第1の電極チップは、円錐形、曲線的または切頭形であってよい。1つの態様において、遠位末端は切頭されており、単一点で終結する先端部を持たない。第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と、遠位短手寸法を有する遠位のチップ(遠位の先端部(distal tip))とを含む。円錐形のチップについては、遠位短手寸法が、軸短手寸法よりも小さい。チップを伴わない円柱状の第1の電極については、短手寸法は等しい。
【0022】
第1の電極の形態は、特定の適用に適するように変更できる。チップの形状大きさは、第1の電極において、本発明の方法を介して粒子が優先的に固定化される位置を決定するであろう。例えば、切頭された遠位末端を有する円柱状の第1の電極は、当該円柱の切頭された遠位末端に対立する円柱の側面に粒子を集中する傾向があるであろう。
【0023】
用語「ナノチップ」および「マイクロチップ」は、ここにおいて使用され、それぞれ、約1ミクロン未満の直径と、約1ミクロン以上直径を有する第1の電極を記載する。
【0024】
液体は、粒子を懸濁または溶媒和することが可能な何れかの液体である。代表的な液体は、水、有機溶媒およびイオン性溶媒を含む。当該方法の液体は、溶液または懸濁液でよく、代表的な液体は、生物学的流体、例えば、血液、痰、粘液および唾液などを含む。生物学的流体は、特に、典型的には、高度の複合体および細菌、細胞、タンパク質、DNAおよび他の物体を含む多数の粒子を含む。本発明の1つの態様において、第1の電極は、生体から抽出された生物学的流体、例えば、血液サンプル、粘液サンプル、唾液サンプルまたは痰サンプルなどに直接に浸漬される。特定の分析物粒子、例えば、結核菌が、本発明を使用する第1の電極上で濃縮され固定化される。1つの態様において、生物学的流体は、生体からの抽出と試験の間で処理される。そのような処理は、酸および/または塩基処理、希釈、化学処理、加熱/冷却、または本方法において使用するためにサンプルを調製するために必要な他の処理工程を含んでよい。しかしながら、例えば、結核菌などを試験するための幾つかの公知の方法に比較した本方法の利点は、本発明の方法を実施するために生物学的流体の調製が、殆どないか、または調製が不要であるということであり、ところが、公知の方法のためには、サンプルの多数の処理が必要である。
【0025】
第1の電極が液体に浸漬され、それにより、電極が固定化されるべき粒子との近傍に持ち込まれる。第1の電極は、溶液に全体的または部分的に浸漬される。当該方法は、第1の電極による電界誘導力の発生に続き、これが粒子を第1の電極表面の方に追い込む。電界誘導力は、第1の電極から広がる電気運動力または二電子運動力であり、粒子に作用する。代表的な電界誘導力は、二電子伝達、電気浸透流、電気泳動およびその組み合わせを含む。1つの態様において、電界誘導力は、液体との接触における第1の電極と第2の電極の間で生じる。電界誘導力は、典型的に、当該力を生じるために第1の電極と第2の電極を必要とする。第1の電極は、液体中に浸漬されているため、液体と接触する。第2の電極も、液体に接触し、液体中に挿入される電極であってよいか、または更に図1A−3に関して考察されるように液体のための支持体であってもよい。
【0026】
第1の電極の横断面は何れの形状を有してもよい。代表的な形状は、円形、三角形および四角形断面を含む。円錐形電極は、特に、有用であり、それは、マイクロおよびナノスケールに共通する製作方法が本発明の第1の電極を作るために結果として有用であり、結果として円錐形状電極になるからである(例えば、中間スケールのワイヤーを一点になるまでカッティングする、または円錐形構造にナノワイヤーを構築する)。代表的な第1の電極はまた、次に、テーパーのある遠位末端(「チップ」)に切頭される幾何学的な形状の断面(例えば、四角形)、例えば、円錐形または半球形のチップに切頭された円錐形または円形断面ワイヤーなども含む。
【0027】
本発明の方法において有用な電界誘導力は、当業者に公知であり、ここに暫時的に記載されるであろう。二電子伝達 (DEP)は、誘電力であり、そこにおいて、粒子に誘導される双極子は、高いまたは低い電位の領域に粒子の誘引または反発を生じ、それに基づいて、DEP効果は正のDEPまたは負のDEPである。交流が、典型的に、DEP力を動かすために使用される。ここに記載される態様において、正のDEPは、第1の電極の表面に対して粒子を誘引するために典型的に利用される。
【0028】
電気浸透は、液体において流れを生じ、抵抗力を介して第1の電極の方に粒子を輸送し、結果として粒子の濃縮を導く。AC電界が第1の電極に負荷されたときに、イオン層が第1の電極の表面を形成する。電極(および結果として得られる二重層)の電荷の信号は、電位の変化に従って変化する。そのような場合において、負荷されたイオンの静電力の変化は、表面の接線方向において発生し、それはAC電気浸透流を誘導する。電界強度は、第1の電極の末端からの距離が増大すると共に減少し、流速は、電極遠位末端で最大になり、更に電極の軸まで迅速に減少する。不均一な流速が第1の電極における電界強度の結果のために生じるために、渦が液体において生じる(これが、第1の電極の近傍に粒子を濃縮する)。
【0029】
図1Aは、本発明の代表的な態様の概略図を図示し、そこにおいて第1の電極105が第2の電極115によって支持される液体110に浸漬される。複数の粒子120は液体110に懸濁される。電気信号発生器125は、第1の電極105および第2の電極115に機能的に接続され、ACおよび/またはDC信号を電極105、115に端から端まで印加する。電極105、115の形状に依存して、電気信号発生器125からの印加信号、粒子120の電気/誘電特性、液体110の電気/誘電特性、多くの異なる電界誘電力が発生され、粒子120を操作する。図1Aは、粒子120が電界の適用によって第1の電極10f5に向けて直線的に追い込まれるように、DEPによって影響される粒子120を図示する。矢印130は、粒子120上での力の方向を示し、液体の間の粒子は第1の電極105の方向で一般的に追い込まれる。
【0030】
図2は、図1Aと図2の間の電界誘導力変化のみを伴う、図1Aと同様な概略図である。図2において、第1の電極105と第2の電極115の間の電気信号発生器125によって発生される電界は、電気浸透流を結果としてもたらし、電界が液体110内で流れパターンを発生し、液体110内で円形環流パターンを作ることを示す長円形環として図示される。粒子120は、電気浸透流205によって影響され、そして幾つかの粒子120は第1の電極105に向かけて優先的に追い込まれる。
【0031】
図3は、図1Aおよび図2に示されるのと同様なシステムを図示する。図3は、両方の電気浸透流205とDEP130を図示し、かつ第1の電極105表面を覆う第1の結合対305の層をまた含む。第1の結合対305は粒子120に結合される第2の結合対に優先的に結合される。従って、3つの力は図3に図示されるシステム;液体110内の粒子120を環流する電気浸透流205;粒子120を第1の電極105に向けて優先的に追い込むDEP130;および第1の電極105に結合され、粒子120に結合される第2の結合対に優先的に結合される第1の結合対305:を含む;において役立つ。結果として生じる力は、粒子120が濃縮される表面において、第1の電極105に向かう液体110を通して粒子120の運動で最大に達する。
【0032】
ここで開示される方法は、分析物を固定化する工程に続き、第1の電極の表面において第1の電極を液体から取り除くことによって第1の電極と液体の間に形成される毛管力を用いる。
【0033】
図1Bは、図1Aに図示される態様の概略図を示すものであり、ここにおいて、第1の電極105は液体110から引き出され、且つ液体と第1の電極105の間の界面での毛管作用は引き出された第1の電極105の表面に沿うその界面で捕獲される粒子を固定化する。例えば、粒子120は第1の電極105と液体110間の界面で図1Aに図示され、表面張力は、明確にする目的のために強調して図示する。第1の電極105は液体110から取り除かれるので、界面での表面張力が第1の電極表面において第1の電極105に隣接する粒子120を固定化する。図1Bは、粒子120および引出された第1の電極105の表面上に固定化される他の粒子を図示する。
【0034】
粒子は、液体からの取り出しにおいて、第1の電極表面に固定化される。液体からの取り出しに先駆けて、電界誘電力および任意の結合対相互作用が、粒子を第1の電極の近傍に追い込み、且つ取り除きにおいて、電極と液体間の界面での毛管力および周囲雰囲気(固体−液体−気体界面)が組み合わされた電極への接近が、第1の電極表面に向かう粒子上で力をもたらす。液体からの取り出しにおいて、粒子が一旦、第1の電極に固定化されると、種々の力は第1の電極において、固定化される粒子を維持するために作用し、その力は静電気力、毛管力、化学結合および活性電気力(例えば、電気信号が第1の電極を通過すべく続行する)を含む。
【0035】
液体からの電極の除去速度は、第1の電極において、固定化される粒子のサイズおよび数に影響する。除去速度は、1μm/秒から10mm/secの範囲である。緩慢な除去速度は毛管作用を正確に制御するために用いられ、それは捕獲される粒子のサイズおよび数の測定を助ける。早い除去速度は正確な操作を必要としないデバイス(例えば携帯および/または使い捨てデバイス)に対して有用である。
【0036】
当該方法は、固体−液体−気体界面で第1の電極の短手寸法(例えば直径)より小さい粒子を固定化するために有用である。第1の電極上の粒子を固定化するための力の均衡は、典型的に第1の電極において固定化される粒子直径(球状粒子を仮定する)は、第1の電極(円錐形もしくは円柱状第1の電極の形状を仮定する)の直径よりも小さい。
【0037】
図1Aから図3に示すように、円錐形電極105について、第1の電極のチップ直径は、第1の電極の円錐形部分の長さによって変化する。図1Aおよび図1Bに図示されるように、線150は特定位置での円錐形第1の電極の横直径を表す。液体から第1の電極上に固定化された粒子120は全て、線150で第1の電極の直径よりも小さい直径となるであろう。図1Aおよび図1Bに図示される円錐形の第1の電極105の直径傾斜は、最大粒子サイズの傾斜が複数の粒子サイズを含む液体110中で前記第1の電極105の形状の使用から齎されるであろうという可能性を導く。狭い最大粒子サイズ分布のために、円柱状の第1の電極が使用できる。
【0038】
球状粒子は本発明の方法の固定化が生じるために存在する必要がない。図1Aから図3のように、便宜上、粒子を表す目的のために、および粒子(例えば、「直径」を有する粒子)を記載するために球体を用いる。しかしながら、球状粒子は、特異的に形成されるマイクロおよびナノ球体(例えばポリマーまた無機ナノ球体)以外、マイクロおよびナノスケールではまれに生じるものである。1つの態様において、少なくとも1つの粒子の寸法は、第1の電極の横直径よりも小さく、それにより電気誘電力、第1の電極寸法および毛管力が組み合わされた力が、第1の電極の表面において粒子を固定化するために組み合わされる。
【0039】
1つの態様において、粒子は、有機粒子、無機粒子、ウイルス、細菌、核酸、細胞およびタンパク質からなる群より選択される。ここで引用されていない生物学的粒子を含む他の粒子もまた、ここに記載される方法に適合性である。
【0040】
1つの態様において、ウイルスは、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、エプスタイン-バーウイルス、疱疹ウイルス、1型、疱疹ウイルス、2型、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、8型、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、フラビウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス、パピローマウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エボラ、マールブルク、ハンタ、レオウイルス(reo virus)、呼吸器系合胞体ウイルス、トリインフルエンザウイルスおよび西ナイルウイルスからなる群より選択される。1つの態様において、細菌は、結核菌、E.coli、ブドウ球菌(staphylococcus aureus)、メチシンリン耐性ブドウ球菌(MRSA)、サルモネラおよび緑膿菌からなる群より選択される。1つの態様において、細胞は、ショウジョウバエ細胞である。
【0041】
1つの態様において、第1の電極の短手寸法(latitudinal 寸法)は、1mm未満である。1つの態様において、第1の電極の短手寸法は、1nm以上である。1つの態様において、第1の電極の短手寸法は、1nm〜1mmである。上記に記載されたように、特定の第1の電極の形状、例えば、円錐形電極は、異なる短手寸法を有し、この態様の寸法の範囲は、最少の測定された短手寸法、即ち、電極の遠位のチップまで言及するものである。
【0042】
1つの態様において、第1の電極は、少なくとも部分的に表面コーティングにより被覆される。第1の電極は幾つかの目的のために被覆されてよいく、電極材料と粒子および/または液体との間の緩衝を提供すること;第1の電極が粒子に選択的に結合するような機能を持たせること;および粒子の特定の種類(例えば、固定化のために望ましくない粒子)に選択的に抵抗するように第1の電極に機能を持たせること;を含む。
【0043】
1つの態様において、表面コーティングは、単分子層またはポリマー層の何れである。単分子層、例えば、自己集合単分子(SAM)などが知られており、表面に対して特定の分子種をグラフトすることを介して表面を機能化する経路を提供する。例えば、チオールと金との間の結合は、特に当業者に公知であり、従って、金の第1の電極は、チオールコーティング分子で機能化され、疎水性から親水性に亘る表面特性、更に、カスタマイズされた化学的機能性を有する金の第1の電極が産生される。
【0044】
ポリマー層もまた、第1の電極を被覆するために使用される。1つの態様において、ポリマーはポリシロキサンである。例示的なポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であり、第1の電極の伝導性材料と粒子および液体との間での緩衝として使用され、第1の電極の完全性を保存する。例示的な態様において、電極は、炭化ケイ素(SiC)ナノワイヤーとカーボンナノチューブの混成材料から製作される。ポリマーは、第1の電極を、液体に暴露されたことによる分解から保護し、且つ粒子、例えば、DANなどと第1の電極のCNTとの間の非特異的な結合を阻害する。
【0045】
表面コーティングは、少なくとも第1の電極を部分的に被覆し、典型的には、電極の全体がコーティングにより被覆される。しかしながら、第1の電極の部分のみの選択的なコーティングが、粒子を被覆または未被覆の第1の電極の部分に対して方向付ける、または被覆または未被覆の第1の電極の部分から遠ざけて方向付けるために利用されてよい。
【0046】
1つの態様において、表面コーティングは、第1の電極での粒子の固定化を増強する。コーティングにより生じる固定化の増強は、当業者に公知の何れかの機序を介していてよい。特に、優先的に同様に疎水性または親水性特性を有する粒子に結合する疎水性または親水性コーティングが提供されることによる(例えば、第1の電極のフッ化アルカンコーティングは、疎水性-疎水性相互作用を介して、疎水性特性を有する粒子に対して選択的に結合するであろう)。
【0047】
1つの態様において、表面コーティングは第1の結合対を含み、粒子は、第1の結合対に結合可能な第2の結合対を含む。そのような結合対の利用は、液体における電界誘導力の使用を介して第1の電極に極めて接近するように粒子が追い込まれるときに、第1の電極と粒子との間の結合を提供する。結合対は、当業者に公知であり、化学的結合対、抗体-抗原対、核酸結合(例えば、DNAおよび/またはRNA)、酵素-基質結合、レセプター-リガンド結合、核酸-タンパク質結合および細胞結合(例えば、細胞、細胞膜またはオルガネラのためのリガンドへの細胞、細胞膜またはオルガネラの結合)を含む。本発明における第2の結合対への第1の結合対の幾つかの例示的態様が、以下に提供される。
【0048】
第1の電極上の粒子の固定化において、幾つかの任意の追加の工程が、粒子の濃縮の更なる工程のために提供され、それは、固定化された粒子の分析、貯蔵および放出が含まれる。1つの態様において、当該方法は、第1の電極に固定化された粒子の分析を含む。
【0049】
分析は、粒子の固定化の前、固定化中または固定化の後に行われてよい。代表的な分析技術は、第1の電極が浸漬される間に生じる技術(例えば、抵抗検出)、および溶液の外で行われる技術を含む。代表的な分析技術は、電気的な、機械的な、光学的な、and 表面イメージング技術およびその組み合わせを含む。1つの態様において、光学的な分析は、粒子(例えば、DNA分子)に対する発光化合物(例えば、蛍光タグ)を結合して発光粒子を提供する工程および蛍光顕微鏡および/または蛍光分光法を用いて発光粒子からの発光を検出する工程を含む。
【0050】
固定化された粒子は、固定化された粒子と相互作用し、特定の効果、例えば、蛍光などを生ずるであろう化合物を含む第2の液体に浸漬されてもよい。例えば、電極に固定化されたDNAは、DNAがハイブリダイズしたときに蛍光を発する分子を含む溶液に浸漬されてよい。DNAとのハイブリダイゼーションにおいて、DNAは蛍光分光法により検出される。
【0051】
分析物粒子を電気的に検出するための代表的な技術は、キャパシスタンス、抵抗、コンダクタンス、インピーダンスおよびその組み合わせを測定するための技術を含む。
【0052】
当該方法はまた、第1の電極を貯蔵して、固定化された粒子を保存することも提供する。代表的な態様において、第1の電極を貯蔵することは、固定化された粒子を保存するための低温凍結を含む。低温凍結は、任意に、固定化された粒子を凍結する前に、凍結保存剤(例えば、DMSO)に浸漬することを含む。貯蔵された粒子は、更に、上記の技術を使用する更なる分析のために保存されてよく、更に、後の時間に更に操作されてもよい。
