説明

溶融金属から鋳造部品を鋳造するための鋳造型を組み立てる方法

本発明は、溶融金属から内燃機関のシリンダブロックを鋳造するための、鋳造型部分から構成される鋳造型を組み立てる方法であって、シリンダブロックのシリンダ室の内面の少なくとも1つの部分片を形づくる、少なくとも1つの冷却鋳型(14−17)が、1つの鋳造型部分(1)の壁(11)に位置決めされて、保持される。本発明の方法により、設けられる冷却鋳型が、簡単でしかも信頼できるやり方で取り付けられる。これは、冷却鋳型が、少なくとも所定の保持時間の間その位置に、磁石(12)からもたらされる磁気的な力によって保持され、磁石が鋳造型部分の壁の、冷却鋳型とは逆の側に配置されることによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属から内燃機関のシリンダブロックを鋳造するための、鋳造型部分から構成される鋳造型を組み立てる方法に関するものであって、同方法において、シリンダブロックのシリンダ室の内面の少なくとも1つの部分片を形づくる、少なくとも1つの冷却鋳型が、1つの鋳造型部分の壁に位置決めされて、保持される。
【背景技術】
【0002】
巨大技術的に、この種の方法および装置は、たとえば自動車産業において、大量の個数で内燃機関のシリンダブロックを形成するために使用される。その場合に、特にシリンダ円筒の領域において、高い負荷吸収能力を保証する、粒子の細かい継目を形成する、特別な要請がある。特に急速に固まる、粘性の粒子の細かい鋳造継目が形成されなければならない、他の箇所の例として、シリンダブロックの、クランク軸のための軸受を形成する領域がある。
【0003】
鋳造継目内に方向付けされた急速な硬化をもたらすために、特に軽金属溶融物を大きい型内へ注ぎ込む場合に、金属挿入片、いわゆる「冷却鋳型(chill)」が使用され、それは、熱伝導性の良い材料からなり、金属挿入片と接触する溶融物から短い時間内に比較的大きい熱量を引き出す、ヒートシンクとなる。従って冷却鋳型は、アルミニウム材料からシリンダブロックを鋳造する場合に、たとえば、鋳造すべきブロックにシリンダ円筒を形づくるように、配置される。その場合に、このように配置された冷却鋳型に接触する鋳造材料は、鋳造型内で冷却鋳型からもっと離れた溶融物よりも、ずっと急速に冷えるので、円筒の領域内に粒子の細かい継目の刻印を有する、所望に方向付けされた硬化が生じる。
【0004】
どのようにして鋳造型内に冷却鋳型としての金属挿入片が挿入されるか、の例が、引用文献1に与えられている。この特許公報においては、アルミニウムからエンジンブロックを形成する方法が記載されており、同方法においてエンジンブロックは標準型内で鋳造され、そのシリンダ中空室は標準型内へ挿入された、真鍮材料からなる冷却鋳型によって成形され、その場合に真鍮材料は、それぞれ流し込まれるアルミニウム溶融物の熱膨張係数に適合された、18×10-6-1より大きい熱膨張係数を有している。このようにして、出来上った鋳造部品に所望の継目が意図的に形成される場合でも、加熱の際の冷却鋳型の挙動をアルミニウム溶融物の熱膨張挙動に適合させるにもかかわらず、実際には、所定の適用場合においては、鋳造材料の硬化後に冷却鋳型を出来上った鋳造部品から除去することが困難であることが明らかにされている。
【0005】
しかし、実際には、それぞれの鋳造部品の形状堅牢性に直接影響を与えることに基づいて、金属挿入片の位置決めは、鋳造所駆動のラフな条件下でも、常に正確に行われなければならない。これは、特に、鋳造型がコアパケットとして複数の鋳造型部分と金属挿入片とから構成される場合に、極めて煩雑であることが、明らかにされている。「コアパケット」と称されるのは、複数の鋳造コアから構成される、鋳造型である。コアパケットによって、複雑なフィリグラン細工の型キャビティとそれに伴って型部分も形づくることができる、鋳造型が、簡単な方法でまとめられる。
【0006】
金属挿入片の使用に関連する他の問題は、特許文献1で与えられる例のように、鋳造型が、いわゆる「消失模型」である場合に生じ、その消失模型は、型材料から形成された部分からまとめられて、溶融物の硬化後に出来上った鋳造部品を型から出すために破壊されなければならない。この種の鋳造型内で冷却のために挿入される金属挿入片を確実に位置決めし、かつその位置に保持することができるようにするためには、その金属挿入片をそれを包囲する、型部分の型材料と共に挟持して、溶融物の硬化後に鋳造部品から離れるのが困難であるようにすることが、必要である。
【0007】
