説明

火災抑制システム

【課題】貨物保管設備の監督者や航空機のフライトクルーメンバーなどの監督者から離れた場所における火災又は許容不能な高温を発する特定のエリア、パレット、及び/又はコンテナを識別し、それらを冷却する火災抑制システムを提供する。
【解決手段】エリアと関連した温度情報を取得するべく構成された温度センサアレイを含む温度センサと、温度センサと関連付けられた火災警報システムと、少なくとも1つの火災抑制剤を望ましくない高温と関連したエリアに供給するべく構成された火災抑制剤供給システム50を含む火災抑制システム40である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災センサ、火災検出システム、火災抑制システム、及びこれらの組み合わせに関するものである。更に詳しくは、本発明のいくつかの態様は、倉庫及び/又は貨物エリアにおける火災の検出及び火災の抑制の中の少なくとも1つのための自動化システムに関するものである。
本出願は、2005年8月30日付けで出願された米国特許出願第11/213,940号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物は、船舶(旅客船又は貨物船のいずれか)、航空機(旅客機又は貨物機のいずれか)、及び/又はトラックを含むいつかの異なるタイプの輸送手段の中の1つ又は複数のものを使用してその宛先に輸送可能である。貨物は、その輸送の際に、貨物保管エリア内に配置される可能性がある。更には、貨物は、輸送の途上において、貨物コンテナ内に保持される及び/又は、貨物パレット上に積載される可能性がある。場合によっては、貨物は、有害であって、高度に引火性であり、及び/又は高度に可燃性である物質を包含可能であり、この結果、輸送が、貨物自体と、貨物を輸送する輸送手段、並びに、輸送手段を輸送している貨物の操作者にとって危険なものとなる可能性がある。
【0003】
その他のケースにおいては、貨物は、貨物保管エリアの貨物保管設備内に保管され、その内部において、貨物が、非監視状態に放置される可能性がある。このような場合に、貨物保管設備内に保存されている貨物が、特定の条件において発火又は爆発し、これにより、その他の貨物や貨物保管設備が損傷する及び/又は、貨物保管設備内に存在している人々をひどく傷つける可能性が依然として存在している。
【0004】
多くの例において、貨物は、輸送の途中において又は貨物保管設備内に配置された際に、輸送手段を制御している又は貨物保管設備を監督している操作者とは別個のエリア内に保管される可能性ある。この結果、貨物コンテナ、貨物パレット、又は貨物保管エリア内において発生した火災又は爆発に操作者又は貨物保管設備の監督者が気付かない可能性がある。更には、所与の保管エリア内に複数の貨物コンテナ及び/又は貨物パレットが配置される可能性がある。この結果、所与の貨物保管エリア内において火災が発生していると判定された場合にも、火災を起こしているコンテナ及び/又はパレットを特定することが困難になる可能性がある。これは、恐らく、いくつかの問題を提起可能である。
【0005】
例えば、貨物輸送手段の特性に起因し、利用可能な火災抑制剤の供給が制限される可能性がある。例えば、貨物機上においては、火災抑制剤の重量に起因し、火災を抑制するために航空機上において輸送可能な抑制剤の量が制限される可能性がある。従って、貨物エリア全体ではなく、火災抑制剤を必要としている特定のエリアに抑制剤の放出を集中させることによって航空機によって輸送する重量を低減するべく、火災の消火に使用する火災抑制剤の量を制限することが望ましいであろう。更には、火災抑制剤自体が、いくつかのタイプの貨物にとって有害である可能性がある。従って、火災抑制剤を必要としていない貨物の損傷を限定するべく、火災抑制剤を必要としている場所に火災抑制剤の散布を限定することが望ましいであろう。この結果、適切な量の抑制剤を火災を経験している場所に対して導くことができるように、火災の大まかな場所を判定可能な火災検出システムを提供することが望ましいであろう。
【0006】
火災を経験している貨物エリア内に見出される1つの潜在的な問題は、貨物が、しばしば、貨物輸送手段の操作者又は貨物保管設備の監督者から離れたところに配置されているという点にある(例えば、貨物は、輸送手段又は貨物保管設備の空いている及び/又はアクセスが困難である部分に配置される可能性がある)。この結果、火災抑制剤を火災を経験しているエリアに対してタイムリーに供給することが更に困難になる。一般に、一旦大きなエリアに広がると、火災の消火又は抑制が更に困難になるため、火災抑制剤を離れたところからタイムリーに供給できるようにすることが望ましいであろう。
【0007】
貨物から相対的に離れたところに一人又は複数の操作者が存在している貨物輸送手段の一例が航空機である。最近の航空機によって輸送される貨物の大部分は、貨物コンテナ内又は貨物パレット上において輸送されている。これらのコンテナは、一般に、ULD(Unit Load Device)と総称されている。いくつかのULDは、高強度の航空機グレードのアルミニウム合金から構築可能であり、しばしば、部分的にLEXANから構築された側部を有している。安全性の観点から、ULDは、しばしば、様々な飛行中の、地上における積載中の、及び/又は、緊急の状態において貨物コンテナを拘束するべく、航空貨物ロッキングシステムと結合しなければならない。連邦航空規則によれば、ULDは、航空機の装置と見なされており、特定のタイプの航空機におけるFAA(Federal Aviation Administration)認定を受けており、且つ、通常は、NAS(National Aerospace Standard)3610に包含された仕様に準拠して製造されている。
【0008】
非常に一般的に使用されている産業用ULDの一例が、「SAA」指定のコンテナであり、これは、幅が約88インチ(223.5センチ)であり、長さが約125インチ(317.5センチ)であって、約82インチ(208.3センチ)の高さを有するアーチ形の屋根を有している。ULDの別の例は、「AMJ」指定のコンテナであり、これは、幅が約96インチ(243.8センチ)であり、長さが約317.5センチであって、約243.8センチの最大高さを有している。パレットの場合には、幅が約88インチ(223.5センチ)であって、長さが約317.5センチであるものと、幅が約243.8センチであって、長さが約317.5センチであるものという2つの一般的なベース寸法が存在しているが、その他のサイズを利用することも可能である。パレット上における積載貨物は、しばしば、積層されており、この後に、パレットの周囲に配置されたシートトラックタイプのレールに係合する取付金具を具備した貨物ネットを使用してパレットにネット固定されている。
【0009】
貨物操作要員(即ち、貨物エリア内に貨物を搬入及び/又は搬出する操作要員)による特定のアクション又は関与が不要であり、この結果、例えば、貨物を貨物エリアに迅速に搬入及び搬出できるように、貨物操作要員にとって相対的にトランスペアレントである貨物エリア内に配置される火災検出及び/又は抑制システムを提供することが望ましいであろう。
【0010】
一例として貨物機を取り上げた場合に、いくつかのメインデッキの貨物エリアは、従来、手動による操作を意図した消火器を装備可能ではあるが、飛行中に、フライトクルーは、貨物機上に配置された貨物コンテナに対しては、ほとんどアクセス不能であり、且つ、貨物パレットに至っては、実質的にまったくアクセス不能であって、この結果、航空機の貨物エリア内の火災を消火器を使用して手動で消火することは困難である。例えば、貨物コンテナ又は貨物パレットの中の1つ又は複数のものが引火性の物質を収容しており、且つ、温度が非常に高く上昇した場合に及び/又は、引火性の物質がその他の方法によって発火した場合には、貨物コンテナ内又は貨物パレット上において火災が発生し、貨物エリア内のその他の貨物コンテナ及び/又は貨物パレットに広がる可能性があろう。貨物が発火した時点で貨物エリア内に誰かがいなければ、但し、これは、少なくとも先程概説した理由から可能性は小さいが、このような火災は、検出されないままに、及び/又は、フライトクルーからはアクセス不能な状態において、留まる可能性があろう。検出されない又はアクセス不能な場合には、火災は、その他の貨物コンテナ及び/又は貨物パレットに広がり、これにより、フライトクルー及び貨物機の安全を脅かす可能性があろう。この延焼の可能性は、その他の貨物輸送手段及び貨物保管設備の場合にも存在している。
【0011】
一例として、陸地の上空を運行している近距離貨物機は、通常、例えば、貨物火災などの緊急事態が発生した際に、緊急着陸を実行するために適切な飛行場から約15分以下の飛行時間内に位置している。現時点においては、FAAは、航空機上の火災を検出するための煙検出器を認定してはいるが、煙検出器は、いくつかの制限を提起可能である。貨物機は、メインデッキの煙カーテン及び/又は固体バルクヘッドを装備可能であり、これらによれば、例えば、航空機の貨物エリア内の火災の際に、コックピットに煙が侵入しない期間をフライトクルーのために延長可能である。このような状況においては、貨物火災に起因して貨物機を消失する可能性は、相対的に低下しよう。しかしながら、このような状況においても、早期検出を提供することにより、緊急着陸を実行するための飛行場に航空機を向かわせるのに十分な時間を許容するべく、火災検出システムが望ましい。更には、航空機が着陸した後にも、火災の位置を特定すると共に、そこに火災抑制物質を搬送することにより、地上の消防要員が火災を消火可能であることが依然として望ましい。
【0012】
