説明

火炎センサ及びその製造方法

【課題】紫外線の照射が終わっているにもかかわらず、紫外線検出用放電管(UVチューブ)に配置された一対の面電極の特に電界の強い外周部を起点に発生しやすい、いわゆる偽放電を抑制できる火炎センサを提供する。
【解決手段】一対の面電極(アノード電極21及びカソード電極22)を備えたUVチューブを用いた火炎センサにおいて、面電極の中心部における両電極間の距離を面電極の外周部における両電極間の距離より短い構成にしたので、一対の電極間の中心部と外周部とにおける電界がほぼ均一になり、面電極の特に電界の強い外周部を起点に発生しやすい偽放電を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火炎中に含まれる紫外線を検出する火炎センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
火炎センサの一種として、ユニット化した紫外線検出用放電管(UVチューブ)を用いて火炎中に含まれる紫外線を検出する火炎センサがある。このUVチューブは、紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極を円筒形のガラス管内に封止し、上記一対の放電電極それぞれのリード線をガラス管の一端部から導出したものである。
このような構造のUVチューブは、火がついていることを確実に検知するための安全確保の役割を担っており、例えばボイラ内の燃焼状態をモニタするための火炎センサとして用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、図1は、従来のUVチューブの構造を示す模式図である。ガラス管10の中に、網目状のアノード電極11と、カソード電極12とが、リード線13,14によってそれぞれ支持されており、ガラス管10にはガスが封入されている。このアノード電極11とカソード電極12とは、平行平面構造であり、両電極間は約0.5mmの距離を保って配置されている。そして、ガラス管10の端部(図1の上端部)及び側部から入射した紫外線が、アノード電極11の網目を抜けてカソード電極12に当たることにより、放電する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−12581号公報
【特許文献2】特公昭44−1039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の火炎センサは、上記のように、UVチューブ内の一対の面電極(アノード電極とカソード電極)が平行に配置されているため、その面電極の中心部よりも外周部での電界の方が強くなってしまい、面電極の外周部が放電しやすい状態になっている。このため、実際には火が消えており、紫外線の照射が終わっているにもかかわらず、面電極の特に電界の強い外周部を起点に発生しやすい、いわゆる偽放電が発生してしまうという課題があった。この結果、火炎がないにもかかわらず火炎検出してしまい、非常に危険であった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、一対の面電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサにおいて、偽放電を抑制できる火炎センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、一対の面電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサにおいて、前記一対の面電極のうち少なくともいずれか一方が湾曲していることにより、前記面電極の中心部における両電極間の距離が前記面電極の外周部における両電極間の距離より短いことを特徴とする。
【0008】
また、この発明は、前記一対の面電極を固定するリード線を少なくともそれぞれ2本ずつ備え、前記それぞれの面電極とリード線との接続部において、前記面電極が傾斜していることを特徴とする。
【0009】
また、この発明は、一対の面電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、前記一対の面電極のうち少なくともいずれか一方を湾曲させる工程が、前記湾曲させる面電極とリード線との接続部において、前記面電極を傾斜させることにより、前記面電極の中心部における両電極間の距離を、前記面電極の外周部における両電極間の距離より短くしたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明は、前記一対の面電極を一体化させる絶縁体を備える火炎センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、一対の面電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサにおいて、面電極の中心部における両電極間の距離を面電極の外周部における両電極間の距離より短くしたので、一対の面電極間の中心部と外周部とにおける