濾過ユニットおよび濾過装置
【課題】原水の流通が閉塞するのを防ぎつつ、複数段の活性炭カートリッジで十分な濁質の除去や溶存物質の吸着を促して、効率的な濾過を図る。
【解決手段】一端側の導入口２から内部に導入された原水Ｗが他端側に向けて流通させられて排出口３から排出されるケーシング１と、このケーシング１内に、原水Ｗの流通方向Ｆに向けて間隔をあけて複数段に配設されて原水Ｗを濾過する活性炭カートリッジ４とを備え、これらの活性炭カートリッジ４とケーシング１の内壁１ａとの間に、活性炭カートリッジ４内を通過させずに原水Ｗを流通させる逃がし流路５を、流通方向Ｆに直交する断面で活性炭カートリッジ４よりも小さな平面積で設ける。
【解決手段】一端側の導入口２から内部に導入された原水Ｗが他端側に向けて流通させられて排出口３から排出されるケーシング１と、このケーシング１内に、原水Ｗの流通方向Ｆに向けて間隔をあけて複数段に配設されて原水Ｗを濾過する活性炭カートリッジ４とを備え、これらの活性炭カートリッジ４とケーシング１の内壁１ａとの間に、活性炭カートリッジ４内を通過させずに原水Ｗを流通させる逃がし流路５を、流通方向Ｆに直交する断面で活性炭カートリッジ４よりも小さな平面積で設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、原水を濾過して浄水を得るのに際して、活性炭カートリッジにより原水の濁質を除去するとともに溶存物質を吸着して濾過する濾過ユニット、および複数の該濾過ユニットにより構成された濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
このような、活性炭をカートリッジ化して備えた複数のユニットにより構成された濾過装置としては、例えば特許文献１に、互いに対向するメタルハニカムストレーナ間の収納部に粒状活性炭が収納されたユニットを、処理水の流水方向に対向して水路に複数直列に並べて着脱可能に設置し、浄化能力の低下したユニットを取り出して洗浄した後、複数のユニットの最後尾に再び設置するようにしたものが提案されている。また、特許文献２には、原水の注入口と濾過後の流出口とを有して内部に活性炭からなる濾過層が設けられた複数の濾過ユニットを着脱自在に積み上げて、設置スペースの縮小化を図るとともに、濾過ユニット間で別個に洗浄を行うことによって連続的な濾過を可能としたものが提案されている。
【特許文献１】特開２００２−２８４０６号公報
【特許文献２】特開２００２−６６２１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ところで、これら従来の濾過ユニットでは、特許文献１に記載のものにおいては、ユニットが上述のように活性炭を収納したカートリッジそのものとされていて、かかる活性炭カートリッジが処理水の流れる水路を閉塞するように流水方向に対向して設置されることになり、また特許文献２に記載のものにおいても、上下端に上記注入口と流出口とが設けられた円筒状等の容器の内部に活性炭からなる濾過層がこの容器内部を充密して閉塞するように配置されることによりカートリッジ化されている。このため、原水中の濁質は活性炭カートリッジにおける原水の流通方向（特許文献１では上記流水方向、特許文献２では注入口から流出口に向かう上下方向）に対向する側から順に活性炭に付着して捕集されることになる。
【０００４】
従って、このような濁質によるカートリッジの詰まりも、この流通方向に対向する側から進行することになり、この詰まりによってカートリッジ内の原水の流通が閉塞してしまうと原水が水路からオーバーフローしてしまったりする。このため、これとは反対のカートリッジの流通方向側の部分では破過に至らずに活性炭に未だ十分な吸着能力が残されているにも拘わらず、特許文献１に記載のものでは活性炭カートリッジを水路から取り出し、また特許文献２に記載のものではユニットへの原水の注入を停止して、いずれも活性炭の洗浄を行わなければならず、洗浄のためにカートリッジやユニットが使用不能となる頻度が増えて効率的な濾過を妨げる結果となる。
【０００５】
本発明は、このような背景の下になされたもので、原水の流通が閉塞するのを防ぎつつ、複数段の活性炭カートリッジで十分な濁質の除去や溶存物質の吸着を促して、効率的な濾過を図ることが可能な濾過ユニット、および複数の該濾過ユニットにより構成された濾過装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の濾過ユニットは、一端側の導入口から内部に導入された原水が他端側に向けて流通させられて排出口から排出されるケーシングと、このケーシング内に、上記原水の流通方向に向けて間隔をあけて複数段に配設されて上記原水を濾過する活性炭カートリッジとを備え、これらの活性炭カートリッジ、または該活性炭カートリッジと上記ケーシングの内壁との間には、上記活性炭カートリッジ内を通過させずに上記原水を流通させる逃がし流路が、上記流通方向に直交する断面で上記活性炭カートリッジよりも小さな平面積で設けられていることを特徴とする。また、本発明の濾過装置は、このような濾過ユニットが複数、互いの上記導入口と上記排出口とを連結させて構成されていることを特徴とする。
【０００７】
このような濾過ユニットにおいて、ケーシング一端側の上記導入口から該ケーシング内部に導入された原水は、その大部分が平面積の大きい活性炭カートリッジ内を通過する一方、残りは上記逃がし流路を通って次段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入する。
そして、この間隔部分に流入した原水は、一部がやはり逃がし流路を通ってさらに次々段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入するものの、大部分は上記次段の活性炭カートリッジ内を通過することになる。このような濾過を複数段の活性炭カートリッジによって上記流通方向に繰り返すことにより、排出口から排出される原水においては十分な濁質および溶存物質の低減を図ることができる。仮に、１段での逃がし流量が１／１０とすれば、理論的に活性炭カートリッジを通過しない原水量は、２段では１／１００、３段では１／１０００、４段では１／１００００となり、充分な濾過処理が行われることになる。
【０００８】
さらに、上記濾過ユニットにおいては、上記逃がし流路を、上記原水の流通方向に隣接する段の上記活性炭カートリッジ同士で、該流通方向に沿って見て上記ケーシング内の互いに離れた側に位置させることにより、上記逃がし流路を通って次段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入した原水の大部分を、この次段の活性炭カートリッジによって濾過することができる。従って、次々段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入する原水の濁質をさらに確実に低減することができ、一層効率的な濾過を促すことが可能となる。
【０００９】
なお、このような逃がし流路を形成するには、上記活性炭カートリッジを、上記ケーシングの内壁との間に部分的に間隔をあけて配設し、この間隔をあけた部分を上記逃がし流路とすればよい。また、上記活性炭カートリッジを上記ケーシングの内壁に密接するように配設するとともに、上記逃がし流路を、この活性炭カートリッジ自体を貫通するように形成してもよい。
【００１０】
上記構成の濾過ユニットによれば、逃がし流路が設けられていることにより、活性炭カートリッジの目詰まりによる閉塞にてケーシング内での原水の流通がオーバーフローを生じるような事態を未然に防止することが可能となり、個々の活性炭カートリッジにおいて濁質および溶存物質を効率的に除去することとなる。また、このような濾過ユニットを連結した上記濾過装置では、最終的に排出される原水において一層確実な濁度の低減を図り、溶存物質の吸着を図ることが可能となる。
【００１１】
一方、活性炭カートリッジが原水の濁質により閉塞した際には、活性炭カートリッジを洗浄することになる。そこで、上記活性炭カートリッジを洗浄する洗浄手段を備えるとともに、上記活性炭カートリッジ各段の上部位置に、該活性炭カートリッジを洗浄した洗浄廃液の排出管を配設することにより、洗浄手段によって活性炭カートリッジの上部に浮き出た濁質を多く含む洗浄廃液を再び活性炭カートリッジを通過させること無く効率的に排出することが可能となる。
【００１２】
また、特に上記濾過装置のように複数の上記濾過ユニットを、互いの導入口と排出口とを連結して構成する場合には、上記ケーシングに、上記活性炭カートリッジによって濾過された上記原水が導入される排水路を上記他端側から一端側に向けて延びるように設けて、上記排出口を上記ケーシングの一端側に設けることにより、各濾過ユニットが上記流通方向に向けて順に延びてゆくのを避けることができ、比較的コンパクトな濾過装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【００１３】
