濃度検出装置
【課題】エンジンルーム内のような高温環境下に設置した場合でも、動作不良を発生することなく使用可能にする。
【解決手段】本発明の濃度検出装置1は、リードフレーム8と、燃料濃度検出用のセンサチップ9と、信号処置用の回路チップ10と、これらリードフレーム8、センサチップ9および回路チップ10をモールドするモールド樹脂11とを備えてなる装置であって、燃料流路18の流路壁に貫通状に取り付けられる取り付け部材3を備え、この取り付け部材3のうちの燃料流路18内に突出する突出端部に濃度検出装置1のモールド樹脂11の一方の面11bを当接させるように取り付け、モールド樹脂11の他方の面11cに燃料が接触しながら流れるように構成した。
【解決手段】本発明の濃度検出装置1は、リードフレーム8と、燃料濃度検出用のセンサチップ9と、信号処置用の回路チップ10と、これらリードフレーム8、センサチップ9および回路チップ10をモールドするモールド樹脂11とを備えてなる装置であって、燃料流路18の流路壁に貫通状に取り付けられる取り付け部材3を備え、この取り付け部材3のうちの燃料流路18内に突出する突出端部に濃度検出装置1のモールド樹脂11の一方の面11bを当接させるように取り付け、モールド樹脂11の他方の面11cに燃料が接触しながら流れるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアルコール混合燃料のアルコール濃度を検出する濃度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオアルコール燃料の普及を受け、今後はアルコール濃度可変の燃料を使用できるFlex Fuel Vehicle(FFV)が普及すると予想される。FFVのエンジンの燃焼制御においては、現在、酸素センサを用いて排ガス中の酸素濃度を検出し、この検出した酸素濃度から燃料中のアルコール濃度を間接的に推定して検出するようにしている。しかし、酸素センサの特性上、ガソリンの理論空燃比以外では検出精度が悪く、特にエンジンの低温始動時にアルコール濃度の検出精度が悪化する。このため、エンジンの始動性向上、エミッション低減に対する今後の高い要求を満たすためには、燃料中のアルコール濃度を直接的に測定する必要がある。このアルコール濃度を直接測定する装置としては、特許文献1および2に記載された検出器が知られている。
【特許文献1】特表平5−507561号公報
【特許文献2】特開2004−125464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された検出器は、混合気のアルコール含有量を検出する検出器であり、ケーシングと、このケーシング内に混合気に曝されるように設けられたセンサとから構成されている。しかし、上記構成の検出器は、全体の構成が大きいので、取付け場所に制約を受けるという問題がある。
【0004】
この問題を解消する小型の検出装置の一例として、特許文献2に記載されたアルコール濃度センサ及びアルコール濃度測定装置が知られている。このような小型の濃度検出装置をエンジンルーム内に設置するに際しては、エンジン制御性の観点から見ると、濃度検出装置と燃料噴射装置(インジェクタ)との間の距離を短くする方が好ましい。というのは、燃料濃度を検出して噴射量を調整するまでのタイムラグを小さくすることができるためである。このため、濃度検出装置を、エンジンルーム内のフューエルデリバリーパイプ、または、フューエルデリバリーパイプに近い燃料配管に取り付けることが望ましい。
【0005】
しかし、エンジンルーム内の環境においては、雰囲気温度が最高140℃程度まで上昇するため、濃度検出装置内に信号処理回路用の半導体チップが配設されている場合には、半導体チップ上の信号処理回路において電流リークが増大し、動作不良が生じる可能性が高くなるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、エンジンルーム内のような高温環境下に設置した場合でも、動作不良を発生することなく使用することができる濃度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、リードフレームと、リードフレーム上に取り付けられた燃料濃度検出用のセンサチップと、リードフレーム上に取り付けられた信号処置用の回路チップと、前記リードフレーム、前記センサチップおよび前記回路チップをモールドするモールド樹脂とを備えてなる濃度検出装置であって、燃料が流れる燃料流路の流路壁に貫通状に取り付けられる取り付け部材を備え、前記取り付け部材のうちの前記燃料流路内に突出する突出端部に前記濃度検出装置のモールド樹脂の一方の面を当接させるように取り付け、前記モールド樹脂の他方の面に燃料が接触しながら流れるように構成したので、エンジンルーム内のような高温環境下に設置した場合でも、濃度検出装置の回路チップから発生する熱を燃料側に放熱することができ、従って、動作不良を発生することなく使用することができる。
【0008】
上記構成の場合、請求項2の発明のように、前記モールド樹脂の熱伝導率が、前記取り付け部材の熱伝導率よりも小さいことが好ましい。また、請求項3の発明のように、前記モールド樹脂は、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂であることが良い構成である。
【0009】
請求項4の発明によれば、前記モールド樹脂に、空気を含ませるように構成したので、高温環境からの熱が伝わり難くなる。
請求項5の発明によれば、前記モールド樹脂を、少なくとも2種類のモールド樹脂で構成し、燃料に接する側のモールド樹脂の熱伝導率を、燃料に接しない側のモールド樹脂の熱伝導率よりも大きくしたので、濃度検出装置の回路チップから発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、高温環境からの熱が伝わり難くなる。この場合、請求項6の発明のように、前記燃料に接する側のモールド樹脂に、熱伝導性フィラーを充填することが好ましい。
【0010】
請求項7の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法を、前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法よりも小さくするように構成したので、濃度検出装置から発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、高温環境に対する断熱性を高めることができる。
【0011】
請求項8の発明によれば、前記モールド樹脂と前記取り付け部材との間に低熱伝導材料製のシートを設けたので、高温環境に対する断熱性を高めることができる。
請求項9の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する部分の面積を小さくしたので、高温環境に対する断熱性を高めることができる。
【0012】
