説明

火災検知端末

【課題】火災の発生を検知すると火災情報を交換するために信頼できる無線通信を確実に行え、しかも電池寿命を延ばすことができる火災検知端末を提供する
【解決手段】火災の発生を検知した時に火災警報を出力する警報装置を備えた電池駆動式の火災検知端末であって、受信器を休止期間と交互する限定された受信期間で動作させる間欠受信モードと、前記無線式火災警報システム内で多重同期通信を開始させるためのメッセージを受信できるように受信器を常時準備させる常時受信モードとを選択的に与えるように構成された電力コントローラを備え、火災警報を出力させるために繰り返し送信されるメッセージのうち少なくとも何れか1つを受信する迄は、前記間欠受信モードを選択し、それ以後は火災警報を出力するとともに前記常時受信モードを選択し、前記多重同期通信を開始させるためのメッセージを受信してから所定時間後に応答メッセージを返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式火災警報システムを構成する火災検知端末に関係する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、親局とそれぞれ火災感知器を備える複数の電池駆動式火災検知端末とで構成される火災警報システムが開示されている。火災検知端末は、火災発生データを送信するために互いに無線通信によって親局にリンクされる。火災検知端末間で衝突を起こさずに信頼できる高精度な情報交換を達成するために、火災検知端末と親局との間の同期無線通信に、TDMA(時間分割多重アクセス)方式が用いられる。一方、火災警報システムは、長期間に亘って動作し続けることが要求される。TMDA方式は、どちらかといえば電力を消費し、電池寿命を短くする。そのため、TDMA方式では、電池交換を頻繁に行う必要がある。このようなTDMA方式は、その寿命の間にめったに火災が発生しないようなシステムに不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−343983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の問題を考慮して、本発明は、火災の発生を検知すると火災情報を交換するために信頼できる無線通信を確実に行え、しかも電池寿命を延ばすことができる火災検知端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る火災検知端末は、無線式火災警報システムを構成するとともに、火災の発生を検知した時に火災警報を出力する警報装置を備えた電池駆動式の火災検知端末であって、受信器を休止期間と交互する限定された受信期間で動作させる間欠受信モードと、前記無線式火災警報システム内で多重同期通信を開始させるためのメッセージを受信できるように受信器を常時準備させる常時受信モードとを選択的に与えるように構成された電力コントローラを備える。
【0006】
そして、火災検知端末は、火災警報を出力させるために繰り返し送信されるメッセージのうち少なくとも何れか1つを受信する迄は、前記間欠受信モードを選択し、それ以後は火災警報を出力するとともに前記常時受信モードを選択し、前記多重同期通信を開始させるためのメッセージを受信してから所定時間後に応答メッセージを返信するように構成される。この構成によれば、実際に火災発生の情報を受信するまでは火災検知端末が間欠的に動作するので、電池の電力消費を減らして電池寿命を延ばすことができ、しかも火災発生が認められた後は信頼できる情報交換のために各火災検知端末の間で多重同期通信が確実に行われる。
【0007】
本発明の有利な特徴は、以下の好ましい実施形態の説明と添付した図面とから明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係る火災検知端末を複数備える無線式火災警報システムの使用用途を示す概略図である。
【図2】上述のシステムに用いられる親局のブロック図である。
【図3】上述のシステムに親局とともに用いられる火災検知端末のブロック図である。
【図4】上述のシステムの火災検知動作を示すタイムチャートである。
【図5】親局と火災検知端末との間で送信されるメッセージのデータ構造の概略図である。
