説明

潤滑剤組成物

【課題】大型トラックなどの高荷重用ギアなどに使用される、耐摩耗性及び熱的に安定な潤滑剤組成物を提供する。
【解決手段】潤滑剤組成物は、エステル、粘度指数向上剤、および立体的に込みあった硫黄を含有した、リン含有化合物とその塩のうちの少なくとも一つを含んだ潤滑剤組成物である。エステルとしては、一価アルコール、または多価アルコールと一塩基酸とのエステルであり、粘度指数向上剤としては、高粘度ポリアルファオレフィンが好適であり、硫黄含有リン化合物としては、例えば、ジイソブチルチオリン酸、あるいはネオペンチルグリコールチオリン酸などの3級アルキルアミン塩である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2005年11月9日提出の米国特許仮出願第60/734,757号の優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、エステル、粘度指数向上剤、および硫黄を含有したリン含有化合物とその塩のうちの少なくとも一つから成る組成物に関連する。また当該組成物の使用方法も開示する。
【背景技術】
【0003】
ギアオイルのような潤滑剤組成物は、一般的に高温にさらされるため、高温で尚早に分解しない、熱的に安定な化合物を提供することが有用である。熱的に安定な化合物は、従って、長時間にわたって潤滑剤組成物中に残り、例えば耐摩耗性などの特性を長時間組成物に提供する。必要なものは、耐摩耗性を保持するのに適した熱安定性を有する化合物である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、自動車メーカーがより大きくよりパワフルなエンジンの大型トラックを製造し続けているため、軸上のトルクの量が増加している。残念なことに、コストのため、これらのトラックの車軸は増加したトルクに対応するように改良されていない。そこでメーカーは、車軸の寿命を延ばすために、安価な問題解決策である、改善された潤滑剤にますます頼ることとなっている。特に、「青信号」、すなわち一定の時間あるいは距離内でブレークインされていないような、耐摩耗性、熱安定性、及び車軸内の酸化安定性の少なくとも一つが向上された潤滑剤組成物が必要となる。また、低温、高温および各種の荷重条件下に置かれる車軸内で使用される、上記のような潤滑剤組成物が必要である。さらに、向上された耐摩耗性および燃料効率のうち少なくとも一つを提供することのできる潤滑剤組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によると、潤滑組成物は、エステル、粘度指数向上剤、および硫黄を含有した立体的に込みあったリン含有化合物とその塩のうちの少なくとも一つから成る。
【0006】
ある態様では、エステル;粘度指数向上剤;および硫黄含有化合物とリン含有化合物と窒素含有化合物の反応生成物から成る潤滑組成物が開示される。
【0007】
本開示の追加的な目的および利点は、以下の記載により部分的に説明され、また本開示を実行することにより習得することができる。本開示の目的および利点は、添付の請求項で特に示されている要素および組み合わせを用いて実現および達成される。
【0008】
前述の概要および以下の詳しい説明は、共に例示および説明のみを目的としたものであり、本開示を請求された通りに限定するものではないと判断される。
【0009】
本明細書中で使用される「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」という用語は、当技術分野に精通した技術者に周知の通常の意味で使用されている。具体的には、これらは分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有し、また主に炭化水素の特性を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には以下のものが含まれる:
【0010】
(1)炭化水素置換基、すなわち脂肪族(例えばアルキルまたはアルケニル)置換基、脂環式(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、また芳香族、脂肪族、および脂環基によって置換された芳香族置換基、また環が分子の別の部分によって完成されている(例えば二つの置換基が一緒になって脂環式ラジカルを形成している)ような環状置換基;
【0011】
(2)置換された炭化水素置換基、すなわち、本発明の状況下で、主に炭化水素である置換基(例えばハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)を変化させないような、非炭化水素基を含んだ置換基;
【0012】
(3)ヘテロ置換基、すなわち、主に炭化水素の特性を有しながら、主に本発明の状況下で、そうでなければ炭素原子から成る環または鎖の中に炭素以外[の原子]を含んでいるような置換基。ヘテロ原子には硫黄、酸素、および窒素があり、またピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基が含まれる。ヒドロカルビル基中、炭素原子10個につき通常二つ以下、例えば一つ以下の非炭化水素置換基が存在する。一般的にはヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。
【0013】
本明細書中で使用される「重量パーセント」という用語は、別段の定めが明記されていない限り、列挙された成分が組成物全体の重量に対して占めるパーセンテージを意味する。
【0014】
ある態様では、GL−5および/またはSAE J2360の性能を保持しながら、ハイポイドギア車軸のようなギアに、向上された耐摩耗性および燃料効率のうち少なくとも一つをもたらす組成物が提供される。当組成物は、立体障害を有して、高温での化合物の分解を最小化するおよび/または防止することのできる化合物をin situで形成する、いくつかの化合物および/または成分から成る。立体障害は、ヒドロカルビル鎖の分岐のような任意の形態で存在する。例えば、ベータ分岐障害のある亜リン酸ジアルキル酸および/または硫化された同様のリン酸塩が、開示された組成物中に存在することができる。いかなる特定の論理にも限定されることなく、直鎖および分岐亜リン酸塩と比べ、立体的に込みあったリン含有化合物や、硫黄を含有した立体的に込みあったリン含有化合物および/または硫黄を含有した立体的に込みあったリン含有化合物の塩は、潤滑剤組成物のASTM D5704(L60)性能を改善することができると考えられている。当該の潤滑剤組成物を、紙、スチールまたは炭素繊維のような摩擦材料と共に、好適に使用することができる。
【0015】
本明細書中で開示された組成物は、亜リン酸塩またはリン酸塩のようなリン含有化合物から成る。亜リン酸塩およびリン酸塩の両方の作り方は既知のものである。ある態様では、亜リン酸塩はジまたはトリヒドロカルビル亜リン酸塩である。各ヒドロカルビル基は、約1つから約20の炭素原子、または1つから約18の炭素原子、あるいは約2つから約8つの炭素原子を有することができる。各ヒドロカルビル基はそれぞれ、アルキル、アルケニル、アリル、およびそれらの混合物である。ヒドロカルビル基がアリル基である場合、約6つの炭素原子、または約6つから約18の炭素原子
が含まれる。アルキルまたはアルケニル基の例には、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、オレイル、リノレイル、ステアリルなどが含まれる。アリル基の例には、フェニル、ナフチル、ヘプチルフェノールなどが含まれる。ある態様では、各ヒドロカルビル基は個々に、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オレイルまたはフェニル、例えばメチル、ブチル、オレイルまたはフェニル、またさらなる例としてメチル、ブチル、オレイル、あるいはフェニルである。
【0016】
有用な亜リン酸塩の非限定的な例としては、ジブチルホスホン酸水素、ジイソブチルホスホン酸水素、ジオレイルホスホン酸水素、ジ(C14−18)ホスホン酸水素、亜リン酸トリフェニル、以下に示す化学式(I)の化合物のような亜リン酸ジヒドロカルビル、また化学式(IV)の化合物のようなポリマー性亜リン酸塩が含まれる。
【化1】

