説明

滅菌状態でエア除去する無菌ブロー成形機械

【課題】滅菌性維持、向上させるためのクリーンルーム又はブロー成形機を提供する。
【解決手段】2つのブロー金型部品4a,4bを有するブロー金型4と、プラスチック材料プリフォーム10を膨張させるための流通可能な媒体を用いてプラスチック材料プリフォーム10に作用する加圧装置58と、運搬路に沿ってブロー金型4を運ぶ運搬装置2と、プラスチック材料プリフォーム10の膨張中にブロー金型4が内部で運搬され得るクリーンルーム20とを備え、プラスチック材料プリフォームに面するブロー金型4の内壁が開口部60を有し、開口部60を通して、流通可能な媒体が膨張プロセス中にキャビティから除去され得る。開口部60とクリーンルーム20との間に流れ接続部が設けられ、この流れ接続部が、クリーンルーム20の非滅菌環境に対して封止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器に成形するための装置に関する。このタイプの装置は、従来技術により、長い間公知である。この場合、加熱されたプラスチック材料プリフォームが、通常、複数のブロー成形ステーション内で圧縮エアの作用を受けることによりプラスチック材料容器に成形される。
【背景技術】
【0002】
近年、成形プロセスがクリーンルーム内で実行される無菌のブロー成形機械も知られてきている。このタイプの機械は特許文献1から知られる。この機械は、個々のブロー成形ステーションが内部に配置されたクリーンルームを有する。この場合、このクリーンルーム、及び、クリーンルーム内に存在する物品が、製造の開始前に滅菌されなければならない。この場合、この滅菌プロセスは、ブロー成形ステーション全体、すなわち、ブロー金型、星型状の移送ホイール、及び、恐らくは吹き込みノズルなども含む。
【0003】
この場合、本出願の出願人の内部従来技術から、ブロー金型がその内壁に、ガス状媒体(例えば、ブロー成形プロセス中の排出エア)を除去することができるための小さい開口部を有することができることも知られる。しかし、これらの開口部の滅菌は多くの問題を呈する。さらに、この従来技術において、ブロー金型の汚染がこれらの開口部により生じる場合がある。
【0004】
無菌ブロー成形機械の設計において、クリーンルーム、及び、クリーンルーム内に存在する部品の滅菌は非常に重要である。確実な滅菌によってのみ無菌雰囲気を達成することができ、これは、容器の無菌処理及び飲料の充填のために重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/020529号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、このタイプのクリーンルーム又はこのタイプのブロー成形機械のそれぞれにおける滅菌性維持の可能性を向上させることである。この目的は、本発明の独立請求項による発明により達成される。有利な実施形態及びさらなる展開が従属請求項の主題を成している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器に成形するための本発明による装置が、互いに対して移動されることができる少なくとも2つのブロー金型部品を有する少なくとも1つのブロー金型を有する。この場合、これらのブロー金型部品はキャビティを形成しており、このキャビティ内で前記プラスチック材料プリフォームが前記プラスチック材料容器に成形されることができる。さらに、前記装置は、前記プラスチック材料プリフォームを膨張させるための流通可能な媒体を用いて前記プラスチック材料プリフォームに作用する加圧装置と、予め設定された運搬路に沿って前記ブロー金型を運ぶ運搬装置とを有する。さらに、前記装置は、前記プラスチック材料プリフォームの膨張中に前記ブロー金型がその内部で運搬されることができるクリーンルームを有し、このクリーンルームは非滅菌環境から少なくとも1つの壁部により分離されている。この場合、前記プラスチック材料プリフォームに面する前記ブロー金型の内壁が少なくとも1つの開口部を有し、この開口部を通して、流通可能な媒体が前記膨張プロセス中にキャビティから除去されることができる。
【0008】
本発明によれば、この開口部と前記クリーンルームとの間に流れ接続部が設けられ、この流れ接続部は、前記クリーンルームの非滅菌環境に対して封止されている。
【0009】
従って、前記膨張プロセス中に、前記ブロー金型の内部のガス状媒体が、上記の開口部を通して、前記非滅菌環境内にではなく前記クリーンルーム内に完全に放出されることになることが提示される。このようにして、前記クリーンルームが前記非滅菌環境により逆に再汚染されることが防止されることができる。
【0010】
