火災抑制システムおよび緊急告知システム
可撓性導管およびワイヤロープを用いた火災抑制および緊急告知システムが提供される。ワイヤロープは、ユニバーサル式プルステーションでノブ組立体に連結し、また火災抑制システムの放出機構に連結することができる。オペレータは、ユニバーサル式プルステーションでノブ組立体のハンドルを引っ張り、これにより放出機構を起動させ、火災抑制剤を放出させることができる。可撓性導管は、ユニバーサル式プルステーションから放出機構までの連結の少なくとも一部に沿ってワイヤロープを収容することができる。可撓性導管内でのワイヤロープの摩擦係数を低下させるのに、可撓性導管のライナー上および/またはワイヤロープ上の材料を用いることができる。火災抑制システムは、ユニバーサル式プルステーションに連結されたプーリーブロックシステムをさらに含むことができる。このプーリーブロックシステムは、軸受を備えることができ、放出機構を起動させるのに要する力を低下させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本件出願は、2007年3月2日に出願された米国仮出願第60/904,551号の利益を主張するものであり、当該仮出願の全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
[技術分野]
本出願は、手動で(例えばプルノブによって、或いは電子的に)、ないしは自動で(例えば検出ラインにおける検出リンクによって)起動される火災抑制(消火、鎮火)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災抑制システムは、プルノブを用いて起動させることができる。このプルノブは、出口の通路内、或いはオーブンやポップコーン製造機その他の機械のオペレータの近くに設置され、火災抑制システムを起動させるために用いることができる。火災が発生した場合、オペレータはプルノブを引っ張り、これにより火災抑制システムの放出機構を起動させることができる。
【0003】
放出機構は、間接的ないしは直接的に火災抑制剤の定量供給を生じさせ、これにより火災を弱め、ないしは消し去ることができる。例えば図1は、放出機構160を起動させるのにプルハンドル116を使用している火災抑制システム100を示している。具体的には、プルハンドル116と、放出機構160におけるケーブルレバー190の楕円形スリーブ170との間にワイヤロープ140を連結することができる。楕円形スリーブ170は、プルハンドル116と放出機構160のケーブルレバー190との間の連結がなされるよう、ロープにループを作るために用いることができる。プルハンドル116はプルステーション110の一部であってもよい。このプルステーション110は、フェイスプレート114およびプルノブ本体118を含むと共に、オイルフライヤーオーブンなどの熱油キッチン機器から遠く離れた領域に設置される。フェイスプレート114の色は、キッチン機器などと調和させるために、ブラシ加工ステンレス色となっている。熱油表面での突発的な火災の場合には、オペレータがプルハンドル116を引っ張り、これによりシステム加圧制御キャビネット162内に設置された放出機構160を起動させることができる。その後、放出機構160は、泡や難燃性材料などの火災抑制剤の容器内に圧力サージを発生させることで、間接的に火災抑制剤を放出させる。この圧力サージが、今度は、恒久的に設置されたスプレーノズルを通じて、燃えている油の上へ火災抑制剤を放出させ、かくして火災を弱め、ないしは消し去るのである。これに代えて、水の容器などやCO2消火器などの火災抑制剤容器に直接結合されたトリガー放出機構をプルハンドル116で起動させるなどして、放出機構が直接的に火災抑制剤を放出させてもよい。起動時には、水を定量供給してもよい。或いは、CO2消火器(ないしは他の消火剤)がCO2(ないしは窒素カートリッジ)を放出して薬剤の加圧を生じさせ、これにより固定配管システムを通じて抑制領域内へ薬剤を放出して、火災を維持するO2を除去し、かくして火災を最小化し、ないしは消し去ることができる。或いは、CO2を消火剤として用いてもよい。
【0004】
火災抑制システムにおけるプルハンドルは、放出機構に結合されている。プルハンドル116を放出機構160に結合する一つの方法は、例えば図1に示すように、不撓性導管の機械的システムを使用することによるものである。ワイヤロープ140が、システム加圧制御キャビネット162からプルステーション110まで、不撓性電気機械チューブ(EMT)130を通じて通され、プーリーエルボー150を介して90度曲がっている。さらに、不撓性EMT130は、プルステーション110に対する導管−接続箱間カップリング131を介して、接続箱120に連結されている。しかし、不撓性EMTチューブ130および90度エルボー150の使用は、非常に大きな労力を要し、高価で、また、一部の建物壁面形状および通路にとって好ましくない。
【0005】
プルハンドルを放出機構に結合するもう一つの方法は、(4分の1インチ直径などの)外径(OD)の予め賦形された不撓性導管チューブにワイヤロープ140を通すことである。この予め賦形された不撓性導管チューブは一般に、ポップコーン製造機などの状況で用いられる。これは、デザインと構成要素の寸法とが既知で、定められているからである。ワイヤロープ140の通る導管が不燃性であって高熱条件下で設計されたように機能することとなるのを確保するために、予め賦形された不撓性チューブは、例えばアルミニウムやステンレス鋼を用いて構成することができる。予め賦形された不撓性導管チューブはプーリーエルボー150を含んでいないため、ワイヤロープ140が高い摩擦を受けて、プルハンドルを引っ張ることを困難にする。
【0006】
プルハンドルを放出機構に結合するさらにもう一つの方法は、複数の特定のプーリーシステムによって規定される予め決められた経路(長さおよび方向)に沿ってワイヤロープを通すことである。それらのプーリーシステムは、ワイヤロープの各方向転換部に設置される。この方法の欠点は、制御された経路設定に欠けることに加えて、プーリーシステムに関連した過大なコストを含んでいる。ワイヤロープ張力の単純な喪失が、ワイヤロープの「そのプーリーからの脱線」、従ってワイヤロープシステムの完全な故障という結果を招くかもしれない。
【0007】
プルハンドルを放出機構に結合するさらにもう一つの方法は、空気圧システムを用いることによるものである。プルハンドルは、気体圧力の変化を引き起こし、これにより解放機構を起動させることができる。空気圧システムは、図1に示す電気EMTチューブ130および90度プーリーエルボー150を用いるシステムや、予め賦形された不撓性導管チューブを用いるシステムよりも容易に構成することはできるが、当該システムは一般的に信頼性に劣るものである。従って、必要とされるのは、プルハンドルを用いる火災抑制の放出機構を起動させるための、より容易に構成できて信頼性のあるシステムである。
【0008】
上記で議論したように、プルハンドル116はプルステーション110の一部である。プルステーション110の一例が、図2、図3、および図4Aから図4Cに描かれている。プルステーション110の構成は、図4Aから図4Cに示すように、ブレイクロッド112の取り付けを含むことができる。ブレイクロッド112は、止めねじ端部ブッシュ119がブレイクロッド端部ブッシュ113内へとねじ込まれるまで、ブレイクロッド端部ブッシュ113を通してスライドさせられる。しかし、ブレイクロッド112をブレイクロッド端部ブッシュ113内へとスライドさせることは難しいと分かるであろう。さらに、ブレイクロッド112の取り付け後に、プルノブブッシュ125からプルハンドル116を引っ張ることも、難しいと分かるであろう。プルステーション110は、プルハンドル116が接続され(図2)また接続を解かれた(図3)状態にて、断面で描かれている。その設計に起因して、図2および図3に示す132および133などの摩擦箇所におけるケーブルの摩擦から結果として生じる摩擦力に打ち勝つために、方向134へ引っ張るときに余分な力が要求される。従って、必要とされるのは、構成することと起動することがより容易なプルステーションである。
【発明の概要】
【0009】
可撓性導管およびワイヤロープを用いた火災抑制システムおよび/または緊急告知システムが提供される。可撓性導管およびワイヤロープは、火災抑制システム、緊急告知システム、または、火災抑制および緊急告知システムの組み合わせに用いられる。ワイヤロープは、プルステーションでレバーまたはハンドルに連結し、また火災抑制システムの放出機構に連結することができる。オペレータは、プルステーションでレバーを引っ張り、これにより放出機構を起動させて、直接的にか間接的にかのいずれかで、火災抑制剤を放出させることができる。可撓性導管は、プルステーションから放出機構までの連結の少なくとも一部に沿ってワイヤロープを収容するのに用いることができる。可撓性導管は、遠方のプルステーションと、現地のシステム加圧制御キャビネットなどの放出機構との間にワイヤロープを標準的ではない配置形態で通す(経路設定する)のに用いることができる。或いは、ワイヤロープは、プルステーションでレバーまたはハンドルに連結し、また火災告知システムのためのスイッチに連結することができる。オペレータは、プルステーションでレバーを引っ張り、これにより告知システムのためのスイッチを制御して、化学製品の漏洩などを視覚的または聴覚的に(例えば、ストロボ、ホーン、スピーカーなどを所定の出力で起動させることによって)知らせることができる。
【0010】
可撓性導管内でのワイヤロープの摩擦係数を低下させるのに、可撓性導管の内側上および/またはワイヤロープ上の材料を用いることができる。その材料は可撓性導管のライナーを含んで成ることができ、これによりワイヤロープが可撓性導管のライナー内を軸線方向にスライドするように配置される。ライナーは、低い摩擦係数を有した、プラスチックなどの可撓性の材料で構成することができる。当該材料は、潤滑液などの潤滑剤を含んで成ることもできる。潤滑剤は、ライナーの内側などの可撓性導管の内側に塗布し、および/または、ワイヤロープに塗布することができる。より低い摩擦係数を得ることで、火災抑制システムの放出機構を起動させるためにプルステーションでレバーを引っ張るのに、より低いレベルの力しか必要としないようにすることができる。
【0011】
火災抑制システムは、工具を使用しないブレイクロッドの取り付けや、空間的な制約のある壁面領域内でのブレイクロッドの取り付けなどの、より容易な取り付けを考慮するように構成されたプルステーションを含むことができる。フェイスプレートとプルノブ組立体(後者はプルノブおよび/プルハンドルを含むことができる)の一方または両方は、ブレイクロッドの取り付けを容易にするために、例えば90度までの角度で(時計回りと反時計回りのいずれかに)回転させ、或いは90度を超える角度で回転させることができる。特に、ブレイクロッドの取り付けは、プルノブが、フェイスプレート内に挿入され、(フェイスプレートが固定された状態で)その通常位置から約90度時計回りに回転されたときに行うことができる。それから、プルノブ/ブレイクロッド組立体を90度反時計回りの回転方向へ回転させてその通常位置へと戻すことで、ブレイクロッドの両端部を、各側壁防護障壁内に含まれる対応したスロット内へと係合させ、そして当該スロット内に完全に取り付けられた状態にすることができる。さらに、ブレイクロッドの取り付けは、工具を用いることなく成し遂げることができる。
【0012】
フェイスプレートは、1つないし2つ以上のねじボスを含むことができる。各ねじボスは、グリースや汚物や埃がプルステーションの裏側へ侵入するのを防止するために、一体型の封じ込め境界ダイアフラムを伴っている。これらのねじボスは、(浅型または深型の電気接続箱などの)電気接続箱に備わった関連するねじボスと合致するように配置することができる。フェイスプレートを電気接続箱にねじで取り付けられるようにするために、電気接続箱取付ねじボスと整列した封じ込め境界ダイアフラム穴を開けることができる。従って、封じ込め境界ダイアフラムを取り外すことで、穴を通じて組立ねじを挿入して、その穴の中に組立ねじを直ちに捕捉することを可能とすることができる。これにより、ねじを穴から落下させることなく、フェイスプレートを電気接続箱上に位置決めすることが可能となる。フェイスプレートは、当該フェイスプレートの他の部分とは異なる色や質感であるところの1つないし2つ以上の表示(例えば、コントラストを付ける色の表示)をさらに含むことができる。例えば、フェイスプレート上にある1つないし2つ以上の言葉が、周囲(例えばアルミニウムの背景)から言葉(およびフェイスプレート)を識別するために、赤色、蛍光色、または暗闇で光るものであってもよい。
【0013】
プルステーションのフェイスプレートは、機能的な起立した防護障壁をも含むことができる。この防護障壁は、側方の衝撃からプルノブおよびプルハンドルを防護することができ、また、プルノブが取り付けられて起動される準備ができたときにブレイクロッドの両端を捕捉するための防護的かつ機能的な手段をもたらすことができる。さらに、フェイスプレートは、保守用構成要素のための収納場所を含むことができる。それらの保守用構成要素は、予備のブレイクロッドや銅製の圧縮取付具などの保守部品を含むことができる。
【0014】
プルステーションのフェイスプレートは、プーリーブロックシステムと合体させることができる。プーリーブロックシステムは、フェイスプレートの対応する構造内に、しっかりと嵌め込んで係合させることができる。例えば、プーリーブロックシステムは、プルステーションのフェイスプレート内に圧入することができる。この組み合わせによって、ワイヤロープが電気接続箱へ入って行くときに、そのワイヤロープを可撓性導管または不撓性導管の方向に当該導管の中心線上で通す組立体を作り出すことができる。フェイスプレートおよびプーリーブロックは、ワイヤロープの多方向経路設定能力を可能とするために、複合的な対応する相互係合構造をそれぞれ含むことができる。具体的には、プーリーブロックおよびプーリーは、他の組立構成要素を必要とすることなく(浅型または深型の箱などの)多様な電気接続箱デザインにフェイスプレート/プーリーブロック組立体を使用できるようにする様々なやり方で構成することができる。プーリーブロック組立体は、プルステーション組立体内への可撓性導管の迅速な取付/係合を可能とするために、ケーブルの速結捕捉構造を含むことができる。この可撓性導管の取り付けは、工具を用いることなく迅速に実行することができ、これにより、このシステムを現場で設置するのに要する人的労働力を最小限にすることができる。
【0015】
プルステーションのプルノブ組立体は、1つないし2つ以上の止めねじを用いてワイヤロープと結合させることができる。止めねじは、ワイヤロープの軸線に対して垂直な向きにすることができる。或いは、プルステーションのプルノブ組立体は、一端部に留め付けられた圧縮取付具を用いてワイヤロープと結合させることができる。いずれの場合も、プルノブ組立体の少なくとも一部(例えばプルハンドル)に回転の自由を許容しつつワイヤロープと結合させることができ、プルノブ組立体がフェイスプレートの対応する中心ボス内へと完全に挿入されている間ずっとブレイクロッドの取り付けを可能とする。プルステーションのプルノブ組立体は、当該プルノブ組立体の取り付けを容易にし、また余分なコストを掛けずに市場に特有の内容表示や文化圏に特有の言語の変更をもたらすのを容易にするために、スナップ嵌め式の同形キャップをさらに含むことができる。このキャップシステムは、標準化されたプルノブ組立体のベース要素を使用している間はずっと、エンドユーザーのニーズに特有の任意のやり方で表示(ラベル付け)や着色をすることができる。
【0016】
上記で議論したように、ワイヤロープは、プルノブ組立体を放出機構に連結するのに用いることができる。設置後において、いくらかの、或いは全部の余分なワイヤロープ上での張力を維持するために自動ワイヤロープ張力調整機構を用いることができる。この張力調整機構は、プルノブ組立体を、すぐに起動できる体勢にあると同時に、フェイスプレートに対して面一に取り付けられた状態に保つこともできる。余分なワイヤロープ上に軽く張力を掛けることで、設置職員が、システム加圧制御機構を起動させることなく、不撓性または可撓性の導管を通じてワイヤロープを試験的に引っ張れることを可能とすることができる(カートリッジが取り付けられていないことを条件として)。このワイヤロープ試験の方法論は、(不撓性か可撓性のいずれかの導管を用いた)現場を通る導管システムがワイヤロープの自由で妨げられない動きを許すことをシステムを起動させずに確かめる能力を、たった一人の技術者に対して与えることができる。さらに、ワイヤロープの張力を所定の力の大きさで維持し、これによりプルノブ組立体を引っ張るのに要する力の大きさを標準化することができる。
