説明

濃度計測装置

【課題】測定対象の物質の濃度を高い応答性かつ高い精度で検出することができる濃度計測装置を提供することにある。
【解決手段】流体が通過する中空ファイバと、対象配管と連結し、流体を中空ファイバの一方の端部に供給する流入管と、測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長を含む波長域の測定光を出力する発光部と、中空ファイバの一方の端部に連結され、発光部から出力された測定光を案内し中空ファイバに入射させる第1光ファイバと、中空ファイバの他方の端部に連結され、中空ファイバを通過した測定光が入射する第2光ファイバと、第2光ファイバを案内される測定光を受光する受光部と、受光部が受光した受光信号に基づいて流体に含まれる測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、を有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を測定光として用いて測定対象のガスの濃度を計測する濃度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管路内を流れるガス(気体)を分析する方法として、レーザ光を測定光として用いる方法がある。例えば、特許文献1および特許文献2には、内燃機関から排出される排ガスにレーザ光を照射し、排ガス中を透過したレーザ光を受光し、受光されたレーザ光に基づいて排ガス中に含まれる成分の濃度を測定する排ガス分析方法が記載されている。特許文献1は、排ガス中の物質がレーザ光を吸収する吸収スペクトルを計測することで、当該物質の濃度の計測を行う。特許文献2は、レーザ光が排ガス中の物質に照射されることで発生するミー散乱光を計測することで、該物質の濃度の計測を行う。
【0003】
また、特許文献3には、測定容積部へ光を導入するための少なくとも1つの光源と、測定容積部を通過する光を受信するために、測定容積部に対して光源の光伝搬方向でほぼ向かい合う少なくとも1つの光受信器とを備え、測定ガス容積部の中の1つまたは複数の目標ガスの濃度を評価ユニットによって求めることができるガス吸収測定のための光学測定セルであって、測定容積部は、内径が実質的に1mmよりも小さい中空ファイバの内部容積によって構成されている光学測定セルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4199766号公報
【特許文献2】特許第4227991号公報
【特許文献3】特表2010−510507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載されているように、レーザ光を用いて計測セルを流れる流体に含まれる測定対象の物質(成分)の濃度を計測することで、測定対象の物質の濃度を高い精度で計測することができる。また、特許文献1から特許文献3に記載のように、レーザ光を用いて濃度を計測することで、短時間で濃度を計測することができ、高い応答性で流体中に含まれる測定対象の物質の濃度を計測することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されているように計測セルにレーザ光を入射する構成では、測定条件によってレーザ光の経路が変化しレーザ光の到達位置が変化し、計測精度が低下する恐れがある。また、特許文献3に記載されているように中空ファイバで構成される計測セルを計測対象の流体を排出する配管から離れた位置に配置すると、応答性の向上に限界がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定対象の物質の濃度を高い応答性かつ高い精度で検出することができる濃度計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、対象配管を流れる流体に含まれる対象物質の濃度を計測する濃度計測装置であって、前記流体が通過する中空ファイバと、前記対象配管と連結し、前記流体を前記中空ファイバの一方の端部に供給する流入管と、測定対象の物質に固有の九州が生じる波長を含む波長域の測定光を出力する発光部と、前記中空ファイバの一方の端部に連結され、前記発光部から出力された測定光を案内し前記中空ファイバに入射させる第1光ファイバと、前記中空ファイバの他方の端部に連結され、前記中空ファイバを通過した測定光が入射する第2光ファイバと、前記第2光ファイバを案内される測定光を受光する受光部と、前記受光部が受光した受光信号に基づいて前記流体に含まれる測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記中空ファイバは、前記対象配管に隣接していることが好ましい。
【0010】
また、前記中空ファイバは、前記流体を発生させる発生源または前記対象配管で生じる熱および振動の影響を受ける位置に配置されることが好ましい。
【0011】
前記中空ファイバの他方の端部に連結し、前記流体を前記中空ファイバから排出する流出管を、さらに有することが好ましい。
【0012】
また、前記中空ファイバの一方の端部と、前記流入管および第1光ファイバとを連結する入光部と、前記中空ファイバの他方の端部と、前記流出管および第2光ファイバとを連結する出光部と、をさらに有することが好ましい。
【0013】
また、前記測定光は、近赤外または中赤外の波長域のレーザ光であることが好ましい。
【0014】
また、前記第1光ファイバは、径が前記中空ファイバの中空部分の径よりも小さいことが好ましい。
【0015】
また、前記第2光ファイバは、径が前記中空ファイバの中空部分の径よりも大きいことが好ましい。
【0016】
また、前記発光部とは異なる測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長を含む波長域のサブ測定光を出力するサブ発光部および前記中空ファイバの一方の端部に連結され、前記サブ発光部から出力されたサブ測定光を案内し前記中空ファイバに入射させるサブ第1光ファイバとを備えるサブユニットを1つ以上備えることが好ましい。