金属挿入片を外すことを容易にするために、これまでは、金属挿入片に、出来上った鋳造部品から取り出す際に金属挿入片が損傷する危険を減少させる、セラミックの粉末コーティングを設けることが一般的であった。コーティングの塗布と結びつく、付加的な手間の他に、このコーティングは、鋳造金属と挿入片の間の熱伝達とそれに伴って冷却作用を損なう、という欠点を有している。
【0008】
上述した、型部分とコアから鋳造型を構成することに直接向けられた従来技術の他に、特許文献2からは、コア材料または型材料から鋳造型のためのコアまたは型部分を形成する方法と装置が知られており、それは、それぞれの型ケースまたはコアケース内に冷却鉄を、それが確実にそれぞれ形成すべきコアまたは型部分の、その冷却鉄へ向いた側に取り付けられるように、保持することを許すものである。この目的において、それぞれの冷却鉄は、まず、空の型ケースまたはコアケース内で位置決めされ、その場合にこの冷却鉄はこの位置においてそれぞれ型ケースまたはコアケースの外壁に添接する。次に、型ケースの該当する壁に外側から形成された凹部内へ取り付けられて、自らと冷却鉄との間に存在する壁部分を通して作用する、電磁石を用いて、冷却鉄がこの位置に保持される。型材料またはコア材料の充填が終了した後に、電磁石の励磁電流回路が遮断されるので、それぞれの型部分ないしそれぞれのコア部分は、その中に埋め込まれた冷却鉄と共にケースから取り出すことができる。
【特許文献1】独国特許公報19533529C2
【特許文献2】独国特許公報719454
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、簡単で、しかも確実な方法でシリンダブロックを鋳造するための、型中空室内に設けられた金属挿入片を有する鋳造型を組み立てる、冒頭で挙げた種類の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載された方法によって解決される。本発明に基づく方法の好ましい形態が、請求項1に従属する請求項に記載されている。
【0011】
本発明に基づく方法は、特に、軽金属溶融物、特にアルミニウムベースの溶融物を注ぎ込むのに適している。
【0012】
本発明によれば、以下において「金属挿入片」と称することもできる、それぞれの冷却鋳型が、簡単な方法で、少なくとも1つの適切に配置された磁石からもたらされる磁力によって、鋳造型内の、組み立てるために定められたそれ用の位置に保持される。そのための前提は、冷却鋳型自体が感磁性を有することだけである。従って、冷却鋳型用の材料として、鉄およびその合金のような、強磁性の材料が考えられる。本発明によれば、特に、使用される冷却鋳型は、鋳鉄のような、安価で摩耗に耐える材料から形成される。
【0013】
本発明に基づくやり方において、組立て工程の間それぞれの冷却鋳型へ保持力をもたらす磁石体は、金属溶融物の注入あるいはその他の組立て工程を妨げないように、配置される。本発明によれば、これは、磁石が、金属挿入片が位置決めされる壁の後方に、その磁力が壁を貫通し、挿入片と磁石との間の直接的な接触なしで、挿入片を保持するように、配置されることによって、達成される。
【0014】
本発明に基づく作業方法において、もはや、冷却鋳型を保持するために、それを鋳造型部分内に埋め込むことは、不要である。むしろ、冷却鋳型は鋳造型部分とは別に取り扱うことができるので、鋳造型を組み立てる場合に、鋳造型部分のように取り扱うことができる。このことが、製造プロセス全体の著しい簡略化をもたらす。
【0015】
本発明に基づくやり方においては、冷却鋳型はもはや、鋳造型部分内、ないしそれぞれの鋳造部品内へ埋め込む必要がないので、本発明に基づいて形成された鋳造型の離型の際に、もはや、冷却鋳型または鋳造部品の損傷の問題は生じない。従って、冷却鋳型のコーティングを省くことができ、準備の手間を削減することができる。その代わりに、本発明に基づいて磁力によって保持される冷却鋳型は、鋳造後に鋳造部品および鋳造型の型部分から、容易に除去される。この利点は、特に、専門用語では「エンジンブロック」とも称され、冷却鋳型がシリンダの走行面を形づくる、内燃機関のシリンダブロックを鋳造する場合に明らかにされる。
【0016】
従来技術において必要とされる、鋳造型部分を形成する際にすでに、型工具内で型材料を回りに吹き付けることにより、冷却鋳型を埋め込むことは、本発明に基づくやり方においては、不要である。鋳造型をまとめる際に冷却鋳型が別に取り扱われて、専用の保持装置からもたらされる磁力によってその位置に保持されることに基づいて、型材料から成形される鋳造型部分から組み立てられる鋳造型を使用する場合に、従来のやり方において必要であるような、それぞれ形成された鋳造部品からのそれぞれの冷却鋳型の最適な分離を保証するために、冷却鋳型を滑らかにする糊でコーティングすることを、省くことができる。