有利な実施形態において、本発明の装置は、複数のブロー金型又はブロー金型ステーションを有する。より詳細には、複数のブロー成形ステーションを設けることができ、これらのステーションが、各々、ブロー金型キャリアと、これらのブロー金型キャリア上に配置されたブロー金型を有することができる。前記運搬装置が、複数のブロー金型ステーションがその上に配置されたブロー成形ホイールであることが有利である。さらなる有利な実施形態において、前記クリーンルーム又は滅菌ルームは、前記個々のブロー成形ステーションの前記運搬路を取り囲むダクトの形態で設計される。
【0011】
この場合、前記ブロー金型がその上に配置された前記個々のキャリアが、前記プラスチック材料プリフォームを開放状態で受け入れられるように折り曲げ離され得ることが可能である。
【0012】
上記の複数の前記開口部が、製造されるボトルにより膨張プロセス中に排出されたエアを同時に均一に受けることができるように前記ブロー金型の前記内壁に配置されることが有利である。さらなる有利な実施形態において、前記クリーンルームは、少なくとも部分的に前記運搬装置自体によっても形成される。
【0013】
さらなる有利な実施形態において、前記装置は、流通可能な滅菌剤を前記ブロー金型に供給するための供給ラインを有する。この場合、前記供給ラインと前記開口部との間に流れ接続部が少なくとも所定の時間にわたって存在する。前記ブロー金型もこの供給ラインを用いて滅菌されることができる。滅菌剤は、特には過酸化水素であるが、例えば過酢酸又はその他の滅菌剤を用いることも可能であろう。この場合、この滅菌剤が前述のボア(開口部)を通って前記キャビティ内に到達することが可能である。
【0014】
前記滅菌剤のためのリザーバと滅菌される部品との間の上記の接続部が、滅菌のために所定時間にわたって形成されることが有利である。これは様々な方法で実行されることができる。こうして、例えば、加圧装置、例えばブロー成形ピストン又は吹き込みノズルが前記滅菌剤の導入のために用いられることが可能であろう。この場合、前記吹き込みノズル自体も滅菌されることができる。さらに、滅菌ガスが前記吹き込みノズルからアイソレータ又はクリーンルーム内に放出されてアイソレータ又はクリーンルームを滅菌することも可能であろう。到達が困難な場所、例えば、前記ブロー金型の上記の開口部又は通気(エアレーション)ボアを滅菌するために、前記吹き込みノズルが前記ブロー金型上に配置され、且つ前記滅菌剤が前記ブロー金型内に直接吹き込まれることも可能であろう。
【0015】
さらなる有利な実施形態において、本発明の装置は、前記流通可能な滅菌剤を貯蔵するための貯蔵装置を有し、この貯蔵装置は、上記の、前記ブロー金型の開口部に、流れに関して少なくとも所定の時間にわたって接続される。こうして、前記滅菌剤は、前記開口部を通って前記ブロー金型内に流入することができる。
【0016】
さらなる有利な実施形態において、前記流れ接続部は少なくとも局所的に前記加圧装置の上に延在する。こうして、前記滅菌剤が吹き込みノズル等の前記加圧装置から出発して前記ブロー金型に供給されることが可能である。これに関して、図面を参照しつつ、より詳細に説明する。
【0017】
さらなる有利な実施形態において、本発明の装置は、前記ブロー金型に対して移動可能で、且つ、前記滅菌作業において滅菌剤を前記開口部に運ぶバイパス要素を有する。こうして、さらなる要素、例えばいわゆるSIPキャップが、前記ブロー金型に存在し得る通気ボアの滅菌を促進するために用いられることが可能である。この場合、この部品は、前記ブロー金型又はブロー金型部品と前記吹き込みノズルとの間に挿入されることができる。その後、前記加圧装置又は前記吹き込みノズルを下方に移動させて、前記滅菌剤を上記のSIPキャップ内に吹き込むことが可能である。そして、SIPキャップの特別な設計により、SIPキャップは、前記吹き込みノズルを通して導入される前記滅菌剤を前記ブロー金型の前記通気ボア内に直接運び込むことができる。これにより、前記ボアを前記滅菌剤により完全にすすぐことができ、従って十分な滅菌が行われる。しかし、SIPキャップのその他の設計も可能である。
【0018】
また、上記のSIPキャップ又はCIPキャップを省略することも可能であろう。例えば、前記加圧装置又は前記吹き込みノズルが前記滅菌剤を前記ブロー金型内に直接吹き込む場合、前記滅菌剤の大部分が、前記通気ボアを通る通路を選ばずに、前記金型の2つの半分部分の間の間隙(この間隙の寸法は、通常、2/10mmの範囲である)を通して放出されることになる。この問題は、前記金型の間隙が滅菌中に可能な限り低減され、その後、製造のための要求される約0.2mmの寸法に再び戻されることを可能にする装置により解決されることができる。この約0.2mmの距離は、前記容器と前記ブロー金型との間のエアが前記容器の膨張中に前記金型から放出されることができる有利な寸法である。
【0019】
