潤滑剤塗布装置、プロセスユニット、転写装置及び画像形成装置
【課題】簡易な構成によって、潤滑剤の偏摩耗を防止すると共に、均一な潤滑剤の塗布を行うことが可能な潤滑剤塗布装置を提供する。
【解決手段】本発明は、潤滑剤60と、潤滑剤60とその潤滑剤を塗布する塗布対象物2とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材61とを備え、潤滑剤塗布部材61を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置におけるものである。潤滑剤塗布部材61に、植毛体を一方向に巻回した第1巻回部Aと、第1巻回部Aとは逆巻きに植毛体を巻回した第2巻回部Bとを設けた。
【解決手段】本発明は、潤滑剤60と、潤滑剤60とその潤滑剤を塗布する塗布対象物2とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材61とを備え、潤滑剤塗布部材61を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置におけるものである。潤滑剤塗布部材61に、植毛体を一方向に巻回した第1巻回部Aと、第1巻回部Aとは逆巻きに植毛体を巻回した第2巻回部Bとを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスユニット、転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を潤滑剤塗布部材によって感光体や中間転写ベルト等に塗布し、これらのクリーニング性や転写性の向上、長寿命化などを図ることが行われている。例えば、感光体の表面に潤滑剤を塗布する塗布装置として、図14に示すものがある。
【0003】
図14に示す潤滑剤塗布装置100は、固形状の潤滑剤200と、潤滑剤塗布部材としての潤滑剤塗布ブラシ300と、潤滑剤200を保持する潤滑剤保持部材400と、潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に接触させるように付勢する加圧部材500と、潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に対して接離する方向に案内するガイド部材600とを有している。潤滑剤塗布ブラシ300は、感光体700の表面に接触するように配設されており、潤滑剤塗布ブラシ300が回転することによって潤滑剤200を削り取り、その削り取った潤滑剤を感光体700の表面に塗布するようになっている。また、潤滑剤200は加圧部材500によって潤滑剤塗布ブラシ300側へ加圧されているため、潤滑剤200が削り取られて消耗しても、潤滑剤200は常に潤滑剤塗布ブラシ300に接触した状態で維持される。なお、加圧部材500の代わりに、潤滑剤200に錘を設け、その錘に作用する重力によって潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に接触させるように構成しているものや、自重によって潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に接触させるように構成しているものもある。
【0004】
上記潤滑剤塗布ブラシの構成は様々であるが、その1つとして、円柱又は円筒状の芯材の外周面に、帯状の植毛体を螺旋状に巻回したものがある(特許文献1参照)。しかし、図15に示すように、植毛体を螺旋状に巻回した潤滑剤塗布ブラシ300を用いた場合は、その潤滑剤塗布ブラシ300を回転させると、潤滑剤200に対して潤滑剤塗布ブラシ300の軸方向の一方へ向かう移動力Fが生じることが分かっている。このように、潤滑剤200に対して軸方向の一方へ向かう移動力Fが生じると、潤滑剤200又は潤滑剤保持部材400の一端部がガイド部材600に当接し、当接した箇所において抵抗が生じるため、加圧部材500による押圧力が潤滑剤200の両端部側においてばらつく。その結果、潤滑剤200の両端部において、潤滑剤塗布ブラシ300による潤滑剤削り量に差が生じ、潤滑剤の塗布を潤滑剤塗布ブラシ300の軸方向に渡って均一に行えなくなるといった問題が発生する。すなわち、潤滑剤200と潤滑剤塗布ブラシ300との接触部における潤滑剤塗布ブラシ300方向にかかる力の模式図である図16に示すように、軸方向において不均一に力fがかかっている。また、潤滑剤200の両端部側における押圧力にばらつきが生じることで、押圧力の高い端部側では潤滑剤の消費が多くなる一方、押圧力の低い端部側では潤滑剤の消費が少なくなるため、図17に示すような潤滑剤200の偏摩耗が発生し、潤滑剤の有効活用ができないといった問題もある。
【0005】
また、図18に示すように、潤滑剤200又は潤滑剤保持部材400の一端部がガイド部材600に当接した結果、その当接箇所において潤滑剤200又は潤滑剤保持部材400が引っ掛かると、潤滑剤200が潤滑剤塗布ブラシ300に対して傾斜した状態で押圧される。この場合も、潤滑剤200の両端における潤滑剤削り量が異なるため、上記と同様に、潤滑剤の塗布が不均一となる問題や、潤滑剤の偏摩耗が発生する問題が生じる。
【0006】
また、潤滑剤が軸方向の一方に移動した結果、図19(a)に示すように、潤滑剤200の一端部が潤滑剤塗布ブラシ300との接触位置から外れた場合は、その外れた端部側において潤滑剤200が消費されないため、図19(b)に示すような偏摩耗が生じる。
【0007】
従来、上記問題を防止するために、潤滑剤を潤滑剤塗布ブラシに対して平行状態を保持したまま接離させる複数の回動アームを備えた潤滑剤塗布装置が提案されている(特許文献2参照)。この構成を採用すれば、潤滑剤と潤滑剤塗布ブラシとの接触状態(又は押圧力)にばらつきが生じるのを防止することができ、潤滑剤塗布ブラシの軸方向に渡って均一な潤滑剤の塗布が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のように複数の回動アームを設ける構成は、部品点数が増えるため、その製造工程が複雑化すると共に、製造コストも高くなるため好ましくない。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、簡易な構成によって、潤滑剤の偏摩耗を防止すると共に、均一な潤滑剤の塗布を行うことが可能な潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスユニット、転写装置及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材とを備え、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたものである。
【0011】
潤滑剤塗布部材が回転した際、第1巻回部と第2巻回部とでそれぞれ潤滑剤を軸方向に移動させる力が生じるが、第1巻回部で生じる軸方向の移動力と、第2巻回部で生じる軸方向の移動力は、互いに逆向きに生じるので、各移動力は互いに打ち消し合う。その結果、潤滑剤が軸方向に移動するのを防止又は抑制することができ、安定した潤滑剤の塗布を行うことが可能となる。
【0012】
請求項2の発明は、潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材と、前記潤滑剤塗布部材の軸方向の端部側に対応する前記潤滑剤の端部に対向して配設されると共に前記潤滑剤を前記潤滑剤塗布部材に接離する方向に案内するガイド部材とを備え、前記潤滑剤を加圧部材、又は錘、あるいは当該潤滑剤の自重によって前記潤滑剤塗布部材に接触させるように構成し、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたものである。
【0013】
この場合も、上記請求項1と同様に、第1巻回部で生じる軸方向の移動力と、第2巻回部で生じる軸方向の移動力が、互いに逆向きに生じるので、各移動力は互いに打ち消し合って、潤滑剤が軸方向に移動するのを防止又は抑制することができる。これにより、潤滑剤が軸方向へ移動してその一端部がガイド部材に当接するのを防止でき、潤滑剤の両端部側において潤滑剤塗布部材に対する潤滑剤の押圧力にばらつきが生じるのを防止することができる。その結果、潤滑剤塗布部材による潤滑剤の塗布を軸方向に渡って均一に行うことが可能となると共に、潤滑剤に偏摩耗が生じなくなるので、潤滑剤の有効活用を図ることが可能となる。
【0014】
また、第1巻回部で生じる軸方向の移動力と、第2巻回部で生じる軸方向の移動力とが、互いに打ち消し合った結果、軸方向の移動力が残ったとしても、その移動力は小さいものとなる。従って、結果的に残った移動力により、潤滑剤が軸方向に移動してその一端部がガイド部材に当接しても、その当接箇所で発生する抵抗は小さくなるため、潤滑剤の両端部側における潤滑剤塗布部材に対する押圧力の差を低減することができる。これにより、潤滑剤塗布部材による潤滑剤の塗布量のばらつきを抑制することができると共に、潤滑剤の偏摩耗も抑制することができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に1つずつ配設し、前記第1巻回部の軸方向長さと前記第2巻回部の軸方向長さとを同じ長さに設定したものである。
【0016】
第1巻回部の軸方向長さと第2巻回部の軸方向長さとを同じ長さに設定したことにより、第1巻回部にて生じる移動力と第2巻回部にて生じる移動力とが同じ大きさとなり、それぞれの移動力を完全に打ち消すことができる。これにより、潤滑剤の軸方向への移動を確実に防止することが可能となる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に交互に合計3つ以上配設し、前記第1巻回部の軸方向長さの合計値と前記第2巻回部の軸方向長さの合計値とを同じ値になるように設定したものである。
【0018】
第1巻回部の軸方向長さの合計値と第2巻回部の軸方向長さの合計値とを同じ値になるように設定したことにより、第1巻回部にて生じる移動力の合計値と第2巻回部にて生じる移動力の合計値とが同じ値となり、それぞれの移動力を完全に打ち消すことができる。これにより、潤滑剤の軸方向への移動を確実に防止することが可能となる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤をステアリン酸亜鉛を含むものとしたものである。
【0020】
潤滑剤をステアリン酸亜鉛を含むものとしたことにより、潤滑剤が塗布される塗布対象物の摩擦を低減する効果を大きくすることができる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置において、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、その繋ぎ目が周方向からずれた状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したものである。
【0022】
繋ぎ目を周方向からずらすことによって、繋ぎ目が周方向に沿うものではなくなって、潤滑剤が塗布できない部位を無くす乃至極めて少なくでき、安定した塗布作業を行うことができる。しかも、植毛体の捲れ(剥がれ)を生じにくくできる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置において、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、繋ぎ目を有さない一体化された状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したものである。
【0024】
繋ぎ目を有さないようにすることによって、潤滑剤は塗布できない部位を無くすことができ、安定した塗布作業及び植毛体の捲れ(剥がれ)を有効に防止できる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載の潤滑剤塗布装置において、
潤滑剤塗布部材の回転方向と、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体との巻き方向とを合わせたものである。
【0026】