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、対象配管を流れる流体に含まれる対象物質の濃度を計測する濃度計測装置であって、前記流体が通過する第1中空ファイバと、前記対象配管と連結し、前記流体を前記第1中空ファイバの一方の端部に供給する第1流入管と、前記流体が通過する第2中空ファイバと、前記対象配管と連結し、前記流体を前記第2中空ファイバの一方の端部に供給する第2流入管と、前記第1中空ファイバの他方の端部と前記第2中空ファイバの他方の端部とを向かい合わせて前記第1中空ファイバと前記第2中空ファイバとを連結し、かつ、前記第1中空ファイバおよび第2中空ファイバを流れた前記流体を排出する開口を備える連結部と、測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長を含む波長域の測定光を出力する発光部と、前記第1中空ファイバの一方の端部に連結され、前記発光部から出力された測定光を案内し前記第1中空ファイバに入射させる第1光ファイバと、前記第2中空ファイバの他方の端部に連結され、前記第1中空ファイバおよび前記第2中空ファイバを通過した測定光が入射する第2光ファイバと、前記第2光ファイバを案内される測定光を受光する受光部と、前記受光部が受光した受光信号に基づいて前記流体に含まれる測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、を有することを特徴とする。
【0018】
ここで、前記第2中空ファイバは、中空部分の径が、前記第1中空ファイバの中空部分の径よりも大きいことが好ましい。
【0019】
また、測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長は、測定対象の物質に固有な吸収波長であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる濃度計測装置は、測定対象の物質の濃度を高い応答性かつ高い精度で検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、濃度計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す濃度計測装置の計測セルを拡大して示す拡大模式図である。
【図3】図3は、中空ファイバの概略構成を示す模式図である。
【図4】図4は、入光部の概略構成を示す断面図である。
【図5】図5は、入光部の概略構成を示す外観図である。
【図6】図6は、出光部の概略構成を示す断面図である。
【図7】図7は、出光部の概略構成を示す外観図である。
【図8】図8は、制御ユニットの概略構成を示す模式図である。
【図9】図9は、第1光ファイバの他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図10】図10は、中空ファイバと第2光ファイバとの関係を示す模式図である。
【図11】図11は、中空ファイバと第2光ファイバとの関係を示す模式図である。
【図12】図12は、濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図13】図13は、計測セルの他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図14】図14は、図13に示す計測セルの連結部を拡大して示す拡大断面図である。
【図15】図15は、計測セルの連結部を拡大して示す拡大外観図である。
【図16】図16は、計測セルの連結部を拡大して示す拡大断面図である。
【図17】図17は、計測セルの連結部を拡大して示す拡大外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる濃度計測装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、濃度計測装置は、流路を流れる種々の気体(ガス)、液体等の流体に含まれる測定対象物質の濃度を計測することができる。濃度計測装置は、例えば、ディーゼルエンジンに取り付け、ディーゼルエンジンから排出される排ガスに含まれる窒素酸化物、硫化酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア等の濃度等を計測してもよい。なお、測定対象のガスを排出(供給)する装置は、これに限定されず、ガソリンエンジンや、ガスタービン等種々の内燃機関に用いることができる。また、内燃機関を有する装置としては、車両、船舶、発電機等種々の装置が例示される。さらに、濃度計測装置は、ゴミ焼却炉、ボイラ等の燃焼機器から排出される排ガスに含まれる測定対象物質の濃度等を計測することもできる。なお、以下の実施形態では、配管を流れる排ガスに含まれる測定物質の濃度を計測する場合として説明する。
【0023】
図1は、濃度計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。図2は、図1に示す濃度計測装置の計測セルを拡大して示す拡大模式図である。図3は、中空ファイバの概略構成を示す模式図である。図4は、入光部の概略構成を示す断面図である。図5は、入光部の概略構成を示す外観図である。図6は、出光部の概略構成を示す断面図である。図7は、出光部の概略構成を示す外観図である。図8は、制御ユニットの概略構成を示す模式図である。
【0024】
濃度計測装置10は、エンジン2から排出され排気管4を流れる排ガス(液体)Aに含まれる測定対象の物質(成分)の濃度を計測する。なお、エンジン2は、上述したようにディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の種々のエンジンを用いることができる。図1に示すように濃度計測装置10は、排ガスAの一部を測定対象のサンプル排ガスBとして流通させる計測セル12と、計測セル12の内部に測定光を照射することで、サンプル排ガスBに含まれる測定対象の物質の濃度を計測する計測手段14と、を有する。
【0025】
計測セル12は、図1および図2に示すように、中空ファイバ20と、流入管22と、流出管24と、吸引ポンプ25と、入光部26と、出光部28と、を有する。計測セル12は、排気管4を流れる排ガスAの一部をサンプル排ガスBとして流入管22で取得し、流入管22で取得したサンプル排ガスBを中空ファイバ20に供給し、中空ファイバ20を流れたサンプル排ガスBは、流出管24から排出される。
【0026】
