説明

滑りブッシュ

【課題】ブッシュ本体1のインナースリーブ11と、取付対象側の内周部材2との間の微小隙間δ1に起因する異音の発生を防止すると共に、径方向の微振動を有効に吸収可能とする。
【解決手段】軸方向一端部の内周面に軸方向一端側へ向けて大径になる被支持円錐面11aが形成されたインナースリーブ11と、このインナースリーブ11の外周側に配置されたアウタースリーブ12と、これらインナースリーブ11とアウタースリーブ12の間に接合されたゴム状弾性を有する筒状の弾性体13と、からなるブッシュ本体1を備え、前記インナースリーブ11の内周に微小隙間δ1を介して挿入された取付対象側の内周部材2と、前記インナースリーブ11の被支持円錐面11aに摺り合わされた状態でこの被支持円錐面11aを内周側から支持する円錐状支持面2bと、前記被支持円錐面11aと円錐状支持面2bを互いに押し付ける軸方向付勢部材3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサスペンション等に用いられる滑りブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のサスペンションのアーム等の連結箇所には、振動低減手段として、内筒と外筒との間にゴム状弾性を有する筒状の弾性体を一体的に加硫成形した構造のブッシュが用いられるが、捩り方向の入力が厳しい箇所では、弾性体の過大変形による破断を防止するために滑りブッシュが用いられることが知られている。
【0003】
図5に示すように、従来の滑りブッシュには、ブッシュ本体100が、インナースリーブ101と、このインナースリーブ101の外周側に同心的に配置され、不図示の一方の部材に取り付けられるアウタースリーブ102と、これらインナースリーブ101とアウタースリーブ102の間に一体的に加硫成形されたゴム状弾性を有する筒状の弾性体103からなり、インナースリーブ101の内周に摺動可能に挿入されると共に不図示の他方の部材に取り付けられる内周側取付筒104を備え、インナースリーブ101と内周側取付筒104の摺動面にグリースを介在させるか、又は固体潤滑材を設けたものがある。インナースリーブ101は、内周側取付筒104に設けたフランジ104a又はカラー105でバックアップされた弾性体106によって、リテーナ107を介して軸方向両側から弾性的に挟持され、これによってブッシュ本体100の軸方向変位が規制されている。
【0004】
すなわちこの滑りブッシュは、衝撃等による径方向変位の入力は弾性体103の弾性変形によって吸収し、また、捩り方向の変位入力は、インナースリーブ101と内周側取付筒104の摺動によって吸収するものである(例えば下記の特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−125291号公報
【特許文献2】実開平3−84445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような滑りブッシュでは、インナースリーブ101の内径と内周側取付筒104の外径の間には、寸法交差を考慮して僅かに隙間が設けられているため、微振幅の径方向振動が入力されたときに、前記隙間に起因して、径方向のガタつきによる異音が発生する問題が指摘される。
【0007】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、ブッシュ本体のインナースリーブと、取付対象側の内周部材との間の微小隙間に起因する異音の発生を防止すると共に、径方向の微振動を有効に吸収することの可能な滑りブッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る滑りブッシュは、軸方向一端部の内周面に軸方向一端側へ向けて大径になる被支持円錐面が形成されたインナースリーブと、このインナースリーブの外周側に配置されたアウタースリーブと、これらインナースリーブとアウタースリーブの間に接合されたゴム状弾性を有する筒状の弾性体と、からなるブッシュ本体を備え、前記インナースリーブの内周に微小隙間を介して挿入された取付対象側の内周部材と、前記インナースリーブの被支持円錐面に摺り合わされた状態でこの被支持円錐面を内周側から支持する円錐状支持面と、前記被支持円錐面と円錐状支持面を互いに押し付ける軸方向付勢部材を備えるものである。
【0009】
