説明

潜熱回収型給湯機

【課題】ドレン水の逆風による水封破れの誤検知を阻止した潜熱回収型給湯機を提供する。
【解決手段】バーナ2の燃焼後の排気ガスが露点以下になることで発生するドレン水を、予め中和剤が充填されたドレン中和槽10を流通させることで中和するもので、前記ドレン中和槽10には、上面に排気経路9と連通しドレン水の入り口となる流入口11と、一側壁上部には中和後のドレン水を流出させる流出口13とを設け、この流出口13近傍には一対の水位検知電極17を備え、熱要求発生時水位検知電極17によってドレン中和槽10のドレン水位が低下しての水封破れを検知した時、回転数を上げて排気ファン3を駆動し再度水封破れを検知するようにしたので、逆風による水封破れの誤検知が阻止されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドレン中和槽の逆風による水封の破れの誤検知を確実に阻止した潜熱回収型給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の潜熱回収型の燃焼装置に於いては、屋内に設置するタイプのものがあり、この屋内設置タイプの場合、燃焼によって発生したドレンを排出するためのドレン排水経路を通って、燃焼排ガスが屋内に排出されないように、ドレン排水経路をドレンまたは水により水封する必要がある。そのため、ドレン排水経路に水封を検知する水位検知電極を設け、水位検知電極が水封を検知していない場合は、燃焼できないようにロックするものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−298381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで図4に示すように、スペースの問題から水位検知電極17を排水口15側の連通路16に備えたドレン中和槽10では、排気経路9と連通している為に、図6に示すように強い逆風を受けた場合にその風圧が流入口11側のドレン水の水面に作用して押し下げられることで、排水口15からドレン水が押し出されるかたちで、排水されてドレン水が減少することにより、逆風が収まり風圧がなくなると図7に示すように水位検知電極17部分にはドレン水がなくなり、水封状態は維持しているにも拘わらず、水封が破られていると検知して燃焼が出来なくなると言う不具合を発生するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為に、特にその構成を、バーナの燃焼後の排気ガスが露点以下になることで発生するドレン水を、予め中和剤が充填されたドレン中和槽を流通させることで中和するものに於いて、前記ドレン中和槽には、上面に排気経路と連通しドレン水の入り口となる流入口と、一側壁上部には中和後のドレン水を流出させる流出口とを設け、この流出口近傍には一対の水位検知電極を備え、熱要求発生時水位検知電極によってドレン中和槽のドレン水位が低下しての水封破れを検知した時、排気ファンを駆動し再度水封破れを検知するようにしたものである。
【0006】
又請求項2では、前記排気ファンの駆動しての再度の水封破れ検知で、水封破れを検知した時にはエラー報知し、水封なしの場合には、燃焼開始してから一定時間経過後、再び水封検知を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、熱要求発生時には先ず水位検知電極による水封破れを検知し、水封破れを検知した時には、逆風による水封破れを考慮して排気ファンを駆動した状態で、再度水封を検知して燃焼開始に入るようにしたことにより、逆風による水封破れの誤検知が阻止され、通常通りの燃焼による給湯が良好に行われるものである。
【0008】
又請求項2によれば、逆風による水封破れでなく水漏れで水封破れした場合は、ここでエラー報知されて極めて安全であり、更に逆風による水封破れの時には排気ファンの風圧で水位検知してひとまず燃焼開始し、ドレン水の補給をドレン中和槽に行うので、一定時間経過後には最後の水封破れ検知をして、このドレン水の補給が上手く行われたかの確認をすることで、安全に燃焼を継続出来て安心して使用することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態の潜熱回収型給湯機の概略構成図。
【図2】同正面図。
【図3】同側面図。
【図4】同正常常体を示すドレン中和槽の説明図。
【図5】同ドレン水漏れで水封が破られた形態のドレン中和槽の説明図。
