説明

滞在時刻情報生成システム及び滞在時刻情報生成方法

【課題】測位時刻間の任意の時刻におけるユーザの位置を把握可能とする。
【解決手段】ユーザ端末における現在位置の測位点を示す測位情報と、測位点の測位時刻とを含む、第1及び第2のプローブ情報を記憶しているプローブ情報記憶部を参照し、第1及び第2のプローブ情報の測位情報に基づいて、該測位情報によって示される測位点間におけるユーザ端末のユーザの移動経路を推定し、所定範囲の領域を分割して得られる複数の分割領域のうち、推定された移動経路上にある少なくとも1つの分割領域を特定し、第1及び第2のプローブ情報の測位時刻に基づいて、特定された分割領域ごとにユーザの滞在時刻を推定し、分割領域を示す領域情報と滞在時刻とを対応づけた滞在時刻情報を生成して滞在時刻情報記憶部に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滞在時刻情報生成システム及び滞在時刻情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)を利用して生成されるプローブ情報を用いた様々なサービスが検討されている。プローブ情報には、ユーザID、測位時刻、緯度・経度等の情報が含まれる。したがって、ユーザ端末から送信されるプローブ情報により、ユーザの現在位置を把握することができる。例えば、特許文献1には、ユーザの情報端末装置から定期的に送信されるプローブ情報を用いて、ユーザの現在位置に応じた情報を提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−7514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ユーザ端末から送信されてくるプローブ情報は、ある時刻において測位された緯度・経度を示すものである。したがって、各プローブ情報からは、単に、ユーザが測位時刻にどこにいたかがわかるのみであり、測位時刻以外の時間帯にユーザがどこにいたのかを把握することはできない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、測位時刻間の任意の時刻におけるユーザの位置を把握可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る滞在時刻情報生成システムは、ユーザ端末における現在位置の測位点を示す測位情報と、測位点の測位時刻とを含む、第1及び第2のプローブ情報を記憶するプローブ情報記憶部と、プローブ情報記憶部に記憶されている、第1及び第2のプローブ情報の測位情報に基づいて、該測位情報によって示される測位点間におけるユーザ端末のユーザの移動経路を推定する移動経路推定部と、所定範囲の領域を分割して得られる複数の分割領域のうち、推定された移動経路上にある少なくとも1つの分割領域を特定し、第1及び第2のプローブ情報の測位時刻に基づいて、特定された分割領域ごとにユーザの滞在時刻を推定し、分割領域を示す領域情報と滞在時刻とを対応づけた滞在時刻情報を生成して滞在時刻情報記憶部に格納する滞在時刻情報生成部と、を備える。
【0007】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、測位時刻間の任意の時刻におけるユーザの位置を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態である滞在時刻情報生成システムの構成を示す図である。
【図2】プローブ情報記憶部の構造の一例を示す図である。
【図3】プローブ情報と滞在時刻情報との関係を示す図である。
【図4】プローブ情報をメッシュ領域にマッピングした例を示す図である。
【図5】プローブ情報に基づいてメッシュ領域を特定した例を示す図である。
【図6】滞在時刻の算出手法の一例を示す図である。
【図7】滞在時刻の算出手法の一例を示す図である。
【図8】滞在時刻の算出手法の一例を示す図である。
【図9】滞在時刻情報記憶部の構造の一例を示す図である。
【図10】滞在時刻情報の生成処理の全体の流れを示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態である滞在時刻情報生成システムの構成を示す図である。図1に示すように、滞在時刻情報生成システム10は、プローブ情報受信部20、プローブ情報記憶部22、滞在時刻情報生成部24、滞在時刻情報記憶部26、検索要求受信部28、及び検索結果出力部30を含んで構成されている。また、滞在時刻情報生成部24は、移動経路推定部40、領域特定部42、滞在時刻算出部44、信頼度算出部46、及び滞在時刻情報出力部48を含んでいる。
【0012】
