説明

溶融塩媒体からの少なくとも1つの化学元素の抽出方法

【課題】溶融塩媒体中の少なくとも1つの化学元素を抽出するための新規な方法を開発すること。
【解決手段】次の工程を含む溶融塩媒体中に含有された少なくとも1つの化学元素を抽出するための方法:a)化学元素を含む溶融塩媒体を、この化学元素を錯化できる少なくとも1つの基を含むモノマーと接触させる工程であって、それによってこのモノマーが化学元素と配位錯体を形成する工程;b)こうして錯化されたモノマーを重合する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融塩媒体中の少なくとも1つの化学元素を抽出するための方法に関し、この方法は、少なくとも1つの化学元素を、この同じ媒体中に存在する少なくとも1つの他の化学元素から分離することを用途として有していてもよい。
前述のことおよび以下に述べることにおいて、「化学元素」とは、Mendeleevの元素周期表に列挙されるいずれかの化学元素を意味することを指定する。
【0002】
この方法は、2つの区別可能な化学元素の群を分離するため、および同じ群に属する2つの化学元素を分離するための両方に使用できる。
また、最も詳細にはこの方法は、とりわけ特定アクチニドおよび/または核分裂生成物をこうした元素を含む溶融塩媒体から抽出するための照射済み核燃料の再処理の分野に有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
これまで、商業的に利用される照射済み燃料の再処理スキームのすべては、PUREX湿式冶金方法(「抽出によるプルトニウムウラン精錬(Plutonium Uranium Refining by Extraction)」に対応する頭文字)に基づく。この方法において、照射済み燃料は、まず硝酸に溶解させる。次いで得られた溶液を、硝酸と不混和性の抽出剤として作用する有機溶媒と接触させ、これにより2つの相をこのプロセスの終わりに回収する:
−ウランおよびプルトニウムを含む有機相;および
−「PUREXラフィネート」とも呼ばれるマイナーアクチニド(例えばアメリシウムおよびキュリウム)および核分裂生成物を含む水相。
【0004】
ウランおよびプルトニウムを含む有機相は、プルトニウムからウランを単離するために抽出工程の対象となり、これはウランおよび/またはプルトニウムに基づく燃料を製造するために再使用されてもよい。
第2次世界大戦中に開発されたPUREXプロセスは、現在、1,000t/年のオーダーの再処理量を通常有する大容量の産業プラントに適用されている。このプロセスは、特に多くの改善からの恩恵を受けており、これにより信頼性のあるロバスト(robust)なプロセスになり、二次廃棄物をほとんど生じないようになった。
【0005】
しかしPUREXプロセスは、多くの欠点を有する:
−このプロセスは、有機相の抽出後に純粋なプルトニウムのフローが得られる可能性があるので、増殖の可能性があると考えられることが多い;
−抽出剤として使用される有機溶媒が照射に対して感受性であり、強力な燃焼率を有する燃料に対しては再処理の前に長い冷却時間が必要である;
−最後に、再処理の対象とするために、燃料は予め硝酸中に溶解させなければならず、硝酸に可溶性でない難溶性燃料の場合には問題がある。
【0006】
別の方法として、照射済み核燃料を再処理するための高温化学プロセスは、溶融塩媒体(主に、溶融塩化物または溶融フッ化物媒体)中での高温分離技術を利用する。これらのプロセスは、従来の反応器から生じる使用済み燃料の再処理のため、または溶融塩反応器の燃料のオンライン再処理のために70年代に集中的に研究された。実際、溶融塩(一般にアルカリ塩化物またはフッ化物の形態)は、燃料、専用ターゲットおよび将来の反応器のために想定される難溶性マトリックスを相当容易に溶解し得る。これらのプロセスは、照射に対して非感受性であり、中性子に対して透過性である試薬を利用し、強力な燃焼率を有する燃料の再処理を臨界制約なしで、わずかに冷却するだけにする可能性を与える。最後に、それらを用いて、純粋なプルトニウムのフローを直接得ることはできない。
【0007】
燃料を処理するための他の高温化学方法が存在し、これらの方法のうち次を挙げることができる:
−アクチニドの電気分解または電気精錬;
−酸化物イオンO2−を溶融塩に添加することによる酸化アクチニドの選択的沈殿;
−還元液体金属での抽出(選択的抽出と呼ばれる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
化学元素の抽出の間、特に水性フローを制限する可能性という視点において、著者らは、溶融塩媒体中の少なくとも1つの化学元素を抽出するための新規な方法を開発することを提案し、その抽出生成物は、溶融塩媒体から容易に分離されることができ、場合により、不活性化合物、例えば(酸化物セラミック、窒化物セラミックまたは炭化物セラミックのような)セラミックにするために変換できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
故に、本発明は、次の工程を含む溶融塩媒体中に含有された少なくとも1つの化学元素を抽出するための方法に関する:
a)化学元素を含む溶融塩媒体を、この化学元素を錯化できる少なくとも1つの基を含むモノマーと接触させる工程であって、それによってこのモノマーが化学元素と配位錯体を形成する工程;
b)こうして錯化されたモノマーを重合する工程。
【0010】
本発明の範囲内にある方法は、次の利点を有する:
−抽出水性フローを発生させることなく、錯化現象を介して簡単な抽出を可能にする;
−簡単な物理的分離によって、好適な反応(この場合重合反応)後に得られた錯化生成物を簡単に分離できる。
【0011】
説明をより詳細に行う前に、本発明者らは、次の定義を指定する。
溶融塩とは、少なくとも1つの塩、例えばアルカリ塩の溶融から得られる無水液体を意味する。
錯化とは、モノマーと化学元素との間の反応を意味し、モノマーの基が保持する遊離ダブレットの化学元素との共有が関与する。
配位錯体とは、少なくとも1つのモノマーに属する基が配位結合を通して結合された化学元素を含む多原子構造を意味し、配位結合は、化学元素の空の軌道にこの基に属する電子のダブレットを提供することによって得られる。
【0012】
上述のように、本発明の方法は、化学元素を含む溶融塩媒体を、この化学元素を錯化できる少なくとも1つの基を含むモノマーと接触させる工程を含む。
モノマーは、遊離のダブレットを保持する少なくとも1つの基、とりわけアミン基を含んでいてもよく、これは抽出されるべき化学元素を錯化できる。
【0013】
こうしたモノマーの例として、少なくとも1つのアミン基および1つのニトリル基を含む脂肪族モノマー、例えば以下を挙げることができる:
−次式のシアナミド:
【化1】