上記構成の滑りブッシュは、衝撃等による径方向変位の入力をブッシュ本体における筒状の弾性体の弾性変形によって吸収し、捩り方向の変位入力をインナースリーブと取付対象側の内周部材の円周方向摺動又は円周方向相対変位によって吸収するものである。また、インナースリーブの内径と前記内周部材の外径の間には、寸法交差を考慮して微小隙間が設けられているため、微振幅の径方向振動が入力されることによってインナースリーブと前記内周部材は径方向相対変位可能であるが、この径方向相対変位は被支持円錐面と円錐状支持面の摺動によって軸方向変位に変換されるので、径方向のガタつきが抑制されると共に、この軸方向変位が軸方向付勢部材の弾性変形に変換されることによってインナースリーブと前記内周部材との間で前記径方向振動が絶縁される。
【0010】
また、請求項2の発明に係る滑りブッシュは、請求項1に記載された構成において、軸方向付勢部材が、インナースリーブの軸方向他端に当接されたリテーナと、このリテーナに軸方向に対向して取付対象側の内周部材に固定されたカラーと、前記リテーナとカラーの間に適宜圧縮状態で介在されたゴム状弾性を有する第二弾性体からなるものである。
【0011】
また、請求項3の発明に係る滑りブッシュは、請求項1又は2に記載された構成において、円錐状支持面が取付対象側の内周部材に形成されたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る滑りブッシュによれば、入力される微振幅の径方向振動によるインナースリーブと取付対象側の内周部材の径方向相対変位が、被支持円錐面と円錐状支持面の摺動によって軸方向変位に変換されるので、径方向のガタつきが有効に防止され、しかもこの軸方向変位が軸方向付勢部材の弾性変形によって吸収されるので、入力される微振幅の径方向振動に対する優れた絶縁性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る滑りブッシュの第一の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る滑りブッシュの第一の実施の形態を分解して示す断面斜視図である。
【図3】本発明に係る滑りブッシュの第二の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る滑りブッシュの第三の実施の形態を示す断面図である。
【図5】従来の滑りブッシュの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る滑りブッシュについて、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明に係る滑りブッシュの第一の実施の形態を示す断面図、図2は、第一の実施の形態を分解して示す断面斜視図である。
【0015】
この滑りブッシュは、インナースリーブ11と、このインナースリーブ11の外周側に同心的に配置されたアウタースリーブ12と、これらインナースリーブ11とアウタースリーブ12の間に接合されたゴム状弾性を有する筒状の弾性体13からなるブッシュ本体1を備え、インナースリーブ11の内周に微小隙間δ1を介して挿入された内周側取付筒2と、インナースリーブ11の外周に配置された軸方向付勢部材3を備える。内周側取付筒2は、請求項1に記載された「取付対象側の内周部材」に相当するものである。
【0016】
ブッシュ本体1におけるインナースリーブ11は合成樹脂又は金属からなるものであって、その軸方向一端部(図1における左側の端部)の内周面には、軸方向一端側へ向けて大径になる被支持円錐面11aが形成されている。また、このインナースリーブ11の軸方向他端部(図1における右側の端部)の内周面には、前記被支持円錐面11aと対称の、すなわち軸方向他端側へ向けて大径になる円錐面11bが形成されている。
【0017】
ブッシュ本体1におけるアウタースリーブ12は合成樹脂又は金属からなるものであって、またこのブッシュ本体1における弾性体13はゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で筒状に加硫成形され、成形と同時にアウタースリーブ12の内周面とインナースリーブ11の外周面に一体的に加硫接着されたものである。
【0018】