式中nは、約1から約5の整数であり;また
、R、R、R、R、R、R10、およびR11はそれぞれに、水素、シアノ、および約1つから約30の炭素原子、例えば約1つから約20の炭素原子、またさらなる例としては約1つから約10の炭素原子を含むヒドロカルビル基から成るグループから選択できる。ある態様では、nが約5以上の整数である場合、いかなる特定の論理にも限定されることなく、反復単位は完全には硫化しないと考えられている。
【0017】
ある態様では、化学式(I)の化合物において、R、R、R、およびRは水素であり、またRおよびRはメチルである。この化合物は通常亜リン酸ネオペンチルグリコール(NPGP)と呼ばれ、CAS#4090−60−2(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オン)の称号で化学情報検索データベース(Chemical Abstracts Select)に登録されている。ある態様では、化学式(IV)の化合物において、RおよびRはメチル、R、R、R、およびRは水素、またR10およびR11は約1つから約6つの炭素原子を有するアルキル基である。
【0018】
リン含有化合物は、リン酸エステルまたはそれらの塩、リン酸または無水リン酸と不飽和化合物との反応生成物、およびそれら二つ以上の混合物のうちの少なくとも一つである。
【0019】
金属ジチオリン酸塩 は、金属塩基をモノまたはジチオリン酸である少なくとも一つのチオリン酸と反応させることによって調整される。
【0020】
リン酸または無水リン酸は、アミド、エステル、酸、無水酸、およびエーテルを含むが、またこれらに限定されない不飽和化合物と反応させることができる。
【0021】
ある態様では、亜リン酸塩のようなリン含有化合物には、化合物の立体障害を増加させ、それにより熱分解に対する耐性を増加させるような各種の官能基が含まれる。ある態様
では、ヒドロカルビル鎖中の酸素原子に対してベータの位置で、リン含有化合物が分岐する。このベータ炭素での分岐により、潤滑剤組成物中のリン含有化合物の熱安定性が変化、例えば向上されると考えられている。
【0022】
また、結果として得られる化合物の立体障害を増加させるような成分を用いてリン含有化合物を作ることができる。例えば、亜リン酸塩を作るために使用されるアルコールは、ベータ分岐アルコールである。ベータ分岐アルコールの非限定的な例に、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルアルコール、プリスタノール、およびメチルイソブチルカルビノール(MIBC)などが含まれる。
【0023】
開示されたリン含有化合物を、硫黄を含有したリン含有化合物を生成するための出発物質として使用することができる。ある態様では、硫黄含有化合物を上述のようなリン含有化合物や窒素含有化合物と混合、混和、および/または反応させ、硫黄を含有したリン含有化合物を得ることができる。ある態様では、リン含有化合物、窒素含有化合物、および硫黄含有化合物の反応生成物から成る組成物が熟考されている。硫黄を含有したリン含有化合物は、硫黄を含有していないリン含有化合物と比べて、向上された耐摩耗性を提供することができる。
【0024】
硫黄含有化合物は、遊離硫黄および/または活性硫黄から成る任意の化合物である。硫黄含有化合物の非限定的な例としては、動物性または植物性の硫化脂肪または硫化油、動物性または植物性の硫化脂肪酸エステル、リンの三価または五価の酸の完全にまたは部分的にエステル化されたエステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリスルフィド、硫化ディールスアルダー付加物、硫化ジシクロペンタジエン、脂肪酸エステルとモノ不飽和オレフィンの硫化または共硫化された混合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、およびαオレフィンの共硫化混和物、機能的に置換されたジヒドロカルビルポリスルフィド、チオアルデヒド、チオケトンおよびそれらの誘導体(例えば酸、エステル、イミン、またはラクトン)、エピチオ化合物、硫黄含有 アセタール誘導体、テルペンと非環式オレフィンの共硫化混和物、ポリスルフィドオレフィン生成物、および硫黄元素などが含まれる。
【0025】
ある態様では、イソブテンのようなオレフィンを硫黄と反応させることにより、硫黄含有化合物を作ることができる。生成物、例えば硫化イソブチレンまたは硫化ポリイソブチレンは、一般的に約10重量%から約55重量%、例えば約30重量%から約50重量%の硫黄を含有している。このような硫黄含有化合物を形成するため、その他の様々なオレフィンまたは不飽和炭化水素、例えばイソブテン二量体または三量体などを使用することができる。
【0026】
別の態様において、ポリスルフィドは、化学式R20--S−R21で表される一つ以上の化合物から成り、式中R20およびR21は各々が約3から約18の炭素原子を含むようなヒドロカルビル基であり、またxは約2から約8の間、例えば約2から約5、またさらなる例としては3である。当該のヒドロカルビル基は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリル、またはアラルキルのような多様な種類のものである。ジ−t−ブチルトリスルフィドや、ジ−t−ブチルトリスルフィドから成る混合物(例えば主にあるいは完全にトリ、テトラ、およびペンタスルフィドから成る混合物)のような3級アルキルポリスルフィドを使用することもできる。その他の有用なジヒドロカルビルポリスルフィドの例に、ジアミルポリスルフィド、ジノリルポリスルフィド、ジドデシルポリスルフィド、およびジベンジルポリスルフィドなどが含まれる。
【0027】
等価量のリン含有化合物につき、少なくとも等モル量あるいはそれ以上の硫黄含有化合物を使用して、硫黄を含有したリン含有化合物を得ることができる。ある態様では、約1から約1.5モル等価量の硫黄含有化合物が使用される。
【0028】
さらに、完成した潤滑剤組成物の総重量に対し、約0.5重量%から約10重量%、例えば約2から約6重量%、またさらなる例としては約5重量%の範囲の量の硫黄含有化合物が、完成した潤滑剤組成物中に存在することができる。
【0029】
上述のように、開示された組成物中に窒素含有化合物が存在することができる。ある態様では、窒素含有化合物を使用して、硫黄を含有したリン含有化合物、および/またはそれと類似した塩を得ることができる。また、以下に開示されるように、別の態様においては窒素含有化合物を酸と組み合わせることができ、このとき酸および窒素含有化合物のうち少なくとも一つは摩擦低減剤である。さらに、以下に開示されるように、さらなる態様においては窒素含有化合物は分散剤であり、また任意的にホウ素化および/またはリン酸化される。
【0030】
窒素含有化合物は構造式RCONRのアミドのような任意の窒素含有化合物であり、式中R、RおよびRはそれぞれに水素、または約1から約30の炭素原子を含んだヒドロカルビル基、あるいは以下の式のエトキシル化アミドである:
【化2】