【0017】
他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することによって、当業者に明らかであるか、或いは明らかになるであろう。そのような追加的なシステム、方法、特徴、および利点の全ては、この説明に包含され、本発明の範囲内にあり、また添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0018】
本発明システムは、以下の図面および説明を参照することで、よりよく理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも縮尺で製図されているものではなく、むしろ本発明の原理を示すことを重視しているものである。さらに、図中において、同様の参照符号は、異なる図面同士を通じて対応する部分を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】不撓性導管の経路設定を用いた従来技術の火災抑制システムを示す図。
【図2】ワイヤロープ連結を伴った従来技術のプルハンドルの断面図。
【図3】起動されている、ワイヤロープ連結を伴った従来技術のプルハンドルの断面図。
【図4A】ブレイクロッドの取り付けのための従来技術の順序を示す図。
【図4B】ブレイクロッドの取り付けのための従来技術の順序を示す図。
【図4C】ブレイクロッドの取り付けのための従来技術の順序を示す図。
【図5A】ボーデン導管を示す図。
【図5B】屈曲を伴った編組導管を示す図。
【図5C】図5Bからの分解構造視で編組導管を示す図。
【図6】プルステーション、および可撓性ケーブルの経路設定を表す図。
【図7A】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよび(圧着止め具などの)ケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図7B】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図7C】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図7D】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図8A】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図8B】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図8C】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図8D】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図9A】プーリーブロックのスナップ嵌めを伴ったプルステーションの分解図。
【図9B】プーリーブロックの止めねじ取付を伴ったプルステーションの分解図。
【図10A】溝嵌め構造を伴ったプーリーブロックの分解図。
【図10B】保持クリップおよび可撓性導管の正面図および側面図。
【図10C】スナップ嵌め構造を伴ったプーリーブロックの分解図。
【図10D】フェイスプレートに対して回転されたプルステーションプルノブの正面図。
【図10E】図10Dからの(E−E線)断面図。
【図10F】図10Eからの分解部分(詳細F)の図。
【図10G】フェイスプレート組立体における回転されていないプルステーションプルノブの正面図。
【図10H】図10Gからの(G−G線)断面図。
【図10I】図10Hからの分解部分(詳細H)の図。
【図10J】プーリーブロックプーリーの斜視図。
【図10K】図10Jに示すプーリーブロックプーリーの正面図。
【図10L】図10Kからの(A−A線)断面図。
【図11A】プルノブが回転された状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図11B】図11Aに描かれたようにプルノブが回転された状態での、プルステーションのフェイスプレート、および接続箱の前方斜視図。
【図11C】プルノブが回転されていない状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図11D】図11Cに描かれたようにプルノブが回転されていない状態での、プルステーションのフェイスプレート、および接続箱の前方斜視図。
【図12A】プルノブが回転された状態で、プルステーションの直近に壁がある状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図12B】プルノブが回転されていない状態で、プルステーションの直近に壁がある状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図12C】図12Bに描かれたようにプルノブが回転されていない状態での、プルステーションのフェイスプレート、および接続箱の前方斜視図。
【図13A】プルノブ、ワイヤロープ、およびワイヤロープを保持する止めねじの斜視断面図。
【図13B】プルノブ、ワイヤロープ、および、図13Aに描かれたようにワイヤロープを保持する止めねじの断面図。
【図13C】プルノブ、ワイヤロープ、および、図13Aに描かれたようにワイヤロープを保持する止めねじの分解図。
【図13D】プルノブ、ワイヤロープ、および、ワイヤロープを捕捉する圧縮取付具の上方斜視分解図。
【図13E】プルノブ、および、図13Dに描かれたようにワイヤロープを捕捉するワイヤロープの下方斜視分解図。
【図13F】プルノブ、ワイヤロープ、および、図13Dに描かれたようにワイヤロープを捕捉する圧縮取付具の断面図。
【図14】プルステーション、可撓性ケーブルの経路設定、および自動ワイヤロープ張力調整機構を表す図。
【図15A】図14に示す自動ワイヤロープ張力調整機構の分解図。
【図15B】縮められた自動ワイヤロープ張力調整機構を示す図。
【図15C】完全に伸ばされた自動ワイヤロープ張力調整機構を示す図。
【図15D】プルステーションからの部分移動引張り試験を行っている状態の自動ワイヤロープ張力調整機構を示す図。
【図16A】接続箱、およびブレイクロッド収納機構を伴うフェイスプレートの分解下方斜視図。
【図16B】フェイスプレートの上方斜視図。
【図16C】追加のブレイクロッドの収納を示すフェイスプレートの下方斜視図。
【図16D】フェイスプレートの一部の前方斜視図。
【図16E】スナップクリートを示す、フェイスプレートの一部の前方斜視図。
【図17A】不撓性導管のワイヤロープ連結を伴ったプルステーションの側方断面図。
【図17B】可撓性導管のワイヤロープ連結を伴ったプルステーションの側方断面図。
【図17C】接続箱の相互接続穴の中心を通るワイヤロープを伴ったプルステーションの正面図。
【図17D】接続箱の相互接続穴の中心を通るワイヤロープを伴ったプルステーションの側面図。
【図18A】PG9キャップの斜視図。
【図18B】圧縮取付具の斜視図。
【図18C】図18Aおよび図18Bに示す圧縮取付具およびPG9キャップの分解図。
【図18D】ストレインリリーフの斜視図。
【図18E】ストレインリリーフ取付前における、ストレインリリーフおよび圧縮取付具の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図6は、可撓性導管220内に収容されたワイヤロープ140を用いて、プルステーション400のプルハンドル416を火災抑制システムの放出機構160に連結するための機械的システムを示すブロック図である。放出機構160の一例は、アンスル(Ansul)オートマン(AUTOMAN:登録商標)パネルなどのパネルである。放出機構160のもう一つの例は、バルブである。代替的に、(図1に示す)プルステーション110を放出機構160と連結するために可撓性導管220を用いてもよい。
【0021】
可撓性導管220は、図5Aから図5Cにより詳細に示すように、ボーデン(Bowden)導管や編組導管などの様々なタイプの導管で構成することができる。しかしながら、可撓性導管220は、これらのタイプの導管に限定されるものではない。可撓性導管220は、ライナー、ライナーラップ、およびアウタージャケットを含むことができる。但し、可撓性導管220は、ライナー、ライナーラップ、およびアウタージャケットのそれぞれを含んでいる必要はない。例えば、アウタージャケットが可撓性導管に含まれている必要はない。可撓性導管220とワイヤロープ140は同軸の機械的装置であり、これによりワイヤロープ140は、可撓性導管220のライナー内で軸線方向にスライドするように配置される。図6に示すように、可撓性導管220は、標準的ではない配置形態221で経路設定することができる。さらに、可撓性導管220は、例えばプルステーション400などの構造と放出機構160との間にワイヤロープ140を結合させるために、EMT130および/またはプーリーエルボー150と組み合わせて用いることができる。ワイヤロープ140は、例えば7×7編組(ブレーディング)を伴った航空機ステンレス鋼編組ワイヤロープなどの金属で構成することができる。ワイヤロープの編組は、そのワイヤロープがより曲がりやすくなることを可能とする。これに代えて、ワイヤロープは異なる編組を有していてもよく、或いは編組を全く有していなくてもよい。
【0022】
ライナーは、低い摩擦係数を有する材料を含んで成ることができる。例えば、ライナーは部分的に、或いは全体として、例えばアセタールポリマー、ポリエチレンポリマー、PVCポリマー、またはテフロン(登録商標)フルオロポリマーなどのプラスチック材料で構成することができる。かくしてライナーは、当該ライナーとワイヤロープとの間の摩擦係数を低下させ、これにより可撓性導管を通じてワイヤロープをスライドさせるのに要する力を低減させることができる。
【0023】
ライナーラップは、金属または複合材料を含んで成ることができ、(交叉織などの)ワイヤ編組、フラットラップ、またはワイヤラップであってもよい。ライナーラップは、可撓性導管220に対する構造的な支持、例えばライナーに対する構造的支持をもたらすことができる。ライナーラップは、自らを貫通する複数の穴を伴ったメッシュ型の構造であってもよい。上記で議論したように、可撓性導管はアウタージャケットを含むことができる。アウタージャケットは、ポリプロピレン材料、PVC材料、または他の適当なプラスチック材料を含んで成ることができる。アウタージャケットは、穴はなくてもよいのであるが、様々な目的のために用いることができる。例えば、アウタージャケットは、可撓性導管220のための不浸透性で延性の外側被覆(シース)を形成するのに用いることができる。アウタージャケットはまた、(赤色などの)着色をされ、これにより、この可撓性導管を「安全関連(SAFETY RELATED)」と確認するための視覚的な警告の仕組みとして役立つこともできる。赤の彩色に加えて、アウタージャケット上に(印字された語句などの)表示がプリントされていてもよい。例えば、赤色のアウタージャケットに対して、「火災抑制ケーブル−妨害禁止」を表示する黒色の語句がプリントされていてもよい。
【0024】
可撓性導管の一例は、図5Aに示すボーデン被覆導管(Bowden lined conduit)500を包含し得る。このボーデン被覆導管500は、PVCで構成されたアウタージャケット502を含むことができる。アウタージャケット502は、例えば0.197インチの外径であってよい。ボーデン被覆導管500は、ライナーラップとして機能するワイヤーラップ506をも含むことができる。また、ボーデン被覆導管500は、ライナーとして機能するポリエチレンライナー504を含むことができる。ワイヤロープ140は、ポリエチレンライナー504の内部にあってよい。可撓性導管のもう一つの例は、図5Bおよび図5Cに示す編組導管305を包含し得る。この編組導管305は、ポリプロピレンアウタージャケット310を含むことができる。ポリプロピレンアウタージャケット310は、0.203インチの外径を有することができる。編組導管305は、ライナーラップとして機能する、12−16ワイヤー編組などのワイヤー編組330を含むことができる。また、編組導管305は、ライナーとして機能するアセタール・ライナー320を含むことができる。可撓性導管のさらにもう一つの例は、外径0.187インチのポリエチレンジャケット、ワイヤーラップ、およびポリエチレンライナーを有した長距離敷設導管(long lay conduit)を包含し得る。図5Aから図5Cに示す可撓性導管は、ライナーまたはライナーラップの永久変形(または再賦形)を要することなく、容易に曲げることができる。
【0025】
さらに、ワイヤロープ140とライナーとの間の摩擦係数を低下させるために潤滑剤を用いることができる。特に、可撓性導管220とワイヤロープ140の一方または両方に(シリコーン潤滑剤などの)潤滑剤を添加することができる。例えば、ワイヤロープ140とライナーとの間の摩擦係数を低下させるために、ライナーの内面および/またはワイヤロープ140の外面を潤滑剤で被覆してもよい。これに代えて、ワイヤロープ140にライナーを付け加えてもよい。例えば、後になって凝固する(或いは部分的に凝固する)潤滑剤でワイヤロープ140を被覆してもよい。かくして、ワイヤロープ140および/または可撓性導管220がライナーを含んでいてよい。上記で議論したように、可撓性導管220は、放出機構160を起動させるためにプルステーション400でワイヤロープ140が引っ張られることを可能とする。以下は、プルステーション400および放出機構160に関する力の等式である:
F1=F2×eusk B
ここで、F1は、プルステーション400での力;
F2は、放出機構160での力;
uskは、摩擦係数;
そして、Bは、360度=2πラジアンとしたときの、可撓性導管220の経路設定に対する全屈曲の弧度(ラジアン)である。
【0026】
上記で議論したように、可撓性導管220のライナーは、0.040のusk(摩擦係数)を有するテフロン(登録商標)フルオロポリマーで構成することができる。上記の等式によれば、全く屈曲していない可撓性導管220では、放出機構160で1ポンドの力を発生させるのに、プルステーション400での1ポンドの力F1(基本的に、プルステーション400から放出機構160に対して生じる力には全く損失がない)という結果になる。さらに、上記の等式によれば、合計4.7ラジアン(270度)の角状屈曲を伴った可撓性導管220は、放出機構160で1ポンドの力を発生させるのに、プルステーション400での1.21ポンドの力F1を必要とする。かくして、可撓性導管220が相当の屈曲を有する場合であっても、放出機構160で1ポンドの力を発生させるのにプルステーション400で必要な力の大きさは、全く屈曲を伴わない可撓性導管220と略同一であって、後者の可撓性導管220よりもさほど大きくはない。従って、低摩擦の可撓性導管を、より高摩擦の他の導管と比べれば、可撓性導管220は、放出機構160を起動させるのにプルステーション400のオペレータに過大な力を加えさせる原因とはならない。
【0027】
火災抑制システムは、図9Aのプーリーブロック610または図9Bのプーリーブロック710を含むこともできる。図7Aから図7D、図8Aから図8D、図17Aおよび図17Bに示すように、プーリーブロック610および710は、プルステーション400に対して連結するなどして、当該プルステーションの直近に設置することができる。プーリーブロック610および710は、ワイヤロープ140が当該プーリーブロックから複数の方向のうち任意の方向へ出て行けるようにプルステーション400に連結することができる。例えば、プルステーション400が壁に対して面一に取り付けられ得る場合には、ワイヤロープ140は、プーリーブロック610または710から任意の上向き方向に(天井に向かって)、下向き方向に(床に向かって)、右側へ、および左側へ出て行くことができる。
【0028】