陸地の上空における飛行とは対照的に、国際的な飛行の場合には、別の状況が発生可能である。このような多くの飛行は、海又はその他の大規模な水域の上空において相対的に大きな持続時間を消費可能であり、且つ、航空機は、ランドフォールから3時間以上もの飛行時間に位置している可能性があろう。このような状況において貨物火災が発生した場合には、フライトクルー及び航空機、並びに、貨物を助けるためには、貨物火災を消火するか又は少なくとも緊急着陸を実行するための適切な飛行場に到達できる時点まで長時間にわたって貨物火災を抑制する能力が不可欠であろう。従って、火災を迅速に検出する火災検出システムと、火災を抑制又は消火する航空機搭載型の火災抑制システムの両方が望ましいであろう。
【0013】
但し、火災の検出及び/又は抑制という問題は、貨物輸送業界に限定されるものではない。例えば、貨物及び/又はその他の物品が、貨物又はその他の物品を監視している人物から離れた、例えば、貨物保管設備などの場所に配置されている際には、常に問題が発生可能である。従って、広範な様々な状況において、制御不能な状態になる前に、その初期段階において火災を検出及び/又は遠隔抑制することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの課題は、貨物保管設備の監督者や航空機のフライトクルーメンバーなどの監督者から離れた場所における火災又は許容不能な高温を検出するべく構成されたシステムを提供することにある。
【0015】
本発明の別の課題は、貨物保管設備の監督者や航空機のフライトクルーメンバーなどの監督者から離れた場所における火災又は許容不能な高温の検出に基づいて警報を提供するべく構成されたシステムを提供することにある。
【0016】
本発明の更に別の課題は、火災又は許容不能な高温を経験している特定のエリア、パレット、及び/又はコンテナを識別するべく構成されたシステムを提供することにある。
【0017】
本発明の更に別の主題は、火災を抑制する及び/又は、火災又は許容不能な高温を経験していると識別されたエリア、パレット、及び/又はコンテナを冷却するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下の説明から、本発明の特定の態様及び実施例について明らかとなろう。本発明は、その広範な意味において、これらの態様及び実施例の1つ又は複数の特徴を具備することなしに、実施可能であることを理解されたい。換言すれば、これらの態様及び実施例は、模範的なものに過ぎない。
【0019】
本発明の一態様は、火災検出及び火災抑制システムの組み合わせに関するものである。本システムは、エリアと関連した望ましくない高温を検出するべく構成された火災検出システムを包含可能である。火災検出システムは、エリアと関連した温度情報を取得するべく構成された温度センサアレイを含む温度センサと、温度センサと関連付けられた火災警報システムと、を包含可能である。火災警報システムは、温度センサから情報を受信すると共に、エリアと関連した望ましくない高温に基づいて警告信号を生成するべく構成可能である。火災検出システムは、火災警報システムと関連付けられた火災制御パネルを包含可能である。火災制御パネルは、警告信号を受信するべく構成可能である。又、本システムは、望ましくない高温と関連したエリアに対して少なくとも1つの火災抑制剤を供給するべく構成された火災抑制剤供給システムを含む火災抑制システムをも包含可能である。
【0020】
尚、本明細書に使用されている「火災」という用語は、必ずしも、目に見える炎を具備した火災に限定されるものではない。むしろ、「火災」という用語は、広範な意味において使用されており、これを使用することにより、例えば、物体及び/又は表面が、くすぶっている、煙を出している、又は触ると熱い状況などの物体及び/又は表面が望ましいものを上回る温度を有している又は当業者には安全でないと考えられる状況を表現可能である。
【0021】
別の態様によれば、貨物を保護するシステムは、本明細書に記述されている模範的な態様による火災検出及び火災抑制システムと、少なくとも1つの貨物ユニットの組み合わせを包含可能である。
【0022】
更に別の態様においては、エリアと関連した望ましくない高温を検出するべく構成された火災検出システムは、エリアと関連した温度情報を判定するべく構成された温度センサアレイを含む温度センサを包含可能である。火災検出システムは、温度センサと関連付けられた火災警報システムを更に包含可能である。火災警報システムは、温度センサから情報を受信すると共に、エリアと関連した望ましくない高温に基づいて警告信号を生成するべく構成可能である。又、火災検出システムは、火災警報システムと関連付けられた火災制御パネルをも包含可能であり、火災制御パネルは、警告信号を受信するべく構成可能である。
【0023】
更に別の態様においては、エリアと関連した温度情報を判定するべく構成された温度センサアレイは、ベースと、温度検知装置がエリアの温度を監視するべく構成されるようにベースと関連付けられた複数の温度検知装置と、を包含可能である。温度検知装置の中の少なくとも1つは、少なくとも1つの他の温度検知装置がベースに対して方向付けられているベースに対する角度とは異なるベースに対する角度において方向付け可能である。
【0024】
更に別の態様によれば、火災抑制システムは、望ましくない高温を経験しているエリアの温度の低減、エリアと関連した火災の抑制、及びエリアと関連した火災の消火の中の少なくとも1つを実行するべく構成可能である。火災抑制システムは、少なくとも1つの火災抑制剤をエリアに対して供給するべく構成された火災抑制剤供給システムを包含可能である。火災抑制剤供給システムは、界面活性剤を収容する第1コンテナと、ガスを収容する第2コンテナと、第1及び第2コンテナと連通状態にある少なくとも1本のマニホールドと、を包含可能である。ノズルが、少なくとも1本のマニホールドとの連通状態にあってよく、且つ、このノズルは、界面活性剤とガスを混合することによって生成された火災抑制剤を放出するべく構成可能である。火災抑制システムは、ノズルと関連付けられた伸長装置を更に包含可能であり、この伸長装置は、ノズルを移動させるべく構成可能である。
前述の構造的な構成とは別に、本発明は、後述するものなどのいくつかのその他の構成をも包含可能であろう。以上の説明及び以下の説明は、いずれも、模範的なものに過ぎないことを理解されたい。
【0025】
添付の図面は、本明細書に包含されると共に、本明細書の一部を構成している。これらの添付図面は、模範的な実施例を示しており、本明細書と共に、本発明のいくつかの原理を説明するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による火災検出システムの模範的な一実施例の概略図である。
【図2】航空機の模範的な一実施例の概略斜視図である。
【図3】貨物エリアの模範的な一実施例の概略部分断面図である。
【図4】別の構成における貨物エリアの模範的な一実施例の概略部分断面図である。
【図5】火災検出システムの模範的な一実施例と火災抑制システムの一実施例の各部分の概略部分断面図である。
【図6】火災検出システムの模範的な実施例の各部分の概略図である。
【図7】火災温度センサシステムの模範的な一実施例の概略ブロック図である。
【図8】火災警報システムの模範的な一実施例の概略ブロック図である。
【図9】火災制御パネルの模範的な一実施例の概略ブロック図である。
【図10】火災温度センサの模範的な一実施例の概略正面図である。
【図11】図10の火災温度センサによって監視されるエリアの概略平面図である。
【図12】火災温度センサアレイの模範的な一実施例の概略平面図である。
【図13】図12の火災温度センサアレイの概略前面図である。
【図14】図12の火災温度センサアレイの概略側面図である。
【図15】火災温度センサアレイの別の模範的な実施例の概略平面図である。
【図16】図15の火災温度センサアレイの概略前面図である。
【図17】図15の火災温度センサアレイの概略側面図である。
【図18】模範的な貨物コンテナと共に示されている火災抑制システムの模範的な一実施例の各部分の概略断面図である。
【図19】模範的な貨物パレットと共に示されている図18の火災抑制システムの実施例の概略断面図である。
【図20】後退位置において示されている火災抑制剤を放出する装置の模範的な一実施例の概略側面図である。
【図21】伸長位置において示されている図20の装置の概略側面図である。
【図22】火災抑制剤を放出する装置の別の模範的な実施例の概略斜視図である。
【図23】火災抑制剤散布システムの模範的な一実施例の概略図である。
【図24】火災抑制剤散布システムの別の模範的な実施例の概略図である。
【図25】火災抑制剤散布システムの更なる模範的な実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のいくつかの模範的な実施例の詳細を参照することとする。尚、添付の図面及び以下の説明においては、可能な場合には、常に、同一の参照符号を使用して同一又は類似の部分を示している。
【0028】
図1は、火災検出システムの模範的な一実施例10を示している。この火災検出システムの模範的な実施例10については、このシステムを使用可能な1つの可能な実施例の一例として、図2に示されている貨物航空機30との関連において説明することとするが、例えば、貨物エリアを具備した旅客機、旅客船及び貨物船、トラック、列車、その他のタイプの貨物輸送手段、及び/又は、貨物保管設備内などのその他の環境におけるその使用も可能であり、且つ、意図されている。
【0029】