内周側取付筒2は合成樹脂又は金属からなるものであって、円筒状の本体部2aと、その軸方向一端(図1における左側の端部)から漸次大径となるように形成されインナースリーブ11の被支持円錐面11aに摺り合わされた状態でこの被支持円錐面11aを内周側から支持する円錐状支持面2bと、さらにこの円錐状支持面2bの大径端部(図1における左側の端部)から外径方向へ展開したフランジ部2cとを有する。内周側取付筒2はブッシュ本体1に対して回転可能とする必要から、ブッシュ本体1におけるインナースリーブ11の内径は、寸法交差を考慮して内周側取付筒2の本体部2aの外径よりも僅かに大径に形成されており、すなわちインナースリーブ11の内径と内周側取付筒2の本体部2aの外径の間には微小隙間δ1が存在している。また、インナースリーブ11の軸方向一端の端面11cは、内周側取付筒2のフランジ部2cと非接触状態にあり、すなわち両者間には軸方向隙間δ2が存在している。
【0019】
ブッシュ本体1のインナースリーブ11は、軸方向付勢部材3で軸方向一側(図1における左側)へ付勢されることによってその被支持円錐面11aが内周側取付筒2の円錐状支持面2bに摺り合わされた状態に押し付けられており、この軸方向付勢部材3は、インナースリーブ11の軸方向他端の端面11dに当接されたリテーナ31と、このリテーナ31に軸方向に対向して内周側取付筒2における本体部2aの軸方向他端外周面に適当な手段によって固定されたカラー32と、前記リテーナ31とカラー32の間に適宜圧縮状態で介在されたゴム状弾性を有する第二弾性体33からなる。第二弾性体33はゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で加硫成形され、成形と同時にリテーナ31とカラー32の対向面に加硫接着されたものである。
【0020】
インナースリーブ11の内周面及びこれに径方向に対向する内周側取付筒2の本体部2aの外周面のうち一方又は双方には、モリブデン系、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)系、あるいはグラファイト系などの固体潤滑剤が塗布又はコーティングされている。すなわちインナースリーブ11の内周面と内周側取付筒2の本体部2aの外周面との微小隙間δ1には固体潤滑剤が介在している。
【0021】
また、ブッシュ本体1における弾性体13の内周から突出したインナースリーブ11の軸方向両端部の外周面には、それぞれOリング等からなるパッキン4,5が装着されている。このうち一方のパッキン4は、前記弾性体13と内周側取付筒2のフランジ部2cとの間に挟持され、他方のパッキン5は、前記弾性体13と軸方向付勢部材3のリテーナ31との間に挟持され、これによって、インナースリーブ11の内周面と内周側取付筒2の本体部2aの外周面との微小隙間δ1への泥水や異物の浸入を防止している。
【0022】
以上のように構成された滑りブッシュは、図2に示すように、内周側取付筒2の本体部2aに、インナースリーブ11の軸方向両端部の外周面にパッキン4,5を装着したブッシュ本体1を外挿し、次いで軸方向付勢部材3を、リテーナ31をインナースリーブ11の端面11dに押し付けるようにしてカラー32を前記内周側取付筒2の本体部2aの外周面に圧入し固定することで組み立てられる。
【0023】
そしてこの滑りブッシュは、アウタースリーブ12が例えば車両のサスペンションのアーム等の連結部における一方の部材に取り付けられ、内周側取付筒2が前記アーム等の連結部における他方の部材に取り付けられ、衝撃等による大きな径方向変位の入力をブッシュ本体1における弾性体13の径方向弾性変形によって吸収し、捩り方向の変位入力をブッシュ本体1におけるインナースリーブ11と内周側取付筒2の摺動によって吸収するものである。
【0024】
上述のように、大きな径方向変位の入力は、ブッシュ本体1の弾性体13によって吸収され、微振幅の径方向振動は、弾性体13と、軸方向付勢部材3の第二弾性体33の双方の弾性変形によって有効に吸収される。
【0025】
すなわち、径方向微振動が入力された場合、この微振動は、ブッシュ本体1におけるインナースリーブ11とアウタースリーブ12の間で弾性体13が径方向に弾性変形を受けることによって吸収されることに加え、インナースリーブ11の内径と内周側取付筒2の本体部2aの外径の間には微小隙間δ1が設けられているため、前記径方向微振動によってインナースリーブ11と内周側取付筒2が径方向相対変位され、この径方向相対変位は、インナースリーブ11に形成された被支持円錐面11aと内周側取付筒2に形成された円錐状支持面2bの摺動によって軸方向相対変位に変換され、軸方向付勢部材3の第二弾性体33が軸方向弾性変形を受けることによって吸収される。したがって、インナースリーブ11と内周側取付筒2の径方向相対変位が第二弾性体33の付勢力に抗して行われることによって抑制されるので、径方向ガタつきによる異音の発生が防止されると共に、インナースリーブ11と内周側取付筒2との間で前記径方向微振動が絶縁される。