プーリーブロック610および710は、標準的な電気箱440、深型の電気箱445、或いは箱無し、などの様々な箱内への設置を考慮に入れることができる。標準的な電気箱に対しては、プーリーブロック610および710を、浅型の電気箱のための(図7Aおよび図7B並びに図8Aおよび図8Bに示すような)第1の向きで構成することができる。標準的な電気接続箱のための第1の構成においては、部分615または715が、(図9A、図9B、および図16Dに示す)プルステーションの受入れ場所420において、フェイスプレート410内へ圧入され得る。部分615または715は、形状が正方形であるなど、複数の側面を有することができる。また、部分615または715は、プーリーブロック610および710のフェイスプレート410内への確動式の係合をもたらすために、一連の溝726またはスナップ嵌め構造627を含むことができる。このようなやり方と正方形の外形により、プーリーブロック610および710は、4つの姿勢のうち任意の1つの姿勢でフェイスプレート410内に押し込むことができる。従って、ケーブルの出口箇所が、4つの穴430または431のうち任意の1つにおいて、接続箱440および445から出て行けるようにすることができる。深型の電気接続箱のための第2の構成においては、プーリー箱部分620または720が、(図7Cおよび図7D、並びに図8Cおよび図8Dに示す)プルステーションのフェイスプレート410内へ圧入され得る。部分620または720は、形状が正方形であるなど、複数の側面を有することができる。また、部分620または720は、一連の溝726またはスナップ嵌め構造627を含むことができる。このようなやり方と正方形の外形により、プーリーブロック610および710は、4つの姿勢のうち任意の1つの姿勢でフェイスプレート410内に押し込むことができる。従って、プーリーブロック610および710におけるケーブルの出口箇所が、それぞれ、4つの穴430または431のうち任意の1つにおいて、接続箱440および445から出て行けるようにすることができる。接続箱440および445は、箱底436および箱ねじボス437を含むことができる。接続箱440は、(図17Aに示すように)導管−接続箱間カップリング131を用いてEMT130と相互接続することができ、或いは(図17Bでは示していない)ストレインリリーフ(歪み止め)を用いて可撓性導管220と相互接続することができる。
【0029】
プーリーブロック610および710は、浅型または深型の電気接続箱へ入って行くフィールドケーブルが、図17Cおよび図17Dに示すように接続箱のアクセス穴430または431の中心線上で進入し得ることを確実にするように特有の形で構成されている。
【0030】
図10Aおよび図10Bに示すプーリーブロック610および710は、軸受付きのプーリー640および740、または低摩擦ブッシュ付きのプーリーを含むことができる。これは、加圧制御キャビネット200の放出機構160を起動させるときに、プルステーションからワイヤロープ140を引っ張り出すのに要する力を低減させるためである。プーリー640または740は、プーリーブロック610または710に対して、プーリー軸ねじ用のねじ穴付きボスと、プーリー軸保持クリップ147とを用いて連結することができる。プーリーを連結するための手段の一例は、(プーリー640用の)プーリー軸シャフト641およびねじ付きプーリー軸642、ないしは(プーリー740用の)プーリー軸シャフト741およびねじ付きプーリー軸742を用いることを含むものである。或いは、必ずしもプーリー軸保持クリップ147を用いるとは限らない。例えば、ねじ付きプーリー軸742をプーリーブロック内に回し入れてプーリー640または740を締め付けることができる。図10Aはさらに、プルノブステム受け725、可撓性ケーブル用のクリート保持ボス745、およびプーリー軸用のクリート保持ボス747を示している。図10Cはさらに、プルノブステム受け625、スナップクリート逃げ部626、スナップクリートロック面628、および可撓性ケーブル用のクリート保持ボス645を示している。
【0031】
プーリーブロック610および710は、一体型または組付式の補助保持クリップ145を用いて可撓性導管220に連結することができる。保持クリップ145は、複数の歯ないしクリート146を含むことができる。それらの歯ないしクリート146は、当該クリップの内径(ID)が可撓性導管220のアウタージャケット310の外径(OD)より僅かに小さくなるような寸法にされて、当該歯ないしクリート146のアウタージャケット310との強制的な係合(噛み合い)を可能とする。これらの歯ないしクリート146には、可撓性導管をプーリーブロック610または710内へ無理のない手の力を使って挿入できるような態様で角度を付けることができる。図10Aおよび図10Bに示すように歯ないしクリート146に予め付けられた角度に基づいて、プーリーブロック610または710からの可撓性導管220の取り外しが困難にされており、従って特殊な工具の使用を必要とするかもしれない。或いは、可撓性導管220をプーリーブロック610または710に連結するのに、保持クリップ145に代えて圧着を用いることができる。また、EMT導管の圧縮取付具、または他の形態の導管キャスティングもしくはカップリングに対してプーリーブロック610または710を直接結合できるようにするために、プーリーブロック610または710が各ワイヤロープ140の出口箇所において固有の円形相互接続ボスを含んでいてもよい。
【0032】
火災抑制システムは、プーリーブロック610および710と結合されるフェイスプレート410を含むことができる。フェイスプレート410は、1つないし2つ以上の言語でのレタリングを含むことができる。フェイスプレート410は、数種類の方法でプーリーブロック610および710と結合させることができる。それら数種類の方法には、1つないし2つ以上の止めねじ417の使用や、プーリーブロック610および710をフェイスプレート410との係合状態へと結合させることのできる(図10Cに示す)スナップロック構造627の使用が含まれる。或いは、止めねじ417に代えて圧着コネクタを用いてもよい。その結果得られる組み合わせは、組立体として互いに結合された「フェイスプレート410/プーリーブロック610または710」である。フェイスプレート410が図9Aに示すようにスナップロック構造を伴って構成されるときには、フェイスプレート410内へのプーリーブロック610の組み付けは、工具を用いることなく手で成し遂げることができる。本明細書に記述し、また図9Aに示すように、スナップロック構造は、プルノブ本体418を(図11C、図11D、および図16Eに示すように)回転方向の通常の向きにロックするためにフェイスプレート−プルノブ間スナップロック構造425を利用することができるようにする。このスナップロック構造425は、プルノブ本体418を一旦その最終的な位置へ回転させると当該プルノブ本体418を所定位置に係合させるのに用いることができる。かくして、プルノブ本体418をフェイスプレート410に対して回転させることができる。或いは、プルノブ本体418を静止したままにして、フェイスプレート410を回転させることもできる。フェイスプレート410は、図16Eに示すように、1つないし2つ以上のフェイスプレート中央・プーリーブロック受け壁421と、フェイスプレート中央プーリーブロック受けステップロック422とを含むことができる。
【0033】
スナップロック構造425は、プルノブ本体418が回転されることを可能とする。そのプルノブ本体418の回転は、例えば、図11Aから図11Dに示すように、プルステーションを通常の向きにセットすることに備えて、プルノブ本体418内へのブレイクロッド412の挿入を可能とするに足るだけ、時計回りに行われる。従って、ブレイクロッド412の挿入は、プルステーションの両側に十分な壁のスペースがある領域において成し遂げることができ、また狭い壁の範囲内でも成し遂げることができる。このことが図12Aから図12Cに示されており、そこではフェイスプレート410の直近に壁117がある。ブレイクロッド412を挿入するために、プルノブ本体418が(図12Aに示すように)時計回りに回転され、ブレイクロッドの挿入後には(図12Bに示すように)反時計回りに回転される。図10Dから図10Iおよび図13Eに示すように、プルノブ本体418がスナップロック位置に向かって反時計回りに回転されている間、スナップロック・クリート425は、プルノブ本体の内側に収容された対応する逃げ部409の中へと移動するまでは、押し付けられままになっていることができる。
【0034】
プルステーション400は、図9Aに示すように、プルハンドルキャップ390、キャップ・スナップ嵌めボス391、およびキャップ本体スナップ嵌め受けボス392を含んでいる。プルハンドルキャップ390を保持するのに圧着止め具141を用いることができる。この圧着止め具141は、ケーブル圧縮連結の一例である。ケーブル圧縮連結のもう一つの例は、圧着止め具141の代りに用いられ得る圧縮取付具を備えることができる。図9Aはさらに、ブレイクロッド用のクロスホール401、ワイヤロープストッパ用の逃がし穴402、リングハンドル穴403、および工具スロット404を示している。
【0035】
フェイスプレート410は、1つないし2つ以上の防護側壁411を、例えば(図16Bおよび図16Dに示すように)プルノブ本体418とプルハンドル416との組立体の両側に一つずつ含んでいてよい。それらの防護壁411は、異物による側方からの不慮の衝撃からプルノブ本体418およびプルハンドル416を防護するための強固な障壁をもたらすことができる。これらの防護側壁411はまた、図17Aから図17Cに示すようにブレイクロッド412が取り付けられたときに、当該ブレイクロッド412の両端を受け入れるためのスロット413をもたらすことができる。さらに、フェイスプレート410は、フェイスプレートのプルハンドル円形レース423と、プルノブ止めねじ用ねじ穴付きボス424とを含むことができる。
【0036】
プルステーションの起動は、プルノブ本体418をプルステーション400から離れるように引っ張ることによって成し遂げることができる。この動作によって、ブレイクロッド412を砕けさせて、プルノブ本体418がフェイスプレート410から離れるように移動できるようにし、かくして可撓性導管220を通じてワイヤロープ140を移動させ、これにより放出機構160を起動させることができる。プルノブ本体418に対するワイヤロープ140の結合は、例えば図9Bに示すような、数種類の方法で成し遂げることができる。図示の目的だけのために、2つの方法が与えられている。第1の方法は、図13Aから図13Cに示すように、1つないし2つ以上の止めねじ417を用いて、ワイヤロープ140をプルノブ本体418に、固定された形態で、或いは恒久的な形態で留め付けるものである。この形態においては、例えば図13Cに示すように、プルハンドル・ケーブルボス428のワイヤロープ凹部426内へワイヤロープ140を差し込むことができる。止めねじ417は、ワイヤロープ140に対して張力をかけて、例えば図6に示すように、ワイヤロープが外されるのを防止するのに十分な結合をワイヤロープ上に生じさせることができる。上記で議論したように、必ずしも止めねじ417を用いるとは限らず、圧着コネクタの使用などの代替的な方法論を用いてもよい。第2の方法は、図13Dから図13Fに示すように、圧縮取付具141を用いて、ワイヤロープ結合におけるオーバーサイズの端部を生じさせ、ワイヤロープ140がプルノブ本体418から外れるのを抑制ないしは防止するものである。この形態においては、ワイヤロープ140がプルノブ本体418から外れるのを抑制ないしは防止するために、圧縮取付具141のODをワイヤロープ・アクセス穴426のODよりも大きくすることができる。
【0037】
フェイスプレート410は、図9A、図9B、および図16Dに示すフェイスプレート410の各取付ねじボス414内に配置された(図16Dに示す)封じ込め境界ダイアフラム415をも含むことができる。これらの封じ込め境界ダイアフラム415は、グリースや汚物や埃などの汚染を引き起こす如何なるものも、フェイスプレート410の外面を通り抜けて、図11Aに示すようなプルステーション組立体の作動構成要素および/またはワイヤロープ導管140または200の区域内へと侵入することを低減させ、ないしは最小限にするために用いることができる。
【0038】
図9A、図9B、および図10Dに示すように、フェイスプレート410および/またはプルハンドル・キャップ390は、言葉などの様々な表示をさらに含むことができる。それらの表示は、フェイスプレート410およびプルハンドル・キャップ390の他の部分とは異なる色とすることができる。例えば、その色は、周囲(例えばアルミニウムの背景)から言葉(およびフェイスプレート)を識別するために、赤色、蛍光色、または暗闇で光るものであってもよい。ブレイクロッド412は、プラスチックやガラスで構成することができ、従って透明や不透明であってよい。フェイスプレート410上の色彩は、ブレイクロッド412を通して見たときに強調されてもよい。さらに、プルハンドル416、ブレイクロッド412、ねじボス414、または封じ込め境界ダイアフラム415の一部(或いは全部)が、プルハンドル416、ブレイクロッド412、ねじボス414、または封じ込め境界ダイアフラム415の他の部分とは異なる色であってもよい。或いは、プルハンドル416、ブレイクロッド412、ねじボス414、または封じ込め境界ダイアフラム415を近接した部分から識別するために、それらの全体が赤色、蛍光色、または暗闇で光るものであってもよい。最後に、互いに対になるように設計された2つの部品の色は、適切に取り付けられたときにそれらの色が互いに調和するように選択することができる(例えば、ねじボス414と封じ込め境界ダイアフラム415が適切に取り付けられた場合における、ねじボス414と封じ込め境界ダイアフラム415の連続した赤色)。或いは、互いに対になるように設計された2つの部品の色は、適切に取り付けられたときにそれらの色が互いに相違するように選択することができる(例えば、ねじボス414が封じ込め境界ダイアフラム415と共に適切に取り付けられたときの、アルミニウム色と隣り合う赤色)。
【0039】
フェイスプレート410はさらに、予備のブレイクロッド412などの修理品目のための収納機構として役立つように適合されていてもよい。一つの方法が図16Aおよび図16Bに示されている。プルステーション400が新たなブレイクロッドの挿入などによって再構成ないし再初期設定される必要のある場合には、図16Aに示すようにフェイスプレート410の下側に追加のブレイクロッド412を収納するなどして、再初期設定のために用いられるハードウエアをプルステーション400の直近に収納することができる。ブレイクロッド412は、図16Aおよび図16Cに示す向きに対して90度の向きで収納してもよい。
【0040】
プルステーション400が現場に設置されるとき、技術者はしばしば、加圧制御キャビネット200の内部に余分なワイヤロープ140を残すことがある。このワイヤロープ140の余分な長さは、放出機構160を起動させることなくプルノブ本体418をプルステーション410から離れるように移動可能とする効果を有することができる。ワイヤロープ140の「不動帯(dead band)」を制御し、またワイヤロープ140を張力の掛かった状態に維持する(但し、これは必要とはされない)のに、ワイヤロープ自動張力調整装置を用いることができる。自動張力調整装置の一例は、図15Aから図15Dに示す自動張力調整ばね142を備えている。図15Aおよび図15Bに示すように、自動張力調整ばね142は「不動帯」を減少させるために用いることができる。この自動張力調整ばね142は、技術者が、プルステーションから部分的に動かす引っ張り試験によって、図15Dに示すようにシステムを起動させることなく導管130または220の経路設定の現場試験を行い得るようにすることができる。例えば、プルステーション400に配置されるたった一人の技術者が、装置を試験するためにプルハンドル416を引っ張るかもしれない。プルハンドル416を引っ張った後に当該ハンドルがその位置に戻る(即ち、スプリングバック(弾性戻り)する)場合には、技術者は「自動張力調整ばね142が作動可能であって、ワイヤロープが適切に構成されている」と決定することができる。自動張力調整ばね142はさらに、引き延ばされた状態の完全な移動により、図15Cに示すように、プルノブ本体418の展開でのシステムの起動を確実なものとすることができる。
【0041】