図1に示されている模範的な火災検出システム10は、1つ又は複数の温度センサ14含む火災温度センサシステム12と、火災警報システムと、火災制御パネル18と、を包含可能である。1つ又は複数の火災温度センサ14は、例えば、貨物機30の貨物エリア32(図2)内に配置可能である。1つ又は複数の火災温度センサ14を貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の上方に配置することにより、火災及び/又は望ましい温度を上回る温度を検出可能であり、この高温は、貨物、貨物保管エリア、貨物を輸送する貨物輸送手段、及び/又は、例えば、貨物機のフライトクルーなどの貨物輸送手段と関連する人々にとって潜在的に有害である状況を通知可能である。
【0030】
いくつかの実施例によれば、火災温度センサ14は、図1に示されている火災警報システム16などの火災警報システムに接続可能である。火災警報システム16は、火災警告コンピュータ24を包含可能であり、このコンピュータは、火災制御パネル18と関連付け可能であり、この火災制御パネルは、例えば、貨物機30のコックピット内に配置可能である。例えば、火災検出システム10は、貨物機30内において使用可能であり、この貨物機は、1つ又は複数の貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22を収容可能である(例えば、複数の貨物コンテナ20及び複数の貨物パレット22を収容する貨物エリア32を具備した貨物機30を概略的に示している図2を参照されたい)。図1に示されているように、火災温度センサ14は、例えば、貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の上方に配置可能である。火災温度センサ14は、例えば、火災警告コンピュータ24などを含む火災警報システム16に(例えば、有線の方式において及び/又は無線リンクを介して)接続可能であり、この火災警告コンピュータは、火災温度センサ14から受信した情報を監視すると共に、火災又は望ましい値を上回る温度の読取値を通知可能な潜在的な及び/又は既存の状態が存在しているかどうかを判定している。
【0031】
火災警報システム16は、貨物の場所及び/又は貨物エリア32内の所与の場所において貨物が貨物コンテナ20内にあるのか又は貨物パレット22上にあるのかを知ることができるように、例えば、飛行の前に、重量、バランス、及び/又は飛行前積載計画情報を使用することにより、プログラム可能である。火災警報システム16は、フライトクルーが適切なアクションをとることができること及び/又は、火災抑制システム(例えば、図5に示されている模範的な火災抑制システム40を参照されたい)を自動的に作動させることができるように(例えば、図6を参照されたい)、例えば、貨物機30のコックピット内に配置された火災制御パネル18に(例えば、有線の方式において及び/又は無線リンクを介して)接続可能である。この結果、火災制御パネル18は、火災警報システム16からデータを受信すると共に、例えば、フライトクルーに対して、火災警告警報、高温警報、警報と関連した貨物のタイプ、システム状態情報、貨物火災の場所及び温度、及び/又は、温度警告警報を提供可能である。
【0032】
いくつかの実施例によれば、火災温度センサシステム12は、1つ又は複数の火災温度センサ14と、火災警報システム16(例えば、火災警告コンピュータ24)に供給するための温度センサ情報を生成及び形成する電子回路と、を包含可能である。火災温度センサ14は、単一のセンサ及び/又は個別にパッケージングされたセンサのマトリックスの形態であってよい。例えば、図12〜図17に示されているように、火災温度センサ14は、(例えば、4個又は36個のパッケージングされたサーモパイル102(例えば、図12〜図17を参照されたい)などの)複数の温度センサのマトリックスによって形成された火災温度センサアレイ110の形態であってよい。温度センサに演算増幅器を提供することにより、温度センサによって生成された信号の強度を増幅可能である。
【0033】
例えば、(例えば、サーモパイルなどの)それぞれの個々のセンサ102は、センサの高感度な監視エリア上に約7°の視野を投影するべく構成可能である(例えば、単一のサーモパイル102の模範的な視野を示している図10及び図11を参照されたい)。例えば、36個のセンサ102を、例えば、アルミニウムブロックなどの取り付けベース112内において、例えば、約1インチ(2.54センチ)〜約100インチ(254センチ)の範囲の距離(例えば、高さ)から貨物コンテナの上部表面などの96インチ(243.8センチ)×125インチ(317.5センチ)のエリアを完全に監視することになる角度において、取り付け可能である(例えば、図12〜図14を参照されたい)。
【0034】
図7に概略的に示されている模範的な火災温度センサシステム12を参照すれば、例えば、タイミング及び制御回路49とサーモパイルセレクトスイッチ装置51を使用することにより、それぞれの火災温度センサ14からの情報をアナログスイッチを介して一度に一回ずつスキャン可能であり、タイミング及び制御回路とサーモパイルセレクトスイッチ装置は、36個のセンサ102から受信される情報を継続的にスキャンすると共に、例えば、36個のセンサ102のいずれかのものの最大出力の平均値を記録可能である。例えば、動作の際に、1つのセンサ102が「ホットスポット」を検出すると、その出力電圧が増幅され、(例えば、ピーク及び保持検出器53などの)アナログ回路が、複数回のスキャンにおけるピーク出力電圧を保持することになる。このピーク出力電圧をアナログ/デジタル(A/D)コンバータ55及び振幅比較器57に送信可能である。A/Dコンバータ55は、データワード生成器59によって生成されるデータワード内に包含するべく、センサ102のアナログピーク出力電圧をデータビットに変換可能であり、このデータワードを火災警報システム16などの火災警報システムに対してデータトランスミッタ61を介して伝送可能である。振幅比較器57は、例えば、火災温度センサ14と関連付けられた周囲温度検出器(例えば、図12、図13、及び図15〜図17の周囲温度センサ120を参照されたい)によって計測された基準温度をセンサ102によって計測されたピーク温度と比較するべく構成可能である。この差が、例えば、既定の基準電圧を上回っている場合には、火災警告ビットが生成される。この火災警告ビットは、火災温度センサ14から火災警報システム16に対して伝送されるデータワード内に包含可能である。又、このデータビットにより、本明細書に記述されているものなどの火災抑制剤供給システムを作動させるトランジスタを起動することも可能である。又、火災温度センサ14は、火災温度センサ14に電力を供給するべく構成された電源65と、火災温度センサ14が、偽の誤った及び/又は無関係な信号に応答することを防止するべく構成された電磁干渉(EMI)及び/又は高周波干渉(RFI)保護装置67と、をも包含可能である。
【0035】
いくつかの実施例によれば、例えば、センサ102の出力が、予め固定されている基準電圧を大幅に下回っている場合には、センサ102からの出力を障害検出器69に伝送することも可能である。このような状況においては、これは、センサ102及び/又は電子回路内における障害の通知である可能性があり、障害検出器69は、この情報を使用することにより、例えば、火災温度センサのデータワードのトランスミッタ61をターンオフ可能である。火災温度センサ14から出力されるデータワードは、例えば、システム名及び/又はラベル、システム識別情報、検出された温度、貨物のタイプ(例えば、コンテナ又はパレット)、火災抑制剤供給システムの状態、並びに、パリティワードチェックを包含可能である。
【0036】
図8は、例えば、いくつかの実施例に従って火災検出システム10と共に使用可能である火災警報システム16の模範的な一実施例を示している。火災警報システム16は、例えば、貨物機30の全体にわたって設置された火災温度センサ14のそれぞれのデータを受信するべく構成された火災警告コンピュータ12を包含可能である。それぞれの火災温度センサ14は、例えば、専用のツイストペアケーブル34又は無線伝送を介してそのデータワードを火災警報システム16に伝送するべく、構成可能である。火災警報システム16へのそれぞれの入力を、例えば、従来の過渡保護システム70を介してフィルタリングすることにより、電気雑音、過渡電圧、電磁干渉、及び/又は高周波干渉を除去可能である。火災温度センサ14から伝送されたデータは、アナログマルチプレクサによって(例えば、スイッチ制御71を介して)連続的に選択可能であり、且つ、データレシーバ72に伝達可能である。データレシーバ72は、消失パルス及びワードパリティについて到来データワードをチェック可能である。このデータワードをデータレシーバ72から伝送可能であり、且つ、シリアル/パラレルワードチェッカ74のシリアル/パラレルコンバータ内にクロッキング、例えば、カスケーディング可能である。システムラベルの信憑性及びシステムIDについて、それぞれのデータワードをシリアル/パラレルワードチェッカ74内においてチェック可能である。例えば、システムラベル及びシステムIDが正しい場合には、そのシリアルデータワードを受け入れ可能である。一方、システムラベル及びシステムIDが誤っており、及び/又は、消失ビットが存在している場合には、シリアル/パラレルコンバータをリセットし、次のデータワードを受信するべく準備可能である。
【0037】