【図6】同ドレン水に逆風が作用している状態のドレン中和槽の説明図。
【図7】同ドレン水に逆風が作用した後の状態のドレン中和槽の説明図。
【図8】同ドレン水に排気ファンの送風圧を作用させて水封検知している状態のドレン中和槽の説明図。
【図9】同要部の電気回路のブロック図。
【図10】同要部のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態の潜熱回収型給湯機について図面に基づいて説明する。
1はこの実施形態の屋内設置タイプの器具本体、2は石油等を燃料とし下向きに火炎を発生する燃焼部であるバーナ、3はバーナ2に燃焼用の空気を供給すると共に、燃焼後の排気ガスを屋外に排気する排気ファン、4はバーナ2の下方に備えられた燃焼室、5は燃焼室4内に設けられバーナ2の燃焼に伴い発生する燃焼排気ガスの顕熱を回収するフィンチューブ式の熱交換器で構成された熱交換部としての一次熱交換部である。
【0011】
6は燃焼室4の下流側に配置され、燃焼室4の底部に一端を連通し、バーナ2で発生する排気ガスの排出に伴う騒音を低減させる消音装置で、消音装置6の他端は、ステンレス製の箱体で形成された熱交換部としての二次熱交換部7と排気ダクト8を介して連通しており、二次熱交換部7は潜熱を回収する熱交換器で構成され、消音装置6を通過した燃焼排ガスが露点以下になるまで熱交換させてドレンが生成される。また、9は二次熱交換部7を通過した排気ガスを器具本体1の屋外へ排出させ消音装置6、排気ダクト8に連通した排気経路である。
【0012】
10は二次熱交換部7と連通し二次熱交換部7で生成されたドレンを一旦貯留するドレン中和槽で、上面中央には二次熱交換部7と連通しドレンが流入する流入口11と、入り口側と出口側の2箇所に仕切壁12を設けた内方には炭酸カルシウムからなる中和剤を充填し、流入口11から流入される二次熱交換部7で発生した強酸性のドレンを貯留し中和して、一側壁の上部に形成された流出口13から排水するものであり、底部には中のドレン水を全て排出可能の水抜き栓14が設けられている。
【0013】
又前記流出口13からドレン中和槽10の高さ以内の位置に設けられた器具本体1の排水口15までの間を、該排水口15に向かって徐々に登り傾斜した連通管16で連通し、この連通管16途中に一対の水位検知電極17を備えたもので、連通管16はドレン中和槽10がドレンで満杯の通常時では、図4に示すようにドレン水が充満しており傾斜でドレン中和槽10内に流出することはなく、水位検知電極17は確実にドレン水有りを検知出来るものであるが、逆にドレン水が漏れた時には図5に示すように、連通管16内のドレン水もドレン中和槽10内に流出して空となり、水位検知電極17がドレン水位が低下して水封が破れる前に、制御部18を介してバーナ2の燃焼を停止及び、既に停止している時は燃焼開始しないように制御し、エラー報知するものである。
19は中和剤投入口を塞ぐ投入口蓋である。
【0014】
更にドレン中和槽10は排気経路9と連通している為に、図6に示すように強い逆風を受けた場合にその風圧が流入口11側のドレン水の水面に作用して押し下げられることで、排水口15からドレン水が押し出されるかたちで、排水されてドレン水が減少することにより、逆風が収まり風圧がなくなると図7に示すように水位検知電極17部分にはドレン水がなくなり、水封状態は維持しているにも拘わらず、水封が破られていると検知して燃焼を停止及び、既に停止している時は燃焼開始しないように制御し、エラー報知するものであったので、図8に示すように熱要求発生時には先ず水位検知電極17による水封破れを検知し、水封破れを検知した時には、逆風による水封破れを考慮して回転数を着火時より3000rpm上げて排気ファン3を駆動した状態で、再度水封を検知して燃焼開始に入るようにしたことにより、逆風による水封破れの誤検知が阻止され、通常通りの燃焼による給湯が良好に行われるようにしたものである。
【0015】
20は給水管、21は出湯管、22は給水管20から分岐した給水バイパス管、23は出湯管21からの湯と給水バイパス管22からの水とを混合し、その混合比を可変できる混合弁、24は混合弁23で混合された湯を給湯栓(図示せず)に給湯するための給湯管、25は給水管20に設けられ給水温度を検出する給水温度センサ、26は給水管20に設けられ流量を検出する流量センサ、27は給湯管24に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサである。