−次式のジシアナミド。
【化2】

【0014】
少なくとも1つのアミン基および/または1つのニトリル基を含む芳香族モノマー、例えば以下も挙げることができる:
−次式のメラミン:
【化3】

−次式の1,4−ジシアノベンゼン:
【化4】

−次式の1,2,4,5−テトラシアノベンゼン。
【化5】

【0015】
抽出されるべき化学元素を含む溶融塩媒体は、少なくとも1つのアルカリ塩、例えば塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウムまたはこれらの混合物に基づいてもよい。
化学元素を含む溶融塩媒体はまた、塩の共晶混合物、例えばLiCl−KCl混合物であってもよく、こうした混合物の利点は、個々に採用されたLiCl、KCl塩と比較した場合に、より低い融点を有することである。
この方法は、続いて、こうして錯化されたモノマーを重合する工程を含み、この重合工程は、溶融塩および錯化されたモノマーを含む媒体を加熱することによって誘導されてもよい。
【0016】
これにより得られたポリマーは、モノマーによって最初に錯化された化学元素を捕捉する。
次いで重合工程からのポリマーは、溶融塩媒体と分離する工程の対象となってもよく、場合により炭化物、窒化物または酸化物に転化されてもよい。
分離工程は、ろ過または遠心分離によって行われてもよい。
【0017】
例として、本発明の方法は、溶融塩媒体中に含有されるネオジムを抽出するための方法であってもよく、この方法は:
−ネオジムを含む溶融塩媒体をメラミンと接触させる工程;
−ネオジムと錯化したメラミンを重合する工程、
を含み、溶融塩媒体は、塩化リチウムおよび塩化カリウムを含む共晶混合物であってもよく、ネオジムは塩化ネオジム形態として現れる。
【0018】
上述のように、化学元素は、Mendeleevの周期的分類からのいずれかの元素であってもよい。とりわけ、これは、金属元素、例えば遷移金属、ランタニド元素、例えばネオジム、アクチニド元素またはこれらの混合物であってもよい。
故に別の化学元素に対して少なくとも1つの化学元素を選択的に錯化できる基を有するモノマーを用いることによって、本発明の錯化方法は、少なくとも1つの化学元素を少なくとも1つの他の化学元素から分離するために使用されてもよい。
【0019】
故に、本発明はまた、少なくとも1つの化学元素E1を、少なくとも1つの第2化学元素E2から分離する方法に関し、上述の抽出方法を適用する工程を含み、この選択されたモノマーは、この元素E2に対してこの元素E1を選択的に錯化することができる少なくとも1つの基を含むモノマーである。
【0020】
例として、この分離方法は、ネオジムを、ネオジムおよびセリウムを含む混合物から分離することで構成されてもよく、この方法は:
−ネオジムおよびセリウムを含む溶融塩媒体をメラミンと接触させる工程であって、このメラミンがセリウムに対してネオジムを選択的に錯化できる工程;
−ネオジムと錯化したメラミンを重合する工程であって、
この溶融塩媒体は塩化リチウムおよび塩化カリウムを含む共晶混合物であってもよく、このネオジムは塩化ネオジム、このセリウムは塩化セリウムとして現れる、工程;
−こうして錯化されたポリマーをこの溶融塩媒体から分離する工程
を含む。
【0021】
ネオジム(III)は、アクチニドではなく、ランタニドであり、特に溶解度および錯化の観点からアクチニド(III)(例えばプルトニウム(III)、アメリシウム(III)およびセリウム(III))の場合に極めて近い化学的特性を有することに留意すべきである。そのため、これらのアクチニドを用いて適用されることを目的とした方法の精密化において三価のアクチニドの代わりにネオジム(III)を使用することは、慣習通りである。
ネオジム(III)は、本発明の方法を用いて選択的に分離されてもよいので、本発明の方法は、ランタニドに対するアクチニド、例えばマイナーアクチニドの分離に適用されてもよいことがそこから推測できる。
【0022】
故に、実施形態によれば、元素E1は、アクチニド元素(例えばアメリシウム、キュリウムおよびネプツニウムのようなマイナーアクチニド)によって形成される群から選択されるが、元素E2は、ランタニドの群、非ランタニド核分裂生成物の群から選択される。
とりわけ、本発明の抽出方法および分離方法は、特にアクチニドおよび核分裂生成物の分離を確実にするために照射済み燃料の再処理分野に有用であり得る。