【0053】
1つの態様において、当該方法はまた、固定化された粒子を放出すること、例えば、粒子を第1の電極から溶液に放出して予め固定化された粒子を豊富に提供することを含む。固定化された粒子の放出は、細胞、ウイルスおよび細菌を含む群から選択された集合体に粒子を放出することを含む。更に以下に記載されるように、当該方法は、1つの種類の粒子、例えば、DNAなどを、1つの溶液、例えば、ヒト血液サンプルなどから選択的に濃縮するため、血液サンプルから第1の電極上に集中されたDNAを取り除くため、および第2の環境(例えば、細胞など)に導入するため、細胞に固定化されたDNAを放出してDNA豊富な第2のサンプルを提供するために使用されてよい。この選択的な結合、濃縮および放出の一連の手続きは、ここにおいて記載された何れの粒子を用いて行われてもよく、従って、分子およびナノスケールの製造が、選択された粒子を固定化することおよび放出することを介して達成され、所望の複合体を形成してよい。
【0054】
固定化および放出は、熱エネルギー、化学的エネルギー、電気的エネルギー、機械的エネルギーおよびその組み合わせの処理を介して齎されてもよい。1つの態様において、当該方法は、比較的大型の粒子(例えば、細胞など)をマイクロチップに固定化すること、ナノチップを使用して、より大きな粒子(例えば、DNAなど)の内側から比較的小さな粒子を固定化することを含む。
【0055】
1つの態様において、電界誘導力を生じることは、表面コーティングを配向すること(orienting)を含む。特に、表面コーティングが、分子の単分子層またはポリマー分子の薄層であるならば、電界誘導力を提供する電界は、表面コーティングの分子を(例えば、電界線に沿って)整列させる傾向があってよく、この整列は、第1の結合対と第2の結合対の間の結合を、液体において、粒子に対して結合される結合対を誘引するために配向されたまたは整列された表面を提供することにより補助できる。
【0056】
1つの態様において、第1の電極は、米国特許出願61/108799に記載される方法により形成された炭化ケイ素およびカーボンナノチューブの混成材料(CNT/SiC)で構成され、当該文書は、引用によりその全体がここに組み込まれる。即ち、混成材料は、金属材料、例えば、金被覆タングステンなどのミクロンサイズのチップから製作される。組み合わされたカーボンナノチューブと炭化ケイ素ワイヤーは、数時間に亘る超音波処理を使用して別々の容器に分散される。その溶液が組み合わされて、使用に先駆けて1時間に亘り超音波処理される。マイクロチップは、組み合わされたCNT/SiC溶液に導入され、1秒当たり約10μmの速度でマイクロチップを取り除くのに先駆けて、AC電位が当該マイクロチップに印加され、結果として、炭化ケイ素ナノワイヤーに対して結合されたカーボンナノチューブの束の形成、および炭化ケイ素ナノワイヤーと共に接合されたカーボンナノチューブの束の作成が得られ、これは図4Aおよび図4Bの顕微鏡写真に図示する通りである。PDMS被覆CNT/SiC電極を図4Cおよび4Dに示す。
【0057】
当該方法はまた、上記の単一の第1の電極濃縮装置のマルチプレックス変形のために提供される。この態様において、当該方法は、更に、高アスペクト比を有する第3の電極を、粒子を含む液体に浸漬すること;液体中の粒子を、優先して当該第3の電極の方に追い込むように、前記第3の電極を使用して電界誘導力を生じること;および取り除かれている第3の電極と液体との間の毛管力が第3の電極の表面に粒子を固定化するように、第3の電極を液体から取り除くこと;を含む。第3の電極は、前に記載された態様における第1の電極と類似する。第4の電極が、第1の電極と第2の電極対が液体において1つの電界誘導力を生じ、且つ第3および第4の電極対が当該液体において異なる電界誘導力を形成するように、この態様の方法において任意に導入されてもよい。代替的な態様において、第1の電極および第3の電極が、異なる液体集合体に浸漬され(例えば、第1の電極は第1の液体中にあり、第3の電極が第2の液体中にある)、各液体が、同じまたは異なる粒子を含んでもよい。従って、幾つかの電極が、例えば、薬物候補スクリーニングのための並行するアッセイにおいて、または生物学的試験において、単一の液状物体から、または複数の液状物体から粒子を濃縮するために使用されてもよい。加えて、電極(例えば、第1の電極など)の表面機能付与を介して、複数の種が特異的に固定化または検出、および/または同時に貯蔵されてもよく、それによりは、理量を増大し、且つ検出コストおよび時間を低減できる。
【0058】
もう1つの側面において、本発明は、粒子を濃縮するシステムを提供する。1つの態様において、当該粒子濃縮システムは、高アスペクト比と短手寸法を有する第1の電極と;当該第1の電極の短手寸法よりも短い短手寸法を有する第1の粒子を含む第1の溶液と;取り除かれている第1の電極と第1の液体との間に形成される毛管力が当該第1の電極の表面に当該第1の粒子を固定化するように、当該第1の液体に当該第1の電極を取り除くような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くように構成されたアクチュエーターと;および、当該第1の電極が第1の液体に浸漬されたときに、当該第1の粒子が優先的に当該第1の電極の方に追い込まれるように、第1の電極で電気誘導力(電気的に誘導される力)を生じる大きさで、且つ当該第1の電極が第1の液体に浸漬されたときに、当該第1の粒子が優先的に当該第1の電極の方に追い込まれるように、第1の電極で電気誘導力(電気的に誘導される力)を生じるように構成された電気信号発信機と;を含む。
【0059】
ここで記載された当該粒子濃縮システムは、電極、液体および粒子が当該方法および当該システムの両方に適用できるように、本発明の方法およびそのような側面に関して上述されている。
【0060】
液体に浸漬され、液体から取り除かれる大きさで、且つ液体に浸漬され、液体から取り除かれるように構成される当該アクチュエーターは、当業者に公知であり、好ましい態様において、当該アクチュエーターは、機械的アクチュエーター、例えば、圧電気アクチュエーターまたは手動位置決め可能なアクチュエーター(例えば、マイクロマニピュレーター)などである。当該アクチュエーターは、第1の電極の一部分を液体中に及ばせること、および固定化された粒子が更に処理または分析され得るように第1の電極の全体を液体から回収することが可能な移動範囲をする。
【0061】
電気信号発生器は当業者に公知であり、例えば、それらはACおよび/またはDC信号を当該システムの第1および第2の電極に送達することの可能である。
【0062】
電極の更なる組み合わせを含むシステムもまた考慮され、各電極対の電気信号および作動は、他の電極対と独立して、または他の電極対と協同するかの何れかで制御されてよい。
【0063】
もう1つの側面において、粒子を濃縮する方法が提供され、当該方法は、粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、当該遠位短手寸法は1ナノメートルから1ミリメートルであり;および当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことを含む。この態様の種々の詳細は、ここにおいて上記の側面および態様に関して記載されている(例えば、粒子、電極材料および液体)。
【0064】
1つの態様において、当該粒子は上述のように電界誘導力を使用して第1の電極の表面に固定化される。固定化は、任意に上述されたように、結合相互作用を含む。この態様において、電気的検出(例えば、抵抗測定)が、ここに記載される通りの第1の電極の表面での結合イベントを結合するために有用である。
【0065】
ポリマーナノ球の固定化およびサイズ選択性
この例示的な例において、二電子伝達および毛管力が使用され、ポリスチレンナノ球体が電極に固定化される。CNT/SiC電極(「ナノチップ」)が、第2の電極として作用するタングステンコイルに2μLの液滴として支持されたナノ球体を含む水性溶液に浸漬された。10kHzで20VppのAC電位を電極とポリスチレン球体との間に印加し、ナノチップの近傍にあるポリスチレン球体を、生じたDEP力によってナノチップに対して誘引した。8μm/sの速度で溶液からの取り出しにおいて、球体がナノチップに固定化され、これは以下に示される通りである図4A(450nm球体、525nmチップ);図5B(475nm球体;515nmチップ);および図5C(100nm球体と6ミクロン球体との混合物から600nmチップに捕獲された100nm球体)。図5Cは、本発明のサイズ選択性を示す:チップ直径よりも小さい球体が固定化された一方で、チップ直径より大きい球体は固定化されなかった。
【0066】
電極が、球体のクラスタに取り囲まれたとき、複数粒子相互作用が生じ、球体は、チップの側面に固定化され、これは図5Bに示される通りである。電極周囲のクラスタ形成がナノ球体固定化の間に生じ、これは、球体が毛管作用によって固体-液体-気体界面に追い込まれることによるものである。当該界面への球体の送達は、毛管作用のための液体の蒸発と圧縮力との組み合わせにおけるEDP力によって発生される。
【0067】
幾何学的および複数粒子相互作用以外の効果、電極の表面特性および電界効果(例えば、電気湿潤など)は、表面張力およびそれにより、粒子の固定化に作用する力のバランスに影響する。加えて、分子相互作用力(例えば、ファンデルワールス力)もまた存在する。従って、幾つもの可変性が存在し、それが空気-液体-固体界面での粒子の固定化を導く条件に影響し、且つ粒子、電気誘導力(電気的に誘導される力)、液体、および環境条件の各系が、標的粒子を固定化するための独特なパラメータセットを生じるだろう。例示的な条件が、興味のある標的粒子を優先的に固定化されることを最適化できる。
【0068】
DNAの固定化
この例示的態様において、DNAは、電極に捕獲される。TRIS EDTA(エチレンジアミン四酢酸)緩衝溶液中のλ-DNAを調製した。AC電界を有するCNT/SiCナノチップを使用して、λ-DNAを二電子伝達と毛管作用により電極に濃縮した。図6A−6Cは、捕獲されたλ-DNA分子をナノチップの原繊維として示す。
【0069】
DNA溶液(濃度:500μg/mL)中にナノチップを浸漬すること、および取り除くことにより、〜400μm長DNA原繊維を、チップの末端で形成した。多くのDNA分子が溶液中に存在しているため、チップを溶液から取り除いたときに、毛管力により分子が原繊維を形成した。図6Aは、ナノチップ上に捕獲されたDNAの光学顕微鏡写真であり、図6Bは、対応する蛍光顕微鏡写真である(PICOGREEN(登録商標)試薬と混合したDNAから生じた蛍光による)。図6Cは、図6Aのサンプルの電子顕微鏡写真である。
【0070】
固定化されたDNAのEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)分析(加速電位:10kV)は、C、N、O、Na、Si、PおよびClを含む成分を同定した。CおよびSiは、SiCナノワイヤーおよびCNTから生じる。NaおよびClは、緩衝溶液中に存在する。DNAの成分、C、N、OおよびPも検出される。特に、Pは、この系におけるDNAに独特な成分である。従って、原繊維がDNAであると確認された。Pは、DNAを含まないコントロールサンプルでは検出されなかった。
【0071】
純粋なサンプルおよび混合されたサンプルについてDNA固定化を検討した。種々の濃度のDNA分子をナノチップに固定化した。捕獲されたDNAを蛍光顕微鏡により分析した。DNA溶液の濃度は、10倍ずつ、1pg/mL(32aM)から1μg/mL(32pM)まで調製した。図6Dは、異なるDNA濃度について、本発明の方法を使用して測定した蛍光強度のグラフである。実験は、各DNA濃度について、3回繰り返した。蛍光強度は、純粋なPICOGREEN(登録商標)試薬で測定されたネガティブコントロールと比較する。この実験例で使用されたナノチップの検出限界は、10pg/mL(320aM)である。
【0072】
細胞を含むサンプル混合物からのDNAのサイズ特異的捕捉を検討するために、ショウジョウバエ細胞を純粋なλ-DNA分子とTRIS EDTA緩衝溶液中で混合した。調製されたDNA濃度は、10倍ずつ、0.67pg/mL(21aM)から0.67μg/mL(21pM)までであった。図7は、細胞なしでDNAを含む溶液の検出された二重反復の一組と比較した、DNA/細胞混合物から抽出された固定化されたDNAを有する電極で検出された蛍光強度を比較するグラフである。結果として得られた強度値は、DNA溶液における細胞の存在は、当該方法の精度に影響しないことを示す。DNA分子は、ナノチップに固定化され、同時に細胞は、それらのより大きなサイズとそれらを液体中に維持する関連するより大きな毛管力のために溶液に残留した。ショウジョウバエ細胞の正規化された直径(10μm)が、ナノチップ直径(544nm)よりもかなり大きいことから、細胞はナノチップに捕獲されない。続く実験において、しかしながら、細胞が、AC電位(20Vpp@5MHz)を使用した直径250μmのマイクロチップに固定化された。サイズ特異的捕獲は、生サンプルまたは最小限で処理されたサンプルでのDNA検出を可能にし、それによりDNAがサンプルの精製なしで、公知のDNA検出方に要求されているように検出された。
【0073】
遊離核酸(例えば、循環または溶存DNAなど)も、本発明の方法を使用して検出できる。循環DNAは、疾患診断および環境分子生物学の分野において大きく関心を持たれている。正常細胞におけるゲノムDNAとは異なり、循環DNAは、死細胞から放出された遊離DNAである。従って、体液中を循環する細胞外DNAは、種々の急性疾患、例えば、癌などの初期指標として使用することが可能である。例えば、循環DNAの濃度が、健康なヒトでは〜30ng/mLであるが、その濃度は、癌患者では〜300ng/mLまで増大する。
【0074】
環境モニタリングのためには、湖および土壌に溶解された循環DNAが環境品質の指標である。
【0075】
その診断上の可能性にも拘らず、循環DNAの研究は、標準サンプルの調製方法により制限される。従来の技術は、生サンプルからのDNAの濾過、遠心および取得により開始する。そのようなプロトコールでは、ゲノムDNAは放出されて、循環DNAと混合される。加えて、ゆっくりとしたサンプル調製工程は、循環DNAを分解および変異させ得る。従って、循環DNAを濃縮できる迅速な方法は、有益な診断および分析手段である。
【0076】
本発明の方法は、遊離DNAを直接に濃縮および検出するために提供される。例えば、CNT/SiCナノチップ電極を湖水から遊離DNAを固定化するために使用された。実験結果は、光学顕微鏡を使用した生溶液において観察された細胞および他の大きな粒子は除いた一方で、循環されたdsDNA(二重鎖)のサイズ選択性の捕獲を示した。遊離DNAの同定は、蛍光標識付けと顕微鏡により行った。
【0077】
二電子伝達を使用するDNAの配列特異的濃縮
この例示的態様において、サンプル溶液中の標的DNAを高周波数AC電界下での誘導双極子(DCP)モーメントを有するCNT/SiCナノチップ電極上に送達し、濃縮した。標的DNAの特異的結合が配列特異的ハイブリダイゼーションにより達成されて、プローブDNAが固定化された。ナノチップに対するDNAの最終的な固定化は、溶液からのナノチップの取り出しの間に毛管力により促進された。捕獲されたDNAは蛍光および/または電気的測定により検出された。
2mm直径の球状の液滴において標的DNAは、ナノチップ末端の1μm3の領域に濃縮され、濃縮は約1010倍である。この劇的な濃縮効果のために、DNA検出の感度は、従来の非酵素的なバイオセンサーの106〜108倍に増大する。更に、DNAハイブリダイゼーションは、高周波数AC電界により促進され、それが公知の検出法に要求された時間数または日数と比較すると10分の検出時間を達成する。
【0078】
この例示的な態様において、CNT/SiCナノチップは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で被覆され、DNA分子とナノチップのDNTとのナノスケールの結合を回避させた。チップセンサーの感度を検討するために、AC電界(5MHz)およびハイブリダイゼーション時間を最適化し、それぞれ10Vppおよび5分のパラメータを得た。マイコバクテリウム・ツベルクロシス(mycobacterium tuberculosis (MTB))のプローブDNAは、5’−ビオチン−CAG CGC CGA CAG TCG GCG CTT GTG−31 (配列番号1)(初期濃度:38.3μM、Invitrogen)として調製した。配列は、MTB rpoB遺伝子のコドン531を含み、これは、TBの系統発生的なマーカーであり、且つまた2つの通常の第一選択の抗結核薬のうちの1であるリファンピシンに対する感受性の敏感な指標である。プローブDNAは、ナノチップの末端に固定化された。擬似標的DANは、配列5’− CAC AAG CGC CGA CTG TCG GCG CTG −3’(配列番号2)のオリゴヌクレオチドであった(初期濃度:35.3μM)。挿入色素(PICOGREEN(登録商標)、Invitrogen)を使用して、蛍光によりハイブリダイゼーションを確認した。標的濃縮は、10倍ずつ増大させた1aM〜1nMまでで調節した。測定された検出限界は10aM(10−17または6,000コピー/mL)であり、これは、技術現状の検出法、例えば、スメア光学顕微鏡法に匹敵する。
【0079】
電気浸透流を使用する細菌固定化
細菌の培養フリー検出のために、ミクロンスケール電極(「マイクロチップ」)を使用して、マイコバクテイルム・ツベルクロシス(MTB)の細菌細胞を固定化し濃縮した。水性溶液中の細菌をAC電界により生じた循環流(電気浸透流)で濃縮した。濃縮された細菌は、電気浸透流および静電誘引(電気泳動)によりマイクロチップ表面に対して誘引した。誘引された細菌の最終的な固定化は、液体からの電極の取り出しの中の毛管力の結果生じた。図8Aは、その表面に固定化されたMTB細胞を有するマイクロチップの光学(上)および蛍光(下)イメージング下での顕微鏡写真を示す。