このように同じにすれば、剥がれの起点となる部位に対して剥がしにくい方向の力が作用するように設定できる。このため、接着強化の必要がなくなり、品質の向上および低コスト化を達成できる。
【0027】
請求項9の発明は、画像を担持する像担持体と、その像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備え、画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたプロセスユニットである。
【0028】
プロセスユニットが、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えているので、これらの潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【0029】
請求項10の発明は、像担持体上の画像が転写される転写体と、その転写体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備えた転写装置において、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えた転写装置である。
【0030】
転写装置が、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えているので、これらの潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【0031】
請求項11の発明は、請求項9に記載のプロセスユニットと、請求項10に記載の転写装置の、少なくとも一方を備えた画像形成装置である。
【0032】
画像形成装置が、請求項9に記載のプロセスユニットと、請求項10に記載の転写装置の、少なくとも一方を備えているので、これらが備える潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【0033】
請求項12の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えた画像形成装置である。
【0034】
画像形成装置が、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えているので、これらの潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、均一な又はばらつきの少ない潤滑剤の塗布と、潤滑剤の偏摩耗の防止又は抑制とを、潤滑剤塗布部材に巻回した植毛体の巻回方向を互いに逆巻きに異ならせるという簡易な構成によって実現することができる。このため、本発明は、従来に比べて、部品点数が少なくすることができ、その製造工程数の削減と製造コストの低減とを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスユニットの概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布ブラシの製造途中の状態を示す斜視図である。
【図5】潤滑剤塗布ブラシにかかる力の模式図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図8】前記図7に示す潤滑剤塗布装置における植毛体の巻回方法を示す簡略図である。
【図9】前記図7に示す潤滑剤塗布装置における植毛体の他の巻回方法示す簡略図である。
【図10】植毛体の巻回方向と潤滑剤塗布ブラシの回転方向の関係を示す簡略図である。
【図11】潤滑剤塗布ブラシと感光体の回転方向を示す簡略図である。
【図12】植毛体の巻回方向と潤滑剤塗布ブラシの回転方向の関係を示す簡略図である。
【図13】端面処理が施された潤滑剤塗布ブラシを示す簡略図である。
【図14】従来の潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図15】潤滑剤の一端部側がガイド部材に当接した状態を示す図である。
【図16】潤滑剤塗布ブラシにかかる力の模式図である。
【図17】潤滑剤に偏摩耗が生じた状態を示す図である。
【図18】潤滑剤が傾斜した状態を示す図である。
【図19】(a)は、潤滑剤の一端部が潤滑剤塗布ブラシとの接触位置から外れた状態を示す図であり、(b)は潤滑剤に偏摩耗が生じた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0038】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電する帯電装置3と、感光体2上にトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング装置5と、感光体2の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置6を備えている。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体10に対して一体的に着脱可能に構成されている。
【0039】
画像形成装置本体10の上部には、各色のトナーを充填したトナーボトル7が設けてある。トナーボトル7内の各色トナーは、図示しないトナー移送管を介して対応する現像装置4へ移送されるようになっている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、各感光体2の表面を露光する露光装置8が配設されている。露光装置8からは、各感光体2へレーザ光が照射されるようになっている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、転写装置9が配設されている。転写装置9は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト11を有する。中間転写ベルト11は、複数の支持ローラ12,13,14,15によって張架されている。複数の支持ローラ12,13,14,15のうちの1つが駆動ローラとなっており、その駆動ローラが回転することにより、中間転写ベルト11は図の矢印に示す方向に走行するようになっている。
【0040】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ16が配設されている。各一次転写ローラ16と各感光体2とによって中間転写ベルト11を挟み込んだ箇所には、一次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト11の図の右側の外周面に、二次転写手段としての二次転写ローラ17が当接している。この二次転写ローラ17とこれに対向する支持ローラ12とによって中間転写ベルト11を挟み込んだ箇所には、二次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト11の図の左端の外周面には、中間転写ベルト11の表面を清掃するベルトクリーニング装置18が配設されている。
【0041】
画像形成装置本体10の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙トレイ19や、給紙トレイ19から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ20等が設けてある。また、画像形成装置本体10内には、給紙トレイ19から上方へ記録用紙Pを案内するための搬送経路Rが形成されている。この搬送経路Rにおいて、給紙ローラ20を配設した位置から二次転写ローラ17を配設した位置に至る途中には、記録用紙Pの搬送タイミングを計るための一対のレジストローラ21が配設されている。また、二次転写ローラ17の配設位置の上方には、記録用紙P上の画像を定着させるための定着装置22を配設している。さらに、定着装置22の上方には、画像形成装置本体10の上面を凹ませて形成したストック部23に記録用紙Pを排出するための一対の排紙ローラ24が配設されている。
【0042】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電装置3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置8からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として現像化(可視画像化)される。
【0043】
中間転写ベルト11を張架する駆動ローラが回転駆動することにより、中間転写ベルト11が図の矢印で示す方向に走行する。また、各一次転写ローラ16に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ16と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト11上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、トナー画像の転写を終えた各感光体2の表面に、潤滑剤塗布装置6によって潤滑剤が塗布され、次いで、クリーニング装置5によって各感光体2の表面に残留するトナーが除去される。
【0044】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ20の回転を開始し、給紙トレイ19に収容された記録用紙Pが搬送経路Rに送り出される。搬送経路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ21によって一旦停止される。その後、レジストローラ21の駆動を再開し、記録用紙Pを、上記中間転写ベルト11上のトナー画像とタイミングを合わせて、二次転写ローラ17と中間転写ベルト11との間の二次転写ニップに送る。このとき二次転写ローラ17には、中間転写ベルト11上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、記録用紙Pと中間転写ベルト11上のトナー画像とが二次転写ニップに到達した際、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト11上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。また、転写後の中間転写ベルト11上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置18によって除去される。トナー画像が転写された記録用紙Pは定着手段22へと搬送され、そこでトナー画像が記録用紙Pに定着される。その後、記録用紙Pは排紙ローラ24によってストック部23へと排出される。
【0045】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0046】
図2は、上記プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの概略構成図である。以下、図2に基づいて、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの構成を説明する。図2に示すように、帯電装置3は、感光体2に対向して配設された帯電部材としての帯電ローラ30と、帯電ローラ30が感光体2と対向する面と反対側の面に当接するように配置された帯電クリーニングローラ31とによって構成されている。
【0047】
現像装置4は、現像剤を収容した現像ケース40と、この現像ケース40に回転自在に支持され、かつ該現像ケースに形成された開口を通して感光体2に対向して配置された現像ローラ41と、その現像ローラ41上の現像剤量を規制する現像ブレード42と、現像ケース40内の現像剤を現像ローラ41に搬送する搬送スクリュー43とを有している。現像剤としてトナーとキャリアを有する二成分系現像剤を用いている。
【0048】
クリーニング装置5は、感光体2上の残留トナーを除去するクリーニングブレード50と、除去されたトナーを図示していない廃トナーボトルに搬送する廃トナー回収コイル51とを有する。クリーニングブレード50は保持部材52に保持されており、この保持部材52を加圧部材53が加圧することによって、クリーニングブレード50は感光体2に当接されている。