このときxとyの合計は約1から約50、例えば約1から約20、またさらなる例では約1から約10である。ある態様では、R、RおよびRがヒドロカルビル基である場合、それらは約1つから約18の炭素原子、例えば約1つから約6つの炭素原子を含む。
【0031】
が水素でRとRがヒドロカルビル基であるとき、窒素含有化合物はジヒドロカルビルホルムアミドである。ここで有用性のあるジヒドロカルビルホルムアミドの非限定的な例として以下のものが含まれる:ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジプロピルホルムアミド、メチルエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、メチルブチルホルムアミド、エチルブチルホルムアミド、ジオレイルホルムアミド、ジステアリルホルムアミド、ジデシルホルムアミド、ジトリデシルホルムアミド、デシルジトリデシルホルムアミド、デシルオレイルホルムアミド、およびトリデシルオレイルホルムアミドなど。
【0032】
がヒドロカルビル基でRとRが共に水素であるとき、窒素含有化合物は1級ヒドロカルビルアミドである。1級ヒドロカルビルアミドの非限定的な例としては、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、バレルアミド、ラウラミド、ミリストアミドおよびパルミトアミドなどが含まれる。以下に挙げるいくつかの単純な脂肪酸アミドがアルマック社(Armak Company)より市販されている:ココ脂肪酸アミド、オクタデカンアミド、水素化された獣脂脂肪酸アミド、オレアミド、および13−ドコセンアミド。
【0033】
とRが共にヒドロカルビル基でRが水素であるとき、窒素含有化合物はN−置換アミドである。N−置換アミドの非限定的な例には、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N−メチルバレルアミド、N−プロピルラウラミド、N−メチルオレアミドおよびN−ブチルステアルアミドが含まれる。
【0034】
、RおよびRがすべてヒドロカルビル基であるとき、窒素含有化合物はN,N−二置換アミドである。N,N−二置換アミドの非限定的な例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルプロピオンア
ミド、N,N−ジブチルバレルアミド、N,N−ジエチルステアルアミドおよびN,N−ジメチルオレアミドが含まれる。
【0035】
窒素含有化合物のその他の非限定的な例には、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデカンアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココ脂肪酸アミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレアミド、N−2−ヒドロキシエチルコカミドおよびN−2−ヒドロキシエチルステアルアミドが含まれる。
【0036】
ある態様では、硫黄を含有したリン含有化合物は、化学式(II)および(V)のうち少なくとも一つである:
【化3】

式中nは約1から約5の整数であり;また
、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素、シアノ、および約1から約30の炭素原子、例えば約1から約20の炭素原子、そしてさらなる例としては約1から約10の炭素原子を含んだヒドロカルビル基から成るグループから個々に選択される。
【0037】
ある態様では、化学式(II)においてRとRはメチル、またR、R、R、およびRは水素である。別の態様では、化学式(V)において、RとRはメチル、R、R、R、およびRは水素、またR10とR11は約1から約6の炭素原子から成るアルキル基である。
【0038】
開示された組成物は、硫黄を含有したリン含有化合物の塩から成る可能性がある。ある態様において、塩は(a)リン含有化合物、硫黄含有化合物、およびアミドのような窒素含有化合物を供給し、(b)結果として得られる硫黄を含有したリン含有化合物に、塩を得るためアミンなどの追加的な窒素含有化合物を加えることによって調製される。別の態様において、塩はリン含有化合物、硫黄含有化合物、およびアミンのような窒素含有化合物を供給することによって調製される。
【0039】
硫化された亜リン酸ネオペンチルグリコールおよび/またはその塩の耐摩耗性は、硫化されていない亜リン酸ネオペンチルグリコールに比べ、向上されている。
【0040】
開示されたプロセスには溶媒の使用が含まれる。溶媒は、反応物質の少なくとも一つまたは生成物が可溶性であるような、任意の不活性液状物質である。非限定的な例として、
ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ナフサ、ジエチルエーテルカルビトール、ジブチルエーテルジオキサン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ガス・ツー・リキッドやポリアルファオレフィンのような基油、およびプロセスオイルなどが含まれる。
【0041】
ある態様では、窒素含有化合物が、開示された組成物中の任意の酸の中和を助ける。油溶性でさえあれば、任意の窒素含有化合物を使用することができる。窒素含有化合物のその他の非限定的な例には、アミド、アミン、およびピリジンが含まれる。ある態様では、窒素含有化合物は1級、2級、または3級のアミンである。
【0042】
ある態様において、ヒドロカルビルアミンはヒドロカルビル基中に約4から約30の炭素原子、例えば約8から約20の炭素原子を含む1級ヒドロカルビルアミンである。ヒドロカルビル基は飽和の場合も不飽和の場合もある。1級飽和アミンの代表例は、脂肪族の1級脂肪族アミンとして知られているものである。一般的な脂肪族アミンには、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン(ステアリルアミン)などのようなアルキルアミンが含まれる。これらの1級アミンは、蒸留用および工業用の両方が入手可能である。蒸留用はより純粋な反応生成物を提供することができるが、アミドとイミドは工業用のアミンとの反応中に形成できる。さらに好適なものに混合脂肪族アミンがある。
【0043】
ある態様では、開示された化合物のアミン塩は、アルキル基に少なくとも約4つの炭素原子を有する3級脂肪族1級アミンから得られたものである。ほとんどの場合、それらはアルキル基に合計約30未満の炭素原子を有するアルキルアミンから得られる。
【0044】
通常、3級脂肪族1級アミンは以下の化学式で表されるモノアミンである:
【化4】