この場合、抽出方法または分離方法は、接触工程の前に、溶融塩媒体中に照射済み燃料を溶融する工程を含んでいてもよい。
【0023】
抽出方法および分離方法はさらに、炭化物、炭窒化物、窒化物(モノマーが少なくとも1つの窒素原子を含む場合)であってもよいセラミック(ここでの処理は、窒素および/またはアルゴン雰囲気のような不活性雰囲気中での加熱で構成されてもよい)、または加熱が空気中にて行われるならば抽出されたまたは分離された元素を含む酸化物であってもよいセラミックに変換させるために有効な温度で得られたポリマーを熱処理する方法を含んでいてもよい。
これらの生成物中に保持される化学元素がアクチニド、例えばマイナーアクチニドである場合、それらは変質ターゲットとして使用されてもよい。
【0024】
既に上述された利点に加えて、本発明の方法は次の利点を含む:
−多くの場合は安価である試薬、この場合はモノマーの使用;
−抽出技術、例えば電気精錬、還元抽出または酸化物イオンを供給する沈殿よりも簡便な適用。
ここで本発明は、限定としてではなく例示として与えられる次の実施例に関して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1に従って製造された粉末に関して得られた熱重量分析(TGA)ダイアグラムである。
【図2】実施例1に従って製造された粉末に関して得られたEDSダイアグラムである。
【図3】実施例3に従って製造された粉末に関して得られたEDSダイアグラムである。
【図4】実施例3に従って製造された粉末に関して得られたXRDダイアグラムである。
【図5】実施例5に従って製造された粉末に関して得られたEDSダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
この実施例の範囲内で使用された試薬は次の通りである:
LiCl(8.7g;0.2mol)
KCl(11.2g;0.15mol)
NdCl(2.0g;8mmol)
メラミン1.4g(11mmol)
【0027】
塩(すなわちKCl、LiCl、NdCl)は、モルタル中で密に混合し、次いで真空中にて120℃で2時間乾燥する。次いで全体を、制御された雰囲気下で操作してもよい管状オーブン中の石英るつぼに配置する。室温にてアルゴンフローを用いて一晩後、このるつぼを1時間以内に400℃にし、それにより青色溶液として現れる溶融塩混合物を得る。次いで400℃にてメラミンを添加し、次いで溶液を均質化する。次いで全体を1時間450℃にし、次いで4時間550℃にし、これによりメラミンの重合が得られる。
【0028】
冷却後、白色表面相およびるつぼの底部に黄色相を有するブロックが得られる。全体をミル加工し、次いで1Mの硝酸で洗浄し、次いで水で洗浄し、次いでろ過する。以降、この粉末はNd@Cと称される。洗浄水の原子発光分光分析ICP−AESは、約50%の初期ネオジムが、粉末に組み込まれていることを示す。得られた粉末を、異なる技術:熱重量分析およびエネルギー分散を用いるX線分光法(EDSとも呼ばれる)を用いて特徴付けた。
熱重量分析の結果を、図1に示されるダイアグラムに掲載するが、この図は第1の縦座標にてTG粉末の質量(%単位)の時間依存変化、第2の縦座標に温度T(℃単位)、および横座標にて時間t(分単位)を示す。
【0029】
曲線(a)は、上記で議論された操作手順に従って調製されたNd@C粉末および上記で議論されたものと同様の操作手順に従うが、ネオジム塩の添加を進めずに調製されたC粉末に適用された熱処理を示す。熱処理は、800℃まで40分で温度上昇させ、続いて800℃において30分間この温度を維持することからなる。
曲線(b)は、上述の熱処理中のNd@C粉末のTG質量損失(%単位)における時間依存変化を示す。800℃で30分後、(上述の熱処理中のC粉末のTG質量損失(%単位)を示す曲線(c)によって確認されるように)同じ条件下では完全に分解されるネオジムC無しで合成された粉末に対して、顕著な残留質量を維持していることが認められる。
【0030】
エネルギー分散X線分光法(EDSと呼ばれる)の結果を、Nd@C粉末を用いて行われた図2に移し(横座標は、エネルギーを示す(keV単位))、ネオジムの同定を可能にする。
元素分析は、Nd@C粉末を用いて行われ、参照として粉末Cを用いて行われた。得られた粉末が、約20質量%のネオジムを含むことは以下の表から全く明らかである。
【表1】

