説明

溶鋼の二次精錬設備及び二次精錬方法

【課題】二次精錬設備を簡易化し、当該二次精錬設備で行われる浸漬管の交換を効率よく行う。
【解決手段】二次精錬設備1は、水平方向に回転可能なターンテーブル10を有している。ターンテーブル10上には、浸漬管20を収容可能な2基の収容架台21と、溶鋼を貯留する2基の取鍋22と、がターンテーブル10の同心円状に設けられている。ターンテーブル10上には、収容架台21を昇降させる架台昇降装置60と、収容架台21に収容された浸漬管20を回動させる回動装置と、が設けられている。ターンテーブル10の下方には、処理位置P1において取鍋22を昇降させる取鍋昇降装置が設けられている。ターンテーブル10の上方には、処理位置P1において浸漬管20を所定の高さで保持して、溶鋼の二次精錬を行う処理装置90が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬させ、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行う二次精錬設備及びその二次精錬設備を用いた二次精錬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶鋼の製鋼工程においては、転炉での一次精錬が終了した溶鋼に対して、脱炭、脱ガス等をする二次精錬が行われている。この二次精錬には、例えば取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬させて、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行う、いわゆるCAS(Composition Adjustment by Sealed Argon bubbing)法が用いられる(特許文献1)。
【0003】
二次精錬処理中には、溶鋼に浸漬される浸漬管の耐火物が溶損するので、浸漬管を定期的に交換する必要がある。上述したCAS法を用いた場合の二次精錬後の浸漬管の交換は、従来より、例えば図15に示す二次精錬設備200において行われている。二次精錬設備200では、先ず、処理位置Q1において取鍋201内の溶鋼の二次精錬を行った浸漬管202を、処理台車203により補修位置Q2に移動させる。その後、浸漬管202を処理台車203から補修台車204に移動させ、当該補修台車204を所定の位置に移動させて浸漬管202の補修を行う。同時に、補修台車204に新たな浸漬管202を載置し、当該補修台車204を移動させて新たな浸漬管202を処理台車203に取付ける。その後、処理台車203により、新たな浸漬管202を処理位置Q1に移動させる。このようにして、二次精錬設備200では浸漬管202の交換が行われる。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−143510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の二次精錬設備200を用いて浸漬管202の交換を行った場合、処理台車203を処理位置Q1と補修位置Q2の間で移動させるのに時間がかかる。また、補修位置Q2において、処理台車203と補修台車204との間で浸漬管202を移動させる際に、当該処理台車203と補修台車204との位置合わせを行うのに時間がかかる。したがって、浸漬管202の交換に多くの時間を要していた。
【0006】
このように浸漬管202の交換に時間がかかると、例えば溶鋼の処理量(生産量)が多い場合には、処理位置Q1に取鍋201を待機させることになる。そうすると、鋼の生産量が減少する場合があった。
【0007】
また、従来の二次精錬設備200は、補修位置Q2において、処理台車203と補修台車204との間で浸漬管202を移動させる機構が必要となる。さらに、かかる機構を設けるためのスペースも必要となり、二次精錬設備200の占有面積が大きくなっていた。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、二次精錬設備を簡易化し、当該二次精錬設備で行われる浸漬管の交換を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬させ、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行う設備であって、水平方向に回転可能な回転台を備え、前記回転台上には、浸漬管を収容可能な複数の収容架台と、溶鋼を貯留する取鍋と、が前記回転台の同心円状に設けられ、さらに前記回転台上には、前記収容架台を昇降させる架台昇降装置と、前記収容架台に収容された浸漬管を回動させる回動装置と、が設けられ、前記回転台の下方には、溶鋼の二次精錬を行う処理位置において前記取鍋を昇降させる取鍋昇降装置が設けられ、前記回転台の上方には、前記処理位置において浸漬管を所定の高さで保持して、溶鋼の二次精錬を行う処理装置が設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、処理位置において、処理装置に保持された浸漬管を取鍋内の溶鋼に浸漬させ、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行うことができる。