説明

濁水処理装置

【課題】工事現場等で発生する濁水を作業員による点検、調整を要することなく浄化処理し、水質の悪い水の外部への放流を確実に防止できる濁水処理装置を提供する。
【解決手段】濁水を受け入れる原水槽2と、原水槽2から汲み出した濁水を処理する凝集沈殿槽からなる第1処理槽4と濾過槽からなる第2処理槽6とを有する処理部と、処理部を経由した水を受け入れる清水貯留槽2とを備える。処理部は、更に、各処理槽4,6に対応してその下流側に個別に設けられた各水質検知槽5,7と、各水質検知槽5,7の水質が当該水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲外のときに作動し、各水質検知槽5,7内の水を当該水質検知槽に対応する上流側の各処理槽4,6に返送して、各水質検知槽5,7からその下流側への水の移送を停止する各返送ポンプ17,27とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場等で発生した濁水を処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場や工場等の濁水が発生する施設等では、濁水を浄化して工事用水として再利用することや(下記特許文献1参照)、濁水を浄化して河川等に放流することが行われている(下記特許文献2参照)。また、工事現場等から放流される水のpH(ペーハー)や濁度等については厳しい基準値が設けられており、河川等に水を放流する場合にはその基準値を満たさなければ放流することができない。
【0003】
特許文献1には、工事現場からの排水を貯留する排水槽と、ポンプによって排水槽から汲み出された水を浄化する濁水浄化装置と、浄化された水を貯留する給水槽等を備え、この給水槽の水を工事用水として利用する循環型給排水システムが開示されている。当該システムでは、工事用水を確保するために、給水槽内に排水槽内の水を直接供給したり、工事現場で発生した排水の一部を直接給水槽に供給することが行われている。このように給水槽内に排水が直接供給されると、給水槽内の水質は当然に悪化するが、当該システムでは給水槽内の水を浄化する手段は備えられていない。
【0004】
また、特許文献1に開示されたシステムに設けられた濁水処理装置では、浄化処理された水のpHや濁度を測定し、処理水槽内に貯留し、当該処理水槽内の水をポンプにより汲み出して前記給水槽に供給している。しかしながら、特許文献1には、処理後の水のpHや濁度が悪化した場合にどのように水質を改善するかについては何ら開示されていない。従って、特許文献1に開示されたシステムでは、給水槽内の水を外部に放流することはできないため、給水槽内の水をすべて再利用することが必要となる。
【0005】
一方、特許文献2には、濁水を貯留する原水槽と、原水槽から原水ポンプで汲み出された水に凝集剤を含む薬剤を添加する薬剤添加部と、薬剤が添加された水が導入される沈殿槽と、沈殿槽内の水の水質を検査する水質検査手段とを備え、沈殿槽の上澄水を外部に放流する濁水処理装置が開示されている。この濁水処理装置においては、装置の運転中に水質検査手段で沈殿槽内の水質を監視し、沈殿槽内の水質が所定時間以上基準値よりも悪化した場合は装置を停止させ、作業員が装置の点検、調整を行った後、再び装置を稼働させるものとなっている。このように、特許文献2に開示された装置では、監視している水質が悪化する度に装置を停止させ、作業員による点検、調整が必要となる。
【0006】
また、特許文献2に開示された装置では、沈殿槽内の水質が所定時間以上基準値よりも悪化した場合に装置を停止させることにより、水質の悪い水が外部に放流されることを防止している。しかしながら、特許文献2に開示された装置では、沈殿槽の上澄水を直接外部に放流しており、水質検査手段により水質の悪化が検出された際にも上澄水が放流された状態となっているため、その後に装置を停止しても、僅かながら水質の悪い水が外部に放流される結果となる。
【特許文献1】特開2002−143832号公報
【特許文献2】特許第2993372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、工事現場等で発生する濁水を浄化処理する際に所定の許容範囲外の水質の水が発生した場合であっても作業員による点検、調整を逐一要することなく水を浄化処理することができ、且つ、所定の許容範囲外の水質の水が発生した場合に、外部への放流を確実に防止することができるようにした濁水処理装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の濁水処理装置は、濁水を受け入れる原水槽と、原水槽から汲み出した濁水を順に処理する複数の処理槽を有する処理部と、処理部を経由した水を受け入れて貯留する清水貯留槽とを備えると共に、清水貯留槽内の水を外部に放流する放流手段と、清水貯留槽内の水を再利用するために汲み出す清水ポンプとの少なくとも一方を備え、処理部は、更に、各処理槽に対応してその下流側に個別に設けられた、処理槽からの水を受け入れ水質検知手段により水質を検知する水質検知槽と、各水質検知槽に対応して個別に設けられた、水質検知槽内の水の水質検知手段による検知水質が当該水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲外のときに作動し、水質検知槽内の水を当該水質検知槽に対応する上流側の処理槽に返送して、水質検知槽からその下流側への水の移送を停止する返送手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の濁水処理装置によれば、処理部の各処理槽での処理済みの水の水質がその下流側の各水質検知槽で当該水質検知槽に対して設定される許容範囲内であるか否かが判別される。