中空ファイバ20は、フレキシブルなチューブであり、本実施形態では排気管4の外周に巻きつけて配置されている。中空ファイバ20は、図3に示すように、中空の円管部20aと、円管部20aの内壁の全面に配置された反射部20bとで構成される。中空ファイバ20は、内部にサンプル排ガスBを流通し、後述する測定光Lを反射部20bで反射させる。なお、中空ファイバ20は、円管部20aの内壁に銀やアルミニウム等を蒸着することで反射部20bを形成する。
【0027】
流入管22は、配管であり、一方の端部が排気管4に挿入され、他方の端部が入光部26を介して中空ファイバ20と連結している。流入管22は、一方の端部から排気管4を流れる排ガスAの一部がサンプル排ガスBとして供給され、供給されたサンプル排ガスBを他方の端部から中空ファイバ20に供給する。
【0028】
流出管24は、配管であり、一方の端部が出光部28を介して中空ファイバ20と連結され、他方の端部が開放されている。また、流出管24は、一方の端部から中空ファイバ20を流れるサンプル排ガスBが供給され、供給されたサンプル排ガスBを他方の端部から排出する。
【0029】
吸引ポンプ25は、流出管24に配置されており、流出管24内の空気を一方の端部から他方の端部側へ吸引する。
【0030】
入光部26は、流入管22と中空ファイバ20の一方の端部とを連結している。また、入光部26は、後述する計測手段14の第1光ファイバ32が挿入されている。入光部26は、図4および図5に示すように、中空ファイバ20の一方の端部を塞ぐ蓋であり、蓋の一部に第1光ファイバ32が挿入されている。入光部26は、流入管22と連結しかつ中空ファイバ20の内部の空洞と連結している開口26aが形成されている。なお、開口26aの数は特に限定されない。入光部26は、流入管22から供給されるサンプル排ガスBが開口部26aから中空ファイバ20に流入する。また、入光部26は、第1光ファイバ32の端面が、中空ファイバ20の内部空間と対面する位置で露出するように第1光ファイバ32を支持している。これにより、第1光ファイバ32から照射される測定光Lは、中空ファイバ20に供給される。
【0031】
出光部28は、中空ファイバ20の他方の端部と流出管24とを連結している。また、出光部28は、後述する計測手段14の第2光ファイバ34が挿入されている。出光部28は、図6および図7に示すように、中空ファイバ20の他方の端部を塞ぐ蓋であり、蓋形状の一部に第2光ファイバ34が挿入されている。出光部28は、流出管24と連結しかつ中空ファイバ20の内部の空洞と連結している開口28aが形成されている。出光部28は、中空ファイバ20から供給されるサンプル排ガスBが開口部28aから流出管24に流入する。また、出光部28は、第2光ファイバ34の端面が、中空ファイバ20の内部空間と対面する位置で露出するように第2光ファイバ34を支持している。これにより、中空ファイバ20内を進む測定光Lは、第2光ファイバ34に到達し、第2光ファイバ34に入射する。
【0032】
計測セル12は、以上のような構成であり、吸引ポンプ25を駆動し、流出管24の空気を吸引することで、排気管4内を流れる排ガスAを流入管22内に吸い込む空気の流れを形成する。これにより、排気管4内を流れる排ガスAの一部は、サンプル排ガスBとして流入管22に流入し、入光部26の開口26aから中空ファイバ20に供給される。中空ファイバ20に供給されたサンプル排ガスBは、中空ファイバ20の端部から端部まで流れ、出光部28の開口28aから流出管24に排出され、流出管24から外部に排出される。これにより、計測セル12は、サンプル排ガスBを中空ファイバ20内に流すことができる。なお、本実施形態では、流出管24の他方の端部を大気に開放したが、排気管4と連結させてもよい。流出管24の他方の端部を排気管4と連結させることで、サンプル排ガスBを再び排気管4に戻すことができる。
【0033】
次に、計測手段14は、第1光ファイバ32と、第2光ファイバ34と、制御ユニット36と、を有する。第1光ファイバ32は、一方の端部が制御ユニット36と連結し、他方の端部が中空ファイバ20の内面と対面している。第1光ファイバ32は、他方の端部の近傍が入光部26に挿入され、支持されている。第1光ファイバ32は、制御ユニット36から出力された測定光Lを案内し、計測セル12の中空ファイバ20内に入射させる。
【0034】
第2光ファイバ34は、一方の端部が中空ファイバ20の内面と対面し、他方の端部が制御ユニット36と連結している。第2光ファイバ34は、一方の端部の近傍が出光部28に挿入され、支持されている。第2光ファイバ34は、中空ファイバ20から出力された測定光Lを案内し、計測セル12の制御ユニット36に入射させる。
【0035】
制御ユニット36は、発光部40と、受光部44と、光源ドライバ46と、信号処理部47と、算出部48と、制御部50と、を有する。なお、本実施形態では、信号処理部47と、算出部48と、を別々に設けたが一体で(1つの処理部として)設けてもよい。また、制御ユニット36は、光源ドライバ46と、信号処理部47と算出部48と制御部50とを一体で(1つの処理部として)設けてもよい。
【0036】
発光部40は、測定光Lとして、所定波長のレーザ光を出力(発光)させる発光素子を有する。なお、発光部40の発光素子は、測定光Lとして出力するレーザ光の出力波長を所定の波長幅(周波数幅)で設定した周波数で変化させることができる発光素子である。発光素子としては、波長可変の半導体レーザ素子(LD:Laser Diode)を用いることができる。発光部40は、測定対象の物質(ガス)が吸収する波長(吸収波長)を含む波長域(好ましくは中赤外波長域(2.5μmから4μm)、近赤外波長域(0.7μmから2.5μm))のレーザ光を出力する。例えば、計測対象が一酸化窒素の場合、発光部40は、一酸化窒素により吸収される近赤外波長域を含む波長域のレーザ光を出力する。また、計測対象が二酸化窒素の場合、発光部40は、二酸化窒素により吸収される近赤外波長域の波長域を含むレーザ光を出力する。また、計測対象が亜酸化窒素の場合、発光部40は、亜酸化窒素により吸収される近赤外波長域の波長域を含むレーザ光を出力する。なお、測定対象が複数の物質である場合、発光部40は、夫々の物質が吸収する波長域の光を発光する発光素子を複数備え、それぞれの波長域の光を出力するようにしてもよい。また、発光部40は、第1光ファイバ32と連結しており、発光素子から出力させた測定光Lを第1光ファイバ32に入射させる。