滞在時刻情報生成システム10は、例えば、1台または複数台の情報処理装置を用いて構成することが可能であり、プローブ情報受信部20、滞在時刻情報生成部24、検索要求受信部28、及び検索結果出力部30は、例えば、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現することができる。また、プローブ情報記憶部22及び滞在時刻情報記憶部26は、例えば、メモリやハードディスク装置等の記憶領域を用いて実現することができる。
【0013】
プローブ情報受信部20は、携帯電話や携帯情報端末、カーナビゲーション装置等のユーザ端末から無線ネットワークを介して送信されてくるプローブ情報を受信し、プローブ情報記憶部22に格納する。プローブ情報は、ユーザ端末におけるGPSを利用した測位によって生成されるものであり、ユーザ端末を識別するためのユーザID、ユーザ端末の現在位置の測位点を示す測位情報、測位点の測位時刻、及び測位精度を含んでいる。このようなプローブ情報は、各ユーザ端末から、例えば、5分間隔等で定期的に送信されてくる。なお、ユーザ端末の移動が検出されている間のみ、プローブ情報が送信されてくる場合もある。
【0014】
プローブ情報に含まれるユーザIDは、プローブ情報がどのユーザのものであるかを識別可能な情報であればよい。例えば、プローブ情報が携帯電話の無線ネットワークを介して送信される場合であれば、携帯電話の電話番号や加入者識別子(International Mobile Subscriber Identity)等を用いることとしてもよい。また、測位情報には、緯度及び経度が含まれる。
【0015】
図2は、プローブ情報記憶部22の構造の一例を示す図である。図2に示すように、プローブ情報記憶部22には、複数のユーザから送信されてくるプローブ情報が格納されている。また、図2に示すように、各プローブ情報には処理済フラグが追加されている。処理済フラグは、後述する滞在時刻情報を生成する処理の未済を示す情報である。なお、処理済のプローブ情報を削除したり別の記憶部に移したりすることにより処理の未済を判別可能であれば処理済フラグは無くてもよい。また、処理対象のプローブ情報を日付やユーザIDを指定してプローブ情報記憶部22から抽出して滞在時刻情報を生成するような場合においても、処理済フラグは不要である。
【0016】
図1に戻り、滞在時刻情報生成部24は、複数のプローブ情報から、測位時刻間の任意の時刻におけるユーザの位置を把握可能とするための滞在時刻情報を生成し、滞在時刻情報記憶部26に格納する。
【0017】
図3は、プローブ情報と滞在時刻情報との関係を説明するためのものである。なお、図3に示されるプローブ情報及び滞在時刻情報は同一ユーザのものである。各プローブ情報には、測位情報及び測位時刻が含まれている。そのため、1つのプローブ情報があれば、あるユーザが測位時刻にどこにいたのかを知ることができる。例えば、図3に示すように、プローブ情報PR1からは、ユーザが時刻Tm1に測位点P1にいたことがわかる。同様に、プローブ情報PR2からは、ユーザが時刻Tm2に測位点P2にいたことがわかる。しかしながら、プローブ情報PR1,PR2からは、時刻Tm1から時刻Tm2の間にユーザがどこにいたのかを知ることができない。つまり、時刻Tm1と時刻Tm2の間の任意の時刻におけるユーザの位置を把握することができない。
【0018】
滞在時刻情報生成部24は、このようなプローブ情報から滞在時刻情報を生成する。例えば、図3に示すように、プローブ情報PR1,PR2から滞在時刻情報ST1〜ST5が生成される。例えば、滞在時刻情報ST1は、ユーザが時刻Ts1〜Ts2の間に領域A1に滞在したことを示す情報である。また、例えば、滞在時刻情報ST2は、ユーザが時刻Ts2から時刻Ts3の間に領域A2に滞在したことを示す情報である。滞在時刻情報ST3〜ST5についても同様である。そして、図3に示すように、滞在時刻情報ST1〜ST5は時間的に連続している。したがって、滞在時刻情報ST1〜ST5を用いれば、時刻Ts1から時刻Ts6の間の任意の時刻において、ユーザが滞在していた領域を把握することができる。例えば、時刻Txにおけるユーザの位置は、プローブ情報PR1,PR2からはわからないが、滞在時刻に時刻Txを含む滞在時刻情報ST3により、領域A3であることがわかる。
【0019】
滞在時刻情報生成部24における滞在時刻情報の生成処理について具体的に説明する。図4は、Aさんの2010年5月24日のプローブ情報をメッシュ領域にマッピングした例を示している。ここで、メッシュ領域とは、地図上の領域を緯度及び経度に基づいて網の目状に分割して得られる分割領域である。なお、各メッシュ領域のサイズは仕様や設計に応じて様々に設定することが可能である。また、本実施形態では、分割領域としてメッシュ領域を用いることとしているが、例えば行政区画によって区分されたポリゴン等、任意の分割領域を用いることが可能である。