【0080】
MTBは蛍光顕微鏡で検出された。蛍光測定のために、MTBの表面抗体に対して特異的な蛍光標識したポリクローナル抗体を使用した(ViroStat Inc、Portland、ME)。固定化されたMTB細胞を有するマイクロチップを抗体溶液に5分間浸漬し、脱イオン水で濯いだ。次に、MTB細胞を蛍光顕微鏡下で検出した(Olympus BX-41、Olympus America Inc.、Melville、NY)。
【0081】
マイクロチップセンサーの感度は、少なくとも800細胞/mLであり、図8Bに示す通りである。検出は、10分間で完了した。この細菌濃縮法は、生生物学的サンプル、例えば、ヒト痰などからMTB細菌を捕獲できる。捕獲の特異性を増大するために、任意に抗体が電極に固定化される。
【0082】
更なる実験において、固定化されたMTB細菌が、純水に放出され(例えば、沸騰水への浸漬など)、DNAに関して上述のナノチップでの種特異的な検出のためのそれらのゲノムDNAが抽出される。本方法は、非酵素的であるために、従って、溶菌液中の妨害物質に高い感受性がなく、DNA抽出物は、溶解/ハイブリダイゼーション緩衝液で短時間に沸騰させ、次に放出されたDNAの選択的な捕獲のためにナノチップを使用する提供された本発明の方法を実施するのと同様に迅速且つ簡素な方法により達成される。
【0083】
電気的なMTB細胞の検出
上述した以前の例示的な態様は、光学および/または蛍光検出を使用する固定化された粒子の検出を含む。この例示的態様において、電気的検出は、MTB検出のために利用される。
【0084】
XYZステージが、TBセンシングのための金被覆タングステンと同様に構成された参照用センサーを正確に位置制御するために使用され、これらの両方がサンプル溶液に浸漬された。MTBセンサーが、MTBの捕捉および検出のために使用され、一方で、参照用センサーが、溶液量、電極間の距離および緩衝液中のイオン濃度について補正した。代替的な態様において、マイクロウェルが使用され、参照用センシングのためのマイクロ電極を含んでよい。
【0085】
使用された溶液の用量は5μLであった。
【0086】
図9Aは、MTBセンサーと参照用センサーを有するシステムについての典型的な電流電圧曲線を示すグラフである。適用された電圧が増大したとき、測定される電流は増大した。抗体抗原反応において、電気的な抵抗は減少した。参照用センサーの電流に比較して、MTBセンサーの電流は増大した。MTBと参照用センサーの間の電流の相違を、MTBの検出のために評価する。
【0087】
ネガティブコントロールためのセンサーの性能を試験するために、MTB細胞なしのマイクロチップを抗体溶液に5分間浸漬した。引き続いて、電流を電圧の関数として測定した。次に、参照用およびMTBセンサー(センシングプローブ)の両方について測定した。この電気的な測定のために、MTB細胞が固定化されたチップを抗体溶液中に浸漬した。電流値を、5分間測定し、参照用センサーの電流により正規化した。異なる3つのマイクロチップ対を使用したこれらの試験において、MTBセンサーと参照用センサーの電流比[(ITB-Ireference)/reference]をそれぞれ平均および標準偏差で0.004+0.06と示した。
【0088】
電流比を0.8x103および8x104細胞/mLのMTB濃度について測定したとき、図9Bに示すように、電流比は迅速に80,000細胞/mLで増大した。
【0089】
単一電極を使用する電気的なDNA検出
上記の例示的態様は、2つの電極、即ち、1つのプローブ電極と参照用電極とを利用して、抗体/抗原反応において細菌を検出する。この例示的な態様において、単一電極が粒子の電気的検出のために使用される。標的粒子は、金属性粒子を含み、検出感度を改善する。
【0090】
例えば、アミンドープされたSWCHTまたは金属性SWCNTで被覆されたCNT/SiCナノチップは、金属粒子で標識された粒子の検出の感度を改善する。アミンドープされたSWCHTのバンドギャップは、DNA結合において迅速に変化する。
【0091】
SWCNTと金属性電極との間の接触抵抗を非金属性SWCNTに比べて減少するために、金属性SWCNTは、デバイスのノイズに対する信号比を改善する。
【0092】
ハイブリダイゼーション実験のために、抵抗の変化(Rf)およびキャパシスタンス(Ca1)を電極に粒子を固定化した後に測定する。Ca1の変動は、電極における電気的な二重層効果に帰するものであり、一方で、Rfの変化はDNAハイブリダイゼーションのためである。値の変化は、ナノチップ電極のハイブリダイゼーションイベントに対する感度が測定できるようにモニターされる。一旦分析がスクエアシグナル(ssquare signal)で終了すると、I−V(図10に示す)または持続的なDC分析が当該イベントを検出するために行われ、次に確認のための蛍光測定と比較される。
【0093】
電界を使用する電極における反応の増強
電界を電極に印加することによって、生物学的および化学的反応が電極(例えば第1の結合対)の表面における分子配向および粒子に結合される第2の結合対のそれらの誘引のために促進できる。本発明方法に用いるDNAハイブリダイゼーションの促進を以下に述べる。
【0094】
CNT/SiCナノチップ電極をPDMSで被覆し、それからDNAに対する結合対としてストレプトアビジンで被覆した。目標DNA(1pM、1.5μL)を0、5および10Vppで電極に印加されるAC電位を用いて5分間ハイブリダイズした。10Vppより大きい電圧はそのような電圧で電気的な絶縁破壊のために印加しなかった。ハイブリダイゼーション後に、挿入色素は蛍光分光法でDNAのハイブリダイゼーションを調査するために用いた。蛍光強度をAC電界の印加におけるハイブリダイゼーションの変化を測定するために用いた。
【0095】
図11Aは、異なるAC電位で固定化されたDNAの蛍光強度を示す。AC電位が増加するので、強度は電極におけるDNAの高濃度のために増加する。10VppはDNAハイブリダイゼーションの最も大きな増強を提供した。
【0096】
ハイブリダイゼーション時間もまた調査した。蛍光強度を10Vpp下、種々のハイブリダイゼーション時間で測定した。蛍光強度は、図11Bに図示されるように、ハイブリダイゼーション時間が5分間よりも長くなったときに飽和した。
【0097】
このように、上のシステムについて、最適なAC電位およびハイブリダイゼーション時間はそれぞれ10Vppおよび5分間であることが測定された。
【0098】
HIV-B ウイルスの固定化およびRNA検出
この例示的な態様において、電極はウイルス(HIV−B)を固定化するために用いられる。ウイルスの固定化に引き続いて、ウイルスからのRNAが蛍光分光法を用いて検出される。
【0099】
CNT/SiCナノチップ(直径500nm)を電極として用いた。HIV−Bウイルス溶液は、50,000コピー/mLの濃度でArmored RNA Quant HIV−B kit(Asuragen、Inc、Austin、TX)であった。RNA検出のために、DMSO中のQuant−iT RiboGreen RNA試薬を用い、ここで蛍光励起/発光は核酸に結合したときに500/525nmであった。試薬をRNA検出のために(購入時濃度から)200倍に希釈した。
【0100】
ナノチップ(第1の電極)を、金属性コイル(第2の電極)に懸濁されたウイルス溶液の20μLの液滴に浸漬した。14Vpp、5MHz信号を電極を横切って、1分間印加し、HIVをナノチップに固定化した。ナノチップを次に約10μm/秒で取り出し、更にHIVを固定化した。ナノチップに固定化されたHIVを次にSEMを使用して撮像し、図12に図示した。
【0101】
ナノチップに固定化されたHIVは、更にRNAのための試験に使用された。固定化されたHIVを有するナノチップは、RIBIGREEN試薬の2μLの液滴に、RIBIOGREENがウイルスの内側のRNAに挿入される時間に亘り、5分間、電界なしで浸漬された。ナノチップを次に溶液から除去し、蛍光顕微鏡により分析した。図13Aは、RIBOGREEN溶液に浸漬する前のその表面に固定化されたHIV−Bを有するナノチップの蛍光顕微鏡写真である。白色線は、顕微鏡写真におけるナノチップの位置を図示するために提供される。図13Bは、RIBOGREENで処理した後のナノチップの毛工顕微鏡写真である。ナノチップに固定化されたHIV−B内のRNAは、RIBOGREENで処理された後に蛍光を発する。
【0102】
このようにウイルス内に含まれるウイルスおよびRNAの両方が、本発明の方法を使用して固定化され、検出される。
【0103】
固定化された細胞における核酸の検出
例示的な態様において、インサイチューハイブリダイゼーション(ISH)を記載する。細胞における核酸を検出するための蛍光プローブの使用は当業者に公知である。この技術は、細胞(例えば、生存可能な細菌の指標として細菌細胞におけるrRNAまたはmRNAを検出することなど)およびウイルス(例えば、ウイルス粒子におけるRNAまたはDNAを検出することなど)の研究のための直接的な強力な手段と看做されている。しかしながら、公知のISH法は、公知の方法について要求されるように、制限された感度と固体支持体上での細胞の固定の困難性の両方に苦しんでいる。
【0104】
ここにおいて記載された態様は、ISH分析のために細胞を固定するために電極(例えば、ナノチップまたはマイクロチップ)を利用する。当該方法において、細胞は、マイクロチップ(第1の電極)上に固定化され、続いて、核酸プローブを含む第2の溶液に浸漬され、それにより細胞中の細胞核酸を検出することが可能になる。細胞における核酸のインサイチュー検出は、細胞核酸の高感度な検出を達成するための検出時間と最少な工程の改善を可能にする。
【0105】
第1に、細胞が本発明の方法を使用してマイクロチップに固定化され、任意にマイクロチップに対する細胞に特異的に結合するように機能化されたマイクロチップを用いられた。固定化された細胞は、細胞内のゲノム核酸の特定の領域に適合する配列を含む核酸プローブを含む第2の溶液に浸漬された。当該プローブは、固定化された細胞に浸透し、細胞内の適合するゲノム領域にハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションにおいて、検出可能な成分(例えば、蛍光成分)が形成され、ハイブリダイズされた核酸が検出された。
【0106】
不均一な粒子溶液の精製
本発明の方法は、粒子(例えば、異なるサイズおよび/または組成の粒子)の不均一な溶液を精製するために使用できる。電極における粒子のサイズ選択性の固定化は、ここにおいて方法に関して行われる。仮に、例えば、固定化された粒子がDNAとタンパク質の混合物を含むとき、固定化された粒子は、第2の溶液に浸漬されて、電極から放出される。DNAとタンパク質を含む第2の溶液は、次に(例えば、濾紙やクロマトグラフィで)濾過される。第2の溶液からタンパク質が濾過されると、次にDNAが第2の溶液に残る。DNAを次に、提供された方法に従って電極に固定化されることにより捕獲できる。
【0107】
このように、複合混合物(例えば、生物学的流体)が、ここに記載される方法を使用して精製できる。ここにおいて記載される何れの粒子の混合物も提供される方法を使用して分離できる。
【0108】
細菌、細胞および他の粒子の操作
本発明の方法は、分子光学のために使用できる。特に、ナノチップに固定化された分子は、生物粒子および分子設計のための他の分子の特性を操作するために使用できる。
【0109】
1つの態様において、固定化された分子は、生物粒子、例えば、細菌などの中に位置される。結果として、個々の細菌(ウイルス)は、細胞膜により限局された生物化学実験物として使用される。そのような系において、DNAは、化学的エネルギーで増幅され、タンパク質は細胞適合性および抗生物質について試験および検出できる。そのような自律性の「分子鋳造(molecular foundry)」が本発明の方法により使用可能である。
【0110】
提供される分子鋳造において、核酸および/またはタンパク質は、電気的、熱的、機械的および化学的エネルギーから選択されるエネルギーの使用による特異的な方法において捕獲され、放出される。ナノチップから細菌またはウイルス内に挿入された粒子は、疾患指示薬(センサー)として、(治療学的な)薬物送達のために、遺伝子改変ために、および遺伝子工学のために使用できる。
【0111】
デバイスの形式
本発明の方法は、何れの数のデバイスにおいても実行できる。例えば、1つの例示的なデバイスは光学的および電気的検出ユニット並びに当該デバイスの全ての側面のための制御ユニットを持つアレイ電極を有する完全自動デバイスを含む。
【0112】
完全自動デバイスは、多発性病原体および種々の分析物のために用いることができる。
【0113】
1つの例示的な態様において、方法を実施するためのデバイスは分析およびチップ電極のための電子ユニットを含む携帯濃縮装置を含む。そのようなデバイスは、サンプル溶液から電極を浸漬および引き出すためにチップを作動する手動「クリッキング」機能を持つペン形を有するために形成されるデバイスのような、高度な携帯性且つ使い捨てであってもよい。
【0114】
粒子固定化のための分析機構
図14は、AC電界および毛管作用に用いる粒子固定化方法を図示する。粒子を捕獲するために、ナノチップ電極は、そのナノチップ電極および溶液に接触する第2の電極を横切って印加されるAC電界を持つ溶液に浸漬される。電極によって生じる不均質電界は、DEPによる粒子の分極および粒子の誘引を結果としてもたらす。チップが溶液から引き出されると、誘引された粒子は組み合わされた毛管作用の影響とDEP力とに基づいてチップ上で捕獲されるか、または放出される。DEP力は、毛管力が粒子をチップ上で捕獲または放出する間に、粒子をチップに誘引する。粒子の捕獲方法を予測するために、毛管作用のための捕獲および放出力を以下で試験する。
【0115】
球体に作用する毛管力を測定するために、毛管作用のための捕獲および放出力はヤング−ラプラス方程式で生成されるメニスカスプロフィールを用いて分析した。図5Aは、サイズ特異的な捕獲の機構を図示し、そこにおいて粒子のチップに対する直径比に依存して、粒子がチップから捕獲または放出される。捕獲は、捕獲および放出のための毛管力が、スプリット点での円周に依存するために、スプリット角度αによって測定される。スプリット点において、溶液は上部および下部に分離される。スプリット角度が90°よりも大きくなると、粒子は溶液中に滞在する(図15Aのケース(1))。スプリット角度が90°よりも小さいときには、粒子はチップに捕獲される(図15Aのケース(3))。正確に90°のスプリット角度(図15Aのケース(2))において、粒子の捕獲はチップおよび溶液に向って作用する毛管力が等しくなるために測定されない。
【0116】
臨界正規化直径[(dn)critical]は、90°のスピリット角度での正規化直径として規定される。図15Aのケース(2)で構成される(dn)criticalは、図15Bに示されるように0.39である数的分析により推定される。この理論的分析によると、チップ直径(dt)に対する粒子直径(dp)の比が0.39未満である限りは、粒子はチップ上に捕獲される。(dn)criticalは、(1)電気的、化学的、機械的および熱的エネルギーか選択される表面相互作用エネルギー、(2)チップ形状および粒子形態学、および(3)粒子−粒子相互作用(例えば細胞の群体形成)によって変化する。
【0117】
毛管力の前記比較において、電気力(例えばDEP)は(dn)criticalを計算するときに考慮されなかった。例えば、仮にDEPがこの計算に含まれるならば、(dn)criticalはDEP力が捕獲毛管力を追加されるために増加するであろう。また、(dn)criticalはチップ形状大きさ、複数粒子相互作用および粒子と液体を伴うチップの接触角度を含む実験条件による影響を受ける。
【0118】
表1は、ポリスチレン球体およびCNT/SiCナノチップについての固定化の結果を概説するものである。チップによって捕獲される最も大きな球体直径は、(dn)criticalを得るためにチップ直径によって正規化する。表1によれば、(dn)criticalはケース(2)、(3)、(4)および(5)を用いて0.84+0.07(平均±標準偏差)の範囲内である。このようにポリウレタンナノ球体に用いる(dn)criticaは0.77〜0.92(0.84+0.07)の範囲で計算される。図5Cに関して前述される100nmおよび6μm球体の混合実験において、6μm球体の(dn)aveが(dn)criticalの範囲に比べて非常に大きかったという理由から、6μm球体はナノチップ上に固定化されなかった。
【表1】
【0119】
dnanotip:ナノチップ直径、dsphere:販売者情報からのナノ球の基準直径、(dn)ave::平均正規化直径 (dsphere/dnanotip)、(dcapture) max:捕獲球の最大直径、(dn)critical:臨界正規化直径 [(dcapture)max/dnanotip]、および「NA」は適用不可を意味する。
【0120】
実験結果の(dn)critical(0.84+0.07)を前述の理論的分析の(dn)critical(0.39)と比較すると、実験(dn)criticalは理論的(dn)criticalよりも高い。この不一致はAC電界から発生されるDEP力に帰する。何故ならば、DEP力が捕獲毛管力に付加され、(dn)criticalが増加するからである。電極および粒子に結合された結合対の使用は、(dn)criticalを更に増大できる。1つの態様において、粒子は第1の電極の短手寸法に比べて大きな臨界寸法(例えば(dn)critical)を有する。1つの態様において、粒子は第1の電極の短手寸法に比べて小さい臨界寸法(例えば(dn)critical)を有する。
【0121】