水質が許容範囲内であれば、各水質検知槽からその下流側の処理槽に水が移送され、次の段階の処理が行われる。そして、処理部の最下流の処理槽での処理済みの水の水質がその下流側の水質検知槽で許容範囲(放流可能な水質基準を満たす範囲)内と判別されたとき、この水質検知槽から清水貯留槽に水が移送される。
【0010】
最下流の処理槽での処理済みの水の水質がその下流側の水質検知槽で許容範囲外と判別されたときは、この水質検知槽から清水貯留槽への水の移送が停止されるため、清水貯留槽内の水は常に許容範囲内の水質となる。従って、清水貯留槽から放流手段を介して近隣の河川に水を放流する場合は、常に浄化された水を放流することができる。また、清水貯留槽の水を清水ポンプで汲み出して工事用水等に再利用する場合も、常に浄化された水を使用することができるので、工事用水として安定した水質を保つことができる。
【0011】
また、何れかの水質検知槽の水質が許容範囲外であれば、この水質検知槽内の水が返送手段の作動により当該水質検知槽に対応する上流側の処理槽に返送され、当該処理槽によって水質の改善がなされた状態で前記水質検知槽に戻る。このように、本発明によれば、上記従来例のように装置の運転を停止して装置のメンテナンスを行ったり、作業員が水質の改善を行う等の処置を要することなく、装置自体の作動によって自動的に水質を改善することができる。従って、装置に異常等のない通常の運転時においては保守作業が非常に容易となる。
【0012】
ところで、処理部に設けられる処理槽が単一であると、原水槽に流入する濁水の水質が悪化した場合、処理槽の負担が大きくなって、処理槽と水質検知槽との間での循環処理により水質基準を満たすまでに相当の時間を要し、濁水を効率よく処理できなくなる。また、循環処理中も原水槽に濁水を流入させる必要があるため、循環処理時間が長くなる分、原水槽の容量を大きくせざるを得なくなる。
【0013】
これに対し、本発明によれば、複数の処理槽で段階的に処理を行うため、原水槽に流入する濁水の水質が悪化した場合でも各処理槽の負担は然程大きくならない。その結果、各処理槽とこれに対応する各水質検知槽との間での循環処理により短時間で水質が当該処理槽における処理で要求される範囲になり、濁水を効率よく処理できる。また、循環処理時間が短くなることで、原水槽の大型化も回避できる。
【0014】
また、本発明において、処理部は、原水槽から汲み出した濁水に凝集剤を含む薬剤を添加する薬剤添加部を有すると共に、処理槽として、薬剤が添加された濁水を受け入れて浮遊物を沈殿分離させる凝集沈殿槽からなる第1処理槽と、第1処理槽より下流に位置し浮遊物を濾過する濾過槽からなる第2処理槽とを有し、更に、水質検知槽及び返送手段として、第1処理槽と第2処理槽との間に位置し第1処理槽からの水を受け入れる第1水質検知槽と、第2処理槽と清水貯留槽との間に位置し第2処理槽からの水を受け入れる第2水質検知槽と、第1水質検知槽内の水を薬剤添加部を経由して第1処理槽に返送する第1返送手段と、第2水質検知槽内の水を第2処理槽に返送する第2返送手段とを有することが望ましい。このように濾過槽からなる第2処理槽を設けることにより、清水貯留槽に流入する水を浮遊物が極めて少ない良好な水質にすることができる。また、第2処理槽に流入する水は第1処理槽での処理により浮遊物がある程度減少されるため、第2処理槽の濾過部の目詰まりの発生を抑制できる。
【0015】
尚、第1水質検知槽内の水の水質が悪化したときに、第1返送手段により第1水質検知槽内の水を第1処理槽に直接返送することも可能である。但し、上記の如く第1水質検知槽内の水を薬剤添加部を経由して第1処理槽に返送すれば、第1水質検知槽から返送される水に再度薬剤が添加されて、第1処理槽での浮遊物の沈殿が促進される。そのため、水質を早期に改善することができる。
【0016】
また、上記のものにおいては、第1水質検知槽の容量が第2処理槽より小容量であることが望ましい。このように第1水質検知槽を小容量にすることで、第1検知槽内の水質の改善がいち早く進むため、第1水質検知槽から第2処理槽への水の移送を早期に復帰させることができる。更に、第2処理槽が第1水質検知槽より大容量になるため、第1水質検知槽内の水の水質が悪化して第1水質検知槽からの水の流入が無くなった際にも、第2処理槽での濾過処理は中断せず、効率的に濁水を処理できる。
【0017】