【図6】上述のシステムのデータ処理動作を示すタイムチャートである。
【図7】上述のシステムのデータ処理動作を示すフローチャートである。
【図8】上述の実施形態の変形例に係る火災検知動作を示すタイムチャートである。
【図9】本発明の実施形態2に係る火災検知動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態に係る火災検知端末を複数備える無線式火災警報システムの典型的な使用用途が示されている。簡単に言えば、火災警報システムは、建物の特定の部屋に設置される親局10Aと、他の部屋にそれぞれ設置される複数の火災検知端末10Bとを備える。火災検知端末10Bは、火災の発生を検知し、火災の発生を検知すると各火災検知端末10Bと親局10Aで火災警報を発するために他の火災検知端末10Bと親局10Aとに火災検知メッセージを送信するように構成される。火災検知メッセージは、火災検知端末で生成され、無線通信を介して送信される。後述するように、親局10Aと火災検知端末10Bは、共通するモジュールにより実現され、親/子セレクタによって親局と火災検知端末とのそれぞれの機能を与えるように構成される。即ち、親局も火災検知端末としての機能を有しているが、以下の説明の便宜上、親局と火災検知端末とを区別して表現する。
【0010】
図2および図3は、親局10Aと火災検知端末10Bの機能的な構成要素を示す。
【0011】
図2に示すように、親局10Aは、内蔵された電池14Aによって給電され、火災検知メッセージを受信するための受信器20Aと、火災検知端末10Bの何れかからの火災検知メッセージの受信後にウェークアップメッセージと火災情報メッセージを発生させるための情報発生器30Aと、ウェークアップメッセージと火災情報メッセージを各火災検知端末に送信するための送信器(40A)とを備える。火災情報メッセージは、各火災検知端末からの応答メッセージを受信するようにそれぞれ割り当てられた一連のタイムスロットに関する時間基準を規定し、タイムスロットを介して各火災検知端末との間の多重同期通信を開始させるように構成される。時間基準は、親局10Aからの火災情報メッセージに含まれるユニークワードの開始点によって与えられ、各火災検知端末10Bは、時間基準に基づいて自身のタイムスロットを予測する。火災情報メッセージは、タイムスロットの数とタイムスロットの識別について説明する記述を任意に含んでいても良い。多重同期通信は、周知の時分割多重アクセス(TDMA)方式によって実現される。親局10Aは、さらに、火災検知端末10Bの何れかからの火災検知メッセージの受信時に、火災警報を音声で出力する警報装置50Aを備える。さらに、親局10Aは、それ自体に、火災の発生を検知して、火災の発生を検知した時に火災警報を出力するように警報装置50Aを動作させる火災センサ12Aを備える。
【0012】
図3に示すように、火災検知端末10Bは、内蔵された電池14Bによって給電され、火災の発生を検知するための火災センサ(12B)と、火災の発生を検知すると火災検知メッセージを発生させるための情報発生器(30B)と、火災検知メッセージを送信するための送信器(40B)と、他の火災検知端末の何れかからの火災検知メッセージ・親局10Aからのウェークアップメッセージおよび火災情報メッセージを受信するための受信器(70B)と、火災検知メッセージ・ウェークアップメッセージ・火災の発生を示す火災情報メッセージを受信すると火災警報を音声で出力するように構成される警報装置50Bとを備える。
【0013】
また、火災検知端末10Bは、図4に示すように、休止時間と交互する限定された受信時間Rpで受信器20Bを動作させる間欠受信モードとデータやメッセージを受信できるように受信器20Bを常時準備させる常時受信モードとを選択的に与えるように構成される電力コントローラ60Bを備える。電力コントローラ60Bは、火災検知メッセージとウェークアップメッセージとの何れか早い方を受信するまでは間欠受信モードを選択し、それ以降は、親局10Bとの多重同期TDMA通信を確立する火災情報メッセージを受信するために常時受信モードを選択するように構成される。TDMA通信中の電池消費を減らすために、各火災検知端末10Bの電力コントローラ60Bは、親局10Aから受信した火災情報メッセージのタイムスロットに対応する時間の間だけ受信器20Bを動作させ、TDMA通信の残りの時間は受信器20Bを停止させるように構成されていてもよい。