図15Aに示すように、(自動張力調整ばね142などの)自動張力調整装置は、放出機構160の直近に配置される。これに代えて、自動張力調整装置は、プルステーション400から放出機構160までのワイヤロープ140の経路に沿った任意の箇所に配置することができる。自動張力調整装置は、図15Aに示すようなZ字形のばねなどの様々な形状を備えることができる。
【0042】
等式F1=F2eusk Bは、図6および図14に示す可撓性導管システムの特性を記述するのに用いることができる。F1は、ワイヤロープの一端部(例えば、ワイヤロープ140がプルステーション400に連結されるところ)での力とすることができる。またF2は、当該ロープの他端部(例えば、ワイヤロープ140が、加圧制御ステーション100または200の放出機構160に連結されるところ)での力とすることができる。静摩擦係数または動摩擦係数は、uskで表すことができる。角度Bは、ラジアンで表現することができる。
【0043】
上記で議論したように、可撓性導管220(および可撓性導管内部のワイヤロープ140)を火災抑制システムにおける種々の構造に対して取り付けることのできる様々な方法が存在する。図18Aから図18Eに一例が示されている。図18Aは、PG9キャップ800の斜視図を示している。下記でより詳細に議論するように、このPG9キャップ800は、圧縮取付具810およびストレインリリーフ820との組み合わせにおいて、可撓性導管220およびワイヤロープ140を、火災抑制システム内の構造、例えば接続箱、バルブ、オートマン(登録商標)パネルその他に対して連結するように働く。
【0044】
PG9キャップ800は、穴802を含んでいる。以下でより詳細に議論するように、この穴802は、ワイヤロープ140を通過させるに足るだけ大きい半径を有すると共に、可撓性導管220が通過できなくなるに足るだけ小さい半径を有することができる。例えば、穴802は、可撓性導管220のライナー(例えば、ポリエチレンライナー504やアセタールライナー320)が通過できなくなるに足るだけ小さくてもよい。別の例は、(図7Bおよび図7Dに示すような)接続箱440または445内への可撓性導管の効果的な案内を生じさせるために、穴802の直径が、可撓性導管502および310のアウタージャケットの直径と同等になっているものである。さらに、PG9キャップ800は、ねじ山804を含んだ内面を有している。下記でより詳細に議論するように、ストレインリリーフ820の一部分がねじ山804と連結することができる。
【0045】
図18Bは、圧縮取付具810の斜視図を示している。この圧縮取付具810は、圧縮取付具キャップ812および圧縮取付具本体814を含んでいる。圧縮取付具本体814は、ボルト816を用いて、接続箱120などの火災抑制システム内の構造に連結することができる。
【0046】
図18Cは、圧縮取付具810およびPG9キャップ800の分解図を示している。PG9キャップ800は、圧縮取付具キャップ812と圧縮取付具本体814との間に挟み込むことができる。それから、圧縮取付具キャップ812を圧縮取付具本体814に取り付けることができる。この取り付けは、例えば、圧縮取付具本体814上のねじ山817と、圧縮取付具キャップ812の内面上のねじ山(図示せず)とを介して、圧縮取付具キャップ812を圧縮取付具本体814上へとねじ込むことによって行われる。圧縮取付具キャップ812がPG9キャップ800上へとスライドできるよう、PG9キャップ800の外径は、圧縮取付具キャップ812の内径よりも小さくてよい。さらに、PG9キャップ800の外径は、圧縮取付具本体814の外径以下でよい。かくして、圧縮取付具キャップ812が圧縮取付具本体814上へとねじ込まれる際に、それらの間でPG9キャップ800をしっかり圧縮することができる。
【0047】
図18Dは、ストレインリリーフ820の斜視図を示している。ストレインリリーフ820は、ストレインリリーフキャップ822およびストレインリリーフ本体824を含んでいる。ストレインリリーフキャップ822は穴826を含み、この穴826で可撓性導管220を取り付けることができる。ストレインリリーフ本体824は、PG9キャップ800のねじ山804と螺合するねじ山828を含んでいる。かくして、ストレインリリーフ820を取り付けることができる。
【0048】
図18Eは、ストレインリリーフ820取付前における、ストレインリリーフ820および圧縮取付具810の側面図を示している。図示するように、可撓性導管は、ストレインリリーフ820に対して取り付けることができる。また、PG9キャップ800を用いて、ワイヤロープ140を接続箱120内へと案内することができる。
【0049】
鋼鉄に対するテフロン(登録商標)のusk=0.04であることを考慮すると(例えば、ライナー320がテフロン(登録商標)で構成され、ワイヤロープ140が鋼鉄で構成されている場合)、F2=6ポンドおよびF1=40ポンドならば、B=47.4ラジアン、即ち2717度である。ライナーおよび/または潤滑剤が無ければ、摩擦係数はもっと高く、例えばusk=0.15である。同じ力2=6ポンドおよびF1=40ポンドを用いれば、B=12.6ラジアン、即ち724度である。これらの2例の比較は、可撓性導管の制約に対して低い摩擦係数が有する重大な影響力を例証している。usk=0.04を用いる例においては、可撓性導管を直角に30回屈曲させることができるのに対して、usk=0.15を用いる(ライナー無しの)例では、可撓性導管を同じ角度で8回しか屈曲させることができない。
【0050】
火災抑制システムにおける可撓性導管220は、図1に示すEMT130および90度プーリーエルボー150よりも容易に設置することができる。さらに、可撓性導管220は、図1に示す火災抑制システムと同様に信頼性のあるシステムを今まで通り提供する。可撓性導管システムは、劣化の兆候を伴うことなく、8,000回を超えて循環動作された。このシステムは、150フィートの内張被覆ボーデン導管、半径3インチの90度屈曲8箇所、15個のプーリーエルボー、ビルトイン式プーリーブロック付きのプルステーション、および一端部での6ポンドの荷重にて500サイクルの試験に合格し、その結果得られた他端部上での力は、1.45ポンドの標準偏差で平均37.23ポンドであった。超高分子量ポリエチレン(UHMW)ブッシュを有するプルステーションと3ポンドの荷重を用いること以外は同様の諸条件にて、結果として得られた力は、1.25ポンドの標準偏差で平均30.83ポンドであった。
【0051】
上記で議論したように、可撓性導管は、アンスルオートマン(登録商標)パネル、ガスバルブ、コーナープーリー、電気箱、EMT導管、その他に対して連結することができる。例えば、可撓性導管は、アンスルオートマン(登録商標)パネルとプルステーションとの間に、140フィートおよび4つの90度屈曲までで連結することができる。可撓性導管が複数の90度屈曲を成すように用いられるときには、それらの屈曲同士の間に機械的な90度エルボーをいくつか使って、或いは使わずに、それらの屈曲がアンスルオートマン(登録商標)パネルまたはガスバルブから始まっていてもよい。4つを超える90度屈曲が用いられる場合には、機械的なプーリーを用いてもよい。可撓性導管は、アンスルオートマン(登録商標)パネルとガスバルブとの間に、75フィートおよび4つの90度屈曲および4つのコーナープーリーまでで連結することもできる。可撓性導管は、EMT導管が通常通されるであろう経路と同じ経路に沿って配置することができる。可撓性導管を通じてステンレス鋼のロープを通すことができる。可撓性導管は、フードやその他の高温品目から6インチを超える距離だけ遠ざけられてよい。これらの例は、設置の目的だけのために与えられるものである。
【0052】
或いは、プルハンドル416を放出機構160に連結するのに、ワイヤロープ140を用いることに代えて他の手段を用いてもよい。例えば、プルハンドル416の起動が今度は、放出機構へ信号を送信し得る回路(例えばスイッチ)を起動させるようにしてもよい。その信号は、電線を通じて送信される電気信号であってもよい。或いは、その信号は、トランシーバーを通じて送信されて放出機構で受信され得る無線信号であってもよい(例えば、無線の受信機および/または送信機を含むことのできるアンスルオートマン(登録商標)パネル)。
【0053】
さらに、ワイヤロープ140を用いることに代えて、光ファイバーケーブルを用いてもよい。例えば、第1の光ファイバーケーブルと第2の光ファイバーケーブルとの間にプルステーションが接続されていてもよい。具体的には、第1の光ファイバーケーブルに光源を接続して、この第1の光ファイバーケーブルを通じてビームを送るようにしてもよい。第2の光ファイバーケーブルにパネルを接続することができる。プルステーションが起動されていない場合、第1の光ファイバーケーブルを通じて進む光が遮られて、パネルに対してプルステーションが起動されていないことを示すことができる。プルステーションが(例えば、プルハンドル416を引っ張ることにより)起動されている場合、第1の光ファイバーケーブルを通じて進む光は遮られず、パネルに対してプルステーションが起動されていることを示すことができる。
【0054】
本発明の様々な実施形態を記述してきたが、本発明の範囲内でもっと多くの実施形態や実施内容が可能であることは当業者に明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の観点からを除いて、限定されるべきものではない。
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本件出願は、2007年3月2日に出願された米国仮出願第60/904,551号の利益を主張するものであり、当該仮出願の全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
[技術分野]
本出願は、手動で(例えばプルノブによって、或いは電子的に)、ないしは自動で(例えば検出ラインにおける検出リンクによって)起動される火災抑制(消火、鎮火)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災抑制システムは、プルノブを用いて起動させることができる。このプルノブは、出口の通路内、或いはオーブンやポップコーン製造機その他の機械のオペレータの近くに設置され、火災抑制システムを起動させるために用いることができる。火災が発生した場合、オペレータはプルノブを引っ張り、これにより火災抑制システムの放出機構を起動させることができる。
【0003】
放出機構は、間接的ないしは直接的に火災抑制剤の定量供給を生じさせ、これにより火災を弱め、ないしは消し去ることができる。例えば図1は、放出機構160を起動させるのにプルハンドル116を使用している火災抑制システム100を示している。具体的には、プルハンドル116と、放出機構160におけるケーブルレバー190の楕円形スリーブ170との間にワイヤロープ140を連結することができる。楕円形スリーブ170は、プルハンドル116と放出機構160のケーブルレバー190との間の連結がなされるよう、ロープにループを作るために用いることができる。プルハンドル116はプルステーション110の一部であってもよい。このプルステーション110は、フェイスプレート114およびプルノブ本体118を含むと共に、オイルフライヤーオーブンなどの熱油キッチン機器から遠く離れた領域に設置される。フェイスプレート114の色は、キッチン機器などと調和させるために、ブラシ加工ステンレス色となっている。熱油表面での突発的な火災の場合には、オペレータがプルハンドル116を引っ張り、これによりシステム加圧制御キャビネット162内に設置された放出機構160を起動させることができる。その後、放出機構160は、泡や難燃性材料などの火災抑制剤の容器内に圧力サージを発生させることで、間接的に火災抑制剤を放出させる。この圧力サージが、今度は、恒久的に設置されたスプレーノズルを通じて、燃えている油の上へ火災抑制剤を放出させ、かくして火災を弱め、ないしは消し去るのである。これに代えて、水の容器などやCO2消火器などの火災抑制剤容器に直接結合されたトリガー放出機構をプルハンドル116で起動させるなどして、放出機構が直接的に火災抑制剤を放出させてもよい。起動時には、水を定量供給してもよい。或いは、CO2消火器(ないしは他の消火剤)がCO2(ないしは窒素カートリッジ)を放出して薬剤の加圧を生じさせ、これにより固定配管システムを通じて抑制領域内へ薬剤を放出して、火災を維持するO2を除去し、かくして火災を最小化し、ないしは消し去ることができる。或いは、CO2を消火剤として用いてもよい。
【0004】
火災抑制システムにおけるプルハンドルは、放出機構に結合されている。プルハンドル116を放出機構160に結合する一つの方法は、例えば図1に示すように、不撓性導管の機械的システムを使用することによるものである。ワイヤロープ140が、システム加圧制御キャビネット162からプルステーション110まで、不撓性電気機械チューブ(EMT)130を通じて通され、プーリーエルボー150を介して90度曲がっている。さらに、不撓性EMT130は、プルステーション110に対する導管−接続箱間カップリング131を介して、接続箱120に連結されている。しかし、不撓性EMTチューブ130および90度エルボー150の使用は、非常に大きな労力を要し、高価で、また、一部の建物壁面形状および通路にとって好ましくない。
【0005】
プルハンドルを放出機構に結合するもう一つの方法は、(4分の1インチ直径などの)外径(OD)の予め賦形された不撓性導管チューブにワイヤロープ140を通すことである。この予め賦形された不撓性導管チューブは一般に、ポップコーン製造機などの状況で用いられる。これは、デザインと構成要素の寸法とが既知で、定められているからである。ワイヤロープ140の通る導管が不燃性であって高熱条件下で設計されたように機能することとなるのを確保するために、予め賦形された不撓性チューブは、例えばアルミニウムやステンレス鋼を用いて構成することができる。予め賦形された不撓性導管チューブはプーリーエルボー150を含んでいないため、ワイヤロープ140が高い摩擦を受けて、プルハンドルを引っ張ることを困難にする。
【0006】
プルハンドルを放出機構に結合するさらにもう一つの方法は、複数の特定のプーリーシステムによって規定される予め決められた経路(長さおよび方向)に沿ってワイヤロープを通すことである。それらのプーリーシステムは、ワイヤロープの各方向転換部に設置される。この方法の欠点は、制御された経路設定に欠けることに加えて、プーリーシステムに関連した過大なコストを含んでいる。ワイヤロープ張力の単純な喪失が、ワイヤロープの「そのプーリーからの脱線」、従ってワイヤロープシステムの完全な故障という結果を招くかもしれない。
【0007】
プルハンドルを放出機構に結合するさらにもう一つの方法は、空気圧システムを用いることによるものである。プルハンドルは、気体圧力の変化を引き起こし、これにより解放機構を起動させることができる。空気圧システムは、図1に示す電気EMTチューブ130および90度プーリーエルボー150を用いるシステムや、予め賦形された不撓性導管チューブを用いるシステムよりも容易に構成することはできるが、当該システムは一般的に信頼性に劣るものである。従って、必要とされるのは、プルハンドルを用いる火災抑制の放出機構を起動させるための、より容易に構成できて信頼性のあるシステムである。
【0008】
上記で議論したように、プルハンドル116はプルステーション110の一部である。プルステーション110の一例が、図2、図3、および図4Aから図4Cに描かれている。プルステーション110の構成は、図4Aから図4Cに示すように、ブレイクロッド112の取り付けを含むことができる。ブレイクロッド112は、止めねじ端部ブッシュ119がブレイクロッド端部ブッシュ113内へとねじ込まれるまで、ブレイクロッド端部ブッシュ113を通してスライドさせられる。しかし、ブレイクロッド112をブレイクロッド端部ブッシュ113内へとスライドさせることは難しいと分かるであろう。さらに、ブレイクロッド112の取り付け後に、プルノブブッシュ125からプルハンドル116を引っ張ることも、難しいと分かるであろう。プルステーション110は、プルハンドル116が接続され(図2)また接続を解かれた(図3)状態にて、断面で描かれている。その設計に起因して、図2および図3に示す132および133などの摩擦箇所におけるケーブルの摩擦から結果として生じる摩擦力に打ち勝つために、方向134へ引っ張るときに余分な力が要求される。従って、必要とされるのは、構成することと起動することがより容易なプルステーションである。