【0020】
図4に示すように、プローブ情報によって示される測位点及び測位時刻は断片的である。そこで、滞在時刻情報生成部24の移動経路推定部40は、測位時刻が時間的に隣接する2つの測位点間の移動経路を推定する。例えば、移動経路推定部40は、測位時刻が「08:20」の測位点と、測位時刻が「08:50」の測位点との間における、ユーザの移動経路を推定する。そして、滞在時刻情報生成部24の領域特定部42は、推定された移動経路上にあるメッシュ領域を特定する。このような処理が、測位時刻が時間的に隣接する全ての測位点間で実行される。
【0021】
なお、移動経路の推定は、時間的に隣接する2つの測位点間のみではなく、ある期間内における複数の測位点を用いて行うことも可能である。例えば、移動経路推定部40は、測位時刻が「08:20」の測位点から、測位時刻が「09:25」の測位点までの全ての測位点を考慮したうえで、移動経路を推定することも可能である。また、移動経路推定部40は、例えば、測位点の履歴やユーザの属性に基づいてユーザの移動手段を判定することが可能であるとしてもよい。この場合、移動経路推定部40は、推定された移動手段に応じた移動経路を推定することができる。具体的には、移動経路推定部40は、路線や道路の情報が格納されたネットワーク情報データベース(DB)を参照し、測位点間の経路を推定することが可能である。
【0022】
図5は、図4に示したプローブ情報に基づいてメッシュ領域を特定した例を示している。図5では、特定されたメッシュ領域は太線で示されている。このようにメッシュ領域が特定されると、滞在時刻情報生成部24の滞在時刻算出部44は、特定された各メッシュ領域におけるユーザの滞在時刻を算出する。例えば、滞在時刻算出部44は、測位時刻が「08:20」の測位点が含まれるメッシュ領域におけるユーザの滞在時刻として、「00:00−08:35」を算出する。また、滞在時刻算出部24は、その他のメッシュ領域についても、プローブ情報の測位時刻に基づいて滞在時刻を算出する。さらに、滞在時刻情報生成部24の信頼度算出部46は、算出された滞在時刻の信頼度を算出する。信頼度は、例えば、プローブ情報に設定されている測位精度や、滞在時刻を算出する元となる測位点間の距離や測位時刻間の時間に応じて算出することができる。例えば、測位点からの距離や時間が離れるにつれて、信頼度を低くすることができる。そして、滞在時刻情報生成部24の滞在時刻情報出力部48は、ユーザID、滞在時刻、領域情報、及び信頼度を対応付けた滞在時刻情報を生成し、滞在時刻情報記憶部26に格納する。なお、領域情報はメッシュ領域を識別するための情報であり、各メッシュ領域に割り当てられたコードや、緯度及び経度による範囲指定情報を用いることができる。
【0023】
ここで、測位時刻間の時間(測位点間時間)と、測位点間の距離(測位点間距離)とに応じて滞在時刻を算出する処理の例について説明する。
【0024】
図6は、測位点間時間が基準時間未満であり、かつ、測位点間距離が基準距離未満である場合における滞在時刻の算出手法の一例を示している。図6には、測位時刻が「09:30」、「09:40」の2つのプローブ情報がマッピングされている。まず、移動経路推定部40は、2つの測位点間の移動経路を推定する。図6の例では、2点間を結ぶ直線が移動経路して推定されている。なお、移動経路の推定手法は直線によるものに限られず、任意の手法を用いることが可能である。例えば、道路や路線を考慮した経路探索を行うことにより、2点間の移動経路を推定することも可能である。領域特定部42は、移動経路上のメッシュ領域を特定する。そして、滞在時刻算出部44は、特定された各メッシュ領域における滞在時刻を算出する。図6の例では、「09:30」〜「09:40」の時間(10分)が、特定されたメッシュ領域間に配分されることとなる。図6の例では、滞在時刻算出部44は、10分のうちの5分が2点間の移動に費やされたと推定している。ここで、移動時間の推定は、例えば、測位点間時間や測位点間距離に基づいて推定することができる。そして、滞在時刻算出部44は、移動時間の5分(300秒)を、特定された6つのメッシュ領域に対して滞在時間として配分する。図6の例では、300秒が6等分され、各メッシュ領域での滞在時間として50秒ずつ配分されている。また、滞在時刻算出部44は、測位点間時間から移動時間を除いた5分を、移動元、すなわち測位時刻が「09:30」の測位点を含むメッシュ領域に対して滞在時間として配分している。そして、滞在時刻算出部44は、このように配分された滞在時間を用いて、特定された各メッシュ領域における滞在時刻を算出する。
【0025】