【0014】
メッセージの内容を決定するために、火災検知端末10Bは、受信したメッセージが他の火災検知端末の何れかからの火災検知メッセージかそれとも親局10Aからのウェークアップメッセージであるとき、電力コントローラ60Bに常時受信モードを選択させるためのトリガ信号を発生させるデータ解析器26Bを備える。後述するように、電力コントローラ60は、受信したデータの受信信号強度(RSSI)のチェックが行われる数十マイクロ秒の受信時間Rpを設定する。受信時間Rpは、5〜10秒の所定の時間間隔(T)、例えば、タイマ62Bからのタイミング信号に応じて繰り返される。
【0015】
上述した構成要素に加えて、親局10Aと火災検知端末10Bのそれぞれ、すなわち、共通のモジュールは、共通のモジュールを親局10Aまたは火災検知端末10Bとして選択的に指定するための親/子セレクタ70A(70B)を備える。また、共通のモジュールは、システム内でのマルチキャスト通信のために決定された役割に加えて共同する端末のアドレスを記憶するように構成されるセットアップメモリ72A(72B)を備える。さらに、共通のモジュールは、情報発生器30A(30B)で用意された送信メッセージに宛先アドレスを含むデータを火災検知端末または親局が送信する毎にセットアップメモリ72A(72B)からアドレスを取り出す送信コントローラ42A(42B)を備える。さらに、共通モジュールは、ボタンやキーボードなどのインターフェースを用いたユーザの入力に応答して停止要求を発生させるように構成される要求発生器80A(80B)を備える。火災検知端末10Bからの要求は、情報発生器30Bで発生させる応答メッセージに含まれて、多重同期通信を通じて親局10Aに送信される。停止要求に応答し、親局10Aは、火災検知端末からの火災警報の出力を所定の停止時間にわたって停止することを目的として、停止指令を発生し、停止指令を含む火災情報メッセージを送信する。
【0016】
ここで、図4を参照してシステムの動作を説明する。図4では、動作を容易に理解するために、FT1〜FT4の符号が付された4つの火災検知端末10Bと、MSの符号が付された親局10Aとを有する火災警報システムを例示する。常時は、各火災検知端末FT1〜FT4および親局MSそれぞれは、個々の電力コントローラ60B(60A)が休止時間と交互する限られた受信時間(Rp)に対応する受信器20B(20A)を動作させる、すなわち、3〜10秒の定期的な間隔(T)で受信器を動作させる間欠受信モードに設定される。いずれか1つの火災検知端末10Bで最初に火災条件が検出されると、例えばFT1の火災検知端末が時刻t0において火災条件を検出すると、これに対応して、端末FT1は、火災検知メッセージを発生し、自身の警報装置50Bから火災警報を出力する。火災検知メッセージは、他全ての火災検知端末FT2,FT3,FT4および親局MS宛とされ、受信時間と交互する送信時間(Tp)に繰り返し送信される。自身の間欠受信期間(Rp)のいずれかが送信期間(Tp)のいずれかと一致する他の火災検知端末FT2,FT3および親局MSは、火災検知メッセージを確実に受信する。図示例では、火災検知端末FT2は時刻t1で、火災検知端末FT4は時刻t2でそれぞれ火災検知メッセージを受信し、親局MSは時刻t3で火災検知メッセージを受信する。一方、端末FT4は、送信端末FT1との距離が最大通信距離を越えているとき・端末FT1からのメッセージを妨害するノイズを端末FT4が同時に受信したとき・端末FT4の受信時間Rpと端末FT1の送信時間Tpとが一致しないとき、火災検知メッセージを受信できない。
【0017】