いくつかの実施例によれば、温度センサのデータビットを選択してデジタル/アナログコンバータ(D/A)に伝達可能であり、温度警報比較器77内において、この結果得られたアナログ信号を固定された基準と比較可能である。結果的に得られたアナログ信号が固定された基準を上回っている場合には、火災警告データビットを生成して場所カウンタ73に送信可能である。場所データビット及び火災警告データビットを除くすべてのデータビットをパラレル/シリアルコンバータ75に送信可能である。場所カウンタデータビット(即ち、場所、温度警報、及び火災警告)は、パラレル/シリアルコンバータ75に送信可能である。パラレル/シリアルコンバータ75内においてフォーマットされたデータワードは、その使用しているデータシステムに規定されているレートにおいてデータトランスミッタ76にクロックアウト可能である。データトランスミッタ76を介して伝送されるデータワードは、火災制御パネル18及び/又はこのデータを使用可能なその他のシステムに送信可能である。又、火災警告データビットによって、例えば、火災警告システム(例えば、コックピットに配置されている火災警告コンピュータ24)内において火災警告を発するための個別の根拠を提供するトランジスタを作動させることも可能である。
【0038】
いくつかの実施例によれば、火災検出システム10は、火災警報システム16と、例えば、図9に示されている火災制御パネル18の模範的な実施例などの火災制御パネル18と、を包含可能である。火災制御パネル18は、例えば、専用のデータケーブル34及び/又は無線リンクを介して(例えば、火災警告コンピュータ24などの)火災警報システム16からデータワードを受信するべく構成可能である。このデータワードは、過渡保護システム70により、雑音及び/又は過渡信号についてフィルタリングしてデータレシーバ72に伝達可能である。データレシーバ72は、消失ビット及びパリティについて到来データワードをチェックするべく構成可能である。到来データワードが良好なデータワードを包含している場合には、これをシリアル/パラレルコンバータ74にクロッキング可能である。例えば、適切なレベル及びIDについて、データワードをチェック可能である。不良なデータワードは、拒絶可能であり、例えば、新しいデータワードを受信する準備をするべく、シリアル/パラレルコンバータ74をゼロにリセット可能である。到来データワードが良好なデータワードであると判定された場合には、そのデータワードをラッチする。シリアル/パラレルコンバータ74から受信した場所ビットは、バイナリ/BCDデコーダ(例えば、場所デコーダ80、貨物積載デコーダ82、及び/又は温度デコーダ84)に送信可能である。シリアル/パラレルコンバータ74からのBCDデータは、BCD/7セグメントディスプレイエンコーダドライバ86と、次いで、例えば、LCDディスプレイなどのディスプレイ90に送信可能である。
【0039】
シリアル/パラレルコンバータ74からの温度データビットは、バイナリ/BCDデコーダに送信可能である。シリアル/パラレルコンバータ74からのBCDデータは、BCD/7セグメントディスプレイエンコーダドライバ86と、次いで、ディスプレイ90に送信可能である。貨物積載データビットは、貨物積載デコーダ82に送信可能である。貨物積載デコーダ82は、例えば、貨物コンテナ20又は貨物パレット22などの監視対象の貨物のタイプを判定可能である。すべてのその他のデータビットは、インジケータドライバ88及びそれぞれの関連するインジケータ89を駆動可能である。
【0040】
いくつかの模範的な実施例によれば、火災制御パネル18は、例えば、フライトクルーが使用できるように、貨物機30のコックピット内に取り付け可能である。火災制御パネル18は、貨物火災の保護及び抑制に関係したすべてのデータをフライトクルーに提供可能である。火災制御パネル18は、1)過剰に高い及び/又は上昇している温度に関する温度警報を提供して温度及び場所を通知する、2)火災警告を宣言して火災の温度及び場所を通知する、3)関連する貨物位置に配置されている貨物のタイプに基づいて火災抑制システム40の起動を宣言するべく、それぞれの貨物位置に積載されている貨物のタイプ(即ち、貨物コンテナ20又は貨物パレット22)を通知する、4)火災抑制剤放出制御装置の起動を宣言する、並びに、(5)火災温度センサの誤り又は障害とその場所を宣言する、という機能の中の少なくとも1つを実行可能である。いくつかの模範的な実施例によれば、このような機能は、例えば、1つ又は複数の警告ライトによる及び/又は可聴警告によるなどの様々な既知の警報装置/方法のいずれかによって実行可能である。
【0041】
いくつかの実施例によれば、火災温度センサシステム12は、1つ又は複数のセンサ102を含む火災温度センサ14を包含可能である。例えば、図10は、模範的なセンサシステム12を示しており、図11は、図10に示されているセンサシステム12のカバレージエリアを示している。いくつかの実施例によれば、センサシステム12は、温度センサ102を包含可能である。温度センサ102は、(例えば、TO−5及び/又はTO−18パッケージングサーモパイルなどの)サーモパイルであってもよく、これらは、広範な波長スペクトルにわたって温度を検知するべく構成可能であり、且つ、エリアAを観察すると共に観察対象のエリアAの温度を平均化する高感度な検出器を包含可能である。当技術分野において既知のその他の温度センサを使用することも可能である。サーモパイルは、しばしば、それを収容しているパッケージング及び/又は装置ケース(図示されてはいない)と関連付けられている。これらのパッケージング及び/又は装置ケースは、少なくとも、ある程度は、ターゲット物体に対する所与の距離又はレンジにおけるサーモパイルの視界のエリアを決定可能である。例えば、サーモパイルの視野は、図10に概略的に示されているように、フラッシュライトの円錐形のビームに例えることができよう。更には、サーモパイルは、単一ユニットとして、又は単一検知装置内の複数のセンサとして、パッケージングすることも可能である。
【0042】
火災検出システム10のいくつかの模範的な実施例によれば、アレイ110内に複数の温度センサ102を配列可能である(例えば、図12〜図17を参照されたい)。このような温度センサアレイ110は、貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の上方に配置可能である。温度センサアレイ110は、温度センサアレイ110から特定の距離に位置した特定サイズのエリアAを監視するべく構成可能である。エリアAは、1つ又は複数の貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22によって占有可能である。
【0043】
次に、熱及び/又は火災を検出するべく複数の温度センサ102を含む火災温度センサアレイ110の使用法の原理について更に詳細に説明することとする。1つ又は複数の貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22を観察可能な状態において配置可能であり、且つ、これらを、それぞれのセクション又はサブエリアが、例えば、温度センサアレイ110の個々のセンサ102によって観察されるように、複数のセクション又はサブエリアに分割可能である。いくつかの実施例によれば、例えば、温度センサアレイ110を、観察対象であるそれぞれの貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22、及び/又は、貨物エリア32の一部分の上方に取り付け可能である。
【0044】
温度センサアレイ110の模範的な実施例を示している図12〜図17を参照すれば、温度センサアレイ110は、複数の温度センサ102を収容するべく構成された取り付けベース112を包含可能である。取り付けベース112は、例えば、機械加工、成型(例えば、複合材料を使用して取り付けベース112を形成する場合)、及び/又は温度センサアレイ110の所望の構成を結果的に実現するその他の方法によって形成可能である。取り付けベース112は、例えば、アルミニウム及び/又は複合材料、或いは、任意のその他の適切な材料から形成可能である。温度センサアレイ110の取り付けベース112は、いくつかの取り付けホール114を包含可能であり、この取り付けホールのそれぞれは、個々の1つ又は複数の温度センサ102をその内部に受け入れるためのものであり、これらは、例えば、相互に、及び/又は、取り付けベース112との関係において直交している基準Oからわずかに変化している角度において方向付け可能である。換言すれば、取り付けホール114は、観察対象であるエリア上に配置された複数の固定照準点を温度センサ102が狙いをつけているように、例えば、小さな、但し、わずかに異なる角度において取り付けベース112内に穿孔及び/又は成型することによって方向付け可能である。
【0045】
図10に示されているように、模範的な温度センサ102は、サーモパイル103が所与の高さHにおいてサーモパイル103の観察対象である物体のエリアAを観察するように、例えば、赤外線サーモパイル103などの熱センサと、レンズ116と、を包含可能である。サーモパイル103は、略円錐形状の投影Pの断面に基づいてエリアAを観察しているため、エリアAのサイズは、例えば、フラッシュライトからの距離が増大するのに伴って断面の面積が増大するフラッシュライトから放射された光ビームの円錐と同様に、レンズ116からの距離の増大に伴って増大している。
【0046】