電界がほぼ均一になり、面電極の特に電界の強い外周部を起点に発生しやすい偽放電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の紫外線検出用放電管(UVチューブ)の構造を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1における紫外線検出用放電管(UVチューブ)の製造工程を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるカソード電極とコバール線との接続部を示す拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態1における湾曲したカソード電極を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1におけるアノード電極とコバール線との接続部を示す拡大図である。
【図6】この発明の実施の形態1における湾曲したアノード電極を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1におけるアノード電極とカソード電極との概略関係を示す模式図である。
【図8】この発明の実施の形態2におけるアノード電極とカソード電極を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2におけるアノード電極とカソード電極との概略関係を示す模式図である。
【図10】この発明の実施の形態3における紫外線検出用放電管(UVチューブ)の製造方法を示す模式図である。
【図11】この発明の実施の形態3におけるアノード電極とカソード電極との概略関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)は、図2に示す製造工程にしたがって作成される。ここで、UVチューブ内で使用されるアノード電極21とカソード電極22は、従来同様、いずれも面電極であり、アノード電極21のみ網目状の電極である。
【0014】
まず初めに、図2(a)に示すように、排気管26、ボタンガラス27、各3本のコバール線23,24を同時に封着して、ボタンステム28を形成する。次に、図2(b)に示すように、カソード電極22用の3本のコバール線(リード線)24にカソード電極22を溶接する。その後、図2(c)に示すように、アノード電極21とカソード電極22との間に、両電極間の距離が一番短い場所においても所定の距離(ここでは、0.4mm)保たれるようにするために、スペーサ29を一時的に配置する。その状態で、図2(d)に示すように、アノード電極21を3本のコバール線(リード線)23に溶接し、前記スペーサ29を取り除く。最後に、図2(e)に示すように、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接し、内部にガスを封入してから密閉する。なお、空間を有するコップ形状のガラス20は、その端部25(図2(e)の上端部)のみが紫外線透過ガラスで作られている。
【0015】
ここで、図2(b)におけるカソード電極22を溶接する際の手順、及び、その結果カソード電極22が湾曲することについて説明する。なお、カソード電極22には、アノード電極21用の3本のコバール線23に接触しないよう、その3本のコバール線23に対応する箇所にそれぞれ切欠きが設けられている。
【0016】
図2(b)におけるカソード電極22を溶接する際には、まず初めに、カソード電極22用の3本のコバール線24にカソード電極22を配置する。その状態で、3本のコバール線24の1本についてのみ、レーザー照射によりカソード電極22と溶接する。これにより、溶接されたコバール線24が溶けて短くなり、カソード電極22は当該コバール線24との接続部において傾斜し、カソード電極22の当該コバール線24の付近のみが斜めに下方に撓む。
図3は、カソード電極22とコバール線24との接続部を示す拡大図である。このように、コバール線24に配置したカソード電極22の電極板上面からコバール線24の端面に向けてレーザーを照射して溶接を行う。このとき、コバール線24は約0.01〜0.03mm溶融して全長が縮み、カソード電極22はコバール線24との接続部において傾斜し、カソード電極22の当該コバール線24の付近のみが斜め下方に撓んだ状態になる。
【0017】
同様に、他のコバール線24のうちの1本についてのみ、レーザー照射によりカソード電極22と溶接する。これにより、カソード電極22はその2本目のコバール線24との接続部においても傾斜し、当該コバール線24の付近においても斜めに下方に撓む。最後に、残りのコバール線24についてもレーザー照射によりカソード電極22と溶接する。これにより、カソード電極22は最後のコバール線24との接続部においても傾斜し、最後のコバール線24の付近においても斜めに下方に撓む。この結果、カソード電極22は中央付近が上方に(凸状に)盛り上がり、それぞれのコバール線24付近及びコバール線24同士を結ぶ線分の間の部分(すなわち、カソード電極22の外周部)が下方に湾曲した形状になる。