【0049】
潤滑剤塗布装置6は、固形状の潤滑剤60と、潤滑剤塗布部材としての潤滑剤塗布ブラシ61と、潤滑剤60を保持する潤滑剤保持部材62と、潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ61に接触させるように付勢する加圧部材としての加圧スプリング63と、潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ61に対して接離する方向に案内するガイド部材64とを有している。潤滑剤塗布ブラシ61は、感光体2の表面に接触しており、感光体2の回転方向に対してトレーリング方向(順方向)に回転するようになっている。潤滑剤60は、加圧スプリング63の加圧によって潤滑剤塗布ブラシ61に接触している。本実施形態では、潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ60に接触させるために加圧スプリング63を用いているが、潤滑剤60に錘を設け、その錘に作用する重力によって潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ61に接触させるようにしてもよい。あるいは、潤滑剤60をその自重によって潤滑剤塗布ブラシ61に接触させるように構成してもよい。また、潤滑剤60は潤滑剤保持部材62に対して両面粘着テープや接着剤等によって固定されている。
【0050】
潤滑剤60は、脂肪酸金属塩、フッ素系樹脂等から成るものが使用できるが、感光体2の摩擦を低減する効果の大きい点で、特に脂肪酸金属塩が好ましい。脂肪酸金属塩としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、スタエリン酸、アレイン酸等の直鎖状炭化水素の脂肪酸金属塩が挙げられ、金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チラン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄などが好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0051】
次に、図2を参照して、上記プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの動作について説明する。
作像動作が開始されると、感光体2は図2の時計回りに回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電ローラ30によって感光体2が所定の極性に帯電される。また、帯電ローラ30は、帯電クリーニングローラ31によって清掃される。その後、図示しない露光装置からの露光によって形成された感光体2上の静電潜像が現像ローラ41との対向位置に移動し、そこで現像ローラ41から静電潜像にトナーが供給される。詳しくは、図2の反時計回り回転する現像ローラ41に担持された現像剤が、現像ブレード42によって所定の厚さに規制された後、現像ローラ41と感光体2との間の現像領域に運ばれて、ここで現像剤中のトナーが感光体2上の静電潜像に静電的に移行して、当該静電潜像がトナー画像として可視像化される。そして、感光体2上のトナー画像は、感光体2の上部位置に移動し、ここで図示しない中間転写ベルトに転写される。
【0052】
上記トナー画像が転写された後、図2の反時計回りに回転する潤滑剤塗布ブラシ61によって、感光体2の表面に潤滑剤が塗布される。その後、感光体2の表面に残留するトナーがクリーニングブレード50によって除去され、除去された残留トナーは、廃トナー回収コイル51によって図示しない廃トナーボトルに搬送される。
【0053】
以下、本発明の特徴部分について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布装置6の概略構成図である。
図3に示すように、潤滑剤60、潤滑剤保持部材62及びガイド部材64は、それぞれ潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向に沿って長手状に形成されている。また、加圧スプリング63は、潤滑剤保持部材62とガイド部材64との間に、それらの長手方向の両端部側に2つ並設されている。ガイド部材64は、潤滑剤塗布ブラシ61側に開口部を有する直方体状の枠で構成されており、そのガイド部材64の開口部からは潤滑剤60が露出して潤滑剤塗布ブラシ61に接触している。すなわち、ガイド部材64は側壁55a、55bを有し、各側壁55a、55bに軸受56a,56b(図7参照)を介して潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向端部が枢支されている。また、ガイド部材64内で潤滑剤60が潤滑剤塗布ブラシ61に対して接離する方向に移動できるように、潤滑剤60の長手方向の両端部60a,60bと、それらの端部60a,60bに対向するガイド部材64のガイド面64a,64bとの間には、ある程度の隙間が形成されている。同様の理由で、潤滑剤保持部材62の長手方向の両端部62a,62bと、それらの端部62a,62bに対向するガイド面64a,64bとの間にも、ある程度の隙間が形成されている。
【0054】
図4は、本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布ブラシ61の製造途中の状態を示す斜視図である。図4に示すように、潤滑剤塗布ブラシ61は、金属等で形成された円柱状又は円筒状の芯材61aと、その芯材61aの外周面に螺旋状に巻回された帯状の植毛体61bとによって構成されている。植毛体61bは、例えば、芯材61aの外周面に接着剤や両面粘着テープ等で接着されるレース基布と、そのレース基布に製織で植毛されて耐久性に優れるパイル(繊維)から成る。
【0055】
また、本発明に係る潤滑剤塗布ブラシ61は、図3に示すように、軸方向の中間部を境界として植毛体61bの巻回する方向を異ならせている。図3において、潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向中間部から左端部までの間で植毛体61b(61b1)が巻回された部分を、第1巻回部Aと呼称すると、軸方向中間部から右端部側までの間では、前記第1巻回部Aとは逆巻きに植毛体61b(61b2)を巻回した第2巻回部Bが形成されている。なお、第1巻回部Aと第2巻回部Bとに巻回されている植毛体61b1と植毛体61b2は、同じ構造のものが用いられている。また、本実施形態では、第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとを同じ長さに設定している。
【0056】
図6は、本発明の他の実施形態に係る潤滑剤塗布装置6の概略構成図である。
図6に示す潤滑剤塗布装置では、潤滑剤塗布ブラシ61に、上記第1巻回部Aと上記第2巻回部Bとを軸方向に交互に合計3つ配設している。この実施形態では、潤滑剤塗布ブラシ61の図6の左端部から右端部へ向かって、第1巻回部A、第2巻回部B、第1巻回部Aが配設されているが、第1巻回部Aと第2巻回部Bとの配設位置を入れ換えてもよい。また、第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値(2つの第1巻回部Aの軸方向長さの和)と、第2巻回部Bの軸方向長さLBの合計値(この場合、第2巻回部Bは1つしかないので合計値はその軸方向長さとなる。)は、同じ値になるように設定してある。なお、図6に示す実施形態において、その他の構成については、図3及び図4で説明した実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
【0057】
以下、本発明の作用・効果について説明する。まず、図3に示す実施形態における作用・効果について説明する。図3に示す潤滑剤塗布装置6において、潤滑剤塗布ブラシ61を回転(矢印D方向)させると、第1巻回部Aと第2巻回部Bのそれぞれに、潤滑剤60を軸方向へ向かわせる移動力FA1,FB1が生じるが、第1巻回部Aと第2巻回部Bは植毛体が互いに逆巻に巻回されているので、それぞれにおいて生じる移動力FA1,FB1は互いに逆方向に作用する。このため、各巻回部A,Bにおいて生じる移動力FA1,FB1は、互いに打ち消し合う。
【0058】
さらに、本実施形態では、第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ長さに設定されているので、第1巻回部Aにて生じる移動力FA1と第2巻回部Bにて生じる移動力FB1とが同じ大きさとなり、それぞれの移動力FA1,FB1が完全に打ち消される。このため、潤滑剤60は潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向へ移動することがないので、潤滑剤60の一端部又は潤滑剤保持部材62の一端部がガイド部材64に当接することがない。図5は、潤滑剤60の潤滑剤塗布ブラシ61との接触部における潤滑剤塗布ブラシ61方向にかかる力fの模式図を示し、この模式図からわかるように、軸方向に沿って均一に力がかかることが分かる。このため、潤滑剤60を軸方向に渡って均一に潤滑剤を塗布することができる。
【0059】
このように、本発明によれば、潤滑剤60又は潤滑剤保持部材62の長手方向の一端部がガイド部材64に当接するのを防止できるので、潤滑剤60の長手方向の両端部側における潤滑剤塗布ブラシ61に対する押圧力にばらつきが生じるのを防止することができる。これにより、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布を軸方向に渡って均一に行うことが可能となる。また、潤滑剤60はその長手方向に渡って潤滑剤塗布ブラシ61に対して均一に押圧されるため、潤滑剤60に偏摩耗が生じることがなくなり、潤滑剤60の有効活用を図ることが可能となる。
【0060】
また、第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ長さに設定されていない場合は、第1巻回部Aと第2巻回部Bにおいて生じる移動力FA1,FB1のうち、いずれか一方が他方に比べて大きくなるため、移動力FA1,FB1は完全に打ち消されない。しかしながら、この場合、結果的に残った移動力は、小さいものとなる。従って、残った移動力により、潤滑剤60が軸方向に移動して潤滑剤60又は潤滑剤保持部材62の一端部がガイド部材64に当接しても、その当接箇所で発生する抵抗を小さくすることができるため、潤滑剤60の長手方向の両端部側における潤滑剤塗布ブラシ61に対する押圧力の差を低減することができる。これにより、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布量のばらつきを抑制することができると共に、潤滑剤60の偏摩耗も抑制することができる。また、潤滑剤60に対して作用する軸方向の移動力を完全に打ち消すことができなくても、その移動力を低減することができれば、加圧スプリング63の保持力などによって、潤滑剤60が軸方向へ移動するのを防止することも可能である。
【0061】
次に、図6に示す実施形態における作用・効果について説明する。
図6に示す実施形態の場合、潤滑剤塗布ブラシ61が回転(矢印D方向の回転)すると、2つの第1巻回部Aでそれぞれ生じる軸方向の移動力FA1と、1つの第2巻回部Bで生じる軸方向の移動力FB1とが、互いに逆向きに生じるので打ち消し合う。図6に示す実施形態では、2つの第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値と1つの第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ値になるように設定してあるので、各第1巻回部Aにて生じる移動力FA1の合計値と第2巻回部Bにて生じる移動力FB1の値とが同じ値となり、それぞれの移動力が完全に打ち消される。これにより、上記と同様に、潤滑剤60の軸方向への移動を防止することができるので、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布を軸方向に渡って均一に行うことができると共に、潤滑剤60の偏摩耗を防止することが可能となる。