【0017】
その場合に、本発明の他の利点は、すでにある設備に、簡単な方法で統合できることにある。
【0018】
従って、本発明に基づく方法は、従来技術に比較して簡単で安価に、鋳造部品を形成することを保証する。その場合に本発明は、特に、軽金属溶融物、特にアルミニウム溶融物から鋳造部品を鋳造するのに適している。
【0019】
本発明に基づく鋳造型を構成する、鋳造型部分は、好ましくは、型原材料とバインダーから混合された、型材料から形成されている。その場合に、型原材料として、たとえば、石英を含む砂、あるいは石英を含まない砂が考えられ、バインダーとしては、無機のバインダーも有機のバインダーも使用することができる。その場合に本発明は、鋳造型がそれ自体知られた方法でコアパケットとして形成されていると、特に効果的であることが、明らかにされている。
【0020】
鋳造型内で冷却鋳型を位置決めして保持することは、本発明に基づくやり方においては、金属部品が配置されるべき、それぞれの場所の所定の準備に関係なく、行うことができる。従って、金属部品の位置決めは、それぞれ、それぞれの鋳造型を組み立てる場合にそれぞれ最適な作業シーケンスのみによって定められる時点で行うことができる。その場合に決定的なことは、保持するために必要とされる磁石を、保持すべき冷却鋳型の領域内に、その磁石からもたらされる力が冷却鋳型を確実に捕捉するように配置することができる、ということだけである。
【0021】
磁気挿入片を保持するために設けられる磁石の、特に信頼できる作用を保証するために、その壁に冷却鋳型が位置決めされる、鋳造型部分に、開口部を形成することができ、その開口部内へ磁石が導入される。それぞれの鋳造型部分の壁をこのように形成する場合に、冷却鋳型を保持するために使用される磁石は、組立て工程を容易にするために、冷却鋳型のすぐ近傍へ移動させることができる。特に、その円筒が冷却鋳型によって形づくられる、エンジンブロックを鋳造する場合に、この理由から、鋳造型部分に袋孔がマンドレル形状に形成されて、その袋孔内へ磁石が導入されると、効果的である。該当する鋳造型部分をこのように形成する場合に、複数の冷却鋳型を鋳造型部分の外側面上に並べて配置することができるので、それらが一緒になってそれぞれのシリンダの内側形状を形づくり、かつ中央の袋孔内に配置された磁石によって、一緒に保持される。
【0022】
実際の適用のために重要な、本発明の他の変形例は、冷却鋳型が、他の鋳造型部分が配置されるまで、磁石によってその位置に保持されて、次にその他の鋳造型部分が冷却鋳型を相補形状および/または力結合でその位置に保持することを、特徴としている。本発明のこの形態において、冷却鋳型は、その位置決め後に取り付けられた鋳造型部分によって、その位置に保持され、そのためにさらに磁力は必要とされない。冷却鋳型を保持する場合のこのやり方の他の利点は、鋳造型内の冷却鋳型の位置が、それと相補形状および/または力結合で接触する他の鋳造型部分によって正確に定めることができることにある。従って本発明のこの形態において、本発明に基づく磁力による冷却鋳型の保持は、それぞれの冷却鋳型が他の鋳造型部分によって、そのためにさらに別体の保持装置からもたらされる保持力を必要とすることなしに、その位置に保持されるまでの間、鋳造型内の冷却鋳型の保持に関して定められない状態を切り抜けるために、用いられる。
【0023】
原則的に、冷却鋳型を本発明に基づいて保持するために使用される磁力をもたらすために、十分に強い磁場を発生させることができる、すべての磁石が適している。すなわち、本発明を特に簡単、安価かつ実際的に実施するために、本発明に基づく方法で保持力をそれぞれの冷却鋳型へもたらすために、たとえば、永久磁石を設けることができる。
【0024】
しかし、特に強い力をもたらし、同時に磁気的な保持力を特に正確に制御することを可能にしようとする場合には、そのために特に電磁石が適している。電磁石は、それが発生する磁場の強さの正確な調節を許すだけでなく、その電磁石によって簡単な方法で、電気的出力をオンにし、かつオフにすることによって、本発明に基づく方法で磁力がそれぞれの冷却鋳型へもたらされる期間を正確に定めることが可能である。この目的のために、たとえば、コイルベースで形成される電磁石が考えられる。この種の電磁石の磁場は、コイルを通して案内される電流を介して比例的に制御することができる。
【0025】
すでに述べたように、本発明は特に、アルミニウム溶融物またはマグネシウム溶融物のような軽金属溶融物から内燃機関のシリンダブロックを形成するのに適しており、その場合に1つまたは複数の冷却鋳型によって、シリンダブロックのそれぞれのシリンダ室の内面の少なくとも1つの部分片が形づくられる。