図5Aの顕微鏡写真および図16Aに概略的に図示されるように、DEP力は球体をチップ側面に誘引する。DEP力がない場合、球体は図16Aのスピリット角度が常に90°より大きいために最初にチップ端に誘引される。
【0122】
DEP力に加えて、理論値と実験結果の間の(dn)criticalの不一致は、チップ形状大きさ、複数粒子相互作用および接触角度を含む追加実験条件によって引き起こされる。
【0123】
仮にナノチップの表面が粗いか、またはナノチップの配向がチップの除去の間において球状滴のタンジェントに対して正確に直交しないならば、チップ側面での球体は、チップの末端を引っ張らないかもしれない。この場合、90°よりも小さいスピリット角度が直ちに生じ、それにより球体は、チップの側面で捕獲される。チップの側面において、粒子はまた、静電誘引、化学的結合エネルギーおよび非特異的分子相互作用によって固定化される。
【0124】
チップが球のクラスタで囲まれると、球は図5Bに示すように、複数粒子相互作用力によってチップの側面に捕獲される。チップ周囲のクラスタ形成は、球が毛管作用によって固体-液体-気体界面に送達される理由で、固定化方法の間でしばしば観測される。前記界面への粒子の送達は、溶液の蒸発および毛管作用による圧縮力に関連するDEP力によって引き起こすことができる。蒸発が続くため、誘引球間の毛管作用は図16Bに概略的に図示されるように凝固力を生じる。そのため送達球間の相互作用力が捕獲力を増大する。
【0125】
幾何学的および複数粒子相互作用効果以外に、(dn)criticalはチップ表面の接触角度のために変化する。チップの接触角度は、チップの表面特性、ヒステリシスおよび電界(例えば電気的湿潤)が変化することによって変更される。同様に、分子相互作用力(例えばファンデルワールス力)は(dn)criticalに影響を及ぼす。そのため、(dn)criticalは液体から所望の粒子を選択的に固定化するために特異的実験条件によって変更される。
【0126】
例証的な態様が図示され、且つ記述されると同時に、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、種々の変化がそこにおいてなされ得ることが認められるであろう。
【0127】
限定的な特性または権利が請求される本発明の態様は、以下に規定される。
【発明の概要】
【0001】
[関連出願についての相互参照]
本出願は、2008年6月6日提出の米国仮出願No.61/059708、2008年10月27日提出の米国仮出願No.61/108799の優先権を主張するものであり、これらのそれぞれが引用によりその全体に亘りここに組み込まれる。
【0002】
[連邦政府に助成された研究に関する陳述]
本発明は、国立科学基金により認められた承認番号0740525、および疾病管理センターにより認められた承認番号200−2007−M−22794の下での政府の助成を受けてなされたものである。政府は本発明において正当な権利を有する。
【0003】
[背景]
結核(TB)は、世界中で最も広く蔓延する疾患の1つであり、世界の人口の3分の1が感染している。2006年において、920万の新たなTBの症例が報告され、170万人が死に関係し、その大部分が発展途上国におけるものである。2006年において、約15,000の新たなTBの症例が米国において報告された。患者が活動性であるが、未治療であるために、TBは、1年当たり平均10〜15人において感染可能であり、新規のTB患者の迅速な診断が効果的な当該疾患の制御のために必須である。
【0004】
現在、TB診断のための複数の技術が存在している。しかしながら、入手可能な方法の何れも、低い検出限界、分析時間およびコストの優れた組み合わせを有するものではない。それらの検出限界の低い技術は、時間を消費するものであり、一方で、比較的高速な試験は高い検出限界を有しているが、典型的に結局は(緩慢な)アッセイにより確認される必要がある。TBを試験のための成熟した技術にも関わらず、改善された検出方法が、世界的なスケールにおいて疾患に立ち向かうために必要である。
【0005】
興味深いもう1つの分析は、細胞外DNAであり、これは疾患診断の分野および環境分子生物学において大きく興味を持たれている。生細胞におけるゲノムDNAとは異なり、細胞外DNAは、死細胞から放出された遊離DNAである。従って、体液中の細胞外DNA循環量は、癌などの種々の急性疾患のための初期の指標として使用し得る。例えば、健康なヒトについては細胞外DNAの濃度は、約30ng/mLであるが、その濃度は、癌患者については約300ng/mLまで増大する。
【0006】
環境モニタリングに関して、湖および土壌における細胞外DNAは環境の質の指標であり、それは、溶存するDNが、細胞溶解から生じるものであり、生きている生物体からの排出物であるからである。
【0007】
大きな興味にもかかわらず、細胞外DNAの研究は、現在利用される標準的なサンプル調製方法により妨げられている。従来の方法は、生サンプルからのDNAの濾過、遠心および収集で始まる。数時間が典型的に、サンプル調製過程のために必要とされ、これが細胞外DNAを崩壊し、変異させる。結果として、細胞外DNAの本来の情報が、分析前に部分的または完全に失われる。そのために、細胞外DNAを濃縮できる迅速な方法が病原体情報を識別するために極めて重要である。
【0008】
上記のTBおよび細胞外DNAの例は、科学的に意味のある分析であり、これらは、ゆっくりとした、非効率的且つ不適切な方法を使用して現在試験されている。溶液から粒子分析物、例えば、TBおよびDNAを抽出するための改善された方法は、例えば、TBおよび癌などの疾患に関して、効率、コストおよび試験の正確性を改善することにより、世界的な保健のために大きな利点を提供するであろう。
【0009】
[概要]
1つの側面において、粒子を濃縮するために方法であって、粒子を含む液体において高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;当該第1の電極を使用して電界誘導力(電気的に誘導される力)を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;および、当該液体から第1の電極を取り除くことにより、当該第1の電極と当該液体の間に形成される毛管力により、第1の電極の表面に粒子を固定化することとを含む方法が提供される。
【0010】
もう1つの側面において、粒子濃縮システムであって、高アスペクト比を有する第1の電極と、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり、第1の溶液は第1の粒子を含み;取り除かれている当該第1の電極と当該第1の液体との間で形成される毛管力が当該第1の電極の表面に当該第1の粒子を固定化するように、当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くように構成されたアクチュエーターと;および、当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極に向かって優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極に向かって優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるように構成された電気信号発生器とを含むシステムが提供される。
【0011】
もう1つの側面において、粒子を濃縮する方法であって、高アスペクト比を有する第1の電極を、粒子を含む液体に浸漬することと、ここにおいて、第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を当該第1の電極の方に追い込むこととを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[図面の説明]
本発明の前述の側面および多くの付随する利点は、付随する図面と組み合わせたときに、以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に認められるようになり、同様に、よりよく理解されるようになるであろう。
【図1A】図1Aは、第1の電極により生じた電界誘導性二電子伝達力(dielectrophoretic force)により第1の電極に向かう液体中の粒子の実質的に直線的な移動を含む本発明を代表する態様の一部分を示す図である。
【図1B】図1Bは、表1Aにおいて示された本発明の代表的な態様の一部分を示す図であり、そこにおいて、第1の電極が液体から取り除かれ、電界誘導性二電力伝達力を介して第1の電極に対して誘引される、液体から粒子を固定化する毛管力の結果として、その表面に濃縮された粒子を有する。
【図2】図2は、電界誘導性電気浸透力による第1の電極に向かっての液体中の粒子の循環性移動を含む本発明を代表する態様の一部分を示す図である。
【図3】図3は、粒子に対して結合された第2の結合対に対して結合可能な第1の結合対を含む第1の電極の方に粒子を追い込む、液体中の粒子における二電子伝達力および電気浸透力との組み合わせを含む本発明を代表する態様の一部分を示す図である。
【図4A】図4Aおよび4Bは、本発明において有用な炭化ケイ素とカーボンナノチューブから製作された代表的な第1の電極の顕微鏡写真である。
【図4B】記載なし
【図4C】図4Cは、本発明において有用なポリマー被覆した第1の電極の顕微鏡写真である。
【図4D】記載なし
【図5A】図5A−5Cは、本発明の方法を実施した後の、その表面に固定化されたポリマー粒子を有する炭化ケイ素とカーボンナノチューブから製作された代表的な第1の電極の顕微鏡写真である。
【図5B】記載なし
【図5C】記載なし
【図6A】図6A−6Cは、その表面に固定化されたDNAを有する本発明の代表的な第1の電極の顕微鏡写真である。
【図6B】記載なし
【図6C】記載なし
【図6D】図6Dは、本発明の方法により分析された一連のDNA溶液についてのDNA濃度対蛍光強度のグラフである。
【図7】図7は、本発明の方法により分析された一連のDNAおよび細胞についてのDNA濃度対蛍光強度のグラフである。
【図8A】図8Aは、その表面に固定化されたTB細胞を有する第1の電極の顕微鏡写真である。
【図8B】図8は、本発明の方法により分析された一連のTBの溶液についてのTB細胞濃度対蛍光強度のグラフである。
【図9A】図9Aは、参照溶液およびTBを含む溶液における第1の電極の適用電圧と測定電流を比較するグラフである。
【図9B】図9Bは、本方法の方法により分析されたTBを含む一連の溶液についてのTB細胞濃度対正規化された電流のグラフである。
【図10】図10は、その表面にハイブリダイズされたDNAを有する第1の電極とDNAを伴わない参照用の第1の電極とについての電圧対電流のグラフである。
【図11A】図11Aは、本発明の方法を使用するDNAハイブリダイゼーションについてのAC電圧対蛍光のグラフである。
【図11B】図11Bは、本発明の方法を使用するDNAハイブリダイゼーションについてのDNAハイブリダイゼーション時間対蛍光のグラフである。
【図12】図12は、本発明によりその表面に固定されたHIVを有する第1の電極の顕微鏡写真である。
【図13A】図13Aは、本発明の方法におけるその使用の前の第1の電極の蛍光顕微鏡写真である。
【図13B】図13Bは、本発明の方法に後のそれによりHIVが電極の表面に固定化された図13Aにおいて図示された第1の電極の顕微鏡写真である。
【図14】図14は、本発明に従う電極に固定化された粒子において作用する力を示す図である。
【図15A】図15Aは、液体と、粒子が液体から取り除かれている電極に固定化されたときの異なるサイズの粒子との間に形成される臨界角度を示す図である。
【図15B】図15は、液体と、粒子が液体から取り除かれている電極に固定化されたときの異なるサイズの粒子との間に形成される分離角のグラフである。
【図16A】図16Aは、液体から取り除かれている電極に固定された粒子に作用する力を示す図である。
【図16B】図16Bは、電極の側面に固定化された複数の粒子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の詳細な説明]
1つの側面において、粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;および液体から第1の電極を取り除くことにより、第1の電極と液体の間に形成される毛管力により、第1の電極の表面に粒子を固定化することとを含む粒子を濃縮するための方法が提供される。
【0014】
液体に懸濁された粒子(例えば、細菌、ウイルス、細胞および核酸)を濃縮するための方法およびシステムが提供される。電界誘導力は、粒子を液体に浸漬された第1の電極の方に追い込む。粒子が、第1の電極の極めて近接(例えば、接触する)とき、電極が液体から取り除かれ、取り除かれている電極と液体の表面の間に形成される毛管力が粒子を電極に固定化する。液体から取り除かれた電極において、粒子は、液体に以前に浸漬された部分において固定化される。電極の幾何学的な形態に依存して、粒子は、遠位のチップ、側面またはその両方に固定化される。電極の表面における粒子は、溶液中よりも電極においてより高密度に濃縮され、従って、粒子の分析(例えば、蛍光分光法などによる)が改善される。
【0015】
分析のための粒子の濃縮に加えて、濃縮された粒子は、更に、処理できる。例えば、電極上の粒子を将来の使用のために(例えば、低温凍結で)貯蔵することも可能であり、または第2の液体に導入することも可能である(例えば、細胞への粒子のインサイチュー導入など)。更に以下に詳細に記載されるように、ここで開示される方法およびシステムは、種々の医学的な関連分析物、例えば、細菌(例えば、結核菌)、ウイルス(例えば、HIV)、細胞(例えば、ショウジョウバエ細胞)および核酸(例えば、DNAおよびRNA)などのための生物学的流体を分析するための簡単、迅速および安価な手段を提供する。
【0016】
例えば、本発明の方法は、電極上でTB細胞を濃縮および固定化し、蛍光分光法で細菌を分析することにより10分内にヒト痰から直接的に結核菌(TB)を検出することが示されている。TBを検出するための現在許容される方法、チール−ネールセンスメア試験は、典型的には完了するまでに3日間を必要とする。従って、典型的な態様において、本発明は、劇的に改善されたTBの検出を提供し;更なる態様は、同様に他の疾患の検出する可能性を提供する。
【0017】
当該方法は、第1の電極を、粒子を含む液体に浸漬することにより始まる。液体は、典型的には、複数の粒子を含み、且つ粒子は、典型的には、例えば、細菌、ウイルス、または他の検出されるべき標的分子などの分析物である。
【0018】
第1の電極は、電気的に伝導性のある物質、例えば、金属、ドープされた半導体または伝導性ポリマーなどにより作られる。以下に記載されるような電界誘導力を生じるために第1の電極により十分な電界が生じる限り、金属を被覆した絶縁体もまた、当該方法において有用である。
【0019】
ここにおいて使用されるとき、第1の電極に関して「アスペクト比」は、液体に浸漬される第1の電極の長さに対する第1の電極の直径(例えば、遠位のチップ直径など)の割合を意味する。電極が円錐である場合、電極の平均直径が、第1の電極の直径の推定値を提供する。
【0020】
第1の電極は、液体中に浸漬される比較的大きな表面積を提供するために高アスペクト比を有する。高アスペクト比のために、遠位のチップの直径は、1mmよりも小さく、それにより、当該方法の間に亘って高い強度の電界を生じるために比較的小さい領域を提供する。例えば、第1の電極の高アスペクト比は、例示的な態様において、DEPを用いる電極に対してDNAを結合するために十分な集中された電界を提供する。1つの態様において、高アスペクト比は、直径:長さの比で1:1から1:100である。
【0021】
1つの態様において、第1の電極は、チップを含み、ここにおいて、第1の電極のチップは第1の電極の遠位の末端であり、単一点で終結する。当該第1の電極チップは、円錐形、曲線的または切頭形であってよい。1つの態様において、遠位末端は切頭されており、単一点で終結する先端部を持たない。第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と、遠位短手寸法を有する遠位のチップ(遠位の先端部(distal tip))とを含む。円錐形のチップについては、遠位短手寸法が、軸短手寸法よりも小さい。チップを伴わない円柱状の第1の電極については、短手寸法は等しい。
【0022】
第1の電極の形態は、特定の適用に適するように変更できる。チップの形状大きさは、第1の電極において、本発明の方法を介して粒子が優先的に固定化される位置を決定するであろう。例えば、切頭された遠位末端を有する円柱状の第1の電極は、当該円柱の切頭された遠位末端に対立する円柱の側面に粒子を集中する傾向があるであろう。
【0023】
用語「ナノチップ」および「マイクロチップ」は、ここにおいて使用され、それぞれ、約1ミクロン未満の直径と、約1ミクロン以上直径を有する第1の電極を記載する。
【0024】
液体は、粒子を懸濁または溶媒和することが可能な何れかの液体である。代表的な液体は、水、有機溶媒およびイオン性溶媒を含む。当該方法の液体は、溶液または懸濁液でよく、代表的な液体は、生物学的流体、例えば、血液、痰、粘液および唾液などを含む。生物学的流体は、特に、典型的には、高度の複合体および細菌、細胞、タンパク質、DNAおよび他の物体を含む多数の粒子を含む。本発明の1つの態様において、第1の電極は、生体から抽出された生物学的流体、例えば、血液サンプル、粘液サンプル、唾液サンプルまたは痰サンプルなどに直接に浸漬される。特定の分析物粒子、例えば、結核菌が、本発明を使用する第1の電極上で濃縮され固定化される。1つの態様において、生物学的流体は、生体からの抽出と試験の間で処理される。そのような処理は、酸および/または塩基処理、希釈、化学処理、加熱/冷却、または本方法において使用するためにサンプルを調製するために必要な他の処理工程を含んでよい。しかしながら、例えば、結核菌などを試験するための幾つかの公知の方法に比較した本方法の利点は、本発明の方法を実施するために生物学的流体の調製が、殆どないか、または調製が不要であるということであり、ところが、公知の方法のためには、サンプルの多数の処理が必要である。