【0037】
受光部44は、計測セル12の中空ファイバ20の内部を通過し、第2光ファイバ34から出力された測定光Lを受光する受光部である。なお、受光部44は、例えば、フォトダイオード(PD、Photodiode)等の受光素子(光検出器)を備え、受光素子によって測定光(レーザ光)Lを受光し、その光の強度を検出する。受光部44は、受光した測定光(レーザ光)の強度(光量)を受光信号として、信号処理部47に送る。
【0038】
光源ドライバ46は、発光部40を駆動する機能を有し、発光部40に供給する電流、電圧を調整することで、発光部40から出力されるレーザ光の波長、強度を調整する。光源ドライバ46は、制御部50を介して算出部48に、発光部40から出力しているレーザ光の強度の情報を出力する。なお、光源ドライバ46は、発振器であり、電流、電圧を所定の波形で発光部40に供給することで時間により波長が変化するレーザ光を出力させることができる。
【0039】
ここで、光源ドライバ46は、レーザ光の波長を一定の波長として出力してもよいが、設定された変調周波数でレーザ光の波長を振動させてもよい。発光部40は、光源ドライバ46により設定された変調周波数でレーザ光の波長が振動されることで、測定対象の物質が吸収する波長域(好ましくは中赤外波長域、近赤外波長域)を含む波長域のレーザ光を変調周波数で波長を変調しつつ出力することができる。なお、光源ドライバ46は、発光部40から出力する測定光(レーザ光)を、測定対象の物質が吸収する吸収波長を中心とした一定波長幅で波長を変調させることがより好ましい。この時の一定波長幅の波長の変動を周期的に行い、その変動の周期の周波数が変調周波数とする。本実施形態の光源ドライバ46は、変調周波数として、80kHz以上の周波数、より好ましくは、100kHz以上の周波数を用いる。
【0040】
信号処理部47は、受光部44が測定光Lを受光することで生成した信号(受光信号)を処理する。具体的には、信号処理部47は、受光信号に含まれるノイズ成分を除去し、発光部40から出力され受光部44に到達したレーザ光の成分(つまり変調周波数に対応した信号成分)を抽出する。なお、抽出して生成される信号を以下スペクトル信号という。
【0041】
算出部48は、信号処理部47から出力されたスペクトル信号に基づいて、計測セル12を流れるサンプル排ガスBに含まれる測定対象の物質の濃度を算出し、排出管4を流れる排ガスAに含まれる測定対象の物質の濃度をする。算出部48は、信号処理部47から出力されたスペクトル信号と、制御部50により光源ドライバ46を駆動させている条件とに基づいて、計測対象の物質の濃度を算出する。具体的には、算出部48は、制御部50により光源ドライバ46を駆動させている条件に基づいて発光部40から出力される測定光Lの強度を算出し、信号処理部47で生成されたスペクトル信号に基づいて受光した測定光Lの強度を算出する。算出部48は、この発光した測定光Lの強度と受光した測定光Lの強度と比較し、サンプル排ガスBに含まれる測定対象の物質の濃度を算出し、排ガスAに含まれる測定対象の物質の濃度を算出する。
【0042】
具体的には、発光部40から出力された測定光Lは、第1光ファイバ32から計測セル12の所定経路、具体的には、入光部26、中空ファイバ20、出光部28を通過した後、第2光ファイバ34に入射し、第2光ファイバ34から受光部44に到達する。このとき、計測セル12内のサンプル排ガスB中に測定対象の物質が含まれていると、計測セル12を通過するレーザ光が吸収される。そのため、測定光Lは、サンプル排ガスB中の測定対象の物質の濃度によって、受光部44に到達する測定光Lの出力が変化する。受光部44は、受光した測定光Lを受光信号に変換する。受光部44で生成された受光信号は、信号処理部47で処理されスペクトル信号として算出部48に入力される。また、制御部50および光源ドライバ46は、発光部40から出力した測定光Lの強度を算出部48に出力する。算出部48は、発光部40から出力した光の強度と、スペクトル信号から算出される強度とを比較し、その減少割合から計測セル12内を流れるサンプル排ガスBの測定対象物の濃度を算出する。このように計測手段14は、いわゆるTDLAS方式(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:可変波長ダイオードレーザー分光法)を用いることで、出力した測定光Lの強度と、受光部44で検出した受光信号とに基づいて、サンプル排ガスBの測定対象の物質の濃度を、算出および/または計測することができる。またサンプル排ガスBの測定対象の物質の濃度を計測することで、排気管4を流れる排ガスAに含まれる測定対象の物質の濃度を計測することができる。また、計測手段14は、連続的に測定対象の物質の濃度を、算出および/または計測することができる。なお、濃度計測装置10は、発光部40から出力される測定光Lの強度を一定として、スペクトル信号のみに基づいてサンプル排ガスBに含まれる測定対象の物質の濃度を算出してもよい。
【0043】
制御部50は、各部の動作を制御する制御機能を有し、必要に応じて、各部の動作を制御する。なお、制御部50は、計測手段14の制御のみならず、濃度計測装置10の全体の動作を制御する。つまり、制御部50は、濃度計測装置10の動作を制御する制御部である。濃度計測装置10は、以上のような構成である。
【0044】
濃度計測装置10は、以上のように、計測セル12として中空ファイバ20を用いることで、測定光Lを中空ファイバ20の反射部20bで反射させつつ、中空ファイバ20の端部から端部まで案内することができる。これにより、濃度計測装置10は、計測セル12内のサンプル排ガスBが流れる領域で測定光Lが漏れることを抑制することができる。また、計測セル12内のサンプル排ガスBが流れる領域として、中空ファイバ20を用いることで、一方の端部を測定光Lの入射部、他方の端部を測定光Lの出射部とし、その他の領域は測定光Lを反射する領域とすることができる。これにより、中空ファイバ20内で測定光Lの経路が変化しても、例えば中空ファイバ20が変形し測定光Lの反射位置が変化しても他方の端部から測定光Lを出射させることができる。したがって、計測セル12に入射した測定光Lが出射する位置を一定の位置にすることができ、測定光Lをより確実に受光部44に入射させることができる。このように、濃度計測装置10は、測定光Lをより高い精度で受光部44に入射させることで計測精度を高くすることができる。
