説明

潅水自動制御装置

【課題】鉢植えの潅水を自動制御する方法として、天候や湿度の変化で、土壌水分の変化とマッチせず植物に害を与える問題の解決方法を提供する。
【解決手段】土壌3中の水分を検出するセンサーの構造を改善し、センサー電極7間の通電電流を抑えて土壌3中での電解現象による弊害を無くし、潅水に依る土壌3中の水分変化をタイムリーに検出して、潅水と土壌3中の水分変化に対応する自動制御を可能にし、それにより、潅水に依って過剰水が栽培容器2から漏出する水分の検出センサーを省略しコスト低減を図ると共に、植物1の毛細根によるセンサー電極7間のショートで誤判定を防ぐ為に前記センサー電極を吸水絶縁材7bで囲む様にし、更に、水源は水道管を用いず、貯水タンク11から給水出来る様にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉢植えの潅水を土壌水分に応じて自動的に潅水を制御する安価な潅水自動制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉢植えの潅水を自動制御する方法として、タイマー回路を用いて、毎日定時刻に定量潅水する方法もあるが、天候や湿度の変化で、土壌水分の変化とマッチせず植物に害を与えることが有る。土壌水分を検知して、その変化に合わせて潅水する方法は、下記特許文献に示された方法もあるが、土壌水分を土壌面上に設置した吸水材の毛管水の高さを検出する方法は、潅水が前記吸水材に毛細管現象で水分が到達するのに時間が掛かり、潅水自動制御に適さない問題が有る。
本案はこの問題を解決する為に、土壌中に設けた水分センサーを改善し、貯水タンクも備えて、応接室内でも容易に使用できる装置に改善したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8―140508号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、土壌中の水分を検出するセンサーの構造を改善し、通電電流を3-5V数μAに抑えて土壌中での電解現象による弊害を無くし、潅水に依る土壌中の水分変化をタイムリーに検出して、潅水を土壌中の水分変化に対応させて、自動制御を可能にした。それにより、潅水に依って過剰水が栽培容器から漏出する水分の検出センサーを省略しコスト低減を図った。更に、植物の毛細根によるセンサー電極間のショートで誤判定を防ぐ為に前記電極を吸水絶縁材で囲む様にした。更に、水源は水道管のみならず、貯水タンクから給水出来る様にして、応接室でも使用可能にした。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)給水源は水道管を用いず、給水タンクを設け応接室でも使用可能にする。
(2)土壌の水分検出は、土壌中に設置し、潅水と水分変化を連動させる。
(3) 水分検出の電流による電解現象の弊害を無くす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)給水タンクを設け、コントローラの信号で弁開閉し、パイプで注水する。
(2)水分検出センサーの電極は土壌中に埋設し、潅水と水分検出を連動させる。
(3) 水分検出コントローラは電子回路制御とし、電流を3-5V数μAに抑える。
【発明の効果】
【0007】
前記解決手段により、従来品に比べ、下記の点が大幅に改善される。
(1)給水タンクは鉢植え物の上部近くに設置し、応接室でも使用可能にする。
(2)水分検出速度を速め、潅水と水分検出を連動させ自動給水制御の精度を向上。
(3) センサーの電流を微弱にし、電解現象の弊害を無くす。

【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本案のシステム全体構成図
【図2】本案のセンサー電極部詳細図
【図3】本案のコントローラ回路事例
【図4】本案の自動制御ステップ図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図1から図4を参照して本案の構造と作動を説明する。
図1は本案のシステム全体構成図、図2は本案のセンサー電極部詳細図、図3は本案のコントローラ回路事例、図4は本案の自動制御ステップ図である。