更に、上記のものにおいては、第2水質検知槽の容量が清水貯留槽より小容量であることが望ましい。このように第2水質検知槽を小容量にすることで、第2検知槽内の水質の改善がいち早く進むため、第2水質検知槽から清水貯留槽への清水の移送を早期に復帰させることができる。更に、清水貯留槽が第2水質検知槽より大容量になるため、第2水質検知槽内の水の水質が悪化して第2水質検知槽からの水の流入が無くなった際にも、継続して清水貯留槽内の水を放流し、或いは清水貯留槽内の水を再利用することができる。
【0018】
尚、原水槽に流入する濁水の水質が良化した場合には、第1処理槽での沈澱処理により水質が第2水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲(放流可能な水質基準を満たす範囲)になることがある。従って、上記のものにおいては、第1水質検知槽内の水の検知水質が第2水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲内であるときに作動し、第1水質検知槽内の水を清水貯留槽に移送する移送手段を備えることが望ましい。これにより、第2処理槽に不必要な負担をかけることを回避できる。
【0019】
また、本発明において、各水質検知槽がオーバーフローにより上澄水を下流側へ移送するように構成されている場合は、各水質検知槽の水位を検知する水位検知手段を備え、何れかの返送手段の作動中に対応する水質検知槽の水位検知手段による検知水位が所定の基準水位以下となったときは当該返送手段の作動を停止することが好ましい。これによれば、返送手段が作動した場合も、水質検知槽の水位は基準水位以下にならない。そのため、水質検知槽内の水質が改善して返送手段が停止されたときに、水質検知槽の水位が速やかに回復する。従って、水質改善後に水質検知槽の上澄水を速やかに下流側に移送することができる。
【0020】
また、本発明においては、何れかの水質検知槽内の水の検知水質が所定時間連続して当該水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲外であるときに警報を発する報知手段を備えていることが好ましい。検知水質が所定時間連続して許容範囲外であるときは、水質検知槽内の水の返送先の処理槽での処理によっては水質が改善しないということである。このような事態が生じたときは、装置に異常が発生していることが考えられるので、報知手段により警報を発する。従って、装置を管理する者は装置に異常が発生した場合に装置の点検等を行えばよく、単に水質検知槽で検知される水質が悪化して返送手段が作動しただけでは装置の点検や整備等の必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施形態の濁水処理装置を示している。この装置は、ダムの堤体部で発生する濁水や、ダムに用いられるコンクリートの製造を行うバッチャープラント(図示省略)等で発生する濁水(原水)を受け入れる上流端の原水槽1と、下流端の清水貯留槽2と、原水槽1から汲み出した濁水を処理して清水貯留槽2に送る処理部とを備えている。処理部には、上流側から順に、薬剤添加部3、第1処理槽4、第1水質検知槽5、第2処理槽6及び第2水質検知槽7が設けられている。
【0022】
原水槽1内には原水ポンプ8が設置されている。そして、原水ポンプ8で汲み上げられた原水槽1内の濁水が原水流路9を介して第1処理槽4に移送される。原水流路9には上記薬剤添加部3が介設されている。薬剤添加部3は、凝集剤供給源3aから供給されるPAC(ポリ塩化アルミニウム)等の凝集剤と中和剤供給源3bから供給される炭酸ガス等の中和剤とからなる薬剤を濁水に添加する混合器で構成される。
【0023】
第1処理槽4は、原水流路6を介して流入する濁水中の浮遊物を沈殿分離する凝集沈殿槽で構成される。第1処理槽4の底部に沈殿したスラリーは吸出しポンプ10によりフィルタプレス11に送られる。第1処理槽4の上部には流出口4aが設けられており、第1処理槽4内の上澄水が流出口4aからオーバーフローし、第1処理水流路12を介して第1水質検知槽5に流入する。
【0024】
第1水質検知槽5には、内部の水の濁度を測定する濁度計13と、水のpHを測定するpH計14と、水位が基準水位以下となった際に信号を発するフロートスイッチ15と、内部の水を撹拌する撹拌スクリュー16と、内部の水を汲み出す第1返送ポンプ17とが設けられている。尚、フロートスイッチ15の代わりに水位計を用いてもよい。
【0025】
第1返送ポンプ17には、原水槽1に連なる第1返送流路18と清水貯留槽2に連なる移送流路19とが切換弁20を介して選択的に接続される。そして、第1返送ポンプ17に第1返送流路18を接続した状態で第1返送ポンプ17を作動すると、第1水質検知槽5内の水が原水槽1に返送され、原水槽1から薬剤添加部3を経由して第1処理槽4に戻される。かくして、第1返送ポンプ17と切換弁20と第1返送流路18とにより、第1水質検知槽5内の水を薬剤添加部3を経由して第1処理槽4に返送する第1返送手段が構成される。また、第1返送ポンプ17に移送流路19を接続した状態で第1返送ポンプ17を作動させると、第1水質検知槽5内の水が清水貯留槽2に移送される。かくして、第1返送ポンプ17と切換弁20と移送流路19とにより、第1水質検知槽5内の水を清水貯留槽2に直接移送する移送手段が構成される。ここで、第1返送ポンプ17の流量は、原水ポンプ8の流量よりも若干大きく設定される。