【0018】
図4は、このようにして得られた、湾曲したカソード電極22を示す図である。なお、カソード電極22の湾曲量は、カソード電極22とコバール線24との溶接時の溶かし込み量により決定される。
【0019】
次に、このようにして湾曲させたカソード電極22の上に、図2(c)に示すようにスペーサ29を一時的に配置してから、図2(d)におけるアノード電極21を溶接する際の手順、及び、その結果アノード電極21が湾曲することについて説明する。なお、網目状のアノード電極21には、3本のコバール線23を接続するための穴が、その3本のコバール線23に対応する箇所にそれぞれ設けられている。また、3本のコバール線23は、カソード電極22用の3本のコバール線24よりも長く作られており、アノード電極21をコバール線23と溶接した際に、アノード電極21とカソード電極22とが接触しないように設定されている。
【0020】
図2(d)におけるアノード電極21を溶接する際には、まず初めに、アノード電極21の3つの穴の位置を3本のコバール線23の位置に合わせて、アノード電極21を配置する。この際、スペーサ29がなければ、アノード電極21の中央付近はカソード電極22の中央付近と接触してしまうが、スペーサ29を介しているので、アノード電極21はそのスペーサ29の厚さ分だけカソード電極22と距離を保って配置される。この状態で、前述のカソード電極22と同様に、3本のコバール線23について1本ずつ順にレーザー照射によりアノード電極21と溶接する。
【0021】
図5は、アノード電極21とコバール線23との接続部を示す拡大図である。このように、アノード電極21に設けられているコバール線23との接続用の穴にコバール線23を通して、コバール線23の端面に上方から直接レーザーを照射することでコバール線23を溶融し、溶接を行う。この際、カソード電極22とアノード電極21との間に配置されたスペーサ29の厚みにより、両電極間の距離が決定する。このとき、コバール線23は約0.10〜0.15mm溶融して全長が縮み、アノード電極21はコバール線23との接続部において傾斜して谷折りに折り曲がったようになり、アノード電極21の当該コバール線23の付近のみが下方に撓んだ状態になる。この際、スペーサ29は、図2(c)に示すように、コバール線23同士を結ぶ線分の間の部分(両電極の外周部の、カソード電極22用のコバール線24に対応する部分)にも挟まれているため、その部分、すなわち、カソード電極22がコバール線24と溶接された付近と対向する部分については、アノード電極21は、図5に示すアノード電極21の右端部分よりもさらに外周部が上方に湾曲した状態になる。
【0022】
図6は、このようにして得られた、湾曲したアノード電極21を示す図である。なお、カソード電極22の溶接時と同様に、アノード電極21の湾曲量は、アノード電極21とコバール線23との溶接時の溶かし込み量により決定される。
【0023】
図7は、この発明の実施の形態1におけるUVチューブ内のアノード電極21とカソード電極22との概略関係を示す模式図である。この図は、図1に示す従来のUVチューブの構造のうち、アノード電極11及びカソード電極12に対応する部分だけを示す図である。図1と比較するとわかるように、従来では、両電極は平行に配置されており、面電極の中心部と外周部とで両電極間の距離に差がないが、この発明の実施の形態1におけるアノード電極21及びカソード電極22は、面電極の中心部における両電極間の距離が、面電極の外周部における両電極間の距離より短くなるように、それぞれの電極が湾曲している。
【0024】
このようにして作成されたUVチューブを用いた火炎センサによれば、火炎の発生による紫外線が、空間を有するコップ形状のガラス20の端部25から入射し、アノード電極21の網目を抜けてカソード電極22に当たって放電することにより火炎を検出できるとともに、火が消えて紫外線が照射されなくなった場合には、アノード電極21とカソード電極22の特に電界の強い外周部を起点に発生しやすい偽放電を抑制できるため、確実に燃焼状態を検知することができる。
【0025】
なお、この実施の形態1では、面電極の中心部における両電極間の距離は0.4mmとしたが、これはスペーサ29の厚みにより、適宜調節することができる。
また、それぞれの面電極と接続されるコバール線の本数は各3本としたが、少なくとも2本以上であって面電極を支持することが可能な本数であれば、適宜変更してもよい。
【0026】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)に使用されるアノード電極31とカソード電極32は、従来及び実施の形態1同様、いずれも面電極であり、アノード電極31のみ網目状の電極であるが、従来及び実施の形態1とは異なり、アノード電極31の中心とカソード電極32の中心に、それぞれ同じ径の孔33,34があけられている。
【0027】