火災検知メッセージを受信すると、端末FT2およびFT3は、これに対応して、それぞれの警報装置50Bから火災警報を出力し、火災情報メッセージと応答メッセージの送受信を行うために、親局MSとの多重TDMA通信に備える常時受信モードにそれぞれ切り替わる。時間t3で火災検知メッセージを受信した親局MSは、ウェークアップメッセージを発生して全ての端末FT1〜FT4に送信するウェークアップモードに切り替わる。ウェークアップメッセージは、端末FT1からの火災検知メッセージによって常時受信モードに未だ切り替わっていない残りの端末FT4を起動させるために用いられ、確実に時刻t5で端末T4を常時受信モードに切り替えて、端末T4に火災警報を出力させるために限られた回数だけ繰り返される。この場合、親局MSとの無線通信を確実に行える最大通信距離以内に各火災検知端末FT1〜FT4が配置されていても、火災検知端末FT1〜FT4の1つは、1つ以上のある火災検知端末から最大通信距離を越えて配置され得る。例えば、端末FT4が火災検知メッセージを出力する検知端末FT1から親局MSよりも離れている場合、端末FT4は、火災検知メッセージを受信できない。しかしながら、親局MSからの最大通信距離内に端末FT4があれば、端末FT4は、親局MSからのウェークアップメッセージを確実に受信でき、その結果、常時受信モードに切り替えられる。さらに、ノイズによる妨害やFT1の送信時間Tpと端末FT4の受信時間Rpとの間のずれのために端末FT1からの火災検知メッセージによって端末FT4を起動できなかったときでも、親局MSから繰り返し送信されるウェークアップメッセージによって端末FT4を確実に起動できる。
【0018】
時刻t4でウェークアップメッセージを受信すると、端末FT1は、火災検知メッセージの送信を終了し、親局MSとの多重TDMA通信に備えて常時受信モードになる。所定の回数だけウェークアップメッセージを送信した後、親局MSもまた全ての端末FT1〜FT4との多重TDMA通信に備えて常時受信モードになる。
【0019】
時刻t6以降、親局MSは、個別のタイムスロットを通じた各端末FT1〜FT4からの応答メッセージまたは確認要求を含む火災情報メッセージを発生して送信する。この通信の間、端末FT1〜FT4は、火災警報システムを実現するための情報および指令をやりとりするために、親局と常時通信する。
【0020】
火災検知端末10Bのいずれか1つが火災警報の停止を要求する停止要求を含む応答メッセージを送信すると、親局10Aは、これに対応して、情報発生器30Aにおいて停止指令を発生させる。限られた停止時間、例えば3〜6分間、個々の警報装置50Bからの火災警報の出力を停止している全ての火災検知端末10Bに向けて親局10Aから送信される以後の火災情報メッセージには、停止指令が含まれる。この停止時間内に火災の発生を示す情報を受信すると、警報装置50Bは、火災警報の出力を再開する。火災の発生を示す情報には、火災センサによる火災の発生の検知や、火災の発生を含む火災情報メッセージの受信が含まれる。
【0021】
この関係において、火災検知端末10Bは、火災センサ12Bが火災の発生を検知しないときに、情報発生器30Bで回復要求を発生させる。回復要求は、情報発生器30Aが復旧指令を発生させて復旧指令を以後の火災情報メッセージに含ませるという応答をする親局10Aに送信される応答メッセージに含まれる。このような火災情報を火災検知端末10Bが受信すると、各端末の電力コントローラ60Bが間欠受信モードにリセットされると同時に親局10Aも間欠受信モードにリセットされ、これによって、火災検知端末10Bと親局10Aのそれぞれにおいて電池が節約される。
【0022】
上述の電力の節約のための取り決めに加えて、火災警報システムは、電池の消費を最小にするために、受信したデータがノイズであることが分かると火災検知端末10Bと親局10Aとの現在の受信時間(Rp)を迅速に終了させるという電力の節約の仕組みをさらに備える。すなわち、受信したデータが有効なデータ、即ち火災検知メッセージやウェークアップメッセージでない場合、電力コントローラ60A(60B)はこれに応答して現在の受信時間(Rp)を終了する。そうしなければ、受信時間(Rp)は、受信を続行してノイズを読み取ろうとするために所定の時間継続される。
【0023】