以上説明したように、本発明の濾過ユニットおよび濾過装置によれば、原水の流通が閉塞してオーバーフローを生じるような事態を未然に防止することが可能となって、活性炭カートリッジを有効に利用して原水を濾過することができ、活性炭カートリッジを洗浄する頻度を低減して効率的な濾過を促すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
図１および図２は、本発明の濾過ユニットの第１の実施形態を示すものであって、例えば河川等から取水された原水Ｗを浄化するのに際して、濁質を除去し、溶存物を吸着するのに用いられる。本実施形態においてケーシング１は、ステンレス等の金属材料により上下方向に延びる外形正四角柱状の箱形をなし、その一端となる上端面には原水Ｗの導入口２が、また他端となる下端面には濾過された原水Ｗの排出口３が形成されている。従って、本実施形態では、このケーシング１内を上から下に向かう方向が原水Ｗの流通方向Ｆとなる。なお、上記導入口２は、ケーシング１の内壁１ａが上記流通方向Ｆに直交する断面においてなす正方形の４辺のうち１つの辺の側に片寄った位置に、また排出口３は、本実施形態ではこの正方形の辺のうち、上面視に上記導入口２が片寄った側の辺とは反対の他の１つの辺の側に片寄った位置にそれぞれ形成されている。
【００１５】
そして、このケーシング１内には、複数（本実施形態では４つ）の活性炭カートリッジ４が上記流通方向Ｆに互いに等しい間隔をあけて配設されている。これらの活性炭カートリッジ４は、多数の粒状活性炭を、例えば個々の粒状活性炭の粒径より小さな通水孔を多数有する箱体内部に収容したり、網の目が個々の粒状活性炭の粒径よりも小さな網状体内部に収容したりしてカートリッジ化したものであり、本実施形態では互いに同形同大の外形長方形平板状とされていて、その長方形面は、上記ケーシング１の内壁１ａが上記断面においてなす正方形内に嵌挿可能な長さと、この長さよりもやや短い幅とを有し、またその厚さは、この長方形面の幅よりも小さく、かつ流通方向Ｆに隣接する活性炭カートリッジ４同士の間隔よりは大きくされている。
【００１６】
このような活性炭カートリッジ４は、上記長方形面を水平にして、この長方形面の上記長さの方向を、ケーシング１の内壁１ａがなす上記正方形の４辺のうち上記導入口２および排出口３がそれぞれ片寄った側の相対する２辺に平行とし、例えば上記内壁２ａに突設された図示されないアングル等の支持部材に支持されることにより、ケーシング１内に収容されて配設される。従って、上記長方形面の幅の方向に延びる活性炭カートリッジ４の一対の側面は、図１に示すようにケーシング１の内壁１ａのうち、該内壁１ａがなす正方形の上記相対する２辺以外の残りの２辺に沿って延びる内壁１ａ部分に密接するように配設されることになる。
【００１７】
さらに、各活性炭カートリッジ４は、その上記長方形面の長さの方向に延びる一対の側面のうちの一方を、ケーシング１の内壁１ａのうち、該内壁１ａがなす正方形の上記相対する２辺の一方に沿って延びる内壁１ａ部分にも密接させるようにして配設されており、従ってこの一方の側面とは反対の活性炭カートリッジ４の他方の側面と、ケーシング１の内壁１ａのうち上記相対する２辺の他方に沿って延びる内壁１ａ部分との間には、間隔があけられることになる。そして、この間隔をあけた部分は、上記流通方向Ｆに直交する断面において活性炭カートリッジ４よりも小さな平面積とされ、本実施形態における逃がし流路５とされている。
【００１８】
ここで、本実施形態における逃がし流路５は、上記流通方向Ｆに隣接する段の活性炭カートリッジ４同士で、図２に示すように互いに離れた側に位置させられている。すなわち、本実施形態では、複数の活性炭カートリッジ４のうち最上段に位置する活性炭カートリッジ４は、ケーシング１の内壁１ａのうち上記導入口２が片寄った側の内壁１ａ部分に、その長方形面の長さの方向に延びる一方の側面を密接させるようにして配設されており、次の活性炭カートリッジ４は反対の上記排出口３が片寄った側の内壁１ａ部分に、さらにその次の活性炭カートリッジ４は再び上記導入口２が片寄った側の内壁１ａ部分にそれぞれ密接し、最下段に位置する活性炭カートリッジ４は再び排出口３側の内壁１ａ部分に密接させられている。
【００１９】
従って、これとは逆に、上記逃がし流路５は最上段から順に、排出口３側と導入口２側とに交互に配設されることになり、すなわち上記流通方向Ｆに隣接する段の活性炭カートリッジ４同士で、該流通方向Ｆに直交する方向において互いに離れた側に配設されることになる。さらに、これらの逃がし流路５は、ケーシング１一端側の最上段の活性炭カートリッジ４の段では上記導入口２からも離れた位置に、また他端側の最下段の活性炭カートリッジ４の段では上記排出口３からも離れた位置に配設されることになる。
【００２０】
このように構成された濾過ユニットにおいて、上記導入口２からケーシング１内に導入された原水Ｗは、その大部分が、この導入口２の直下に位置して上記流通方向Ｆに対向するように配設されることになる最上段の活性炭カートリッジ４の上部から該活性炭カートリッジ４内を通過することにより、濁質が付着して除去されるとともに溶存物質が吸着されて濾過される一方、残りの一部は、この活性炭カートリッジ４を通過することなく、上記逃がし流路５を通って逃がされて、この最上段の活性炭カートリッジ４とその次の段の活性炭カートリッジ４との間の間隔部分に導入される。
【００２１】
さらに、この逃がし流路５から間隔部分に導入された原水Ｗは、最上段の活性炭カートリッジ４を通過した原水Ｗとともに、その大部分が上記次の段の活性炭カートリッジ４を通過して濾過されるとともに、残りの一部はこの次の活性炭カートリッジ４の段に形成された逃がし流路５からさらに次々段の活性炭カートリッジ４との間隔部分に導入され、このような操作が上記流通方向Ｆに順次繰り返されることにより、原水Ｗは徐々に濾過および活性炭吸着処理されて清浄化されてゆく。
【００２２】
従って、各段の活性炭カートリッジ４において、先に原水Ｗと接触する該活性炭カートリッジ４の流通方向Ｆに対向する側（本実施形態では活性炭カートリッジ４の上部）で活性炭カートリッジ４が濁質により詰まりを生じても、上記構成の濾過ユニットによれば、原水Ｗを逃がし流路５から逃がして次段の活性炭カートリッジ４との間隔部分に導入することができるので、導入口２からケーシング１に導入された原水Ｗがオーバーフローするような事態が生じるのを未然に防ぐことが可能となる。
【００２３】
そして、このように次段の活性炭カートリッジ４との間隔部分に導入された原水Ｗは、この次段の活性炭カートリッジ４により濾過されるとともに、前段の活性炭カートリッジ４に目詰まりが生じて前段の活性炭カートリッジ４内を原水Ｗが通過しなくなった場合でも、その流通方向Ｆ側（本実施形態では、前段の活性炭カートリッジ４の下部）の活性炭に接触する部分では溶存物質が吸着されることになる。
このような操作が隣接する活性炭カートリッジ４の間隔部分に導入された原水Ｗに対して順次繰り返されることになる。
【００２４】
従って、上記濾過ユニットによれば、各段の活性炭カートリッジ４においては原水Ｗの一部が濾過されずに逃がされたとしても、排出口３から排出される原水Ｗでは十分な濁度の低減を図ることができる一方で、個々の活性炭カートリッジ４にあっては、収容された活性炭を有効に利用して溶存物質を効率的に吸着することができ、これにより当該活性炭カートリッジ４の洗浄頻度を低減して円滑な原水Ｗの濾過を促すことが可能となる。
【００２５】
また、特に本実施形態では、上記逃がし流路５が、原水Ｗの流通方向Ｆに隣接する段の活性炭カートリッジ４同士で、この流通方向Ｆに直交する断面においてケーシング１の内壁１ａがなす正方形の相対する２辺の側に交互に配設されており、すなわち該流通方向Ｆに沿って見た場合にケーシング１内の互いに離れた側に位置させられているので、この逃がし流路５から次段の活性炭カートリッジ４との間に導入された原水Ｗの大部分を該次段の活性炭カートリッジ４と前段の活性炭カートリッジ４の流通方向Ｆ側の活性炭とで濾過することができる。このため、かかる逃がし流路５が設けられていても、濁質や溶存物質を含んだままの原水Ｗがそのままケーシング１内を通り抜けて排出口４から排出されるのを効果的に防止することができる。
【００２６】