また、前記滅菌剤を、特にこの目的のために用いられる、例えば、いわゆるSIPピストン等の部品を通して運ぶことも可能であろう。この部品は移動可能にされることができ、また、滅菌のために、滅菌される部品の上にドッキングされることができる。従って、これはブロー金型と同様であり得る。そして、実際の滅菌が、先に述べた方法と同様に行われることができる。
【0020】
さらなる有利な実施形態において、前記ブロー金型は、前記流通可能な媒体及び/又は前記滅菌剤を運ぶための少なくとも1つのダクトを有する。このダクトは、流れに関して前記開口部に接続され、且つ、前記ブロー金型の長手方向に延在する。この場合、このダクトが前記ブロー金型の内壁内に形成されることが有利である。前記ダクトが完全に前記内壁内に形成されることが特に好ましい。さらに、このダクトが、流れに関して前記クリーンルームに接続されることが可能である。
【0021】
本発明は、さらに、プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器に成形するためのブロー金型に関する。このブロー金型は、少なくとも1つの第1のブロー金型部品及び1つの第2のブロー金型部品を有し、これらの2つのブロー金型部品は互いに対して移動可能であり、前記ブロー金型部品はキャビティを形成しており、このキャビティ内で、前記プラスチック材料プリフォームが、ガス状媒体を用いて作用を受けることにより、前記プラスチック材料容器を形成するように膨張されることができる。さらに、前記ブロー金型又は前記ブロー金型部品が、少なくとも1つの開口部を、前記プラスチック材料プリフォームに面する前記ブロー金型の壁部に、膨張プロセス中にガス状媒体を除去するために、且つ/又は、流通可能な滅菌剤を滅菌プロセス中に前記ブロー金型に供給するために有する。この開口部が、前記ブロー金型又は前記ブロー金型部品の壁部内に延在するダクトに、流れに関して接続されること、及びこのダクトが、前記ブロー金型の長手方向に少なくとも所定距離にわたって延在することが有利である。
【0022】
従って、前記ブロー金型に関し、閉鎖された前記ブロー金型からエアを除去するために特に用いられるが、滅菌剤の供給のためにも任意に用いられるダクトをその内部に有するべきであることも提案される。
【0023】
前記ブロー金型の内壁における前記開口部は従来技術にて知られているが、この開口部に取り付けられた前記ダクトは、通常、半径方向に延在し、これは、製造の観点から、本明細書にて提示されるプロセスよりも簡単である。しかし、本明細書にて提示されるプロセスを用いると、ガス状媒体、すなわち、詳細には吹き込みエアが、前記クリーンルーム内へ、前記容器の長手方向に運ばれることも可能である。
【0024】
有利な実施形態において、前記壁部内に延在する前記ダクトは、流れに関して前記開口部に接続されている。この場合、この接続ダクトは前記ブロー金型の半径方向にも延在することができる。
【0025】
上記のチャネルが先に詳細に記載した複数の前記開口部に流れに関して接続されていることが有利である。この場合、これらの開口部は、例えば、前記ブロー金型の長手方向に上下に重ねて配置されることができる。さらに、先に記載した複数のダクトが前記ブロー金型又は前記ブロー金型部品の前記壁部内に形成されることも可能であろう。
【0026】
本発明は、さらに、プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器に成形するための方法に関し、前記プラスチック材料プリフォームが、複数のブロー成形ステーション又はブロー金型内で、前記プラスチック材料容器を形成するように成形され、前記ブロー金型が、前記容器の膨張中に、少なくとも部分的にクリーンルーム内部の予め設定された運搬路に沿って運搬装置により運ばれ、ガス状媒体が、前記膨張プロセス中に少なくとも所定時間にわたって、前記プラスチック材料プリフォームに面した前記ブロー金型の壁部に配置された開口部を通して除去され、且つ/又は、流通可能な媒体が、滅菌プロセス中に少なくとも所定の時間にわたり、前記プラスチック材料プリフォームに面した前記開口部を通して前記ブロー金型に供給される。
【0027】
本発明によれば、前記ガス状媒体が前記開口部から出発して前記クリーンルーム内に完全に流入する。
【0028】
従って、前記方法に関し、前記開口部を通して除去される、前記吹き込みエア又は前記クリーンルーム内に存在するエア等の前記ガス状媒体が、この場合、周囲環境に流入せずに前記クリーンルームにのみ流入することも提示される。こうして、前記方法に関し、前記個々のブロー成形ステーション、及び前記クリーンルーム内部が無菌状態に維持されることもより容易になる。
【0029】
さらなる利点及び実施形態が添付図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】プラスチック材料容器を製造するためのプラントの概略図である。
