説明

濡れ検知ノズル

【課題】 従来、特開2007−240505号公報及び特開2003−222601号公報によれば、センサー部に水、湿気が付着すると抵抗値が変化して音、光、振動を発する濡れ検知装置は、コンパレータ部と、アラーム部と、電源部とを中空の円筒容器に収納して把持し、センサー部を被検知物に接触して濡れを検知する技術のみに限られるため、乾燥することには無力で、清掃するのに時間が掛かり効率的でなかった。
【解決手段】 そこで、この発明は、複数の素子を、ノズル枠の内側と外側とが対になるように設け、被検知物と非接触にして平衡回路を構成し、水、湿気の気化熱で変化する気体の温度と空気中の気温とを感知して比較し、温度差を検出して音、光、振動を発する濡れ検知ノズルを、掃除機の吸気側に着脱自在に接続することで上記課題を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、濡れを検知して乾燥する濡れ検知ノズルの機能に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の機能は、水、湿気が付着すると抵抗値が変化するセンサー部と、抵抗値の変化を検出して検知信号を発信するコンパレータ部と、検知信号を受信して音、光、振動を発するアラーム部と、センサー部、コンパレータ部、アラーム部に電気エネルギーを供給する乾電池を電源とする電源部とからなり、センサー部を装置の先端側に設け、コンパレータ部と、アラーム部と、電源部とを中空の円筒容器に収納して把持し、センサー部を被検知物に接触して濡れ検知をしている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】 特開2007−240505号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】 特開2003−222601号公報(第3−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上の技術によれば、被検知物の濡れ検知のみに限られるため、乾燥することには無力であり、清掃するのに時間が掛かり効率的でなかった。
そこで、この発明は、被検知物の濡れを検知して乾燥することにより、清掃効率と出来栄えを向上する濡れ検知ノズルの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、第一発明は、センサー部と、コンパレータ部と、アラーム部とを有する濡れ検知ノズルであって、センサー部は、水、湿気の気化熱で変化する気体の温度と、空気中の気温とを感知する複数の素子であり、コンパレータ部は、該複数の素子を平衡回路に構成して水、湿気の気化熱で変化する気体の温度と、空気中の気温とを感知して比較し、温度差を検出して濡れ検知信号を出力するものであり、
【0006】
アラーム部は、該濡れ検知信号を受信して音、光、振動を発するものであり、センサー部は、コンパレータ部の入力側に接続し、アラーム部は、コンパレータ部の出力側に接続し、コンパレータ部とアラーム部をユニット化して一体に組み込んだ基板を、ノズル枠に設けたものであることを特徴とする濡れ検知ノズル。
【0007】
また、第二発明は、平衡調整部を有する濡れ検知ノズルであって、平衡調整部は、該複数の素子で構成する平衡回路の電圧バランスを調整する可変抵抗器を、コンパレータ部に一体に組み込んだものであることを特徴とする濡れ検知ノズル。
また、第三発明は、電源部を有する濡れ検知ノズルであって、電源部は、センサー部、コンパレータ部、平衡調整部、アラーム部に電気エネルギーを供給する電池を、該ノズル枠に設けたものであることを特徴とする濡れ検知ノズル。
【0008】
また、第四発明は、前記複数の素子を、該ノズル枠の内側と外側とが対になるように設け、被検知物とは非接触になるものであることを特徴とする濡れ検知ノズル。
また、第五発明は、前記ノズル枠を、掃除機の吸気側に着脱自在に接続して被検知物に接触し、濡れを検知して乾燥するものであることを特徴とする濡れ検知ノズル。
【発明の効果】
【0009】
第一発明、第二発明、第三発明、第五発明、によれば、センサー部、コンパレータ部、平衡調整部、アラーム部及び電源部をノズル枠に組み込み、掃除機の吸気側に着脱自在に接続するようにして設け、被検知物に接触して濡れを検知し、乾燥するので検知力が優れ、汚れも吸気して除去するので出来栄えが向上し、乾燥機を必要としないこととから経済的で、乾燥機の準備時間も解消することから効率的である。
第四発明によれば、複数の素子を、ノズル枠の内側と外側とが対になるように設け、被検知物とは非接触になるようにしているので摩擦による故障、摩耗が無く、検知性能が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の一実施形態を、図1、図2、図3、図4に示す。
この濡れ検知ノズルは樹脂でできており、ノズル枠2に、センサー部3、コンパレータ部4、アラーム5部、平衡調整部6及び電源部7を一体に組み込んで、排気口2gを掃除機9の吸気口9aに着脱自在に接続して、被検知物8の表部8aに付着している濡れA及び内部8b、底部8cに付着している濡れBを隈なく吸気して濡れを検知し、乾燥するようにしている。
【0011】
また、ノズル枠2は、図1、図2、図3に示すように、エッジ2dが囲む四角面を被検知物8に接触して操作し、被検知物8の内部8bと底部8cの濡れBの湿気Dを枠内空間2eに吸気し、スリット2cから取り込む空気Cと、被検知物8の表部8aの濡れAの湿気Eとを撹拌し、湿気Dと湿気Eの気化が活発になるようにし、空気Cと、湿気Dと、湿気Eとの混合気体Fは、吸気口2fから排気口2gを介して掃除機9の吸気口9aに吸気するようにしている。
【0012】
また、センサー部3は、図1、図2、図3に示すように、ノズル枠2の内側に2aと外側2bとを対にして素子3a、3bを被検知物8とは非接触になるように設け、素子3aは、湿気Dと湿気Eの気化熱で変化する温度を感知し、素子3bは、空気中の気温を同時に感知するようにしている。
【0013】