式中R、R、およびRは同一あるいは異なったものであり、また約1つから約30の炭素原子を含んだヒドロカルビル基である。このようなアミンは、3級ブチルアミン、3級ヘキシル1級アミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、3級オクチル1級アミン、3級デシル1級アミン、3級ドデシル1級アミン、3級テトラデシル1級アミン、3級ヘキサデシル1級アミン、3級オクタデシル1級アミン、3級テトラコサニル1級アミン、および3級オクタコサニル1級アミンなどによって例証される。
【0045】
アミンの混合物もまた本開示の目的のため有用である。この種のアミン混合物の実例には、C−C16の3級アルキル1級アミンの混合物や、[それらに]類似したC14−C24の3級アルキル1級アミンの混合物がある。3級アルキル1級アミンおよびそれらの調製方法は、当技術分野における通常の技術を有する者に周知のものであり、従ってこれ以上の論議は不要である。本開示の目的のために有用な3級アルキル1級アミンおよびそれらの調製方法は、本件に関しその教示が参照することによって本明細書に組み込まれている、米国特許第2,945,749号に記載されている。
【0046】
その炭化水素鎖がオレフィン不飽和を含むような1級アミンもまた、非常に有用である。従って、R’基およびR”基は、鎖の長さに基づき、少なくとも一つのオレフィン不飽
和、通常は10個の炭素原子につき一つ以下の二重結合を含むことができる。代表的なアミンに、ドデセニルアミン、ミリストレイルアミン、パルミトレイルアミン、オレイルアミンおよびリノレイルアミンがある。
【0047】
2級アミンには、脂肪族2級アミンを含む上記のアルキル基のうち二つを有するジアルキルアミン、またさらに、R’が脂肪族アミン、R”がメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチルなどのような低級アルキル基(1−9炭素原子)、あるいはR”がその他の非反応性置換基または極性置換基(CN、アルキル、カルバルコキシ、アミド、エーテル、チオエーテル、ハロ、スルホキシド、スルホン)を含んだアルキル基であるような混合ジアルキルアミンが含まれる。脂肪族ポリアミンジアミンには、モノ−またはジアルキル、対称または非対称のエチレンジアミン、プロパンジアミン(1,2または1,3)、および上記のもののポリアミン類似物が含まれる。好適な脂肪族ポリアミンとしては、N−ココ−1,3−ジアミノプロパン、N−大豆アルキルトリメチレンジアミン、N−獣脂−1,3−ジアミノプロパン、およびN−オレイル−1,3−ジアミノプロパンが含まれる。
【0048】
ある態様では、窒素含有化合物は、リン含有化合物の各等価量につき約0.05モルから約2モル等量、また例えば約1モルから約1.5モル等量の範囲で提供される。
【0049】
硫黄を含有したリン含有化合物および/またはその塩は、別々に形成され、次に潤滑または機能流体組成物に添加される。一方、硫黄を含有したリン含有化合物および/またはその塩は、潤滑または機能流体組成物を形成するために開示された亜リン酸塩のようなリン含有化合物がその他の成分と混和、混合および/または反応させられたときに形成される。
【0050】
硫黄を含有したリン含有化合物の塩は油溶性である。すなわち当該の塩のヒドロカルビル鎖は、結果として得られる化合物が調合された組成物に可溶であるよう、少なくとも6つの炭素原子分などの十分な長さをしている。疎水基を取り入れることにより、非分極性の媒体の可溶性が増加される。硫黄を含有したリン含有化合物の塩の非限定的な例に、ジイソブチルチオリン酸C8−163級アルキル1級アミン塩、ジ−2−エチルヘキシル−チオリン酸C8−163級アルキル1級アミン塩、およびネオペンチルグリコールチオリン酸C8−163級アルキル1級アミン塩などが含まれる。ある態様では、ジチオリン酸の塩が熟考されている。別の態様では、硫黄を含有したリン含有化合物の塩は、以下に示す化学式(III)および(VI)の化合物のうちの少なくとも一つである:
【化5】