請求項10の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面に、パリレン、シリカなどの無機材料をコーティングしたので、濃度検出装置から発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、燃料が濃度検出装置内に浸透することを防止できる。
【0013】
請求項11の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくしたので、モールド樹脂と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性を高めることができる。
【0014】
請求項12の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分に、多数の溝を有するフィン形状部を設けたので、モールド樹脂と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性を高めることができる。この場合、請求項13の発明のように、前記モールド樹脂のフィン形状部の溝が、燃料の流れる方向に沿うように、前記モールド樹脂を配置することが好ましい。
【0015】
請求項14の発明によれば、前記センサチップと、前記回路チップをワンチップで構成したので、濃度検出装置の全体構成をより一層小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を例えばアルコール混合燃料のアルコールの混合比を検出する濃度検出装置に適用した第1の実施例について、図1ないし図3を参照しながら説明する。まず、図2は、本実施例の濃度検出装置1の全体構成を示す図である。図2に示すように、濃度検出装置1は、半導体装置2と、取り付け部材3とから構成されている。取り付け部材3は、金属(例えばSUS)製のハウジング4と、このハウジング4にかしめ固定されたプラスチック製のコネクタ5とから構成されている。
【0017】
ハウジング4は、外周部にねじ部4aが形成された上部ハウジング4bと、この上部ハウジング4bと一体に形成されたナット部4cとを有する。上部ハウジング4bの上面部に、矩形状の半導体装置2が貼り付けられており、この半導体装置2の周囲には封止材(例えばフッ素系の樹脂)6が設けられている。
【0018】
コネクタ5には、信号取り出し電極として例えば3個のターミナル7が配設されており、これらターミナル7は、ハウジング4に形成された貫通孔4dを通るように上方へ延びており、半導体装置2の3個のリード端子8aに例えば溶接されて接続されている。尚、ハウジング4の貫通孔4dとターミナル7との間は、絶縁物にて絶縁されている。
【0019】
さて、半導体装置2は、図1に示すように、リードフレーム8と、このリードフレーム8上に取り付けられた燃料濃度検出用のセンサチップ9と、リードフレーム8上に取り付けられた信号処置用の回路チップ10と、リードフレーム8、センサチップ9および回路チップ10をモールドするモールド樹脂11とを備えている。
【0020】
センサチップ9および回路チップ10は、リードフレーム8上にダイボンド12を介して接着されている。センサチップ9と回路チップ10との間、並びに、回路チップ10とリードフレーム8のリード端子8aとの間は、ボンディングワイヤ13を介して接続されている。
【0021】
センサチップ9は、半導体基板14と、この半導体基板14上に形成された例えば櫛歯状電極からなる検出部15と、半導体基板14上に検出部15を覆うように形成された保護膜16とから構成されている。モールド樹脂11におけるセンサチップ9の検出部15に対応する部位には、検出部15を露出させるように開口部11aが形成されている。これにより、検出部である櫛歯状電極を測定したい燃料に曝すことができる。
【0022】
回路チップ10は、半導体基板17と、この半導体基板17上に形成されたCMOSトランジスタや抵抗やコンデンサ等とから構成されており、フィルタ回路および増幅回路等としての機能を備えている。そして、櫛歯状電極の櫛歯間の静電容量値(燃料の誘電率に準じた静電容量値)から、燃料に含まれるアルコール濃度を検出するに当たっては、予め、燃料(ガソリンとアルコール)の混合比率と静電容量値との間の関係を示すデータを求めて記憶しておく。このデータに基づいて、検出した静電容量値に対応する混合比率(濃度)を求めることができる。センサチップ9の検出部15で検出された検出信号は、回路チップ10にて信号処理された後、リード端子8aを介して出力される。
【0023】
また、静電容量だけでなく、誘電損失等も含めたインピーダンスの形で測定しても良い。複数の物理量を同時測定することで、測定精度の向上や、異物混入の判定や、誤差補正等が可能となる。
【0024】
モールド樹脂11は、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂で構成されており、その熱伝導率は、取り付け部材3(ハウジング4、即ち、SUS)の熱伝導率よりも小さい。
【0025】
次に、図3を参照しながら、上記した構成の濃度検出装置1を、燃料が流れる燃料流路である例えば燃料配管18に取り付ける構造について説明する。燃料配管18は、車両のエンジンルーム(高温環境)内に配設されている。エンジンルーム内は、雰囲気温度が最高140℃程度まで上昇することから、燃料配管18の管壁の温度もエンジンルーム内の雰囲気温度近くまで上昇する。尚、燃料配管18内を流れる燃料の温度は、70℃程度である。
【0026】
この場合、図3に示すように、燃料配管18の管壁(流路壁)18aのうちの濃度検出装置1を取り付ける部位には、取り付け用のねじ孔18bが形成されている。このねじ孔18b内に、濃度検出装置1の取り付け部材3のハウジング4の上部ハウジング4bをねじ込んで締め付け固定する。このとき、濃度検出装置1の上部ハウジング4bを燃料配管18の管壁18aに貫通状に取り付けており、上部ハウジング4bの上端部が燃料配管18内を流れる燃料中に突出するように構成されている。これにより、上部ハウジング4bの上面部に取り付けられた半導体装置2の上面に燃料が直接接触しながら流れる構成となる。
【0027】
この構成の場合、取り付け部材3のうちの燃料配管18内に突出する上部ハウジング4bの上面部(突出端部)に、濃度検出装置1のモールド樹脂11の一方の面(図1中の下面11b)が当接している。そして、モールド樹脂11の他方の面(図1中の上面11c)に燃料が接触しながら流れる構成となっている。
【0028】
このような構成の本実施例によれば、燃料配管18の管壁に貫通状に取り付けられる金属製の取り付け部材3の上部ハウジング4bの上面部に、半導体装置2のモールド樹脂11の一方の面11bを当接させると共に、モールド樹脂11の他方の面11cに燃料が接触しながら流れるように構成したので、濃度検出装置1をエンジンルーム内のような高温環境下に設置した場合でも、濃度検出装置1の半導体装置2の回路チップ10から発生する熱を燃料側に良好に放熱することができる。これにより、半導体装置2の温度を燃料の温度と同等程度に保持することができる。従って、濃度検出装置1、即ち、半導体装置2が動作不良を起こすことを防止できる。