【0016】
28は器具本体1内に内蔵され、マイクロコンピュータを主体としてこの器具本体1の各センサの信号を受け、各アクチュエータの駆動を制御する制御を行う前記制御部18を有する電装基板であり、入力側には給水温度センサ25や流量センサ26や給湯温度センサ27や水位検知電極17が接続されており、出力側にはバーナ2や排気ファン3や混合弁23がそれぞれ接続されている。
【0017】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今適宜箇所の給湯栓が開栓されて給湯が開始されると、この水の流れを流量センサ26が検知し、バーナ2の燃焼を開始させる最低作動流量以上の流量になると、制御部18は熱要求ありと判断し、バーナ2の燃焼を電磁ポンプ(図示せず)や点火器(図示せず)を駆動して開始させる。この燃焼により発生した燃焼排気ガスは一次熱交換部5に流入し、一次熱交換部5で給水と熱交換し、一次熱交換部5を通過した燃焼排気ガスは、消音装置6にて下向きから上向きにUターンされ、排気ダクト8を介して二次熱交換部7に上向きに流入し、二次熱交換部7内に流入してくる給水と熱交換し、二次熱交換部7を通過した後、排気経路9から外部へ排出されるものである。
【0018】
この二次熱交換部7で温度上昇した温水は一次熱交換部5に流入し、ここでバーナ2の燃焼で発生した燃焼排気ガスとの熱交換で更に加熱されて、給湯として給湯栓から出湯されるものであり、この時、制御部18は給湯温度センサ27の検出する温度からユーザが設定した給湯設定温度になるようにバーナ2の燃焼量や混合弁23の開度の調節するものである。
【0019】
又一次熱交換部5及び二次熱交換部7で給水と燃焼排気ガスが熱交換され、露点以下になることにより生成されたドレン水は、二次熱交換部7から流入口11を介してドレン中和槽10に貯留され、ドレン中和槽10内に充填された中和剤により中和された後、流出口13、連通管16、排水口15を介して器具本体1外へ排出されるものである。
【0020】
この時、ドレン中和槽10内は図4に示す状態で、満杯状態であり流出口13、連通管16、排水口15までドレン水が満杯で、これを越えると初めて該排水口15からドレン水が排出されるものであり、連通管16はドレン水で満たされているので、水位検知電極17はドレン水を介して導通し該ドレン水有りで水封状態であることを検知し、制御部18にこの信号を送るが異常状態ではないので、制御部18はバーナ2の燃焼を停止したりせず又停止中では燃焼の開始を禁止したりもしないものである。
【0021】
又この状態で水位検知電極17の電圧印加による電気分解で発生する気体も、水位検知電極17と排水口15との高低差により、高い排水口15に向かって流通して排出されるので、水位検知電極17の周囲に残り腐蝕や劣化の原因になる心配もないものである。
【0022】
次に何らかの原因でドレン中和槽10からドレン水が漏れた場合には、図5に示すような状態となり、ドレン中和槽10内のドレン水位が低下することで、流出口13、連通管16、排水口15内のドレン水もドレン中和槽10内へ流れ出てなくなるので、水位検知電極17はドレン水がなくなって導通せず、この信号が制御部18に送られ該制御部18では、バーナ2の燃焼を停止したり又停止中では燃焼の開始を禁止し、燃焼排気ガスがドレン中和槽10から排水口15を通り室内に放出されるのを未然に確実に防止して、安全と安心を確保するものであり、又このドレン水の漏れによる危険回避の燃焼停止であることをリモコンの表示部(図示せず)にエラー報知して、使用者に知らせるようにしても良いものである。
【0023】
又器具本体1の設置当初は、ドレン中和槽10にはドレン水が貯留されていないので排水口15は水封されておらず、水位検知電極17は導通状態でなく、制御部18はバーナ2の燃焼を禁止状態としているので、設置業者はヤカン等によりドレン中和槽10に水抜き栓14或いは排水口15から水を注水して水封することにより、水位検知電極17を導通状態にすることで、初めて制御部18によるバーナ2の燃焼が許可されるものである。
【0024】
次にドレン中和槽10が通常状態である図4に示す満杯の状態で、燃焼停止している時に強い逆風を受けると、図6に示すようにその風圧が流入口11側のドレン水の水面に作用して押し下げられることで、排水口15からドレン水が押し出されるかたちで、排水されてドレン水が減少することにより、逆風が収まり風圧がなくなると図7に示すように水位検知電極17部分にはドレン水がなくなり、水封状態は維持しているにも拘わらず、水封が破られていると検知して燃焼開始しないように制御するものであった。