【図2】ブロー成形ステーションの領域におけるクリーンルームの図である。
【図3】キャリア上に配置された本発明によるブロー金型の図である。
【図4】ブロー金型キャリア内に配置されたブロー金型の図である。
【図5】開放されたブロー成形ステーションの、ブロー金型も示した図である。
【図6】滅菌剤の経路を説明するための図である。
【図7】ブロー金型の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、従来技術によるプラスチック材料容器を製造するためのプラントの概略図である。このプラント50は加熱装置30を有し、加熱装置30にてプラスチック材料プリフォーム10が加熱される。この場合、これらのプラスチック材料プリフォーム10は、ここでは、循環チェーン等の運搬装置34によりこの加熱装置30内を運搬され、そして、この場合、複数の加熱要素31により加熱される。この加熱装置30に、プリフォーム10を滅菌装置32に移送させる移送ユニット36が取り付けられている。この場合、この滅菌装置32も同様に運搬ホイール37を有し、滅菌要素が、この運搬ホイール37上に、又は静止した状態で配置されることができる。この領域にて、例えば、過酸化水素ガス又は電磁放射による滅菌が可能である。特には、この領域にてプリフォームの内部殺菌が実行される。
【0032】
符号20がクリーンルームの全体を示し、クリーンルームの外側境界が点線Lにより示されている。さらなる好ましい実施形態において、クリーンルーム20は、運搬ホイール2及び充填装置40の領域に配置されるだけでなく、通常、可能であれば、加熱装置30、滅菌装置32、プラスチック材料プリフォームの供給、及び/又は、プラスチック材料プリフォームの製造の領域にて開始する。このクリーンルーム20が滅菌ユニット32の領域にて開始することが明確である。この領域に分離装置を設けることができる。これは、この場合、過剰なガスをクリーンルーム内部に流入させず、従って損失させずにプラスチック材料プリフォームをクリーンルーム20内に導入するためである。
【0033】
点線Lにより示されているように、クリーンルームは、ユニットの個々の構成部分の外形に適合されている。このようにしてクリーンルームの容量を低減することができる。
【0034】
符号1は成形装置の全体を示し、この装置において、複数のブロー成形ステーション又は成形ステーション8が運搬ホイール2上に配置され、ここでは、これらのブロー成形ステーション8の1つのみが示されている。プラスチック材料プリフォーム10は、これらのブロー成形ステーション8により、容器10aが形成されるように膨張される。この図には詳細に示されていないが、運搬装置2の全体領域がクリーンルーム20内に配置されるのではなく、クリーンルーム20又はアイソレータは、いわば、装置全体の内部の小型アイソレータの形態で設計される。こうすることで、クリーンルームが、少なくとも成形装置1の領域にてダクトの形態で設計されることが可能であろう。
【0035】
符号22は、プリフォームを成形装置1に移送する供給装置を示し、符号24は、成形装置1により製造されたプラスチック材料容器10aを取り出す取出装置を示す。供給装置22及び取出装置24の領域にて、クリーンルーム20がこれらの装置22,24の各々を受け入れる凹部を有することが理解されよう。こうして、プラスチック材料プリフォーム10を成形装置1に移送すること、又は、プラスチック材料容器10aを成形装置1から移送することが特に有利に実行されることができる。
【0036】
膨張されたプラスチック材料容器は、移送ユニット42により充填装置40に移送され、次いで、この充填装置40から、さらなる運搬ユニット44を用いて取り出される。この場合、充填装置40も上記のクリーンルーム20内に配置される。充填装置の場合、例えば、飲料のためのリザーバを有する充填装置40全体が完全にクリーンルーム20内に配置されるのではなく、この場合、容器が実際にガイドされる領域のみがクリーンルーム20内に配置されることも可能であろう。この点に関し、充填装置が、プラスチック材料プリフォーム10を成形するための装置1と類似であるように設計されることも可能であろう。
【0037】
先に述べたように、装置1のクリーンルーム20の領域は、可能な限り小さい範囲に、すなわち、ほぼブロー成形ステーション8自体の範囲まで縮小される。クリーンルーム20のこのコンパクトな設計により、クリーンルーム全体をより容易でより迅速に作製することが可能であり、さらに、このシステムを作業段階にて無菌状態に維持するために必要な費用も少なくなる。また、必要とされる滅菌エアもより少なくなり、これにより、フィルタユニットをより小さくすることができ、制御不可能な渦形成の危険性も低減される。