【0029】
また、上記実施例の場合、モールド樹脂11を、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂で構成し、モールド樹脂11の熱伝導率が、取り付け部材3(SUS)の熱伝導率よりも小さい構成としたので、高温環境である取り付け部材3からの熱が半導体装置2に伝わり難くなる。即ち、取り付け部材3からの熱に対する半導体装置2のモールド樹脂11の断熱性を高めることができる。
【0030】
尚、上記実施例において、モールド樹脂11に、空気を含ませるように構成(即ち、発泡樹脂で構成)するようにしても良く、このように構成すると、モールド樹脂11の断熱性をより一層高めることができる。
【0031】
図4は、本発明の第2の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第2の実施例では、モールド樹脂11を、2種類のモールド樹脂19、20で構成し、燃料に接する側のモールド樹脂19の熱伝導率を、燃料に接しない側のモールド樹脂20の熱伝導率よりも大きくするように構成した。上述した以外の第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0032】
従って、第2の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2の実施例によれば、濃度検出装置1の回路チップ10から発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、高温環境(取り付け部材3)からの熱が回路チップ10へより一層伝わり難くなる。
【0033】
尚、上記第2の実施例の場合、燃料に接する側のモールド樹脂19に、熱伝導性フィラーを充填することが好ましい。熱伝導性フィラーの材料としては、BN、AlN、アルミナなどのセラミック系、もしくはAl、Cu、Feなどの金属粉末を用いることが良い。モールド樹脂19に熱伝導性フィラーを充填すると、モールド樹脂19の熱伝導率をより一層高くすることが可能となるから、放熱性をより一層高めることができる。
【0034】
図5は、本発明の第3の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第3の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する面11cからリードフレーム8までの厚み寸法d1を、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接する面11bからリードフレーム8までの厚み寸法d2よりも小さくするように構成した。上述した以外の第3の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0035】
従って、第3の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第3の実施例によれば、濃度検出装置1の回路チップ10から発生する熱を燃料側に一層放熱し易くなると共に、高温環境に対する断熱性を一層高めることができる。
【0036】
図6は、本発明の第4の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第4の実施例では、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接触する側の面11bに、低熱伝導材料(例えばゴムやポリウレタン等)製のシート21を貼り付けた。上述した以外の第4の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0037】
従って、第4の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第4の実施例によれば、モールド樹脂11と取り付け部材3との間に低熱伝導材料製のシート21を設ける構成としたので、高温環境に対する断熱性をより一層高めることができる。
【0038】
図7は、本発明の第5の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第5の実施例では、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接する面11bに、凸部22を設け、モールド樹脂11と取り付け部材3(のハウジング4)との接触面積を小さくするように構成した。上述した以外の第5の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0039】
従って、第5の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第5の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接する部分の面積を小さくしたので、高温環境に対する断熱性をより一層高めることができる。
【0040】
図8は、本発明の第6の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第6の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分11cの表面に、パリレン、シリカなどの無機材料23をコーティングした。上述した以外の第6の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0041】
従って、第6の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第6の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分11cの表面に無機材料23をコーティングしたので、濃度検出装置1から発生する熱を燃料側に放熱し易くなる、即ち、放熱性を高めることができると共に、燃料がモールド樹脂11(濃度検出装置1)内に浸透することを防止できるから、電気的接続部やボンディングワイヤ13等が腐食したり、損傷したりすることを防止できる。
【0042】
図9は、本発明の第7の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第7の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくするように凹凸状部24を形成した。上述した以外の第7の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0043】
従って、第7の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第7の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくしたので、モールド樹脂11と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性をより一層高めることができる。