【0025】
そこでこの発明では、図10のフローチャートに示すように、給湯栓を開成した熱要求がありで、ステップS1に進みドレン中和槽10の水位検知電極17による水封ありを検知し、通常の場合はYESでステップS2に進んで燃焼開始し、そしてステップS3で水封ありを検知しながら燃焼を継続して、上記したように水漏れが発生したような時には、NOとなってステップS4で燃焼を停止させると共に、燃焼の開始もさせずリモコンの表示部等にエラー報知するものである。
【0026】
又ステップS1で強い逆風を受けドレン中和槽10が図7のような状態となった場合は、水封が破られNOとなってステップS5に進んで、燃焼開始前に排気ファン3を着火回転数より3000rpm上げて駆動させ、これにより図8に示すように強制的にドレン中和槽10の流入口11側の水面を逆風時と同じように押し下げて、連通管16にドレン水を充満させ、この状態でステップS6に進んで再度水位検知電極17により水封ありを検知することで、水封ありとなってステップS7の燃焼開始となり、ここで排気ファン3通常の燃焼時の駆動に切換られ、そしてステップS8でこの燃焼が所定時間ここでは5分経過したか、即ち図7のドレン中和槽10内のドレン水が減った状態から、燃焼が開始されて燃焼排気ガスとの熱交換が行われることで、ドレン水が発生しドレン中和槽10内に該ドレン水が補給されるまでの時間が経過すると、最終の確認でステップS3に戻り再び水封ありを検知し、ドレン水の補給が確実に行われたかを確認し、YESではステップS3で水封ありを検知しながら燃焼を継続し、NOではステップS4で燃焼を停止させると共に、燃焼の開始もさせずリモコンの表示部等にエラー報知するものである。
【0027】
一方ステップS6で逆風によるドレン水の減少でなく、水漏れ等の違う原因による水封の破れである場合には、NOでステップS4に進んで燃焼を停止させると共に、燃焼の開始もさせずリモコンの表示部にエラー報知を行い使用者に知らせるものである。
【0028】
このように、熱要求発生時には先ず水位検知電極17による水封破れを検知し、水封破れを検知した時には、逆風による水封破れを考慮して回転数を着火時より3000rpm上げて排気ファン3を駆動した状態で、再度水封を検知して燃焼開始に入るようにしたことにより、逆風による水封破れの誤検知が阻止され、通常通りの燃焼による給湯が良好に行われるようにしたものである。
【0029】
更に逆風による水封破れでなく水漏れで水封破れした場合は、ここでエラー報知されて極めて安全であり、更に逆風による水封破れの時には排気ファン3の風圧で水位検知してひとまず燃焼開始し、ドレン水の補給をドレン中和槽10に行うので、一定時間経過後には最後の水封破れ検知をして、このドレン水の補給が上手く行われたかの確認をすることで、安全に燃焼を継続出来て安心して使用することが出来るものである。
【符号の説明】
【0030】
1 器具本体
2 バーナ
3 排気ファン
5 一次熱交換部
7 二次熱交換部
9 排気経路
10 ドレン中和槽
11 流入口
13 流出口
14 水抜き栓
15 排水口
16 連通管
17 水位検知電極
18 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナの燃焼後の排気ガスが露点以下になることで発生するドレン水を、予め中和剤が充填されたドレン中和槽を流通させることで中和するものに於いて、前記ドレン中和槽には、上面に排気経路と連通しドレン水の入り口となる流入口と、一側壁上部には中和後のドレン水を流出させる流出口とを設け、この流出口近傍には一対の水位検知電極を備え、熱要求発生時水位検知電極によってドレン中和槽のドレン水位が低下しての水封破れを検知した時、排気ファンを駆動し再度水封破れを検知するようにした事を特徴とする潜熱回収型給湯機。
【請求項2】
前記排気ファンの駆動しての再度の水封破れ検知で、水封破れを検知した時にはエラー報知し、水封なしの場合には、燃焼開始してから一定時間経過後、再び水封検知を行う事を特徴とする請求項1記載の潜熱回収型給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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