【発明の概要】
【0009】
可撓性導管およびワイヤロープを用いた火災抑制システムおよび/または緊急告知システムが提供される。可撓性導管およびワイヤロープは、火災抑制システム、緊急告知システム、または、火災抑制および緊急告知システムの組み合わせに用いられる。ワイヤロープは、プルステーションでレバーまたはハンドルに連結し、また火災抑制システムの放出機構に連結することができる。オペレータは、プルステーションでレバーを引っ張り、これにより放出機構を起動させて、直接的にか間接的にかのいずれかで、火災抑制剤を放出させることができる。可撓性導管は、プルステーションから放出機構までの連結の少なくとも一部に沿ってワイヤロープを収容するのに用いることができる。可撓性導管は、遠方のプルステーションと、現地のシステム加圧制御キャビネットなどの放出機構との間にワイヤロープを標準的ではない配置形態で通す(経路設定する)のに用いることができる。或いは、ワイヤロープは、プルステーションでレバーまたはハンドルに連結し、また火災告知システムのためのスイッチに連結することができる。オペレータは、プルステーションでレバーを引っ張り、これにより告知システムのためのスイッチを制御して、化学製品の漏洩などを視覚的または聴覚的に(例えば、ストロボ、ホーン、スピーカーなどを所定の出力で起動させることによって)知らせることができる。
【0010】
可撓性導管内でのワイヤロープの摩擦係数を低下させるのに、可撓性導管の内側上および/またはワイヤロープ上の材料を用いることができる。その材料は可撓性導管のライナーを含んで成ることができ、これによりワイヤロープが可撓性導管のライナー内を軸線方向にスライドするように配置される。ライナーは、低い摩擦係数を有した、プラスチックなどの可撓性の材料で構成することができる。当該材料は、潤滑液などの潤滑剤を含んで成ることもできる。潤滑剤は、ライナーの内側などの可撓性導管の内側に塗布し、および/または、ワイヤロープに塗布することができる。より低い摩擦係数を得ることで、火災抑制システムの放出機構を起動させるためにプルステーションでレバーを引っ張るのに、より低いレベルの力しか必要としないようにすることができる。
【0011】
火災抑制システムは、工具を使用しないブレイクロッドの取り付けや、空間的な制約のある壁面領域内でのブレイクロッドの取り付けなどの、より容易な取り付けを考慮するように構成されたプルステーションを含むことができる。フェイスプレートとプルノブ組立体(後者はプルノブおよび/プルハンドルを含むことができる)の一方または両方は、ブレイクロッドの取り付けを容易にするために、例えば90度までの角度で(時計回りと反時計回りのいずれかに)回転させ、或いは90度を超える角度で回転させることができる。特に、ブレイクロッドの取り付けは、プルノブが、フェイスプレート内に挿入され、(フェイスプレートが固定された状態で)その通常位置から約90度時計回りに回転されたときに行うことができる。それから、プルノブ/ブレイクロッド組立体を90度反時計回りの回転方向へ回転させてその通常位置へと戻すことで、ブレイクロッドの両端部を、各側壁防護障壁内に含まれる対応したスロット内へと係合させ、そして当該スロット内に完全に取り付けられた状態にすることができる。さらに、ブレイクロッドの取り付けは、工具を用いることなく成し遂げることができる。
【0012】
フェイスプレートは、1つないし2つ以上のねじボスを含むことができる。各ねじボスは、グリースや汚物や埃がプルステーションの裏側へ侵入するのを防止するために、一体型の封じ込め境界ダイアフラムを伴っている。これらのねじボスは、(浅型または深型の電気接続箱などの)電気接続箱に備わった関連するねじボスと合致するように配置することができる。フェイスプレートを電気接続箱にねじで取り付けられるようにするために、電気接続箱取付ねじボスと整列した封じ込め境界ダイアフラム穴を開けることができる。従って、封じ込め境界ダイアフラムを取り外すことで、穴を通じて組立ねじを挿入して、その穴の中に組立ねじを直ちに捕捉することを可能とすることができる。これにより、ねじを穴から落下させることなく、フェイスプレートを電気接続箱上に位置決めすることが可能となる。フェイスプレートは、当該フェイスプレートの他の部分とは異なる色や質感であるところの1つないし2つ以上の表示(例えば、コントラストを付ける色の表示)をさらに含むことができる。例えば、フェイスプレート上にある1つないし2つ以上の言葉が、周囲(例えばアルミニウムの背景)から言葉(およびフェイスプレート)を識別するために、赤色、蛍光色、または暗闇で光るものであってもよい。
【0013】
プルステーションのフェイスプレートは、機能的な起立した防護障壁をも含むことができる。この防護障壁は、側方の衝撃からプルノブおよびプルハンドルを防護することができ、また、プルノブが取り付けられて起動される準備ができたときにブレイクロッドの両端を捕捉するための防護的かつ機能的な手段をもたらすことができる。さらに、フェイスプレートは、保守用構成要素のための収納場所を含むことができる。それらの保守用構成要素は、予備のブレイクロッドや銅製の圧縮取付具などの保守部品を含むことができる。
【0014】
プルステーションのフェイスプレートは、プーリーブロックシステムと合体させることができる。プーリーブロックシステムは、フェイスプレートの対応する構造内に、しっかりと嵌め込んで係合させることができる。例えば、プーリーブロックシステムは、プルステーションのフェイスプレート内に圧入することができる。この組み合わせによって、ワイヤロープが電気接続箱へ入って行くときに、そのワイヤロープを可撓性導管または不撓性導管の方向に当該導管の中心線上で通す組立体を作り出すことができる。フェイスプレートおよびプーリーブロックは、ワイヤロープの多方向経路設定能力を可能とするために、複合的な対応する相互係合構造をそれぞれ含むことができる。具体的には、プーリーブロックおよびプーリーは、他の組立構成要素を必要とすることなく(浅型または深型の箱などの)多様な電気接続箱デザインにフェイスプレート/プーリーブロック組立体を使用できるようにする様々なやり方で構成することができる。プーリーブロック組立体は、プルステーション組立体内への可撓性導管の迅速な取付/係合を可能とするために、ケーブルの速結捕捉構造を含むことができる。この可撓性導管の取り付けは、工具を用いることなく迅速に実行することができ、これにより、このシステムを現場で設置するのに要する人的労働力を最小限にすることができる。
【0015】
プルステーションのプルノブ組立体は、1つないし2つ以上の止めねじを用いてワイヤロープと結合させることができる。止めねじは、ワイヤロープの軸線に対して垂直な向きにすることができる。或いは、プルステーションのプルノブ組立体は、一端部に留め付けられた圧縮取付具を用いてワイヤロープと結合させることができる。いずれの場合も、プルノブ組立体の少なくとも一部(例えばプルハンドル)に回転の自由を許容しつつワイヤロープと結合させることができ、プルノブ組立体がフェイスプレートの対応する中心ボス内へと完全に挿入されている間ずっとブレイクロッドの取り付けを可能とする。プルステーションのプルノブ組立体は、当該プルノブ組立体の取り付けを容易にし、また余分なコストを掛けずに市場に特有の内容表示や文化圏に特有の言語の変更をもたらすのを容易にするために、スナップ嵌め式の同形キャップをさらに含むことができる。このキャップシステムは、標準化されたプルノブ組立体のベース要素を使用している間はずっと、エンドユーザーのニーズに特有の任意のやり方で表示(ラベル付け)や着色をすることができる。
【0016】
上記で議論したように、ワイヤロープは、プルノブ組立体を放出機構に連結するのに用いることができる。設置後において、いくらかの、或いは全部の余分なワイヤロープ上での張力を維持するために自動ワイヤロープ張力調整機構を用いることができる。この張力調整機構は、プルノブ組立体を、すぐに起動できる体勢にあると同時に、フェイスプレートに対して面一に取り付けられた状態に保つこともできる。余分なワイヤロープ上に軽く張力を掛けることで、設置職員が、システム加圧制御機構を起動させることなく、不撓性または可撓性の導管を通じてワイヤロープを試験的に引っ張れることを可能とすることができる(カートリッジが取り付けられていないことを条件として)。このワイヤロープ試験の方法論は、(不撓性か可撓性のいずれかの導管を用いた)現場を通る導管システムがワイヤロープの自由で妨げられない動きを許すことをシステムを起動させずに確かめる能力を、たった一人の技術者に対して与えることができる。さらに、ワイヤロープの張力を所定の力の大きさで維持し、これによりプルノブ組立体を引っ張るのに要する力の大きさを標準化することができる。
【0017】
他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することによって、当業者に明らかであるか、或いは明らかになるであろう。そのような追加的なシステム、方法、特徴、および利点の全ては、この説明に包含され、本発明の範囲内にあり、また添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0018】
本発明システムは、以下の図面および説明を参照することで、よりよく理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも縮尺で製図されているものではなく、むしろ本発明の原理を示すことを重視しているものである。さらに、図中において、同様の参照符号は、異なる図面同士を通じて対応する部分を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】不撓性導管の経路設定を用いた従来技術の火災抑制システムを示す図。
【図2】ワイヤロープ連結を伴った従来技術のプルハンドルの断面図。
【図3】起動されている、ワイヤロープ連結を伴った従来技術のプルハンドルの断面図。
【図4A】ブレイクロッドの取り付けのための従来技術の順序を示す図。
【図4B】ブレイクロッドの取り付けのための従来技術の順序を示す図。
【図4C】ブレイクロッドの取り付けのための従来技術の順序を示す図。
【図5A】ボーデン導管を示す図。
【図5B】屈曲を伴った編組導管を示す図。
【図5C】図5Bからの分解構造視で編組導管を示す図。
【図6】プルステーション、および可撓性ケーブルの経路設定を表す図。
【図7A】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよび(圧着止め具などの)ケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図7B】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図7C】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図7D】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの圧縮連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図8A】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図8B】浅型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図8C】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第1の断面図。
【図8D】深型接続箱における一体型プーリーブロックおよびケーブルの止めねじ連結を伴ったプルステーションの第2の断面図。
【図9A】プーリーブロックのスナップ嵌めを伴ったプルステーションの分解図。
【図9B】プーリーブロックの止めねじ取付を伴ったプルステーションの分解図。
【図10A】溝嵌め構造を伴ったプーリーブロックの分解図。
【図10B】保持クリップおよび可撓性導管の正面図および側面図。
【図10C】スナップ嵌め構造を伴ったプーリーブロックの分解図。
【図10D】フェイスプレートに対して回転されたプルステーションプルノブの正面図。
【図10E】図10Dからの(E−E線)断面図。
【図10F】図10Eからの分解部分(詳細F)の図。
【図10G】フェイスプレート組立体における回転されていないプルステーションプルノブの正面図。
【図10H】図10Gからの(G−G線)断面図。
【図10I】図10Hからの分解部分(詳細H)の図。
【図10J】プーリーブロックプーリーの斜視図。
【図10K】図10Jに示すプーリーブロックプーリーの正面図。
【図10L】図10Kからの(A−A線)断面図。
【図11A】プルノブが回転された状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図11B】図11Aに描かれたようにプルノブが回転された状態での、プルステーションのフェイスプレート、および接続箱の前方斜視図。
【図11C】プルノブが回転されていない状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図11D】図11Cに描かれたようにプルノブが回転されていない状態での、プルステーションのフェイスプレート、および接続箱の前方斜視図。
【図12A】プルノブが回転された状態で、プルステーションの直近に壁がある状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図12B】プルノブが回転されていない状態で、プルステーションの直近に壁がある状態での、プルステーションにおけるフェイスプレートの正面図。
【図12C】図12Bに描かれたようにプルノブが回転されていない状態での、プルステーションのフェイスプレート、および接続箱の前方斜視図。
【図13A】プルノブ、ワイヤロープ、およびワイヤロープを保持する止めねじの斜視断面図。
【図13B】プルノブ、ワイヤロープ、および、図13Aに描かれたようにワイヤロープを保持する止めねじの断面図。
【図13C】プルノブ、ワイヤロープ、および、図13Aに描かれたようにワイヤロープを保持する止めねじの分解図。
【図13D】プルノブ、ワイヤロープ、および、ワイヤロープを捕捉する圧縮取付具の上方斜視分解図。
【図13E】プルノブ、および、図13Dに描かれたようにワイヤロープを捕捉するワイヤロープの下方斜視分解図。
【図13F】プルノブ、ワイヤロープ、および、図13Dに描かれたようにワイヤロープを捕捉する圧縮取付具の断面図。
【図14】プルステーション、可撓性ケーブルの経路設定、および自動ワイヤロープ張力調整機構を表す図。
【図15A】図14に示す自動ワイヤロープ張力調整機構の分解図。
【図15B】縮められた自動ワイヤロープ張力調整機構を示す図。
【図15C】完全に伸ばされた自動ワイヤロープ張力調整機構を示す図。
【図15D】プルステーションからの部分移動引張り試験を行っている状態の自動ワイヤロープ張力調整機構を示す図。
【図16A】接続箱、およびブレイクロッド収納機構を伴うフェイスプレートの分解下方斜視図。
【図16B】フェイスプレートの上方斜視図。
【図16C】追加のブレイクロッドの収納を示すフェイスプレートの下方斜視図。
【図16D】フェイスプレートの一部の前方斜視図。
【図16E】スナップクリートを示す、フェイスプレートの一部の前方斜視図。
【図17A】不撓性導管のワイヤロープ連結を伴ったプルステーションの側方断面図。
【図17B】可撓性導管のワイヤロープ連結を伴ったプルステーションの側方断面図。
【図17C】接続箱の相互接続穴の中心を通るワイヤロープを伴ったプルステーションの正面図。
【図17D】接続箱の相互接続穴の中心を通るワイヤロープを伴ったプルステーションの側面図。
【図18A】PG9キャップの斜視図。
【図18B】圧縮取付具の斜視図。
【図18C】図18Aおよび図18Bに示す圧縮取付具およびPG9キャップの分解図。
【図18D】ストレインリリーフの斜視図。
【図18E】ストレインリリーフ取付前における、ストレインリリーフおよび圧縮取付具の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図6は、可撓性導管220内に収容されたワイヤロープ140を用いて、プルステーション400のプルハンドル416を火災抑制システムの放出機構160に連結するための機械的システムを示すブロック図である。放出機構160の一例は、アンスル(Ansul)オートマン(AUTOMAN:登録商標)パネルなどのパネルである。放出機構160のもう一つの例は、バルブである。代替的に、(図1に示す)プルステーション110を放出機構160と連結するために可撓性導管220を用いてもよい。