【0026】
また、第1水質検知槽5の上部には流出口5aが設けられている。そして、第1返送ポンプ17の停止中は、第1水質検知槽5内の上澄水が流出口5aからオーバーフローし、第2処理水流路21を介して第2処理槽6に流入する。
【0027】
第2処理槽6は、内部に設けた複数のフィルタ6aにより浮遊物を濾過する濾過槽で構成されている。そして、第2処理槽6での濾過処理を行うことにより、清水貯留槽2に流入する水を浮遊物が極めて少ない良好な水質にすることができる。また、第2処理槽6に流入する水は第1処理槽4での処理により浮遊物がある程度減少されるため、第2処理槽6のフィルタ6aの目詰まりの発生を抑制できる。第2処理槽6で処理された水は処理水ポンプ22によりこれに接続した第3処理水流路23を介して第2水質検知槽7に移送される。
【0028】
第2水質検知槽7には、内部の水の濁度を測定する濁度計24と、水位が基準水位以下となった際に信号を発するフロートスイッチ25と、内部の水を撹拌する撹拌スクリュー26と、内部の水を汲み出す第2返送ポンプ27とが設けられている。尚、フロートスイッチ25の代わりに水位計を用いてもよい。第2返送ポンプ27には第2処理槽6に連なる第2返送流路28が接続されている。かくして、第2返送ポンプ27と第2返送流路28とにより、第2水質検知槽7内の水を第2処理槽6に返送する第2返送手段が構成される。尚、第2返送ポンプ27の流量は、処理水ポンプ22の流量よりも若干大きく設定される。
【0029】
また、第2水質検知槽7の上部には流出口7aが設けられている。そして、第2返送ポンプ27の停止中は、第2水質検知槽7内の上澄水が流出口7aからオーバーフローし、第4処理水流路29を介して清水貯留槽2に流入する。
【0030】
清水貯留槽2の上部には、上澄水を近隣の河川に放流する放流手段たる放流口2aが設けられている。また、清水貯留槽2内の水を汲み出して工事用水等として再利用するための清水ポンプ30が設けられている。清水貯留槽2には、更に、濁度計31とpH計32とが設けられている。そして、濁度計31で間接的に検出されるSS(浮遊物質量)とpH計32で検出されるpHとをレコーダ33により記録している。
【0031】
ここで、第1水質検知槽5の容量は5m、第2処理槽6の容量は10mであり、第1水質検知槽5の方が第2処理槽6より小容量である。また、第2水質検知槽7の容量は3m、清水貯留槽2の容量は20mであり、第2水質検知槽7の方が清水貯留槽2より小容量である。尚、第2処理槽6の容量は第1水質検知槽5と第2水質検知槽7との合計容量よりも大きいことが望ましい。
【0032】
濁水処理装置は、更に、現場監督者の携帯電話に音声情報を通報する報知手段たる警報システム34と、コントローラ35とを備えている。コントローラ35は、原水ポンプ8、薬剤添加部3、吸出しポンプ10、撹拌スクリュー16、第1返送ポンプ17、切換弁20、処理水ポンプ22、撹拌スクリュー26、第2返送ポンプ27、清水ポンプ30及び警報システム34を制御する。また、コントローラ35には、第1水質検知槽5に設けられている濁度計13、pH計14、フロートスイッチ15、第2水質検知槽7に設けられている濁度計24、フロートスイッチ25といった各計測機器からの信号が入力される。
【0033】
次に、上記実施形態の濁水処理装置の作動について、図2を参照して説明する。ダム工事現場における堤体部やバッチャープラントから発生した濁水は、まず原水槽2内に貯留される。濁水処理装置の図示しない運転スイッチが作業員によりONにされると、原水ポンプ8、薬剤添加部3、処理水ポンプ27等の各機器が作動されて、濁水処理が開始される(S1)。
【0034】
原水槽2内に貯留された濁水は、原水ポンプ12によって原水流路9に汲み出される。そして、原水流路9内を移送される間に薬剤添加部3で濁水に凝集剤及び中和剤からなる薬剤が添加される(S2)。
【0035】
薬剤が添加された濁水は、原水流路9から第1処理槽4に流入し、第1処理槽4内で濁水中の浮遊物が凝集・沈殿して上澄水とスラリーに分離される(S3)。そして、上澄水のオーバーフロー分が第1水質検知槽5に流入する(S4)。一方、スラリーは吸出しポンプ10によってフィルタプレス11に移送される。
【0036】
第1水質検知槽5内に流入した水は、槽内の水質が均質になるように撹拌スクリュー16により撹拌され、この状態で第1水質検知槽5内の水の水質を検知する(S5)。具体的には、濁度計13によりSSを間接的に測定し、pH計14によりpHを測定する。次に、検知した水質が第1水質検知槽5に対して設定される所定の第1許容範囲内であるか否かを判別する(S6)。この第1許容範囲は第1処理槽4における処理での要求水質に合わせて、例えば、SS30ppm以下、pH5.8〜8.6に設定される。第1薬剤添加部3で添加される凝集剤や中和剤の量は、その工事現場で発生する標準的な濁水を第1許容範囲の水質にするよう調整されている。従って、よほど濁水の水質が悪化するか装置に故障等がない限り、第1水質検知槽5で検知される水質は第1許容範囲内に入る。
【0037】