【0038】
図2は、従来技術による装置1のブロー成形ステーション8の領域における詳細図である。このタイプの複数のブロー成形ステーション8が、運搬装置2又はキャリアにより軸Xを中心として回転するように移動される。図2から明確であるように、ブロー成形ステーション8は、ここではダクトの形態で設計されているクリーンルーム20の内部にガイドされる。このクリーンルーム20は、移動可能な側壁19と、この側壁19と一体に形成されたカバー17とにより閉鎖されている。この場合、この側壁19及びカバー17はブロー成形ステーション8と共に回転する。
【0039】
符号18は、クリーンルーム20を画定する、さらなる壁部を示す。この場合、この壁部18は、不動であるように配置された、外側に位置する壁部である。カバー17と壁部18との間にシール装置25が設けられており、シール装置25はカバー17と壁部18とを互いに封止する。カバー17と壁部18は、例えば上述のようにサージチャンバを用いることにより互いに対して移動可能である。壁部18の下方領域は、フロア13上に固定され且つ封止されるように配置されている。キャリア26は、同様に、回転するように移動し、このキャリア26上に、ブロー成形ステーション8を保持する保持装置23が設けられており、またキャリア26はクリーンルーム20の内部に設けられ、この場合、側壁19に直接当接触している。
【0040】
符号11は、ブロー成形ステーションをクリーンルーム20内の経路上で開閉する、詳細には、プラスチック材料プリフォームをブロー成形ステーションに挿入し、また、ブロー成形ステーションから取り出すために開閉するためにガイドカム9により作動されることができる従動(フォロア)装置を示す。この場合、ガイドカム9もクリーンルーム20内に配置される。しかし、従動装置11を、クリーンルーム20から外部に、個々のブロー成形ステーション8より下に延在させることも可能であろう。
【0041】
運搬装置2は、クリーンルーム20より上に配置されたさらなる要素を有することができる。
【0042】
この場合、キャリア26は保持体29上に固定されるように配置され、この保持体はフロア13に対して移動可能である。この場合、符号27は、さらなるシール装置を示す。このシール装置は、この領域においても、互いに対して移動可能であるフロア13と保持体29とを封止する。
【0043】
符号5は、プラスチック材料プリフォーム10をその長手方向にて伸張させるためにブロー成形ステーションに対して移動可能な伸張バーを示す。この場合、スライド12がカバー17の上に配置されており、スライド12の、カバー17と反対の側にて、伸張バーが方向Yに移動可能である。符号21は、伸張バー5のこのスライド12のためのさらなる保持手段を示す。
【0044】
伸張バー5の特定の領域が、ブロー成形プロセス中にクリーンルーム20の外側とクリーンルーム20の内側との両方に配置されることが明らかである。このために、伸張バー5のいずれの領域も外部環境に直接接触しないように、伸張バー5を取り囲む折り畳み式ベローズ14を、クリーンルーム20の外部の、スライド12より上に設けることが可能である。符号Uは、クリーンルーム20の(非滅菌)環境を示す。符号28は、ブロー金型の部品を同様に形成するフロア金型を運ぶためのキャリアを示す。この場合、このキャリアも同様に方向Yに移動可能である。
【0045】
符号55は滅菌装置を示す。この場合、この滅菌装置55は、好ましくはクリーンルーム20の内部に配置されており、個々のブロー成形ステーション又はこれらのブロー成形ステーション8の部品の滅菌のために用いられる。この場合、滅菌装置55は、ブロー成形ステーション8に、例えば過酸化水素又は別の滅菌剤を用いて作用することができる。この場合、滅菌装置55は不動であるように配置されることができ、成形ステーションがこの滅菌装置55に対して移動することができる。この滅菌装置55すなわち加圧装置は、運搬ホイール2の上、若しくは垂直に設けられた壁部18上に配置されることができ、又は、ほぼ不動であるように配置されることができ、ノズルなどから構成されることができる。また、クリーンルーム20を滅菌するために通気システムにより滅菌エアがクリーンルーム20内に導入されることが有利である。
【0046】
ブロー金型(図示せず)がブロー金型キャリア6の内部に配置されている。より詳細には、この場合、2つのブロー金型キャリア部品が設けられることができ、これらのキャリア部品は互いに対して枢動可能であり、各々が1つのブロー金型部品を保持する。ブロー金型は、この枢動手順により、プラスチック材料プリフォームの導入のために、及び、完成されたブロー成形容器を取り出すために開放されることができる。この場合、これらのブロー金型キャリア6及びブロー金型も同様にクリーンルーム内に配置される。