【0045】
また、計測手段14の発光部40から中空ファイバ20までの測定光Lの案内経路として第1光ファイバ32を設け、中空ファイバ20から受光部44までの測定光Lの案内経路として第2光ファイバ34を設けることで、計測セル12である中空ファイバ20を排気管4の近傍に配置することができる。これにより、流入管22を短くすることができ、排気管4を流れる排ガスAを取得してから、測定対象の物質の濃度を計測するまでの時間を短くすることができ、濃度の計測の応答性を高くすることができる。このように、計測の応答性を高くすることで、計測結果に基づいたエンジン2の制御や、排ガスAの処理をより高い精度で行うことができる。
【0046】
また、濃度計測装置10は、上記構成とすることで、計測対象の排ガスAを発生させるエンジン2や排気管4等による熱や振動の影響によって測定の精度が低下することを抑制することができる。具体的には、中空ファイバ20を用いることで、計測セル12が振動したり、加熱されたりしても、測定光Lを確実に受光部44に入射させることができる。また、第1光ファイバ32、第2光ファイバ34を用いることで、電子部品である制御ユニット36を計測セル12と一定距離離れた位置に配置しつつ、測定光Lを高い精度で案内することができる。これにより、制御ユニット36がエンジン2や排気管4等による熱や振動の影響を受けることを抑制することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、TDLAS方式を用いて、測定対象の物質の濃度を計測したが、計測方法はこれに限定されない。測定方法としては、中空ファイバ20を流れる測定対象の流体(本実施形態ではサンプル排ガスB)に測定光Lを照射し、中空ファイバ20を通過した測定光Lを受光部44で受光し、中空ファイバ20に入射させた測定光と、中空ファイバ20から出力される測定光Lとに基づいて測定対象の物質の濃度を計測する種々の計測方法を用いることができる。なお、濃度計測装置10は、TDLAS方式のように、測定光Lとして、測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長を含むレーザ光を用い、計測セル12を通過することで生じる測定光Lの特定の波長成分の吸収を計測することで濃度を計測する方法(レーザ吸収法、半導体レーザ吸収法)を用いることが好ましい。
【0048】
第1光ファイバ32は、径を中空ファイバ20の中空部分の径よりも小さくすることが好ましい。このように第1光ファイバ32の径を中空ファイバ20の中空部分の径よりも小さくすることで、第1光ファイバ32から出射される測定光Lを漏れなく、確実に中空ファイバ20に入射させることができる。
【0049】
ここで、図9は、第1光ファイバの他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図9に示すように、第1光ファイバ102は、中空ファイバ20に測定光Lを入射させる先端部102a、つまり中空ファイバ20の内部と対面している端部102aを、端部に向かうに従って幅が小さくなる錘形状とすることが好ましい。このように、端部102aを錘形状とすることで、第1光ファイバ102から測定光Lを出射させる部分に集光機能を持たせることができる。これにより、第1光ファイバ102は、内部を通過する測定光Lを一旦集光させた後、中空ファイバ20に向けて出射することができ、中空ファイバ20により好適に測定光Lを入射させることができる。これにより、中空ファイバ20での測定光Lの光伝搬特性を向上させることができる。
【0050】
図10および図11は、中空ファイバと第2光ファイバとの関係を示す模式図である。なお、図10および図11では、出光部の図示は省略した。ここで、図10に示す中空ファイバ20と第2光ファイバ110との関係は、中空ファイバ20の中空部分の径をdとし、第2光ファイバ110の径をdとすると、d>dとなる。これに対して、中空ファイバ20と第2光ファイバ112との関係は、中空ファイバ20の中空部分の径をdとし、第2光ファイバ112の径をdとすると、d<dとなる。ここで、濃度計測装置は、中空ファイバと第2光ファイバとの関係を、図11に示すように、d<dとすることが好ましい。このように、第2光ファイバ112の径を中空ファイバ20の内径よりも大きくすることで、中空ファイバ20から出射される光をより確実に第2光ファイバ112に入射させることができる。
【0051】
ここで、中空ファイバ20の中空部分の径dと第2光ファイバ112の径dとの関係は、1<d/d<1.5とすることがより好ましい。中空ファイバ20の中空部分の径dと第2光ファイバ112の径dとの関係が上記範囲とすることで、測定光Lをより好適に第2光ファイバ112に入射させることができる。
【0052】
図12は、濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。なお、図12に示す濃度計測装置120では、中空ファイバと第2光ファイバと第1光ファイバと発光部のみを示す。濃度計測装置120は、発光部と第1光ファイバとを複数組備える点以外は基本的に濃度計測装置10と同様である。濃度計測装置120は、中空ファイバ20と第2光ファイバ34と第1光ファイバ122、124、126と、発光部132、134、136と、を有する。なお、中空ファイバ20と第2光ファイバ34とは、濃度計測装置10の各部と同様の構成である。
【0053】
第1光ファイバ122は、一方の端部が発光部132と連結し、他方の端部が中空ファイバ20の内面と対面している。第1光ファイバ124は、一方の端部が発光部134と連結し、他方の端部が中空ファイバ20の内面と対面している。第1光ファイバ126は、一方の端部が発光部136と連結し、他方の端部が中空ファイバ20の内面と対面している。従って、中空ファイバ20の一方の端部には、第1光ファイバ122、124、126の3本の光ファイバが挿入されている。濃度計測装置120は、入光部26の蓋に3本の光ファイバを挿入することで、第1光ファイバが複数の場合でもそれぞれの第1光ファイバを中空ファイバ20の内面と対面させることができる。
【0054】