また、この二次精錬が終了し、補修が必要となった浸漬管を交換する際には、処理位置において、複数の収容架台のうち、一の収容架台に交換対象となる浸漬管を収容した後、回転台を回転させて他の収容架台を処理位置にて停止させ、架台昇降装置により他の収容架台を上昇させて、処理装置により他の収容架台に収容された新たな浸漬管を保持することができる。すなわち、処理位置にて浸漬管の交換を行うことができる。したがって、既述した従来技術のように処理位置と別の補修位置で浸漬管の交換を行う必要がない。また、浸漬管を交換する際、既述した従来技術のように処理台車と補修台車の両方の位置合わせを行う必要がなく、回転台を回転させるだけで処理装置に対する浸漬管の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、本発明によれば、短時間で効率よく浸漬管の交換を行うことができる。さらに、既述した従来技術のように補修位置において処理台車と補修台車との間で浸漬管を移動させるための機構を設ける必要がなく、二次精錬設備の占有面積を小さくすることができる。
【0011】
前記取鍋は、前記回転台上に複数設けられていてもよい。
【0012】
前記回転台の上方には、前記処理位置と異なる位置において前記収容架台の浸漬管又は前記取鍋を交換する交換装置が設けられていてもよい。
【0013】
別な観点による本発明は、前記二次精錬設備を用いて、溶鋼の二次精錬を行う方法であって、前記複数の収容架台に新たな浸漬管を収容した後、前記回転台を回転させて一の収容架台を前記処理位置にて停止させ、前記架台昇降装置により前記一の収容架台を所定の高さまで上昇させて、前記処理装置により前記一の収容架台に収容された新たな浸漬管を保持する浸漬管保持工程と、その後、前記回転台を回転させて前記取鍋を前記処理位置にて停止させ、前記取鍋昇降装置により前記取鍋を上昇させて、前記処理装置により保持された浸漬管を前記取鍋内の溶鋼に浸漬させ、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行う処理工程と、を有し、浸漬管を交換する場合には、前記回転台を回転させて前記一の収容架台を前記処理位置にて停止させ、前記架台昇降装置により前記一の収容架台を上昇させて、当該一の収容架台に前記処理装置により保持された浸漬管を収容した後、前記架台昇降装置により前記一の収容架台を前記回転台上に下降させ、前記回転台を回転させて他の収容架台を前記処理位置にて停止させ、前記架台昇降装置により前記他の収容架台を所定の高さまで上昇させて、前記処理装置により前記他の収容架台に収容された新たな浸漬管を保持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二次精錬設備の占有面積を小さくして二次精錬設備を簡易化できると共に、短時間で効率よく浸漬管の交換を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる二次精錬設備1の構成の概要を示した平面図である。なお、図1中、処理位置P1は溶鋼の二次精錬を行う位置であり、補修位置P2は収容架台の浸漬管又は取鍋の交換を行う位置である。処理位置P1と補修位置P2は、対向するように設定されている。
【0016】
二次精錬設備1は、中心軸Cを中心に水平方向に回転可能な回転台としてのターンテーブル10を有している。ターンテーブル10は、図2に示すように台座11に支持されている。ターンテーブル10の回転はモータ駆動になっており、減速機12を介して旋回ベアリング13に動力が伝達されることにより、ターンテーブル10の回転が行われる。ターンテーブル10において、後述する取鍋22が載置される箇所には、ターンテーブル10の厚み方向に貫通する貫通孔14が形成されている。
【0017】
ターンテーブル10上には、図1に示すように、浸漬管20を収容可能な収容架台21と、溶鋼を貯留する取鍋22とが載置されている。収容架台21と取鍋22はそれぞれ複数、例えば2基設けられ、2基の収容架台21と取鍋22は、ターンテーブル10の同心円状に設けられている。2基の収容架台21は、隣接して設けられている。また、2基の取鍋22は、収容架台21からターンテーブル10の円周方向に沿って約90度回転した位置に設けられ、それぞれの取鍋22は対向して載置されている。なお、収容架台21と取鍋22の個数は、上記実施の形態に限定されず、2基以上であってもよい。