しかも、本実施形態においては、複数段の活性炭カートリッジ４のうち最もケーシング１の一端側（上端側）の活性炭カートリッジ４に対して設けられた逃がし流路５は、このケーシング１の一端側に設けられた導入口２からも離れた側に位置させられているので、導入口２からケーシング１内に導入された濁質の多い原水Ｗがそのまま逃がし流路５から次段の活性炭カートリッジ４との間に流れ込んでしまうのを避けることができる。一方、ケーシング１の最も他端側（下端側）の活性炭カートリッジ４に対して設けられた逃がし流路５も、このケーシング１の他端側に設けられた排出口３から離れた側に位置させられているので、排出口３から排出される原水Ｗに対しても、この他端側の活性炭カートリッジ４の特に流通方向Ｆ側の活性炭によって濁質の除去や溶存物質の吸着を図ることができ、より清澄な原水Ｗを排出することが可能となる。
【００２７】
ところで、この第１の実施形態では、ケーシング１が外形正四角柱状の箱形をなしている一方、活性炭カートリッジ４はこのケーシング１の内壁１ａがなす正方形に嵌め挿れ可能な長さを有する長方形平板状とされていて、この活性炭カートリッジ４を流通方向Ｆに向けて上記正方形の互いに相対する２辺の側に交互に配設することにより、この活性炭カートリッジ４が配設された側とは反対側に、該活性炭カートリッジ４がケーシング１の内壁１ａとの間に部分的に間隔をあけるようにして上記逃がし流路５が形成されるようにしているが、例えば図３および図４に示す本発明の濾過ユニットの第２の実施形態のように、活性炭カートリッジ４をケーシング１の内壁１ａの全周に密接するように配設するとともに、この活性炭カートリッジ４自体に逃がし流路５を上記流通方向Ｆに貫通するように形成してもよい。なお、この第２の実施形態を初め以降に説明する第３〜第５の実施形態でも、第１の実施形態と共通する要素には同一の符号を配して説明を省略する。
【００２８】
すなわち、この第２の実施形態においては、活性炭カートリッジ４がケーシング１の内壁１ａがなす上記正方形に嵌め挿れ可能な大きさの外形正方形平板状とされており、その正方形面の４辺に沿う４つの側面すべてをケーシング１の内壁１ａに密接させるようにして、上記流通方向Ｆに複数段間隔をあけて配設されている。そして、これらの活性炭カートリッジ４には、本実施形態では上記正方形面の１つの角部に片寄った位置に、該活性炭カートリッジ４をその厚さ方向に貫通する孔が形成されていて、この孔が逃がし流路５とされている。ここで、この逃がし流路５を形成する孔は、例えば活性炭カートリッジ４を貫通するように挿入して取り付けたパイプなどでもよいが、その断面積は、この逃がし流路５を除いた活性炭カートリッジ４の上記正方形面の面積よりも小さくされている。
【００２９】
本実施形態では、このような活性炭カートリッジ４が複数（本実施形態でも４つ）、図３に示すようにその正方形面を流通方向Ｆに垂直にし、かつ上記逃がし流路５が設けられた角部を、ケーシング１の内壁１ａが上記流通方向Ｆに直交する断面においてなす正方形の１つの対角線上に相対する一対の角部に、該流通方向Ｆに向けて交互に位置させて、ケーシング１内に間隔をあけて収容されている。さらに、ケーシング１の上面に設けられる導入口２は、上記正方形の相対する一対の角部のうち、ケーシング１の最も一端側（上端側）に位置する活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対側の角部に片寄った位置に、またケーシング１の下面に設けられる排出口３は、ケーシング１の最も他端側（下端側）に位置する活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対側の角部に片寄った位置にそれぞれ形成されている。
【００３０】
このような第２の実施形態の濾過ユニットにおいても、各段の活性炭カートリッジ４に貫通して設けられた上記逃がし流路５により、第１の実施形態と同様に導入された原水Ｗの一部を、この活性炭カートリッジ４内の活性炭によって濾過することなく、次の段の活性炭カートリッジ４との間に逃がしながら濾過を行うことができ、導入された原水Ｗのオーバーフローを防ぐとともに、各活性炭カートリッジ４の流通方向Ｆ側の活性炭を有効に利用して、効率的な濾過を行うことができる。また、この逃がし流路５と、原水Ｗの導入口２および排出口３とが、上述のように内壁１ａがなす正方形の対角に流通方向Ｆに向けて互い違いに配設されているので、濁質を含んだままの原水Ｗがそのまま排出されたりするのも防いで確実な濾過を促すことが可能となる。
【００３１】
なお、これら第１、第２の実施形態では、ケーシング１が正四角柱状の箱形とされ、活性炭カートリッジ４もこのケーシング１内に３または４つの側面を密接させて収容可能な長方形平板状または正方形平板状とされているが、ケーシング１は長方形等の他の多角形柱状あるいは円柱状等の箱形でもよく、また活性炭カートリッジ４も、このようなケーシング１の形状に応じてその形状を設定すればよく、これらケーシング１や活性炭カートリッジ４の形状を限定するものではない。また、第１、第２の実施形態では、ケーシング１の上端面に原水Ｗの導入口２が、下端面に排出口３が設けられていて、上から下に向かう方向が原水Ｗの流通方向Ｆとされているが、これとは逆に下端面に導入口２を、上端面に排出口３を形成して下から上に向かう方向を流通方向Ｆとしてもよく、さらにケーシング１を横置きして水平方向に原水Ｗを流通させてもよい。
【００３２】
一方、上記第１の実施形態では上述のように断面正方形をなすケーシング１の内壁１ａに対して活性炭カートリッジ４を長方形平板とし、その長さ方向に延びる側面の１つを内壁１ａと間隔をあけるように配設して、この間各部分を逃がし流路５としているが、第２の実施形態と同様に活性炭カートリッジ４を内壁１ａの全周に亙って密接可能な形状として、その側面に活性炭カートリッジ４の厚さ方向に貫通する凹所を部分的に形成し、この凹所と内壁１ａとの間に逃がし流路５を形成するようにしてもよい。例えば、正方形平板状の活性炭カートリッジ４の正方形面における１の角部を切り欠くように凹所を形成すれば、第２の実施形態と同様に内壁１ａがなす正方形の角部に逃がし流路５を形成することができる。
【００３３】
また、このように形成される逃がし流路５の形状、特に流通方向Ｆに直交する断面形状も限定されるものではない。これは第２の実施形態でも同じであり、例えば第１の実施形態と同様にケーシング１の内壁１ａが上記断面においてなす正方形の１つの辺に沿うように、長孔状の逃がし流路５を活性炭カートリッジ４に貫設するようにしてもよい。
【００３４】
ところで、これらのような濾過ユニットによって原水Ｗの濾過を行って濁質を活性炭に付着させていると、如何に効率的な濾過を行っていても活性炭カートリッジ４の洗浄を行って付着した濁質を除去しなければならない。しかるに、この場合には、例えばケーシング１内から活性炭カートリッジ４を取り外して洗浄を行ってもよいが、図５に示す第３の実施形態のように活性炭カートリッジ４自体に洗浄手段１１を備えて、ケーシング１内で洗浄を行うようにしてもよい。なお、この第３の実施形態は、図１および図２に示した第１の実施形態にかかる構成を適用した場合を示している。
【００３５】
この第３の実施形態でも、原水Ｗは上下方向を流通方向Ｆとして、特に上から下に向けてケーシング１内に流通させられ、各活性炭カートリッジ４には、その下部に、上記洗浄手段１１として活性炭カートリッジ４内に空気あるいは洗浄水を噴出して活性炭に吸着された濁質を剥離する物理洗浄用配管が、それぞれ複数本ずつ間隔をあけて内蔵されており、これらの配管は図示されない圧縮空気や洗浄水の供給源に接続されている。また、この第３の実施形態では、ケーシング１の内壁１ａに開口するように多数の物理洗浄廃水の排出管１２が開閉可能に該ケーシング１に取り付けられており、これらの排出管１２は、各段の活性炭カートリッジ４の上部位置と、ケーシング１の下端面の上面位置すなわちケーシング１内の底面とに開口するように配設されている。
【００３６】
このような第３の実施形態の濾過ユニットにおいて、活性炭カートリッジ４の洗浄を行う場合には、まず導入口２からの原水の導入および排出口４からの排出を停止して、ケーシング１内に原水Ｗを保持したまま、洗浄手段１１としての上記物理洗浄用配管から空気または洗浄水を噴出し、活性炭に付着した濁質を剥離して各活性炭カートリッジ４の上部に浮き上がらせる。そして、このように剥離して活性炭カートリッジ４の上部に浮き出た濁質は、物理洗浄廃水の排出管１２を開くことによってこの活性炭カートリッジ４の上部位置から吸い出されて排出される。
【００３７】
従って、このような第３の実施形態の濾過ユニットによれば、活性炭カートリッジ４をケーシング１から取り出したりすることなく、該ケーシング１内に収容したまま洗浄を行うことが可能であり、洗浄作業に要する時間の短縮を図ることができる。また、この洗浄によって濁質が浮き出た廃液は、活性炭カートリッジ４の上部位置から排出管１２によって排出されるので、この廃液を例えば排出口３からケーシング１内の原水Ｗとともに排出したりするのに対し、濁質が活性炭カートリッジ４の活性炭に再付着するのを防ぐことができ、活性炭カートリッジ４による濾過性能を確実に回復させることが可能となる。