図11は、温度の観察が望ましい所与の長さL及び幅Wを具備したエリアAを示している。単一の温度センサ102の場合には、大きなエリアA内のエリアaを観察している。更には、観察対象のエリアAからの距離Hが増大するのに伴って、即ち、温度センサ102と観察が望ましいエリアの間の距離Hが増大するのに伴って、温度センサ102によって観察されるエリアAも同様に増大する。しかしながら、温度センサが観察対象のエリア全体において観察される平均温度を検出しているという事実により、増大した観察対象エリア内の高温を検出する能力は、温度センサによって観察されるエリアAが増大するのに伴って低下することになろう。これは、例えば、熱イベントが、合計観察エリアAのいずれかのサブエリア内に位置した局所的な「ホットスポット」における大きな温度上昇を結果的にもたらしている際に、問題を提起可能である。温度センサが、観察対象のエリアAの全体における平均温度を計測している限り、この平均化現象に起因し、観察対象のエリア内において局所的な高温を検出することは不可能である。
【0047】
このような状況は、例えば、貨物コンテナ及び/又は貨物パレットを観察する際に発生可能である。例えば、さもなければ貨物コンテナ内の火災の存在を通知可能である局所的な「ホットスポット」を単一の温度センサによって検出することは可能であるが、これは、後程詳述するように、平均化誤差に起因して、フライトクルーに警告するための基礎を提供しない読取値を生成可能である。一方、それぞれの温度センサ102が貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の上部などの大きなエリアのサブエリアを観察するように取り付けベース112内に取り付けられている温度センサのアレイ110は、貨物コンテナ20内及び/又は貨物パレット22上における火災の存在を通知可能な「ホットスポット」の存在を検出する可能性が高いであろう。
【0048】
動作の際には、サーモパイルは、自身が監視しているエリア内の赤外線エネルギーを平均化する。例えば、サーモパイルが、例えば、約3.3フィート(255.5センチ)の直径又は約9平方フィートの面積(1296平方インチ(8361平方センチ))を具備した円形のエリアを特定のレンジにおいて観察可能な円錐の視野を具備していると仮定しよう。このエリア内の温度が、華氏100°であると仮定しよう。この相対的に大きなエリア内において小さな火災が発生すると共に、直径が3.385インチ(8.598センチ)であって、面積が9平方インチ(58.06平方センチ)の華氏1,000°のホットスポットが発生していると仮定しよう。サーモパイルは、温度の上昇を検出することになるが、これは、エリア内の差によって平均温度を加法的に演算することにより、これを実行することになる。換言すれば、サーモパイルは、華氏107°の温度を検出し、従って、華氏1,000°の温度を具備した9平方インチ(58.06平方センチ)の「ホットスポット」を略完全に見逃すことになる。このような小さな検出温度の上昇は、恐らくは、信頼性の高い方式において火災を通知するのに十分なものではなく、この結果、恐らくは、単一の固定されたサーモパイル装置は、大きな平均化誤差を結果的にもたらす距離から相対的に大きなエリアの温度を監視するには、多少不適切なものとなろう。
【0049】
しかしながら、例えば、9個の温度センサのアレイ(例えば、9個のサーモパイル)を使用し、それぞれの温度センサが、例えば、1平方フィート(144平方インチ(929.0平方センチ))を観察する状態において、前述の例において参照した9平方フィート(8361平方センチ)を観察した場合には、9個の温度センサの中の1つの温度センサが、9平方インチ(58.06平方センチ)の「ホットスポット」を観察すると共に、その「ホットスポット」の温度が約華氏162.5°であるものと検出することになろう。しかしながら、「ホットスポット」が2つの温度センサによって等しく(例えば、それぞれが9平方インチ(58.06平方センチ)のエリアの約半分のみを観察するように照準されているそれぞれの温度センサによって)観察された場合には、いずれかが観察することになる最低温度は、約131.25°となろう。従って、所与の距離において所与のサイズのエリアを観察する温度センサの数を増やすことにより、例えば、1つ又は複数の温度センサと観察対象のエリアの間の所与の距離において「ホットスポット」を検出する際に、単一の温度センサを使用するよりも、温度センサの有用性を向上させることが可能である。更には、所与のエリアを監視するべく使用されるサーモパイルの数が増大するほど、検出感度も上昇することになろう。
【0050】
いくつかの模範的な実施例によれば、コンテナの外部表面の1つ又は複数のものは、温度センサによって有効な読取値を提供するのに十分な放射率を具備するべく構成可能である。例えば、上部表面の放射率を約8/10〜約1の間の値、例えば、約0.95に増大させるべく、コンテナの上部表面を変更可能である。表面の放射率は、例えば、コンテナの表部表面を実質的にカバーするステッカー及び/又は塗料(例えば、白〜黒の範囲の色の塗料)を適用することによって増大させることができる。放射率を増大させるための当業者には既知のその他の方法も考えられる。熱によって生じる劣化に耐える方法及び/又は装置によって放射率を増大させることが望ましいであろう。
【0051】
図12〜図14に示されている温度センサアレイ110の模範的な実施例においては、温度センサアレイ110は、取り付けベース112と、この取り付けベース112内に取り付けられた36個の温度センサ102と、を包含可能である。取り付けベース112は、取り付けベース112を、例えば、航空機30の貨物エリア32内の支持部に装着するべく構成されたいくつかの開口部122を包含可能である。図12に示されている模範的な実施例においては、温度センサ102は、6行×6列のパターンで配列されているが、いくつかの態様による温度センサアレイ110は、様々な異なる構成において配列された異なる数の温度センサ102を包含可能である。又、図12に示されている模範的な温度センサアレイ110は、貨物エリア32内の周囲温度を判定するための温度センサ120をも含んでいる。
【0052】
図13及び図14に示されているように、温度センサ102は、それぞれが互いにわずかに異なる角度において照準されており、且つ、温度センサ102の組み合わせが、温度センサ102のそれぞれが、取り付けベース112との関係において同一の角度において、例えば、取り付けベース112に直交する軸Oに対して平行な状態において、照準されている場合よりも、大きなエリアを観察するように、取り付けベース112内に配列可能である。
【0053】
例えば、図13に示されている模範的な実施例によれば、温度センサ102のそれぞれは、例えば、図13及び図14に示されているように、温度センサアレイ110の所与の行において、その他の温度センサ102の角度、及び/又は、取り付けベース112との関係における直交ラインから、わずかに変化している角度(δ1、δ2、δ3、δ4、δ5、及びδ6)において配列可能である。例えば、角度δ1、δ2、δ3、δ4、δ5、及びδ6は、約1度〜約60度の範囲をとることができる。例えば、角度δ1、δ2、δ3、δ4、δ5、及びδ6は、それぞれ、直交軸Oとの関係において、約−26.4°、−16.6°、−5.7°、5.7°、16.6°、及び26.4°であってよい。
【0054】
図14を参照すれば、図12の模範的な温度センサアレイ110のそれぞれの列は、それぞれが温度センサアレイ110の所与の列におけるその他の温度センサ102の角度からわずかに変化している角度(α1、α2、α3、α4、α5、及びα6)において方向付けされた温度センサ102を包含可能である。例えば、角度α1、α2、α3、α4、α5、及びα6は、約1度〜約60度の範囲をとることができる。例えば、角度α1、α2、α3、α4、α5、及びα6は、それぞれ、直交軸Oとの関係において、約−21.5°、−13.3°、−4.5°、4.5°、13.3°、及び21.5°であってよい。図12〜図14に示されている模範的な温度センサアレイ110は、前述のように、その多数のサーモパイル102により、貨物コンテナ20の上部及び/又は貨物パレット22の上部表面などの相対的に大きなエリアを正確に監視可能である。温度センサ102の配列及び数は、異なるものであってもよく、取り付けベース112の構成も、異なるものであってもよい。
【0055】
いくつかの実施例によれば、火災温度センサ14は、図12〜図14に示されている実施例よりも少ない数の温度センサ102を包含可能である。例えば、図15〜図17に示されている模範的な火災温度センサ14は、特定エリアの監視を最適化するべく配置及び配列可能な4つの温度センサ102を含んでいる。図16に示されている模範的な実施例によれば、例えば、温度センサ102のそれぞれは、その他のセンサ102の角度、及び/又は、温度センサアレイ110の所与の行における取り付けベース112との関係における直交ラインから、わずかに変化している角度(δ1及びδ2)において配列可能である。例えば、温度センサ102は、図15〜図17に示されているように、取り付けベース112のコーナー領域に配置可能であるが、温度センサ102の配列及び数は、異なるものであってもよく、取り付けベース112の構成も、異なるものであってもよい。
【0056】
図15〜図17に示されているように、模範的な火災温度センサ14は、例えば、貨物機30などの貨物輸送手段の貨物エリア32に取り付けベース112を取り付けるためのいくつかの開口部122を具備した取り付けベース112を包含可能である。図16及び図17において観察可能なように、温度センサ102は、それらが集合的に監視しているエリアが最適化されるように、それらがわずかに異なる向きにおいて照準されるように、取り付けベース112内に取り付け可能である。例えば、角度δ1及びδ2は、約1度〜約60度の範囲をとることができる。図17を参照すれば、図17の模範的な温度センサアレイ110のそれぞれの列は、それぞれが温度センサアレイ110の所与の列におけるその他の温度センサ102の角度からわずかに変化している角度(α1及びα2)において方向付けされた温度センサ102を包含可能である。例えば、角度α1及びα2は、約1度〜約60度の範囲をとることができる。