【0026】
本発明は、特に、鋳造型部分を取り扱うための、ロボットのような装置が設けられている、全自動で作業する、鋳造型を組み立てる装置に適用するのに適している。これらの装置は、本発明を適用する場合に冷却鋳型も問題なく位置決めすることができる。というのは、この金属挿入片をそのそれぞれの位置に保持することは、磁石によって確保されており、冷却鋳型を鋳造型部分の1つに材料結合で取り付ける必要がないからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、実施例を示す図面を用いて、本発明を詳細に説明する。
【0028】
一体的に形成された鋳造型部分1は、アルミニウム合金から形成された溶融物から内燃機関のためのシリンダブロックを鋳造するための、ここには示されない鋳造型の構成部分である。鋳造型部分は、それ自体知られているように、型原材料としての型砂とバインダーから混合された、型材料から形成されており、ベース部分2を有し、そのベース部分が上方へ張り出す、実質的に円筒状に形成されたマンドレル部分3を支持している。
【0029】
マンドレル部分3は、外表面4を有しており、それが径方向に突出する4本のリブ5によって4つの部分に分割されている。鋳造型1のマンドレル部分3がベース部分2へ移行する領域において、マンドレル部分3の周面4に対して実質的に直角に方向づけされた、マンドレル部分3を取り巻く、ベース部分の上方の端面に、一周する溝6が形成されている。
【0030】
ここには示されない変形例によれば、マンドレル部分は、径方向に突出するリブによって2つ、3つまたはそれより多い部分に分割される、外表面も有することができる。さらに、リブは、ここに示す、平行に延びる側壁を有する付与形状とは異なり、横断面において円錐状に細くなり、あるいは広くなるように形成することができる。他の考えられる形態によれば、マンドレル部分は、付加的なリブによって分割されない、外表面を有することもできる。この場合においては、外表面は、それぞれ収容すべき冷却鋳型によって、完全に包囲される。
【0031】
図に示す実施例において、付加的に、ベース部分2の上方の端面7と対向する下方の端面8から始まって、鋳造型部分1に袋孔9が形成されており、その袋孔はベース部分2の端面8から、マンドレル部分3の端面を形成する、マンドレル部分3の終端壁10まで延びている。その場合に、袋孔9の内面と外表面4との間に、マンドレル部分3の必要な形状安定性を保証するのに十分な、わずかな壁厚を有する壁11のみが存在するように、袋孔9の直径がマンドレル部分3の外径に適合されている。
【0032】
袋孔9内へ、バー13の自由端部に固定された電磁石12が挿入されている。電磁石12を有するバー13は、金属部分14、15、16、17を保持するための、図示されていない他の装置の一部であって、それら金属部分は冷却鋳型として、ここには図示されていない、位置決めするための装置によってマンドレル部分3の外表面4に取り付けられている。
【0033】
電磁石12を有するバー13は、同様に図示されていない操作装置によって、電磁石12が袋孔9の外部にくる、非作動位置から、図1に示す、電磁石12が袋孔9内へ完全に導入されている、駆動位置へ移動することができる。電磁石12に電気エネルギを供給することは、同様に図示されていない制御装置を介して行われ、その制御装置は、冷却鋳型14−17が位置決めされた場合に、それらをその位置に保持するために、電磁石12にエネルギを供給する。
【0034】
冷却鋳型14−17の高さは、マンドレル部分3の高さに適合されている。その場合に、冷却鋳型は、その上方と下方の幅狭側に、それぞれ上方ないし下方へ突出するウェブ18、19を有しており、それらのウェブのうちの下方のウェブ19が溝6内へ嵌入するので、冷却鋳型14−17がそこに相補形状で保持される。同時に、冷却鋳型14−17は、それぞれ外表面4の、対応づけられた部分に同一平面で添接するように、湾曲されている。同時に、冷却鋳型14−17の幅は、外表面の各部分がそれに同一平面で添接する冷却鋳型14−17によって完全に満たされているように、外表面4の部分の幅に合わせられている。
【0035】
冷却鋳型14−17は、GG20(DIN1691に基づく)の名称で知られている鉄合金からネズミ鋳鉄として鋳込まれている。
【0036】
冷却鋳型14−17が、外表面4の部分内に位置決めされるとすぐに、電磁石12に電気エネルギが供給される。それに続いて電磁石によって発生された磁場が、冷却鋳型14−17を捕捉して、それをマンドレル部分3の外表面4に接するその位置に保持する。
【0037】