発光部132は、測定光Lとして、所定波長のレーザ光を出力(発光)させる発光素子を有する。発光部132は、測定光Lを第1光ファイバ122に入射させる。発光部134は、測定光Lとして、所定波長のレーザ光を出力(発光)させる発光素子を有する。発光部134は、測定光Lを第1光ファイバ124に入射させる。発光部136は、測定光Lとして、所定波長のレーザ光を出力(発光)させる発光素子を有する。発光部136は、測定光Lを第1光ファイバ126に入射させる。
【0055】
ここで、発光部132と発光部134と発光部136とは、それぞれ異なる測定対象の物質(ガス)が吸収する波長を含む波長域のレーザ光を出力する。つまり、発光部132と発光部134と発光部136とは、それぞれ異なる測定対象の物質(ガス)を測定することができるレーザ光を測定光Lとして出力する。
【0056】
なお、第1光ファイバ122と発光部132のユニット、第1光ファイバ124と発光部134のユニット、第1光ファイバ126と発光部136のユニットは、中空ファイバ20に入射させる測定光Lが異なる以外は基本的に同様の構成であるが、1つをメインユニットとすると他の2つのユニットはサブユニットということができる。つまり、第1光ファイバをサブ第1光ファイバ、発光部をサブ発光部ということができる。
【0057】
中空ファイバ20は、3つの第1光ファイバ122、124、126からそれぞれ測定光Lが入射される。中空ファイバ20に入射した測定光Lは、一方の端部から他方の端部まで進み、他方の端部に連結された第2光ファイバ34に入射する。第2光ファイバ34に入射した光は制御ユニット36の受光部44に入射する。濃度計測装置120は、受光部44で受光した受光信号から、それぞれの測定光Lに対応する吸収波長の成分を抽出し、吸収波長の成分の強度に基づいて対象物質の濃度を計測する。
【0058】
濃度計測装置120は、3組のユニットを用いて、3種類の測定光Lを入射可能とすることで、3つの異なる対象物質の濃度を計測することができる。また、測定光Lとして、異なる波長域の光を用いることで、1つの第2光ファイバ34と受光部44とで複数の測定対象の物質の濃度を計測することができる。また、発光部毎に第1光ファイバを設けることで発光部から出射された測定光が減衰することを抑制することができる。これにより発光部から出力された測定光Lのうち、中空ファイバ20に入射する測定光Lの割合をより多くすることができ、効率よく濃度の計測を行うことができる。
【0059】
図13は、計測セルの他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図14は、図13に示す計測セルの連結部を拡大して示す拡大断面図である。図15は、計測セルの連結部を拡大して示す拡大外観図である。濃度計測装置200は、計測セル201と、第1光ファイバ32と、第2光ファイバ34と、を有する。図13に示す濃度計測装置200では、制御ユニットの図示を省略する。また、第1光ファイバ32と第2光ファイバ34と制御ユニット(図示省略)とは、濃度計測装置10の各部と同様の構成である。
【0060】
計測セル201は、第1中空ファイバ202と、第2中空ファイバ204と、連結部210と、流入管222Aと、流入管222Bと、流出管224と、入光部226と、出光部228と、を有する。計測セル201は、排気管4を流れる排ガスAの一部をサンプル排ガスBとして流入管222A、222Bで取得し、流入管222Aで取得したサンプル排ガスBを第1中空ファイバ202に供給し、流入管222Bで取得したサンプル排ガスBを第2中空ファイバ204に供給し、第1中空ファイバ202または第2中空ファイバ204を流れたサンプル排ガスBは、連結部210に連結した流出管224から排出される。なお、測定光Lは、第1光ファイバ32から入光部226に入射し、入光部226、第1中空ファイバ202、連結部210、第2中空ファイバ204、出光部228の順で通過し、出光部228から第2光ファイバ34に入射される。以下、各部の構成について説明する。
【0061】
第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204とは、ともにフレキシブルなチューブであり、中空ファイバ20と同様に排気管4(図示省略)の外周に巻きつけて配置されている。第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204とは、中空ファイバ20と同様の構成であり、中空の円管部と、円管部の内壁の全面に配置された反射部とで構成される。第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204とは、内部にサンプル排ガスBを流通し、後述する測定光Lを反射部で反射させる。
【0062】
連結部210は、図13および図14に示すように、第1中空ファイバ202の他方の端部と第2中空ファイバ204の他方の端部とを連結している。なお、第1中空ファイバ202の他方の端部と第2中空ファイバ204の他方の端部とは、流入管222Aと流入管222Bと連結していない側の端部である。連結部210は、筒状の形状であり、第1中空ファイバ202の他方の端部と第2中空ファイバ204の他方の端部とが向かい合う(対面する)位置で、第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204とを支持している。また、連結部210は、図14および図15に示すように、流出管224と連結した開口212が形成されている。連結部210は、第1中空ファイバ202の他方の端部と第2中空ファイバ204の他方の端部から排出されるサンプル排ガスBを開口212から流出管224に排出する。また、第1中空ファイバ202に入射された測定光Lは、連結部210で向かい合うように配置された第1中空ファイバ202の他方の端部から第2中空ファイバ204の他方の端部に入射する。
【0063】