【0062】
また、図6に示す実施形態において、2つの第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値と1つの第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ値に設定されていない場合であっても、図3に示す実施形態において説明した場合と同様に、軸方向の移動力を低減させることが可能であるので、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布量のばらつきを抑制することができると共に、潤滑剤60の偏摩耗も抑制できる。
【0063】
以上のように、本発明によれば、均一な又はばらつきの少ない潤滑剤の塗布と、潤滑剤の偏摩耗の防止又は抑制とを、潤滑剤塗布ブラシに巻回した植毛体の巻回方向を互いに逆巻きに異ならせるという簡易な構成によって実現することができる。このため、本発明は、従来に比べて、部品点数が少なくすることができ、その製造工程数の削減と製造コストの低減とを図ることが可能となる。
【0064】
ところで、芯材61aと、その芯材61aの外周面に螺旋状に巻回された帯状の植毛体61bとで構成される潤滑剤塗布ブラシ61の場合、軸方向端部においては、植毛体61bが剥がれ易い。このため、図13に示すように、剥がれ防止のため、軸方向端部に端部処理部65を設けている。この端部処理部65は、エマルション接着や超音波溶着等にて構成される。なお、エマルション接着では、その幅寸法(W)が2.5mm以下、超音波溶着では、その幅寸法(W)が3.5mm以下とされる。エマルション接着とは、エマルション接着剤を用いて接合するものである。超音波溶着とは、熱可塑性樹脂を微細な超音波振動と加圧力によって溶融し、接合するものである。
【0065】
前記図3に示す実施例等であれば、軸方向両端部においては、前記した端部処理部65を設けることによって、端部における植毛体61bの剥がれを防止することができる。しかしながら、第1巻回部Aを構成する植毛体61b1と、第2巻回部Bを構成する植毛体61b2との繋ぎ目66において、このような端部処理部65を設ければ、第1巻回部Aの植毛体61bと第2巻回部Bの植毛体61bとの間に周方向に沿って隙間(例えば、エマルション接着では2.5mm程度の隙間、超音波溶着では、2.5mm程度の隙間)が形成されることになる。
【0066】
このように、周方向に沿って隙間が形成されれば、この部分において塗布対象物である感光体2等に潤滑剤を塗布することができないことになる。また、逆に、植毛体61bの端部が重ね合わされた状態では塗布過多になる。
【0067】
このため、図7と図8に示すように、第1巻回部Aを構成する植毛体61b1と第2巻回部Bを構成する植毛体61b2とを、繋ぎ目66が周方向からずれた状態で、芯材61aの外周面に螺旋状に巻回している。
【0068】
この場合、第1巻回部Aの植毛体61b1と第2巻回部Bの植毛体61b2とを図8に示すように略Vの字状に繋ぎ合わせる。すなわち、第1巻回部Aの植毛体61b1の一方の側辺の端部68に、第2巻回部Bの植毛体61b2の軸方向端縁69を突合せ状としている。これによって、巻回前において、植毛体61b1と植毛体61b2とを備えた巻回部構成体70が構成されることになる。
【0069】
そして、図8の仮想線で示すように、巻回部構成体70の基部70aを、芯材61aの軸方向中央部に位置させ、この状態で、各植毛体61b1、61b2を巻回することになる。これによって、図面上の左側が第1巻回部Aとなり、図面上の右側が第2巻回部Bとなる。また、この第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとが略同じ長さに設定される(図7参照)。
【0070】
このため、図7に示すように、この潤滑剤塗布ブラシ61が矢印C方向に回転することによって、このブラシ61に接触している潤滑剤60は、第1巻回部Aでは、矢印FA2方向の力を受け、第2巻回部Bでは、矢印FB2方向の力を受ける。そして、図3に示す潤滑剤塗布ブラシ61と同様、第1巻回部Aにて生じる移動力FA2と第2巻回部Bにて生じる移動力FB2とが同じ大きさとなり、それぞれの移動力FA2,FB2が完全に打ち消される。このため、潤滑剤60は潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向へ移動することがないので、潤滑剤保持部材62の長手方向の両端部62a,62bと、それらの端部62a,62bに対向するガイド面64a,64bとの間にも、ある程度の隙間が維持される。
【0071】
このように、第1巻回部Aの植毛体61b1と第2巻回部Bの植毛体61b2との繋ぎ目66が周方向からずれたものでは、繋ぎ目66が周方向に沿うものではなくなって、潤滑剤が塗布できない部位を無くす乃至極めて少なくでき、安定した塗布作業を行うことができる。しかも、植毛体61b1、植毛体61b2の捲れ(剥がれ)を生じにくくできる。
【0072】
前記図8に示すものでは、第1巻回部Aの植毛体61b1と第2巻回部Bの植毛体61b2との間には繋ぎ目66を有するものであったが、図9に示すように繋ぎ目を有さないものとできる。すなわち、植毛体61b1と植毛体61b2とを一体化して略Vの字状の巻回部構成体70を構成する。
【0073】
そして、図9の仮想線で示すように、巻回部構成体70の基部70aを、芯材61aの軸方向中央部に位置させ、この状態で、各植毛体61b1、61b2を巻回することになる。これによって、図面上の左側が第1巻回部Aとなり、図面上の右側が第2巻回部Bとなる。
【0074】
このため、図9に示す潤滑剤塗布ブラシ61であっても、図8に示す潤滑剤塗布ブラシ61と同様の作用効果を奏する。特に、繋ぎ目を有さないので、繋ぎ目の影響(潤滑剤を塗布できないこと)を無くすことができる。すなわち、安定した塗布作業及び植毛体の捲れ(剥がれ)を有効に防止できる。
【0075】
ところで、図10に示すように、芯材61aに対して巻回部構成体70が仮想線で示す状態に配置されて巻回された場合、このブラシ61の回転方向が矢印Dであれば、ブラシ61の回転方向と、植毛体61b1、61b2の巻き方向が反対(逆)方向となる。また、図12に示すように、芯材61aに対して巻回部構成体70が仮想線で示す状態に配置されて巻回された場合、ブラシ61の回転方向が矢印Dであれば、この回転方向と、植毛体61b1、61b2の巻き方向が同じ方向となる。また、図11に示すように、感光体2とブラシ61とが矢印方向(ブラシ61の回転方向が図10や図12に示す矢印D方向)に回転すれば、潤滑剤60や感光体2等から矢印H方向に摩擦力を受ける。
【0076】
このため、図10に示す巻き方(ブラシ61の回転方向と、植毛体61b1、61b2の巻き方向が反対方向となる巻き方)であれば、剥がれの起点となる巻回部構成体70の基部70aに対して剥がす方向の力が作用するおそれがる。したがって、巻回部構成体70の基部70aに対しては、ブラシ軸方向端部と同等の接着強化が必要となる。
【0077】
そこで、図12に示すように、ブラシ61の回転方向と、植毛体61b1と植毛体61b2の巻き方向を同じにするのが好ましい。このように同じにすれば、感光体2とブラシ61が矢印方向に回転しており、このため、剥がれの起点となる巻回部構成体70の基部70aに対して剥がしにくい方向の力が作用する。このため、接着強化の必要がなくなり、品質の向上および低コスト化を達成できる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。図5に示す実施形態では、第1巻回部Aと第2巻回部Bとを軸方向に交互に合計3つ配設しているが、これらを軸方向に交互に合計4つ以上配設してもよい。その場合、各第1巻回部Aにて発生する軸方向の移動力と、各第2巻回部Bにて生じる軸方向の移動力とが完全に打ち消し合うように、第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値と、第2巻回部Bの軸方向長さLBの合計値を、同じ値になるように設定することが望ましい。各巻回部A、Bの巻き角度としては、植毛体61bを芯材61aに巻回できる範囲で種々変更でき、また、巻回部A、Bの巻き角度は同一であるのが好ましいが、相違していてもよい。
【0079】
また、本発明の上記実施形態では、感光体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置に対して本発明の構成を適用した場合を例に挙げて説明したが、中間転写ベルト等の転写体に潤滑剤を塗布する装置に対して本発明の構成を適用することも可能である。あるいは、本発明の構成を、感光体や転写体以外の塗布対象物に潤滑剤を塗布する装置に適用することも可能である。また、本発明に係る潤滑剤塗布装置を備える画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1Y,1C,1M,1Bk プロセスユニット
2 感光体(像担持体)
6 潤滑剤塗布装置
9 転写装置
10 画像形成装置本体
11 中間転写ベルト(転写体)
60 潤滑剤
61 潤滑剤塗布ブラシ(潤滑剤塗布部材)
61a 芯材
61b 植毛体
62 潤滑剤保持部材
63 加圧スプリング(加圧部材)
64 ガイド部材
A 第1巻回部
B 第2巻回部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特公平6−56539号公報
【特許文献2】特開2007−140377号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスユニット、転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を潤滑剤塗布部材によって感光体や中間転写ベルト等に塗布し、これらのクリーニング性や転写性の向上、長寿命化などを図ることが行われている。例えば、感光体の表面に潤滑剤を塗布する塗布装置として、図14に示すものがある。
【0003】
図14に示す潤滑剤塗布装置100は、固形状の潤滑剤200と、潤滑剤塗布部材としての潤滑剤塗布ブラシ300と、潤滑剤200を保持する潤滑剤保持部材400と、潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に接触させるように付勢する加圧部材500と、潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に対して接離する方向に案内するガイド部材600とを有している。潤滑剤塗布ブラシ300は、感光体700の表面に接触するように配設されており、潤滑剤塗布ブラシ300が回転することによって潤滑剤200を削り取り、その削り取った潤滑剤を感光体700の表面に塗布するようになっている。また、潤滑剤200は加圧部材500によって潤滑剤塗布ブラシ300側へ加圧されているため、潤滑剤200が削り取られて消耗しても、潤滑剤200は常に潤滑剤塗布ブラシ300に接触した状態で維持される。なお、加圧部材500の代わりに、潤滑剤200に錘を設け、その錘に作用する重力によって潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に接触させるように構成しているものや、自重によって潤滑剤200を潤滑剤塗布ブラシ300に接触させるように構成しているものもある。
【0004】
上記潤滑剤塗布ブラシの構成は様々であるが、その1つとして、円柱又は円筒状の芯材の外周面に、帯状の植毛体を螺旋状に巻回したものがある(特許文献1参照)。しかし、図15に示すように、植毛体を螺旋状に巻回した潤滑剤塗布ブラシ300を用いた場合は、その潤滑剤塗布ブラシ300を回転させると、潤滑剤200に対して潤滑剤塗布ブラシ300の軸方向の一方へ向かう移動力Fが生じることが分かっている。このように、潤滑剤200に対して軸方向の一方へ向かう移動力Fが生じると、潤滑剤200又は潤滑剤保持部材400の一端部がガイド部材600に当接し、当接した箇所において抵抗が生じるため、加圧部材500による押圧力が潤滑剤200の両端部側においてばらつく。その結果、潤滑剤200の両端部において、潤滑剤塗布ブラシ300による潤滑剤削り量に差が生じ、潤滑剤の塗布を潤滑剤塗布ブラシ300の軸方向に渡って均一に行えなくなるといった問題が発生する。すなわち、潤滑剤200と潤滑剤塗布ブラシ300との接触部における潤滑剤塗布ブラシ300方向にかかる力の模式図である図16に示すように、軸方向において不均一に力fがかかっている。また、潤滑剤200の両端部側における押圧力にばらつきが生じることで、押圧力の高い端部側では潤滑剤の消費が多くなる一方、押圧力の低い端部側では潤滑剤の消費が少なくなるため、図17に示すような潤滑剤200の偏摩耗が発生し、潤滑剤の有効活用ができないといった問題もある。