そして、第1水質検知槽5で検知される水質が第1許容範囲内に入っている場合は(S6でYES)、この水質が第2水質検知槽7に対して設定される所定の第2許容範囲内であるか否かを判別する(S7)。この第2許容範囲は第2処理槽6における処理での要求水質、即ち、放流可能な水質基準に合わせて、例えば、SS20ppm以下に設定される。第1水質検知槽5で検知される水質は通常は第2許容範囲内にはならず、この場合は(S7でNO)、第1返送ポンプ17が停止しているか否かを判別し(S8)、第1返送ポンプ17が作動中であれば、その作動を停止する(S9)。
【0038】
このように、第1返送ポンプ17が停止していれば、第1水質検知槽5のオーバーフロー分の水が第2処理槽6に流入して、第2処理槽6での濾過処理が行われる(S10)。そして、第2処理槽6で処理された水が処理水ポンプ22により移送されて第2水質検知槽7に流入する(S11)。
【0039】
第2水質検知槽7内に流入した水は、槽内の水質が均質になるように撹拌スクリュー26により撹拌され、この状態で第2水質検知槽7内の水の水質、即ち、SSを濁度計24により検知する(S12)。次に、検知した水質が第2許容範囲内であるか否かを判別し(S13)、水質がこの第2許容範囲内である場合は(S13でYES)、第2返送ポンプ27が停止しているか否かを判別し(S14)、第2返送ポンプ27が作動中であれば、その作動を停止する(S15)。
【0040】
このように第2返送ポンプ27が停止していれば、第2水質検知槽7のオ―バーフロー分の水が清水貯留槽2に流入し、水質が第2許容範囲内にある水がこの清水貯留槽2に貯留される。清水貯留槽2に貯留された水は、コントローラ35が必要に応じて清水ポンプ30を作動させて工事現場に移送し、工事現場において再利用がなされる。また、清水貯留槽2の水位が放流口2aの高さに達すると、この放流口2aから近隣の河川に水が放流される。
【0041】
次に、濁水処理を終了するか否かを判別する(S16)。濁水処理装置を継続運転している状態で、作業者が図示しない運転スイッチをOFFにすると(S16でYES)、原水ポンプ12等の各機器が停止されて(S17)、濁水処理装置の運転が終了する。一方、運転スイッチがOFFされなければ(S16でNO)、S2の処理工程に戻って上記処理が繰り返される。
【0042】
ここで、原水に一時的な水質の変化があった場合について説明する。工事現場においては、掘削やコンクリートの打設など、その作業の種類が刻々と変化し、また湧水の発生など不測の事態も多く、原水槽2に導入される原水の水質が一時的に変化することは多い。このような場合、第1処理槽4から第1水質検知槽5内に流入する水の水質が許容範囲外となることがある。この場合は(S6でNO)、フロートスイッチ15からの信号により第1水質検知槽5の水位が所定の基準水位以上であるか否かを判別する(S18)。第1水質検知槽5の水位が基準水位以上であれば(S18でYES)、切換弁20を第1返送流路18側に切換えた状態で第1返送ポンプ17を作動させる(S19)。
【0043】
第1返送ポンプ17が作動すると、第1返送ポンプ17による返送流量が原水ポンプ8の流量、即ち、第1水質検知槽5への流入水量よりも若干大となっているため、第1水質検知槽5の水位が下がり、流出口5aからの水の流出が止まる。このため、水質が悪化した水は第2処理槽6には移送されない。
【0044】
次に、第1水質検知槽5の水質が所定時間(例えば3分間)連続して第1許容範囲外であるか否かを判別する(S20)。第1許容範囲外の状態が所定時間連続していなければ(S20でNO)、S2からS6の処理を行い、第1水質検知槽5内の水質の監視を続ける。
【0045】
第1返送ポンプ17が作動すると、第1水質検知槽5内の水が第1返送流路18を介して原水槽1に返送される。この原水槽1に返送された水は、原水槽1内の濁水と混合されて原水ポンプ8により原水流路9に送り出され、薬剤添加部3で薬剤を添加された状態で第1処理槽4に導入される。このように原水槽2、薬剤添加部3、第1処理槽4及び第1水質検知槽5の間での循環処理が行われることにより第1水質検知槽5内の水の水質は徐々に向上する。そして、第1水質検知槽5内の水質が第1許容範囲内になったところで、第1返送ポンプ17を停止させる(S9)。第1返送ポンプ17が停止すれば、第1水質検知槽5内の水位が上がり、流出口5aから水がオーバーフローするので、当該オーバーフロー水が第2処理槽6に導入される。
【0046】
尚、第2処理槽6を省略し、第1処理槽4のみで水質が上記第2許容範囲(放流可能な水質基準を満たす範囲)内になるように処理することも考えられる。然し、これでは、原水槽1に流入する濁水の水質が悪化した場合、第1処理槽4の負担が大きくなり過ぎる。そして、原水槽2、薬剤添加部3、第1処理槽4及び第1水質検知槽5の間での循環処理により第2許容範囲を満たすまで水質を改善するには相当の時間を要し、濁水を効率よく処理できなくなる。また、この循環処理中も原水槽1に濁水を流入させる必要があるため、循環処理時間が長くなる分、原水槽1の容量を大きくせざるを得なくなる。
【0047】