流入管222Aは、配管であり、一方の端部が排気管4に挿入され、他方の端部が入光部226を介して第1中空ファイバ202と連結している。流入管222Aは、一方の端部から排気管4を流れる排ガスAの一部がサンプル排ガスBとして供給され、供給されたサンプル排ガスBを他方の端部から第1中空ファイバ202に供給する。流入管222Bは、配管であり、一方の端部が排気管4に挿入され、他方の端部が出光部228を介して第2中空ファイバ204と連結している。流入管222Bは、一方の端部から排気管4を流れる排ガスAの一部がサンプル排ガスBとして供給され、供給されたサンプル排ガスBを他方の端部から第2中空ファイバ204に供給する。なお、流入管222Aと流入管222Bとは、排気管4に挿入され、一方の端部を共通の配管とし、その後分岐する形状としてもよい。
【0064】
流出管224は、配管であり、一方の端部が連結部210を介して第1中空ファイバ202および第2中空ファイバ204と連結され、他方の端部が開放されている。流出管224は、一方の端部から第1中空ファイバ202および第2中空ファイバ204を流れるサンプル排ガスBが供給され、供給されたサンプル排ガスBを他方の端部から排出する。また、図示を省略するが流出管224には、吸引ポンプが配置されており、流出管224内の空気を一方の端部から他方の端部側へ吸引する。
【0065】
入光部226は、流入管222Aと第1中空ファイバ202の一方の端部とを連結している。また、入光部226は、第1光ファイバ32が挿入されている。入光部226は、上述した入光部26と同様の形状であり、中空ファイバ20の一方の端部を塞ぐ蓋であり、蓋の一部に第1光ファイバ32が挿入されている。入光部226は、流入管222Aから供給されるサンプル排ガスBを第1中空ファイバ202に流入させる。また、入光部226は、第1光ファイバ32から照射される測定光Lを、第1中空ファイバ202に供給する。
【0066】
出光部228は、第2中空ファイバ204の一方の端部と流入管222Bとを連結している。また、出光部228は、第2光ファイバ34が挿入されている。出光部228は、接続されている配管が流出管24から流入管222Bに代わった点を除いて上述した出光部28と同様の構成であり、第2中空ファイバ204の一方の端部を塞ぐ蓋であり、蓋形状の一部に第2光ファイバ34が挿入されている。出光部228は、流入管222Bから供給されるサンプル排ガスBを第2中空ファイバ204に流入させる。また、出光部228は、第2中空ファイバ204内を進む測定光Lが、第2光ファイバ34に到達し、第2光ファイバ34に入射する。
【0067】
計測セル201は、以上のような構成であり、吸引ポンプ25を駆動し、流出管224の空気を吸引することで、排気管4内を流れる排ガスAを流入管222Aと流入管222Bに吸い込む空気の流れを形成する。これにより、排気管4内を流れる排ガスAの一部は、サンプル排ガスBとして流入管222Aおよび流入管222Bに流入する。流入管222Aに流入したサンプル排ガスBは、入光部226から第1中空ファイバ202に供給される。第1中空ファイバ202に供給されたサンプル排ガスBは、第1中空ファイバ202の端部から端部まで流れ、連結部210の開口212から流出管224に排出される。また、流入管222Bに流入したサンプル排ガスBは、出光部228から第2中空ファイバ204に供給される。第2中空ファイバ204に供給されたサンプル排ガスBは、第2中空ファイバ204の端部から端部まで流れ、連結部210の開口212から流出管224に排出される。また、流出管224に供給されたサンプル排ガスBは、流出管224の他方の端部から外部に排出される。これにより、計測セル201は、サンプル排ガスBを第1中空ファイバ202内と第2中空ファイバ204内に流すことができる。
【0068】
また、計測セル201は、第1中空ファイバ202の一方の端部に入光部226と第1光ファイバ32が接続され、第2中空ファイバ204の一方の端部に出光部228と第2光ファイバ34が接続され、第1中空ファイバ202の他方の端部に第2中空ファイバ204の他方の端部とが対面した状態で連結部210によって支持されている。これにより、測定光Lは、第1光ファイバ32から入光部226に入射し、入光部226、第1中空ファイバ202、連結部210、第2中空ファイバ204、出光部228の順で通過し、出光部228から第2光ファイバ34に入射される。
【0069】
濃度計測装置200は、以上のような構成であり、2つの流入管222A、222Bを設け、第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204に対してそれぞれにサンプル排ガスBを供給する。また、濃度計測装置200は、測定光Lを第1中空ファイバ202の一方の端部から入射し、第1中空ファイバ202の他方の端部から第2中空ファイバ204の他方の端部に入射させ、第2中空ファイバ204の一方の端部から出射させる。濃度計測装置200は、これにより、測定光Lが通過するサンプル排ガスBの距離をより長くすることができる。また、第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204に対してそれぞれにサンプル排ガスBを供給することで、第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204を流れる排ガスBの供給される時間帯を長くすることなく、測定光Lが通過するサンプル排ガスBの距離をより長くすることができる。これにより、所定の時間帯のサンプル排ガスBの濃度をより高い精度で計測することができる。
【0070】
ここで、図16は、計測セルの連結部を拡大して示す拡大断面図である。図17は、計測セルの連結部を拡大して示す拡大外観図である。濃度計測装置200のように、第1中空ファイバ202と第2中空ファイバ204の2つの中空ファイバを組み合わせる場合は、図16および図17に示すように、第2中空ファイバ204aの径(中空部分の径)を、第1中空ファイバ202aの径(中空部分の径)よりも大きくすることが好ましい。つまり、連結部230において、計測光Lが出射される側の第1中空ファイバ202aの径を、計測光Lが入射される側の第2中空ファイバ204aの径よりも小さくすることで、第1中空ファイバ202aから出射した測定光Lをより確実に第2中空ファイバ204aに入射させることができる。なお、この場合、連結部230は、第1中空ファイバ202a側から第2中空ファイバ204aに向かうに従って径が大きくなる部分を設けることで第1中空ファイバ202aと第2中空ファイバ204aとを連結することができる。なお、この場合も連結部230には開口232を形成し、開口232からサンプル排ガスBを排出する。