【0021】
可撓性導管220は、図5Aから図5Cにより詳細に示すように、ボーデン(Bowden)導管や編組導管などの様々なタイプの導管で構成することができる。しかしながら、可撓性導管220は、これらのタイプの導管に限定されるものではない。可撓性導管220は、ライナー、ライナーラップ、およびアウタージャケットを含むことができる。但し、可撓性導管220は、ライナー、ライナーラップ、およびアウタージャケットのそれぞれを含んでいる必要はない。例えば、アウタージャケットが可撓性導管に含まれている必要はない。可撓性導管220とワイヤロープ140は同軸の機械的装置であり、これによりワイヤロープ140は、可撓性導管220のライナー内で軸線方向にスライドするように配置される。図6に示すように、可撓性導管220は、標準的ではない配置形態221で経路設定することができる。さらに、可撓性導管220は、例えばプルステーション400などの構造と放出機構160との間にワイヤロープ140を結合させるために、EMT130および/またはプーリーエルボー150と組み合わせて用いることができる。ワイヤロープ140は、例えば7×7編組(ブレーディング)を伴った航空機ステンレス鋼編組ワイヤロープなどの金属で構成することができる。ワイヤロープの編組は、そのワイヤロープがより曲がりやすくなることを可能とする。これに代えて、ワイヤロープは異なる編組を有していてもよく、或いは編組を全く有していなくてもよい。
【0022】
ライナーは、低い摩擦係数を有する材料を含んで成ることができる。例えば、ライナーは部分的に、或いは全体として、例えばアセタールポリマー、ポリエチレンポリマー、PVCポリマー、またはテフロン(登録商標)フルオロポリマーなどのプラスチック材料で構成することができる。かくしてライナーは、当該ライナーとワイヤロープとの間の摩擦係数を低下させ、これにより可撓性導管を通じてワイヤロープをスライドさせるのに要する力を低減させることができる。
【0023】
ライナーラップは、金属または複合材料を含んで成ることができ、(交叉織などの)ワイヤ編組、フラットラップ、またはワイヤラップであってもよい。ライナーラップは、可撓性導管220に対する構造的な支持、例えばライナーに対する構造的支持をもたらすことができる。ライナーラップは、自らを貫通する複数の穴を伴ったメッシュ型の構造であってもよい。上記で議論したように、可撓性導管はアウタージャケットを含むことができる。アウタージャケットは、ポリプロピレン材料、PVC材料、または他の適当なプラスチック材料を含んで成ることができる。アウタージャケットは、穴はなくてもよいのであるが、様々な目的のために用いることができる。例えば、アウタージャケットは、可撓性導管220のための不浸透性で延性の外側被覆(シース)を形成するのに用いることができる。アウタージャケットはまた、(赤色などの)着色をされ、これにより、この可撓性導管を「安全関連(SAFETY RELATED)」と確認するための視覚的な警告の仕組みとして役立つこともできる。赤の彩色に加えて、アウタージャケット上に(印字された語句などの)表示がプリントされていてもよい。例えば、赤色のアウタージャケットに対して、「火災抑制ケーブル−妨害禁止」を表示する黒色の語句がプリントされていてもよい。
【0024】
可撓性導管の一例は、図5Aに示すボーデン被覆導管(Bowden lined conduit)500を包含し得る。このボーデン被覆導管500は、PVCで構成されたアウタージャケット502を含むことができる。アウタージャケット502は、例えば0.197インチの外径であってよい。ボーデン被覆導管500は、ライナーラップとして機能するワイヤーラップ506をも含むことができる。また、ボーデン被覆導管500は、ライナーとして機能するポリエチレンライナー504を含むことができる。ワイヤロープ140は、ポリエチレンライナー504の内部にあってよい。可撓性導管のもう一つの例は、図5Bおよび図5Cに示す編組導管305を包含し得る。この編組導管305は、ポリプロピレンアウタージャケット310を含むことができる。ポリプロピレンアウタージャケット310は、0.203インチの外径を有することができる。編組導管305は、ライナーラップとして機能する、12−16ワイヤー編組などのワイヤー編組330を含むことができる。また、編組導管305は、ライナーとして機能するアセタール・ライナー320を含むことができる。可撓性導管のさらにもう一つの例は、外径0.187インチのポリエチレンジャケット、ワイヤーラップ、およびポリエチレンライナーを有した長距離敷設導管(long lay conduit)を包含し得る。図5Aから図5Cに示す可撓性導管は、ライナーまたはライナーラップの永久変形(または再賦形)を要することなく、容易に曲げることができる。
【0025】
さらに、ワイヤロープ140とライナーとの間の摩擦係数を低下させるために潤滑剤を用いることができる。特に、可撓性導管220とワイヤロープ140の一方または両方に(シリコーン潤滑剤などの)潤滑剤を添加することができる。例えば、ワイヤロープ140とライナーとの間の摩擦係数を低下させるために、ライナーの内面および/またはワイヤロープ140の外面を潤滑剤で被覆してもよい。これに代えて、ワイヤロープ140にライナーを付け加えてもよい。例えば、後になって凝固する(或いは部分的に凝固する)潤滑剤でワイヤロープ140を被覆してもよい。かくして、ワイヤロープ140および/または可撓性導管220がライナーを含んでいてよい。上記で議論したように、可撓性導管220は、放出機構160を起動させるためにプルステーション400でワイヤロープ140が引っ張られることを可能とする。以下は、プルステーション400および放出機構160に関する力の等式である:
F1=F2×eusk B
ここで、F1は、プルステーション400での力;
F2は、放出機構160での力;
uskは、摩擦係数;
そして、Bは、360度=2πラジアンとしたときの、可撓性導管220の経路設定に対する全屈曲の弧度(ラジアン)である。
【0026】
上記で議論したように、可撓性導管220のライナーは、0.040のusk(摩擦係数)を有するテフロン(登録商標)フルオロポリマーで構成することができる。上記の等式によれば、全く屈曲していない可撓性導管220では、放出機構160で1ポンドの力を発生させるのに、プルステーション400での1ポンドの力F1(基本的に、プルステーション400から放出機構160に対して生じる力には全く損失がない)という結果になる。さらに、上記の等式によれば、合計4.7ラジアン(270度)の角状屈曲を伴った可撓性導管220は、放出機構160で1ポンドの力を発生させるのに、プルステーション400での1.21ポンドの力F1を必要とする。かくして、可撓性導管220が相当の屈曲を有する場合であっても、放出機構160で1ポンドの力を発生させるのにプルステーション400で必要な力の大きさは、全く屈曲を伴わない可撓性導管220と略同一であって、後者の可撓性導管220よりもさほど大きくはない。従って、低摩擦の可撓性導管を、より高摩擦の他の導管と比べれば、可撓性導管220は、放出機構160を起動させるのにプルステーション400のオペレータに過大な力を加えさせる原因とはならない。
【0027】
火災抑制システムは、図9Aのプーリーブロック610または図9Bのプーリーブロック710を含むこともできる。図7Aから図7D、図8Aから図8D、図17Aおよび図17Bに示すように、プーリーブロック610および710は、プルステーション400に対して連結するなどして、当該プルステーションの直近に設置することができる。プーリーブロック610および710は、ワイヤロープ140が当該プーリーブロックから複数の方向のうち任意の方向へ出て行けるようにプルステーション400に連結することができる。例えば、プルステーション400が壁に対して面一に取り付けられ得る場合には、ワイヤロープ140は、プーリーブロック610または710から任意の上向き方向に(天井に向かって)、下向き方向に(床に向かって)、右側へ、および左側へ出て行くことができる。
【0028】
プーリーブロック610および710は、標準的な電気箱440、深型の電気箱445、或いは箱無し、などの様々な箱内への設置を考慮に入れることができる。標準的な電気箱に対しては、プーリーブロック610および710を、浅型の電気箱のための(図7Aおよび図7B並びに図8Aおよび図8Bに示すような)第1の向きで構成することができる。標準的な電気接続箱のための第1の構成においては、部分615または715が、(図9A、図9B、および図16Dに示す)プルステーションの受入れ場所420において、フェイスプレート410内へ圧入され得る。部分615または715は、形状が正方形であるなど、複数の側面を有することができる。また、部分615または715は、プーリーブロック610および710のフェイスプレート410内への確動式の係合をもたらすために、一連の溝726またはスナップ嵌め構造627を含むことができる。このようなやり方と正方形の外形により、プーリーブロック610および710は、4つの姿勢のうち任意の1つの姿勢でフェイスプレート410内に押し込むことができる。従って、ケーブルの出口箇所が、4つの穴430または431のうち任意の1つにおいて、接続箱440および445から出て行けるようにすることができる。深型の電気接続箱のための第2の構成においては、プーリー箱部分620または720が、(図7Cおよび図7D、並びに図8Cおよび図8Dに示す)プルステーションのフェイスプレート410内へ圧入され得る。部分620または720は、形状が正方形であるなど、複数の側面を有することができる。また、部分620または720は、一連の溝726またはスナップ嵌め構造627を含むことができる。このようなやり方と正方形の外形により、プーリーブロック610および710は、4つの姿勢のうち任意の1つの姿勢でフェイスプレート410内に押し込むことができる。従って、プーリーブロック610および710におけるケーブルの出口箇所が、それぞれ、4つの穴430または431のうち任意の1つにおいて、接続箱440および445から出て行けるようにすることができる。接続箱440および445は、箱底436および箱ねじボス437を含むことができる。接続箱440は、(図17Aに示すように)導管−接続箱間カップリング131を用いてEMT130と相互接続することができ、或いは(図17Bでは示していない)ストレインリリーフ(歪み止め)を用いて可撓性導管220と相互接続することができる。
【0029】
プーリーブロック610および710は、浅型または深型の電気接続箱へ入って行くフィールドケーブルが、図17Cおよび図17Dに示すように接続箱のアクセス穴430または431の中心線上で進入し得ることを確実にするように特有の形で構成されている。
【0030】
図10Aおよび図10Bに示すプーリーブロック610および710は、軸受付きのプーリー640および740、または低摩擦ブッシュ付きのプーリーを含むことができる。これは、加圧制御キャビネット200の放出機構160を起動させるときに、プルステーションからワイヤロープ140を引っ張り出すのに要する力を低減させるためである。プーリー640または740は、プーリーブロック610または710に対して、プーリー軸ねじ用のねじ穴付きボスと、プーリー軸保持クリップ147とを用いて連結することができる。プーリーを連結するための手段の一例は、(プーリー640用の)プーリー軸シャフト641およびねじ付きプーリー軸642、ないしは(プーリー740用の)プーリー軸シャフト741およびねじ付きプーリー軸742を用いることを含むものである。或いは、必ずしもプーリー軸保持クリップ147を用いるとは限らない。例えば、ねじ付きプーリー軸742をプーリーブロック内に回し入れてプーリー640または740を締め付けることができる。図10Aはさらに、プルノブステム受け725、可撓性ケーブル用のクリート保持ボス745、およびプーリー軸用のクリート保持ボス747を示している。図10Cはさらに、プルノブステム受け625、スナップクリート逃げ部626、スナップクリートロック面628、および可撓性ケーブル用のクリート保持ボス645を示している。
【0031】
プーリーブロック610および710は、一体型または組付式の補助保持クリップ145を用いて可撓性導管220に連結することができる。保持クリップ145は、複数の歯ないしクリート146を含むことができる。それらの歯ないしクリート146は、当該クリップの内径(ID)が可撓性導管220のアウタージャケット310の外径(OD)より僅かに小さくなるような寸法にされて、当該歯ないしクリート146のアウタージャケット310との強制的な係合(噛み合い)を可能とする。これらの歯ないしクリート146には、可撓性導管をプーリーブロック610または710内へ無理のない手の力を使って挿入できるような態様で角度を付けることができる。図10Aおよび図10Bに示すように歯ないしクリート146に予め付けられた角度に基づいて、プーリーブロック610または710からの可撓性導管220の取り外しが困難にされており、従って特殊な工具の使用を必要とするかもしれない。或いは、可撓性導管220をプーリーブロック610または710に連結するのに、保持クリップ145に代えて圧着を用いることができる。また、EMT導管の圧縮取付具、または他の形態の導管キャスティングもしくはカップリングに対してプーリーブロック610または710を直接結合できるようにするために、プーリーブロック610または710が各ワイヤロープ140の出口箇所において固有の円形相互接続ボスを含んでいてもよい。
【0032】
火災抑制システムは、プーリーブロック610および710と結合されるフェイスプレート410を含むことができる。フェイスプレート410は、1つないし2つ以上の言語でのレタリングを含むことができる。フェイスプレート410は、数種類の方法でプーリーブロック610および710と結合させることができる。それら数種類の方法には、1つないし2つ以上の止めねじ417の使用や、プーリーブロック610および710をフェイスプレート410との係合状態へと結合させることのできる(図10Cに示す)スナップロック構造627の使用が含まれる。或いは、止めねじ417に代えて圧着コネクタを用いてもよい。その結果得られる組み合わせは、組立体として互いに結合された「フェイスプレート410/プーリーブロック610または710」である。フェイスプレート410が図9Aに示すようにスナップロック構造を伴って構成されるときには、フェイスプレート410内へのプーリーブロック610の組み付けは、工具を用いることなく手で成し遂げることができる。本明細書に記述し、また図9Aに示すように、スナップロック構造は、プルノブ本体418を(図11C、図11D、および図16Eに示すように)回転方向の通常の向きにロックするためにフェイスプレート−プルノブ間スナップロック構造425を利用することができるようにする。このスナップロック構造425は、プルノブ本体418を一旦その最終的な位置へ回転させると当該プルノブ本体418を所定位置に係合させるのに用いることができる。かくして、プルノブ本体418をフェイスプレート410に対して回転させることができる。或いは、プルノブ本体418を静止したままにして、フェイスプレート410を回転させることもできる。フェイスプレート410は、図16Eに示すように、1つないし2つ以上のフェイスプレート中央・プーリーブロック受け壁421と、フェイスプレート中央プーリーブロック受けステップロック422とを含むことができる。
【0033】
スナップロック構造425は、プルノブ本体418が回転されることを可能とする。そのプルノブ本体418の回転は、例えば、図11Aから図11Dに示すように、プルステーションを通常の向きにセットすることに備えて、プルノブ本体418内へのブレイクロッド412の挿入を可能とするに足るだけ、時計回りに行われる。従って、ブレイクロッド412の挿入は、プルステーションの両側に十分な壁のスペースがある領域において成し遂げることができ、また狭い壁の範囲内でも成し遂げることができる。このことが図12Aから図12Cに示されており、そこではフェイスプレート410の直近に壁117がある。ブレイクロッド412を挿入するために、プルノブ本体418が(図12Aに示すように)時計回りに回転され、ブレイクロッドの挿入後には(図12Bに示すように)反時計回りに回転される。図10Dから図10Iおよび図13Eに示すように、プルノブ本体418がスナップロック位置に向かって反時計回りに回転されている間、スナップロック・クリート425は、プルノブ本体の内側に収容された対応する逃げ部409の中へと移動するまでは、押し付けられままになっていることができる。