図1は本案のシステム全体構成図で、1は植物で、2栽培容器に3土壌を入れて植えられている。4は受け皿で2壌土に注水されて、吸収しきれない水が5排水穴から排出される漏れ水を受ける役目をする。3土壌には7センサー電極が挿入され、17センサーリードは13制御板に取付けられた16コントローラに接続される。11タンクは18タンク台に乗せられ、2栽培容器の上面より高い位置に設定され、注水に落差を活用している。13制御板は上端にフックが形成され、11タンクの上端に掛け止めされている。13制御板には19電源スイッチと14LEDランプと15ブザーと16コントローラと8電磁弁が取り付けられ、8電磁弁の10入水口は11タンクの横底面に設けた穴に機密に取付けられ、9排水口には9aパイプが機密に取付けられ、その他端は1植物の根基近くに配置される。
また、前記貯水タンクの代わりに、水道管に電磁弁の入水口を接続して利用しても良い、この場合は、水道管の高さ位置は制限されない。
次に図2でセンサー電極部の詳細を説明する。60はセンサーコンプリートで6固定部材に2本の7センサー電極を貫通固定され、6固定部材の上側に短く、下側に長く突出しており、上側に17センサーリード線が接続されている。下側は6固定部材の下面を含む一定長さの全周に7a絶縁塗料で隙間なく塗布され、3壌土表面に流れる注水で7電極間が電気的にショートし湿度が最高になったと誤判定されることを防止するために行う絶縁被膜である。この絶縁被膜以下の部位は7b吸収性絶縁材で7センサー電極の全周を包囲している。この目的は1植物の毛細根が2本センサー電極に直接絡み付くと電極間の電気抵抗を低下させて、3土壌の湿度が上がったと誤判定されることを防止するものである。6固定部材の材質はプラスチックで、7センサー電極の材質はステンレス鋼又はクロームメッキされた黄銅が良い。電極の太さは直径2-3mm程度で、固定部材以下の長さは40-50mm程度が良い。電極間ピッチは20-30mm程度が良い。電極の上側には17センサーリードが接続され13制御板に取付けられた16コントローラ端子に接続されている。16コントローラの電子回路は図3に示す構成に成っていて、前記回路中に接続される19電源スイッチと4LEDランプと15ブザーと8電磁弁は13制御板に取付け、16コントローラ回路と電気的に接続されている。
尚、7センサー電極の設置位置は2栽培容器の内周と1植物の中間位置に6固定部材の下面が土壌と少し空く程度に差し込んで、7センサー電極の周囲に3壌土の隙間が無いように埋め込むことが望ましい。
次に図3のコントローラ回路事例の概要を説明する。電源は乾電池で3-5Vに設定し、1個の電源スイッチと4個のICと3個のトランジスタと60センサーコンプリートと14LEDランプと15ブザーと8電磁弁と他の電子部品によって構成され、2本の7センサー電極間が乾燥し電気抵抗が一定以下に成るとTr2がOFFしてTr3がONし、8電磁弁と15ブザーがONし、電磁弁が開かれて、11タンクの12貯水が9aパイプを通して1植木に注水され、同時に前記15ブザーによって注水中であること表示し、万一12貯水が無くなっている場合は注水が出来ず、15ブザーが鳴り続けて警報する意味を持つ。
注水が浸透して、7センサー電極間の電気抵抗が一定以上に成ると前記Tr2がONしTr3がOFFし、電磁弁が閉じられて、14LEDランプが点灯し、注水が完了し、1植物の根の湿度が適切である信号として表示する。尚、前記センサー電極間の電気抵抗の一定値レベルを調整するにはVR1可変抵抗器で行うことができる。
次に図4で潅水の自動制御ステップを説明する。60センサーの湿度が一定値以下に成ると8電磁弁が開し、9aパイプから注水する。その結果、60センサーの湿度が一定値以上に成ると8電磁弁が閉し、9aパイプからの注水が停止する。この繰り返しで、潅水の自動制御が行われる。それに付随する表示機能として、前記にも説明したが、15ブザーは「注水中又はタンク貯水無し」を警告する機能を果たす。14LEDランプは「土壌の湿度正常」を表示する機能を果たす。
【0010】
次に、取り扱い操作を説明する。先ず2栽培容器に3土壌と1植物を植木し、4受け皿に乗せて、好みの位置に配置し、13制御板を11タンクにフック掛けし、前記2栽培容器より高い位置に前記11タンクの底面が位置される様に18タンク台に乗せるか、建屋の一部に吊り下げる。そして11タンクに12貯水を行い、9aパイプの注水口を1植物の近くに固定する。次に16コントローラに接続された7センサー電極を図1の様に1植木と2栽培容器の内周との中間で9aパイプの注水口に近づかない位置に、7センサー電極を3土壌の中に差し込む。この時
6固定部材の下面が3土壌の上面と接するか、少し空間を空ける様にした方が良い。これで前準備は完了し、19電源スイッチをONにすれば作動開始する。