なお、移動時間の配分は等分でなくてもよい。例えば、推定された移動経路が複数の移動手段を含むものであれば、移動手段に応じて各メッシュ領域の滞在時間を調整することが可能である。また、道路の渋滞や電車の遅延に関する情報をネットワーク情報DB等から取得可能である場合には、例えば、渋滞発生地帯や遅延発生区間に対応するメッシュ領域に対して、他のメッシュ領域よりも多くの滞在時間を割り振ることも可能である。また、移動手段の速度に応じて滞在時間を割り振ることも可能である。例えば、移動経路中の特急電車の区間に対応するメッシュ領域には、普通電車の区間に対応するメッシュ領域よりも少ない滞在時間を割り振ることも可能である。
【0026】
図6の例では、「09:30」の測位点を含むメッシュ領域から「09:40」の測位点を含むメッシュ領域に向かって、移動経路の順に、「09:30:00−09:35:50」、「09:35:00−09:36:40」、「09:36:40−09:37:30」、「09:37:30−09:38:20」、「09:38:20−09:39:10」、「09:39:10−09:40:00」の滞在時刻が算出されている。
【0027】
図7は、測位点間距離が基準距離以上である場合における滞在時刻の算出手法の一例を示している。図7には、測位時刻が「09:30」、「11:30」の2つのプローブ情報がマッピングされている。また、2つの測位点間の距離は「10km」となっている。図6の場合と同様に、移動経路推定部40による移動経路の推定と、領域特定部42によるメッシュ領域の特定が行われる。
【0028】
そして、滞在時刻算出部44は、特定された各メッシュ領域における滞在時刻を算出する。図7の例では、「09:30」〜「11:30」の時間(120分)が、特定されたメッシュ領域間に配分されることとなる。ここでは、滞在時刻算出部44は、120分のうちの114分が2点間の移動に費やされたと推定している。そして、滞在時刻算出部44は、移動時間の114分(6840秒)を、特定された12個のメッシュ領域に対して滞在時間として配分する。図7の例では、6840秒が12等分され、各メッシュ領域での滞在時間として9分30秒(570秒)ずつ配分されている。また、滞在時刻算出部44は、測位点間時間から移動時間を除いた6分(360秒)を、移動元、すなわち測位時刻が「09:30」の測位点を含むメッシュ領域に対して滞在時間として配分している。そして、滞在時刻算出部44は、このように配分された滞在時間を用いて、特定された各メッシュ領域における滞在時刻を算出する。
【0029】
また、図7の例では、測位点間距離が基準距離以上であるため、測位点間において算出された滞在時刻は信頼度が低いと考えられる。そのため、信頼度算出部46は、移動時間を配分して生成された滞在時刻情報における信頼度を低く設定することとしてもよい。例えば、図7に示すように、滞在時刻「09:30:00−09:36:00」の滞在時刻情報の信頼度Rを「1.0」とする一方、滞在時刻「09:36:00−09:45:30」、「09:45:30−09:55:00」の滞在時刻情報の信頼度Rを「0.2」とすることができる。なお、信頼度算出部46は、移動経路推定部40により推定された移動経路の妥当性を、移動手段の時刻表や速度等に基づいて評価することにより、信頼度を算出することも可能である。
【0030】
図8は、測位点間時間が基準時間以上である場合における滞在時刻の算出手法の一例を示している。図8には、測位時刻が「5月24日 07:30」、「5月25日 05:30」の2つのプローブ情報がマッピングされている。図8の場合と同様に、移動経路推定部40による移動経路の推定と、領域特定部42によるメッシュ領域の特定が行われる。
【0031】
図8の例では、2点ともに同一のメッシュ領域にマッピングされているため、1つのメッシュ領域において滞在時間の配分が行われる。具体的には、滞在時刻算出部44は、「5月24日 07:30:00−08:00:00」、「5月24日 08:00:00−5月25日 05:00:00」、「5月25日 05:00:00−05:30:00」の滞在時刻を算出する。しかしながら、測位点間時間が基準時間以上であるため、測位時刻から離れるにつれて、算出された測位時刻の精度は低いと考えられる。そこで、信頼度算出部46は、例えば、滞在時刻「5月24日 07:30:00−08:00:00」、「5月25日 05:00:00−05:30:00」の滞在時刻情報の信頼度Rを「1.0」とする一方、滞在時刻「5月24日 08:00:00−5月25日 05:00:00」の滞在時刻情報の信頼度Rを「0.2」とすることができる。
【0032】
滞在時刻の算出処理の例を図6〜図8に示したが、滞在時刻情報生成部24では、さらに、プローブ情報に含まれる測位精度を用いて滞在時刻情報を生成することも可能である。例えば、信頼度算出部46は、プローブ情報の測位精度が低い場合、測位精度に応じて滞在時刻情報の信頼度を低くすることとしてもよい。また、例えば、領域特定部42は、プローブ情報の測位精度が低い場合、移動経路上で特定するメッシュ領域の範囲を広くしたり、各メッシュ領域の大きさを大きくしたりすることとしてもよい。