【００３８】
また、原水Ｗの流通方向Ｆを上から下向きとしたこれら第１〜第３の実施形態では、原水Ｗの導入口２が一端側すなわち上端側に、排出口３が他端側すなわち下端側に設けられているが、図６および図７に示す第４の実施形態や、図８および図９に示す第５の実施形態の濾過ユニットのように、活性炭カートリッジ４によって濾過された原水Ｗが導入される排水路１３を上記流通方向Ｆの他端側から一端側に向けて延びるようにケーシング１に設けて、この排水路１３を介して上記排出口３をケーシング１の一端側に設けるようにしてもよい。ここで、第４の実施形態はかかる構成を上記第１の実施形態に適用した場合を、また第５の実施形態は第２の実施形態に適用した場合を示している。
【００３９】
すなわち、第４の実施形態では、ケーシング１が、その原水Ｗの流通方向Ｆ（上下方向）に直交する断面が長方形をなすような四角柱状の箱形とされているとともに、このケーシング１内には、該断面においてこの長方形の一対の短辺の間を長辺に垂直に仕切るように二分する仕切り壁１ｂが、ケーシング１内の上端面から垂直に下方に延びて下端面の直上（最下段の活性炭カートリッジ４の下面よりも僅かに下方）にまで形成されており、こうして仕切られたケーシング１内の導入口２が設けられた側（図６および図７では左側）が、流通方向Ｆに直交する断面において内壁１ａと仕切り壁１ｂとで正方形状をなし、この側に第１の実施形態と同様に複数段の活性炭カートリッジ４が配設されている。なお、本実施形態では、導入口２は、上記長方形の短辺に沿ったケーシング１の内壁１ａにおける上端部に、横長に延びる長方形状に開口させられている。
【００４０】
そして、本実施形態では、この活性炭カートリッジ４が配設された側とは反対側の仕切り壁１ｂと内壁１ａとの間の部分が、上記流通方向Ｆの他端側すなわち下端側から、一端側すなわち上端側に延びる排水路１３とされており、上記導入口２が設けられた内壁１ａとは反対の上記長方形の短辺に沿ったケーシング１の内壁１ａには、やはりその上端部すなわち一端側に横長に延びる長方形状の排出口３が形成されている。従って、導入口２からケーシング１内に導入された原水Ｗは、下方に向けて流通しつつ活性炭カートリッジ４により濾過され、次いでケーシング１底部の下端面と仕切り壁１ｂ下端との間から排水路１３に導入されてこの排水路１３内を上方に流れ、一端側の排出口３から排出される。
【００４１】
また、第５の実施形態においては、ケーシング１そのものは第２の実施形態と同じく正四角柱状の箱形をなしており、ただし導入口３は、該ケーシング１の断面がなす正方形の相対する一対の角部のうち、ケーシング１の最も一端側（上端側）に位置する活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対の角部側の内壁１ａ上端部に形成されている。一方、ケーシング１の他端側（下端側）には、最下段の活性炭カートリッジ４の下面よりも下側において、この最下段の活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対の角部側の内壁１ａ（導入口２が形成された内壁１ａに対向する内壁１ａ）に、排水管１４が接続されている。
【００４２】
この排水管１４は、その内部がケーシング１内に連通させられていて、ケーシング１の上記他端側から一端側（上端側）に向けて延びた後、導入口２と略同じ高さで横向きに曲折させられており、この排水管１４内が排水路１３とされるとともに、その一端側の開口部が濾過された原水Ｗの排出口３とされている。従って、導入口２からケーシング１内に導入された原水Ｗは、第２の実施形態と同様にケーシング１内を下方に向けて流通しつつ活性炭カートリッジ４により濾過され、その他端側から排水管１４内の排水路１３を通って上端側すなわち一端側に導かれて排出口３から排出される。
【００４３】
このように構成された第４、第５の実施形態では、原水Ｗの導入口２と排出口３とを上記流通方向Ｆにおいて略同じ位置に配設することができるので、例えば図１０に示す本発明の濾過装置の一実施形態のように、複数の本発明の濾過ユニットを、互いの導入口２と排出口３とを連結させて構成する場合に、装置全体で濾過ユニットが上記流通方向Ｆに向けて順に延びていったりするのを避けることができ、コンパクトな濾過装置を提供することが可能となる。なお、この図１０に示す濾過装置では、上記第４の実施形態の濾過ユニットを複数（３つ）、互いの導入口２と排出口３とを連通させ、かつケーシング１同士も密着させた構成とされている。
【００４４】
そして、このように構成された濾過装置では、第１の濾過ユニット（図１０において左側の濾過ユニット）に導入されて濾過された原水Ｗが、排水路１３を介してその排出口３から第２の濾過ユニット（図１０において中央の濾過ユニット）に導入され、さらにこの第２の濾過ユニットにおいて濾過された原水Ｗが、やはりその排水路１３を介して排出口３から第３の濾過ユニット（図１０において右側の濾過ユニット）に導入されて濾過されるので、濁度の高い原水Ｗに対しても十分な濾過を施して清澄化を図ることが可能となる。勿論、図８および図９に示した第５の実施形態の濾過ユニットを複数、互いに導入口２と排出口３とが連結するようにして構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４５】
【図１】本発明の濾過ユニットの第１の実施形態を示す斜視図である。
【図２】図１に示す実施形態の側断面図である。
【図３】本発明の濾過ユニットの第２の実施形態を示す斜視図である。
【図４】図３に示す実施形態の側断面図である。
【図５】本発明の濾過ユニットの第３の実施形態を示す側断面図である。
【図６】本発明の濾過ユニットの第４の実施形態を示す斜視図である。
【図７】図６に示す実施形態の側断面図である。
【図８】本発明の濾過ユニットの第５の実施形態を示す斜視図である。
【図９】図８に示す実施形態の側断面図である。
【図１０】本発明の濾過装置の一実施形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【００４６】
１ ケーシング
１ａ ケーシング１の内壁
１ｂ 仕切り壁
２ 導入口
３ 排出口
４ 活性炭カートリッジ
５ 逃がし流路
１１ 洗浄手段
１２ 排出管
１３ 排水路
１４ 排水管
Ｗ 原水
Ｆ 原水Ｗの流通方向
【技術分野】
【０００１】
本発明は、原水を濾過して浄水を得るのに際して、活性炭カートリッジにより原水の濁質を除去するとともに溶存物質を吸着して濾過する濾過ユニット、および複数の該濾過ユニットにより構成された濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
このような、活性炭をカートリッジ化して備えた複数のユニットにより構成された濾過装置としては、例えば特許文献１に、互いに対向するメタルハニカムストレーナ間の収納部に粒状活性炭が収納されたユニットを、処理水の流水方向に対向して水路に複数直列に並べて着脱可能に設置し、浄化能力の低下したユニットを取り出して洗浄した後、複数のユニットの最後尾に再び設置するようにしたものが提案されている。また、特許文献２には、原水の注入口と濾過後の流出口とを有して内部に活性炭からなる濾過層が設けられた複数の濾過ユニットを着脱自在に積み上げて、設置スペースの縮小化を図るとともに、濾過ユニット間で別個に洗浄を行うことによって連続的な濾過を可能としたものが提案されている。
【特許文献１】特開２００２−２８４０６号公報
【特許文献２】特開２００２−６６２１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ところで、これら従来の濾過ユニットでは、特許文献１に記載のものにおいては、ユニットが上述のように活性炭を収納したカートリッジそのものとされていて、かかる活性炭カートリッジが処理水の流れる水路を閉塞するように流水方向に対向して設置されることになり、また特許文献２に記載のものにおいても、上下端に上記注入口と流出口とが設けられた円筒状等の容器の内部に活性炭からなる濾過層がこの容器内部を充密して閉塞するように配置されることによりカートリッジ化されている。このため、原水中の濁質は活性炭カートリッジにおける原水の流通方向（特許文献１では上記流水方向、特許文献２では注入口から流出口に向かう上下方向）に対向する側から順に活性炭に付着して捕集されることになる。
【０００４】