起こり得るノイズから有効なデータを区別するために、情報発生器30A(30B)で生成される有効なメッセージは、図5に示すようなデータ構造を有する。データは、基本的に、8バイトの同期ビット列を含むプリアンブルに続く2バイトのユニークワードと、6バイトの宛先アドレスと、6バイトのソースアドレスと、100バイトのメッセージ内容と、2バイトのCRC(cyclic redundancy check:巡回冗長検査)とを有するデータ構造とされる。ノイズからメッセージを区別するため、チェックビットパターンがCRCで終わるデータフレーム(例えばユニークワード)の先頭から始まり、データの1ビット分と交互するビット挿入メッセージを与えるように、”01010101”というチェックビットパターンが所定の周期(例えば1バイト長周期)でメッセージに挿入される。受信したデータにチェックビットパターンがない場合、システムは、受信したデータが単なるノイズであると判定し、現在の受信時間(Rp)を迅速に終了して休止時間の経過後に次の受信時間を設定するという動作をする。
【0024】
このために、共通モジュール10A(10B)は、受信したデータの受信信号強度(RSSI)を与えるように構成される信号強度検出器22A(22B)に加えて、図5に示すビット挿入メッセージを与えるために”01010101”というチェックビットパターンをメッセージの1フレームに挿入するように構成されるチェックビット挿入器32A(32B)と、受信したデータにチェックビットパターンが所定の周期で存在するかどうかを検出するように構成されるチェックビット検出器24A(24B)とを備える。
【0025】
上述したように、電力コントローラ60A(60B)は、休止時間と交互する受信時間に対応するタイマ62A(62B)からのタイミング信号によって与えられる5〜10秒の所定の間隔で繰り返される数十ミリ秒の受信時間(Rp)の間だけ対応する受信器20A(20B)を間欠的に駆動するように構成される。したがって、受信器は、信号またはデータの受信に備えて受信時間の間だけ電池の消費が最小のアイドリングモードになり、電池を消費しない休止時間では停止する。各受信時間で信号またはデータを受信すると、受信器は、信号またはデータの読み込みの確認を開始するために動作を開始し、ある程度電池を消費する。
【0026】
図6に示すように、システムは、常時受信モードが利用可能になるまで、火災検知メッセージまたはウェークアップメッセージを連続して送信するように構成される。火災検知メッセージまたはウェークアップメッセージは、時系列で連続したデータとして送信される。受信側では、受信した信号のRSSIが閾値を超えるかどうかが各受信時間Rpにおいて最初に確認される。受信時間Rp内に信号強度検出器22A(22B)によってRSSIが閾値より大きいと判定されると、電力コントローラ60A(60B)は、これに対応して、入力された信号またはメッセージに少なくとも1つのチェックビットパターン”01010101”が含まれているかどうかを確認するために、3バイト長の長さの第1の延長受信時間(Rp=Ex1)まで受信時間Rpを延長する。チェックビット検出器24A(24B)がチェックビットパターンを確認できなければ、電力コントローラ60A(60B)は、これに対応して、受信器20A(20B)とこれに関係する構成要素を次の受信時間(Rp)まで停止するために第1の延長受信時間(Ex1)を迅速に終了させる。第1の延長時間(Rp=Ex1)内にチェックビットパターンが確認されると、電力コントローラ60A(60B)は、受信したメッセージにユニークワードが含まれているかどうかを確認するために、メッセージの1フレーム長以上の長さまで受信時間を延長する(Rp=Ex2)。第2の延長時間(Ex2)内にユニークワードが見つからない場合、すなわち、受信したメッセージが本システムに特別に意図されたメッセージではない場合、電力コントローラ60A(60B)は、これに対応して、第2の延長受信時間(Ex2)を迅速に終了して、次の受信時間(Rp)まで受信器20A(20B)とこれに関係する構成要素の動作を停止させる。第2の延長時間内にユニークワードが見つかった場合、電力コントローラ60A(60B)は、メッセージが本物であることを確認して、メッセージの読み込みを完了するために、見つかったユニークワードの開始時点から1フレーム長以上の時間が経過した時点で終了する第3の延長受信時間まで受信時間を延長する(Rp=Ex3)。尚、延長受信時間Ex2または延長受信時間Ex3の間の各2バイト長以内にチェックビットパターンが現れないとき、電力コントローラ60A(60B)は、受信したメッセージがノイズまたは本システムのために用意されていないデータであるとみなして、延長受信時間を終了する。