【0044】
図10および図11は、本発明の第8の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第8の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分に、多数の溝25aを有するフィン形状部25を設けると共に、モールド樹脂11のフィン形状部25の溝25aが、燃料の流れる方向A(図11参照)に沿うように、モールド樹脂11(濃度検出装置1)を配置するように構成した。上述した以外の第8の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0045】
従って、第8の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第8の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分に、多数の溝25aを有するフィン形状部25を設けたので、モールド樹脂11と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性を高めることができる。更に、モールド樹脂11のフィン形状部25の溝25aを、燃料の流れる方向に沿うように構成したので、放熱性をより一層高めることができる。
【0046】
尚、上記した各実施例においては、センサチップ9と回路チップ10を別チップとして設けたが、これに代えて、センサチップと回路チップをワンチップで構成しても良い。例えば、図12に示す本発明の第9の実施例のように、1個のチップ26に、検出部15と、フィルタ回路および増幅回路等を設けるように構成した。尚、上述した以外の第9の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。従って、第9の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第9の実施例によれば、濃度検出装置1の全体構成をより一層小型化することができる。
【0047】
また、上記各実施形態では、濃度検出装置1を燃料配管18に取り付けるように構成したが、これに限られるものではなく、エンジンルルーム内のフューエルデリバリーパイプに取り付けるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施例を示す半導体装置の縦断面図
【図2】(a)は濃度検出装置の縦断面図、(b)は濃度検出装置の上面図
【図3】燃料配管への濃度検出装置の取り付けを説明する図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【図5】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第5の実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第6の実施例を示す図1相当図
【図9】本発明の第7の実施例を示す図1相当図
【図10】本発明の第8の実施例を示す図1相当図
【図11】半導体装置の上面図
【図12】本発明の第9の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は濃度検出装置、2は半導体装置、3は取り付け部材、4はハウジング、5はコネクタ、6は封止材、7はターミナル、8はリードフレーム、8aはリード端子、9はセンサチップ、10は回路チップ、11はモールド樹脂、12はダイボンド、13はボンディングワイヤ、14は半導体基板、15は検出部、17は半導体基板、18は燃料配管(燃料流路)、19、20はモールド樹脂、21はシート、22は凸部、23は無機材料、24は凹凸状部、25はフィン形状部を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアルコール混合燃料のアルコール濃度を検出する濃度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオアルコール燃料の普及を受け、今後はアルコール濃度可変の燃料を使用できるFlex Fuel Vehicle(FFV)が普及すると予想される。FFVのエンジンの燃焼制御においては、現在、酸素センサを用いて排ガス中の酸素濃度を検出し、この検出した酸素濃度から燃料中のアルコール濃度を間接的に推定して検出するようにしている。しかし、酸素センサの特性上、ガソリンの理論空燃比以外では検出精度が悪く、特にエンジンの低温始動時にアルコール濃度の検出精度が悪化する。このため、エンジンの始動性向上、エミッション低減に対する今後の高い要求を満たすためには、燃料中のアルコール濃度を直接的に測定する必要がある。このアルコール濃度を直接測定する装置としては、特許文献1および2に記載された検出器が知られている。
【特許文献1】特表平5−507561号公報
【特許文献2】特開2004−125464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された検出器は、混合気のアルコール含有量を検出する検出器であり、ケーシングと、このケーシング内に混合気に曝されるように設けられたセンサとから構成されている。しかし、上記構成の検出器は、全体の構成が大きいので、取付け場所に制約を受けるという問題がある。
【0004】
この問題を解消する小型の検出装置の一例として、特許文献2に記載されたアルコール濃度センサ及びアルコール濃度測定装置が知られている。このような小型の濃度検出装置をエンジンルーム内に設置するに際しては、エンジン制御性の観点から見ると、濃度検出装置と燃料噴射装置(インジェクタ)との間の距離を短くする方が好ましい。というのは、燃料濃度を検出して噴射量を調整するまでのタイムラグを小さくすることができるためである。このため、濃度検出装置を、エンジンルーム内のフューエルデリバリーパイプ、または、フューエルデリバリーパイプに近い燃料配管に取り付けることが望ましい。
【0005】
しかし、エンジンルーム内の環境においては、雰囲気温度が最高140℃程度まで上昇するため、濃度検出装置内に信号処理回路用の半導体チップが配設されている場合には、半導体チップ上の信号処理回路において電流リークが増大し、動作不良が生じる可能性が高くなるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、エンジンルーム内のような高温環境下に設置した場合でも、動作不良を発生することなく使用することができる濃度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、リードフレームと、リードフレーム上に取り付けられた燃料濃度検出用のセンサチップと、リードフレーム上に取り付けられた信号処置用の回路チップと、前記リードフレーム、前記センサチップおよび前記回路チップをモールドするモールド樹脂とを備えてなる濃度検出装置であって、燃料が流れる燃料流路の流路壁に貫通状に取り付けられる取り付け部材を備え、前記取り付け部材のうちの前記燃料流路内に突出する突出端部に前記濃度検出装置のモールド樹脂の一方の面を当接させるように取り付け、前記モールド樹脂の他方の面に燃料が接触しながら流れるように構成したので、エンジンルーム内のような高温環境下に設置した場合でも、濃度検出装置の回路チップから発生する熱を燃料側に放熱することができ、従って、動作不良を発生することなく使用することができる。