【0033】
また、滞在時刻情報生成部24は、2つの測位点のプローブ情報に基づいて滞在時刻情報を生成するのではなく、1つの測位点のプローブ情報に基づいて滞在時刻情報を生成することも可能である。例えば、滞在時刻情報生成部24は、測位時刻が現在時刻に最も近い最新の測位点のプローブ情報に基づいて、該測位時刻から現在時刻までにユーザが滞在したメッシュ領域を特定し、該特定された領域における滞在時刻を算出することにより、滞在時刻情報を生成することも可能である。この場合、領域特定部42は、例えば、最新の測位点のみを滞在領域として特定することが可能である。また、最新の測位点より以前の測位点の履歴やユーザの属性等に基づいて、ユーザが電車などの交通機関を利用中であると推測される場合は、移動経路推定部40が最新の測位点からの移動経路を推定し、領域特定部42が、該経路上のメッシュ領域を特定することも可能である。そして、信頼度算出部46は、例えば、最新の測位点の測位時刻から離れるにつれて信頼度が低くなるように、信頼度を算出することが可能である。
【0034】
図9には、上述のように生成された滞在時刻情報が格納される滞在時刻情報記憶部26の構造の一例が示されている。既に説明したように、滞在時刻情報には、ユーザID、滞在時刻、領域情報、及び信頼度が含まれている。そして、あるユーザの滞在時刻情報は、図3に示したように、所定の期間において時間的に連続したものとなっている。つまり、滞在時刻情報記憶部26には、この期間内の任意の時刻におけるユーザの位置が記憶されていると言える。また、図9に示すように、滞在時刻情報記憶部26には、複数のユーザの滞在時刻情報が記憶されている。そのため、滞在時刻情報記憶部26を参照することにより、ある任意の時刻にある場所に滞在していたユーザを特定することが可能となる。
【0035】
図1に戻り、検索要求受信部28は、滞在時刻情報記憶部26に記憶されている滞在時刻情報を用いた様々な検索要求を受信する。この検索要求は、例えば、ユーザ端末から送信されることとしてもよいし、滞在時刻情報生成システム10の入力装置や他の情報処理装置から入力されることとしてもよい。また、滞在時刻情報生成システム10内で検索要求が生成されて、検索要求受信部28に入力されることとしてもよい。
【0036】
検索結果出力部30は、検索要求に従って滞在時刻情報記憶部26に記憶されている滞在時刻情報を検索し、検索結果を出力する。なお、検索結果出力部30は、検索結果を出力するために滞在情報記憶部26以外の記憶部に記憶されている情報を参照することも可能である。また、検索結果の出力先は検索要求の要求元に限られない。例えば、滞在時刻情報生成システム10で生成された検索要求の検索結果がユーザ端末に送信されることとしてもよい。
【0037】
このような検索により、例えば、次のような情報を取得することが可能である。(1)昨日終電間際にA駅前にいた人は22時頃どこにいたのか。(2)今朝8時の日本全国の混雑度はどうであったのか。(3)ショッピングセンターSの訪問者の平均滞在時間はどれくらいか。(4)渋滞しているエリアはどこか。(5)朝のラッシュ率が最近悪化している区間はどこか。(6)ユーザの自宅や勤務地、日常の行動範囲はどこか。(7)AさんとBさんは同じ家に住んでいるか。
【0038】
また、検索結果出力部30は、滞在時刻情報の信頼度を検索に活用することができる。例えば、コンビニエンスストアへの立ち寄り判定であれば、信頼度が0.7以上でコンビニエンスストアの近辺10m以内に3分以上連続して滞在していた場合に、コンビニエンスストアへの立ち寄りがあったものと判定することとしてもよい。また、例えば、ショッピングセンターへの立ち寄り判定であれば、ショッピングセンターのあるメッシュ領域において、(滞在終了時刻−滞在開始時刻)×信頼度が1を超えた場合に、ショッピングセンターへの立ち寄りがあったものと判定することとしてもよい。また、例えば、乗車駅判定であれば、駅のあるメッシュ領域において、信頼度が0.5以上の滞在があり、その後に高速移動があった場合に、乗車駅であると判定することとしてもよい。また、例えば、新幹線の乗車判定であれば、滞在時刻と新幹線時刻表とのずれが30%以内であり、乗車駅及び降車駅の滞在判定が満たされている場合に、新幹線の乗車であると判定することとしてもよい。
【0039】
図10は、滞在時刻情報の生成処理の全体の流れを示すフローチャートの一例である。移動経路推定部40は、プローブ情報記憶部22を参照し、未処理のプローブ情報があるかどうかを確認する(S1001)。未処理のプローブ情報がある場合(S1001:Y)、移動経路推定部40は、処理対象のユーザを選択し(S1002)、選択されたユーザの未処理のプローブ情報を取得する(S1003)。なお、処理対象のユーザの選択順序は任意で良い。そして、移動経路推定部40は、取得したプローブ情報を用いて、測位点間の移動経路を推定する(S1004)。