従って、このような濁質によるカートリッジの詰まりも、この流通方向に対向する側から進行することになり、この詰まりによってカートリッジ内の原水の流通が閉塞してしまうと原水が水路からオーバーフローしてしまったりする。このため、これとは反対のカートリッジの流通方向側の部分では破過に至らずに活性炭に未だ十分な吸着能力が残されているにも拘わらず、特許文献１に記載のものでは活性炭カートリッジを水路から取り出し、また特許文献２に記載のものではユニットへの原水の注入を停止して、いずれも活性炭の洗浄を行わなければならず、洗浄のためにカートリッジやユニットが使用不能となる頻度が増えて効率的な濾過を妨げる結果となる。
【０００５】
本発明は、このような背景の下になされたもので、原水の流通が閉塞するのを防ぎつつ、複数段の活性炭カートリッジで十分な濁質の除去や溶存物質の吸着を促して、効率的な濾過を図ることが可能な濾過ユニット、および複数の該濾過ユニットにより構成された濾過装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の濾過ユニットは、一端側の導入口から内部に導入された原水が他端側に向けて流通させられて排出口から排出されるケーシングと、このケーシング内に、上記原水の流通方向に向けて間隔をあけて複数段に配設されて上記原水を濾過する活性炭カートリッジとを備え、これらの活性炭カートリッジ、または該活性炭カートリッジと上記ケーシングの内壁との間には、上記活性炭カートリッジ内を通過させずに上記原水を流通させる逃がし流路が、上記流通方向に直交する断面で上記活性炭カートリッジよりも小さな平面積で設けられていることを特徴とする。また、本発明の濾過装置は、このような濾過ユニットが複数、互いの上記導入口と上記排出口とを連結させて構成されていることを特徴とする。
【０００７】
このような濾過ユニットにおいて、ケーシング一端側の上記導入口から該ケーシング内部に導入された原水は、その大部分が平面積の大きい活性炭カートリッジ内を通過する一方、残りは上記逃がし流路を通って次段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入する。
そして、この間隔部分に流入した原水は、一部がやはり逃がし流路を通ってさらに次々段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入するものの、大部分は上記次段の活性炭カートリッジ内を通過することになる。このような濾過を複数段の活性炭カートリッジによって上記流通方向に繰り返すことにより、排出口から排出される原水においては十分な濁質および溶存物質の低減を図ることができる。仮に、１段での逃がし流量が１／１０とすれば、理論的に活性炭カートリッジを通過しない原水量は、２段では１／１００、３段では１／１０００、４段では１／１００００となり、充分な濾過処理が行われることになる。
【０００８】
さらに、上記濾過ユニットにおいては、上記逃がし流路を、上記原水の流通方向に隣接する段の上記活性炭カートリッジ同士で、該流通方向に沿って見て上記ケーシング内の互いに離れた側に位置させることにより、上記逃がし流路を通って次段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入した原水の大部分を、この次段の活性炭カートリッジによって濾過することができる。従って、次々段の活性炭カートリッジとの間の間隔部分に流入する原水の濁質をさらに確実に低減することができ、一層効率的な濾過を促すことが可能となる。
【０００９】
なお、このような逃がし流路を形成するには、上記活性炭カートリッジを、上記ケーシングの内壁との間に部分的に間隔をあけて配設し、この間隔をあけた部分を上記逃がし流路とすればよい。また、上記活性炭カートリッジを上記ケーシングの内壁に密接するように配設するとともに、上記逃がし流路を、この活性炭カートリッジ自体を貫通するように形成してもよい。
【００１０】
上記構成の濾過ユニットによれば、逃がし流路が設けられていることにより、活性炭カートリッジの目詰まりによる閉塞にてケーシング内での原水の流通がオーバーフローを生じるような事態を未然に防止することが可能となり、個々の活性炭カートリッジにおいて濁質および溶存物質を効率的に除去することとなる。また、このような濾過ユニットを連結した上記濾過装置では、最終的に排出される原水において一層確実な濁度の低減を図り、溶存物質の吸着を図ることが可能となる。
【００１１】
一方、活性炭カートリッジが原水の濁質により閉塞した際には、活性炭カートリッジを洗浄することになる。そこで、上記活性炭カートリッジを洗浄する洗浄手段を備えるとともに、上記活性炭カートリッジ各段の上部位置に、該活性炭カートリッジを洗浄した洗浄廃液の排出管を配設することにより、洗浄手段によって活性炭カートリッジの上部に浮き出た濁質を多く含む洗浄廃液を再び活性炭カートリッジを通過させること無く効率的に排出することが可能となる。
【００１２】
また、特に上記濾過装置のように複数の上記濾過ユニットを、互いの導入口と排出口とを連結して構成する場合には、上記ケーシングに、上記活性炭カートリッジによって濾過された上記原水が導入される排水路を上記他端側から一端側に向けて延びるように設けて、上記排出口を上記ケーシングの一端側に設けることにより、各濾過ユニットが上記流通方向に向けて順に延びてゆくのを避けることができ、比較的コンパクトな濾過装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【００１３】
以上説明したように、本発明の濾過ユニットおよび濾過装置によれば、原水の流通が閉塞してオーバーフローを生じるような事態を未然に防止することが可能となって、活性炭カートリッジを有効に利用して原水を濾過することができ、活性炭カートリッジを洗浄する頻度を低減して効率的な濾過を促すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
図１および図２は、本発明の濾過ユニットの第１の実施形態を示すものであって、例えば河川等から取水された原水Ｗを浄化するのに際して、濁質を除去し、溶存物を吸着するのに用いられる。本実施形態においてケーシング１は、ステンレス等の金属材料により上下方向に延びる外形正四角柱状の箱形をなし、その一端となる上端面には原水Ｗの導入口２が、また他端となる下端面には濾過された原水Ｗの排出口３が形成されている。従って、本実施形態では、このケーシング１内を上から下に向かう方向が原水Ｗの流通方向Ｆとなる。なお、上記導入口２は、ケーシング１の内壁１ａが上記流通方向Ｆに直交する断面においてなす正方形の４辺のうち１つの辺の側に片寄った位置に、また排出口３は、本実施形態ではこの正方形の辺のうち、上面視に上記導入口２が片寄った側の辺とは反対の他の１つの辺の側に片寄った位置にそれぞれ形成されている。
【００１５】
そして、このケーシング１内には、複数（本実施形態では４つ）の活性炭カートリッジ４が上記流通方向Ｆに互いに等しい間隔をあけて配設されている。これらの活性炭カートリッジ４は、多数の粒状活性炭を、例えば個々の粒状活性炭の粒径より小さな通水孔を多数有する箱体内部に収容したり、網の目が個々の粒状活性炭の粒径よりも小さな網状体内部に収容したりしてカートリッジ化したものであり、本実施形態では互いに同形同大の外形長方形平板状とされていて、その長方形面は、上記ケーシング１の内壁１ａが上記断面においてなす正方形内に嵌挿可能な長さと、この長さよりもやや短い幅とを有し、またその厚さは、この長方形面の幅よりも小さく、かつ流通方向Ｆに隣接する活性炭カートリッジ４同士の間隔よりは大きくされている。
【００１６】
このような活性炭カートリッジ４は、上記長方形面を水平にして、この長方形面の上記長さの方向を、ケーシング１の内壁１ａがなす上記正方形の４辺のうち上記導入口２および排出口３がそれぞれ片寄った側の相対する２辺に平行とし、例えば上記内壁２ａに突設された図示されないアングル等の支持部材に支持されることにより、ケーシング１内に収容されて配設される。従って、上記長方形面の幅の方向に延びる活性炭カートリッジ４の一対の側面は、図１に示すようにケーシング１の内壁１ａのうち、該内壁１ａがなす正方形の上記相対する２辺以外の残りの２辺に沿って延びる内壁１ａ部分に密接するように配設されることになる。
【００１７】
さらに、各活性炭カートリッジ４は、その上記長方形面の長さの方向に延びる一対の側面のうちの一方を、ケーシング１の内壁１ａのうち、該内壁１ａがなす正方形の上記相対する２辺の一方に沿って延びる内壁１ａ部分にも密接させるようにして配設されており、従ってこの一方の側面とは反対の活性炭カートリッジ４の他方の側面と、ケーシング１の内壁１ａのうち上記相対する２辺の他方に沿って延びる内壁１ａ部分との間には、間隔があけられることになる。そして、この間隔をあけた部分は、上記流通方向Ｆに直交する断面において活性炭カートリッジ４よりも小さな平面積とされ、本実施形態における逃がし流路５とされている。