【0008】
上記構成の場合、請求項2の発明のように、前記モールド樹脂の熱伝導率が、前記取り付け部材の熱伝導率よりも小さいことが好ましい。また、請求項3の発明のように、前記モールド樹脂は、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂であることが良い構成である。
【0009】
請求項4の発明によれば、前記モールド樹脂に、空気を含ませるように構成したので、高温環境からの熱が伝わり難くなる。
請求項5の発明によれば、前記モールド樹脂を、少なくとも2種類のモールド樹脂で構成し、燃料に接する側のモールド樹脂の熱伝導率を、燃料に接しない側のモールド樹脂の熱伝導率よりも大きくしたので、濃度検出装置の回路チップから発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、高温環境からの熱が伝わり難くなる。この場合、請求項6の発明のように、前記燃料に接する側のモールド樹脂に、熱伝導性フィラーを充填することが好ましい。
【0010】
請求項7の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法を、前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法よりも小さくするように構成したので、濃度検出装置から発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、高温環境に対する断熱性を高めることができる。
【0011】
請求項8の発明によれば、前記モールド樹脂と前記取り付け部材との間に低熱伝導材料製のシートを設けたので、高温環境に対する断熱性を高めることができる。
請求項9の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する部分の面積を小さくしたので、高温環境に対する断熱性を高めることができる。
【0012】
請求項10の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面に、パリレン、シリカなどの無機材料をコーティングしたので、濃度検出装置から発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、燃料が濃度検出装置内に浸透することを防止できる。
【0013】
請求項11の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくしたので、モールド樹脂と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性を高めることができる。
【0014】
請求項12の発明によれば、前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分に、多数の溝を有するフィン形状部を設けたので、モールド樹脂と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性を高めることができる。この場合、請求項13の発明のように、前記モールド樹脂のフィン形状部の溝が、燃料の流れる方向に沿うように、前記モールド樹脂を配置することが好ましい。
【0015】
請求項14の発明によれば、前記センサチップと、前記回路チップをワンチップで構成したので、濃度検出装置の全体構成をより一層小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を例えばアルコール混合燃料のアルコールの混合比を検出する濃度検出装置に適用した第1の実施例について、図1ないし図3を参照しながら説明する。まず、図2は、本実施例の濃度検出装置1の全体構成を示す図である。図2に示すように、濃度検出装置1は、半導体装置2と、取り付け部材3とから構成されている。取り付け部材3は、金属(例えばSUS)製のハウジング4と、このハウジング4にかしめ固定されたプラスチック製のコネクタ5とから構成されている。
【0017】
ハウジング4は、外周部にねじ部4aが形成された上部ハウジング4bと、この上部ハウジング4bと一体に形成されたナット部4cとを有する。上部ハウジング4bの上面部に、矩形状の半導体装置2が貼り付けられており、この半導体装置2の周囲には封止材(例えばフッ素系の樹脂)6が設けられている。
【0018】
コネクタ5には、信号取り出し電極として例えば3個のターミナル7が配設されており、これらターミナル7は、ハウジング4に形成された貫通孔4dを通るように上方へ延びており、半導体装置2の3個のリード端子8aに例えば溶接されて接続されている。尚、ハウジング4の貫通孔4dとターミナル7との間は、絶縁物にて絶縁されている。
【0019】
さて、半導体装置2は、図1に示すように、リードフレーム8と、このリードフレーム8上に取り付けられた燃料濃度検出用のセンサチップ9と、リードフレーム8上に取り付けられた信号処置用の回路チップ10と、リードフレーム8、センサチップ9および回路チップ10をモールドするモールド樹脂11とを備えている。
【0020】
センサチップ9および回路チップ10は、リードフレーム8上にダイボンド12を介して接着されている。センサチップ9と回路チップ10との間、並びに、回路チップ10とリードフレーム8のリード端子8aとの間は、ボンディングワイヤ13を介して接続されている。
【0021】
センサチップ9は、半導体基板14と、この半導体基板14上に形成された例えば櫛歯状電極からなる検出部15と、半導体基板14上に検出部15を覆うように形成された保護膜16とから構成されている。モールド樹脂11におけるセンサチップ9の検出部15に対応する部位には、検出部15を露出させるように開口部11aが形成されている。これにより、検出部である櫛歯状電極を測定したい燃料に曝すことができる。
【0022】
回路チップ10は、半導体基板17と、この半導体基板17上に形成されたCMOSトランジスタや抵抗やコンデンサ等とから構成されており、フィルタ回路および増幅回路等としての機能を備えている。そして、櫛歯状電極の櫛歯間の静電容量値(燃料の誘電率に準じた静電容量値)から、燃料に含まれるアルコール濃度を検出するに当たっては、予め、燃料(ガソリンとアルコール)の混合比率と静電容量値との間の関係を示すデータを求めて記憶しておく。このデータに基づいて、検出した静電容量値に対応する混合比率(濃度)を求めることができる。センサチップ9の検出部15で検出された検出信号は、回路チップ10にて信号処理された後、リード端子8aを介して出力される。
【0023】
また、静電容量だけでなく、誘電損失等も含めたインピーダンスの形で測定しても良い。複数の物理量を同時測定することで、測定精度の向上や、異物混入の判定や、誤差補正等が可能となる。