【0040】
移動経路が推定されると、領域特定部42は、移動経路上に存在するメッシュ領域を特定する(S1005)。滞在時刻算出部44は、特定された各メッシュ領域の滞在時刻を算出する(S1006)。また、信頼度算出部46は、算出された滞在時刻の信頼度を算出する(S1007)。そして、滞在時刻情報出力部48は、ユーザID、滞在時刻、領域情報、及び信頼度が設定された滞在時刻情報を生成し、滞在時刻情報記憶部26に格納する。最後に、滞在時刻情報出力部48は、滞在時刻情報を生成したプローブ情報の処理済フラグを更新する(S1008)。
【0041】
上記の処理(S1002〜S1009)が繰り返し実行され、未処理のプローブ情報がなくなると(S1001:N)、処理が終了する。なお、滞在時刻情報の生成処理は、定期的に実行されることとしてもよいし、リアルタイムに行われることとしてもよい。また、システム管理者からの指示に応じて滞在時刻情報の生成処理が実行されることとしてもよい。
【0042】
以上、本実施形態の滞在時刻情報システム10について説明した。滞在時刻情報システム10によれば、測位点及び測位時刻を示すプローブ情報から、測位点間においてユーザが滞在した領域及び各領域での滞在時刻を示す滞在時刻情報を生成することができる。そして、算出される滞在時刻は、測位点間の時間を配分したものであり、時間的に連続している。したがって、測位時刻間の任意の時刻におけるユーザの位置を把握することが可能となる。
【0043】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0044】
例えば、本実施形態では、メッシュ領域に滞在した確率を信頼度として用いているが、信頼度の表現はこれに限られない。例えば、ユーザが滞在していた可能性のある範囲を示す情報を信頼度として用いることも可能である。具体的には、例えば、測位点がマッピングされたメッシュ領域の中心から少なくとも半径500メートル以内にユーザが滞在していたと推測される場合は、「500メートル」という情報を信頼度として用いることができる。そして、例えば、「500メートル」の信頼度を有する滞在時刻情報は90%信頼することができるが、「5000メートル」の信頼度を有する滞在時刻情報は30%信頼することができるなどの判定が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 滞在時刻情報生成システム
20 プローブ情報受信部
22 プローブ情報記憶部
24 滞在時刻情報生成部
26 滞在時刻情報記憶部
28 検索要求受信部
30 検索結果出力部
40 移動経路推定部
42 領域特定部
44 滞在時刻算出部
46 信頼度算出部
48 滞在時刻情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末における現在位置の測位点を示す測位情報と、前記測位点の測位時刻とを含む、第1及び第2のプローブ情報を記憶するプローブ情報記憶部と、
前記プローブ情報記憶部に記憶されている、前記第1及び第2のプローブ情報の測位情報に基づいて、該測位情報によって示される測位点間における前記ユーザ端末のユーザの移動経路を推定する移動経路推定部と、
所定範囲の領域を分割して得られる複数の分割領域のうち、前記推定された移動経路上にある少なくとも1つの分割領域を特定し、前記第1及び第2のプローブ情報の測位時刻に基づいて、前記特定された分割領域ごとに前記ユーザの滞在時刻を推定し、前記分割領域を示す領域情報と前記滞在時刻とを対応づけた滞在時刻情報を生成して滞在時刻情報記憶部に格納する滞在時刻情報生成部と、
を備える滞在時刻情報生成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記滞在時刻情報生成部は、
前記第1及び第2のプローブ情報の測位時刻間の測位点間時間と、前記第1及び第2のプローブ情報の測位点間の測位点間距離とに基づいて、前記測位点間時間を前記特定された少なくとも1つの分割領域のそれぞれに滞在時間として配分し、
前記配分された滞在時間に基づいて、前記少なくとも1つの分割領域のそれぞれにおける滞在時刻を算出する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記滞在時刻情報生成部は、
前記測位点間時間及び前記測位点間距離に基づいて、前記測位点間の移動時間を推定し、