【0025】
第1の電極が液体に浸漬され、それにより、電極が固定化されるべき粒子との近傍に持ち込まれる。第1の電極は、溶液に全体的または部分的に浸漬される。当該方法は、第1の電極による電界誘導力の発生に続き、これが粒子を第1の電極表面の方に追い込む。電界誘導力は、第1の電極から広がる電気運動力または二電子運動力であり、粒子に作用する。代表的な電界誘導力は、二電子伝達、電気浸透流、電気泳動およびその組み合わせを含む。1つの態様において、電界誘導力は、液体との接触における第1の電極と第2の電極の間で生じる。電界誘導力は、典型的に、当該力を生じるために第1の電極と第2の電極を必要とする。第1の電極は、液体中に浸漬されているため、液体と接触する。第2の電極も、液体に接触し、液体中に挿入される電極であってよいか、または更に図1A−3に関して考察されるように液体のための支持体であってもよい。
【0026】
第1の電極の横断面は何れの形状を有してもよい。代表的な形状は、円形、三角形および四角形断面を含む。円錐形電極は、特に、有用であり、それは、マイクロおよびナノスケールに共通する製作方法が本発明の第1の電極を作るために結果として有用であり、結果として円錐形状電極になるからである(例えば、中間スケールのワイヤーを一点になるまでカッティングする、または円錐形構造にナノワイヤーを構築する)。代表的な第1の電極はまた、次に、テーパーのある遠位末端(「チップ」)に切頭される幾何学的な形状の断面(例えば、四角形)、例えば、円錐形または半球形のチップに切頭された円錐形または円形断面ワイヤーなども含む。
【0027】
本発明の方法において有用な電界誘導力は、当業者に公知であり、ここに暫時的に記載されるであろう。二電子伝達 (DEP)は、誘電力であり、そこにおいて、粒子に誘導される双極子は、高いまたは低い電位の領域に粒子の誘引または反発を生じ、それに基づいて、DEP効果は正のDEPまたは負のDEPである。交流が、典型的に、DEP力を動かすために使用される。ここに記載される態様において、正のDEPは、第1の電極の表面に対して粒子を誘引するために典型的に利用される。
【0028】
電気浸透は、液体において流れを生じ、抵抗力を介して第1の電極の方に粒子を輸送し、結果として粒子の濃縮を導く。AC電界が第1の電極に負荷されたときに、イオン層が第1の電極の表面を形成する。電極(および結果として得られる二重層)の電荷の信号は、電位の変化に従って変化する。そのような場合において、負荷されたイオンの静電力の変化は、表面の接線方向において発生し、それはAC電気浸透流を誘導する。電界強度は、第1の電極の末端からの距離が増大すると共に減少し、流速は、電極遠位末端で最大になり、更に電極の軸まで迅速に減少する。不均一な流速が第1の電極における電界強度の結果のために生じるために、渦が液体において生じる(これが、第1の電極の近傍に粒子を濃縮する)。
【0029】
図1Aは、本発明の代表的な態様の概略図を図示し、そこにおいて第1の電極105が第2の電極115によって支持される液体110に浸漬される。複数の粒子120は液体110に懸濁される。電気信号発生器125は、第1の電極105および第2の電極115に機能的に接続され、ACおよび/またはDC信号を電極105、115に端から端まで印加する。電極105、115の形状に依存して、電気信号発生器125からの印加信号、粒子120の電気/誘電特性、液体110の電気/誘電特性、多くの異なる電界誘電力が発生され、粒子120を操作する。図1Aは、粒子120が電界の適用によって第1の電極10f5に向けて直線的に追い込まれるように、DEPによって影響される粒子120を図示する。矢印130は、粒子120上での力の方向を示し、液体の間の粒子は第1の電極105の方向で一般的に追い込まれる。
【0030】
図2は、図1Aと図2の間の電界誘導力変化のみを伴う、図1Aと同様な概略図である。図2において、第1の電極105と第2の電極115の間の電気信号発生器125によって発生される電界は、電気浸透流を結果としてもたらし、電界が液体110内で流れパターンを発生し、液体110内で円形環流パターンを作ることを示す長円形環として図示される。粒子120は、電気浸透流205によって影響され、そして幾つかの粒子120は第1の電極105に向かけて優先的に追い込まれる。
【0031】
図3は、図1Aおよび図2に示されるのと同様なシステムを図示する。図3は、両方の電気浸透流205とDEP130を図示し、かつ第1の電極105表面を覆う第1の結合対305の層をまた含む。第1の結合対305は粒子120に結合される第2の結合対に優先的に結合される。従って、3つの力は図3に図示されるシステム;液体110内の粒子120を環流する電気浸透流205;粒子120を第1の電極105に向けて優先的に追い込むDEP130;および第1の電極105に結合され、粒子120に結合される第2の結合対に優先的に結合される第1の結合対305:を含む;において役立つ。結果として生じる力は、粒子120が濃縮される表面において、第1の電極105に向かう液体110を通して粒子120の運動で最大に達する。
【0032】
ここで開示される方法は、分析物を固定化する工程に続き、第1の電極の表面において第1の電極を液体から取り除くことによって第1の電極と液体の間に形成される毛管力を用いる。
【0033】
図1Bは、図1Aに図示される態様の概略図を示すものであり、ここにおいて、第1の電極105は液体110から引き出され、且つ液体と第1の電極105の間の界面での毛管作用は引き出された第1の電極105の表面に沿うその界面で捕獲される粒子を固定化する。例えば、粒子120は第1の電極105と液体110間の界面で図1Aに図示され、表面張力は、明確にする目的のために強調して図示する。第1の電極105は液体110から取り除かれるので、界面での表面張力が第1の電極表面において第1の電極105に隣接する粒子120を固定化する。図1Bは、粒子120および引出された第1の電極105の表面上に固定化される他の粒子を図示する。
【0034】
粒子は、液体からの取り出しにおいて、第1の電極表面に固定化される。液体からの取り出しに先駆けて、電界誘電力および任意の結合対相互作用が、粒子を第1の電極の近傍に追い込み、且つ取り除きにおいて、電極と液体間の界面での毛管力および周囲雰囲気(固体−液体−気体界面)が組み合わされた電極への接近が、第1の電極表面に向かう粒子上で力をもたらす。液体からの取り出しにおいて、粒子が一旦、第1の電極に固定化されると、種々の力は第1の電極において、固定化される粒子を維持するために作用し、その力は静電気力、毛管力、化学結合および活性電気力(例えば、電気信号が第1の電極を通過すべく続行する)を含む。
【0035】
液体からの電極の除去速度は、第1の電極において、固定化される粒子のサイズおよび数に影響する。除去速度は、1μm/秒から10mm/secの範囲である。緩慢な除去速度は毛管作用を正確に制御するために用いられ、それは捕獲される粒子のサイズおよび数の測定を助ける。早い除去速度は正確な操作を必要としないデバイス(例えば携帯および/または使い捨てデバイス)に対して有用である。
【0036】
当該方法は、固体−液体−気体界面で第1の電極の短手寸法(例えば直径)より小さい粒子を固定化するために有用である。第1の電極上の粒子を固定化するための力の均衡は、典型的に第1の電極において固定化される粒子直径(球状粒子を仮定する)は、第1の電極(円錐形もしくは円柱状第1の電極の形状を仮定する)の直径よりも小さい。
【0037】
図1Aから図3に示すように、円錐形電極105について、第1の電極のチップ直径は、第1の電極の円錐形部分の長さによって変化する。図1Aおよび図1Bに図示されるように、線150は特定位置での円錐形第1の電極の横直径を表す。液体から第1の電極上に固定化された粒子120は全て、線150で第1の電極の直径よりも小さい直径となるであろう。図1Aおよび図1Bに図示される円錐形の第1の電極105の直径傾斜は、最大粒子サイズの傾斜が複数の粒子サイズを含む液体110中で前記第1の電極105の形状の使用から齎されるであろうという可能性を導く。狭い最大粒子サイズ分布のために、円柱状の第1の電極が使用できる。
【0038】
球状粒子は本発明の方法の固定化が生じるために存在する必要がない。図1Aから図3のように、便宜上、粒子を表す目的のために、および粒子(例えば、「直径」を有する粒子)を記載するために球体を用いる。しかしながら、球状粒子は、特異的に形成されるマイクロおよびナノ球体(例えばポリマーまた無機ナノ球体)以外、マイクロおよびナノスケールではまれに生じるものである。1つの態様において、少なくとも1つの粒子の寸法は、第1の電極の横直径よりも小さく、それにより電気誘電力、第1の電極寸法および毛管力が組み合わされた力が、第1の電極の表面において粒子を固定化するために組み合わされる。
【0039】
1つの態様において、粒子は、有機粒子、無機粒子、ウイルス、細菌、核酸、細胞およびタンパク質からなる群より選択される。ここで引用されていない生物学的粒子を含む他の粒子もまた、ここに記載される方法に適合性である。
【0040】
1つの態様において、ウイルスは、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、エプスタイン-バーウイルス、疱疹ウイルス、1型、疱疹ウイルス、2型、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、8型、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、フラビウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス、パピローマウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エボラ、マールブルク、ハンタ、レオウイルス(reo virus)、呼吸器系合胞体ウイルス、トリインフルエンザウイルスおよび西ナイルウイルスからなる群より選択される。1つの態様において、細菌は、結核菌、E.coli、ブドウ球菌(staphylococcus aureus)、メチシンリン耐性ブドウ球菌(MRSA)、サルモネラおよび緑膿菌からなる群より選択される。1つの態様において、細胞は、ショウジョウバエ細胞である。
【0041】
1つの態様において、第1の電極の短手寸法(latitudinal 寸法)は、1mm未満である。1つの態様において、第1の電極の短手寸法は、1nm以上である。1つの態様において、第1の電極の短手寸法は、1nm〜1mmである。上記に記載されたように、特定の第1の電極の形状、例えば、円錐形電極は、異なる短手寸法を有し、この態様の寸法の範囲は、最少の測定された短手寸法、即ち、電極の遠位のチップまで言及するものである。
【0042】
1つの態様において、第1の電極は、少なくとも部分的に表面コーティングにより被覆される。第1の電極は幾つかの目的のために被覆されてよいく、電極材料と粒子および/または液体との間の緩衝を提供すること;第1の電極が粒子に選択的に結合するような機能を持たせること;および粒子の特定の種類(例えば、固定化のために望ましくない粒子)に選択的に抵抗するように第1の電極に機能を持たせること;を含む。
【0043】
1つの態様において、表面コーティングは、単分子層またはポリマー層の何れである。単分子層、例えば、自己集合単分子(SAM)などが知られており、表面に対して特定の分子種をグラフトすることを介して表面を機能化する経路を提供する。例えば、チオールと金との間の結合は、特に当業者に公知であり、従って、金の第1の電極は、チオールコーティング分子で機能化され、疎水性から親水性に亘る表面特性、更に、カスタマイズされた化学的機能性を有する金の第1の電極が産生される。
【0044】
ポリマー層もまた、第1の電極を被覆するために使用される。1つの態様において、ポリマーはポリシロキサンである。例示的なポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であり、第1の電極の伝導性材料と粒子および液体との間での緩衝として使用され、第1の電極の完全性を保存する。例示的な態様において、電極は、炭化ケイ素(SiC)ナノワイヤーとカーボンナノチューブの混成材料から製作される。ポリマーは、第1の電極を、液体に暴露されたことによる分解から保護し、且つ粒子、例えば、DANなどと第1の電極のCNTとの間の非特異的な結合を阻害する。
【0045】
表面コーティングは、少なくとも第1の電極を部分的に被覆し、典型的には、電極の全体がコーティングにより被覆される。しかしながら、第1の電極の部分のみの選択的なコーティングが、粒子を被覆または未被覆の第1の電極の部分に対して方向付ける、または被覆または未被覆の第1の電極の部分から遠ざけて方向付けるために利用されてよい。
【0046】
1つの態様において、表面コーティングは、第1の電極での粒子の固定化を増強する。コーティングにより生じる固定化の増強は、当業者に公知の何れかの機序を介していてよい。特に、優先的に同様に疎水性または親水性特性を有する粒子に結合する疎水性または親水性コーティングが提供されることによる(例えば、第1の電極のフッ化アルカンコーティングは、疎水性-疎水性相互作用を介して、疎水性特性を有する粒子に対して選択的に結合するであろう)。
【0047】
1つの態様において、表面コーティングは第1の結合対を含み、粒子は、第1の結合対に結合可能な第2の結合対を含む。そのような結合対の利用は、液体における電界誘導力の使用を介して第1の電極に極めて接近するように粒子が追い込まれるときに、第1の電極と粒子との間の結合を提供する。結合対は、当業者に公知であり、化学的結合対、抗体-抗原対、核酸結合(例えば、DNAおよび/またはRNA)、酵素-基質結合、レセプター-リガンド結合、核酸-タンパク質結合および細胞結合(例えば、細胞、細胞膜またはオルガネラのためのリガンドへの細胞、細胞膜またはオルガネラの結合)を含む。本発明における第2の結合対への第1の結合対の幾つかの例示的態様が、以下に提供される。
【0048】
第1の電極上の粒子の固定化において、幾つかの任意の追加の工程が、粒子の濃縮の更なる工程のために提供され、それは、固定化された粒子の分析、貯蔵および放出が含まれる。1つの態様において、当該方法は、第1の電極に固定化された粒子の分析を含む。
【0049】
分析は、粒子の固定化の前、固定化中または固定化の後に行われてよい。代表的な分析技術は、第1の電極が浸漬される間に生じる技術(例えば、抵抗検出)、および溶液の外で行われる技術を含む。代表的な分析技術は、電気的な、機械的な、光学的な、and 表面イメージング技術およびその組み合わせを含む。1つの態様において、光学的な分析は、粒子(例えば、DNA分子)に対する発光化合物(例えば、蛍光タグ)を結合して発光粒子を提供する工程および蛍光顕微鏡および/または蛍光分光法を用いて発光粒子からの発光を検出する工程を含む。
【0050】
固定化された粒子は、固定化された粒子と相互作用し、特定の効果、例えば、蛍光などを生ずるであろう化合物を含む第2の液体に浸漬されてもよい。例えば、電極に固定化されたDNAは、DNAがハイブリダイズしたときに蛍光を発する分子を含む溶液に浸漬されてよい。DNAとのハイブリダイゼーションにおいて、DNAは蛍光分光法により検出される。
【0051】
分析物粒子を電気的に検出するための代表的な技術は、キャパシスタンス、抵抗、コンダクタンス、インピーダンスおよびその組み合わせを測定するための技術を含む。
【0052】
当該方法はまた、第1の電極を貯蔵して、固定化された粒子を保存することも提供する。代表的な態様において、第1の電極を貯蔵することは、固定化された粒子を保存するための低温凍結を含む。低温凍結は、任意に、固定化された粒子を凍結する前に、凍結保存剤(例えば、DMSO)に浸漬することを含む。貯蔵された粒子は、更に、上記の技術を使用する更なる分析のために保存されてよく、更に、後の時間に更に操作されてもよい。
【0053】
1つの態様において、当該方法はまた、固定化された粒子を放出すること、例えば、粒子を第1の電極から溶液に放出して予め固定化された粒子を豊富に提供することを含む。固定化された粒子の放出は、細胞、ウイルスおよび細菌を含む群から選択された集合体に粒子を放出することを含む。更に以下に記載されるように、当該方法は、1つの種類の粒子、例えば、DNAなどを、1つの溶液、例えば、ヒト血液サンプルなどから選択的に濃縮するため、血液サンプルから第1の電極上に集中されたDNAを取り除くため、および第2の環境(例えば、細胞など)に導入するため、細胞に固定化されたDNAを放出してDNA豊富な第2のサンプルを提供するために使用されてよい。この選択的な結合、濃縮および放出の一連の手続きは、ここにおいて記載された何れの粒子を用いて行われてもよく、従って、分子およびナノスケールの製造が、選択された粒子を固定化することおよび放出することを介して達成され、所望の複合体を形成してよい。
【0054】
固定化および放出は、熱エネルギー、化学的エネルギー、電気的エネルギー、機械的エネルギーおよびその組み合わせの処理を介して齎されてもよい。1つの態様において、当該方法は、比較的大型の粒子(例えば、細胞など)をマイクロチップに固定化すること、ナノチップを使用して、より大きな粒子(例えば、DNAなど)の内側から比較的小さな粒子を固定化することを含む。
【0055】
1つの態様において、電界誘導力を生じることは、表面コーティングを配向すること(orienting)を含む。特に、表面コーティングが、分子の単分子層またはポリマー分子の薄層であるならば、電界誘導力を提供する電界は、表面コーティングの分子を(例えば、電界線に沿って)整列させる傾向があってよく、この整列は、第1の結合対と第2の結合対の間の結合を、液体において、粒子に対して結合される結合対を誘引するために配向されたまたは整列された表面を提供することにより補助できる。
【0056】