【0071】
なお、上記実施形態では、出光部または連結部に流出管を接続し、中空ファイバを通過したサンプル排ガスB(流体)を流出管に供給したがこれに限定されない。濃度計測装置は、中空ファイバの終端(サンプル排ガスBの流れ方向の下流側の端部)からそのままサンプル排ガスBを排出してもよく、連結部の開口からサンプル排ガスBをそのまま排出してもよい。つまり、流出管は必ずも設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0072】
2 エンジン
4 排気管
10 濃度計測装置
12 計測セル
14 計測手段
20 中空ファイバ
22 流入管
24 流出管
25 吸引ポンプ
26 入光部
28 出光部
32 第1光ファイバ
34 第2光ファイバ
36 制御ユニット
40 発光部
44 受光部
46 光源ドライバ
48 算出部
50 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象配管を流れる流体に含まれる対象物質の濃度を計測する濃度計測装置であって、
前記流体が通過する中空ファイバと、
前記対象配管と連結し、前記流体を前記中空ファイバの一方の端部に供給する流入管と、
測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長を含む波長域の測定光を出力する発光部と、
前記中空ファイバの一方の端部に連結され、前記発光部から出力された測定光を案内し前記中空ファイバに入射させる第1光ファイバと、
前記中空ファイバの他方の端部に連結され、前記中空ファイバを通過した測定光が入射する第2光ファイバと、
前記第2光ファイバを案内される測定光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した受光信号に基づいて前記流体に含まれる測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、を有することを特徴とする濃度計測装置。
【請求項2】
前記中空ファイバは、前記対象配管に隣接していることを特徴とする請求項1に記載の濃度計測装置。
【請求項3】
前記中空ファイバは、前記流体を発生させる発生源または前記対象配管で生じる熱および振動の影響を受ける位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の濃度計測装置。
【請求項4】
前記中空ファイバの他方の端部に連結し、前記流体を前記中空ファイバから排出する流出管を、さらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の濃度計測装置。
【請求項5】
前記中空ファイバの一方の端部と、前記流入管および第1光ファイバとを連結する入光部と、
前記中空ファイバの他方の端部と、前記流出管および第2光ファイバとを連結する出光部と、をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の濃度計測装置。
【請求項6】
前記測定光は、近赤外または中赤外の波長域のレーザ光であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の濃度計測装置。
【請求項7】
前記第1光ファイバは、径が前記中空ファイバの中空部分の径よりも小さいことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の濃度計測装置。
【請求項8】
前記第2光ファイバは、径が前記中空ファイバの中空部分の径よりも大きいことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の濃度計測装置。
【請求項9】
前記発光部とは異なる測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長を含む波長域のサブ測定光を出力するサブ発光部および前記中空ファイバの一方の端部に連結され、前記サブ発光部から出力されたサブ測定光を案内し前記中空ファイバに入射させるサブ第1光ファイバとを備えるサブユニットを1つ以上備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の濃度計測装置。
【請求項10】
対象配管を流れる流体に含まれる対象物質の濃度を計測する濃度計測装置であって、
前記流体が通過する第1中空ファイバと、
前記対象配管と連結し、前記流体を前記第1中空ファイバの一方の端部に供給する第1流入管と、
前記流体が通過する第2中空ファイバと、
前記対象配管と連結し、前記流体を前記第2中空ファイバの一方の端部に供給する第2流入管と、
前記第1中空ファイバの他方の端部と前記第2中空ファイバの他方の端部とを向かい合わせて前記第1中空ファイバと前記第2中空ファイバとを連結し、かつ、前記第1中空ファイバおよび第2中空ファイバを流れた前記流体を排出する開口を備える連結部と、
測定対象の物質に固有の吸収が生じる波長を含む波長域の測定光を出力する発光部と、
前記第1中空ファイバの一方の端部に連結され、前記発光部から出力された測定光を案内し前記第1中空ファイバに入射させる第1光ファイバと、
前記第2中空ファイバの他方の端部に連結され、前記第1中空ファイバおよび前記第2中空ファイバを通過した測定光が入射する第2光ファイバと、
前記第2光ファイバを案内される測定光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した受光信号に基づいて前記流体に含まれる測定対象の物質の濃度を算出する算出部と、を有することを特徴とする濃度計測装置。
【請求項11】
前記第2中空ファイバは、中空部分の径が、前記第1中空ファイバの中空部分の径よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の濃度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−237684(P2012−237684A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107617(P2011−107617)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】