【0057】
例えば、図12〜図14に示されている温度センサアレイ110よりも相対的に少なく数の温度センサ102を具備した温度センサアレイ110は、例えば、温度センサアレイ110によって観察される対象のエリアが相対的に小さい及び/又は、温度センサアレイ110から観察対象のエリアまでの距離(例えば、垂直距離)が相対的に近い状況において使用可能である。例えば、いくつかの貨物コンテナ20は、貨物コンテナ20の上部表面が所与のサーモパイルセンサアレイ110に相対的に近接配置されるような高さを具備している。このような場合には、相対的に少ない数のサーモパイル102を使用することにより、貨物コンテナ20の上部表面のエリアを効率的に観察可能である。一方、例えば、貨物パレット22は、例えば、貨物コンテナ20の上部表面よりも温度センサアレイ110から相対的に遠くに離れた上部表面を具備可能である。この結果、相対的に多くの数のサーモパイル102を具備した温度センサアレイ110を使用することにより、貨物パレット22の上部表面のエリアを効率的に監視可能である。
【0058】
例えば、図15〜図17に示されているもののような4つの温度センサ102などの、例えば、相対的に少ない数の温度センサ102を具備した温度センサアレイ110は、貨物コンテナ20の上部表面を監視するべく使用可能であり、例えば、図12〜図14に示されているもののような36個の温度センサ102などの多数の温度センサ102を具備した温度センサアレイ110は、貨物パレット22の上部表面を監視するべく使用可能である。当然のことながら、火災温度センサ14用の温度センサ102の数及び配列は、当業者による所定の実験を通じて判定可能である。
【0059】
1つ又は複数の火災温度センサ14を、例えば、貨物機30の貨物エリア32の全体にわたって取り付け可能であり、これらの火災温度センサ14の数及びそれぞれの場所は、例えば、航空機エンジニアによって判定可能である。それぞれの火災温度センサ14は、潜在的に危険な状態及び/又は火災を通知する過剰な熱について、規定されたエリアを監視するべく構成及び配列可能である。
【0060】
それぞれの火災温度センサ14は、その出力を、例えば、デジタルデータバスを介して、火災警報システム16に送信可能である。火災警報システム16は、火災警告コンピュータ24を包含可能あり、この火災警告コンピュータは、例えば、貨物エリア32内に配置されている火災温度センサ14の中の1つ、又は複数のもの、例えば、これらのすべてのものの状態を合成すると共に監視可能である。そして、火災警報システム16は、火災温度センサ14のそれぞれのものの状態を火災制御パネル18に送信可能であり、この火災制御パネルは、例えば、貨物機30のコックピット、又は火災制御パネル18を監視可能なその他の場所に配置可能である。或いは、この代わりに、火災警報システム16は、温度センサ14のそれぞれのものの状態に関するデータをその他の航空機システムユーザーに送信可能である及び/又は、警告信号をコックピット制御パネル18に送信することにより、過剰な熱及び/又は火災を経験しているエリアについてフライトクルーに警報可能である。この後に、フライトクルーは、火災抑制システムを手動で作動させることが可能であり、或いは、火災抑制システムが自動的に作動することも可能である。
【0061】
例えば、いくつかの模範的な実施例によれば、それぞれの火災温度センサ14は、航空機30が地上に位置している際の貨物エリア32の周囲温度と、航空機の飛行中における貨物エリアの周囲温度という2つの可変ベースライン貨物エリア周囲温度の中の1つを監視可能である。火災温度センサ14は、例えば、これらの温度における既定の差が、地上動作の際及び/又は飛行中動作の際に検出された際に、警報をトリガ可能である。例えば、(例えば、冬季のアラスカなどの)いくつかの地理的領域の地上温度は、相対的に低く、一方、(夏季のアリゾナなどの)いくつかの地理的領域の地上温度は、相対的に高くなり、この結果、単一の固定されたベースライン周囲温度を監視した場合には、結果的に、意図しない警告のトリガをもたらす可能性があるため、これらのベースライン貨物周囲温度を監視することが望ましいであろう。一方、飛行中動作における温度は、大きな温度変動を経験することはないであろう。
【0062】
動作の際には、火災警報システム16は、2つのタイプの警告を発行するべく構成可能である。例えば、火災温度センサ14(又は、その温度センサ102の中のいずれか1つ又は複数のもの)が、既定の差だけ、地上又は飛行中動作における周囲温度を超過している温度T1を検出した際に、第1警告をトリガ可能であり、この警告は、警戒状態を通知している。一方、火災温度センサ14(又は、その温度センサ102の中の1つ又は複数のもの)が、既定の差だけ、地上又は飛行中動作における周囲温度を超過した温度が、上昇を継続している及び/又は、第2の既定の温度T2に到達することによって既定の警報又は緊急レベルに到達していることを検出した際には、第2の警告をトリガ可能であり、この警告は、警報及び/又は緊急状態を通知している。温度T1及びT2は、例えば、航空機30のコックピット内に配置されている火災制御パネル18上において通知可能である。この後に、フライトクルーは、火災抑制システムを手動で作動させることも可能であり、或いは、火災抑制システムが自動的に作動することも可能である。
【0063】
図18及び図19は、火災抑制システム40の模範的な態様を示している。例えば、図18は、貨物機30の断面を概略的に示しており、これは、胴体31及び貨物フロア33を含んでいる。火災抑制システム40のいくつかの模範的な実施例によれば、このようなシステムは、例えば、火災抑制剤を供給する装置52と、火災抑制剤を火災抑制剤供給装置52に供給する散布システム60と、を含む火災抑制剤供給システム50を包含可能である。
【0064】
図18を参照すれば、貨物機30は、貨物エリア32の貨物フロア33上に配置されたいくつかの貨物コンテナ20を包含可能ある。火災抑制システム40にとって必須ではないが、いくつかの模範的な実施例は、例えば、本明細書に記述されている模範的な火災温度センサ14などの1つ又は複数の火災温度センサ14を包含可能であり、これらは、1つ又は複数の貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22と関連した望ましくない温度上昇及び/又は火災を検出するべく構成可能である。
【0065】
火災抑制システム40は、抑制物質を高温及び/又は火災を経験している貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22に供給するべく構成された装置52を包含可能である。例えば、(例えば、図18に概略的に示されているように)火災が貨物コンテナ20内において発生した場合には、火災の炎54及び火災の基部は、一般に、貨物コンテナ20の内部21に位置可能である。火災が貨物コンテナ20の内部21に位置しているため、抑制剤を火災の炎54及び/又は基部に供給するべく、貨物コンテナ20の内部21に火災抑制剤を供給する能力を有する火災抑制システム40を具備することが望ましいであろう。
【0066】
図18に示されている模範的な構成に示されているように、例えば、それぞれの貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の上方に取り付け可能である火災抑制剤供給システム52は(例えば、図19を参照されたい)、ノズル56と、伸長装置58と、を包含可能である。ノズル56は、例えば、貨物コンテナ20の上部表面を貫通すると共に、貨物コンテナ20を貫通した後に火災抑制剤を貨物コンテナ20内に放出するべく、構成可能である。
【0067】
火災抑制剤供給装置52は、非使用時には、(例えば、図21に示されているように)後退した状態において保存するべく構成可能であり、且つ、作動中には、(例えば、図22に示されているように)伸長装置58によって伸長するべく構成可能である。図18及び図19に示されている実施例においては、伸長装置58は、鋏装置60を含んでいる(例えば、図20及び図21を参照されたい)。いくつかの実施例によれば、伸長装置58は、リニアアクチュエータであってよい(例えば、図22を参照されたい)。伸長装置58は、貨物コンテナ20内及び/又は貨物パレット22上への火災抑制剤の放出をトリガするように構成された既定の伸長限度を具備するべく予め設定可能なセンサ62を包含可能である。火災抑制剤供給装置のノズル56は、貨物コンテナ20の上部表面を貫通する及び/又は、貨物コンテナ20内又は貨物パレット22の上部表面上に火災抑制剤を放出するべく、構成可能である。
【0068】
図20及び図21を参照すれば、これらは、火災抑制剤供給装置52の模範的な実施例を示しており、火災抑制剤供給装置52は、図示の鋏装置60などの伸長装置58を包含可能であると共に、例えば、貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の1つ又は複数のものと関連した火災又は熱イベントの場合に、火災抑制剤を貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22に供給できるように、それぞれの貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の上方に取り付け可能である。例えば、火災抑制剤供給装置52は、例えば、取り付け構造64を介して航空機の胴体31内の頭上に固定可能であり、この取り付け構造は、(例えば、アルミニウムのアングル及び/又はIビーム(形梁)などの)押し出しアングル及び/又はビーム(梁)から形成可能である。取り付け構造64は、(例えば、輸送手段又は保管設備の)貨物エリアのタイプに応じて変化可能であり、且つ、貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22のタイプ、形状、及び/又はサイズに固有のものであってよい。取り付け構造64は、リベット、ボルト、ネジ、接着剤、及び/又は任意のその他の所望の装着構造又は方法により、火災抑制剤供給装置52の基部に装着可能である。