【0024】
モールド樹脂11は、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂で構成されており、その熱伝導率は、取り付け部材3(ハウジング4、即ち、SUS)の熱伝導率よりも小さい。
【0025】
次に、図3を参照しながら、上記した構成の濃度検出装置1を、燃料が流れる燃料流路である例えば燃料配管18に取り付ける構造について説明する。燃料配管18は、車両のエンジンルーム(高温環境)内に配設されている。エンジンルーム内は、雰囲気温度が最高140℃程度まで上昇することから、燃料配管18の管壁の温度もエンジンルーム内の雰囲気温度近くまで上昇する。尚、燃料配管18内を流れる燃料の温度は、70℃程度である。
【0026】
この場合、図3に示すように、燃料配管18の管壁(流路壁)18aのうちの濃度検出装置1を取り付ける部位には、取り付け用のねじ孔18bが形成されている。このねじ孔18b内に、濃度検出装置1の取り付け部材3のハウジング4の上部ハウジング4bをねじ込んで締め付け固定する。このとき、濃度検出装置1の上部ハウジング4bを燃料配管18の管壁18aに貫通状に取り付けており、上部ハウジング4bの上端部が燃料配管18内を流れる燃料中に突出するように構成されている。これにより、上部ハウジング4bの上面部に取り付けられた半導体装置2の上面に燃料が直接接触しながら流れる構成となる。
【0027】
この構成の場合、取り付け部材3のうちの燃料配管18内に突出する上部ハウジング4bの上面部(突出端部)に、濃度検出装置1のモールド樹脂11の一方の面(図1中の下面11b)が当接している。そして、モールド樹脂11の他方の面(図1中の上面11c)に燃料が接触しながら流れる構成となっている。
【0028】
このような構成の本実施例によれば、燃料配管18の管壁に貫通状に取り付けられる金属製の取り付け部材3の上部ハウジング4bの上面部に、半導体装置2のモールド樹脂11の一方の面11bを当接させると共に、モールド樹脂11の他方の面11cに燃料が接触しながら流れるように構成したので、濃度検出装置1をエンジンルーム内のような高温環境下に設置した場合でも、濃度検出装置1の半導体装置2の回路チップ10から発生する熱を燃料側に良好に放熱することができる。これにより、半導体装置2の温度を燃料の温度と同等程度に保持することができる。従って、濃度検出装置1、即ち、半導体装置2が動作不良を起こすことを防止できる。
【0029】
また、上記実施例の場合、モールド樹脂11を、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂で構成し、モールド樹脂11の熱伝導率が、取り付け部材3(SUS)の熱伝導率よりも小さい構成としたので、高温環境である取り付け部材3からの熱が半導体装置2に伝わり難くなる。即ち、取り付け部材3からの熱に対する半導体装置2のモールド樹脂11の断熱性を高めることができる。
【0030】
尚、上記実施例において、モールド樹脂11に、空気を含ませるように構成(即ち、発泡樹脂で構成)するようにしても良く、このように構成すると、モールド樹脂11の断熱性をより一層高めることができる。
【0031】
図4は、本発明の第2の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第2の実施例では、モールド樹脂11を、2種類のモールド樹脂19、20で構成し、燃料に接する側のモールド樹脂19の熱伝導率を、燃料に接しない側のモールド樹脂20の熱伝導率よりも大きくするように構成した。上述した以外の第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0032】
従って、第2の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2の実施例によれば、濃度検出装置1の回路チップ10から発生する熱を燃料側に放熱し易くなると共に、高温環境(取り付け部材3)からの熱が回路チップ10へより一層伝わり難くなる。
【0033】
尚、上記第2の実施例の場合、燃料に接する側のモールド樹脂19に、熱伝導性フィラーを充填することが好ましい。熱伝導性フィラーの材料としては、BN、AlN、アルミナなどのセラミック系、もしくはAl、Cu、Feなどの金属粉末を用いることが良い。モールド樹脂19に熱伝導性フィラーを充填すると、モールド樹脂19の熱伝導率をより一層高くすることが可能となるから、放熱性をより一層高めることができる。
【0034】
図5は、本発明の第3の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第3の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する面11cからリードフレーム8までの厚み寸法d1を、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接する面11bからリードフレーム8までの厚み寸法d2よりも小さくするように構成した。上述した以外の第3の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0035】
従って、第3の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第3の実施例によれば、濃度検出装置1の回路チップ10から発生する熱を燃料側に一層放熱し易くなると共に、高温環境に対する断熱性を一層高めることができる。
【0036】
図6は、本発明の第4の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第4の実施例では、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接触する側の面11bに、低熱伝導材料(例えばゴムやポリウレタン等)製のシート21を貼り付けた。上述した以外の第4の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0037】
従って、第4の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第4の実施例によれば、モールド樹脂11と取り付け部材3との間に低熱伝導材料製のシート21を設ける構成としたので、高温環境に対する断熱性をより一層高めることができる。
【0038】
図7は、本発明の第5の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第5の実施例では、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接する面11bに、凸部22を設け、モールド樹脂11と取り付け部材3(のハウジング4)との接触面積を小さくするように構成した。上述した以外の第5の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0039】