1つの態様において、第1の電極は、米国特許出願61/108799に記載される方法により形成された炭化ケイ素およびカーボンナノチューブの混成材料(CNT/SiC)で構成され、当該文書は、引用によりその全体がここに組み込まれる。即ち、混成材料は、金属材料、例えば、金被覆タングステンなどのミクロンサイズのチップから製作される。組み合わされたカーボンナノチューブと炭化ケイ素ワイヤーは、数時間に亘る超音波処理を使用して別々の容器に分散される。その溶液が組み合わされて、使用に先駆けて1時間に亘り超音波処理される。マイクロチップは、組み合わされたCNT/SiC溶液に導入され、1秒当たり約10μmの速度でマイクロチップを取り除くのに先駆けて、AC電位が当該マイクロチップに印加され、結果として、炭化ケイ素ナノワイヤーに対して結合されたカーボンナノチューブの束の形成、および炭化ケイ素ナノワイヤーと共に接合されたカーボンナノチューブの束の作成が得られ、これは図4Aおよび図4Bの顕微鏡写真に図示する通りである。PDMS被覆CNT/SiC電極を図4Cおよび4Dに示す。
【0057】
当該方法はまた、上記の単一の第1の電極濃縮装置のマルチプレックス変形のために提供される。この態様において、当該方法は、更に、高アスペクト比を有する第3の電極を、粒子を含む液体に浸漬すること;液体中の粒子を、優先して当該第3の電極の方に追い込むように、前記第3の電極を使用して電界誘導力を生じること;および取り除かれている第3の電極と液体との間の毛管力が第3の電極の表面に粒子を固定化するように、第3の電極を液体から取り除くこと;を含む。第3の電極は、前に記載された態様における第1の電極と類似する。第4の電極が、第1の電極と第2の電極対が液体において1つの電界誘導力を生じ、且つ第3および第4の電極対が当該液体において異なる電界誘導力を形成するように、この態様の方法において任意に導入されてもよい。代替的な態様において、第1の電極および第3の電極が、異なる液体集合体に浸漬され(例えば、第1の電極は第1の液体中にあり、第3の電極が第2の液体中にある)、各液体が、同じまたは異なる粒子を含んでもよい。従って、幾つかの電極が、例えば、薬物候補スクリーニングのための並行するアッセイにおいて、または生物学的試験において、単一の液状物体から、または複数の液状物体から粒子を濃縮するために使用されてもよい。加えて、電極(例えば、第1の電極など)の表面機能付与を介して、複数の種が特異的に固定化または検出、および/または同時に貯蔵されてもよく、それによりは、理量を増大し、且つ検出コストおよび時間を低減できる。
【0058】
もう1つの側面において、本発明は、粒子を濃縮するシステムを提供する。1つの態様において、当該粒子濃縮システムは、高アスペクト比と短手寸法を有する第1の電極と;当該第1の電極の短手寸法よりも短い短手寸法を有する第1の粒子を含む第1の溶液と;取り除かれている第1の電極と第1の液体との間に形成される毛管力が当該第1の電極の表面に当該第1の粒子を固定化するように、当該第1の液体に当該第1の電極を取り除くような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くように構成されたアクチュエーターと;および、当該第1の電極が第1の液体に浸漬されたときに、当該第1の粒子が優先的に当該第1の電極の方に追い込まれるように、第1の電極で電気誘導力(電気的に誘導される力)を生じる大きさで、且つ当該第1の電極が第1の液体に浸漬されたときに、当該第1の粒子が優先的に当該第1の電極の方に追い込まれるように、第1の電極で電気誘導力(電気的に誘導される力)を生じるように構成された電気信号発信機と;を含む。
【0059】
ここで記載された当該粒子濃縮システムは、電極、液体および粒子が当該方法および当該システムの両方に適用できるように、本発明の方法およびそのような側面に関して上述されている。
【0060】
液体に浸漬され、液体から取り除かれる大きさで、且つ液体に浸漬され、液体から取り除かれるように構成される当該アクチュエーターは、当業者に公知であり、好ましい態様において、当該アクチュエーターは、機械的アクチュエーター、例えば、圧電気アクチュエーターまたは手動位置決め可能なアクチュエーター(例えば、マイクロマニピュレーター)などである。当該アクチュエーターは、第1の電極の一部分を液体中に及ばせること、および固定化された粒子が更に処理または分析され得るように第1の電極の全体を液体から回収することが可能な移動範囲をする。
【0061】
電気信号発生器は当業者に公知であり、例えば、それらはACおよび/またはDC信号を当該システムの第1および第2の電極に送達することの可能である。
【0062】
電極の更なる組み合わせを含むシステムもまた考慮され、各電極対の電気信号および作動は、他の電極対と独立して、または他の電極対と協同するかの何れかで制御されてよい。
【0063】
もう1つの側面において、粒子を濃縮する方法が提供され、当該方法は、粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、当該遠位短手寸法は1ナノメートルから1ミリメートルであり;および当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことを含む。この態様の種々の詳細は、ここにおいて上記の側面および態様に関して記載されている(例えば、粒子、電極材料および液体)。
【0064】
1つの態様において、当該粒子は上述のように電界誘導力を使用して第1の電極の表面に固定化される。固定化は、任意に上述されたように、結合相互作用を含む。この態様において、電気的検出(例えば、抵抗測定)が、ここに記載される通りの第1の電極の表面での結合イベントを結合するために有用である。
【0065】
ポリマーナノ球の固定化およびサイズ選択性
この例示的な例において、二電子伝達および毛管力が使用され、ポリスチレンナノ球体が電極に固定化される。CNT/SiC電極(「ナノチップ」)が、第2の電極として作用するタングステンコイルに2μLの液滴として支持されたナノ球体を含む水性溶液に浸漬された。10kHzで20VppのAC電位を電極とポリスチレン球体との間に印加し、ナノチップの近傍にあるポリスチレン球体を、生じたDEP力によってナノチップに対して誘引した。8μm/sの速度で溶液からの取り出しにおいて、球体がナノチップに固定化され、これは以下に示される通りである図4A(450nm球体、525nmチップ);図5B(475nm球体;515nmチップ);および図5C(100nm球体と6ミクロン球体との混合物から600nmチップに捕獲された100nm球体)。図5Cは、本発明のサイズ選択性を示す:チップ直径よりも小さい球体が固定化された一方で、チップ直径より大きい球体は固定化されなかった。
【0066】
電極が、球体のクラスタに取り囲まれたとき、複数粒子相互作用が生じ、球体は、チップの側面に固定化され、これは図5Bに示される通りである。電極周囲のクラスタ形成がナノ球体固定化の間に生じ、これは、球体が毛管作用によって固体-液体-気体界面に追い込まれることによるものである。当該界面への球体の送達は、毛管作用のための液体の蒸発と圧縮力との組み合わせにおけるEDP力によって発生される。
【0067】
幾何学的および複数粒子相互作用以外の効果、電極の表面特性および電界効果(例えば、電気湿潤など)は、表面張力およびそれにより、粒子の固定化に作用する力のバランスに影響する。加えて、分子相互作用力(例えば、ファンデルワールス力)もまた存在する。従って、幾つもの可変性が存在し、それが空気-液体-固体界面での粒子の固定化を導く条件に影響し、且つ粒子、電気誘導力(電気的に誘導される力)、液体、および環境条件の各系が、標的粒子を固定化するための独特なパラメータセットを生じるだろう。例示的な条件が、興味のある標的粒子を優先的に固定化されることを最適化できる。
【0068】
DNAの固定化
この例示的態様において、DNAは、電極に捕獲される。TRIS EDTA(エチレンジアミン四酢酸)緩衝溶液中のλ-DNAを調製した。AC電界を有するCNT/SiCナノチップを使用して、λ-DNAを二電子伝達と毛管作用により電極に濃縮した。図6A−6Cは、捕獲されたλ-DNA分子をナノチップの原繊維として示す。
【0069】
DNA溶液(濃度:500μg/mL)中にナノチップを浸漬すること、および取り除くことにより、〜400μm長DNA原繊維を、チップの末端で形成した。多くのDNA分子が溶液中に存在しているため、チップを溶液から取り除いたときに、毛管力により分子が原繊維を形成した。図6Aは、ナノチップ上に捕獲されたDNAの光学顕微鏡写真であり、図6Bは、対応する蛍光顕微鏡写真である(PICOGREEN(登録商標)試薬と混合したDNAから生じた蛍光による)。図6Cは、図6Aのサンプルの電子顕微鏡写真である。
【0070】
固定化されたDNAのEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)分析(加速電位:10kV)は、C、N、O、Na、Si、PおよびClを含む成分を同定した。CおよびSiは、SiCナノワイヤーおよびCNTから生じる。NaおよびClは、緩衝溶液中に存在する。DNAの成分、C、N、OおよびPも検出される。特に、Pは、この系におけるDNAに独特な成分である。従って、原繊維がDNAであると確認された。Pは、DNAを含まないコントロールサンプルでは検出されなかった。
【0071】
純粋なサンプルおよび混合されたサンプルについてDNA固定化を検討した。種々の濃度のDNA分子をナノチップに固定化した。捕獲されたDNAを蛍光顕微鏡により分析した。DNA溶液の濃度は、10倍ずつ、1pg/mL(32aM)から1μg/mL(32pM)まで調製した。図6Dは、異なるDNA濃度について、本発明の方法を使用して測定した蛍光強度のグラフである。実験は、各DNA濃度について、3回繰り返した。蛍光強度は、純粋なPICOGREEN(登録商標)試薬で測定されたネガティブコントロールと比較する。この実験例で使用されたナノチップの検出限界は、10pg/mL(320aM)である。
【0072】
細胞を含むサンプル混合物からのDNAのサイズ特異的捕捉を検討するために、ショウジョウバエ細胞を純粋なλ-DNA分子とTRIS EDTA緩衝溶液中で混合した。調製されたDNA濃度は、10倍ずつ、0.67pg/mL(21aM)から0.67μg/mL(21pM)までであった。図7は、細胞なしでDNAを含む溶液の検出された二重反復の一組と比較した、DNA/細胞混合物から抽出された固定化されたDNAを有する電極で検出された蛍光強度を比較するグラフである。結果として得られた強度値は、DNA溶液における細胞の存在は、当該方法の精度に影響しないことを示す。DNA分子は、ナノチップに固定化され、同時に細胞は、それらのより大きなサイズとそれらを液体中に維持する関連するより大きな毛管力のために溶液に残留した。ショウジョウバエ細胞の正規化された直径(10μm)が、ナノチップ直径(544nm)よりもかなり大きいことから、細胞はナノチップに捕獲されない。続く実験において、しかしながら、細胞が、AC電位(20Vpp@5MHz)を使用した直径250μmのマイクロチップに固定化された。サイズ特異的捕獲は、生サンプルまたは最小限で処理されたサンプルでのDNA検出を可能にし、それによりDNAがサンプルの精製なしで、公知のDNA検出方に要求されているように検出された。
【0073】
遊離核酸(例えば、循環または溶存DNAなど)も、本発明の方法を使用して検出できる。循環DNAは、疾患診断および環境分子生物学の分野において大きく関心を持たれている。正常細胞におけるゲノムDNAとは異なり、循環DNAは、死細胞から放出された遊離DNAである。従って、体液中を循環する細胞外DNAは、種々の急性疾患、例えば、癌などの初期指標として使用することが可能である。例えば、循環DNAの濃度が、健康なヒトでは〜30ng/mLであるが、その濃度は、癌患者では〜300ng/mLまで増大する。
【0074】
環境モニタリングのためには、湖および土壌に溶解された循環DNAが環境品質の指標である。
【0075】
その診断上の可能性にも拘らず、循環DNAの研究は、標準サンプルの調製方法により制限される。従来の技術は、生サンプルからのDNAの濾過、遠心および取得により開始する。そのようなプロトコールでは、ゲノムDNAは放出されて、循環DNAと混合される。加えて、ゆっくりとしたサンプル調製工程は、循環DNAを分解および変異させ得る。従って、循環DNAを濃縮できる迅速な方法は、有益な診断および分析手段である。
【0076】
本発明の方法は、遊離DNAを直接に濃縮および検出するために提供される。例えば、CNT/SiCナノチップ電極を湖水から遊離DNAを固定化するために使用された。実験結果は、光学顕微鏡を使用した生溶液において観察された細胞および他の大きな粒子は除いた一方で、循環されたdsDNA(二重鎖)のサイズ選択性の捕獲を示した。遊離DNAの同定は、蛍光標識付けと顕微鏡により行った。
【0077】
二電子伝達を使用するDNAの配列特異的濃縮
この例示的態様において、サンプル溶液中の標的DNAを高周波数AC電界下での誘導双極子(DCP)モーメントを有するCNT/SiCナノチップ電極上に送達し、濃縮した。標的DNAの特異的結合が配列特異的ハイブリダイゼーションにより達成されて、プローブDNAが固定化された。ナノチップに対するDNAの最終的な固定化は、溶液からのナノチップの取り出しの間に毛管力により促進された。捕獲されたDNAは蛍光および/または電気的測定により検出された。
2mm直径の球状の液滴において標的DNAは、ナノチップ末端の1μm3の領域に濃縮され、濃縮は約1010倍である。この劇的な濃縮効果のために、DNA検出の感度は、従来の非酵素的なバイオセンサーの106〜108倍に増大する。更に、DNAハイブリダイゼーションは、高周波数AC電界により促進され、それが公知の検出法に要求された時間数または日数と比較すると10分の検出時間を達成する。
【0078】
この例示的な態様において、CNT/SiCナノチップは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で被覆され、DNA分子とナノチップのDNTとのナノスケールの結合を回避させた。チップセンサーの感度を検討するために、AC電界(5MHz)およびハイブリダイゼーション時間を最適化し、それぞれ10Vppおよび5分のパラメータを得た。マイコバクテリウム・ツベルクロシス(mycobacterium tuberculosis (MTB))のプローブDNAは、5’−ビオチン−CAG CGC CGA CAG TCG GCG CTT GTG−31 (配列番号1)(初期濃度:38.3μM、Invitrogen)として調製した。配列は、MTB rpoB遺伝子のコドン531を含み、これは、TBの系統発生的なマーカーであり、且つまた2つの通常の第一選択の抗結核薬のうちの1であるリファンピシンに対する感受性の敏感な指標である。プローブDNAは、ナノチップの末端に固定化された。擬似標的DANは、配列5’− CAC AAG CGC CGA CTG TCG GCG CTG −3’(配列番号2)のオリゴヌクレオチドであった(初期濃度:35.3μM)。挿入色素(PICOGREEN(登録商標)、Invitrogen)を使用して、蛍光によりハイブリダイゼーションを確認した。標的濃縮は、10倍ずつ増大させた1aM〜1nMまでで調節した。測定された検出限界は10aM(10−17または6,000コピー/mL)であり、これは、技術現状の検出法、例えば、スメア光学顕微鏡法に匹敵する。
【0079】
電気浸透流を使用する細菌固定化
細菌の培養フリー検出のために、ミクロンスケール電極(「マイクロチップ」)を使用して、マイコバクテイルム・ツベルクロシス(MTB)の細菌細胞を固定化し濃縮した。水性溶液中の細菌をAC電界により生じた循環流(電気浸透流)で濃縮した。濃縮された細菌は、電気浸透流および静電誘引(電気泳動)によりマイクロチップ表面に対して誘引した。誘引された細菌の最終的な固定化は、液体からの電極の取り出しの中の毛管力の結果生じた。図8Aは、その表面に固定化されたMTB細胞を有するマイクロチップの光学(上)および蛍光(下)イメージング下での顕微鏡写真を示す。
【0080】
MTBは蛍光顕微鏡で検出された。蛍光測定のために、MTBの表面抗体に対して特異的な蛍光標識したポリクローナル抗体を使用した(ViroStat Inc、Portland、ME)。固定化されたMTB細胞を有するマイクロチップを抗体溶液に5分間浸漬し、脱イオン水で濯いだ。次に、MTB細胞を蛍光顕微鏡下で検出した(Olympus BX-41、Olympus America Inc.、Melville、NY)。
【0081】
マイクロチップセンサーの感度は、少なくとも800細胞/mLであり、図8Bに示す通りである。検出は、10分間で完了した。この細菌濃縮法は、生生物学的サンプル、例えば、ヒト痰などからMTB細菌を捕獲できる。捕獲の特異性を増大するために、任意に抗体が電極に固定化される。
【0082】
更なる実験において、固定化されたMTB細菌が、純水に放出され(例えば、沸騰水への浸漬など)、DNAに関して上述のナノチップでの種特異的な検出のためのそれらのゲノムDNAが抽出される。本方法は、非酵素的であるために、従って、溶菌液中の妨害物質に高い感受性がなく、DNA抽出物は、溶解/ハイブリダイゼーション緩衝液で短時間に沸騰させ、次に放出されたDNAの選択的な捕獲のためにナノチップを使用する提供された本発明の方法を実施するのと同様に迅速且つ簡素な方法により達成される。
【0083】
電気的なMTB細胞の検出
上述した以前の例示的な態様は、光学および/または蛍光検出を使用する固定化された粒子の検出を含む。この例示的態様において、電気的検出は、MTB検出のために利用される。
【0084】
XYZステージが、TBセンシングのための金被覆タングステンと同様に構成された参照用センサーを正確に位置制御するために使用され、これらの両方がサンプル溶液に浸漬された。MTBセンサーが、MTBの捕捉および検出のために使用され、一方で、参照用センサーが、溶液量、電極間の距離および緩衝液中のイオン濃度について補正した。代替的な態様において、マイクロウェルが使用され、参照用センシングのためのマイクロ電極を含んでよい。
