説明

溶融鉄含有材料及び鉱物材料を鋳造及び抜き取りのための装置及び方法

本発明は、溶融物を貯蔵するための電気加熱装置又は外部加熱装置を備え且つ冷却装置を含む溶融物排出出口を備えている溶融炉に関する。溶融物排出出口を妨害しているプラグを機械的に除去するための装置が溶融物排出出口に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、鋳造物に加工されるまで貯蔵状態に保たれる高温溶融物の故障の無い抜き取り又は鋳造のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高温技術において、液体溶融物の処理はしばしば行われる作業である。1000℃以上の温度での液体溶融物の処理は、例えば、ほんの幾つかの例を説明するためにガラス工業又はサーモセレクト(THERMOSELCT)プロセスによるに高温ガス化においては、例えば基本的な作業において見出される。基本的には、溶融物は、電気装置又は外部加熱装置に設けられている溶融炉内に貯蔵され、次いで、次の処理(連続鋳造、表面鋳造、デッドモールド鋳造等)を行うために鋳造されるか又は抜き取られる。
【0003】
家庭内廃棄物、産業廃棄物又は空間廃棄物のような種々のタイプの廃棄物のサーモセレクトプロセスによる高温ガス化の場合には、分級されていない廃棄物が例えば反応器内に導入される。無機成分例えば鉄は、約2000℃の温度で溶融される。鉱物溶融物は、次いで、冷却された銅リング上を通されH2Oによって粒状化される。冷却リング上には、溶融物を粒状化装置内へ確実に案内するためにバーナーが配置されている。
【0004】
これらの方法、特にプロセスに関する問題点は、流出物における所謂“プラグ”の形成である。このような炉からの流出物における凝固した溶融物プラグの形成によって、中断又は作動に関する問題が発生することが極めてしばしば起こる。例えば、大きな比率の鉄が存在するサーモセレクトプロセスにおいては、流れ出るときに凝固する溶融物は、ある時間の後に冷却リングに付着し始め、プラグが形成される。プラグが手で除去された後においてのみ鋳造過程を続けることができる。
【発明の開示】
【0005】
従って、本発明の目的は、貯蔵器からの1000℃以上の熱い液体溶融物の連続的な故障の無い鋳造又は流出を可能にする装置及び方法を提供することである。
この目的は、請求項1に記載された装置と請求項12に記載された方法との開発によって達成される。従属項2乃至11は、請求項1に記載の装置の好ましい実施形態を示している。
【0006】
従って、溶融物を貯蔵している容器の流出部における凝固の結果として形成されるプラグの機械的な除去のための器具(以下においてプラグリムーバーと称される)が設けられている。溶融物の凝固は、溶融物排出出口が一の又は別の形態の冷却装置を含んでいるために生じる。例えば、この冷却は、流出物が雰囲気温度に曝されることにより起こる。本発明に従って、プラグリムーバーは溶融物排出出口に取り付けられる。
【0007】
本発明の利点は、如何なる手動による介在もない溶融物のための排出動作を維持することが出来ることにある。
【好ましい実施形態の説明】
【0008】
好ましい実施形態においては、本発明は、溶融物排出出口の上方に配置された水冷の銅製の流出リングを提供している。この銅製リングの高い熱伝導性により、プラグと流出リングとの間に固着される結合部分が形成されない。更に、200乃至800mm、特に好ましくは500mmの溶融物排出出口が使用されるのが好ましい。
【0009】
除去プロセスが行われる前に、休止位置又は終端位置でプラグリムーバーが停止するようになされた本発明の好ましい変更列が提供される。終端位置で、プラグリムーバーは排出を妨害しない。
【0010】
更に別の好ましい変更例において、休止位置は冷却された領域として設計されている。溶融物容器を加熱するために使用される放射線からこの領域を保護することは本発明の明確な考えである。この関係では、プラグリムーバーが内部冷却装置によって冷却されて材料の疲労を防止するようになされた実施形態もまた考えられる。更に、材料の引っ張り又は疲労を防止するために、プラグリムーバーの休止位置の周辺の冷却された鋳造構造としてハウジングを形成することができる。
【0011】
プラグリムーバーの動きに関して、好ましい実施形態は、流出方向に直角な面内での動きを提供する。カッターが、溶融物排出出口全体を覆う円形通路上を動かされる。プラグリムーバーの移動面と流出リングとの間の間隔は出来るだけ短くされる。この間隔は、420mmより長くすべきではなく、200mm未満であるのが好ましい。プラグの形成を永久的に防止するために、1乃至3秒、好ましくは2秒のサイクル時間での動きが提案される。
【0012】
更に別の実施形態においては、プラグリムーバーは、剣形状とされたカッターとすることができる。この関係では、カッターのための油圧駆動機構が特に有効であることが判明した。
【0013】
更に別の実施形態においては、プラグリムーバーによって起動される記録機構が提供されている。この記録機構は、プラグリムーバーがその終端位置に達したか否かを検知する。プラグリムーバーがプラグリムーバーによって除去することができないプラグの形成を意味するその終端位置に到達していない場合には、排出部の上方でプラグを溶融する酸素やりが自動的にオンに切り換えられる。このようにして、プラグは、切断トーチに似た機構によって切り取られ且つ酸化される。別の方法として、この場合には、溶融物排出出口を凝固した材料が無い状態に保つために、1以上の3−チャンネルバーナーが冷却された銅製流出部リングの上方に配置される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物を貯蔵するための電気的加熱装置又は外部加熱装置を備え且つ冷却装置を含んでいる溶融物排出出口を備えている溶融炉であって、
前記溶融物排出出口を妨害しているプラグを機械的に除去するための装置が前記溶融物排出出口に配置されていることを特徴とする溶融炉。
【請求項2】
請求項1に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が、前記溶融物排出出口の側部に取り付けられており且つ休止位置にあるときに前記溶融物排出出口を妨害しないこと特徴とする溶融炉。
【請求項3】
請求項12に記載の溶融炉であって、
前記休止位置が、冷却され且つ前記溶融炉を加熱する熱放射線から保護されていることを特徴とする溶融炉。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が内部冷却装置を備えていることを特徴とする溶融炉。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が、前記溶融物の流出方向に直角な面内で移動させることができることを特徴とする溶融炉。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が円形経路内で移動させることができることを特徴とする溶融炉。
【請求項7】
請求項5及び6のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が油圧駆動機構を備えていることを特徴とする溶融炉。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が剣形状であり、剣の切刃が前記溶融物の流出方向に直角な面内に整合されていることを特徴とする溶融炉。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記溶融物排出出口が、200mm乃至800mm好ましくは500mmの直径を有していることを特徴とする溶融炉。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記溶融物排出出口の上方に水冷銅製リングが配置されていることを特徴とする溶融炉。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置の位置を検知するために、前記休止位置においてプラグを除去するための装置によって起動される記録機構を備えていることを特徴とする溶融炉。