前記測位点間時間から前記移動時間を除いた時間を前記第1のプローブ情報の測位点を含む前記分割領域の滞在時間として配分し、前記移動時間を前記少なくとも1つの分割領域のそれぞれに滞在時間として配分する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第1及び第2のプローブ情報に基づいて、前記滞在時刻情報の信頼度を算出し、該信頼度を示す信頼度情報を前記滞在時刻情報に含めて前記滞在時刻情報記憶部に格納する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項5】
請求項4に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第1及び第2プローブ情報の測位時刻間の測位点間時間に基づいて前記信頼度を算出する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第1及び第2のプローブ情報の測位点間の測位点間距離に基づいて前記信頼度を算出する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項7】
請求項4〜6の何れか一項に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記プローブ情報には、測位精度を示す精度情報が含まれており、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第1及び第2のプローブ情報の測位精度に基づいて前記信頼度を算出する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記プローブ情報には、測位精度を示す精度情報が含まれており、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第1及び第2のプローブ情報の測位精度に基づいて、前記推定された移動経路上にある少なくとも1つの分割領域を特定する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記移動経路推定部は、複数のプローブ情報の測位点に基づいてユーザの移動手段を推定し、該推定された移動手段に応じて前記移動経路を推定する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第2のプローブ情報の測位時刻から現在時刻までを、該第2のプローブ情報の測位点を含む前記分割領域における滞在時刻として推定し、前記滞在時刻情報を生成する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項11】
請求項10に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第2のプローブ情報の測位時刻から現在時刻までの時間を複数の滞在時刻に分割して複数の滞在時刻情報を生成し、該測位時刻から離れるにつれて信頼度が低くなるように各滞在時刻情報の信頼度を算出し、該信頼度を示す信頼度情報を前記滞在時刻情報に含めて前記滞在時刻情報記憶部に格納する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項12】
請求項9に記載の滞在時刻情報生成システムであって、
前記移動経路推定部は、前記推定された移動手段に基づいて、前記第2のプローブ情報の測位時刻から現在時刻までの移動経路を推定し、
前記滞在時刻情報生成部は、前記第2のプローブ情報の測位時刻から現在時刻までの時間を該移動経路上の分割領域に滞在時間として配分し、前記滞在時刻情報を生成する、
滞在時刻情報生成システム。
【請求項13】
ユーザ端末における現在位置の測位点を示す測位情報と、前記測位点の測位時刻とを含む、第1及び第2のプローブ情報を記憶しているプローブ情報記憶部を参照し、
前記第1及び第2のプローブ情報の測位情報に基づいて、該測位情報によって示される測位点間における前記ユーザ端末のユーザの移動経路を推定し、
所定範囲の領域を分割して得られる複数の分割領域のうち、前記推定された移動経路上にある少なくとも1つの分割領域を特定し、
前記第1及び第2のプローブ情報の測位時刻に基づいて、前記特定された少なくとも1つの分割領域のそれぞれにおける前記ユーザの滞在時刻を推定し、
前記分割領域を示す領域情報と前記滞在時刻とを対応づけた滞在時刻情報を生成して滞在時刻情報記憶部に出力する、
滞在時刻情報生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−208882(P2012−208882A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75731(P2011−75731)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】