【0018】
浸漬管20は、図3に示すように例えば略円筒形状の本体部30を有している。本体部30は、中空で下面が開口している。本体部30の上部には、軸部31が設けられている。軸部31の上端には、フランジ32が設けられている。また、軸部31の外側面には、例えば4つの預け座33が設けられている。
【0019】
収容架台21は、支持台40に支持されている。収容架台21は、上部架台41と下部架台42を有している。上部架台41は、プレート41a上に複数のフレームが組み立てられて構成されている。複数のフレームのうち、上部フレーム41bには、浸漬管20の預け座33が係止され、浸漬管20が上部架台41に収容されるようになっている。下部架台42は、上部架台41と支持台40との間に設けられたフレームから構成されている。上部架台41のプレート41aと下部架台42との間には、後述する回動装置50により上部架台41が下部架台42から独立して回動できるように、例えばベアリング43が設けられている。
【0020】
下部架台42の内部には、上部架台41を回動させる回動装置50が設けられている。すなわち、回動装置50は、上部架台41に収容された浸漬管20を回動させることができる。回動装置50は、モータ51を有している。モータ51には、減速機52が接続されている。減速機52上には、シャフト53を介して、上部架台41のプレート41aに当接する回動部54が設けられている。シャフト53は、支持台40に固定された支持部55に支持されている。
【0021】
収容架台21には、当該収容架台21を昇降させる架台昇降装置60が設けられている。架台昇降装置60は、図3及び図4に示すようにターンテーブル10上に設けられている。架台昇降装置60は、上述した支持台40と、支持台40に固定された昇降フレーム61を有している。昇降フレーム61は、鉛直方向に延伸する2本の鉛直フレーム61aと、2本の鉛直フレーム61a間に設けられ、水平方向に延伸する水平フレーム61bから構成されている。
【0022】
2本の鉛直フレーム61aの外側には、当該鉛直フレーム61aに沿って、メインフレーム62がそれぞれ設けられている。メインフレーム62は、ターンテーブル10から鉛直方向に延伸している。
【0023】
2本の鉛直フレーム61aの間には、支持台40と昇降フレーム61を昇降させる2本のシリンダ63が設けられている。シリンダ63には、例えば油圧式のシリンダが用いられる。シリンダ63の先端部63aは、2本の鉛直フレーム61a間に水平方向に設けられたシャフト64に固定されている。
【0024】
シャフト64には、鉛直フレーム61aと先端部63aとの間に、スプロケット65が設けられている。スプロケット65にはチェーン66が設けられ、スプロケット65は動滑車として機能する。したがって、支持台40と昇降フレーム61の移動距離は、シリンダ63の動作距離の2倍となる。チェーン66の一端は、支持台40上に設けられた第1チェーン収納部67に接続されている。一方、チェーン66の他端は、鉛直フレーム61aに設けられた第2チェーン収納部68に接続されている。
【0025】
支持台40の下面には、第1ガイドローラ69が設けられている。第1ガイドローラ69は、メインフレーム62上で支持台40と昇降フレーム61の昇降を案内する。また、メインフレーム62には、第2ガイドローラ70が設けられている。第2ガイドローラ70は、鉛直フレーム61a上で支持台40と昇降フレーム61の昇降を案内する。なお、第1ガイドローラ69と第2ガイドローラ70が支持台40と昇降フレーム61の昇降を案内できるように、メインフレーム62と鉛直フレーム61aはレール状に形成されている。また、メインフレーム62と鉛直フレーム61aとの間に、別のガイドロール(図示せず)をさらに設けてもよい。
【0026】
以上のような架台昇降装置60を用いて収容架台21を昇降させる場合、シリンダ63を動作させることにより、図5に示すようにシャフト64、スプロケット65を介して、チェーン66が支持台40と昇降フレーム61を昇降させる。これにより、支持台40に支持された収容架台21が昇降するようになっている。
【0027】
ターンテーブル10の下方には、図2に示すように、処理位置P1において取鍋22を昇降させる取鍋昇降装置80が設けられている。取鍋昇降装置80は、処理位置P1の取鍋22と対向する位置であって、台座11が設けられた床面の凹部81内に配置されている。取鍋昇降装置80は、例えば油圧シリンダー(図示せず)などにより昇降する昇降部82を有している。昇降部82は、ターンテーブル10の貫通孔14を貫通できる大きさに形成されている。そして、貫通孔14を通過した昇降部82が取鍋22の下面に当接して、当該取鍋22を昇降させることができる。