【0027】
図7に示すフローチャートは、上述のノイズまたは非システムメッセージを排除する動作を詳細に説明する。まず、受信を中断する休止時間が過ぎると、電力コントローラ60A(60B)は、データの受信に備えて受信器20A(20B)を動作させる。その後のステップでは、信号強度検出器22A(22B)において、受信した信号のRSSIが所定の閾値を超えるかどうかが決定される。RSSIが閾値より大きい場合、メッセージを受信するために、受信時間Rpは、約数十ミリ秒の第1の延長受信時間(Ex1)まで延長される。次に、チェックビット検出器24A(24B)は、3バイト長の第1の延長時間(Ex1)内にチェックビットパターン”01010101”が1回または2回現れるかどうかを確認する。チェックビットパターンが現れなければ、電力コントローラ60A(60B)は、受信時間と現在の受信動作とを停止するための停止信号を与え、電池を節約する。チェックビットパターンが確認されると、電力コントローラ60A(60B)は、データ解析器26A(26B)がプリアンブルを読み込んで、第2の延長受信時間内にユニークワードが見つかるかどうかを決定できるようにするために、1フレーム長以上の第2の延長受信時間まで受信時間をさらに延長する(Rp=Ex2)。ユニークワードが見つからなければ、電力コントローラ60A(60B)は、これに対応して、第2の延長時間(Ex2)を終了して、受信器20A(20B)およびこれに関連する構成要素の動作を停止するための停止信号を与え、電池を節約する。ユニークワードが見つかった場合、ユニークワードから始まる1フレーム長以上の検出時間以内に1フレームのメッセージを完全に読み込むために、受信時間は、第3の受信時間(Ex3)までさらに延長される。第2または第3の延長時間の間にチェックビットパターンが所定の周期、すなわち2バイト長周期で現れなかった場合、電力コントローラは、受信したデータが無効であると認めて、現在の受信動作を迅速に終了するための停止信号を与え、同様に電池を節約する。
【0028】
このように、受信したデータは次々に確認される。第3の延長受信時間内にチェックビット検出器24A(24B)がこれ以上データを検出しなければ、電力コントローラは、次に受信器が起動するまで、現在の受信動作を終了するための停止信号を与える。一方、弟3の延長時間(Ex3)内においてデータが続く場合、データ解析器26A(26B)は、受信したデータ内の宛先アドレスが送信端末(局)の自身のアドレスまたはその他の端末(局)のアドレスを指定しているかどうかを確認する。アドレスが、自分自身または他の受信端末(親局)へのマルチキャストのためのアドレスであると判断すると、シーケンスは、1フレームのデータの受信が完了したかどうかを確認するステップに進み、さらにCRCが正しいかどうかを確認するステップに進む。1フレームのデータを完全に受信できなかった場合、データ解析器26A(26B)は、受信器20A(20B)の動作を続行するように電力コントローラ60A(60B)に要求し、残りのデータを1バイトずつ読み込む。CRCが正しくないことが確認されると、データ解析器26A(26B)は、現在の受信動作を迅速に終了させるために電力コントローラに別の停止信号を出力する。CRCが正しいと確認されると、データ解析器26A(26B)は、有効なデータの受信を完了したと認識して受信動作を停止し、データ処理を開始して、受信したデータによる指示通りの情報を情報発生器50A(50B)から出力させる。
【0029】
尚、プリアンブルに基づいてデータを受信するためのビット同期を行う機能とチェックビットパターンを検出する機能とをチェックビット検出器24A(24B)に持たせるために、ノンリターンゼロ符号化によりデータが構成される。
【0030】
上述の実施形態は、チェックビットパターンがユニークワードから始まるデータ列に挿入されることを説明するが、本発明のシステムは、簡単な符号化設計でユニークワードを十分に区別できるようにするために、ユニークワードの後のデータ列にチェックビットパターンが挿入される構成を有していても良い。