【0069】
いくつかの実施例によれば、火災抑制剤供給装置52は、例えば、前述の火災検出システム10などの警報システムによって起動された際に、伸長装置58によって下方に伸長するべく構成可能であるが、火災抑制剤供給装置52は、このようなシステムを伴うことなしに(例えば、手動による起動により)、及び/又は、その他の火災警報システムとの関連において、使用することも可能である。火災抑制剤供給装置52は、例えば、起動されない際には、貨物エリア32内において移動する貨物及び/又は貨物要員用の空間を増大させるべく、伸長装置が後退位置にある状態で収容可能である(例えば、図21を参照されたい)。火災抑制剤供給装置52を起動する際には(例えば、検出された高温及び/又は火災に応答する際には)、伸長装置53は、モーター66によって伸長可能であり、このモーターは、ギアボックス68を駆動可能であって、このギアボックスが、ねじ山が切られたアクメロッド70を回転させている(例えば、図20及び図21を参照されたい)。ねじ山が切られたアクメロッド70は、モーター取り付けトラニオン72を通過し、ネジ山が切られたトラニオン74に係合している。モーター66は、例えば、公称24〜28ボルトの航空機電源によって動作するDCタイプのモーターであるか、又は115ボルトで400ヘルツの3相航空機電源によって動作するACタイプのモーターであってもよい。ネジ山が切られたトラニオン74により、スペーサを具備した4つの旋回ボルト79、81、83、及び85を中心として旋回する4つの旋回リンクアーム71、73、75、及び77が拡張する。4つの旋回リンクアーム71、73、75、及び77のそれぞれは、視覚的には類似しているが、それらの上端及び下端に、わずかに異なるギアカデンス(歯車の歯の場所)を具備している。旋回リンクアーム71、73、75、及び77を相互に支持するべく互いに協働するように、それぞれの旋回リンクアーム71、73、75、及び77の上部及び底部の場所に歯車の歯87を提供可能である。
【0070】
いくつかの実施例によれば、ノズル56は、戻り止めカム93内の窪んだエリア91に係合する戻り止めアーム89により、後退及び/又は水平位置において保持可能である。ノズル56は、例えば、フレーム95内において、略90°だけ回転するべく構成可能であり、このフレームは、フレームボルト及びスペーサによって1つに保持された2つのフレーム片97及び99を含んでいる。旋回リンクアーム71、73、75、及び77が伸長するのに伴って、ノズル56は、例えば、スプリング101により、伸長した及び/又は垂直の位置に駆動される。次いで、ノズル56は、スプリングが装着されたプランジャ103により、垂直位置においてロック可能であり、このプランジャは、下部戻り止め台105内においてスライドし、戻り止めカム93内において係合する。これにより、ノズル56が、例えば、貨物コンテナ20又は貨物パレット22のいずれかの上部に接触した際に、折り畳まれる又は折れ曲がることを防止可能である。ノズル56は、中空であって、これを通じて火災抑制剤を供給するための通路107を提供しており、且つ、火災抑制剤を通路107を介して貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22に供給できるように、火災抑制剤の通路107への流れを調節するスイベルポート109を包含可能である。ノズル56は、貨物コンテナ20の上部表面を貫通するべく構成された穿孔端部110を包含可能である。穿孔端部110は、例えば、カーバイド及び/又はこれに類似した物質から形成された硬化エッジ111を包含可能である。
【0071】
航空機の貨物コンテナは、しばしば、例えば、厚さが0.032インチ(0.081センチ)〜0.040インチ(1.014センチ)の2024シリーズアルミニウムなどから構築された相対的に軽量の屋根を具備している。例えば、ノズル56は、フォームタイプの火災抑制剤用の泡の形成を円滑に実行するための(例えば、円錐形状を具備した)スクリーン113を収容する内部部分を包含可能である。ノズル56は、単一成分の抑制剤及び/又は複数成分の抑制剤を収容するべく構成可能であり、これらは、例えば、貨物コンテナ20内への供給及び/又は貨物パレット22上への供給の前に、ノズル56内において混合可能である。例えば、航空機30の胴体31は、火災抑制剤を火災抑制剤供給装置52に供給するための供給マニホールド及び/又は供給ラインを包含可能である。
【0072】
ノズル56は、例えば、貨物コンテナリミットマイクロスイッチ117用の台として機能する外部カラー115を包含可能である。火災抑制剤の貨物コンテナ20内への供給を実現するべく十分な深さにノズル56が貨物コンテナ20を貫通した際に、リミットマイクロスイッチ117をトリガすることにより、火災抑制剤供給装置モーター66への電力供給を終了可能であると共に、リミットマイクロスイッチにより、弁を開放可能であり(例えば、図23〜図25を参照されたい)、この結果、加圧された火災抑制剤をノズル56を通じて貨物コンテナ20内に流入させることができる。
【0073】
例えば、その特定の貨物の場所に、相対的に短い貨物コンテナ20又は貨物パレット22のいずれかが存在している際のように、下方に移動した際に、ノズル56が貨物コンテナ20と遭遇しない場合には、伸長装置53は、フルエクステントリミットマイクロスイッチ53が(例えば、調節可能な電気接点などの)調節可能な接点119に接触する時点まで、その完全な伸長限度にまで継続的に伸長し、モーター66への電力供給を終了させ、且つ、弁(例えば、図23〜図25を参照されたい)により、加圧された火災抑制剤をノズル通路107を通じて流入させ、火災抑制剤供給装置52の下方のエリアを満たすことができる。
【0074】
前述のように、火災抑制剤供給装置52のいくつかの実施例は、リニアアクチュエータ121を含む伸長装置53を包含可能である。例えば、図22は、火災抑制剤供給装置52を概略的に示しており、これは、取り付け構造64に結合されたリニアアクチュエータ121を包含可能である。いくつかの実施例によれば、リニアアクチュエータ121は、例えば、空圧ポンプ、油圧流体、及び/又は加圧ガスを介して、空気圧によって動作可能である。いくつかの実施例によれば、リニアアクチュエータ121は、電気的に動作可能である。火災抑制剤供給装置52は、貨物コンテナ20の上部表面を貫通するべく構成された穿孔端部110を具備したノズル56を包含可能である。穿孔端部110は、例えば、カーバイド又はその他の類似した材料から構成された硬化エッジ111を包含可能である。いくつかの実施例によれば、火災抑制剤供給装置52は、火災抑制剤を貨物コンテナ20の内部に供給できようにノズル56の穿孔端部110が貨物コンテナ20内に十分に深く到達した際にリニアアクチュエータ121の伸長を停止させるべく構成されたリミットマイクロスイッチ117を更に包含可能である。
【0075】
火災抑制システム40のいくつかの実施例は、例えば、本明細書に記述されているものなどの火災抑制剤供給装置52に火災抑制剤を供給するための火災抑制剤散布システム120を包含可能であるが、火災抑制剤散布システム120は、その他の装置及び/又は方法との関連において、及び/又は、その他の環境において、使用可能である。火災抑制剤は、炎を抑制するべく使用可能である及び/又は、大きな冷却効果を提供することにより、火災抑制システム40の効果を増大させることができる。火災抑制剤は、例えば、ガス及び/又は粒子の形態における化学的なノックダウン剤を包含可能であり、これは、炎を抑制可能である及び/又は、大きな冷却効果を提供し、例えば、炎又は熱に対して適用する前のフォーム剤の沸騰を実質的に防止することにより、火災又は熱に対して供給されたフォーム剤の効果を向上させることが可能である。
【0076】
例えば、図23に示されている火災抑制剤散布システム120の模範的な実施例においては、フォーム抑制剤を(例えば、圧力容器などの)コンテナ122内に収容可能である。コンテナ122は、例えば、アルミニウムを撚った炭素繊維又はその他の適切な材料から形成可能である(即ち、コンテナ122が加圧容器である場合)。フォーム抑制剤は、例えば、その内部に発射ガス及び曝気ガスが溶解した界面活性剤を包含可能であり、これは、例えば、シェービングクリームの缶に少し似ている。例えば、フォーム抑制剤は、例えば、窒素及び/又はアルゴンなどの非酸素運搬ガスによって曝気可能であると共に、(例えば、Ansul Inc.社からTAEGET 7として市販されているフォームなどの)窒素曝気フォーム及び/又はアルゴン曝気フォームであってよい。いくつかの模範的な実施例によれば、フォーム抑制剤を生成するべく、フォーム生成器を提供可能である。例えば、フォーム生成器は、ガスが円錐形のスクリーンを通じて流れる際にその内部に界面活性剤が噴霧されることによってフォーム抑制剤を生成する円錐形のスクリーンを包含可能である(図示されてはいない)。界面活性剤を(例えば、化学的に)変化させて、例えば、その粘度及び/又は粘りなどのその特性を変更することにより、その意図する使用法に対してフォームの特性を最適化可能である。