【0028】
ターンテーブル10の側方には、図1に示すように、処理位置P1において浸漬管20を所定の高さで保持して、溶鋼の二次精錬を行う処理装置90が設けられている。処理装置90ではCAS法による溶鋼の二次精錬が行われ、浸漬管20に酸素ランス(図示せず)や排気管(図示せず)が接続されて二次精錬が行われる。処理装置90には、浸漬管20を保持する形式として、浸漬管20を搭載して移動する台車(図示せず)を用いる移動形式、又は図6に示すように浸漬管20を固定する固定方式がある。例えば固定方式では、図6に示すように、浸漬管20を保持する保持アーム91と、保持アーム91を支持し、床面から鉛直方向に延伸する支持柱92とを有している。保持アーム91は、処理位置P1に配置された浸漬管20の上方まで延伸している。保持アーム91には、例えば円形の貫通孔93が形成されている。この貫通孔93に浸漬管20を挿通させて、支持アーム91の上面に設けられた保持部94によって当該浸漬管20を挟持して保持することができる。
【0029】
保持部94は、図7に示すように、一対の円弧状の挟持部95、95を有している。挟持部95には、支点Fを中心に挟持部95を水平方向に移動させるアーム96が設けられている。アーム96の水平移動は、当該アーム96に設けられたモートルシリンダ97の開閉により行われる。そして、挟持部95が浸漬管20を挟持し、浸漬管20のフランジ32が挟持部95に係止されることで浸漬管20を保持することができる。また、挟持部95が浸漬管20に対して水平方向に開閉することで、浸漬管20を保持、解放自在になっている。
【0030】
以上の処理装置90を用いて溶鋼の二次精錬を行う際には、図8に示すように、処理装置90により浸漬管20を保持した状態で、取鍋昇降装置80によって取鍋22を上昇させて、取鍋22内の溶鋼に浸漬管20の下部を浸漬させる。その後、浸漬管20に酸素ランスや排気管が接続され、浸漬管20内への酸素ガスや酸化性ガスの吹き込み、当該浸漬管20内の真空排気などが行われ、取鍋22内の溶鋼の二次精錬が行われる。
【0031】
ターンテーブル10の側方には、図1に示すように、補修位置P2において、補修が必要な浸漬管20又は取鍋22を交換する交換装置としてのクレーン100が設けられている。クレーン100は、補修位置P2に配置された浸漬管20又は取鍋22の上方までアクセスすることができる。また、クレーン100は、浸漬管20又は取鍋22を保持して昇降させることができる。
【0032】
本実施の形態にかかる二次精錬設備1は以上のように構成されている。次に、この二次精錬設備1を用いて、取鍋22内の溶鋼の二次精錬を行い、浸漬管20の交換を行う方法について説明する。なお、本実施の形態の説明において、2基の収容架台21のうち、一の収容架台を第1収容架台21Aとし、他の収容架台を第2収容架台21Bとする。また、浸漬管20において、二次精錬前の新たな浸漬管を新浸漬管20Aとし、二次精錬後に補修が必要となった浸漬管を旧浸漬管20Bとする。
【0033】
先ず、図9に示すように、補修位置P2において、クレーン100を用いて第1収容架台21Aと第2の収容架台21Bに新浸漬管20Aをそれぞれ収容する。このとき、ターンテーブル10上には、2基の取鍋22が載置されている。その後、ターンテーブル10を回転させて、第1収容架台21Aを処理位置P1にて停止させる。そして、架台昇降装置60により第1収容架台21Aを所定の高さまで上昇させる。この上昇中、回動装置50により第1収容架台21Aに収容された新浸漬管20Aを所定の位置、すなわち処理装置90により適切に保持される位置に回動させる。そして、図10に示すように、処理装置90により第1収容架台21A内の新浸漬管20Aが保持される。その後、空になった第1収容架台21Aを架台昇降装置60によりターンテーブル10上に下降させる。
【0034】
空の第1収容架台21Aがターンテーブル10上に載置されると、ターンテーブル10を回転させて、図11に示すように、取鍋22を処理位置P1にて停止させる。そして、取鍋昇降装置80により取鍋22を上昇させて、処理装置90により保持された新浸漬管20Aの下部を取鍋22内の溶鋼に浸漬させる。その後、新浸漬管20Aに酸素ランスや排気管が接続され、新浸漬管20A内への酸素ガスや酸化性ガスの吹き込み、当該新浸漬管20A内の真空排気などが行われ、取鍋22内の溶鋼の二次精錬が行われる。
【0035】