そして、この実施の形態2におけるUVチューブは、実施の形態1と同様に、まず初めに、排気管26、ボタンガラス27、各3本のコバール線(リード線)23,24を同時に封着して、ボタンステム28を形成する。次に、カソード電極32用の3本のコバール線24にカソード電極32を溶接する。この際、実施の形態1におけるカソード電極22のように湾曲させることはなく、従来同様、カソード電極32は平面状態を保ったまま3本のコバール線24に接続される。その後、アノード電極31を3本のコバール線23に溶接する。この際にも、実施の形態1におけるアノード電極21のように湾曲させることはなく、従来同様、カソード電極31は平面状態を保ったまま3本のコバール線23に接続される。
【0028】
その後、アノード電極31とカソード電極32が、上記実施の形態1におけるUVチューブのアノード電極21とカソード電極22との概略関係を示す模式図(図7)と同様に、面電極の中心部における両電極間の距離が、面電極の外周部における両電極間の距離より短くなるよう、アノード電極31とカソード電極32を湾曲させる。この工程について、図8,図9を用いて説明する。
【0029】
図8は、この発明の実施の形態2におけるアノード電極31とカソード電極32を示す図である。アノード電極31の中心とカソード電極32の中心には、それぞれ同じ径の孔33,34があけられている。また、それらの孔33,34の径と同じ内径を持つ絶縁リング35を両電極間に挿入し、孔33、絶縁リング35、孔34に絶縁棒36を通し、その絶縁棒36の上部と下部とをそれぞれ溶融させる等により、アノード電極31、絶縁リング35、カソード電極32を一体化する。
【0030】
図9は、このようにして作成されたアノード電極31とカソード電極32との概略関係を示す模式図である。この実施の形態2においては、アノード電極31とカソード電極32との間が、両電極間の距離が一番短い場所(中心部)において所定の距離(ここでは、0.4mm)で保たれるように、絶縁リング35の厚みを設定する。この際、アノード電極31用の3本のコバール線23とカソード電極32用の3本のコバール線24との長さの差は、絶縁リング35の厚み以上に設定しておく。これにより、図9のようにアノード電極31、絶縁リング35、カソード電極32を絶縁棒36により一体化すれば、アノード電極31及びカソード電極32は、面電極の中心部における両電極間の距離が、面電極の外周部における両電極間の距離より短くなるようにそれぞれが湾曲する。
そして最後に、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接し、内部にガスを封入してから密閉する。
【0031】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)に使用されるアノード電極41とカソード電極42は、従来及び実施の形態1同様、いずれも面電極であり、アノード電極41のみ網目状の電極であるが、平面状態の電極を湾曲させるために、図2(e)に示す工程において空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接する際に、治具43を使用する。
【0032】
この実施の形態3におけるUVチューブは、実施の形態1と同様に、まず初めに、排気管26、ボタンガラス27、各3本のコバール線(リード線)23,24を同時に封着して、ボタンステム28を形成する。次に、カソード電極42用の3本のコバール線24にカソード電極42を溶接する。この際、実施の形態1におけるカソード電極22のように湾曲させることはなく、従来同様、カソード電極42は平面状態を保ったまま3本のコバール線24に接続される。その後、アノード電極41を3本のコバール線23に溶接する。この際にも、実施の形態1におけるアノード電極21のように湾曲させることはなく、従来同様、カソード電極41は平面状態を保ったまま3本のコバール線23に接続される。
【0033】
その後、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接する際に、図10に示す模式図の方法でUVチューブを製造する。
まず、上記のとおり、アノード電極41とカソード電極42が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具43に固定する。この治具43は、排気管26を覆うとともに、カソード電極42用のコバール線24の下方が少し広がって固定されるようにするための、段部44を備えている。また、3本のカソード電極42用のコバール線24をそれぞれ把持するフィンガー45がコバール線24ごとに設けられている。この状態で、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせて、ボタンステム28との接合部分をバーナーで溶接する。この際、フィンガー45の上部を内側に押す方向に力を加えることにより、バーナーによる溶接により柔らかくなっている接合部分付近のコバール線24に簡単に力が加わり、カソード電極42は図10に示すように外周部が下方に(中央部が上方に)湾曲する。
【0034】