式中nは1から5の整数であり;また
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は水素、シアノ、および約1から約30の炭素原子、例えば約1から約20の炭素原子、そしてさらなる例としては約1から約10の炭素原子を含んだヒドロカルビル基から成るグループから個々に選択されている。ある態様では、化学式(VI)において、RとRはメチル;R、R、R、R、R、およびRは水素;RはC12−14の3級アルキル基;またR10とR11は約1から約6の炭素原子から成るアルキル基である。ある態様では、化学式(III)において、R、R、R、R、R、およびRは水素;RとRはメチル;またRはC12−14の3級アルキル基である。
【0051】
ある態様において、硫黄を含有したリン含有化合物の塩は、高周波往復装置性能の低下、模擬車軸使用効率試験における温度の低下、および模擬トレーラー牽引試験における温度低下のうち少なくとも一つを提供するのに必要な任意の量で、潤滑剤組成物中に存在することができる。例えば当該の塩は、潤滑剤組成物の総重量に対し、約0.1から約10重量%、例えば約0.3から約8重量%、またさらなる例としては約0.3から6重量%の範囲の量で存在することができる。
【0052】
開示された組成物はさらに、酸および窒素含有化合物を含むことがあり、このとき酸および窒素含有化合物のうち少なくとも一つは摩擦低減剤である。摩擦低減剤とは、約10から約24の炭素原子から成る化合物を意味すると考えられている。ある態様において、当組成物は摩擦を低減する酸と窒素含有化合物から成る。別の態様において、当組成物は酸と摩擦を低減する窒素含有化合物から成る。さらなる態様において、当組成物は摩擦を低減する酸と摩擦を低減する窒素含有化合物から成る。
【0053】
開示された組成物中で使用される酸は、有機カルボン酸、有機リン酸、有機スルホン酸、無機リン酸、およびそれらの混合物のうちの少なくとも一つである。ある態様において、有機カルボン酸は、直鎖または分岐であり、飽和または不飽和であり、また約5から約40、例えば約10から約24の炭素原子から成る。有機カルボン酸は脂肪族である可能性もある。当該カルボン酸の非限定的な例に、オクテン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、およびそれらの混合物が含まれる。
【0054】
ある態様では、当該の酸は上記で開示された酸のような有機リン酸、ジアルキルリン酸
、モノアルキルリン酸、ジアルキルジチオリン酸、モノアルキルジチオリン酸、ジアルキルチオリン酸、モノアルキルチオリン酸、およびそれらの混合物である。リン酸の非限定的な例として、リン酸アミル酸、リン酸2−エチルヘキシル酸、ジアルキルジチオリン酸、およびそれらの混合物が含まれる。
【0055】
当該の酸は、上記で開示されたリン含有化合物と同一あるいは異なったものである。また、開示された組成物中に存在する窒素含有化合物は、上記で開示された、硫黄を含有したリン含有化合物、および/またはその類似塩のいずれかを作るために使用される窒素含有化合物と同一あるいは異なったものである。
【0056】
ある態様では、当該の酸はリン酸2−エチルヘキシル酸およびリン酸アミル酸のうちの少なくとも一つであり、また窒素含有化合物はオレイルアミンである。
【0057】
本明細書で開示された潤滑剤組成物は、二つの異なった窒素含有化合物から成る。ある態様において、当該化合物は、オレイルアミンのような直鎖アミン、およびC11−143級アルキル1級アミンのような分岐アミンから成る。当該アミンは、それぞれ潤滑組成物中に、アミンの総重量パーセントが約0.1重量%から約5重量%、さらなる例として約0.3重量%から約2重量%、またさらなる例としては約0.4重量%から約0.9重量%となるような量で存在する。
【0058】
本発明に基づく組成物の調合に使用するのに適した基油には、任意の合成油が含まれる。ある態様において、基油は、2005年3月17日公開の米国特許出願第2005/0059563号に開示されたようなポリアルファオレフィンから成る。別の態様では、基油は、低粘度ベースストック、エステル、および粘度指数向上剤を含む基油組成物から成る。基油組成物の粘度指数は、200あるいはそれ以上、例えば220あるいはそれ以上、さらなる例としては240あるいはそれ以上、さらなる例としては260あるいはそれ以上、またさらなる例としては280あるいはそれ以上である。さらに、ガス・ツー・リキッド工程から得られたオイルも適している。
【0059】
多量の基油が存在する可能性がある。このとき「多量の」とは、30%あるいはそれ以上、例えば潤滑剤組成物の約40から約80重量パーセントを意味するものと考えられる。
【0060】
合成ベースストックの非限定的な例には、ポリマー化およびインターポリマー化されたオレフィン(例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン・イソブチレンコポリマーなど)のような炭化水素オイル、ポリアルファオレフィン、アルキルベンゼン(例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノリルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど)、ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニルなど)、アルキル化ジフェニルエーテルやアルキル化ジフェニルスルフィド、またそれらの誘導体、類似物および同族体、その他が含まれる。
【0061】
アルキレンオキシドのポリマーおよびインターポリマーや、末端ヒドロキシル基がエステル化やエーテル化などによって修正されているようなそれらの誘導体は、別の種類の使用可能な既知の合成ベースストックを構成する。このようなベースストックは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのポリマー化によって調整されたオイル、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルおよびアリルエーテル(例えば平均分子量が約1000であるメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量が約500−1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量が約1000−1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)、またはそれらのモノ−およびポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、混合C3−8脂肪酸エステル、またはテトラ
エチレングリコールのC13オキソ酸ジエステル等によって例示される。
【0062】
従って、本明細書に記載の組成物を作るために使用することのできる、使用された基油は、米国石油協会(API)の基油互換性ガイドラインに指定されたグループIVおよびVの基油のいずれかから選択されたものである。このような基油グループは以下の通りである:
【0063】
グループIVはポリアルファオレフィン(PAO);またグループVは、グループI、II、III、またはIVに含まれないその他すべてのベースストックを含む。ベースストックとして使用されるポリアルファオレフィンは一般に、100℃での粘度が2cStから100cSt、例えば4cStから8cStである。
【0064】
本明細書における使用に適したベースストックは、蒸留、溶剤精製、水素プロセス、オリゴマー化、エステル化、および再精製などを含み、またこれらに限定されることのない、様々な異なったプロセスを用いて作ることができる。
【0065】
基油は、フィッシャー・トロプシュ合成された炭化水素から得られたオイルである。フィッシャー・トロプシュ合成された炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ触媒を使用し、HおよびCOを含んだ合成ガスから作られる。このような炭化水素を基油として有用なものとするために、一般にさらなるプロセスが必要となる。例えば当該の炭化水素を、米国特許第6,103,099号または6,180,575号に開示されたプロセスを用いて水素異性化したり、米国特許第4,943,672号または6,096,940号に開示されたプロセスを用いて水素化分解および水素異性化したり、米国特許第5,882,505号に開示されたプロセスを用いて脱ろうしたり、あるいは米国特許第6,013,171号、6,080,301号または6,165,949号に開示されたプロセスを用いて水素異性化および脱ろうすることができる。
【0066】
鉱油であれ合成油であれ(これら任意の二つ以上の混合物も同様に)、本明細書の上記に開示された種類の未精製オイル、精製オイル、および再精製オイルを基油中で使用することができる。未精製のオイルは、さらなる精製処理なしで鉱油または合成油源から直接得られたものである。例えば、レトルト工程から直接得られたシェール油、一次蒸留から直接得られた石油、またはエステル化工程から直接得られ、さらなる処理を受けずに使用されたエステル油などが、未精製のオイルである。精製オイルは、一つ以上の特性を向上させるために一つ以上の精製ステップで処理されていることを除いて、未精製のオイルと同様である。溶媒抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、ろ過、透過などのような精製技術の多くは、当技術分野に精通した技術者に既知のものである。再精製オイルは、精製オイルを得るために使用したプロセスと同様のプロセスを、すでに使用された精製オイルに適用することによって得られる。このような再精製オイルは、再生油または再処理油としても知られ、またしばしば、使用済みの添加剤、汚染物質、およびオイルの崩壊産物の除去を目的とした技術によってさらに処理される。
【0067】
本明細書における使用に適したエステルには、モノアルカノールまたはポリオールのいずれかによる一塩基酸のエステルが含まれる。好適なエステルとして、化学式がRCOであるものが含まれ、このときRは約4から約10の炭素原子を有するアルキルラジカルから成り、またRは約4から約15、例えば約4から約12、またさらなる例としては約4から約9の炭素原子を有するアルキルラジカルから成る。これらの種類のエステルの具体例として、イソノニル−2−エチルヘキサノエート、イソオクチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシル2−エチルヘキサノエート、イソノニルヘプタノエート、イソノニルイソペンタノエート、イソオクチルヘプタノエート、イソノニルペンタノエート、イソオクチルイソペンタノエート、イソオクチルペンタノエート、オクチルペ
ンタノエート、ノニルペンタノエート、デシルペンタノエート、オクチルヘプタノエート、ノニルヘプタノエート、デシルヘプタノエートなどが含まれる。その他の好適なエステルは、イソノニルアルコールと約8つの炭素原子から約10の炭素原子を有する酸の混合物との反応によって形成されたエステルの混合物、または2−エチルヘキシルアルコールと約8つの炭素原子から約10の炭素原子を有する酸の混合物との反応によって形成された混合エステルから成る。
【0068】
各種アルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)によるジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニル、コハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)のエステルもまた好適である。これらのエステルの具体例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールと2モルの2−エチルヘキサン酸とを反応させて形成した複合体エステル、その他が含まれる。
【0069】
一つ以上の多価アルコール、例えばネオペンチルポリオールのようなヒンダードポリオール、例えばネオペンチルグリコールと5つから10の炭素を含んだモノカルボン酸とを反応させることによって得られるようなエステルもまた、本開示に好適である。当該の酸は直鎖または分岐脂肪族酸、あるいはそれらの混合物である。その他の好適なエステルは、上述の酸と、ジ−またはトリ−エチレングリコールあるいは1つから4つの炭素、例えば3つから4つの炭素を有する直鎖炭化水素でキャップされたジ−またはトリ−プロピレングリコールアルコールとを反応させることによって得ることができる。
【0070】
当該のエステルの100℃での粘度は約2cStあるいはそれ以下、例えば1.5あるいはそれ以下、またさらなる例としては100℃で約1cStあるいはそれ以上である。
【0071】