【0005】
また、図18に示すように、潤滑剤200又は潤滑剤保持部材400の一端部がガイド部材600に当接した結果、その当接箇所において潤滑剤200又は潤滑剤保持部材400が引っ掛かると、潤滑剤200が潤滑剤塗布ブラシ300に対して傾斜した状態で押圧される。この場合も、潤滑剤200の両端における潤滑剤削り量が異なるため、上記と同様に、潤滑剤の塗布が不均一となる問題や、潤滑剤の偏摩耗が発生する問題が生じる。
【0006】
また、潤滑剤が軸方向の一方に移動した結果、図19(a)に示すように、潤滑剤200の一端部が潤滑剤塗布ブラシ300との接触位置から外れた場合は、その外れた端部側において潤滑剤200が消費されないため、図19(b)に示すような偏摩耗が生じる。
【0007】
従来、上記問題を防止するために、潤滑剤を潤滑剤塗布ブラシに対して平行状態を保持したまま接離させる複数の回動アームを備えた潤滑剤塗布装置が提案されている(特許文献2参照)。この構成を採用すれば、潤滑剤と潤滑剤塗布ブラシとの接触状態(又は押圧力)にばらつきが生じるのを防止することができ、潤滑剤塗布ブラシの軸方向に渡って均一な潤滑剤の塗布が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のように複数の回動アームを設ける構成は、部品点数が増えるため、その製造工程が複雑化すると共に、製造コストも高くなるため好ましくない。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、簡易な構成によって、潤滑剤の偏摩耗を防止すると共に、均一な潤滑剤の塗布を行うことが可能な潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスユニット、転写装置及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材とを備え、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたものである。
【0011】
潤滑剤塗布部材が回転した際、第1巻回部と第2巻回部とでそれぞれ潤滑剤を軸方向に移動させる力が生じるが、第1巻回部で生じる軸方向の移動力と、第2巻回部で生じる軸方向の移動力は、互いに逆向きに生じるので、各移動力は互いに打ち消し合う。その結果、潤滑剤が軸方向に移動するのを防止又は抑制することができ、安定した潤滑剤の塗布を行うことが可能となる。
【0012】
請求項2の発明は、潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材と、前記潤滑剤塗布部材の軸方向の端部側に対応する前記潤滑剤の端部に対向して配設されると共に前記潤滑剤を前記潤滑剤塗布部材に接離する方向に案内するガイド部材とを備え、前記潤滑剤を加圧部材、又は錘、あるいは当該潤滑剤の自重によって前記潤滑剤塗布部材に接触させるように構成し、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたものである。
【0013】
この場合も、上記請求項1と同様に、第1巻回部で生じる軸方向の移動力と、第2巻回部で生じる軸方向の移動力が、互いに逆向きに生じるので、各移動力は互いに打ち消し合って、潤滑剤が軸方向に移動するのを防止又は抑制することができる。これにより、潤滑剤が軸方向へ移動してその一端部がガイド部材に当接するのを防止でき、潤滑剤の両端部側において潤滑剤塗布部材に対する潤滑剤の押圧力にばらつきが生じるのを防止することができる。その結果、潤滑剤塗布部材による潤滑剤の塗布を軸方向に渡って均一に行うことが可能となると共に、潤滑剤に偏摩耗が生じなくなるので、潤滑剤の有効活用を図ることが可能となる。
【0014】
また、第1巻回部で生じる軸方向の移動力と、第2巻回部で生じる軸方向の移動力とが、互いに打ち消し合った結果、軸方向の移動力が残ったとしても、その移動力は小さいものとなる。従って、結果的に残った移動力により、潤滑剤が軸方向に移動してその一端部がガイド部材に当接しても、その当接箇所で発生する抵抗は小さくなるため、潤滑剤の両端部側における潤滑剤塗布部材に対する押圧力の差を低減することができる。これにより、潤滑剤塗布部材による潤滑剤の塗布量のばらつきを抑制することができると共に、潤滑剤の偏摩耗も抑制することができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に1つずつ配設し、前記第1巻回部の軸方向長さと前記第2巻回部の軸方向長さとを同じ長さに設定したものである。
【0016】
第1巻回部の軸方向長さと第2巻回部の軸方向長さとを同じ長さに設定したことにより、第1巻回部にて生じる移動力と第2巻回部にて生じる移動力とが同じ大きさとなり、それぞれの移動力を完全に打ち消すことができる。これにより、潤滑剤の軸方向への移動を確実に防止することが可能となる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に交互に合計3つ以上配設し、前記第1巻回部の軸方向長さの合計値と前記第2巻回部の軸方向長さの合計値とを同じ値になるように設定したものである。
【0018】
第1巻回部の軸方向長さの合計値と第2巻回部の軸方向長さの合計値とを同じ値になるように設定したことにより、第1巻回部にて生じる移動力の合計値と第2巻回部にて生じる移動力の合計値とが同じ値となり、それぞれの移動力を完全に打ち消すことができる。これにより、潤滑剤の軸方向への移動を確実に防止することが可能となる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤をステアリン酸亜鉛を含むものとしたものである。
【0020】
潤滑剤をステアリン酸亜鉛を含むものとしたことにより、潤滑剤が塗布される塗布対象物の摩擦を低減する効果を大きくすることができる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置において、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、その繋ぎ目が周方向からずれた状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したものである。
【0022】
繋ぎ目を周方向からずらすことによって、繋ぎ目が周方向に沿うものではなくなって、潤滑剤が塗布できない部位を無くす乃至極めて少なくでき、安定した塗布作業を行うことができる。しかも、植毛体の捲れ(剥がれ)を生じにくくできる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置において、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、繋ぎ目を有さない一体化された状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したものである。
【0024】
繋ぎ目を有さないようにすることによって、潤滑剤は塗布できない部位を無くすことができ、安定した塗布作業及び植毛体の捲れ(剥がれ)を有効に防止できる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載の潤滑剤塗布装置において、
潤滑剤塗布部材の回転方向と、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体との巻き方向とを合わせたものである。
【0026】
このように同じにすれば、剥がれの起点となる部位に対して剥がしにくい方向の力が作用するように設定できる。このため、接着強化の必要がなくなり、品質の向上および低コスト化を達成できる。
【0027】
請求項9の発明は、画像を担持する像担持体と、その像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備え、画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたプロセスユニットである。
【0028】
プロセスユニットが、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えているので、これらの潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【0029】
請求項10の発明は、像担持体上の画像が転写される転写体と、その転写体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備えた転写装置において、前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えた転写装置である。
【0030】
転写装置が、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えているので、これらの潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【0031】
請求項11の発明は、請求項9に記載のプロセスユニットと、請求項10に記載の転写装置の、少なくとも一方を備えた画像形成装置である。
【0032】
画像形成装置が、請求項9に記載のプロセスユニットと、請求項10に記載の転写装置の、少なくとも一方を備えているので、これらが備える潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【0033】
請求項12の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えた画像形成装置である。
【0034】
画像形成装置が、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えているので、これらの潤滑剤塗布装置による上記効果が得られる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、均一な又はばらつきの少ない潤滑剤の塗布と、潤滑剤の偏摩耗の防止又は抑制とを、潤滑剤塗布部材に巻回した植毛体の巻回方向を互いに逆巻きに異ならせるという簡易な構成によって実現することができる。このため、本発明は、従来に比べて、部品点数が少なくすることができ、その製造工程数の削減と製造コストの低減とを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスユニットの概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布ブラシの製造途中の状態を示す斜視図である。
【図5】潤滑剤塗布ブラシにかかる力の模式図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図8】前記図7に示す潤滑剤塗布装置における植毛体の巻回方法を示す簡略図である。
【図9】前記図7に示す潤滑剤塗布装置における植毛体の他の巻回方法示す簡略図である。
【図10】植毛体の巻回方向と潤滑剤塗布ブラシの回転方向の関係を示す簡略図である。
【図11】潤滑剤塗布ブラシと感光体の回転方向を示す簡略図である。
【図12】植毛体の巻回方向と潤滑剤塗布ブラシの回転方向の関係を示す簡略図である。
【図13】端面処理が施された潤滑剤塗布ブラシを示す簡略図である。
【図14】従来の潤滑剤塗布装置の概略構成図である。
【図15】潤滑剤の一端部側がガイド部材に当接した状態を示す図である。