【0047】
しかし、運搬装置2すなわちキャリアが、(図2に示されているのとは異なり)C字状の外周を有し且つクリーンルームの外壁の一部を形成することも可能で且つ好ましいであろう。こうして、このC字状のクリーンルーム壁部は、運搬装置2、すなわちブロー成形ホイールと共に回転する。この実施形態において、クリーンルームの下側境界線はフロア13から所定の距離に配置され、且つ、フロアに対して移動する。こうして、クリーンルームは、図2に示されているよりもかなり小さくつくられることができる。この場合、このC字状の外形を有し、ここでは、クリーンルームの内壁及び下側カバー及び上側カバーの両方で形成される運搬装置がクリーンルームの外壁に対してのみ封止されることが好ましい。この場合、この外壁は、好ましくは、不動であるように配置される。
【0048】
図3は、キャリア2上に配置されたブロー成形ステーション8の図である。この場合、このキャリアは3つの壁領域82,84,86を有する。これらの壁は、同時に、クリーンルーム20の境界の回転部分を形成している。これらの移動可能な部分82,84,86は、移動可能な(外側)壁部に対して、サージチャンバ等のシール装置により封止されることができる。
【0049】
符号56は、この場合、壁部82よりも上に配置されている弁ブロックを示し、符号58は吹き込みノズルを示す。吹き込みノズル58は、プラスチック材料プリフォームの上に、プラスチック材料プリフォームを膨張させるためにセットされることができる。ブロー成形ステーションは、さらにブロー金型キャリアを有し、このブロー金型キャリアの上に、ブロー金型部品(図3には1つのブロー金型部品4aのみが示されている)が配置される。こうして、これらのブロー金型キャリアは、ブロー金型を開閉するために枢動シャフト65を補助として互いに対して枢動されることができる。
【0050】
図4は、ブロー金型4、より詳細には、2つのブロー金型部品4a,4bの図であり、部品4a,4bは、各々、ブロー金型キャリア部品6a,6bの上に配置されている。この場合、これらのブロー金型キャリア部品6a,6bは、このようにブロー金型4を開閉するために枢動シャフト65により枢動されることができる。この場合、ブロー金型部品4a,4bがブロー金型キャリア部品6a,6b上に直接配置されずに、ブロー金型キャリア部品6a,6bの上にキャリアシェルが配置され、これらのシェルの上にブロー金型部品4a,4bが固定されることが可能である。さらに、特に滅菌プロセスのためにブロー金型部品4a,4bの間の間隙を低減することができる圧力媒体を設けることが可能であろう。符号4は、ブロー金型の全体を示す。
【0051】
図5は、本発明によるブロー成形ステーションの断面図である。この場合もブロー金型であるブロー金型部品4aが明示されており、ブロー金型キャリア部品6a内に配置されている。符号60は、膨張プロセス中にエアを除去するためにブロー金型部品4a内に配置されたボアを示す。符号67は、ブロー金型を底部に対して閉鎖するベース部を示す。このベース部67にも通気ダクト69が設けられることができる。これらの通気ダクト69も、ブロー金型を取り囲むクリーンルーム20に、流れに関して接続されている。
【0052】
さらなる要素、例えば、この場合、いわゆるSIPキャップ70が、ブロー金型に、上記の通気用のボアの滅菌を促進するために設けられる。キャップ70の、ダクト72,74,76を覆う形状により、滅菌剤をブロー金型に供給することができる。こうして、滅菌剤がブロー金型に、ブロー成形ノズル58及びダクト72,74,76、またはより詳細には、ダクトシステム62,64を通して直接供給され、滅菌剤がそこからボア60を通って金型の内部に放出されることが可能である。こうして、このSIPキャップ70の特別な形状により、SIPキャップ70は、ブロー成形ノズルを通して導入された滅菌剤を、ブロー金型の通気用のボアに直接運び入れることができる。
【0053】
また、例えば、ブロー金型4のダクト76とダクト62との間の遷移部をさらに封止するために、Oリング等のシール装置を設けることが可能であろう。こうして、滅菌剤を用いたボアの十分なすすぎと、従って、十分な滅菌とが可能にされる。しかし、上記のSIP又はCIPキャップを省略することができる設計も可能であろう。吹き込みノズルがブロー金型部品4a,4bの内部に直接吹き込みをする場合、滅菌剤の大部分が、通気ボアを通る通路を選ばずに、金型の2つの半分部分の間の間隙を通って放出されることになる。先に述べたように、滅菌のために金型の間隙を低減することにより改善策をもたらすことができる。
【0054】