この時、3土壌の湿度が適切であれば、14LEDランプが点灯する。前記湿度が不足であれば、15ブザーが鳴って8電磁弁が開き、9aパイプから注水が開始され、暫くすると注水が完成し、15ブザーが鳴り止んで、14LEDランプが点灯すれば、機能は正常に作動したと判断できる。この時、15ブザーが鳴り止まらない時は、注水が正常に行われていないか、17センサーリードの接続不良が考えられるので見直して修正する。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明の潅水自動制御装置に依れば、栽培容器内の土壌中の水分に応じて適切な潅水制御を行うことができ、天候、植物体の大きさ等に関わらず、土壌の適湿を保つことができ、従来例の土壌面上に設けた吸水材に電極を付設した湿度センサーに比べて、本案は検出速度が速く、土壌湿度と潅水を連動的に行うことができる。また、センサー電極への通電電流を微小にすることで、電解による弊害も回避される。更に、貯水タンクからの電磁弁開閉による注水方式を採用することで、応接間でも使用可能である。また、装置の部材は市販の汎用部品を多用することで、現在市販されている装置より格段と安価な費用で製造でき、盆栽等の愛好家にも喜ばれると思われます。

【符号の説明】
【0012】
1植物、2栽培容器、3土壌、4受け皿、5排水穴、6固定部材、7センサー電極、7a絶縁塗料、7b吸水性絶縁材、8電磁弁、9排水口、9aパイプ、10入水口、11タンク、12貯水、13制御板、14LEDランプ、15ブザー、16コントローラ、17センサーリード、18タンク台、19電源スイッチ、
60センサーコンプリート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培容器に土壌を入れて植物を栽培し、土壌に潅水しながら植物を栽培するようにした植物栽培装置において、前記土壌中の水分量を、土壌内に埋設されるセンサー電極手段により検出して、コントローラ制御手段により、給水手段から電磁弁の開閉により潅水制御を行うようにしたことを特徴とする潅水自動制御装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の潅水自動制御装置において、前記センサー電極手段は、固定部材に2本の電極を貫通固定し、前記固定部材の下面と該下面から突出する電極の下方向の一定長さ外周を絶縁塗料でシールし、更に、前記絶縁塗料から下に突出する全ての電極外周を吸水性絶縁材で一定厚みに包囲したことを特徴とする潅水自動制御装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2項のいずれかの1項に記載の潅水自動制御装置において、
前記コントローラ制御手段は、電子回路で構成し、前記2本のセンサー電極間の電気抵抗信号により、前記電気抵抗が一定以上に成ると電磁弁回路をONにし、前記電気抵抗が一定以下に成ると前記電磁弁回路をOFFにすることを特徴とする潅水自動制御装置。
【請求項4】
前記請求項1から3項のいずれかの1項に記載の潅水自動制御装置において、
前記給水手段は、前記栽培容器より高い位置にタンクを設置して貯水し、前記タンクの底面付近に設けた排水口に前記電磁弁の入水口を装着し、電磁弁の排水口にパイプを連結して、前記栽培容器の植物の幹元付近に向けてパイプから注水するようにしたことを特徴とする潅水自動制御装置。
【請求項5】
前記請求項1又は3項のいずれか1項に記載の潅水自動制御装置において、
前記電磁弁回路のONと連動してブザーを吹鳴し、潅水作動中又はタンクの貯水切れによる潅水未達の警報とし、前記電磁弁回路のOFFと連動してLEDを点灯し、土壌中の湿度が正常であることを表示するようにしたことを特徴とする潅水自動制御装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−102712(P2013−102712A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247555(P2011−247555)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【特許番号】特許第5167551号(P5167551)
【特許公報発行日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【出願人】(709004916)
【Fターム(参考)】