【実施例2】
【0031】
本実施例の範囲内に使用される試薬は以下の通りである:
LiCl(8.7g;0.2mol)
KCl(11.2g;0.15mol)
NdCl(2.0g;8mmol)
メラミン1.4g(11mmol)
【0032】
塩(すなわち、KCl、LiCl、NdCl)は、モルタル中で密に混合され、次いで120℃のオーブン中で24時間乾燥する。次いで全体をマッフルオーブンに配置されたアルミナ製のるつぼにて1時間400℃にし(すなわち雰囲気の制御なし)、これにより青色溶液として現れる溶融塩混合物を得る。次いでメラミンを400℃で添加し、次いでこの溶液を均質化する。次いで全体を1時間450℃にして、次いで4時間550℃にする。
冷却後、白色表面相およびるつぼの底部にある黄色相を含むブロックが得られる。全体をミル加工し、次いで1Mの硝酸で洗浄し、水で洗浄し、次いでろ過する。得られた粉末は、実施例1にて得られたものと同じ特徴を有する。
【実施例3】
【0033】
この実施例は、実施例1に従って調製されたNd@C粉末の酸化ネオジムNdへの転化に関連する。
こうするために、1gのNd@Cを空気中800℃で4時間加熱する。得られた粉末は淡紫色である。
エネルギー分散X線分光法(いわゆるEDS)およびX線回折(いわゆるXRD)分光法による分析より、これが実際に酸化ネオジムNdであることを確認する。
【0034】
実際、図3に示されるEDSスペクトル(横座標のエネルギー(keV単位)を表す)は、蛍光バンドがネオジムおよび酸素に対応することを明らかに示す。
図4に示すX線ディフラクトグラムについて(縦座標はピーク強度Iおよび横座標は角度2θを示す)、これはNdの参照ディフラクトグラムに対応する。
【実施例4】
【0035】
この実施例は、実施例1に従って調製されたNd@C粉末の炭化ネオジムNdへの転化に関する。
こうするために、1gのNd@Cを空気中800℃にて4時間加熱する。
得られた粉末は、典型的なNdのX線ディフラクトグラムを有する。
【実施例5】
【0036】
この実施例は、金属塩化物の混合物からのネオジムの選択的抽出を示すことを目的とする。
本実施例の範囲内に使用される試薬は以下の通りである:
LiCl(8.7g;0.2mol)
KCl(11.2g;0.15mol)
NdCl(2.0g;8mmol)
CeCl(2.6g;10mmol)
メラミン1.4g(11mmol)
【0037】
塩(すなわち、KCl、LiCl、NdClおよびCeCl)は、モルタル中で密に混合され、次いで120℃のオーブン中で24時間乾燥される。次いで全体をアルミナ製るつぼ中で1時間450℃にし、これにより青色溶液として現れる溶融塩混合物を得る。次いでメラミンを450℃にて添加し、次いでこの溶液を均質化する。次いで全体を1時間450℃にして、次いで4時間550℃にする。
【0038】
冷却後、白色表面相およびるつぼの底部にある黄色相を有するブロックが得られる。全体をミル加工し、次いで1Mの硝酸で洗浄し、水で洗浄し、次いでろ過する。得られた粉末は、実施例1にて得られたものと同じ特徴を有し、これによりセリウムに対するネオジムの選択的抽出を確認する。とりわけ、図5に示されるEDSダイアグラム(横座標はエネルギーE(keV単位)を表す)は、セリウムに対してネオジムが大過剰であることを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を含む溶融塩媒体中に含有された少なくとも1つの化学元素を抽出するための方法:
a)化学元素を含む溶融塩媒体を、この化学元素を錯化できる少なくとも1つの基を含むモノマーと接触させる工程であって、それによってこのモノマーが化学元素と配位錯体を形成する工程;
b)こうして錯化されたモノマーを重合する工程。
【請求項2】
モノマーが遊離ダブレットを保持する少なくとも1つの基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モノマーが、少なくとも1つのアミン基および1つのニトリル基を含む脂肪族モノマーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
モノマーが:
−次式のシアナミド:
【化1】