図11は、この発明の実施の形態3におけるUVチューブのアノード電極41とカソード電極42との概略関係を示す模式図である。この実施の形態3においては、実施の形態1,2とは異なり、アノード電極41は湾曲していない平面状態の電極のままであり、カソード電極42のみが中央付近が上方に盛り上がり、結果的に、面電極の中心部における両電極間の距離が、面電極の外周部における両電極間の距離より短くなっている。
【0035】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)に使用されるアノード電極51とカソード電極52は、従来及び実施の形態1と同じ面電極を、あらかじめ湾曲させた湾曲電極である。なお、湾曲電極については、球状の支持部材にそわせる等、周知の方法により作成すればよい。
【0036】
そして、この実施の形態4におけるUVチューブは、実施の形態1と同様に、まず初めに、排気管26、ボタンガラス27、各3本のコバール線(リード線)23,24を同時に封着して、ボタンステム28を形成する。次に、カソード電極52用の3本のコバール線24に、湾曲したカソード電極52の中心部が盛り上がった状態になる向きでカソード電極52を配置し溶接する。その後、アノード電極51用の3本のコバール線23に、湾曲したアノード電極51の中心部が下向きに凸となる状態で配置し溶接する。そして最後に、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接し、内部にガスを封入してから密閉する。
【0037】
この実施の形態4によっても、アノード電極51とカソード電極52は、上記実施の形態1におけるUVチューブのアノード電極21とカソード電極22との概略関係を示す模式図(図7)と同様の構造とすることができる。
また、実施の形態3のように、いずれか一方の電極のみを湾曲させておけば、上記実施の形態3におけるUVチューブのアノード電極41とカソード電極42との概略関係を示す模式図(図11)と同様の構造とすることができる。
なお、アノード電極51とカソード電極52の中心部における電極間が、所定の距離(ここでは、0.4mm)で保たれるようにするためには、コバール線23,24の長さやそれらコバール線を電極に溶接する際のレーザー照射による溶かし込み量を調整すればよい。
【0038】
以上のように、この発明の実施の形態1〜4によれば、一対の面電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサにおいて、面電極の中心部における両電極間の距離を面電極の外周部における両電極間の距離より短くしたので、一対の電極間の中心部と外周部とにおける電界がほぼ均一になり、面電極の特に電界の強い外周部を起点に発生しやすい偽放電を抑制することができる。
【0039】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 ガラス管
11,21,31,41,51 アノード電極
12,22,32,42,52 カソード電極
13,14,23,24 コバール線(リード線)
20 空間を有するコップ形状のガラス
25 空間を有するコップ形状のガラス20の端部
26 排気管
27 ボタンガラス
28 ボタンステム
29 スペーサ
33,34 電極中心の孔
35 絶縁リング
36 絶縁棒
43 治具
44 治具43の段部
45 フィンガー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の面電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサにおいて、
前記一対の面電極のうち少なくともいずれか一方が湾曲していることにより、前記面電極の中心部における両電極間の距離が前記面電極の外周部における両電極間の距離より短いことを特徴とする火炎センサ。
【請求項2】
前記一対の面電極を固定するリード線を少なくともそれぞれ2本ずつ備え、
前記湾曲した面電極と前記リード線との接続部において、前記面電極が傾斜していることを特徴とする請求項1記載の火炎センサ。
【請求項3】
一対の面電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、
前記一対の面電極のうち少なくともいずれか一方を湾曲させる工程が、前記湾曲させる面電極とリード線との接続部において、前記面電極を傾斜させることにより、前記面電極の中心部における両電極間の距離を、前記面電極の外周部における両電極間の距離より短くしたことを特徴とする火炎センサの製造方法。
【請求項4】
前記一対の面電極を一体化させる絶縁体を備えることを特徴とする請求項1記載の火炎センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−207971(P2012−207971A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72682(P2011−72682)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】