【0034】
プルステーション400は、図9Aに示すように、プルハンドルキャップ390、キャップ・スナップ嵌めボス391、およびキャップ本体スナップ嵌め受けボス392を含んでいる。プルハンドルキャップ390を保持するのに圧着止め具141を用いることができる。この圧着止め具141は、ケーブル圧縮連結の一例である。ケーブル圧縮連結のもう一つの例は、圧着止め具141の代りに用いられ得る圧縮取付具を備えることができる。図9Aはさらに、ブレイクロッド用のクロスホール401、ワイヤロープストッパ用の逃がし穴402、リングハンドル穴403、および工具スロット404を示している。
【0035】
フェイスプレート410は、1つないし2つ以上の防護側壁411を、例えば(図16Bおよび図16Dに示すように)プルノブ本体418とプルハンドル416との組立体の両側に一つずつ含んでいてよい。それらの防護壁411は、異物による側方からの不慮の衝撃からプルノブ本体418およびプルハンドル416を防護するための強固な障壁をもたらすことができる。これらの防護側壁411はまた、図17Aから図17Cに示すようにブレイクロッド412が取り付けられたときに、当該ブレイクロッド412の両端を受け入れるためのスロット413をもたらすことができる。さらに、フェイスプレート410は、フェイスプレートのプルハンドル円形レース423と、プルノブ止めねじ用ねじ穴付きボス424とを含むことができる。
【0036】
プルステーションの起動は、プルノブ本体418をプルステーション400から離れるように引っ張ることによって成し遂げることができる。この動作によって、ブレイクロッド412を砕けさせて、プルノブ本体418がフェイスプレート410から離れるように移動できるようにし、かくして可撓性導管220を通じてワイヤロープ140を移動させ、これにより放出機構160を起動させることができる。プルノブ本体418に対するワイヤロープ140の結合は、例えば図9Bに示すような、数種類の方法で成し遂げることができる。図示の目的だけのために、2つの方法が与えられている。第1の方法は、図13Aから図13Cに示すように、1つないし2つ以上の止めねじ417を用いて、ワイヤロープ140をプルノブ本体418に、固定された形態で、或いは恒久的な形態で留め付けるものである。この形態においては、例えば図13Cに示すように、プルハンドル・ケーブルボス428のワイヤロープ凹部426内へワイヤロープ140を差し込むことができる。止めねじ417は、ワイヤロープ140に対して張力をかけて、例えば図6に示すように、ワイヤロープが外されるのを防止するのに十分な結合をワイヤロープ上に生じさせることができる。上記で議論したように、必ずしも止めねじ417を用いるとは限らず、圧着コネクタの使用などの代替的な方法論を用いてもよい。第2の方法は、図13Dから図13Fに示すように、圧縮取付具141を用いて、ワイヤロープ結合におけるオーバーサイズの端部を生じさせ、ワイヤロープ140がプルノブ本体418から外れるのを抑制ないしは防止するものである。この形態においては、ワイヤロープ140がプルノブ本体418から外れるのを抑制ないしは防止するために、圧縮取付具141のODをワイヤロープ・アクセス穴426のODよりも大きくすることができる。
【0037】
フェイスプレート410は、図9A、図9B、および図16Dに示すフェイスプレート410の各取付ねじボス414内に配置された(図16Dに示す)封じ込め境界ダイアフラム415をも含むことができる。これらの封じ込め境界ダイアフラム415は、グリースや汚物や埃などの汚染を引き起こす如何なるものも、フェイスプレート410の外面を通り抜けて、図11Aに示すようなプルステーション組立体の作動構成要素および/またはワイヤロープ導管140または200の区域内へと侵入することを低減させ、ないしは最小限にするために用いることができる。
【0038】
図9A、図9B、および図10Dに示すように、フェイスプレート410および/またはプルハンドル・キャップ390は、言葉などの様々な表示をさらに含むことができる。それらの表示は、フェイスプレート410およびプルハンドル・キャップ390の他の部分とは異なる色とすることができる。例えば、その色は、周囲(例えばアルミニウムの背景)から言葉(およびフェイスプレート)を識別するために、赤色、蛍光色、または暗闇で光るものであってもよい。ブレイクロッド412は、プラスチックやガラスで構成することができ、従って透明や不透明であってよい。フェイスプレート410上の色彩は、ブレイクロッド412を通して見たときに強調されてもよい。さらに、プルハンドル416、ブレイクロッド412、ねじボス414、または封じ込め境界ダイアフラム415の一部(或いは全部)が、プルハンドル416、ブレイクロッド412、ねじボス414、または封じ込め境界ダイアフラム415の他の部分とは異なる色であってもよい。或いは、プルハンドル416、ブレイクロッド412、ねじボス414、または封じ込め境界ダイアフラム415を近接した部分から識別するために、それらの全体が赤色、蛍光色、または暗闇で光るものであってもよい。最後に、互いに対になるように設計された2つの部品の色は、適切に取り付けられたときにそれらの色が互いに調和するように選択することができる(例えば、ねじボス414と封じ込め境界ダイアフラム415が適切に取り付けられた場合における、ねじボス414と封じ込め境界ダイアフラム415の連続した赤色)。或いは、互いに対になるように設計された2つの部品の色は、適切に取り付けられたときにそれらの色が互いに相違するように選択することができる(例えば、ねじボス414が封じ込め境界ダイアフラム415と共に適切に取り付けられたときの、アルミニウム色と隣り合う赤色)。
【0039】
フェイスプレート410はさらに、予備のブレイクロッド412などの修理品目のための収納機構として役立つように適合されていてもよい。一つの方法が図16Aおよび図16Bに示されている。プルステーション400が新たなブレイクロッドの挿入などによって再構成ないし再初期設定される必要のある場合には、図16Aに示すようにフェイスプレート410の下側に追加のブレイクロッド412を収納するなどして、再初期設定のために用いられるハードウエアをプルステーション400の直近に収納することができる。ブレイクロッド412は、図16Aおよび図16Cに示す向きに対して90度の向きで収納してもよい。
【0040】
プルステーション400が現場に設置されるとき、技術者はしばしば、加圧制御キャビネット200の内部に余分なワイヤロープ140を残すことがある。このワイヤロープ140の余分な長さは、放出機構160を起動させることなくプルノブ本体418をプルステーション410から離れるように移動可能とする効果を有することができる。ワイヤロープ140の「不動帯(dead band)」を制御し、またワイヤロープ140を張力の掛かった状態に維持する(但し、これは必要とはされない)のに、ワイヤロープ自動張力調整装置を用いることができる。自動張力調整装置の一例は、図15Aから図15Dに示す自動張力調整ばね142を備えている。図15Aおよび図15Bに示すように、自動張力調整ばね142は「不動帯」を減少させるために用いることができる。この自動張力調整ばね142は、技術者が、プルステーションから部分的に動かす引っ張り試験によって、図15Dに示すようにシステムを起動させることなく導管130または220の経路設定の現場試験を行い得るようにすることができる。例えば、プルステーション400に配置されるたった一人の技術者が、装置を試験するためにプルハンドル416を引っ張るかもしれない。プルハンドル416を引っ張った後に当該ハンドルがその位置に戻る(即ち、スプリングバック(弾性戻り)する)場合には、技術者は「自動張力調整ばね142が作動可能であって、ワイヤロープが適切に構成されている」と決定することができる。自動張力調整ばね142はさらに、引き延ばされた状態の完全な移動により、図15Cに示すように、プルノブ本体418の展開でのシステムの起動を確実なものとすることができる。
【0041】
図15Aに示すように、(自動張力調整ばね142などの)自動張力調整装置は、放出機構160の直近に配置される。これに代えて、自動張力調整装置は、プルステーション400から放出機構160までのワイヤロープ140の経路に沿った任意の箇所に配置することができる。自動張力調整装置は、図15Aに示すようなZ字形のばねなどの様々な形状を備えることができる。
【0042】
等式F1=F2eusk Bは、図6および図14に示す可撓性導管システムの特性を記述するのに用いることができる。F1は、ワイヤロープの一端部(例えば、ワイヤロープ140がプルステーション400に連結されるところ)での力とすることができる。またF2は、当該ロープの他端部(例えば、ワイヤロープ140が、加圧制御ステーション100または200の放出機構160に連結されるところ)での力とすることができる。静摩擦係数または動摩擦係数は、uskで表すことができる。角度Bは、ラジアンで表現することができる。
【0043】
上記で議論したように、可撓性導管220(および可撓性導管内部のワイヤロープ140)を火災抑制システムにおける種々の構造に対して取り付けることのできる様々な方法が存在する。図18Aから図18Eに一例が示されている。図18Aは、PG9キャップ800の斜視図を示している。下記でより詳細に議論するように、このPG9キャップ800は、圧縮取付具810およびストレインリリーフ820との組み合わせにおいて、可撓性導管220およびワイヤロープ140を、火災抑制システム内の構造、例えば接続箱、バルブ、オートマン(登録商標)パネルその他に対して連結するように働く。
【0044】
PG9キャップ800は、穴802を含んでいる。以下でより詳細に議論するように、この穴802は、ワイヤロープ140を通過させるに足るだけ大きい半径を有すると共に、可撓性導管220が通過できなくなるに足るだけ小さい半径を有することができる。例えば、穴802は、可撓性導管220のライナー(例えば、ポリエチレンライナー504やアセタールライナー320)が通過できなくなるに足るだけ小さくてもよい。別の例は、(図7Bおよび図7Dに示すような)接続箱440または445内への可撓性導管の効果的な案内を生じさせるために、穴802の直径が、可撓性導管502および310のアウタージャケットの直径と同等になっているものである。さらに、PG9キャップ800は、ねじ山804を含んだ内面を有している。下記でより詳細に議論するように、ストレインリリーフ820の一部分がねじ山804と連結することができる。
【0045】
図18Bは、圧縮取付具810の斜視図を示している。この圧縮取付具810は、圧縮取付具キャップ812および圧縮取付具本体814を含んでいる。圧縮取付具本体814は、ボルト816を用いて、接続箱120などの火災抑制システム内の構造に連結することができる。
【0046】
図18Cは、圧縮取付具810およびPG9キャップ800の分解図を示している。PG9キャップ800は、圧縮取付具キャップ812と圧縮取付具本体814との間に挟み込むことができる。それから、圧縮取付具キャップ812を圧縮取付具本体814に取り付けることができる。この取り付けは、例えば、圧縮取付具本体814上のねじ山817と、圧縮取付具キャップ812の内面上のねじ山(図示せず)とを介して、圧縮取付具キャップ812を圧縮取付具本体814上へとねじ込むことによって行われる。圧縮取付具キャップ812がPG9キャップ800上へとスライドできるよう、PG9キャップ800の外径は、圧縮取付具キャップ812の内径よりも小さくてよい。さらに、PG9キャップ800の外径は、圧縮取付具本体814の外径以下でよい。かくして、圧縮取付具キャップ812が圧縮取付具本体814上へとねじ込まれる際に、それらの間でPG9キャップ800をしっかり圧縮することができる。
【0047】
図18Dは、ストレインリリーフ820の斜視図を示している。ストレインリリーフ820は、ストレインリリーフキャップ822およびストレインリリーフ本体824を含んでいる。ストレインリリーフキャップ822は穴826を含み、この穴826で可撓性導管220を取り付けることができる。ストレインリリーフ本体824は、PG9キャップ800のねじ山804と螺合するねじ山828を含んでいる。かくして、ストレインリリーフ820を取り付けることができる。
【0048】
図18Eは、ストレインリリーフ820取付前における、ストレインリリーフ820および圧縮取付具810の側面図を示している。図示するように、可撓性導管は、ストレインリリーフ820に対して取り付けることができる。また、PG9キャップ800を用いて、ワイヤロープ140を接続箱120内へと案内することができる。
【0049】
鋼鉄に対するテフロン(登録商標)のusk=0.04であることを考慮すると(例えば、ライナー320がテフロン(登録商標)で構成され、ワイヤロープ140が鋼鉄で構成されている場合)、F2=6ポンドおよびF1=40ポンドならば、B=47.4ラジアン、即ち2717度である。ライナーおよび/または潤滑剤が無ければ、摩擦係数はもっと高く、例えばusk=0.15である。同じ力2=6ポンドおよびF1=40ポンドを用いれば、B=12.6ラジアン、即ち724度である。これらの2例の比較は、可撓性導管の制約に対して低い摩擦係数が有する重大な影響力を例証している。usk=0.04を用いる例においては、可撓性導管を直角に30回屈曲させることができるのに対して、usk=0.15を用いる(ライナー無しの)例では、可撓性導管を同じ角度で8回しか屈曲させることができない。
【0050】
火災抑制システムにおける可撓性導管220は、図1に示すEMT130および90度プーリーエルボー150よりも容易に設置することができる。さらに、可撓性導管220は、図1に示す火災抑制システムと同様に信頼性のあるシステムを今まで通り提供する。可撓性導管システムは、劣化の兆候を伴うことなく、8,000回を超えて循環動作された。このシステムは、150フィートの内張被覆ボーデン導管、半径3インチの90度屈曲8箇所、15個のプーリーエルボー、ビルトイン式プーリーブロック付きのプルステーション、および一端部での6ポンドの荷重にて500サイクルの試験に合格し、その結果得られた他端部上での力は、1.45ポンドの標準偏差で平均37.23ポンドであった。超高分子量ポリエチレン(UHMW)ブッシュを有するプルステーションと3ポンドの荷重を用いること以外は同様の諸条件にて、結果として得られた力は、1.25ポンドの標準偏差で平均30.83ポンドであった。
【0051】
上記で議論したように、可撓性導管は、アンスルオートマン(登録商標)パネル、ガスバルブ、コーナープーリー、電気箱、EMT導管、その他に対して連結することができる。例えば、可撓性導管は、アンスルオートマン(登録商標)パネルとプルステーションとの間に、140フィートおよび4つの90度屈曲までで連結することができる。可撓性導管が複数の90度屈曲を成すように用いられるときには、それらの屈曲同士の間に機械的な90度エルボーをいくつか使って、或いは使わずに、それらの屈曲がアンスルオートマン(登録商標)パネルまたはガスバルブから始まっていてもよい。4つを超える90度屈曲が用いられる場合には、機械的なプーリーを用いてもよい。可撓性導管は、アンスルオートマン(登録商標)パネルとガスバルブとの間に、75フィートおよび4つの90度屈曲および4つのコーナープーリーまでで連結することもできる。可撓性導管は、EMT導管が通常通されるであろう経路と同じ経路に沿って配置することができる。可撓性導管を通じてステンレス鋼のロープを通すことができる。可撓性導管は、フードやその他の高温品目から6インチを超える距離だけ遠ざけられてよい。これらの例は、設置の目的だけのために与えられるものである。
【0052】