好適な粘度指数向上剤は、高粘度のポリアルファオレフィンである。PAO物質として知られる高粘度のPAOは、一般に比較的低分子量の水素化されたポリマーまたはアルファオレフィンのオリゴマーから成る。当該のアルファオレフィンには、Cから約C32のアルファオレフィンや、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどに例示されるようなCから約C16のアルファオレフィンが含まれるが、これらに限定はされない。好適なポリアルファオレフィンとしては、ポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセン、およびポリ−1−ドデセンが含まれるが、C14からC18の範囲の高級オレフィンの二量体は低粘度のベースストックを提供する。ホモポリマー、インターポリマーおよび混合物が含まれる。
【0072】
好適な高粘度のPAOは、例えば、酸塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素または三フッ化ホウ素と水の複合体、エタノール、プロパノールまたはブタノールのようなアルコール、カルボン酸あるいは酢酸エチルまたはプロピオン酸エチルのようなエステルを含むフリーデル・クラフツ触媒など、ポリマー化触媒の存在下におけるアルファオレフィンのポリマー化により容易に作られる。例えば、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれている、米国特許第4,149,178号または3,382,291号によって開示された方法が、ここで容易に使用される。PAO合成のその他の記載は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれている、米国特許第3,742,082号(ブレナン(Brennan))、米国特許第3,769,363号(ブレナン(Brenn
an))、米国特許第3,876,720号(ヘイルマン(Heilman))、米国特許第4,239,930号(オールフィン(Allphin))、米国特許第4,367,352号(ワッツ(Watts))、米国特許第4,413,156(ワッツ(Watts))、米国特許第4,434,408号(ラーキン(Larkin)、米国特許第4,910,355号(シャブキン(Shubkin))、米国特許第4,956,122号(ワッツ(Watts))、および米国特許第5,068,487号(テリオット(Theriot)中に見られる。
【0073】
好適な高粘度のPAOは、還元されたクロム触媒とアルファオレフィンとの作用によって調製される。このようなPAOは、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれている、米国特許第4,827,073号(ウー(Wu))、米国特許第4,827,064号(ウー(Wu))、米国特許第4,967,032号(ホー、その他(Ho et al.))、米国特許第4,926,004号(ペルリン、その他(Pelrine et al.))、および米国特許第4,914,254号(ペルリン、その他(Pelrine et al.))に記載されている。C14からC18のオレフィンの二量体は、参照することによってその開示が本明細書に組み込まれている、米国特許第4,218,330号に記載されている。
【0074】
好適な高粘度のPAOには、100℃で約40cStあるいはそれ以上、および100℃で約1,000cStあるいはそれ以下の粘度を有するPAOが含まれる。別の例では、[粘度は]100℃で100cStあるいはそれ以上、および100℃で約300cStあるいはそれ以下である。さらなる例では、[粘度は]100℃で約100cStあるいはそれ以上、および100℃で約200cStあるいはそれ以下である。またさらに別の例では、[粘度は]100℃で約150cStあるいはそれ以上、および100℃で約200cStあるいはそれ以下である。
【0075】
グループIVのベースストック、すなわちポリアルファオレフィン(PAO)には、アルファオレフィンの水素化されたオリゴマーが含まれ、オリゴマー化の最も重要な方法は、フリーラジカル工程、ジーグラー触媒作用、および陽イオン性フリーデル・クラフツ触媒作用である。
【0076】
本組成物はさらに任意的にホウ素含有化合物を含む可能性がある。当該ホウ素含有化合物は、組成物中に約5ppmから約500ppm、例えば約11ppmから約100ppmの範囲の量で存在することができる。使用されるホウ素化合物の量は、混合物中の塩基性窒素および/またはヒドロキシル1モルにつき、約0.001モルから約1モルである。
【0077】
ホウ素含有化合物は、無機あるいは有機化合物である。無機化合物としては、ホウ素酸、無水物、酸化物、およびハロゲン化物が含まれる。ハロゲン化物には、ホウ素アミドおよびエステルが含まれる。ホウ素化アシル化アミンおよびホウ素化分散剤、ホウ素化エポキシド、およびグリセロールのホウ素化脂肪酸エステルもまた含まれる。
【0078】
有用なホウ素含有化合物には、酸化ホウ素、酸化ホウ素水和物、三酸化ホウ素、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、ボロン酸(すなわちアルキル−B(OH)またはアリル−B(OH))のようなホウ素酸、ホウ酸(すなわちHBO)、テトラホウ酸(すなわちH)、メタホウ酸(すなわちHBO)、無水ホウ素、ホウ素アミドおよびそのようなホウ素酸の各種エステルが含まれる。三ハロゲン化ホウ素とエーテル、有機酸、無機酸、あるいは炭化水素との複合体を使用することができる。このような複合体の例には、三フッ化ホウ素トリエチルエステル、リン酸三フッ化ホウ素、クロロ酢酸三塩化ホウ素、ジオキサン三臭化ホウ素、および三フッ化ホウ素メチルエチルエー
テルが含まれる。
【0079】
ボロン酸の具体例には、メチルボロン酸、フェニルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、p−ヘプチルフェニルボロン酸およびドデシルボロン酸が含まれる。好適なホウ素含有化合物には、例えば、酸化ホウ素、酸化ホウ素水和物、および三酸化ホウ素などの酸化ホウ素が含まれる。
【0080】
ホウ素酸エステルには、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、ドデカノール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、2−ブチルシクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−オクタンジオール、グリセロール、ペンタエリスルトールジエチレングリコール、カルビトール、セルソルブ、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、フェノール、ナフトール、p−ブチルフェノール、o,p−ジヘプチルフェノール、n−シクロヘキシルフェノール、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ポリイソブテン(分子量1500)−置換フェノール、エチレンクロロヒドリン、o−クロロフェノール、m−ニトロフェノール、6−ブロモオクタノール、および7−ケト−デカノールなどのようなアルコールまたはフェノールとのモノ−、ジ−、およびトリ有機エステルが含まれる。ホウ酸エステルの調製のためには、低級アルコール、1,2−グリコール、および1−3−グリコール、すなわち約8つ未満の炭素原子を有するものが有用である。
【0081】
ある態様において、ホウ素含有化合物は、上述の窒素含有化合物を含み、またそれらに限定されない、ホウ素化された窒素含有化合物である。ある態様では、ホウ素化された窒素含有化合物は分散剤である。
【0082】
別の態様において、ホウ素含有化合物は、上述のリン含有化合物を含み、またそれらに限定されない、ホウ素化されたリン含有化合物である。ある態様では、ホウ素化されたリン含有化合物は分散剤である。使用されるリン化合物の量は、塩基性窒素1モルにつき約0.001モルから1モルの範囲内であり、また反応混合物中の遊離ヒドロキシルは補助の窒素化合物により提供される量の半分以下である。
【0083】
リンを含有した分散剤は、少なくとも一つの塩基性窒素を有する油溶性無灰分散剤および/または少なくとも一つのヒドロキシル基を分子中に含むことができる。好適な分散剤には、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸エステル−アミド、マンニッヒ塩基、ヒドロカルビルポリアミン、あるいはポリマー性ポリアミンが含まれる。
【0084】
そのコハク酸基が少なくとも30の炭素原子を含んだヒドロカルビル置換基を含むようなアルケニルコハク酸イミドが、例えば米国特許第3,172,892号、3,202,678号、3,216,936号、3,219,666号、3,254,025号、3,272,746号、および4,234,435号に記載されている。当該アルケニルコハク酸イミドは、アルケニル無水コハク酸、酸、酸−エステル、酸ハロゲン化物、または低級アルキルエステルと少なくとも一つの1級アミノ基を含んだポリアミンとを加熱するような、従来型の方法によって形成される。アルケニル無水コハク酸は、オレフィンと無水マレイン酸との混合物を、例えば約180−220℃まで加熱することによって容易に作られる。当該オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、その他、およびそれらの混合物のような低級モノオレフィンのポリマーあるいはコポリマーである。アルケニル基の例示的供給源は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)数平均分子量
が10,000以下またはそれ以上、例えば約500から約2,500の間、またさらなる例としては約800から約1,500の間のポリイソブテンである。ある態様では、ポリイソブチレンの分子量は約700から約5000の範囲内である。ポリイソブチレン無水コハク酸とアミンの比率は約1.4から約3、またさらなる例としては約1.8から約2.2の範囲内である。
【0085】
ある態様では、キャッピング剤が添加される。例えば、塩基性窒素のキャッピング剤として作用するように追加量の無水マレイン酸が添加され、それによって塩基性窒素が非塩基性種に還元される。
【0086】
本明細書中で使用される「コハク酸イミド」とは、一つ以上のポリアミン反応物質と炭化水素置換のコハク酸または無水物(またはコハク酸アシル化剤のようなもの)との間の完了した反応の生成物を含むことを意味し、また化合物を含むことを意図しており、このとき生成物はアミド、アミジン、および/または1級アミノ基と無水酸部分との反応の結果得られる種類のイミド結合に加え、塩結合を有する。
【0087】
分散剤は、例えば米国特許第3,184,411号、3,342,735号、3,403,102号、3,502,607号、3,511,780号、3,513,093号、3,513,093号、4,615,826号、4,648,980号、4,857,214号および5,198,133号に記載された方法によりリン酸化される。
【0088】
上述の様々な種類の無灰分散剤をホウ素化する方法は、米国特許第3,087,936号、3,254,025号、3,281,428号、3,282,955号、2,284,409号、2,284,410号、3,338,832号、3,344,069号、3,533,945号、3,658,836号、3,703,536号、3,718,663号、4,455,243号、および4,652,387号に記載されている。
【0089】
上記に参照されるような無灰分散剤のリン酸化およびホウ素化の工程は、米国特許第4,857,214号および5,198,133号に説明されている。
【0090】
潤滑剤組成物には、コハク酸イミド分散剤およびホウ素化コハク酸イミド分散剤のような二つの異なった窒素含有分散剤が含まれる。
【0091】
潤滑剤組成物あるいは添加剤組成物中には、任意的にその他の成分が存在する可能性もある。その他の成分の非限定的な例に、希釈剤、消泡剤、乳化破壊剤、銅腐食防止剤、酸化防止剤、極圧添加剤、耐摩耗剤、シール膨張剤、流動点降下剤、防錆剤、および摩擦低減剤などが含まれる。
【0092】
さらに本明細書には、車のギア、固定ギアボックス(工業用のギアを含む)、および/または開示された潤滑組成物を含む車軸などのような機械を潤滑する方法が開示されている。さらなる態様では、開示された潤滑組成物を車のギア、固定ギアボックス(工業用のギアを含む)、および/または車軸などのような機械に加えることから成る、車のギア、固定ギアボックス(工業用のギアを含む)、および/または車軸などのような機械において、摩耗保護性および燃料効率のうち少なくとも一つを向上させる方法が開示されている。さらに、開示された潤滑組成物でギアおよび/または車軸を潤滑することから成る、潤滑されたギアセットおよび潤滑されていないギアセットによって、例えば少なくとも約325°Fで少なくとも約16時間の間ASTM D6121に合格する方法、および/またはASTM D5704および/またはGL−5および/またはSAE J2360性能を維持する方法も開示されている。
【実施例】
【0093】
潤滑剤組成物を以下の表1に示すように調合した:
【表1】