【図16】潤滑剤塗布ブラシにかかる力の模式図である。
【図17】潤滑剤に偏摩耗が生じた状態を示す図である。
【図18】潤滑剤が傾斜した状態を示す図である。
【図19】(a)は、潤滑剤の一端部が潤滑剤塗布ブラシとの接触位置から外れた状態を示す図であり、(b)は潤滑剤に偏摩耗が生じた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0038】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電する帯電装置3と、感光体2上にトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング装置5と、感光体2の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置6を備えている。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体10に対して一体的に着脱可能に構成されている。
【0039】
画像形成装置本体10の上部には、各色のトナーを充填したトナーボトル7が設けてある。トナーボトル7内の各色トナーは、図示しないトナー移送管を介して対応する現像装置4へ移送されるようになっている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、各感光体2の表面を露光する露光装置8が配設されている。露光装置8からは、各感光体2へレーザ光が照射されるようになっている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、転写装置9が配設されている。転写装置9は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト11を有する。中間転写ベルト11は、複数の支持ローラ12,13,14,15によって張架されている。複数の支持ローラ12,13,14,15のうちの1つが駆動ローラとなっており、その駆動ローラが回転することにより、中間転写ベルト11は図の矢印に示す方向に走行するようになっている。
【0040】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ16が配設されている。各一次転写ローラ16と各感光体2とによって中間転写ベルト11を挟み込んだ箇所には、一次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト11の図の右側の外周面に、二次転写手段としての二次転写ローラ17が当接している。この二次転写ローラ17とこれに対向する支持ローラ12とによって中間転写ベルト11を挟み込んだ箇所には、二次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト11の図の左端の外周面には、中間転写ベルト11の表面を清掃するベルトクリーニング装置18が配設されている。
【0041】
画像形成装置本体10の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙トレイ19や、給紙トレイ19から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ20等が設けてある。また、画像形成装置本体10内には、給紙トレイ19から上方へ記録用紙Pを案内するための搬送経路Rが形成されている。この搬送経路Rにおいて、給紙ローラ20を配設した位置から二次転写ローラ17を配設した位置に至る途中には、記録用紙Pの搬送タイミングを計るための一対のレジストローラ21が配設されている。また、二次転写ローラ17の配設位置の上方には、記録用紙P上の画像を定着させるための定着装置22を配設している。さらに、定着装置22の上方には、画像形成装置本体10の上面を凹ませて形成したストック部23に記録用紙Pを排出するための一対の排紙ローラ24が配設されている。
【0042】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電装置3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置8からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として現像化(可視画像化)される。
【0043】
中間転写ベルト11を張架する駆動ローラが回転駆動することにより、中間転写ベルト11が図の矢印で示す方向に走行する。また、各一次転写ローラ16に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ16と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト11上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、トナー画像の転写を終えた各感光体2の表面に、潤滑剤塗布装置6によって潤滑剤が塗布され、次いで、クリーニング装置5によって各感光体2の表面に残留するトナーが除去される。
【0044】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ20の回転を開始し、給紙トレイ19に収容された記録用紙Pが搬送経路Rに送り出される。搬送経路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ21によって一旦停止される。その後、レジストローラ21の駆動を再開し、記録用紙Pを、上記中間転写ベルト11上のトナー画像とタイミングを合わせて、二次転写ローラ17と中間転写ベルト11との間の二次転写ニップに送る。このとき二次転写ローラ17には、中間転写ベルト11上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、記録用紙Pと中間転写ベルト11上のトナー画像とが二次転写ニップに到達した際、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト11上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。また、転写後の中間転写ベルト11上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置18によって除去される。トナー画像が転写された記録用紙Pは定着手段22へと搬送され、そこでトナー画像が記録用紙Pに定着される。その後、記録用紙Pは排紙ローラ24によってストック部23へと排出される。
【0045】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0046】
図2は、上記プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの概略構成図である。以下、図2に基づいて、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの構成を説明する。図2に示すように、帯電装置3は、感光体2に対向して配設された帯電部材としての帯電ローラ30と、帯電ローラ30が感光体2と対向する面と反対側の面に当接するように配置された帯電クリーニングローラ31とによって構成されている。
【0047】
現像装置4は、現像剤を収容した現像ケース40と、この現像ケース40に回転自在に支持され、かつ該現像ケースに形成された開口を通して感光体2に対向して配置された現像ローラ41と、その現像ローラ41上の現像剤量を規制する現像ブレード42と、現像ケース40内の現像剤を現像ローラ41に搬送する搬送スクリュー43とを有している。現像剤としてトナーとキャリアを有する二成分系現像剤を用いている。
【0048】
クリーニング装置5は、感光体2上の残留トナーを除去するクリーニングブレード50と、除去されたトナーを図示していない廃トナーボトルに搬送する廃トナー回収コイル51とを有する。クリーニングブレード50は保持部材52に保持されており、この保持部材52を加圧部材53が加圧することによって、クリーニングブレード50は感光体2に当接されている。
【0049】
潤滑剤塗布装置6は、固形状の潤滑剤60と、潤滑剤塗布部材としての潤滑剤塗布ブラシ61と、潤滑剤60を保持する潤滑剤保持部材62と、潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ61に接触させるように付勢する加圧部材としての加圧スプリング63と、潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ61に対して接離する方向に案内するガイド部材64とを有している。潤滑剤塗布ブラシ61は、感光体2の表面に接触しており、感光体2の回転方向に対してトレーリング方向(順方向)に回転するようになっている。潤滑剤60は、加圧スプリング63の加圧によって潤滑剤塗布ブラシ61に接触している。本実施形態では、潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ60に接触させるために加圧スプリング63を用いているが、潤滑剤60に錘を設け、その錘に作用する重力によって潤滑剤60を潤滑剤塗布ブラシ61に接触させるようにしてもよい。あるいは、潤滑剤60をその自重によって潤滑剤塗布ブラシ61に接触させるように構成してもよい。また、潤滑剤60は潤滑剤保持部材62に対して両面粘着テープや接着剤等によって固定されている。
【0050】
潤滑剤60は、脂肪酸金属塩、フッ素系樹脂等から成るものが使用できるが、感光体2の摩擦を低減する効果の大きい点で、特に脂肪酸金属塩が好ましい。脂肪酸金属塩としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、スタエリン酸、アレイン酸等の直鎖状炭化水素の脂肪酸金属塩が挙げられ、金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チラン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄などが好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0051】
次に、図2を参照して、上記プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの動作について説明する。
作像動作が開始されると、感光体2は図2の時計回りに回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電ローラ30によって感光体2が所定の極性に帯電される。また、帯電ローラ30は、帯電クリーニングローラ31によって清掃される。その後、図示しない露光装置からの露光によって形成された感光体2上の静電潜像が現像ローラ41との対向位置に移動し、そこで現像ローラ41から静電潜像にトナーが供給される。詳しくは、図2の反時計回り回転する現像ローラ41に担持された現像剤が、現像ブレード42によって所定の厚さに規制された後、現像ローラ41と感光体2との間の現像領域に運ばれて、ここで現像剤中のトナーが感光体2上の静電潜像に静電的に移行して、当該静電潜像がトナー画像として可視像化される。そして、感光体2上のトナー画像は、感光体2の上部位置に移動し、ここで図示しない中間転写ベルトに転写される。
【0052】
上記トナー画像が転写された後、図2の反時計回りに回転する潤滑剤塗布ブラシ61によって、感光体2の表面に潤滑剤が塗布される。その後、感光体2の表面に残留するトナーがクリーニングブレード50によって除去され、除去された残留トナーは、廃トナー回収コイル51によって図示しない廃トナーボトルに搬送される。
【0053】
以下、本発明の特徴部分について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布装置6の概略構成図である。