【００１８】
ここで、本実施形態における逃がし流路５は、上記流通方向Ｆに隣接する段の活性炭カートリッジ４同士で、図２に示すように互いに離れた側に位置させられている。すなわち、本実施形態では、複数の活性炭カートリッジ４のうち最上段に位置する活性炭カートリッジ４は、ケーシング１の内壁１ａのうち上記導入口２が片寄った側の内壁１ａ部分に、その長方形面の長さの方向に延びる一方の側面を密接させるようにして配設されており、次の活性炭カートリッジ４は反対の上記排出口３が片寄った側の内壁１ａ部分に、さらにその次の活性炭カートリッジ４は再び上記導入口２が片寄った側の内壁１ａ部分にそれぞれ密接し、最下段に位置する活性炭カートリッジ４は再び排出口３側の内壁１ａ部分に密接させられている。
【００１９】
従って、これとは逆に、上記逃がし流路５は最上段から順に、排出口３側と導入口２側とに交互に配設されることになり、すなわち上記流通方向Ｆに隣接する段の活性炭カートリッジ４同士で、該流通方向Ｆに直交する方向において互いに離れた側に配設されることになる。さらに、これらの逃がし流路５は、ケーシング１一端側の最上段の活性炭カートリッジ４の段では上記導入口２からも離れた位置に、また他端側の最下段の活性炭カートリッジ４の段では上記排出口３からも離れた位置に配設されることになる。
【００２０】
このように構成された濾過ユニットにおいて、上記導入口２からケーシング１内に導入された原水Ｗは、その大部分が、この導入口２の直下に位置して上記流通方向Ｆに対向するように配設されることになる最上段の活性炭カートリッジ４の上部から該活性炭カートリッジ４内を通過することにより、濁質が付着して除去されるとともに溶存物質が吸着されて濾過される一方、残りの一部は、この活性炭カートリッジ４を通過することなく、上記逃がし流路５を通って逃がされて、この最上段の活性炭カートリッジ４とその次の段の活性炭カートリッジ４との間の間隔部分に導入される。
【００２１】
さらに、この逃がし流路５から間隔部分に導入された原水Ｗは、最上段の活性炭カートリッジ４を通過した原水Ｗとともに、その大部分が上記次の段の活性炭カートリッジ４を通過して濾過されるとともに、残りの一部はこの次の活性炭カートリッジ４の段に形成された逃がし流路５からさらに次々段の活性炭カートリッジ４との間隔部分に導入され、このような操作が上記流通方向Ｆに順次繰り返されることにより、原水Ｗは徐々に濾過および活性炭吸着処理されて清浄化されてゆく。
【００２２】
従って、各段の活性炭カートリッジ４において、先に原水Ｗと接触する該活性炭カートリッジ４の流通方向Ｆに対向する側（本実施形態では活性炭カートリッジ４の上部）で活性炭カートリッジ４が濁質により詰まりを生じても、上記構成の濾過ユニットによれば、原水Ｗを逃がし流路５から逃がして次段の活性炭カートリッジ４との間隔部分に導入することができるので、導入口２からケーシング１に導入された原水Ｗがオーバーフローするような事態が生じるのを未然に防ぐことが可能となる。
【００２３】
そして、このように次段の活性炭カートリッジ４との間隔部分に導入された原水Ｗは、この次段の活性炭カートリッジ４により濾過されるとともに、前段の活性炭カートリッジ４に目詰まりが生じて前段の活性炭カートリッジ４内を原水Ｗが通過しなくなった場合でも、その流通方向Ｆ側（本実施形態では、前段の活性炭カートリッジ４の下部）の活性炭に接触する部分では溶存物質が吸着されることになる。
このような操作が隣接する活性炭カートリッジ４の間隔部分に導入された原水Ｗに対して順次繰り返されることになる。
【００２４】
従って、上記濾過ユニットによれば、各段の活性炭カートリッジ４においては原水Ｗの一部が濾過されずに逃がされたとしても、排出口３から排出される原水Ｗでは十分な濁度の低減を図ることができる一方で、個々の活性炭カートリッジ４にあっては、収容された活性炭を有効に利用して溶存物質を効率的に吸着することができ、これにより当該活性炭カートリッジ４の洗浄頻度を低減して円滑な原水Ｗの濾過を促すことが可能となる。
【００２５】
また、特に本実施形態では、上記逃がし流路５が、原水Ｗの流通方向Ｆに隣接する段の活性炭カートリッジ４同士で、この流通方向Ｆに直交する断面においてケーシング１の内壁１ａがなす正方形の相対する２辺の側に交互に配設されており、すなわち該流通方向Ｆに沿って見た場合にケーシング１内の互いに離れた側に位置させられているので、この逃がし流路５から次段の活性炭カートリッジ４との間に導入された原水Ｗの大部分を該次段の活性炭カートリッジ４と前段の活性炭カートリッジ４の流通方向Ｆ側の活性炭とで濾過することができる。このため、かかる逃がし流路５が設けられていても、濁質や溶存物質を含んだままの原水Ｗがそのままケーシング１内を通り抜けて排出口４から排出されるのを効果的に防止することができる。
【００２６】
しかも、本実施形態においては、複数段の活性炭カートリッジ４のうち最もケーシング１の一端側（上端側）の活性炭カートリッジ４に対して設けられた逃がし流路５は、このケーシング１の一端側に設けられた導入口２からも離れた側に位置させられているので、導入口２からケーシング１内に導入された濁質の多い原水Ｗがそのまま逃がし流路５から次段の活性炭カートリッジ４との間に流れ込んでしまうのを避けることができる。一方、ケーシング１の最も他端側（下端側）の活性炭カートリッジ４に対して設けられた逃がし流路５も、このケーシング１の他端側に設けられた排出口３から離れた側に位置させられているので、排出口３から排出される原水Ｗに対しても、この他端側の活性炭カートリッジ４の特に流通方向Ｆ側の活性炭によって濁質の除去や溶存物質の吸着を図ることができ、より清澄な原水Ｗを排出することが可能となる。
【００２７】
ところで、この第１の実施形態では、ケーシング１が外形正四角柱状の箱形をなしている一方、活性炭カートリッジ４はこのケーシング１の内壁１ａがなす正方形に嵌め挿れ可能な長さを有する長方形平板状とされていて、この活性炭カートリッジ４を流通方向Ｆに向けて上記正方形の互いに相対する２辺の側に交互に配設することにより、この活性炭カートリッジ４が配設された側とは反対側に、該活性炭カートリッジ４がケーシング１の内壁１ａとの間に部分的に間隔をあけるようにして上記逃がし流路５が形成されるようにしているが、例えば図３および図４に示す本発明の濾過ユニットの第２の実施形態のように、活性炭カートリッジ４をケーシング１の内壁１ａの全周に密接するように配設するとともに、この活性炭カートリッジ４自体に逃がし流路５を上記流通方向Ｆに貫通するように形成してもよい。なお、この第２の実施形態を初め以降に説明する第３〜第５の実施形態でも、第１の実施形態と共通する要素には同一の符号を配して説明を省略する。
【００２８】
すなわち、この第２の実施形態においては、活性炭カートリッジ４がケーシング１の内壁１ａがなす上記正方形に嵌め挿れ可能な大きさの外形正方形平板状とされており、その正方形面の４辺に沿う４つの側面すべてをケーシング１の内壁１ａに密接させるようにして、上記流通方向Ｆに複数段間隔をあけて配設されている。そして、これらの活性炭カートリッジ４には、本実施形態では上記正方形面の１つの角部に片寄った位置に、該活性炭カートリッジ４をその厚さ方向に貫通する孔が形成されていて、この孔が逃がし流路５とされている。ここで、この逃がし流路５を形成する孔は、例えば活性炭カートリッジ４を貫通するように挿入して取り付けたパイプなどでもよいが、その断面積は、この逃がし流路５を除いた活性炭カートリッジ４の上記正方形面の面積よりも小さくされている。
【００２９】
本実施形態では、このような活性炭カートリッジ４が複数（本実施形態でも４つ）、図３に示すようにその正方形面を流通方向Ｆに垂直にし、かつ上記逃がし流路５が設けられた角部を、ケーシング１の内壁１ａが上記流通方向Ｆに直交する断面においてなす正方形の１つの対角線上に相対する一対の角部に、該流通方向Ｆに向けて交互に位置させて、ケーシング１内に間隔をあけて収容されている。さらに、ケーシング１の上面に設けられる導入口２は、上記正方形の相対する一対の角部のうち、ケーシング１の最も一端側（上端側）に位置する活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対側の角部に片寄った位置に、またケーシング１の下面に設けられる排出口３は、ケーシング１の最も他端側（下端側）に位置する活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対側の角部に片寄った位置にそれぞれ形成されている。