【請求項12】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項によって提供される溶融物排出出口上に形成されて溶融物排出出口を妨害するプラグを除去するための方法であって、
前記プラグが、請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載のプラグを除去するための装置の助けによって破壊、殴打又は引き裂き方法によって除去される方法。
【請求項13】
請求項12に記載のプラグを除去する方法であって、
前記破壊、殴打又は引き裂き方法が1乃至3秒のサイクル時間によって周期的に行われることを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、前記溶融物の流出方向に直角な面内を動かされることを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項15】
請求項12、13又は14に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、前記溶融物排出部全体を覆っている円形経路内を移動することを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項16】
請求項12乃至15のうちのいずれか一項に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、油圧によって動かされることを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項17】
請求項12乃至16のうちのいずれか一項に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、その休止位置において、終端位置に到達したことを記録するための機構を起動させ、前記プラグを除去するための装置が予め設定された時間間隔内に到達していないときに、前記プラグを除去するための更に強い機構がオンに切り換えられるか又は警告信号が発せられることを特徴とするプラグを除去する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物を貯蔵するための電気的加熱装置又は外部加熱装置を備え且つ冷却装置を含んでいる溶融物排出出口を備えている溶融炉であって、
前記溶融物排出出口を妨害しているプラグを機械的に除去するための装置が前記溶融物排出出口に配置されており、
前記プラグを除去するための装置が、前記溶融物排出出口の側部に取り付けられており且つ休止位置にあるときに前記溶融物排出出口を妨害しないように成されており、
前記プラグを除去するための装置が、前記溶融物の流出方向に直角な面内で移動させることができることを特徴とする溶融炉。
【請求項2】
請求項1に記載の溶融炉であって、
前記休止位置が、冷却され且つ前記溶融炉を加熱する熱放射線から保護されていることを特徴とする溶融炉。
【請求項3】
請求項1乃至2のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が内部冷却装置を備えていることを特徴とする溶融炉。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が円形経路内で移動させることができることを特徴とする溶融炉。
【請求項5】
請求項3及び4のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が油圧駆動機構を備えていることを特徴とする溶融炉。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置が剣形状であり、剣の切刃が前記溶融物の流出方向に直角な面内に整合されていることを特徴とする溶融炉。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記溶融物排出出口が、200mm乃至800mm好ましくは500mmの直径を有していることを特徴とする溶融炉。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記溶融物排出出口の上方に水冷銅製リングが配置されていることを特徴とする溶融炉。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の溶融炉であって、
前記プラグを除去するための装置の位置を検知するために、前記休止位置においてプラグを除去するための装置によって起動される記録機構を備えていることを特徴とする溶融炉。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項によって提供される溶融物排出出口上に形成されて溶融物排出出口を塞ぐプラグを除去するための方法であって、
前記プラグが、請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載のプラグを除去するための装置の助けによって破壊、殴打又は引き裂き方法によって除去される方法。
【請求項11】
請求項10に記載のプラグを除去する方法であって、
前記破壊、殴打又は引き裂き方法が1乃至3秒のサイクル時間によって周期的に行われることを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、前記溶融物の流出方向に直角な面内を動かされることを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項13】
請求項10、11又は12に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、前記溶融物排出部全体を覆っている円形経路内を移動することを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のうちのいずれか一項に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、油圧によって動かされることを特徴とするプラグを除去する方法。
【請求項15】
請求項10乃至14のうちのいずれか一項に記載のプラグを除去する方法であって、
前記プラグを除去する装置が、その休止位置において、終端位置に到達したことを記録するための機構を起動させ、前記プラグを除去するための装置が予め設定された時間間隔内に到達していないときに、前記プラグを除去するための更に強い機構がオンに切り換えられるか又は警告信号が発せられることを特徴とするプラグを除去する方法。

【公表番号】特表2006−524306(P2006−524306A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504481(P2006−504481)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001962
【国際公開番号】WO2004/087588
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(591035988)テルモゼレクト・アクチェンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】THERMOSELECT AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Meierhofstr.2,FL−9490 Vaduz,Liechtenstein
【Fターム(参考)】