図3に示すように、潤滑剤60、潤滑剤保持部材62及びガイド部材64は、それぞれ潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向に沿って長手状に形成されている。また、加圧スプリング63は、潤滑剤保持部材62とガイド部材64との間に、それらの長手方向の両端部側に2つ並設されている。ガイド部材64は、潤滑剤塗布ブラシ61側に開口部を有する直方体状の枠で構成されており、そのガイド部材64の開口部からは潤滑剤60が露出して潤滑剤塗布ブラシ61に接触している。すなわち、ガイド部材64は側壁55a、55bを有し、各側壁55a、55bに軸受56a,56b(図7参照)を介して潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向端部が枢支されている。また、ガイド部材64内で潤滑剤60が潤滑剤塗布ブラシ61に対して接離する方向に移動できるように、潤滑剤60の長手方向の両端部60a,60bと、それらの端部60a,60bに対向するガイド部材64のガイド面64a,64bとの間には、ある程度の隙間が形成されている。同様の理由で、潤滑剤保持部材62の長手方向の両端部62a,62bと、それらの端部62a,62bに対向するガイド面64a,64bとの間にも、ある程度の隙間が形成されている。
【0054】
図4は、本発明の実施形態に係る潤滑剤塗布ブラシ61の製造途中の状態を示す斜視図である。図4に示すように、潤滑剤塗布ブラシ61は、金属等で形成された円柱状又は円筒状の芯材61aと、その芯材61aの外周面に螺旋状に巻回された帯状の植毛体61bとによって構成されている。植毛体61bは、例えば、芯材61aの外周面に接着剤や両面粘着テープ等で接着されるレース基布と、そのレース基布に製織で植毛されて耐久性に優れるパイル(繊維)から成る。
【0055】
また、本発明に係る潤滑剤塗布ブラシ61は、図3に示すように、軸方向の中間部を境界として植毛体61bの巻回する方向を異ならせている。図3において、潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向中間部から左端部までの間で植毛体61b(61b1)が巻回された部分を、第1巻回部Aと呼称すると、軸方向中間部から右端部側までの間では、前記第1巻回部Aとは逆巻きに植毛体61b(61b2)を巻回した第2巻回部Bが形成されている。なお、第1巻回部Aと第2巻回部Bとに巻回されている植毛体61b1と植毛体61b2は、同じ構造のものが用いられている。また、本実施形態では、第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとを同じ長さに設定している。
【0056】
図6は、本発明の他の実施形態に係る潤滑剤塗布装置6の概略構成図である。
図6に示す潤滑剤塗布装置では、潤滑剤塗布ブラシ61に、上記第1巻回部Aと上記第2巻回部Bとを軸方向に交互に合計3つ配設している。この実施形態では、潤滑剤塗布ブラシ61の図6の左端部から右端部へ向かって、第1巻回部A、第2巻回部B、第1巻回部Aが配設されているが、第1巻回部Aと第2巻回部Bとの配設位置を入れ換えてもよい。また、第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値(2つの第1巻回部Aの軸方向長さの和)と、第2巻回部Bの軸方向長さLBの合計値(この場合、第2巻回部Bは1つしかないので合計値はその軸方向長さとなる。)は、同じ値になるように設定してある。なお、図6に示す実施形態において、その他の構成については、図3及び図4で説明した実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
【0057】
以下、本発明の作用・効果について説明する。まず、図3に示す実施形態における作用・効果について説明する。図3に示す潤滑剤塗布装置6において、潤滑剤塗布ブラシ61を回転(矢印D方向)させると、第1巻回部Aと第2巻回部Bのそれぞれに、潤滑剤60を軸方向へ向かわせる移動力FA1,FB1が生じるが、第1巻回部Aと第2巻回部Bは植毛体が互いに逆巻に巻回されているので、それぞれにおいて生じる移動力FA1,FB1は互いに逆方向に作用する。このため、各巻回部A,Bにおいて生じる移動力FA1,FB1は、互いに打ち消し合う。
【0058】
さらに、本実施形態では、第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ長さに設定されているので、第1巻回部Aにて生じる移動力FA1と第2巻回部Bにて生じる移動力FB1とが同じ大きさとなり、それぞれの移動力FA1,FB1が完全に打ち消される。このため、潤滑剤60は潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向へ移動することがないので、潤滑剤60の一端部又は潤滑剤保持部材62の一端部がガイド部材64に当接することがない。図5は、潤滑剤60の潤滑剤塗布ブラシ61との接触部における潤滑剤塗布ブラシ61方向にかかる力fの模式図を示し、この模式図からわかるように、軸方向に沿って均一に力がかかることが分かる。このため、潤滑剤60を軸方向に渡って均一に潤滑剤を塗布することができる。
【0059】
このように、本発明によれば、潤滑剤60又は潤滑剤保持部材62の長手方向の一端部がガイド部材64に当接するのを防止できるので、潤滑剤60の長手方向の両端部側における潤滑剤塗布ブラシ61に対する押圧力にばらつきが生じるのを防止することができる。これにより、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布を軸方向に渡って均一に行うことが可能となる。また、潤滑剤60はその長手方向に渡って潤滑剤塗布ブラシ61に対して均一に押圧されるため、潤滑剤60に偏摩耗が生じることがなくなり、潤滑剤60の有効活用を図ることが可能となる。
【0060】
また、第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ長さに設定されていない場合は、第1巻回部Aと第2巻回部Bにおいて生じる移動力FA1,FB1のうち、いずれか一方が他方に比べて大きくなるため、移動力FA1,FB1は完全に打ち消されない。しかしながら、この場合、結果的に残った移動力は、小さいものとなる。従って、残った移動力により、潤滑剤60が軸方向に移動して潤滑剤60又は潤滑剤保持部材62の一端部がガイド部材64に当接しても、その当接箇所で発生する抵抗を小さくすることができるため、潤滑剤60の長手方向の両端部側における潤滑剤塗布ブラシ61に対する押圧力の差を低減することができる。これにより、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布量のばらつきを抑制することができると共に、潤滑剤60の偏摩耗も抑制することができる。また、潤滑剤60に対して作用する軸方向の移動力を完全に打ち消すことができなくても、その移動力を低減することができれば、加圧スプリング63の保持力などによって、潤滑剤60が軸方向へ移動するのを防止することも可能である。
【0061】
次に、図6に示す実施形態における作用・効果について説明する。
図6に示す実施形態の場合、潤滑剤塗布ブラシ61が回転(矢印D方向の回転)すると、2つの第1巻回部Aでそれぞれ生じる軸方向の移動力FA1と、1つの第2巻回部Bで生じる軸方向の移動力FB1とが、互いに逆向きに生じるので打ち消し合う。図6に示す実施形態では、2つの第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値と1つの第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ値になるように設定してあるので、各第1巻回部Aにて生じる移動力FA1の合計値と第2巻回部Bにて生じる移動力FB1の値とが同じ値となり、それぞれの移動力が完全に打ち消される。これにより、上記と同様に、潤滑剤60の軸方向への移動を防止することができるので、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布を軸方向に渡って均一に行うことができると共に、潤滑剤60の偏摩耗を防止することが可能となる。
【0062】
また、図6に示す実施形態において、2つの第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値と1つの第2巻回部Bの軸方向長さLBとが同じ値に設定されていない場合であっても、図3に示す実施形態において説明した場合と同様に、軸方向の移動力を低減させることが可能であるので、潤滑剤塗布ブラシ61による潤滑剤の塗布量のばらつきを抑制することができると共に、潤滑剤60の偏摩耗も抑制できる。
【0063】
以上のように、本発明によれば、均一な又はばらつきの少ない潤滑剤の塗布と、潤滑剤の偏摩耗の防止又は抑制とを、潤滑剤塗布ブラシに巻回した植毛体の巻回方向を互いに逆巻きに異ならせるという簡易な構成によって実現することができる。このため、本発明は、従来に比べて、部品点数が少なくすることができ、その製造工程数の削減と製造コストの低減とを図ることが可能となる。
【0064】
ところで、芯材61aと、その芯材61aの外周面に螺旋状に巻回された帯状の植毛体61bとで構成される潤滑剤塗布ブラシ61の場合、軸方向端部においては、植毛体61bが剥がれ易い。このため、図13に示すように、剥がれ防止のため、軸方向端部に端部処理部65を設けている。この端部処理部65は、エマルション接着や超音波溶着等にて構成される。なお、エマルション接着では、その幅寸法(W)が2.5mm以下、超音波溶着では、その幅寸法(W)が3.5mm以下とされる。エマルション接着とは、エマルション接着剤を用いて接合するものである。超音波溶着とは、熱可塑性樹脂を微細な超音波振動と加圧力によって溶融し、接合するものである。
【0065】
前記図3に示す実施例等であれば、軸方向両端部においては、前記した端部処理部65を設けることによって、端部における植毛体61bの剥がれを防止することができる。しかしながら、第1巻回部Aを構成する植毛体61b1と、第2巻回部Bを構成する植毛体61b2との繋ぎ目66において、このような端部処理部65を設ければ、第1巻回部Aの植毛体61bと第2巻回部Bの植毛体61bとの間に周方向に沿って隙間(例えば、エマルション接着では2.5mm程度の隙間、超音波溶着では、2.5mm程度の隙間)が形成されることになる。
【0066】
このように、周方向に沿って隙間が形成されれば、この部分において塗布対象物である感光体2等に潤滑剤を塗布することができないことになる。また、逆に、植毛体61bの端部が重ね合わされた状態では塗布過多になる。
【0067】
このため、図7と図8に示すように、第1巻回部Aを構成する植毛体61b1と第2巻回部Bを構成する植毛体61b2とを、繋ぎ目66が周方向からずれた状態で、芯材61aの外周面に螺旋状に巻回している。
【0068】
この場合、第1巻回部Aの植毛体61b1と第2巻回部Bの植毛体61b2とを図8に示すように略Vの字状に繋ぎ合わせる。すなわち、第1巻回部Aの植毛体61b1の一方の側辺の端部68に、第2巻回部Bの植毛体61b2の軸方向端縁69を突合せ状としている。これによって、巻回前において、植毛体61b1と植毛体61b2とを備えた巻回部構成体70が構成されることになる。
【0069】
そして、図8の仮想線で示すように、巻回部構成体70の基部70aを、芯材61aの軸方向中央部に位置させ、この状態で、各植毛体61b1、61b2を巻回することになる。これによって、図面上の左側が第1巻回部Aとなり、図面上の右側が第2巻回部Bとなる。また、この第1巻回部Aの軸方向長さLAと第2巻回部Bの軸方向長さLBとが略同じ長さに設定される(図7参照)。
【0070】
このため、図7に示すように、この潤滑剤塗布ブラシ61が矢印C方向に回転することによって、このブラシ61に接触している潤滑剤60は、第1巻回部Aでは、矢印FA2方向の力を受け、第2巻回部Bでは、矢印FB2方向の力を受ける。そして、図3に示す潤滑剤塗布ブラシ61と同様、第1巻回部Aにて生じる移動力FA2と第2巻回部Bにて生じる移動力FB2とが同じ大きさとなり、それぞれの移動力FA2,FB2が完全に打ち消される。このため、潤滑剤60は潤滑剤塗布ブラシ61の軸方向へ移動することがないので、潤滑剤保持部材62の長手方向の両端部62a,62bと、それらの端部62a,62bに対向するガイド面64a,64bとの間にも、ある程度の隙間が維持される。