そして、一の浸漬管20を用いて上述の溶鋼の二次精錬を所定の回数繰り返し行う。この所定の回数とは、一の浸漬管20の耐火物が溶損して当該浸漬管20の補修が必要となる回数である。かかる二次精錬を各取鍋22に対して順次行う際には、ターンテーブル10を回転させて、溶鋼の二次精錬が行われる前の取鍋22を処理位置P1にて停止させると共に、二次精錬が終了した取鍋22を補修位置P2にて停止させる。そして、処理位置P1において溶鋼の二次精錬が行われている間に、補修位置P2においてクレーン100により取鍋22の交換が行われる。
【0036】
その後、ターンテーブル10を回転させて、空の第1収容架台21Aを処理位置P1にて停止させる。そして、架台昇降装置60により空の第1収容架台21Aを上昇させて、図12に示すように、当該空の第1収容架台21A内に処理装置90により保持された旧浸漬管20Bを収容する。その後、架台昇降装置60により第1収容架台21Aをターンテーブル10上に下降させる。
【0037】
その後、ターンテーブル10を回転させて、第2収容架台21Bを処理位置P1にて停止させる。そして、架台昇降装置60により第2収容架台21Bを所定の高さまで上昇させる。この上昇中、回動装置50により第2収容架台21Bに収容された新浸漬管20Aを所定の位置に回動させる。そして、図13に示すように、処理装置90により第2収容架台21B内の新浸漬管20Aが保持される。その後、架台昇降装置60により空の第2収容架台21Bをターンテーブル10上に下降させる。このようにして、処理位置P1において浸漬管20の交換が行われる。
【0038】
その後、ターンテーブル10を回転させて、第1収容架台21Aを補修位置P2にて停止させる。そして、補修位置P2において、図14に示すようにクレーン100により第1収容架台21A内の旧浸漬管20Bが新浸漬管20Aに交換される。なお、この交換された旧浸漬管20Bは、所定の位置に移動され、補修装置(図示せず)によって耐火物などの補修が行われる。
【0039】
以上の実施の形態によれば、処理位置P1において、処理装置90に保持された浸漬管20を取鍋22内の溶鋼に浸漬させ、当該浸漬管20の内部で溶鋼の二次精錬を行うことができる。また、処理位置P1において、浸漬管20の交換も行うことができる。このように一の処理位置P1において、溶鋼の二次精錬と浸漬管20の交換を共に行うことができる。また、ターンテーブル10を回転させるだけで処理装置90に対する浸漬管20の位置合わせを容易に行うことができる。したがって、本実施の形態によれば、短時間で効率よく浸漬管20の交換を行うことができる。特に、CAS法を用いる処理装置90は、浸漬管20を保持部94で保持するだけで溶鋼の二次精錬を行うことができるため、本実施の形態の二次精錬設備1を用いれば浸漬管20の交換を効率よく行うことができる。
【0040】
また、一の処理位置P1において、溶鋼の二次精錬と浸漬管20の交換を共に行うことができるので、二次精錬設備1の占有面積を小さくすることができる。
【0041】
また、取鍋22は、ターンテーブル上に2基設けられたので、処理位置P1において取鍋22内の溶鋼の二次精錬が行われている間に、補修位置P2において二次精錬の終了した取鍋22の交換を行うことができる。したがって、一連の溶鋼の二次精錬をより短時間で行うことができる。
【0042】
なお、以上の実施の形態において、処理装置90の保持アーム91は、支持柱92に支持されていたが、処理位置P1の上方を走行可能な処理台車(図示せず)に支持されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬させ、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行う二次精錬設備において、溶鋼の二次精錬と浸漬管の交換を行う際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態にかかる二次精錬設備の構成の概要を示した平面図である。
【図2】ターンテーブル近傍の二次精錬設備の構成の概略を示した縦断面図である。
【図3】収容架台、架台昇降装置及び回動装置の構成の概略を示した側面図である。
【図4】架台昇降装置の構成の概略を示した側面図である。
【図5】収容架台が上昇した様子を示した説明図である。
【図6】処理装置の構成の概略を示した側面図である。
【図7】処理装置の保持アーム上の構成の概略を示した平面図である。
【図8】処理装置により溶鋼の二次精錬を行う様子を示した説明図である。
【図9】補修位置において、2基の収容架台に新浸漬管を収容した様子を示す説明図である。
【図10】処理位置において、処理装置に第1収容架台の新浸漬管を保持させた様子を示す説明図である。
【図11】処理位置に取鍋を配置した様子を示す説明図である。