或いは、プルハンドル416を放出機構160に連結するのに、ワイヤロープ140を用いることに代えて他の手段を用いてもよい。例えば、プルハンドル416の起動が今度は、放出機構へ信号を送信し得る回路(例えばスイッチ)を起動させるようにしてもよい。その信号は、電線を通じて送信される電気信号であってもよい。或いは、その信号は、トランシーバーを通じて送信されて放出機構で受信され得る無線信号であってもよい(例えば、無線の受信機および/または送信機を含むことのできるアンスルオートマン(登録商標)パネル)。
【0053】
さらに、ワイヤロープ140を用いることに代えて、光ファイバーケーブルを用いてもよい。例えば、第1の光ファイバーケーブルと第2の光ファイバーケーブルとの間にプルステーションが接続されていてもよい。具体的には、第1の光ファイバーケーブルに光源を接続して、この第1の光ファイバーケーブルを通じてビームを送るようにしてもよい。第2の光ファイバーケーブルにパネルを接続することができる。プルステーションが起動されていない場合、第1の光ファイバーケーブルを通じて進む光が遮られて、パネルに対してプルステーションが起動されていないことを示すことができる。プルステーションが(例えば、プルハンドル416を引っ張ることにより)起動されている場合、第1の光ファイバーケーブルを通じて進む光は遮られず、パネルに対してプルステーションが起動されていることを示すことができる。
【0054】
本発明の様々な実施形態を記述してきたが、本発明の範囲内でもっと多くの実施形態や実施内容が可能であることは当業者に明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の観点からを除いて、限定されるべきものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルステーションにおけるレバーと、火災抑制剤を放出するための放出機構と、前記レバーと前記放出機構との間に連結されたワイヤロープと、可撓性導管とを有し、前記ワイヤロープが前記可撓性導管内で軸線方向にスライドするように配置された火災抑制システムにおいて、
摩擦係数を低下させるために、前記ワイヤロープまたは前記可撓性導管の内側の少なくとも一方の上に材料設けたことを特徴とする火災抑制システム。
【請求項2】
前記材料は、可撓性導管のためのライナーを含んで成る、請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項3】
前記ライナーはプラスチックで構成されている、請求項2記載の火災抑制システム。
【請求項4】
前記材料は潤滑剤を含んで成る、請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項5】
前記潤滑剤は、前記可撓性導管の内側または前記ワイヤロープの少なくとも一方に塗布される、請求項4記載の火災抑制システム。
【請求項6】
前記可撓性導管の内側は、プラスチックライナーを備えている、請求項5記載の火災抑制システム。
【請求項7】
前記潤滑剤は、前記可撓性導管の内側と前記ワイヤロープの両方に塗布される、請求項6記載の火災抑制システム。
【請求項8】
前記潤滑剤はシリコーンを含んで成る、請求項4記載の火災抑制システム。
【請求項9】
プルレバーおよびプーリーを備え、前記プーリーが前記プルレバーの直近にあるプルステーションと、
起動時に火災抑制剤を放出させるための放出機構と、
前記プルレバーと前記放出機構との間に連結され、前記放出機構を起動させるために前記プルレバーを引っ張るのに要する力の大きさを前記プーリーが減少させるように前記プーリーの少なくとも一部と接しているワイヤロープと、
を備えた火災抑制システム。
【請求項10】
前記プルステーションは、プーリーブロックおよびフェイスプレートをさらに備え、前記プーリーに前記プーリーブロックが取り付けられ、前記プーリーブロックが前記フェイスプレートに連結されている、請求項9記載の火災抑制システム。
【請求項11】
前記プーリーブロック上の溝が、前記フェイスプレート内へ圧入されて、前記フェイスプレートと係合する、請求項10記載の火災抑制システム。
【請求項12】
前記プルステーションは接続箱をさらに備え、
前記プーリーブロックは、前記接続箱の寸法に応じた少なくとも2つの形態で前記フェイスプレートと連結可能である、請求項10記載の火災抑制システム。
【請求項13】
前記プーリーの第1の形態は、浅型の箱のための浅型箱形態を備え、
前記プーリーの第2の形態は、深型の箱のための深型箱形態を備える、請求項12記載の火災抑制システム。
【請求項14】
前記プーリーおよび前記プーリーブロックは、前記接続箱における開口への中心線上に前記ワイヤロープを方向付けるように構成されている、請求項12記載の火災抑制システム。
【請求項15】
前記プルステーションは、第1の開口および第2の開口を有する接続箱をさらに備え、
前記プーリーブロックは、第1の形態および第2の形態で前記フェイスプレートと連結可能であって、前記第1の形態においては前記ワイヤロープが前記第1の開口の中心線に沿って前記プーリーブロックから出て行き、前記第2の形態においては前記ワイヤロープが前記第2の開口の中心線に沿って前記プーリーブロックから出て行くようになっている、請求項10記載の火災抑制システム。
【請求項16】
可撓性導管をさらに備え、前記ワイヤロープが前記可撓性導管内で軸線方向にスライドするように配置されており、摩擦係数を低下させるために、前記ワイヤロープ、または前記可撓性導管の内側の少なくとも一方の上に材料がある、請求項9記載の火災抑制システム。
【請求項17】
前記可撓性導管はプラスチックライナーを備え、
前記プラスチックライナーの内側または前記ワイヤロープの少なくとも一方の上に潤滑剤が塗布されている、請求項16記載の火災抑制システム。
【請求項18】
前記プルステーションはフェイスプレートをさらに備え、このフェイスプレートは、コントラストを付ける着色がなされた表示を含んでいる、請求項9記載の火災抑制システム。
【請求項19】
プルノブ組立体およびフェイスプレートを備え、前記プルノブ組立体がブレイクロッドと相互作用するように適合されており、前記プルノブ組立体と前記フェイスプレートの少なくとも一方が回転可能なプルステーションと、
起動されたときに火災抑制剤の放出を生じさせ、或いは告知を生じさせる起動機構と、
前記プルノブ組立体と前記放出機構との間に連結されたワイヤロープと、
を備えた火災抑制または告知システム。
【請求項20】
前記プルノブ組立体および前記フェイスプレートは互いに相対的に回転可能である、請求項19記載の火災抑制または告知システム。
【請求項21】
前記フェイスプレートは静止状態にあり、前記プルノブ組立体は回転可能である、請求項20記載の火災抑制または告知システム。
【請求項22】
前記プルノブ組立体は、プルノブに連結されたプルハンドルを備え、前記プルノブは前記ワイヤロープに連結され、前記ワイヤロープを引っ張って前記放出機構を起動させるためにユーザーが前記プルハンドルを引っ張るようになっており、
前記プルノブおよびプルハンドルは、前記ブレイクロッドと相互作用するために第1の方向へ回転されるように適合され、
前記フェイスプレートは、少なくとも2つの側壁を含み、
前記プルノブおよびプルハンドルは、前記フェイスプレートにおける前記2つの側壁の少なくとも一部に前記ブレイクロッドを受け入れさせるために前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転するように適合されている、請求項21記載の火災抑制または告知システム。
【請求項23】
プルノブ組立体を備えたプルステーションと、
起動されたときに火災抑制剤の放出を生じさせ、或いは告知を生じさせる起動機構と、
前記プルノブ組立体と前記放出機構との間に連結されたワイヤロープと、
前記ワイヤロープの互いに離れている少なくとも2つの部分に連結された、前記ワイヤロープの張力を維持するためのワイヤロープ張力調整機構と、
を備えた火災抑制または告知システム。
【請求項24】
前記ワイヤロープ張力調整機構は、ばねを備えている、請求項23記載の火災抑制または告知システム。
【請求項25】
前記ばねは前記起動機構の直近にある、請求項24記載の火災抑制または告知システム。
【請求項1】
プルステーションにおけるレバーと、火災抑制剤を放出するための放出機構と、前記レバーと前記放出機構との間に連結されたワイヤロープと、可撓性導管とを有し、前記ワイヤロープが前記可撓性導管内で軸線方向にスライドするように配置された火災抑制システムにおいて、
摩擦係数を低下させるために、前記ワイヤロープまたは前記可撓性導管の内側の少なくとも一方の上に材料設けたことを特徴とする火災抑制システム。
【請求項2】
前記材料は、可撓性導管のためのライナーを含んで成る、請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項3】
前記ライナーはプラスチックで構成されている、請求項2記載の火災抑制システム。
【請求項4】
前記材料は潤滑剤を含んで成る、請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項5】
前記潤滑剤は、前記可撓性導管の内側または前記ワイヤロープの少なくとも一方に塗布される、請求項4記載の火災抑制システム。
【請求項6】
前記可撓性導管の内側は、プラスチックライナーを備えている、請求項5記載の火災抑制システム。
【請求項7】
前記潤滑剤は、前記可撓性導管の内側と前記ワイヤロープの両方に塗布される、請求項6記載の火災抑制システム。
【請求項8】
前記潤滑剤はシリコーンを含んで成る、請求項4記載の火災抑制システム。
【請求項9】
プルレバーおよびプーリーを備え、前記プーリーが前記プルレバーの直近にあるプルステーションと、
起動時に火災抑制剤を放出させるための放出機構と、
前記プルレバーと前記放出機構との間に連結され、前記放出機構を起動させるために前記プルレバーを引っ張るのに要する力の大きさを前記プーリーが減少させるように前記プーリーの少なくとも一部と接しているワイヤロープと、
を備えた火災抑制システム。
【請求項10】
前記プルステーションは、プーリーブロックおよびフェイスプレートをさらに備え、前記プーリーに前記プーリーブロックが取り付けられ、前記プーリーブロックが前記フェイスプレートに連結されている、請求項9記載の火災抑制システム。
【請求項11】
前記プーリーブロック上の溝が、前記フェイスプレート内へ圧入されて、前記フェイスプレートと係合する、請求項10記載の火災抑制システム。
【請求項12】
前記プルステーションは接続箱をさらに備え、
前記プーリーブロックは、前記接続箱の寸法に応じた少なくとも2つの形態で前記フェイスプレートと連結可能である、請求項10記載の火災抑制システム。
【請求項13】
前記プーリーの第1の形態は、浅型の箱のための浅型箱形態を備え、
前記プーリーの第2の形態は、深型の箱のための深型箱形態を備える、請求項12記載の火災抑制システム。
【請求項14】
前記プーリーおよび前記プーリーブロックは、前記接続箱における開口への中心線上に前記ワイヤロープを方向付けるように構成されている、請求項12記載の火災抑制システム。
【請求項15】
前記プルステーションは、第1の開口および第2の開口を有する接続箱をさらに備え、
前記プーリーブロックは、第1の形態および第2の形態で前記フェイスプレートと連結可能であって、前記第1の形態においては前記ワイヤロープが前記第1の開口の中心線に沿って前記プーリーブロックから出て行き、前記第2の形態においては前記ワイヤロープが前記第2の開口の中心線に沿って前記プーリーブロックから出て行くようになっている、請求項10記載の火災抑制システム。
【請求項16】
可撓性導管をさらに備え、前記ワイヤロープが前記可撓性導管内で軸線方向にスライドするように配置されており、摩擦係数を低下させるために、前記ワイヤロープ、または前記可撓性導管の内側の少なくとも一方の上に材料がある、請求項9記載の火災抑制システム。
【請求項17】
前記可撓性導管はプラスチックライナーを備え、
前記プラスチックライナーの内側または前記ワイヤロープの少なくとも一方の上に潤滑剤が塗布されている、請求項16記載の火災抑制システム。
【請求項18】
前記プルステーションはフェイスプレートをさらに備え、このフェイスプレートは、コントラストを付ける着色がなされた表示を含んでいる、請求項9記載の火災抑制システム。
【請求項19】
プルノブ組立体およびフェイスプレートを備え、前記プルノブ組立体がブレイクロッドと相互作用するように適合されており、前記プルノブ組立体と前記フェイスプレートの少なくとも一方が回転可能なプルステーションと、
起動されたときに火災抑制剤の放出を生じさせ、或いは告知を生じさせる起動機構と、
前記プルノブ組立体と前記放出機構との間に連結されたワイヤロープと、
を備えた火災抑制または告知システム。
【請求項20】
前記プルノブ組立体および前記フェイスプレートは互いに相対的に回転可能である、請求項19記載の火災抑制または告知システム。
【請求項21】
前記フェイスプレートは静止状態にあり、前記プルノブ組立体は回転可能である、請求項20記載の火災抑制または告知システム。
【請求項22】
前記プルノブ組立体は、プルノブに連結されたプルハンドルを備え、前記プルノブは前記ワイヤロープに連結され、前記ワイヤロープを引っ張って前記放出機構を起動させるためにユーザーが前記プルハンドルを引っ張るようになっており、
前記プルノブおよびプルハンドルは、前記ブレイクロッドと相互作用するために第1の方向へ回転されるように適合され、
前記フェイスプレートは、少なくとも2つの側壁を含み、
前記プルノブおよびプルハンドルは、前記フェイスプレートにおける前記2つの側壁の少なくとも一部に前記ブレイクロッドを受け入れさせるために前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転するように適合されている、請求項21記載の火災抑制または告知システム。
【請求項23】
プルノブ組立体を備えたプルステーションと、
起動されたときに火災抑制剤の放出を生じさせ、或いは告知を生じさせる起動機構と、
前記プルノブ組立体と前記放出機構との間に連結されたワイヤロープと、
前記ワイヤロープの互いに離れている少なくとも2つの部分に連結された、前記ワイヤロープの張力を維持するためのワイヤロープ張力調整機構と、
を備えた火災抑制または告知システム。
【請求項24】
前記ワイヤロープ張力調整機構は、ばねを備えている、請求項23記載の火災抑制または告知システム。
【請求項25】
前記ばねは前記起動機構の直近にある、請求項24記載の火災抑制または告知システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図10J】
【図10K】
【図10L】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図17−1】
【図17−2】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図10J】
【図10K】
【図10L】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図17−1】
【図17−2】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【公表番号】特表2010−520030(P2010−520030A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552804(P2009−552804)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055307
【国際公開番号】WO2008/109345
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509322018)アンスル、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】ANSUL,LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055307
【国際公開番号】WO2008/109345
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509322018)アンスル、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】ANSUL,LLC
【Fターム(参考)】
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