従って、第5の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第5の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの取り付け部材3に接する部分の面積を小さくしたので、高温環境に対する断熱性をより一層高めることができる。
【0040】
図8は、本発明の第6の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第6の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分11cの表面に、パリレン、シリカなどの無機材料23をコーティングした。上述した以外の第6の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0041】
従って、第6の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第6の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分11cの表面に無機材料23をコーティングしたので、濃度検出装置1から発生する熱を燃料側に放熱し易くなる、即ち、放熱性を高めることができると共に、燃料がモールド樹脂11(濃度検出装置1)内に浸透することを防止できるから、電気的接続部やボンディングワイヤ13等が腐食したり、損傷したりすることを防止できる。
【0042】
図9は、本発明の第7の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第7の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくするように凹凸状部24を形成した。上述した以外の第7の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0043】
従って、第7の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第7の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくしたので、モールド樹脂11と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性をより一層高めることができる。
【0044】
図10および図11は、本発明の第8の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。この第8の実施例では、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分に、多数の溝25aを有するフィン形状部25を設けると共に、モールド樹脂11のフィン形状部25の溝25aが、燃料の流れる方向A(図11参照)に沿うように、モールド樹脂11(濃度検出装置1)を配置するように構成した。上述した以外の第8の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0045】
従って、第8の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第8の実施例によれば、モールド樹脂11のうちの燃料に接する部分に、多数の溝25aを有するフィン形状部25を設けたので、モールド樹脂11と燃料の接触面積を大きくすることができ、放熱性を高めることができる。更に、モールド樹脂11のフィン形状部25の溝25aを、燃料の流れる方向に沿うように構成したので、放熱性をより一層高めることができる。
【0046】
尚、上記した各実施例においては、センサチップ9と回路チップ10を別チップとして設けたが、これに代えて、センサチップと回路チップをワンチップで構成しても良い。例えば、図12に示す本発明の第9の実施例のように、1個のチップ26に、検出部15と、フィルタ回路および増幅回路等を設けるように構成した。尚、上述した以外の第9の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。従って、第9の実施例においても、第1の実施例とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第9の実施例によれば、濃度検出装置1の全体構成をより一層小型化することができる。
【0047】
また、上記各実施形態では、濃度検出装置1を燃料配管18に取り付けるように構成したが、これに限られるものではなく、エンジンルルーム内のフューエルデリバリーパイプに取り付けるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施例を示す半導体装置の縦断面図
【図2】(a)は濃度検出装置の縦断面図、(b)は濃度検出装置の上面図
【図3】燃料配管への濃度検出装置の取り付けを説明する図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【図5】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第5の実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第6の実施例を示す図1相当図
【図9】本発明の第7の実施例を示す図1相当図
【図10】本発明の第8の実施例を示す図1相当図
【図11】半導体装置の上面図
【図12】本発明の第9の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は濃度検出装置、2は半導体装置、3は取り付け部材、4はハウジング、5はコネクタ、6は封止材、7はターミナル、8はリードフレーム、8aはリード端子、9はセンサチップ、10は回路チップ、11はモールド樹脂、12はダイボンド、13はボンディングワイヤ、14は半導体基板、15は検出部、17は半導体基板、18は燃料配管(燃料流路)、19、20はモールド樹脂、21はシート、22は凸部、23は無機材料、24は凹凸状部、25はフィン形状部を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、リードフレーム上に取り付けられた燃料濃度検出用のセンサチップと、リードフレーム上に取り付けられた信号処置用の回路チップと、前記リードフレーム、前記センサチップおよび前記回路チップをモールドするモールド樹脂とを備えてなる濃度検出装置であって、
燃料が流れる燃料流路の流路壁に貫通状に取り付けられる取り付け部材を備え、
前記取り付け部材のうちの前記燃料流路内に突出する突出端部に前記濃度検出装置のモールド樹脂の一方の面を当接させるように取り付け、前記モールド樹脂の他方の面に燃料が接触しながら流れるように構成したことを特徴とする濃度検出装置。
【請求項2】
前記モールド樹脂の熱伝導率が、前記取り付け部材の熱伝導率よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の濃度検出装置。