【図12】処理位置において、第1収容架台に旧浸漬管を収容した様子を示す説明図である。
【図13】処理位置において、処理装置に第2収容架台の新浸漬管を保持させた様子を示す説明図である。
【図14】補修位置において、第1収容架台の浸漬管を交換した様子を示す説明図である。
【図15】従来の二次精錬設備の構成の概要を示した平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 二次精錬設備
10 ターンテーブル
11 台座
12 減速機
13 旋回ベアリング
14 貫通孔
20 浸漬管
20A 新浸漬管
20B 旧浸漬管
21 収容架台
21A 第1収容架台
21B 第2収容架台
22 取鍋
30 本体部
31 軸部
32 フランジ
33 預け座
40 支持台
41 上部架台
41a プレート
41b 上部フレーム
42 下部架台
43 ベアリング
50 回動装置
51 モータ
52 減速機
53 シャフト
54 回動部
55 支持部
60 架台昇降装置
61 昇降フレーム
61a 鉛直フレーム
61b 水平フレーム
62 メインフレーム
63 シリンダ
63a 先端部
64 シャフト
65 スプロケット
66 チェーン
67 第1チェーン収納部
68 第2チェーン収納部
69 第1ガイドローラ
70 第2ガイドローラ
80 取鍋昇降装置
81 凹部
82 昇降部
90 処理装置
91 保持アーム
92 支持柱
93 貫通孔
94 保持部
95 挟持部
96 アーム
97 モートルシリンダ
100 クレーン
C 中心軸
F 支点
P1 処理位置
P2 補修位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬させ、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行う設備であって、
水平方向に回転可能な回転台を備え、
前記回転台上には、浸漬管を収容可能な複数の収容架台と、溶鋼を貯留する取鍋と、が前記回転台の同心円状に設けられ、
さらに前記回転台上には、前記収容架台を昇降させる架台昇降装置と、前記収容架台に収容された浸漬管を回動させる回動装置と、が設けられ、
前記回転台の下方には、溶鋼の二次精錬を行う処理位置において前記取鍋を昇降させる取鍋昇降装置が設けられ、
前記回転台の上方には、前記処理位置において浸漬管を所定の高さで保持して、溶鋼の二次精錬を行う処理装置が設けられていることを特徴とする、溶鋼の二次精錬設備。
【請求項2】
前記取鍋は、前記回転台上に複数設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼の二次精錬設備。
【請求項3】
前記回転台の上方には、前記処理位置と異なる位置において前記収容架台の浸漬管又は前記取鍋を交換する交換装置が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶鋼の二次精錬設備。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の二次精錬設備を用いて、溶鋼の二次精錬を行う方法であって、
前記複数の収容架台に新たな浸漬管を収容した後、前記回転台を回転させて一の収容架台を前記処理位置にて停止させ、前記架台昇降装置により前記一の収容架台を所定の高さまで上昇させて、前記処理装置により前記一の収容架台に収容された新たな浸漬管を保持する浸漬管保持工程と、
その後、前記回転台を回転させて前記取鍋を前記処理位置にて停止させ、前記取鍋昇降装置により前記取鍋を上昇させて、前記処理装置により保持された浸漬管を前記取鍋内の溶鋼に浸漬させ、当該浸漬管の内部で溶鋼の二次精錬を行う処理工程と、を有し、
浸漬管を交換する場合には、前記回転台を回転させて前記一の収容架台を前記処理位置にて停止させ、前記架台昇降装置により前記一の収容架台を上昇させて、当該一の収容架台に前記処理装置により保持された浸漬管を収容した後、前記架台昇降装置により前記一の収容架台を前記回転台上に下降させ、前記回転台を回転させて他の収容架台を前記処理位置にて停止させ、前記架台昇降装置により前記他の収容架台を所定の高さまで上昇させて、前記処理装置により前記他の収容架台に収容された新たな浸漬管を保持することを特徴とする、溶鋼の二次精錬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−121172(P2010−121172A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295855(P2008−295855)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】