これに対し、本実施形態によれば、第1と第2の2つの処理槽4,6で段階的に処理を行うため、第1処理槽4における処理で要求される水質範囲である第1許容範囲は第2許容範囲ほど厳しくはない。従って、原水槽1に流入する濁水の水質が悪化した場合でも第1処理槽4の負担は然程大きくならない。その結果、原水槽1、薬剤添加部3、第1処理槽4及び第1水質検知槽5の間での循環処理により短時間で水質が第1許容範囲内になり、濁水を効率よく処理できる。また、循環処理時間が短くなることで、原水槽1の大型化も回避できる。
【0048】
尚、第1水質検知槽5内の水の水質が悪化したときに、第1返送ポンプ17により第1水質検知槽5内の水を第1処理槽4に直接返送することも可能である。但し、本実施形態の如く第1水質検知槽5内の水を薬剤添加部3を経由して第1処理槽4に返送すれば、第1水質検知槽5から返送される水に再度薬剤が添加されて、第1処理槽4での浮遊物の沈殿が促進される。そのため、水質を早期に改善することができる。
【0049】
また、本実施形態では、第1水質検知槽5が小容量であるため、第1検知槽5内の水質の改善がいち早く進んで、第1水質検知槽5から第2処理槽6への水の移送を早期に復帰させることができる。更に、第2処理槽6が第1水質検知槽5より大容量であるため、第1水質検知槽5内の水の水質が悪化して第1水質検知槽5からの水の流入が無くなった際にも、第2処理槽6での濾過処理は中断せず、効率的に濁水を処理できる。
【0050】
ところで、第1返送ポンプ17の作動中は、第1返送ポンプ17による返送流量の方が第1水質検知槽5への流入流量より若干大きいため、第1水質検知槽5の水位が徐々に下がっていく。そして、フロートスイッチ15により水質検知槽5の水位が基準水位以下になったことが検知されたときは(S18でNO)、第1返送ポンプ17が停止される(S8でNO,S9)。このように、第1返送ポンプ17が停止すると、第1水質検知槽5には第1処理槽4から水が流入しているので、徐々に水位が上がっていく。従って、第1返送ポンプ17が作動した場合も、第1水質検知槽5の水位は基準水位以下にならない。そのため、第1水質検知槽5の水質が第1許容範囲内になったときに、第1水質検知槽5の水位が流出口5aからオーバーフローするレベルまで速やかに上昇し、第1水質検知槽5から第2処理槽6への水の移送を早期に復帰させることができる。一方、第1水質検知槽5内の水質が第1許容範囲外であり(S6でNO)、第1水質検知槽5の水位が基準水位を越えた場合は(S18でYES)、第1返送ポンプ17の作動が再開される(S19)。
【0051】
また、第1水質検知槽5の水質が所定時間連続して第1許容範囲外である場合には(S20でYES)、警報システム34を作動させて現場監督者の携帯電話に音声情報を通報する(S21)。音声情報は、例えば「第1処理槽での処理不良が発生した。」といったボイスメッセージである。通報する優先順位は、例えば濁水処理装置の運転管理を行っている者に対し、(1)主担当の携帯電話、(2)副担当の携帯電話、(3)現場事務所の固定電話の順とすることができる。このように複数の連絡先を予め登録しておくことにより、異常を確実に通報することができる。
【0052】
第1許容範囲外の状態が所定時間継続する場合は、薬剤添加部3又は第1処理槽4等の故障や濁水の水質が極端に変化した可能性がある。そこで、上記の如く作業員や現場監督者に報知することにより、装置の点検や整備、凝集剤又は中和剤の添加量の設定変更を行わせるようにしている。
【0053】
また、原水槽1に流入する濁水の水質が良化すると、第1水質検知槽5内の水の水質が第1許容範囲内で且つ第2許容範囲内になり、第2処理槽6での濾過処理が不要になることがある。この場合は(S7でYES)、フロートスイッチ15からの信号により第1水質検知槽5の水位が基準水位以上であるか否かを判別し(S22)、基準水位以上であれば(S22でYES)、切換弁20を移送流路19側に切換えた状態で第1返送ポンプ17を作動させる(S23)。これにより、第1水質検知槽5内の水が直接的に清水貯留槽2に移送される。従って、第2処理槽6に不必要な負担をかけることを回避できる。
【0054】
また、第2水質検知槽7内の水の水質が第2許容範囲外になった場合は(S13でNO)、フロートスイッチ25からの信号により第2水質検知槽7の水位が所定の基準水位以上であるか否かを判別し(S24)、基準水位以上であれば(S24でYES)、第2返送ポンプ27を作動させる(S25)。次に、第2水質検知槽7の水質が所定時間(例えば3分間)連続して第2許容範囲外であるか否かを判別し(S26)、第2許容範囲外の状態が所定時間連続していなければ(S26でNO)、S2の処理工程に戻り上記処理が繰り返される。
【0055】
第2返送ポンプ27が作動すると、第2返送ポンプ27による返送流量が処理水ポンプ22による第2水質検知槽7への移送流量よりも若干大となっているため、第2水質検知槽7の水位が下がり、流出口7aからの水の流出が止まる。このため、第2許容範囲外の水質の水は清水貯留槽2には移送されない。更に、第2返送ポンプ27の作動中は水が第2処理槽6と第2水質検知槽7との間で循環しつつ処理され、この循環処理により第2水質検知槽7内の水の水質は徐々に向上する。そして、第2水質検知槽7内の水質が第2許容範囲内になったところで、第2返送ポンプ27を停止させる(S15)。第2返送ポンプ27が停止すれば、第2水質検知槽7内の水位が上がり、流出口7aから水がオーバーフローするので、当該オーバーフロー水が清水貯留槽2に導入される。