【0077】
界面活性剤及びガスは、コンテナ122から放出される際にフォーム抑制剤を生成可能であり、次いで、これが、例えば、単一の散布マニホールド124と、複数の分岐供給ライン126の中の1つを通じて、望ましくない高温及び/又は火災を経験している貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22の上方に配置された火災抑制剤供給装置52に流入可能である。分岐供給ライン126内には、閉止弁128を配置可能であり、これが開放することにより、火災抑制剤供給装置52を通じてフォーム抑制剤を流すことが可能であり、この場合に、フォーム抑制剤は、貨物コンテナ20内に注入するか又は貨物パレット22を実質的に包み込むことにより、火災を抑制及び/又は消火する及び/又は、貨物コンテナ20又は貨物パレット22と関連した望ましくない高温を冷却可能である。
【0078】
図24に示されている火災抑制剤散布システムの模範的な実施例は、2つのコンテナ122を含んでおり、この1つは、界面活性剤を収容しており、もう1つは、ガスを収容している。例えば、界面活性剤は、TARGET 7としてAnsul Inc.社から市販されているフォームであってよく、ガスは、窒素及び/又はアルゴンなどの非酸素運搬ガスであってよい。ガスを収容するコンテナ122は、圧力容器であってよく、界面活性剤を収容するコンテナ122は、耐腐食性タンクであってよい。それぞれのコンテナ122は、分岐供給ライン126を介してメイン混合ノズル132と連通状態にあってよい。分岐供給ライン126は、それぞれ、閉止弁128を包含可能である。メイン混合ノズル132は、散布マニホールド124と連通状態にあってよい。散布マニホールド124は、ノズル供給ライン130を具備した火災抑制剤供給装置52と連通状態にあってよく、このノズル供給ラインは、閉止弁129を包含可能である。メイン混合ノズル132は、コンテナ122から界面活性剤及びガスを受領してフォーム抑制剤を生成するべく構成可能である。次いで、このフォーム抑制剤を、(例えば、ポンピングにより)散布マニホールド124を通じ、且つ、供給ライン130及び閉止弁129を通じて、火災及び/又は望ましくない高温を経験している貨物コンテナ20又は貨物パレット22の上方に配置された火災抑制剤供給装置52に搬送し、これにより、火災を抑制/又は消火すると及び/又は、高温状態を冷却可能である。
【0079】
図25に示されている火災抑制剤散布システム120の模範的な実施例は、それぞれの火災抑制剤供給装置52の場所においてフォーム抑制剤を生成するべく構成されている。この模範的な実施例においては、1つは、界面活性剤を収容しており、もう1つは、ガスを収容している2つのコンテナ122は、単一のマニホールド124ではなく、2つの散布マニホールド124と連通状態にあってよい。それぞれのコンテナ122は、閉止弁128を包含可能である。2つの散布マニホールド124は、それぞれの火災抑制剤供給装置52ごとに、1つは界面活性剤用であり、もう1つはガス用である2つの分岐ライン126と連通状態にあってよい。それぞれの分岐ライン126は、閉止弁129を包含可能である。いくつかの実施例によれば、作動した際に、垂直に方向付けられたノズル56内に界面活性剤を注入可能であり、この結果、ノズル通路107(例えば、図21及び図22を参照されたい)内に配置された(例えば、円錐形状を具備した)スクリーン113を作動の際に実質的に連続的に界面活性剤によってコーティング可能であると共に、ノズル56を取り囲んでいる(図示されてはいない)開口部の環状リングからスクリーン113内に相対的に低圧で実質的に一定にガスを吹き込むことができる。界面活性剤がコーティングされたスクリーン113をガスが通過するのに伴ってフォーム抑制剤の泡が生成され、これが、ノズル56を介して、火災及び/又は望ましくない高温を経験している貨物コンテナ20及び/又は貨物パレット22に供給されることにより、火災が抑制及び/又は消火される及び/又は、高温状態が冷却される。
【0080】
模範的な実施例によれば、これらのシステムのそれぞれを一緒に使用可能である。例えば、火災検出システム及び火災抑制システムの組み合わせは、火災温度センサシステム12を含む火災検出システム10を包含可能であり、この火災温度センサシステムは、1つ又は複数の火災温度センサ14を包含可能である。この組み合わせ型のシステムは、火災警報システム16及び火災制御パネル18を更に包含可能である。又、この組み合わせ型のシステムは、1つ又は複数の火災抑制剤供給装置52を具備した火災抑制剤供給システム120を含む火災抑制システム40を包含することも可能である。
【0081】
動作の際には、火災温度センサ14の中の1つ又は複数のものは、貨物コンテナ20又は貨物パレット22と関連した火災又は望ましくない高温を検出可能である。火災温度センサ14からの信号は、火災警報システム16によって受信可能であり、この火災警報システムが、信号を火災制御パネル18に送信することにより、例えば、フライトクルーに対して火災又は望ましくない高温の存在について警報可能である。火災警報システム16は、火災抑制システム40を自動的に作動させることができる。或いは、この代わりに、フライトクルーのメンバーが手動で火災抑制システム40を作動させることも可能である。火災抑制システム40は、作動すると、火災抑制剤供給システム120及び1つ又は複数の火災抑制剤供給装置52を介して、火災又は望ましくない高温を経験しているエリアに火災抑制物質を供給可能である。
【0082】
本明細書に記述されている様々なシステムは、特定の実施例によれば、相互に関連した状態で使用可能であるが、本明細書に記述されているその他のシステムを伴うことなしに本明細書に記述されているシステムの中の任意のものを単独で使用することも可能であり、或いは、前述のシステムの中の任意の数のものを一緒に使用することも可能であると考えられる。
【0083】
当業者には、本明細書に記述されている構造に対して様々な変更及び変形を実施可能で有ることが明らかであろう。従って、本発明は、本明細書に記述されている主題に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、変更及び変形を包含することを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
望ましくない高温を経験しているエリアの温度の低減、前記エリアと関連した火災の抑制、及び前記エリアと関連した火災の消火の中の少なくとも1つを実行するべく構成された火災抑制システムにおいて、
少なくとも1つの火災抑制剤を前記エリアに供給するべく構成された火災抑制剤供給システムであって、
界面活性剤を収容する第1コンテナと、
ガスを収容する第2コンテナと、
前記第1及び第2コンテナと連通状態にある少なくとも1つのマニホールドと、
を有する火災抑制剤供給システムと、
前記少なくとも1つのマニホールドと連通状態にあるノズルであって、前記界面活性剤及び前記ガスを混合することによって生成された火災抑制剤を放出するべく構成されたノズルと、
前記ノズルと関連付けられた伸長装置であって、前記ノズルを移動させるべく構成された伸長装置と、
を備えた火災抑制システム。
【請求項2】
前記ノズルは、該ノズルが火災抑制剤を障壁の背後のエリア内に放出できるように、前記障壁を貫通するべく構成された先端を有する請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項3】
前記先端は、前記ノズルが前記障壁の背後において火災抑制剤を放出できるように、前記伸長装置が前記ノズルを伸長させるのに伴って前記障壁を貫通するべく構成されている請求項2記載の火災抑制システム。
【請求項4】
前記火災抑制剤供給システムは、前記界面活性剤の供給及び前記ガスの供給と連通状態となるように構成された混合エリアを有する請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項5】
前記混合エリアは、前記第1及び第2コンテナと前記少なくとも1つのマニホールドの間に配置されている請求項4記載の火災抑制システム。
【請求項6】
前記火災抑制剤は、窒素曝気フォーム及びアルゴン曝気フォームの中の少なくとも1つを有する請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項7】
前記界面活性剤は、前記ガスと混合された際にフォーム剤を生成するべく構成された少なくとも1つの物質を有する請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項8】
前記伸長装置は、モーターによって駆動する鋏装置を有する請求項1記載の火災抑制システム。
【請求項9】
前記伸長装置は、空気圧によって動作するリニアアクチュエータを有する請求項1記載の火災抑制システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2012−142009(P2012−142009A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50746(P2012−50746)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2008−529163(P2008−529163)の分割
【原出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(398011952)フェデラル エクスプレス コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】