【請求項3】
前記モールド樹脂は、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2記載の濃度検出装置。
【請求項4】
前記モールド樹脂に、空気を含ませることを特徴とする請求項2または3記載の濃度検出装置。
【請求項5】
前記モールド樹脂を、少なくとも2種類のモールド樹脂で構成し、
燃料に接する側のモールド樹脂の熱伝導率を、燃料に接しない側のモールド樹脂の熱伝導率よりも大きくしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項6】
前記燃料に接する側のモールド樹脂に、熱伝導性フィラーを充填することを特徴とする請求項5記載の濃度検出装置。
【請求項7】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法を、前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法よりも小さくするように構成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項8】
前記モールド樹脂と前記取り付け部材との間に低熱伝導材料製のシートを設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項9】
前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する部分の面積を小さくしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項10】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面に、パリレン、シリカなどの無機材料をコーティングしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項11】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項12】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分に、多数の溝を有するフィン形状部を設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項13】
前記モールド樹脂のフィン形状部の溝が、燃料の流れる方向に沿うように、前記モールド樹脂を配置したことを特徴とする請求項12記載の濃度検出装置。
【請求項14】
前記センサチップと、前記回路チップをワンチップで構成したことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項1】
リードフレームと、リードフレーム上に取り付けられた燃料濃度検出用のセンサチップと、リードフレーム上に取り付けられた信号処置用の回路チップと、前記リードフレーム、前記センサチップおよび前記回路チップをモールドするモールド樹脂とを備えてなる濃度検出装置であって、
燃料が流れる燃料流路の流路壁に貫通状に取り付けられる取り付け部材を備え、
前記取り付け部材のうちの前記燃料流路内に突出する突出端部に前記濃度検出装置のモールド樹脂の一方の面を当接させるように取り付け、前記モールド樹脂の他方の面に燃料が接触しながら流れるように構成したことを特徴とする濃度検出装置。
【請求項2】
前記モールド樹脂の熱伝導率が、前記取り付け部材の熱伝導率よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の濃度検出装置。
【請求項3】
前記モールド樹脂は、PPS、LCP、PEEK、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2記載の濃度検出装置。
【請求項4】
前記モールド樹脂に、空気を含ませることを特徴とする請求項2または3記載の濃度検出装置。
【請求項5】
前記モールド樹脂を、少なくとも2種類のモールド樹脂で構成し、
燃料に接する側のモールド樹脂の熱伝導率を、燃料に接しない側のモールド樹脂の熱伝導率よりも大きくしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項6】
前記燃料に接する側のモールド樹脂に、熱伝導性フィラーを充填することを特徴とする請求項5記載の濃度検出装置。
【請求項7】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法を、前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する面から前記リードフレームまでの厚み寸法よりも小さくするように構成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項8】
前記モールド樹脂と前記取り付け部材との間に低熱伝導材料製のシートを設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項9】
前記モールド樹脂のうちの前記取り付け部材に接する部分の面積を小さくしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項10】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面に、パリレン、シリカなどの無機材料をコーティングしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項11】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分の表面の面粗度を大きくしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項12】
前記モールド樹脂のうちの燃料に接する部分に、多数の溝を有するフィン形状部を設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検出装置。
【請求項13】
前記モールド樹脂のフィン形状部の溝が、燃料の流れる方向に沿うように、前記モールド樹脂を配置したことを特徴とする請求項12記載の濃度検出装置。
【請求項14】
前記センサチップと、前記回路チップをワンチップで構成したことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の濃度検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−276280(P2009−276280A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129651(P2008−129651)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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