さらに、滅菌剤が、この目的のために特別に設けられた部品(例えば、いわゆるCIPピストン)により導入されることも可能であろう。この部品は移動可能にされることができ、滅菌される部品の上に、滅菌のためにドッキングされることができる。滅菌される部品は、例えばブロー金型であり得る。そして、実際の滅菌が、先に述べた方法と同様に行われることができる。しかし、クリーンルーム、並びに物体及び部品も滅菌するための流れの接続がブロー成形ピストン又は吹き込みノズルによりつくられることが好ましい。
【0055】
さらなる実施形態において、滅菌剤の導入のための吹き込み弁を用いることも可能であろう。この場合、特に好ましい方法において、滅菌剤の導入のために用いられる弁が滅菌プロセス中に開放状態に維持されることが可能である。しかし、滅菌剤の導入のために用いられる弁が、滅菌プロセス中に開放状態から閉鎖状態に、及び/又は閉鎖状態から開放状態に切り換えられることも可能である。
【0056】
図6は、本発明によるブロー金型のさらなる図である。この図において、滅菌剤のための滅菌路Sも明確である。滅菌剤がブロー金型内に、鉛直方向に延在するダクト62を通して運び入れられ、最終的に開口部60を通して排出される様子がわかるであろう。この場合、図5に示したダクト72を連続させ、これにより複数のダクト62に導入することが可能である。通常の作業動作において、SIPキャップ70はブロー金型に連結されておらず、これにより、膨張プロセス中に、吹き込みエアは上方に逃げて、ブロー成形ステーションを取り囲むクリーンルーム内に入ることができる。符号66は、ブロー金型により形成されたクリーンルーム(ここでは一部のみが示されている)を示す。
【0057】
図7は、本発明によるブロー金型のさらなる図である。このブロー金型が、開口部60とクリーンルーム20との間の流れ接続を形成しているダクト62を有することが明確である。この場合、このダクト62は、鉛直方向、すなわち、ブロー金型4の長手方向Lrに延在する。ダクト62と共に、開口部60をダクト62に接続する接続ダクト64が設けられている。ダクト62が接続ダクト64よりも大きい流れ断面積を有することが有利である。さらに、ダクト62は、例えば上下に重ねて配置されることができるこのタイプの複数の接続ダクト64を受け入れることができる。この場合、ダクト62がブロー金型4のほぼ全長に沿って連続して延在することが可能であろう。しかし、2つのダクト62が設けられて、それらの一方が上部にて開放され、他方が底部にて開放されることも可能であろう。符号63はブロー金型の内壁を示す。
【0058】
本出願の出願人は、本出願書類にて開示した特徴の全てを、これらの特徴が従来技術と比較して個々に又は組合せにて新規である限り、本発明に極めて重要であると主張する権利を保持する。
【符号の説明】
【0059】
1 成形装置
2 運搬ホイール
4 ブロー金型
4a,4b ブロー金型部品
5 伸長バー
6 ブロー金型キャリア
6a,6b ブロー金型キャリア部品
8 ブロー成形/形成ステーション
9 ガイドカム
10 プラスチック材料プリフォーム
10a 容器
11 フォロア装置
12 スライド
13 フロア
14 折り畳み式ベローズ
17 カバー
18 さらなる壁部
19 側壁
20 クリーンルーム
21 スライドのための保持手段
22 供給装置
23 保持装置
24 取り出し装置
25 シール装置
26 キャリア
27 さらなるシール装置
28 フロア金型を運ぶためのキャリア
29 保持体
30 加熱装置
31 加熱要素
32 滅菌装置
34 運搬装置
36 移送ユニット
37 運搬ホイール
40 充填装置
42 移送ユニット
44 運搬ユニット
50 プラスチック材料容器を作製するためのプラント
55 滅菌装置
56 弁ブロック
58 吹き込みノズル
60 開口部、ボア
62 ダクト
63 ブロー金型の内壁
64 接続ダクト
65 枢動シャフト
66 キャビティ
67 ベース部
69 通気ダクト
70 バイパス要素、 SIPキャップ
72,74,76 ダクト
82,84,86 キャリアにより形成されたクリーンルーム20の壁部
Lr ブロー金型の長手方向
U 非滅菌環境
X 枢動軸
Y 枢動シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料プリフォーム(10)をプラスチック材料容器(10a)に成形するための装置(1)であって、
前記プラスチック材料プリフォーム(10)が前記プラスチック材料容器(10a)にその内部で成形されることができるキャビティを形成し、互いに対して移動されることができる少なくとも2つのブロー金型部品(4a,4b)を有する少なくとも1つのブロー金型(4)と、
前記プラスチック材料プリフォーム(10)を膨張させるための流通可能な媒体を用いて前記プラスチック材料プリフォーム(10)に作用する加圧装置(58)と、
予め設定された運搬路に沿って前記ブロー金型(4)を運ぶ運搬装置(2)と、