【0071】
このように、第1巻回部Aの植毛体61b1と第2巻回部Bの植毛体61b2との繋ぎ目66が周方向からずれたものでは、繋ぎ目66が周方向に沿うものではなくなって、潤滑剤が塗布できない部位を無くす乃至極めて少なくでき、安定した塗布作業を行うことができる。しかも、植毛体61b1、植毛体61b2の捲れ(剥がれ)を生じにくくできる。
【0072】
前記図8に示すものでは、第1巻回部Aの植毛体61b1と第2巻回部Bの植毛体61b2との間には繋ぎ目66を有するものであったが、図9に示すように繋ぎ目を有さないものとできる。すなわち、植毛体61b1と植毛体61b2とを一体化して略Vの字状の巻回部構成体70を構成する。
【0073】
そして、図9の仮想線で示すように、巻回部構成体70の基部70aを、芯材61aの軸方向中央部に位置させ、この状態で、各植毛体61b1、61b2を巻回することになる。これによって、図面上の左側が第1巻回部Aとなり、図面上の右側が第2巻回部Bとなる。
【0074】
このため、図9に示す潤滑剤塗布ブラシ61であっても、図8に示す潤滑剤塗布ブラシ61と同様の作用効果を奏する。特に、繋ぎ目を有さないので、繋ぎ目の影響(潤滑剤を塗布できないこと)を無くすことができる。すなわち、安定した塗布作業及び植毛体の捲れ(剥がれ)を有効に防止できる。
【0075】
ところで、図10に示すように、芯材61aに対して巻回部構成体70が仮想線で示す状態に配置されて巻回された場合、このブラシ61の回転方向が矢印Dであれば、ブラシ61の回転方向と、植毛体61b1、61b2の巻き方向が反対(逆)方向となる。また、図12に示すように、芯材61aに対して巻回部構成体70が仮想線で示す状態に配置されて巻回された場合、ブラシ61の回転方向が矢印Dであれば、この回転方向と、植毛体61b1、61b2の巻き方向が同じ方向となる。また、図11に示すように、感光体2とブラシ61とが矢印方向(ブラシ61の回転方向が図10や図12に示す矢印D方向)に回転すれば、潤滑剤60や感光体2等から矢印H方向に摩擦力を受ける。
【0076】
このため、図10に示す巻き方(ブラシ61の回転方向と、植毛体61b1、61b2の巻き方向が反対方向となる巻き方)であれば、剥がれの起点となる巻回部構成体70の基部70aに対して剥がす方向の力が作用するおそれがる。したがって、巻回部構成体70の基部70aに対しては、ブラシ軸方向端部と同等の接着強化が必要となる。
【0077】
そこで、図12に示すように、ブラシ61の回転方向と、植毛体61b1と植毛体61b2の巻き方向を同じにするのが好ましい。このように同じにすれば、感光体2とブラシ61が矢印方向に回転しており、このため、剥がれの起点となる巻回部構成体70の基部70aに対して剥がしにくい方向の力が作用する。このため、接着強化の必要がなくなり、品質の向上および低コスト化を達成できる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。図5に示す実施形態では、第1巻回部Aと第2巻回部Bとを軸方向に交互に合計3つ配設しているが、これらを軸方向に交互に合計4つ以上配設してもよい。その場合、各第1巻回部Aにて発生する軸方向の移動力と、各第2巻回部Bにて生じる軸方向の移動力とが完全に打ち消し合うように、第1巻回部Aの軸方向長さLAの合計値と、第2巻回部Bの軸方向長さLBの合計値を、同じ値になるように設定することが望ましい。各巻回部A、Bの巻き角度としては、植毛体61bを芯材61aに巻回できる範囲で種々変更でき、また、巻回部A、Bの巻き角度は同一であるのが好ましいが、相違していてもよい。
【0079】
また、本発明の上記実施形態では、感光体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置に対して本発明の構成を適用した場合を例に挙げて説明したが、中間転写ベルト等の転写体に潤滑剤を塗布する装置に対して本発明の構成を適用することも可能である。あるいは、本発明の構成を、感光体や転写体以外の塗布対象物に潤滑剤を塗布する装置に適用することも可能である。また、本発明に係る潤滑剤塗布装置を備える画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1Y,1C,1M,1Bk プロセスユニット
2 感光体(像担持体)
6 潤滑剤塗布装置
9 転写装置
10 画像形成装置本体
11 中間転写ベルト(転写体)
60 潤滑剤
61 潤滑剤塗布ブラシ(潤滑剤塗布部材)
61a 芯材
61b 植毛体
62 潤滑剤保持部材
63 加圧スプリング(加圧部材)
64 ガイド部材
A 第1巻回部
B 第2巻回部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特公平6−56539号公報
【特許文献2】特開2007−140377号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材とを備え、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材と、前記潤滑剤塗布部材の軸方向の端部側に対応する前記潤滑剤の端部に対向して配設されると共に前記潤滑剤を前記潤滑剤塗布部材に接離する方向に案内するガイド部材とを備え、前記潤滑剤を加圧部材、又は錘、あるいは当該潤滑剤の自重によって前記潤滑剤塗布部材に接触させるように構成し、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に1つずつ配設し、前記第1巻回部の軸方向長さと前記第2巻回部の軸方向長さとを同じ長さに設定した請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に交互に合計3つ以上配設し、前記第1巻回部の軸方向長さの合計値と前記第2巻回部の軸方向長さの合計値とを同じ値になるように設定した請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記潤滑剤をステアリン酸亜鉛を含むものとした請求項1から4のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項6】
第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、その繋ぎ目が周方向からずれた状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項7】
第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、繋ぎ目を有さない一体化された状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項8】
潤滑剤塗布部材の回転方向と、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体との巻き方向とを合わせたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項9】
画像を担持する像担持体と、その像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備え、画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、
前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項10】
像担持体上の画像が転写される転写体と、その転写体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備えた転写装置において、
前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項11】
請求項9に記載のプロセスユニットと、請求項10に記載の転写装置の、少なくとも一方を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材とを備え、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
潤滑剤と、前記潤滑剤とその潤滑剤を塗布する塗布対象物とに接触しつつ回転可能に設けられた潤滑剤塗布部材と、前記潤滑剤塗布部材の軸方向の端部側に対応する前記潤滑剤の端部に対向して配設されると共に前記潤滑剤を前記潤滑剤塗布部材に接離する方向に案内するガイド部材とを備え、前記潤滑剤を加圧部材、又は錘、あるいは当該潤滑剤の自重によって前記潤滑剤塗布部材に接触させるように構成し、前記潤滑剤塗布部材を、芯材の外周面に植毛体を螺旋状に巻回して構成した潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布部材に、前記植毛体を一方向に巻回した第1巻回部と、当該第1巻回部とは逆巻きに前記植毛体を巻回した第2巻回部とを設けたことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に1つずつ配設し、前記第1巻回部の軸方向長さと前記第2巻回部の軸方向長さとを同じ長さに設定した請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記潤滑剤塗布部材に前記第1巻回部と前記第2巻回部とを軸方向に交互に合計3つ以上配設し、前記第1巻回部の軸方向長さの合計値と前記第2巻回部の軸方向長さの合計値とを同じ値になるように設定した請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記潤滑剤をステアリン酸亜鉛を含むものとした請求項1から4のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項6】
第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、その繋ぎ目が周方向からずれた状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項7】
第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体とを、繋ぎ目を有さない一体化された状態で、芯材の外周面に螺旋状に巻回したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項8】
潤滑剤塗布部材の回転方向と、第1巻回部を構成する植毛体と第2巻回部を構成する植毛体との巻き方向とを合わせたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項9】
画像を担持する像担持体と、その像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備え、画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成されたプロセスユニットにおいて、
前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項10】
像担持体上の画像が転写される転写体と、その転写体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とを、少なくとも備えた転写装置において、
前記潤滑剤塗布装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項11】
請求項9に記載のプロセスユニットと、請求項10に記載の転写装置の、少なくとも一方を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−133857(P2011−133857A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242269(P2010−242269)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]