−次式のジシアナミド:
【化2】

から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
モノマーが、少なくとも1つのアミン基および/または1つのニトリル基を含む芳香族モノマーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
芳香族モノマーが:
−次式のメラミン:
【化3】

−次式の1,4−ジシアノベンゼン:
【化4】

−次式の1,2,4,5−テトラシアノベンゼン:
【化5】

から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
モノマーがメラミンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
溶融塩媒体が、少なくとも1つのアルカリ塩に基づく、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
溶融塩媒体が、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウムおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ塩である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
溶融塩媒体が、LiCl−KCl混合物のような共晶混合物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
−ネオジムを含む溶融塩媒体をメラミンと接触させる工程;
−ネオジムと錯化したメラミンを重合する工程
を含み、媒体が、塩化リチウムおよび塩化カリウムを含む共晶混合物であってもよく、ネオジムが塩化ネオジムとして現れる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化学元素が、金属元素、ランタニド元素および/またはアクチニド元素である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程b)の後、工程b)から得られたポリマーから溶融塩媒体を分離する工程をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
セラミックへの変換に有効な温度での、工程b)の終わりに得られたポリマーの熱処理工程をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの第1の化学元素E1を少なくとも1つの第2の元素E2から分離するための方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の抽出方法を適用する工程を含み、選択性モノマーが、元素E2に対して元素E1と選択的に錯化できる少なくとも1つの基を含むモノマーである、方法。
【請求項16】
ネオジムおよびセリウムを含む混合物からのネオジムの分離で構成される、請求項15に記載の方法であって、この方法が:
−ネオジムおよびセリウムを含む溶融塩媒体をメラミンと接触させる工程であって、このメラミンが、セリウムに対してネオジムを選択的に錯化できる、工程;
−ネオジムと錯化したメラミンを重合する工程であって、この溶融塩媒体は、塩化リチウムおよび塩化カリウムを含む共晶混合物であってもよく、ネオジムが塩化ネオジムとして現れ、セリウムが塩化セリウムとして現れる工程;
−こうして錯化されたポリマーを溶融塩媒体から分離する工程
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533679(P2012−533679A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520045(P2012−520045)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060245
【国際公開番号】WO2011/006974
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(510097644)コミッサリア ア ロンネルジー アトミック エ オ ゾンネルジー ザルテルナティーフ (33)
【Fターム(参考)】