【0085】
使用された溶液の用量は5μLであった。
【0086】
図9Aは、MTBセンサーと参照用センサーを有するシステムについての典型的な電流電圧曲線を示すグラフである。適用された電圧が増大したとき、測定される電流は増大した。抗体抗原反応において、電気的な抵抗は減少した。参照用センサーの電流に比較して、MTBセンサーの電流は増大した。MTBと参照用センサーの間の電流の相違を、MTBの検出のために評価する。
【0087】
ネガティブコントロールためのセンサーの性能を試験するために、MTB細胞なしのマイクロチップを抗体溶液に5分間浸漬した。引き続いて、電流を電圧の関数として測定した。次に、参照用およびMTBセンサー(センシングプローブ)の両方について測定した。この電気的な測定のために、MTB細胞が固定化されたチップを抗体溶液中に浸漬した。電流値を、5分間測定し、参照用センサーの電流により正規化した。異なる3つのマイクロチップ対を使用したこれらの試験において、MTBセンサーと参照用センサーの電流比[(ITB-Ireference)/reference]をそれぞれ平均および標準偏差で0.004+0.06と示した。
【0088】
電流比を0.8x103および8x104細胞/mLのMTB濃度について測定したとき、図9Bに示すように、電流比は迅速に80,000細胞/mLで増大した。
【0089】
単一電極を使用する電気的なDNA検出
上記の例示的態様は、2つの電極、即ち、1つのプローブ電極と参照用電極とを利用して、抗体/抗原反応において細菌を検出する。この例示的な態様において、単一電極が粒子の電気的検出のために使用される。標的粒子は、金属性粒子を含み、検出感度を改善する。
【0090】
例えば、アミンドープされたSWCHTまたは金属性SWCNTで被覆されたCNT/SiCナノチップは、金属粒子で標識された粒子の検出の感度を改善する。アミンドープされたSWCHTのバンドギャップは、DNA結合において迅速に変化する。
【0091】
SWCNTと金属性電極との間の接触抵抗を非金属性SWCNTに比べて減少するために、金属性SWCNTは、デバイスのノイズに対する信号比を改善する。
【0092】
ハイブリダイゼーション実験のために、抵抗の変化(Rf)およびキャパシスタンス(Ca1)を電極に粒子を固定化した後に測定する。Ca1の変動は、電極における電気的な二重層効果に帰するものであり、一方で、Rfの変化はDNAハイブリダイゼーションのためである。値の変化は、ナノチップ電極のハイブリダイゼーションイベントに対する感度が測定できるようにモニターされる。一旦分析がスクエアシグナル(ssquare signal)で終了すると、I−V(図10に示す)または持続的なDC分析が当該イベントを検出するために行われ、次に確認のための蛍光測定と比較される。
【0093】
電界を使用する電極における反応の増強
電界を電極に印加することによって、生物学的および化学的反応が電極(例えば第1の結合対)の表面における分子配向および粒子に結合される第2の結合対のそれらの誘引のために促進できる。本発明方法に用いるDNAハイブリダイゼーションの促進を以下に述べる。
【0094】
CNT/SiCナノチップ電極をPDMSで被覆し、それからDNAに対する結合対としてストレプトアビジンで被覆した。目標DNA(1pM、1.5μL)を0、5および10Vppで電極に印加されるAC電位を用いて5分間ハイブリダイズした。10Vppより大きい電圧はそのような電圧で電気的な絶縁破壊のために印加しなかった。ハイブリダイゼーション後に、挿入色素は蛍光分光法でDNAのハイブリダイゼーションを調査するために用いた。蛍光強度をAC電界の印加におけるハイブリダイゼーションの変化を測定するために用いた。
【0095】
図11Aは、異なるAC電位で固定化されたDNAの蛍光強度を示す。AC電位が増加するので、強度は電極におけるDNAの高濃度のために増加する。10VppはDNAハイブリダイゼーションの最も大きな増強を提供した。
【0096】
ハイブリダイゼーション時間もまた調査した。蛍光強度を10Vpp下、種々のハイブリダイゼーション時間で測定した。蛍光強度は、図11Bに図示されるように、ハイブリダイゼーション時間が5分間よりも長くなったときに飽和した。
【0097】
このように、上のシステムについて、最適なAC電位およびハイブリダイゼーション時間はそれぞれ10Vppおよび5分間であることが測定された。
【0098】
HIV-B ウイルスの固定化およびRNA検出
この例示的な態様において、電極はウイルス(HIV−B)を固定化するために用いられる。ウイルスの固定化に引き続いて、ウイルスからのRNAが蛍光分光法を用いて検出される。
【0099】
CNT/SiCナノチップ(直径500nm)を電極として用いた。HIV−Bウイルス溶液は、50,000コピー/mLの濃度でArmored RNA Quant HIV−B kit(Asuragen、Inc、Austin、TX)であった。RNA検出のために、DMSO中のQuant−iT RiboGreen RNA試薬を用い、ここで蛍光励起/発光は核酸に結合したときに500/525nmであった。試薬をRNA検出のために(購入時濃度から)200倍に希釈した。
【0100】
ナノチップ(第1の電極)を、金属性コイル(第2の電極)に懸濁されたウイルス溶液の20μLの液滴に浸漬した。14Vpp、5MHz信号を電極を横切って、1分間印加し、HIVをナノチップに固定化した。ナノチップを次に約10μm/秒で取り出し、更にHIVを固定化した。ナノチップに固定化されたHIVを次にSEMを使用して撮像し、図12に図示した。
【0101】
ナノチップに固定化されたHIVは、更にRNAのための試験に使用された。固定化されたHIVを有するナノチップは、RIBIGREEN試薬の2μLの液滴に、RIBIOGREENがウイルスの内側のRNAに挿入される時間に亘り、5分間、電界なしで浸漬された。ナノチップを次に溶液から除去し、蛍光顕微鏡により分析した。図13Aは、RIBOGREEN溶液に浸漬する前のその表面に固定化されたHIV−Bを有するナノチップの蛍光顕微鏡写真である。白色線は、顕微鏡写真におけるナノチップの位置を図示するために提供される。図13Bは、RIBOGREENで処理した後のナノチップの毛工顕微鏡写真である。ナノチップに固定化されたHIV−B内のRNAは、RIBOGREENで処理された後に蛍光を発する。
【0102】
このようにウイルス内に含まれるウイルスおよびRNAの両方が、本発明の方法を使用して固定化され、検出される。
【0103】
固定化された細胞における核酸の検出
例示的な態様において、インサイチューハイブリダイゼーション(ISH)を記載する。細胞における核酸を検出するための蛍光プローブの使用は当業者に公知である。この技術は、細胞(例えば、生存可能な細菌の指標として細菌細胞におけるrRNAまたはmRNAを検出することなど)およびウイルス(例えば、ウイルス粒子におけるRNAまたはDNAを検出することなど)の研究のための直接的な強力な手段と看做されている。しかしながら、公知のISH法は、公知の方法について要求されるように、制限された感度と固体支持体上での細胞の固定の困難性の両方に苦しんでいる。
【0104】
ここにおいて記載された態様は、ISH分析のために細胞を固定するために電極(例えば、ナノチップまたはマイクロチップ)を利用する。当該方法において、細胞は、マイクロチップ(第1の電極)上に固定化され、続いて、核酸プローブを含む第2の溶液に浸漬され、それにより細胞中の細胞核酸を検出することが可能になる。細胞における核酸のインサイチュー検出は、細胞核酸の高感度な検出を達成するための検出時間と最少な工程の改善を可能にする。
【0105】
第1に、細胞が本発明の方法を使用してマイクロチップに固定化され、任意にマイクロチップに対する細胞に特異的に結合するように機能化されたマイクロチップを用いられた。固定化された細胞は、細胞内のゲノム核酸の特定の領域に適合する配列を含む核酸プローブを含む第2の溶液に浸漬された。当該プローブは、固定化された細胞に浸透し、細胞内の適合するゲノム領域にハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションにおいて、検出可能な成分(例えば、蛍光成分)が形成され、ハイブリダイズされた核酸が検出された。
【0106】
不均一な粒子溶液の精製
本発明の方法は、粒子(例えば、異なるサイズおよび/または組成の粒子)の不均一な溶液を精製するために使用できる。電極における粒子のサイズ選択性の固定化は、ここにおいて方法に関して行われる。仮に、例えば、固定化された粒子がDNAとタンパク質の混合物を含むとき、固定化された粒子は、第2の溶液に浸漬されて、電極から放出される。DNAとタンパク質を含む第2の溶液は、次に(例えば、濾紙やクロマトグラフィで)濾過される。第2の溶液からタンパク質が濾過されると、次にDNAが第2の溶液に残る。DNAを次に、提供された方法に従って電極に固定化されることにより捕獲できる。
【0107】
このように、複合混合物(例えば、生物学的流体)が、ここに記載される方法を使用して精製できる。ここにおいて記載される何れの粒子の混合物も提供される方法を使用して分離できる。
【0108】
細菌、細胞および他の粒子の操作
本発明の方法は、分子光学のために使用できる。特に、ナノチップに固定化された分子は、生物粒子および分子設計のための他の分子の特性を操作するために使用できる。
【0109】
1つの態様において、固定化された分子は、生物粒子、例えば、細菌などの中に位置される。結果として、個々の細菌(ウイルス)は、細胞膜により限局された生物化学実験物として使用される。そのような系において、DNAは、化学的エネルギーで増幅され、タンパク質は細胞適合性および抗生物質について試験および検出できる。そのような自律性の「分子鋳造(molecular foundry)」が本発明の方法により使用可能である。
【0110】
提供される分子鋳造において、核酸および/またはタンパク質は、電気的、熱的、機械的および化学的エネルギーから選択されるエネルギーの使用による特異的な方法において捕獲され、放出される。ナノチップから細菌またはウイルス内に挿入された粒子は、疾患指示薬(センサー)として、(治療学的な)薬物送達のために、遺伝子改変ために、および遺伝子工学のために使用できる。
【0111】
デバイスの形式
本発明の方法は、何れの数のデバイスにおいても実行できる。例えば、1つの例示的なデバイスは光学的および電気的検出ユニット並びに当該デバイスの全ての側面のための制御ユニットを持つアレイ電極を有する完全自動デバイスを含む。
【0112】
完全自動デバイスは、多発性病原体および種々の分析物のために用いることができる。
【0113】
1つの例示的な態様において、方法を実施するためのデバイスは分析およびチップ電極のための電子ユニットを含む携帯濃縮装置を含む。そのようなデバイスは、サンプル溶液から電極を浸漬および引き出すためにチップを作動する手動「クリッキング」機能を持つペン形を有するために形成されるデバイスのような、高度な携帯性且つ使い捨てであってもよい。
【0114】
粒子固定化のための分析機構
図14は、AC電界および毛管作用に用いる粒子固定化方法を図示する。粒子を捕獲するために、ナノチップ電極は、そのナノチップ電極および溶液に接触する第2の電極を横切って印加されるAC電界を持つ溶液に浸漬される。電極によって生じる不均質電界は、DEPによる粒子の分極および粒子の誘引を結果としてもたらす。チップが溶液から引き出されると、誘引された粒子は組み合わされた毛管作用の影響とDEP力とに基づいてチップ上で捕獲されるか、または放出される。DEP力は、毛管力が粒子をチップ上で捕獲または放出する間に、粒子をチップに誘引する。粒子の捕獲方法を予測するために、毛管作用のための捕獲および放出力を以下で試験する。
【0115】
球体に作用する毛管力を測定するために、毛管作用のための捕獲および放出力はヤング−ラプラス方程式で生成されるメニスカスプロフィールを用いて分析した。図5Aは、サイズ特異的な捕獲の機構を図示し、そこにおいて粒子のチップに対する直径比に依存して、粒子がチップから捕獲または放出される。捕獲は、捕獲および放出のための毛管力が、スプリット点での円周に依存するために、スプリット角度αによって測定される。スプリット点において、溶液は上部および下部に分離される。スプリット角度が90°よりも大きくなると、粒子は溶液中に滞在する(図15Aのケース(1))。スプリット角度が90°よりも小さいときには、粒子はチップに捕獲される(図15Aのケース(3))。正確に90°のスプリット角度(図15Aのケース(2))において、粒子の捕獲はチップおよび溶液に向って作用する毛管力が等しくなるために測定されない。
【0116】
臨界正規化直径[(dn)critical]は、90°のスピリット角度での正規化直径として規定される。図15Aのケース(2)で構成される(dn)criticalは、図15Bに示されるように0.39である数的分析により推定される。この理論的分析によると、チップ直径(dt)に対する粒子直径(dp)の比が0.39未満である限りは、粒子はチップ上に捕獲される。(dn)criticalは、(1)電気的、化学的、機械的および熱的エネルギーか選択される表面相互作用エネルギー、(2)チップ形状および粒子形態学、および(3)粒子−粒子相互作用(例えば細胞の群体形成)によって変化する。
【0117】
毛管力の前記比較において、電気力(例えばDEP)は(dn)criticalを計算するときに考慮されなかった。例えば、仮にDEPがこの計算に含まれるならば、(dn)criticalはDEP力が捕獲毛管力を追加されるために増加するであろう。また、(dn)criticalはチップ形状大きさ、複数粒子相互作用および粒子と液体を伴うチップの接触角度を含む実験条件による影響を受ける。
【0118】
表1は、ポリスチレン球体およびCNT/SiCナノチップについての固定化の結果を概説するものである。チップによって捕獲される最も大きな球体直径は、(dn)criticalを得るためにチップ直径によって正規化する。表1によれば、(dn)criticalはケース(2)、(3)、(4)および(5)を用いて0.84+0.07(平均±標準偏差)の範囲内である。このようにポリウレタンナノ球体に用いる(dn)criticaは0.77〜0.92(0.84+0.07)の範囲で計算される。図5Cに関して前述される100nmおよび6μm球体の混合実験において、6μm球体の(dn)aveが(dn)criticalの範囲に比べて非常に大きかったという理由から、6μm球体はナノチップ上に固定化されなかった。
【表1】
【0119】
dnanotip:ナノチップ直径、dsphere:販売者情報からのナノ球の基準直径、(dn)ave::平均正規化直径 (dsphere/dnanotip)、(dcapture) max:捕獲球の最大直径、(dn)critical:臨界正規化直径 [(dcapture)max/dnanotip]、および「NA」は適用不可を意味する。
【0120】
実験結果の(dn)critical(0.84+0.07)を前述の理論的分析の(dn)critical(0.39)と比較すると、実験(dn)criticalは理論的(dn)criticalよりも高い。この不一致はAC電界から発生されるDEP力に帰する。何故ならば、DEP力が捕獲毛管力に付加され、(dn)criticalが増加するからである。電極および粒子に結合された結合対の使用は、(dn)criticalを更に増大できる。1つの態様において、粒子は第1の電極の短手寸法に比べて大きな臨界寸法(例えば(dn)critical)を有する。1つの態様において、粒子は第1の電極の短手寸法に比べて小さい臨界寸法(例えば(dn)critical)を有する。
【0121】
図5Aの顕微鏡写真および図16Aに概略的に図示されるように、DEP力は球体をチップ側面に誘引する。DEP力がない場合、球体は図16Aのスピリット角度が常に90°より大きいために最初にチップ端に誘引される。
【0122】
DEP力に加えて、理論値と実験結果の間の(dn)criticalの不一致は、チップ形状大きさ、複数粒子相互作用および接触角度を含む追加実験条件によって引き起こされる。
【0123】
仮にナノチップの表面が粗いか、またはナノチップの配向がチップの除去の間において球状滴のタンジェントに対して正確に直交しないならば、チップ側面での球体は、チップの末端を引っ張らないかもしれない。この場合、90°よりも小さいスピリット角度が直ちに生じ、それにより球体は、チップの側面で捕獲される。チップの側面において、粒子はまた、静電誘引、化学的結合エネルギーおよび非特異的分子相互作用によって固定化される。
【0124】
チップが球のクラスタで囲まれると、球は図5Bに示すように、複数粒子相互作用力によってチップの側面に捕獲される。チップ周囲のクラスタ形成は、球が毛管作用によって固体-液体-気体界面に送達される理由で、固定化方法の間でしばしば観測される。前記界面への粒子の送達は、溶液の蒸発および毛管作用による圧縮力に関連するDEP力によって引き起こすことができる。蒸発が続くため、誘引球間の毛管作用は図16Bに概略的に図示されるように凝固力を生じる。そのため送達球間の相互作用力が捕獲力を増大する。
【0125】
幾何学的および複数粒子相互作用効果以外に、(dn)criticalはチップ表面の接触角度のために変化する。チップの接触角度は、チップの表面特性、ヒステリシスおよび電界(例えば電気的湿潤)が変化することによって変更される。同様に、分子相互作用力(例えばファンデルワールス力)は(dn)criticalに影響を及ぼす。そのため、(dn)criticalは液体から所望の粒子を選択的に固定化するために特異的実験条件によって変更される。
【0126】
例証的な態様が図示され、且つ記述されると同時に、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、種々の変化がそこにおいてなされ得ることが認められるであろう。
【0127】