【0094】
比較用の潤滑剤組成物は以下の表2に示すように調合した:
【表2】

【0095】
表1の潤滑剤組成物と表2の比較用潤滑剤組成物に対し、企業平均燃費(「CAFE」)テストを行った。このテストにより、(総合出力トルク×出力速度)/(入力トルク×入力速度)で計算された、様々な負荷/速度段階における車軸の効率が測定され、基準流体と比較される。車軸の効率が高いほど(すなわちテスト結果の値が大きいほど)車の全体としての燃費がよくなる。車軸の効率テストの結果は、CAFEテストを示すものである。各種の負荷段階の条件を表3に表す。段階Aから段階Eまでは市街走行サイクルを表し、段階Fは高速走行サイクルを表す。基準流体はゼネラルモーターズ軽量自動車用、完全合成SAE 75W−90車軸潤滑油(GM部品番号9986115)である。
【表3】

【0096】
車軸効率テストの結果を表4に示す。表1および表2の潤滑剤組成物は基準流体よりも優れた車軸効率を示した。表1の潤滑剤組成物は、車軸効率テストの総合的な結果が最も優れていた。
【表4】

【0097】
本明細書および添付の請求項の目的のため、特記されていない限り、明細書および請求項で使用されている数量、パーセンテージや比率、またその他の数値を表すの数はすべて、あらゆる場合において「約」という言葉で修飾されているものとして理解される。従って、それに反する指定がない限り、以下の明細書および添付の請求項で示されている数値パラメータは、本開示が目指している希望の特性によって変化し得る近似値である。少なくとも、また当請求項の範囲に対応する原理の適応を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも報告された多くの有効数字と通常の四捨五入の使用を考慮に入れて解釈されるべきものである。
【0098】
本明細書および添付の請求項の英文において使用されている、「a」、「an」、および「the」などの単数形を表す単語は、明白に、はっきりと単数の対象物に限定されていない限り、複数の意を含むことに注意されたい。従って、例えば「an antioxidant」という表現には二つあるいはそれ以上の異なった酸化防止剤が含まれる。また、ここで使用される「含む(include)」という表現およびその文法的な変化形は、リストに挙げられた項目が、それらに代用するあるいは付加され得る他の同様の項目を除外しないように、非限定的であることを意図したものである。
【0099】
特定の実施例について説明してきたが、現時点で予見されていないあるいは予見できない代替案、変更、変化、改良点、および実質的に対応する内容が出願人あるいは当技術分野に精通した他の技術者に発見されることもある。従って、提出され、修正される可能性のある添付の請求項は、このような代替案、変更、変化、改良点、および実質的に対応する内容をすべて含むことを意図している。
【0100】
本発明の主な特徴及び態様を挙げれば以下のとおりである。
1.エステル、粘度指数向上剤、および硫黄を含有したリン含有化合物と硫黄を含有したリン含有化合物の塩のうちの少なくとも一つを含んで成る潤滑組成物。
2.100℃でのエステルの粘度が約2cStまたはそれ以下である上記1に記載の組成物。
3.エステルの化学式がRCOであり、式中Rが約4から約9の炭素原子を有するアルキルラジカルを含んで成り、またRが約4から約15の炭素原子を有するアルキルラジカルを含んで成る上記1に記載の組成物。
4.エステルが、イソノニル−2−エチルヘキサノエート、イソオクチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシル−2−エチルヘキサノエート、イソノニルヘプタノエート、イソノニルイソペンタノエート、イソオクチルヘプタノエート、イソノニルペンタノエート、イソオクチルイソペンタノエート、イソオクチルペンタノエート、オクチルペンタノエート、ノニルペンタノエート、デシルペンタノエート、オクチルヘプタノエート、ノニルヘプタノエート、デシルヘプタノエートおよびそれらの混合物のうち少なくとも一つを含んで成る上記1に記載の組成物。
5.粘度指数向上剤がポリアルファオレフィンである上記1に記載の組成物。
6.100℃でのポリアルファオレフィンの粘度が約40cStから約1000cStである上記5に記載の組成物。
7.硫黄を含有した立体的に込みあったリン含有化合物が、化学式(II)および(V)の化合物の少なくとも一つである上記1に記載の組成物であって:
【化6】