【００３０】
このような第２の実施形態の濾過ユニットにおいても、各段の活性炭カートリッジ４に貫通して設けられた上記逃がし流路５により、第１の実施形態と同様に導入された原水Ｗの一部を、この活性炭カートリッジ４内の活性炭によって濾過することなく、次の段の活性炭カートリッジ４との間に逃がしながら濾過を行うことができ、導入された原水Ｗのオーバーフローを防ぐとともに、各活性炭カートリッジ４の流通方向Ｆ側の活性炭を有効に利用して、効率的な濾過を行うことができる。また、この逃がし流路５と、原水Ｗの導入口２および排出口３とが、上述のように内壁１ａがなす正方形の対角に流通方向Ｆに向けて互い違いに配設されているので、濁質を含んだままの原水Ｗがそのまま排出されたりするのも防いで確実な濾過を促すことが可能となる。
【００３１】
なお、これら第１、第２の実施形態では、ケーシング１が正四角柱状の箱形とされ、活性炭カートリッジ４もこのケーシング１内に３または４つの側面を密接させて収容可能な長方形平板状または正方形平板状とされているが、ケーシング１は長方形等の他の多角形柱状あるいは円柱状等の箱形でもよく、また活性炭カートリッジ４も、このようなケーシング１の形状に応じてその形状を設定すればよく、これらケーシング１や活性炭カートリッジ４の形状を限定するものではない。また、第１、第２の実施形態では、ケーシング１の上端面に原水Ｗの導入口２が、下端面に排出口３が設けられていて、上から下に向かう方向が原水Ｗの流通方向Ｆとされているが、これとは逆に下端面に導入口２を、上端面に排出口３を形成して下から上に向かう方向を流通方向Ｆとしてもよく、さらにケーシング１を横置きして水平方向に原水Ｗを流通させてもよい。
【００３２】
一方、上記第１の実施形態では上述のように断面正方形をなすケーシング１の内壁１ａに対して活性炭カートリッジ４を長方形平板とし、その長さ方向に延びる側面の１つを内壁１ａと間隔をあけるように配設して、この間各部分を逃がし流路５としているが、第２の実施形態と同様に活性炭カートリッジ４を内壁１ａの全周に亙って密接可能な形状として、その側面に活性炭カートリッジ４の厚さ方向に貫通する凹所を部分的に形成し、この凹所と内壁１ａとの間に逃がし流路５を形成するようにしてもよい。例えば、正方形平板状の活性炭カートリッジ４の正方形面における１の角部を切り欠くように凹所を形成すれば、第２の実施形態と同様に内壁１ａがなす正方形の角部に逃がし流路５を形成することができる。
【００３３】
また、このように形成される逃がし流路５の形状、特に流通方向Ｆに直交する断面形状も限定されるものではない。これは第２の実施形態でも同じであり、例えば第１の実施形態と同様にケーシング１の内壁１ａが上記断面においてなす正方形の１つの辺に沿うように、長孔状の逃がし流路５を活性炭カートリッジ４に貫設するようにしてもよい。
【００３４】
ところで、これらのような濾過ユニットによって原水Ｗの濾過を行って濁質を活性炭に付着させていると、如何に効率的な濾過を行っていても活性炭カートリッジ４の洗浄を行って付着した濁質を除去しなければならない。しかるに、この場合には、例えばケーシング１内から活性炭カートリッジ４を取り外して洗浄を行ってもよいが、図５に示す第３の実施形態のように活性炭カートリッジ４自体に洗浄手段１１を備えて、ケーシング１内で洗浄を行うようにしてもよい。なお、この第３の実施形態は、図１および図２に示した第１の実施形態にかかる構成を適用した場合を示している。
【００３５】
この第３の実施形態でも、原水Ｗは上下方向を流通方向Ｆとして、特に上から下に向けてケーシング１内に流通させられ、各活性炭カートリッジ４には、その下部に、上記洗浄手段１１として活性炭カートリッジ４内に空気あるいは洗浄水を噴出して活性炭に吸着された濁質を剥離する物理洗浄用配管が、それぞれ複数本ずつ間隔をあけて内蔵されており、これらの配管は図示されない圧縮空気や洗浄水の供給源に接続されている。また、この第３の実施形態では、ケーシング１の内壁１ａに開口するように多数の物理洗浄廃水の排出管１２が開閉可能に該ケーシング１に取り付けられており、これらの排出管１２は、各段の活性炭カートリッジ４の上部位置と、ケーシング１の下端面の上面位置すなわちケーシング１内の底面とに開口するように配設されている。
【００３６】
このような第３の実施形態の濾過ユニットにおいて、活性炭カートリッジ４の洗浄を行う場合には、まず導入口２からの原水の導入および排出口４からの排出を停止して、ケーシング１内に原水Ｗを保持したまま、洗浄手段１１としての上記物理洗浄用配管から空気または洗浄水を噴出し、活性炭に付着した濁質を剥離して各活性炭カートリッジ４の上部に浮き上がらせる。そして、このように剥離して活性炭カートリッジ４の上部に浮き出た濁質は、物理洗浄廃水の排出管１２を開くことによってこの活性炭カートリッジ４の上部位置から吸い出されて排出される。
【００３７】
従って、このような第３の実施形態の濾過ユニットによれば、活性炭カートリッジ４をケーシング１から取り出したりすることなく、該ケーシング１内に収容したまま洗浄を行うことが可能であり、洗浄作業に要する時間の短縮を図ることができる。また、この洗浄によって濁質が浮き出た廃液は、活性炭カートリッジ４の上部位置から排出管１２によって排出されるので、この廃液を例えば排出口３からケーシング１内の原水Ｗとともに排出したりするのに対し、濁質が活性炭カートリッジ４の活性炭に再付着するのを防ぐことができ、活性炭カートリッジ４による濾過性能を確実に回復させることが可能となる。
【００３８】
また、原水Ｗの流通方向Ｆを上から下向きとしたこれら第１〜第３の実施形態では、原水Ｗの導入口２が一端側すなわち上端側に、排出口３が他端側すなわち下端側に設けられているが、図６および図７に示す第４の実施形態や、図８および図９に示す第５の実施形態の濾過ユニットのように、活性炭カートリッジ４によって濾過された原水Ｗが導入される排水路１３を上記流通方向Ｆの他端側から一端側に向けて延びるようにケーシング１に設けて、この排水路１３を介して上記排出口３をケーシング１の一端側に設けるようにしてもよい。ここで、第４の実施形態はかかる構成を上記第１の実施形態に適用した場合を、また第５の実施形態は第２の実施形態に適用した場合を示している。
【００３９】
すなわち、第４の実施形態では、ケーシング１が、その原水Ｗの流通方向Ｆ（上下方向）に直交する断面が長方形をなすような四角柱状の箱形とされているとともに、このケーシング１内には、該断面においてこの長方形の一対の短辺の間を長辺に垂直に仕切るように二分する仕切り壁１ｂが、ケーシング１内の上端面から垂直に下方に延びて下端面の直上（最下段の活性炭カートリッジ４の下面よりも僅かに下方）にまで形成されており、こうして仕切られたケーシング１内の導入口２が設けられた側（図６および図７では左側）が、流通方向Ｆに直交する断面において内壁１ａと仕切り壁１ｂとで正方形状をなし、この側に第１の実施形態と同様に複数段の活性炭カートリッジ４が配設されている。なお、本実施形態では、導入口２は、上記長方形の短辺に沿ったケーシング１の内壁１ａにおける上端部に、横長に延びる長方形状に開口させられている。
【００４０】
そして、本実施形態では、この活性炭カートリッジ４が配設された側とは反対側の仕切り壁１ｂと内壁１ａとの間の部分が、上記流通方向Ｆの他端側すなわち下端側から、一端側すなわち上端側に延びる排水路１３とされており、上記導入口２が設けられた内壁１ａとは反対の上記長方形の短辺に沿ったケーシング１の内壁１ａには、やはりその上端部すなわち一端側に横長に延びる長方形状の排出口３が形成されている。従って、導入口２からケーシング１内に導入された原水Ｗは、下方に向けて流通しつつ活性炭カートリッジ４により濾過され、次いでケーシング１底部の下端面と仕切り壁１ｂ下端との間から排水路１３に導入されてこの排水路１３内を上方に流れ、一端側の排出口３から排出される。
【００４１】
また、第５の実施形態においては、ケーシング１そのものは第２の実施形態と同じく正四角柱状の箱形をなしており、ただし導入口３は、該ケーシング１の断面がなす正方形の相対する一対の角部のうち、ケーシング１の最も一端側（上端側）に位置する活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対の角部側の内壁１ａ上端部に形成されている。一方、ケーシング１の他端側（下端側）には、最下段の活性炭カートリッジ４の下面よりも下側において、この最下段の活性炭カートリッジ４の逃がし流路５とは反対の角部側の内壁１ａ（導入口２が形成された内壁１ａに対向する内壁１ａ）に、排水管１４が接続されている。
【００４２】