次に、ここには図示されていない鋳造型の、同様に図示されていない部分が、取り付けられる。その場合に、図示されていない鋳造型部分の1つが、溝状の収容部を有しており、該当する鋳造型部分の位置決め後に、その収容部内へ冷却鋳型14−17の上方の端部に形成されたリブ19が嵌入するので、冷却鋳型14−17は、その上方の端部においても相補形状で保持される。この状態が達成されるとすぐに、電磁石12のエネルギ供給を遮断して、電磁石12を有するバー13を袋孔9から引き出すことができる。
【0038】
鋳造型1と冷却鋳型14−17を使用して構成される鋳造型内でシリンダブロックを鋳造する場合に、冷却鋳型14−17が、シリンダブロックの1つのシリンダの円筒を形成する。その場合に、冷却鋳型14−17がヒートシンクを形成し、そのヒートシンクによって、冷却鋳型14−17と接触するアルミニウム溶融物が急速に硬化して、粒子の細かい継目を形成することが、保証される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の鋳造型部分を、図3に記入された切断線A−Aに沿って示している。
【図2】図1に示す鋳造型部分を、側面で示している。
【図3】図1と2に示す鋳造型部分を、図2に記入された切断線B−Bに沿って示している。
【符号の説明】
【0040】
1 鋳造型部分
2 ベース部分
3 マンドレル部分
4 マンドレル部分3の外表面
5 マンドレル部分3のリブ
6 溝
7 ベース部分2の上方の端面
8 ベース部分3の下方の端面
9 袋孔
10 マンドレル部分3の終端壁
11 マンドレル部分3の壁
12 電磁石
13 バー
14−17 冷却鋳型
18、19 ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属から内燃機関のシリンダブロックを鋳造するための、鋳造型部分から構成される鋳造型を組み立てる方法であって、
シリンダブロックのシリンダ室の内面の少なくとも1つの部分片を形づくる、少なくとも1つの冷却鋳型(14−17)が、1つの鋳造型部分(1)の壁(11)に位置決めされて、保持される、前記方法において、
冷却鋳型(14−17)が、少なくとも所定の保持時間の間その位置に、鋳造型部分(1)の壁(11)の冷却鋳型(14−17)とは逆の側に配置されている磁石(12)からもたらされる磁気的な力によって保持される、
ことを特徴とする鋳造型部分から構成される鋳造型を組み立てる方法。
【請求項2】
鋳造型部分(1)が、冷却鋳型(14−17)が位置決めされる壁部分に、開口部(9)を有しており、前記開口部内へ磁石(12)が導入される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
鋳造型部分(1)に、マンドレル形状に袋孔(9)が形成されており、前記袋孔内へ磁石(12)が導入される、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
冷却鋳型(14−17)が、他の鋳造型部分が配置されるまで、磁石(12)を用いてその位置に保持され、
次に前記他の鋳造型部分が冷却鋳型(14−17)を相補形状および/または力結合で、その位置に保持する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
磁石(12)が、電磁石である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
磁石(12)が、永久磁石である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
金属溶融物が、軽金属溶融物である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
金属溶融物が、アルミニウムベースの溶融物である、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−525875(P2009−525875A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553780(P2008−553780)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051294
【国際公開番号】WO2007/090895
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506207912)ハイドロ アルミニウム アルキャスト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【Fターム(参考)】