【0026】
また、インナースリーブ11と内周側取付筒2の間は固体潤滑剤で潤滑されているので、比較的高温の環境であっても良好な潤滑状態が維持される。
【0027】
次に図3は、本発明に係る滑りブッシュの第二の実施の形態を示す断面図である。
【0028】
この第二の実施の形態において、先に説明した図1及び図2の第一の実施の形態と異なるところは、軸方向付勢部材3(3A,3B)をブッシュ本体1の軸方向両側に配置すると共に、円錐状支持面が軸方向付勢部材3A,3Bにおけるリテーナ31に形成された点にある。
【0029】
詳しくは、内周側取付筒2は単純な円筒状に形成されていて、ブッシュ本体1の軸方向一側(図3における左側)に配置された軸方向付勢部材3Aは、ブッシュ本体1におけるインナースリーブ11の軸方向一端部の外周面に装着されたパッキン4に密接されたリテーナ31Aと、このリテーナ31Aに軸方向に対向して内周側取付筒2の軸方向一端外周面に適当な手段によって固定されたカラー32Aと、前記リテーナ31Aとカラー32Aの間に適宜圧縮状態で介在されたゴム状弾性を有する第二弾性体33Aからなる。また同様に、ブッシュ本体1の軸方向他側(図3における右側)に配置された軸方向付勢部材3Bは、インナースリーブ11の軸方向他端部の外周面に装着されたパッキン5に密接されたリテーナ31Bと、このリテーナ31Bに軸方向に対向して内周側取付筒2の軸方向他端外周面に適当な手段によって固定されたカラー32Bと、前記リテーナ31Bとカラー32Bの間に適宜圧縮状態で介在されたゴム状弾性を有する第二弾性体33Bからなる。
【0030】
一方の軸方向付勢部材3Aにおけるリテーナ31Aには、その内径部からブッシュ本体1側へ突出し、インナースリーブ11の軸方向一端部内周に形成された被支持円錐面11aに摺り合わされた状態でこの被支持円錐面11aを内周側から支持する円錐状支持面34Aが形成されている。また、この実施の形態ではインナースリーブ11の軸方向他端部内周に軸方向一端部内周の被支持円錐面11aと対称の被支持円錐面11eが形成されており、他方の軸方向付勢部材3Bにおけるリテーナ31Bには、その内径部からブッシュ本体1側へ突出し、前記被支持円錐面11eに摺り合わされた状態でこの被支持円錐面11eを内周側から支持する円錐状支持面34Bが形成されている。
【0031】
インナースリーブ11の内径と内周側取付筒2の外径の間には微小隙間δ1が存在している。また、インナースリーブ11の軸方向一端の端面11cは、一方の軸方向付勢部材3Aにおけるリテーナ31Aと非接触状態にあり、すなわち両者間には軸方向隙間δ2が存在している。同様に、インナースリーブ11の軸方向他端の端面11dは、他方の軸方向付勢部材3Bにおけるリテーナ31Bと非接触状態にあり、すなわち両者間にも軸方向隙間δ2が存在している。
【0032】
その他の部分は、基本的に第一の実施の形態と同様に構成することができる。
【0033】
以上のように構成された滑りブッシュも、アウタースリーブ12が例えば車両のサスペンションのアーム等の連結部における一方の部材に取り付けられ、内周側取付筒2が前記アーム等の連結部における他方の部材に取り付けられ、衝撃等による大きな径方向変位の入力をブッシュ本体1における弾性体13の径方向弾性変形によって吸収し、捩り方向の変位入力をブッシュ本体1におけるインナースリーブ11と内周側取付筒2の摺動によって吸収するものである。
【0034】
そして径方向微振動が入力された場合は、この微振動は、ブッシュ本体1におけるインナースリーブ11とアウタースリーブ12の間で弾性体13が径方向に弾性変形を受けることによって吸収されることに加え、インナースリーブ11の内径と内周側取付筒2の外径の間には微小隙間δ1が設けられているため、前記径方向微振動によってインナースリーブ11と内周側取付筒2が径方向相対変位されると、この径方向相対変位は、インナースリーブ11の軸方向両端部に形成された被支持円錐面11a,11eと軸方向付勢部材3A,3Bのリテーナ31A,31Bに形成された円錐状支持面34A,34Bの摺動によってリテーナ31A,31Bの軸方向相対変位に変換され、第二弾性体33A,33Bが軸方向弾性変形を受けることによって吸収される。したがって、インナースリーブ11と内周側取付筒2の径方向相対変位が第二弾性体33A,33Bの付勢力に抗して行われることによって抑制されるので、径方向ガタつきによる異音の発生が防止されると共に、インナースリーブ11と内周側取付筒2との間で前記径方向微振動が絶縁される。