前記プラスチック材料プリフォーム(10)の膨張中に前記ブロー金型(4)がその内部で運搬されることができるクリーンルーム(20)と、
を備え、
前記プラスチック材料プリフォームに面する前記ブロー金型(4)の内壁が少なくとも1つの開口部(60)を有し、この開口部(60)を通して、流通可能な媒体が前記膨張プロセス中に前記キャビティから除去可能とされ、
前記開口部(60)と前記クリーンルーム(20)との間に流れ接続部が設けられ、この流れ接続部が前記クリーンルーム(20)の非滅菌環境に対して封止されることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記流通可能な滅菌剤を前記ブロー金型に供給するための供給ラインを有し、前記供給ラインと前記開口部(60)との間に流れ接続部が少なくとも所定の時間にわたって存在することを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記流通可能な滅菌剤を貯蔵するための貯蔵装置を有し、この貯蔵装置が前記開口部(60)に、流れに関して少なくとも所定の時間にわたって接続されることを特徴とする請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記流れ接続部が前記加圧装置(58)の上に少なくとも局所的に延在することを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記ブロー金型(4)に対して移動可能なバイパス要素(70)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記ブロー金型(4)が、前記流通可能な媒体及び/又は前記滅菌剤を運ぶための少なくとも1つのダクト(62)を有し、当該ダクト(62)が、流れに関して前記開口部に接続され、且つ、前記ブロー金型(4)の長手方向(Lr)に延在することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
プラスチック材料プリフォーム(10)をプラスチック材料容器(10a)に成形するためのブロー金型(4)であって、
少なくとも1つの第1のブロー金型部品(4a)及び1つの第2のブロー金型部品(4b)を有し、
2つの前記ブロー金型部品(4a,4b)が互いに対して移動可能であり、
2つの前記ブロー金型部品(4a,4b)がキャビティを形成しており、
前記キャビティ内で、前記プラスチック材料プリフォーム(10)が、ガス状媒体により作用を受けることにより前記プラスチック材料容器(10a)を形成するように膨張されることができ、
少なくとも1つの開口部(60)が、前記プラスチック材料プリフォーム(10)に面する前記ブロー金型(4)の壁部(63)に、膨張プロセス中にガス状媒体を除去するために、且つ/又は、流通可能な滅菌剤を滅菌プロセス中に前記ブロー金型に供給するために設けられ、
前記開口部(60)が、前記ブロー金型(4a,4b)の壁部内に延在するダクト(62)に、流れに関して接続され、このダクト(62)が前記ブロー金型(4a,4b)の長手方向(Lr)に延在することを特徴とするブロー金型。
【請求項8】
前記ブロー金型の前記壁部内に延在する前記ダクト(62)が、流れに関して接続ダクト(64)を介して前記開口部(60)に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のブロー金型。
【請求項9】
プラスチック材料プリフォーム(10)をプラスチック材料容器(10a)に成形するための方法であって、
前記プラスチック材料プリフォーム(10)が複数のブロー金型(4)内で、前記プラスチック材料容器(10a)を形成するように成形され、
前記ブロー金型(4)が、前記容器の膨張中に少なくとも部分的にクリーンルーム(20)内部の予め設定された運搬路に沿って運搬装置(2)により運ばれ、
ガス状媒体が、前記膨張プロセス中に少なくとも所定の時間にわたり、前記プラスチック材料プリフォーム(10)に面した前記ブロー金型(4)の壁部に配置された開口部(60)を通して除去され、且つ/又は、流通可能な媒体が、滅菌プロセス中に少なくとも所定の時間にわたり、前記プラスチック材料プリフォームに面した前記開口部を通して前記ブロー金型に供給され、
前記ガス状媒体が前記開口部(60)から出発して前記クリーンルーム(20)内に完全に入り込むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−236413(P2012−236413A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−107165(P2012−107165)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】