【0031】
図8は、上述のシステムの変形例を示す。この変形例は、親局10A(MS)がウェークアップメッセージを発生させる機能を有していない点を除いて上述のシステムと同一である。その代わりに、火災センサが火災の発生を検知する火災検知端末FT1が、他の火災検知端と親局とを起動するのに十分な限られた回数だけ火災検知メッセージを送信するように構成される。上記の回数は、火災検知端末の数と、受信時間(Rp)と、受信時間(Rp)が繰り返される間隔(T)とに応じて決定される。
【0032】
図9は、本発明の第2実施形態に係る火災検知端末を複数備える別の火災検知システムを示す。当該別の火災検知システムは、各火災検知端末10B(FT1〜FT4)が自身の火災センサで火災の発生を検知したときに火災検知メッセージを親局10A(MS)だけに送信するように構成される点を除いて上述の実施形態と同一である。これに関連して、火災検知端末10Bは、ウェークアップメッセージを親局10A(MS)から受信したときに、間欠受信モードから常時受信モードに切り替えられる。このために、親局は、全ての火災検知端末を確実に起動するために、ウェークアップメッセージを所定の回数繰り返し送信するように構成される。回数または時間は、火災検知端末の数と、受信時間(Rp)と、受信時間(Rp)が繰り返される間隔(T)とに応じて選択される。火災の発生を検知した火災検知端末FT1は、親局(MS)からのウェークアップメッセージを受信すると、火災検知メッセージの送信を停止した後に、親局(MS)との多重同期通信に備えて常時受信モードに切り替わる。その他の機能は前の実施形態と同一であり、重複する記載は省略する。しかしながら、ここで、火災警報システムは、火災検知端末が、他の火災検知端末から火災検知メッセージまたは親局からウェークアップメッセージとして送信される火災の発生を示す情報を受信すると、間欠受信モードから常時受信モードに切り替わるという発明概念に基づいているということに留意すべきである。
【0033】
さらに、親局は、自身の火災センサによって火災の発生を検知すると、火災検知メッセージを自身に与えるとともに火災検知端末に送信する機能を備えるように構成されていてもよい。この例では、親局は、親局自身で発生された火災検知メッセージに応じてウェークアップメッセージと火災情報メッセージとを発生させるから、火災検知端末から火災検知メッセージを受信した場合と同様の機能を実現する。
【0034】
本発明は、上述したように、基本的に図示された実施形態を参照して説明されるが、本発明は、特定の実施形態に限定されず、上記で開示された個々の特徴の組み合わせを含むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線式火災警報システムを構成するとともに、火災の発生を検知した時に火災警報を出力する警報装置を備えた電池駆動式の火災検知端末であって、
受信器を休止期間と交互する限定された受信期間で動作させる間欠受信モードと、前記無線式火災警報システム内で多重同期通信を開始させるためのメッセージを受信できるように受信器を常時準備させる常時受信モードとを選択的に与えるように構成された電力コントローラを備え、
火災警報を出力させるために繰り返し送信されるメッセージのうち少なくとも何れか1つを受信する迄は、前記間欠受信モードを選択し、それ以後は火災警報を出力するとともに前記常時受信モードを選択し、前記多重同期通信を開始させるためのメッセージを受信してから所定時間後に応答メッセージを返信することを特徴とする火災検知端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−218587(P2010−218587A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156870(P2010−156870)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【分割の表示】特願2009−526828(P2009−526828)の分割
【原出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】