【0056】
また、フロートスイッチ25により第2水質検知槽7の水位が基準水位以下になったことが検知されたときは(S24でNO)、第2返送ポンプ27が停止される(S14でNO,S15)。このように、第2返送ポンプ27が停止すると、第2水質検知槽7には第2処理槽6から水が流入しているので、徐々に水位が上がっていく。従って、第2返送ポンプ27が作動した場合も、第2水質検知槽7の水位は基準水位以下にならない。そのため、第2水質検知槽7の水質が第2許容範囲内になったときに、第2水質検知槽7の水位が流出口7aからオーバーフローするレベルまで速やかに上昇し、第2水質検知槽7から清水貯留槽2への水の移送を早期に復帰させることができる。一方、第2水質検知槽7の水質が第2許容範囲外であり(S13でNO)、第2水質検知槽7の水位が基準水位を越えた場合は(S24でYES)、第2返送ポンプ27の作動が再開される(S25)。
【0057】
ここで、本実施形態では、第2水質検知槽7が小容量であるため、第2検知槽7内の水質の改善がいち早く進み、第2水質検知槽7から清水貯留槽2への清水の移送を早期に復帰させることができる。更に、清水貯留槽2が第2水質検知槽7より大容量であるため、第2水質検知槽7内の水の水質が悪化して第2水質検知槽7からの水の流入が無くなった際にも、継続して清水貯留槽2内の水を放流し、或いは清水貯留槽2内の水を再利用することができる。
【0058】
ところで、第2処理槽6等の故障を生ずると、第2水質検知槽7の水質が所定時間経過しても第2許容範囲内にならないことがある。そこで、第2水質検知槽7の水質が所定時間連続して第2許容範囲外である場合には(S26でYES)、警報システム34を作動させて現場監督者の携帯電話に音声情報を通報する(S27)。音声情報は、例えば「第2処理槽での処理不良が発生した。」といったボイスメッセージである。この通報により、装置の点検や整備を速やかに行うことができる。
【0059】
また、第2水質検知槽7内の水の水質が第2許容範囲外になっても、濁度計24の故障や第2返送ポンプ27の故障等で第2水質検知槽7内の水が清水貯留槽2に流入してしまう可能性がある。そこで、図2には示していないが、清水貯留槽2に設けた記録用の濁度計31やpH計32で検出される清水貯留槽2内の水の水質が第2許容範囲外になったときにも警報システム34を作動させる。
【0060】
尚、各機器が正常であれば、第1と第2の各水質検知槽5,7内の水の水質が第1と第2の各許容範囲外になったときは、第1と第2の各返送ポンプ17,27の作動による循環処理で各水質検知槽5,7の水質は自動的に各許容範囲内に収まる。従って、各水質検知槽5,7内の水の水質が各許容範囲外になっても、作業員や現場監督者が一々装置の点検や調整を行う必要がなく、日々のメンテナンスが非常に容易になる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態の第2処理槽6は浮遊物をフィルタ6aで濾過する方式の濾過槽で構成されているが、浮遊物を砂で濾過する方式の濾過槽を用いてもよい。この場合、濾過砂の影響で処理水のpHが変化する可能性がある。そのため、第2水質検知槽7に濁度計24に加えてpH計を設けると共に、第2返送流路28に中和剤添加部を介設し、pH計による検出pHが許容範囲外になった場合には、第2水質検知槽7から第2処理槽6に返送する水に中和剤を添加して、pHが許容範囲内になるように制御することが望ましい。
【0062】
また、上記実施形態では、第1水質検知槽5内の水を薬剤添加部3を介して第1処理槽4に返送する第1返送手段と第1水質検知槽5内の水を清水貯留槽2に直接移送する移送手段とに第1返送ポンプ17を共用するようにしたが、第1水質検知槽5に第1返送手段用と移送手段用の2台のポンプを設けてもよい。
【0063】
また、第1と第2の各水質検知槽5,7の流出口5a,7aや処理水流路21,29に開閉自在なゲートを設け、水質が許容範囲外であるときには、返送ポンプ17,27を作動させると共にゲートを閉鎖するようにしてもよい。これによれば、各水質検知槽5,7からその下流側の槽6,2に許容範囲外の水質の水が移送されることをより確実に防止できる。また、上記実施形態では、第1と第2の各水質検知槽5,7からその下流側の槽6,2にオーバーフローで水が移送されるようにしたが、各水質検知槽5,7に返送ポンプ22,27に加えて移送ポンプを設け、水質が許容範囲内であるときに各水質検知槽5,7からその下流側の槽6,2に移送ポンプにより水を移送することも可能である。
【0064】