この排水管１４は、その内部がケーシング１内に連通させられていて、ケーシング１の上記他端側から一端側（上端側）に向けて延びた後、導入口２と略同じ高さで横向きに曲折させられており、この排水管１４内が排水路１３とされるとともに、その一端側の開口部が濾過された原水Ｗの排出口３とされている。従って、導入口２からケーシング１内に導入された原水Ｗは、第２の実施形態と同様にケーシング１内を下方に向けて流通しつつ活性炭カートリッジ４により濾過され、その他端側から排水管１４内の排水路１３を通って上端側すなわち一端側に導かれて排出口３から排出される。
【００４３】
このように構成された第４、第５の実施形態では、原水Ｗの導入口２と排出口３とを上記流通方向Ｆにおいて略同じ位置に配設することができるので、例えば図１０に示す本発明の濾過装置の一実施形態のように、複数の本発明の濾過ユニットを、互いの導入口２と排出口３とを連結させて構成する場合に、装置全体で濾過ユニットが上記流通方向Ｆに向けて順に延びていったりするのを避けることができ、コンパクトな濾過装置を提供することが可能となる。なお、この図１０に示す濾過装置では、上記第４の実施形態の濾過ユニットを複数（３つ）、互いの導入口２と排出口３とを連通させ、かつケーシング１同士も密着させた構成とされている。
【００４４】
そして、このように構成された濾過装置では、第１の濾過ユニット（図１０において左側の濾過ユニット）に導入されて濾過された原水Ｗが、排水路１３を介してその排出口３から第２の濾過ユニット（図１０において中央の濾過ユニット）に導入され、さらにこの第２の濾過ユニットにおいて濾過された原水Ｗが、やはりその排水路１３を介して排出口３から第３の濾過ユニット（図１０において右側の濾過ユニット）に導入されて濾過されるので、濁度の高い原水Ｗに対しても十分な濾過を施して清澄化を図ることが可能となる。勿論、図８および図９に示した第５の実施形態の濾過ユニットを複数、互いに導入口２と排出口３とが連結するようにして構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４５】
【図１】本発明の濾過ユニットの第１の実施形態を示す斜視図である。
【図２】図１に示す実施形態の側断面図である。
【図３】本発明の濾過ユニットの第２の実施形態を示す斜視図である。
【図４】図３に示す実施形態の側断面図である。
【図５】本発明の濾過ユニットの第３の実施形態を示す側断面図である。
【図６】本発明の濾過ユニットの第４の実施形態を示す斜視図である。
【図７】図６に示す実施形態の側断面図である。
【図８】本発明の濾過ユニットの第５の実施形態を示す斜視図である。
【図９】図８に示す実施形態の側断面図である。
【図１０】本発明の濾過装置の一実施形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【００４６】
１ ケーシング
１ａ ケーシング１の内壁
１ｂ 仕切り壁
２ 導入口
３ 排出口
４ 活性炭カートリッジ
５ 逃がし流路
１１ 洗浄手段
１２ 排出管
１３ 排水路
１４ 排水管
Ｗ 原水
Ｆ 原水Ｗの流通方向
【特許請求の範囲】
【請求項１】
一端側の導入口から内部に導入された原水が他端側に向けて流通させられて排出口から排出されるケーシングと、このケーシング内に、上記原水の流通方向に向けて間隔をあけて複数段に配設されて上記原水を濾過する活性炭カートリッジとを備え、これらの活性炭カートリッジ、または該活性炭カートリッジと上記ケーシングの内壁との間には、上記活性炭カートリッジ内を通過させずに上記原水を流通させる逃がし流路が、上記流通方向に直交する断面で上記活性炭カートリッジよりも小さな平面積で設けられていることを特徴とする濾過ユニット。
【請求項２】
上記逃がし流路は、上記原水の流通方向に隣接する段の上記活性炭カートリッジ同士で、該流通方向に沿って見て上記ケーシング内の互いに離れた側に位置させられていることを特徴とする請求項１に記載の濾過ユニット。
【請求項３】
上記活性炭カートリッジは上記ケーシングの内壁との間に部分的に間隔をあけて配設されており、この間隔をあけた部分が上記逃がし流路とされていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の濾過ユニット。
【請求項４】
上記活性炭カートリッジは上記ケーシングの内壁に密接するように配設されるとともに、上記逃がし流路はこの活性炭カートリッジを貫通するように形成されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の濾過ユニット。
【請求項５】
上記活性炭カートリッジを洗浄する洗浄手段が備えられているとともに、上記活性炭カートリッジ各段の上部位置には、該活性炭カートリッジを洗浄した洗浄廃液の排出管が配設されていることを特徴とする請求項１から請求項４のいずれかに記載の濾過ユニット。
【請求項６】
上記ケーシングには、上記活性炭カートリッジによって濾過された上記原水が導入される排水路が上記他端側から一端側に向けて延びるように設けられていて、上記排出口が上記ケーシングの一端側に設けられていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれかに記載の濾過ユニット。
【請求項７】
請求項１から請求項６のいずれかに記載の濾過ユニットが複数、互いの上記導入口と上記排出口とを連結させて構成されていることを特徴とする濾過装置。
【請求項１】
一端側の導入口から内部に導入された原水が他端側に向けて流通させられて排出口から排出されるケーシングと、このケーシング内に、上記原水の流通方向に向けて間隔をあけて複数段に配設されて上記原水を濾過する活性炭カートリッジとを備え、これらの活性炭カートリッジ、または該活性炭カートリッジと上記ケーシングの内壁との間には、上記活性炭カートリッジ内を通過させずに上記原水を流通させる逃がし流路が、上記流通方向に直交する断面で上記活性炭カートリッジよりも小さな平面積で設けられていることを特徴とする濾過ユニット。
【請求項２】
上記逃がし流路は、上記原水の流通方向に隣接する段の上記活性炭カートリッジ同士で、該流通方向に沿って見て上記ケーシング内の互いに離れた側に位置させられていることを特徴とする請求項１に記載の濾過ユニット。
【請求項３】
上記活性炭カートリッジは上記ケーシングの内壁との間に部分的に間隔をあけて配設されており、この間隔をあけた部分が上記逃がし流路とされていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の濾過ユニット。
【請求項４】
上記活性炭カートリッジは上記ケーシングの内壁に密接するように配設されるとともに、上記逃がし流路はこの活性炭カートリッジを貫通するように形成されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の濾過ユニット。
【請求項５】
上記活性炭カートリッジを洗浄する洗浄手段が備えられているとともに、上記活性炭カートリッジ各段の上部位置には、該活性炭カートリッジを洗浄した洗浄廃液の排出管が配設されていることを特徴とする請求項１から請求項４のいずれかに記載の濾過ユニット。
【請求項６】
上記ケーシングには、上記活性炭カートリッジによって濾過された上記原水が導入される排水路が上記他端側から一端側に向けて延びるように設けられていて、上記排出口が上記ケーシングの一端側に設けられていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれかに記載の濾過ユニット。
【請求項７】
請求項１から請求項６のいずれかに記載の濾過ユニットが複数、互いの上記導入口と上記排出口とを連結させて構成されていることを特徴とする濾過装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２００８−１８８５２９（Ｐ２００８−１８８５２９Ａ）
【公開日】平成２０年８月２１日（２００８．８．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２５５０８（Ｐ２００７−２５５０８）
【出願日】平成１９年２月５日（２００７．２．５）
【出願人】（０００１６５２７３）月島機械株式会社 (253)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年８月２１日（２００８．８．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年２月５日（２００７．２．５）
【出願人】（０００１６５２７３）月島機械株式会社 (253)
【Ｆターム（参考）】
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