式中nは1から5の整数であり;また
このときR、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素、シアノ、および約1から約30の炭素原子を含んだヒドロカルビル基から成るグループから独立して選択される組成物。
8.化学式(II)において、RとRがメチル、またR、R、R、およびRが水素である上記7に記載の組成物。
9.硫黄を含有したリン含有化合物の塩が化学式(III)および(VI)の化合物の少なくとも一つである上記1に記載の組成物であって:
【化7】

式中nは1から5の整数であり;また
このときR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は水素、シアノ、および約1から約30の炭素原子を含んだヒドロカルビル基から成るグループから独立して選択される組成物。
10.化学式(III)において、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、RとRがメチルであり、またRがC12−14の3級アルキル基である上記9に記載の組成物。
11.化学式(VI)において、R、R、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、RがC12−14の第3級アルキル基であり、またR10とR11が約1から約6の炭素原子を含んで成るアルキル基である上記9に記載の組成物。
12.さらに合成基油を含む、上記1に記載の組成物。
13.合成基油がポリアルファオレフィンを含んで成る上記12に記載の組成物。
14.合成基油、粘度指数向上剤、およびエステルの組み合わせの粘度指数が約200またはそれ以上である上記12に記載の組成物。
15.さらにガス・ツー・リキッド基油を含む、上記1に記載の組成物。
16.さらにホウ素含有化合物を含む、上記1に記載の組成物。
17.約5ppmから約500ppmのホウ素を供給するだけの量のホウ素含有化合物が組成物中に存在する上記16に記載の組成物。
18.ホウ素含有化合物がホウ素化された窒素含有化合物である上記16に記載の組成物。
19.ホウ素含有化合物がホウ素化されたリン含有化合物である上記16に記載の組成物。
20.さらに酸および窒素含有化合物を含み、このとき酸と窒素含有化合物のうち少なくとも一つが摩擦調整剤である上記1に記載の組成物。
21.酸が有機カルボン酸、有機亜リン酸、有機スルホン酸、無機リン酸、およびそれらの混合物のうち少なくとも一つから選択された摩擦調整剤である上記20に記載の組成物。
22.有機亜リン酸が、ジアルキル亜リン酸、モノアルキル亜リン酸、ジアルキルジチオ亜リン酸、ジアルキルチオ亜リン酸、リン酸アミル酸、2−エチルヘキシル酸リン酸塩、およびそれらの混合物のうち少なくとも一つである上記21に記載の組成物。
23.窒素含有化合物が摩擦調整剤、およびC8−16の第3級1級アルキルアミンの混合物である上記20に記載の組成物。
24.上記1に記載の組成物を潤滑剤として使用することを含んで成る、車のギアの潤滑
方法。
25.上記1による組成物を車のギアに添加することを含んで成る、車のギアの摩耗保護性を向上させる方法。
26.上記1による組成物を車のギアに添加することを含んで成る、車のギアの燃料効率を向上させる方法。
27.上記1に記載の組成物を潤滑剤として使用することを含んで成る、車軸の潤滑方法。
28.上記1による組成物を車軸に添加することを含んで成る、車軸の摩耗保護性を向上させる方法。
29.上記1による組成物を車軸に添加することを含んで成る、車軸の燃料効率を向上させる方法。
30.上記1に記載の組成物を潤滑剤として使用することを含んで成る、固定ギアボックスの潤滑方法。
31.上記1による組成物を固定ギアボックスに添加することを含んで成る、固定ギアボックスの摩耗保護性を向上させる方法。
32.上記1による組成物を固定ギアボックスに添加することを含んで成る、固定ギアボックスの燃料効率を向上させる方法。
33.上記1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、ASTM D5704に合格する方法。
34.上記1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、潤滑されたギアセットおよび潤滑されていないギアセットにより、ASTM D6121に合格する方法。
35.上記1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、潤滑されていないギアセットにより、少なくとも約325°Fで少なくとも約16時間ASTM D6121に合格する方法。
36.上記1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、GL−5および/またはSAE J2360の性能を維持する方法。
37.エステル、粘度指数向上剤、また硫黄含有化合物とリン含有化合物と窒素含有化合物の反応生成物を含んで成る潤滑組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル、粘度指数向上剤、および硫黄を含有したリン含有化合物と硫黄を含有したリン含有化合物の塩のうちの少なくとも一つを含んで成る潤滑組成物。
【請求項2】
硫黄を含有した立体的に込みあったリン含有化合物が、化学式(II)および(V)の化合物の少なくとも一つである請求項1に記載の組成物であって:
【化1】

式中nは1から5の整数であり;また
このときR、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素、シアノ、および約1から約30の炭素原子を含んだヒドロカルビル基から成るグループから独立して選択される組成物。
【請求項3】
硫黄を含有したリン含有化合物の塩が化学式(III)および(VI)の化合物の少なくとも一つである請求項1に記載の組成物であって:
【化2】

式中nは1から5の整数であり;また
このときR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR
は水素、シアノ、および約1から約30の炭素原子を含んだヒドロカルビル基から成るグループから独立して選択される組成物。
【請求項4】
さらにホウ素含有化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
さらに酸および窒素含有化合物を含み、このとき酸と窒素含有化合物のうち少なくとも一つが摩擦調整剤である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を潤滑剤として使用することを含んで成る、車のギアの潤滑方法。
【請求項7】
請求項1による組成物を車のギアに添加することを含んで成る、車のギアの摩耗保護性を向上させる方法。
【請求項8】
請求項1による組成物を車のギアに添加することを含んで成る、車のギアの燃料効率を向上させる方法。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物を潤滑剤として使用することを含んで成る、車軸の潤滑方法。
【請求項10】
請求項1による組成物を車軸に添加することを含んで成る、車軸の摩耗保護性を向上させる方法。
【請求項11】
請求項1による組成物を車軸に添加することを含んで成る、車軸の燃料効率を向上させる方法。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を潤滑剤として使用することを含んで成る、固定ギアボックスの潤滑方法。
【請求項13】
請求項1による組成物を固定ギアボックスに添加することを含んで成る、固定ギアボックスの摩耗保護性を向上させる方法。
【請求項14】
請求項1による組成物を固定ギアボックスに添加することを含んで成る、固定ギアボックスの燃料効率を向上させる方法。
【請求項15】
請求項1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、ASTM D5704に合格する方法。
【請求項16】
請求項1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、潤滑されたギアセットおよび潤滑されていないギアセットにより、ASTM D6121に合格する方法。
【請求項17】
請求項1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、潤滑されていないギアセットにより、少なくとも約325°Fで少なくとも約16時間ASTM D6121に合格する方法。
【請求項18】
請求項1による組成物でギアを潤滑することを含んで成る、GL−5および/またはSAE J2360の性能を維持する方法。
【請求項19】
エステル、粘度指数向上剤、また硫黄含有化合物とリン含有化合物と窒素含有化合物の反応生成物を含んで成る潤滑組成物。

【公開番号】特開2007−131848(P2007−131848A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303296(P2006−303296)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】