また、上記実施形態の警報システム34は、現場監督者等の携帯電話に音声情報を通報するようにしているが、これに限らず、サイレンを鳴らしたり、現場監督者等の携帯電話や現場事務所のパソコンに上記した音声情報と同様な内容の電子メールを発信するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、処理部に第1処理槽4と第2処理槽6との2つの処理槽を設けているが、3つ以上の処理槽を処理部に設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態の濁水処理装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1の濁水処理装置の作動を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0067】
1…原水槽、2…清水貯留槽、2a…放流口(放流手段)、3…薬剤添加部、4…第1処理槽、5…第1水質検知槽、6…第2処理槽、7…第2水質検知槽、13…濁度計(第1水質検知槽の水質検知手段)、14…pH計(第1水質検知槽の水質検知手段)、15…フロートスイッチ(第1水質検知槽の水位検知手段)17…第1返送ポンプ(第1返送手段、移送手段)、18…第1返送流路(第1返送手段)、19…移送流路(移送手段)、20…切換弁(第1返送手段、移送手段)、24…濁度計(第2水質検知槽の水質検知手段)、25…フロートスイッチ(第2水質検知槽の水位検知手段)27…第2返送ポンプ(第2返送手段)、28…第2返送流路(第2返送手段)、30…清水ポンプ、34…警報システム(報知手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁水を受け入れる原水槽と、原水槽から汲み出した濁水を順に処理する複数の処理槽を有する処理部と、処理部を経由した水を受け入れて貯留する清水貯留槽とを備えると共に、清水貯留槽内の水を外部に放流する放流手段と、清水貯留槽内の水を再利用するために汲み出す清水ポンプとの少なくとも一方を備え、
処理部は、更に、各処理槽に対応してその下流側に個別に設けられた、処理槽からの水を受け入れ水質検知手段により水質を検知する水質検知槽と、各水質検知槽に対応して個別に設けられた、水質検知槽内の水の水質検知手段による検知水質が当該水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲外のときに作動し、水質検知槽内の水を当該水質検知槽に対応する上流側の処理槽に返送して、水質検知槽からその下流側への水の移送を停止する返送手段とを有することを特徴とする濁水処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記原水槽から汲み出した濁水に凝集剤を含む薬剤を添加する薬剤添加部を有すると共に、前記処理槽として、薬剤が添加された濁水を受け入れて浮遊物を沈殿分離させる凝集沈殿槽からなる第1処理槽と、第1処理槽より下流に位置し浮遊物を濾過する濾過槽からなる第2処理槽とを有し、更に、前記水質検知槽及び前記返送手段として、第1処理槽と第2処理槽との間に位置し第1処理槽からの水を受け入れる第1水質検知槽と、第2処理槽と前記清水貯留槽との間に位置し第2処理槽からの水を受け入れる第2水質検知槽と、第1水質検知槽内の水を薬剤添加部を経由して第1処理槽に返送する第1返送手段と、第2水質検知槽内の水を第2処理槽に返送する第2返送手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の濁水処理装置。
【請求項3】
前記第1水質検知槽の容量が前記第2処理槽より小容量であることを特徴とする請求項2記載の濁水処理装置。
【請求項4】
前記第2水質検知槽の容量が前記清水貯留槽より小容量であることを特徴とする請求項2又は3記載の濁水処理装置。
【請求項5】
前記第1水質検知槽内の水の検知水質が前記第2水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲内であるときに作動し、第1水質検知槽内の水を前記清水貯留槽に直接移送する移送手段を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の濁水処理装置。
【請求項6】
前記各水質検知槽は、オーバーフローにより上澄水を下流側へ移送するよう構成されると共に水位を検知する水位検知手段を備え、何れかの前記返送手段の作動中に対応する水質検知槽の水位検知手段による検知水位が所定の基準水位以下となったときは当該返送手段の作動を停止することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の濁水処理装置。
【請求項7】
何れかの前記水質検知槽内の水の検知水質が所定時間連続して当該水質検知槽に対して設定された所定の許容範囲外であるときに警報を発する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の濁水処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−229437(P2008−229437A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70200(P2007−70200)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】