また、コンパレータ部4は、図1、図3、図4に示すように、基板4aに、平衡調整部6とアラーム5部をユニット化して一体に組み込み、平衡回路4bを素子3a、3bで構成し、素子特性のバラツキ及び環境変化による平衡回路の電圧バランスのズレを平衡調整部6で調整して検知精度を高め、温度比較部4cで素子3a、3b間の温度差を検出して検知信号出力部4dで検知信号を発信し、この検知信号を増幅部4eで増幅してアラーム部5に出力するようにしている。
【0014】
また、アラーム部5は、図1、図4に示すように、検知信号を受信して、基板4aに一体に組み込んだブザー5aと、LED5bと、ノズル枠2に設けた振動子5cとから音、光、振動を発するようにしている。
また、電源部7は、図1に示すように、センサー部3、コンパレータ部4、アラーム部5、平衡調整部6に電気エネルギーを供給するための電池7aをノズル枠2に設け、基板4aに一体に組み込んだスイッチ7bで電源を入切りし、LED7cでスイッチ7bの状態を確認するようにしている。
【0015】
また、この実施例のLED5b、7cは、赤色と緑色を切り替えて現示できるものを使用している。
以上、実施例に従って本発明を説明したが、本発明は、このような実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に実施できる。
【実施形態の効果】
【0016】
この実施形態によれば、この濡れ検知ノズルは掃除機の吸気側に着脱自在に接続し、清掃をしながら濡れを検知して吸気乾燥できることから清掃効率と出来栄えを向上するのに有効であり、さらにコードレス掃除機に接続すれば機動性が高まり、電車、飛行機、船舶等の大量輸送機関、会議場、劇場、映画館等の観劇施設に据え付けられている座席シートの清掃整備及びホテル、介護施設、病院等のベッドメイク作業の効率を高め、出来栄え向上を図るのに有効である。
【他の実施形態】
【0017】
図1、図2、図3の実施形態では、センサー部と被検知物とが非接触になる方式のものを用いているが、他の実施形態ではセンサー部と被検知物とが接触する方式のものを用いたものでも良い。
図1、図2、図3の実施形態では、複数の素子を一対にして設けて用いているが、他の実施形態では複数の素子を複数対にして設けて用いたものでも良い。
図1、図2、図3の実施形態では、ノズル枠に樹脂を用いているが、他の実施形態では金属等を用いたものでも良い。
【0018】
図1、図2、図3、図4の実施形態では、掃除機の吸気側を用いているが、他の実施形態ではルーツブロアーを用いたものでも良い。
図1、図2、図3、図4の実施形態では、掃除機の吸気側に接続して用いているが、他の実施形態では濡れ検知ノズルを濡れ検知装置として単独に用いたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に関わる濡れ検知ノズルの斜視透視図である。
【図2】本発明の一実施形態に関わる濡れ検知ノズルの平面透視図である。
【図3】本発明の一実施形態に関わる濡れ検知ノズルの正面透視図である。
【図4】本発明の一実施形態に関わる濡れ検知ノズルの動作フロー図である。
【符号の説明】
【0020】
1 濡れ検知ノズル
2 ノズル枠
3 センサー部
4 コンパレータ部
5 アラーム部
6 平衡調整部
7 電源部
8 被検知物
9 掃除機
2a ノズル枠内側
2b ノズル枠外側
2c スリット
2d エッジ(縁)
2e 枠内空間
2g、9a 吸気口
2f 排気口
3a、3b 素子
4a 基板
4b 平衡回路
4c 温度比較部
4d 検知信号出力部
4e 増幅部
5a ブザー
5b、7c LED(二現示式)
5c 振動子
7a 電池
7b スイッチ
8a 表部
8b 内部
8c 底部
A 被検知物表面に付着する水、湿気(濡れ)
B 被検知物内部・底部に付着する水、湿気(濡れ)
C 撹拌空気
D 検知物Bに含まれる湿気
E 検知物Aに含まれる湿気
F 撹拌空気Cと、湿気Dと、湿気Eとの混合気体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー部と、コンパレータ部と、アラーム部とを有する濡れ検知ノズルであって、
センサー部は、水、湿気の気化熱で変化する気体の温度と、空気中の気温とを感知する複数の素子であり、
コンパレータ部は、該複数の素子を平衡回路に構成して水、湿気の気化熱で変化する気体の温度と、空気中の気温とを感知して比較し、温度差を検出して濡れ検知信号を出力するものであり、
アラーム部は、該濡れ検知信号を受信して音、光、振動を発するものであり、
センサー部は、コンパレータ部の入力側に接続し、アラーム部は、コンパレータ部の出力側に接続し、コンパレータ部とアラーム部をユニット化して一体に組み込んだ基板を、ノズル枠に設けたものであることを特徴とする濡れ検知ノズル。
【請求項2】
平衡調整部を有する濡れ検知ノズルであって、
平衡調整部は、該複数の素子で構成する平衡回路の電圧バランスを調整する可変抵抗器を、コンパレータ部に一体に組み込んだものであることを特徴とする請求項1記載の濡れ検知ノズル。
【請求項3】
電源部を有する濡れ検知ノズルであって、
電源部は、センサー部、コンパレータ部、平衡調整部、アラーム部に電気エネルギーを供給する電池を、該ノズル枠に設けたものであることを特徴とする請求項1記載の濡れ検知ノズル。
【請求項4】
前記複数の素子は、該ノズル枠の内側と外側とが対になるように設け、被検知物とは非接触になるものであることを特徴とする請求項1記載の濡れ検知ノズル。
【請求項5】
前記ノズル枠は、掃除機の吸気側に着脱自在に接続して被検知物に接触し、濡れを検知して乾燥するものであることを特徴とする請求項1記載の濡れ検知ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−258066(P2009−258066A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125266(P2008−125266)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(504033636)
【Fターム(参考)】