【0035】
また、インナースリーブ11がリテーナ31A,31Bの円錐状支持面34A,34Bによって軸方向両端で支持されるため、安定した支持状態となっている。
【0036】
次に図4は、本発明に係る滑りブッシュの第三の実施の形態を示す断面図である。
【0037】
この第三の実施の形態において、先に説明した図1及び図2の第一の実施の形態と異なるところは、ブッシュ本体1におけるアウタースリーブ12が、その軸方向一端(図4における左側の端部)から外径方向へ展開したフランジ部12aを有し、ブッシュ本体1における弾性体13が前記フランジ部12aにバックアップされたシール部13aを有し、インナースリーブ11の被支持円錐面11aを内周側取付筒2の円錐状支持面2bに摺り合わされた状態に押し付けるように、インナースリーブ11を軸方向一側へ付勢する軸方向付勢部材3の付勢力によって、前記シール部13aが内周側取付筒2のフランジ部2cに密接されたことにある。これによって図1におけるパッキン4が不要となっている。
【0038】
なお、上述した各実施の形態では、インナースリーブ11と内周側取付筒2の間の潤滑手段として固体潤滑剤を用いたが、グリースによる潤滑としても良い。
【0039】
また、軸方向付勢部材3は、リテーナ31とカラー32の対向面にゴム状弾性材料からなる第二弾性体33(33A,33B)を一体成形したものとなっているが、これには限定されず、すなわち一体成形物でなくても良いし、ゴム状弾性材料以外の弾性体を用いても良い。
【0040】
さらには、ブッシュ本体1のインナースリーブ11が内周側取付筒2を介さずに、サスペンションのアーム等、取付対象部材に直接外挿されるものである場合、すなわち前記取付対象部材が請求項1に記載された「取付対象側の内周部材」に相当するものである場合、インナースリーブ11の被支持円錐面11aと摺り合わされる円錐状支持面は、この取付対象部材に形成することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 ブッシュ本体
11 インナースリーブ
11a,11e 被支持円錐面
12 アウタースリーブ
13 弾性体
2 内周側取付筒(取付対象側の内周部材)
2b,34A,34B 円錐状支持面
3,3A,3B 軸方向付勢部材
31,31A,31B リテーナ
32,32A,32B カラー
33,33A,33B 第二弾性体
δ1 微小隙間
δ2 軸方向隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一端部の内周面に軸方向一端側へ向けて大径になる被支持円錐面が形成されたインナースリーブと、このインナースリーブの外周側に配置されたアウタースリーブと、これらインナースリーブとアウタースリーブの間に接合されたゴム状弾性を有する筒状の弾性体と、からなるブッシュ本体を備え、前記インナースリーブの内周に微小隙間を介して挿入された取付対象側の内周部材と、前記インナースリーブの被支持円錐面に摺り合わされた状態でこの被支持円錐面を内周側から支持する円錐状支持面と、前記被支持円錐面と円錐状支持面を互いに押し付ける軸方向付勢部材を備えることを特徴とする滑りブッシュ。
【請求項2】
軸方向付勢部材が、インナースリーブの軸方向他端に当接されたリテーナと、このリテーナに軸方向に対向して取付対象側の内周部材に固定されたカラーと、前記リテーナとカラーの間に適宜圧縮状態で介在されたゴム状弾性を有する第二弾性体からなることを特徴とする請求項1に記載の滑りブッシュ。
【請求項3】
円錐状支持面が取付対象側の内周部材に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の滑りブッシュ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−76440(P2013−76440A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216811(P2011−216811)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】