限定的な特性または権利が請求される本発明の態様は、以下に規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を濃縮する方法であって、
(a) 粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(b) 当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;
(c) 当該液体から当該第1の電極を取り除くことにより、当該第1の電極と当該液体の間に形成される毛管力により、当該第1の電極の表面に当該粒子を固定化することと、
を含む方法。
【請求項2】
更に、当該第1の電極の表面に固定化された粒子を分析することを含む請求項1の方法。
【請求項3】
当該粒子の分析することが、電気学的、機械学的、光学的、表面イメージング技術およびその組み合わせからなる群より選択される方法を含む請求項2の方法。
【請求項4】
当該光学的分析が、当該粒子に対して発光化合物を結合させて、発光粒子を提供することと、当該発光粒子からの発光を検出することとを含む請求項3の方法。
【請求項5】
電気学的検出が、キャパシスタンス、抵抗、コンダクタンス、インピーダンスおよびその組み合わせからなる群より選択される特性を測定するための技術を含む請求項3の方法。
【請求項6】
当該第1の電極が、金属、ドープされた半導体および伝導性ポリマーからなる群より選択される物質を含む請求項1の方法。
【請求項7】
当該第1の電極の短手寸法が、1ミリメートルよりも小さい請求項1の方法。
【請求項8】
当該第1の電極の短手寸法が粒子の長手寸法よりも大きい請求項1の方法。
【請求項9】
当該第1の電極が少なくとも部分的に表面コーティングで被覆されている請求項1の方法。
【請求項10】
当該表面コーティングが、単分子層またはポリマー層からなる群より選択される請求項9の方法。
【請求項11】
当該表面コーティングが、当該第1の電極における粒子の固相化を増強する請求項9の方法。
【請求項12】
当該表面コーティングが、第1の結合対を含み、当該粒子が当該第1の結合対に対して結合することが可能な第2の結合対を含む請求項11の方法。
【請求項13】
当該第1の結合対が抗体またはそのフラグメントであり、当該第2の結合対が抗原である請求項11の方法 11。
【請求項14】
前記第1の結合対が抗原であり、当該第2の結合対が抗体またはそのフラグメントである請求項11の方法。
【請求項15】
当該第1の結合対が核酸であり、当該第2の結合対が第2の核酸である請求項11の方法。
【請求項16】
当該第1の結合対が酵素であり、当該第2の結合対が基質である請求項11の方法。
【請求項17】
当該第1の結合対がレセプターであり、当該第2の結合対が当該レセプターのリガンドである請求項11の方法。
【請求項18】
当該第1の結合対が核酸であり、当該第2の結合対がタンパク質である請求項11の方法。
【請求項19】
当該第1の結合対が細胞、細胞膜またはオルガネラであり、当該第2の結合対が当該細胞、細胞膜またはオルガネラのためのリガンドである請求項11の方法。
【請求項20】
当該電界誘導力が、電気泳動、電気浸透、二電子伝達およびその組み合わせからなる群より選択される請求項1の方法。
【請求項21】
当該電界誘導力が、液体と接触している第1の電極と第2の電極との間で生じる請求項1の方法。
【請求項22】
当該液体が溶液および懸濁液からなる群より選択される請求項1の方法。
【請求項23】
当該液体が、血液、痰、粘液および唾液からなる群より選択される生物学的流体である請求項1の方法。
【請求項24】
当該粒子が、粒子、ウイルス、細菌、核酸、細胞およびタンパク質からなる群より選択される請求項1の方法。
【請求項25】
当該ウイルスが、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、エプスタイン-バーウイルス、疱疹ウイルス1型、1型、疱疹ウイルス、2型、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、8型、水痘帯状疱疹ウイルス 、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、a フラビウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス (HIV)、インフルエンザ ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプス ウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス、パピローマウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エボラ、マールブルク、ハンタ、レオウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス、トリインフルエンザウイルス、and 西ナイルウイルスからなる群より選択される請求項24の方法。
【請求項26】
当該細菌が、E.coli、ブドウ球菌、メチシンリン耐性ブドウ球菌(MRSA)、サルモネラおよび緑膿菌からなる群より選択される請求項24の方法。
【請求項27】
当該細胞がショウジョウバエ細胞である請求項24の方法。
【請求項28】
更に、当該固定化された粒子を貯蔵することを含む請求項1の方法。
【請求項29】
貯蔵が、低温凍結を含む請求項28の方法。
【請求項30】
当該第1の電極の表面が連続性の外部表面である請求項1の方法。
【請求項31】
電界誘導力を生じることが、当該表面コーティングを電気的に配向すること含む請求項1の方法。
【請求項32】
更に、当該固定化された粒子が放出されることを具備する請求項1の方法。
【請求項33】
当該固相化された粒子が遊離されることが、当該固相化された粒子が、細胞、ウイルスおよび細菌からなる群より選択される生体内に放出されることを含む請求項32の方法。
【請求項34】
更に、
(d) 高アスペクト比を有する第3の電極を当該粒子を含む当該液体に浸漬することと、ここにおいて、当該第3の電極が、軸短手寸法を有する軸と、遠位短手寸法を有する遠位短手とを含み、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(e) 当該液体において当該粒子が優先的に当該第3の電極に向かって追い込まれるように、当該第3の電極を使用して電界誘導力を生じることと、
(f) 当該取り除かれている第3の電極と当該液との間に形成される毛管力が、体当該第3の電極の表面に当該粒子を固定化するように、当該第3の電極を当該液体から取り除くことと、
を含む請求項1の方法。
【請求項35】
当該粒子が、第1の粒子と第2の粒子とを含み、当該第1の粒子が優先的に第1の電極の方に追い込まれ、当該第2の粒子が優先的に第3の電極の方に追い込まれる請求項34の方法。
【請求項36】
粒子濃縮システムであって、
(a) 高アスペクト比を有する第1の電極と、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(b)第1の粒子を含む第1の液体と;
(c) 取り除かれている当該第1の電極と当該第1の液体との間で形成される毛管力が当該第1の電極の表面に当該第1の粒子を固定化するように、当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くように構成されたアクチュエーターと;
(d) 当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極の方へ優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極に向かって優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるように構成された電気信号発生器と;
を含む粒子濃縮システム。
【請求項37】
粒子を濃縮する方法であって、
(a) 粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と、と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(b) 当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;
を含む粒子を濃縮する方法。
【請求項1】
粒子を濃縮する方法であって、
(a) 粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(b) 当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;
(c) 当該液体から当該第1の電極を取り除くことにより、当該第1の電極と当該液体の間に形成される毛管力により、当該第1の電極の表面に当該粒子を固定化することと、
を含む方法。
【請求項2】
更に、当該第1の電極の表面に固定化された粒子を分析することを含む請求項1の方法。
【請求項3】
当該粒子の分析することが、電気学的、機械学的、光学的、表面イメージング技術およびその組み合わせからなる群より選択される方法を含む請求項2の方法。
【請求項4】
当該光学的分析が、当該粒子に対して発光化合物を結合させて、発光粒子を提供することと、当該発光粒子からの発光を検出することとを含む請求項3の方法。
【請求項5】
電気学的検出が、キャパシスタンス、抵抗、コンダクタンス、インピーダンスおよびその組み合わせからなる群より選択される特性を測定するための技術を含む請求項3の方法。
【請求項6】
当該第1の電極が、金属、ドープされた半導体および伝導性ポリマーからなる群より選択される物質を含む請求項1の方法。
【請求項7】
当該第1の電極の短手寸法が、1ミリメートルよりも小さい請求項1の方法。
【請求項8】
当該第1の電極の短手寸法が粒子の長手寸法よりも大きい請求項1の方法。
【請求項9】
当該第1の電極が少なくとも部分的に表面コーティングで被覆されている請求項1の方法。
【請求項10】
当該表面コーティングが、単分子層またはポリマー層からなる群より選択される請求項9の方法。
【請求項11】
当該表面コーティングが、当該第1の電極における粒子の固相化を増強する請求項9の方法。
【請求項12】
当該表面コーティングが、第1の結合対を含み、当該粒子が当該第1の結合対に対して結合することが可能な第2の結合対を含む請求項11の方法。
【請求項13】
当該第1の結合対が抗体またはそのフラグメントであり、当該第2の結合対が抗原である請求項11の方法 11。
【請求項14】
前記第1の結合対が抗原であり、当該第2の結合対が抗体またはそのフラグメントである請求項11の方法。
【請求項15】
当該第1の結合対が核酸であり、当該第2の結合対が第2の核酸である請求項11の方法。
【請求項16】
当該第1の結合対が酵素であり、当該第2の結合対が基質である請求項11の方法。
【請求項17】
当該第1の結合対がレセプターであり、当該第2の結合対が当該レセプターのリガンドである請求項11の方法。
【請求項18】
当該第1の結合対が核酸であり、当該第2の結合対がタンパク質である請求項11の方法。
【請求項19】
当該第1の結合対が細胞、細胞膜またはオルガネラであり、当該第2の結合対が当該細胞、細胞膜またはオルガネラのためのリガンドである請求項11の方法。
【請求項20】
当該電界誘導力が、電気泳動、電気浸透、二電子伝達およびその組み合わせからなる群より選択される請求項1の方法。
【請求項21】
当該電界誘導力が、液体と接触している第1の電極と第2の電極との間で生じる請求項1の方法。
【請求項22】
当該液体が溶液および懸濁液からなる群より選択される請求項1の方法。
【請求項23】
当該液体が、血液、痰、粘液および唾液からなる群より選択される生物学的流体である請求項1の方法。
【請求項24】
当該粒子が、粒子、ウイルス、細菌、核酸、細胞およびタンパク質からなる群より選択される請求項1の方法。
【請求項25】
当該ウイルスが、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、エプスタイン-バーウイルス、疱疹ウイルス1型、1型、疱疹ウイルス、2型、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、8型、水痘帯状疱疹ウイルス 、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、a フラビウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス (HIV)、インフルエンザ ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプス ウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス、パピローマウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エボラ、マールブルク、ハンタ、レオウイルス、呼吸器系合胞体ウイルス、トリインフルエンザウイルス、and 西ナイルウイルスからなる群より選択される請求項24の方法。
【請求項26】
当該細菌が、E.coli、ブドウ球菌、メチシンリン耐性ブドウ球菌(MRSA)、サルモネラおよび緑膿菌からなる群より選択される請求項24の方法。
【請求項27】
当該細胞がショウジョウバエ細胞である請求項24の方法。
【請求項28】
更に、当該固定化された粒子を貯蔵することを含む請求項1の方法。
【請求項29】
貯蔵が、低温凍結を含む請求項28の方法。
【請求項30】
当該第1の電極の表面が連続性の外部表面である請求項1の方法。
【請求項31】
電界誘導力を生じることが、当該表面コーティングを電気的に配向すること含む請求項1の方法。
【請求項32】
更に、当該固定化された粒子が放出されることを具備する請求項1の方法。
【請求項33】
当該固相化された粒子が遊離されることが、当該固相化された粒子が、細胞、ウイルスおよび細菌からなる群より選択される生体内に放出されることを含む請求項32の方法。
【請求項34】
更に、
(d) 高アスペクト比を有する第3の電極を当該粒子を含む当該液体に浸漬することと、ここにおいて、当該第3の電極が、軸短手寸法を有する軸と、遠位短手寸法を有する遠位短手とを含み、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(e) 当該液体において当該粒子が優先的に当該第3の電極に向かって追い込まれるように、当該第3の電極を使用して電界誘導力を生じることと、
(f) 当該取り除かれている第3の電極と当該液との間に形成される毛管力が、体当該第3の電極の表面に当該粒子を固定化するように、当該第3の電極を当該液体から取り除くことと、
を含む請求項1の方法。
【請求項35】
当該粒子が、第1の粒子と第2の粒子とを含み、当該第1の粒子が優先的に第1の電極の方に追い込まれ、当該第2の粒子が優先的に第3の電極の方に追い込まれる請求項34の方法。
【請求項36】
粒子濃縮システムであって、
(a) 高アスペクト比を有する第1の電極と、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、ここにおいて、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(b)第1の粒子を含む第1の液体と;
(c) 取り除かれている当該第1の電極と当該第1の液体との間で形成される毛管力が当該第1の電極の表面に当該第1の粒子を固定化するように、当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極を浸漬し、且つ当該第1の液体から当該第1の電極を取り除くように構成されたアクチュエーターと;
(d) 当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極の方へ優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるような大きさで、且つ当該第1の液体に当該第1の電極が浸漬されたときに、当該第1の粒子が、当該第1の電極に向かって優先的に追い込まれるように、第1の電極により電気誘導力が生じるように構成された電気信号発生器と;
を含む粒子濃縮システム。
【請求項37】
粒子を濃縮する方法であって、
(a) 粒子を含む液体に、高アスペクト比を有する第1の電極を浸漬することと、ここにおいて、当該第1の電極は、軸短手寸法を有する軸と、と遠位末端短手寸法を有する遠位末端とを含み、当該遠位短手寸法は、1ナノメートルから1ミリメートルであり;
(b) 当該第1の電極を使用して電界誘導力を生じることにより、当該粒子を第1の電極に向かって追い込むことと;
を含む粒子を濃縮する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【公表番号】特表2011−523064(P2011−523064A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512751(P2011−512751)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/046652
【国際公開番号】WO2009/149467
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(504440465)ユニバーシティー・オブ・ワシントン (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/046652
【国際公開番号】WO2009/149467
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(504440465)ユニバーシティー・オブ・ワシントン (2)
【Fターム(参考)】
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