説明

火炎検出装置

【課題】 放射性廃棄物処理装置におけるバーナの着火・失火状態を放射線の影響を受けて誤動作することなく、確実に検出することができる火炎検出装置を提供すること。
【解決手段】 放射性廃棄物処理装置1に設けられたバーナ2の着火・失火状態を光電素子を用いた火炎検出器3により検出する火炎検出装置であって、前記バーナ2の火炎に向けた検出端部3aと放射性廃棄物処理装置1の外部に設けた火炎検出器3とを、放射性廃棄物処理装置内の廃棄物から発せられる光電素子の誤動作の要因となる放射線を除外し、バーナ2の火炎から発する紫外線のみを伝達する光ファイバーにより接続した。なお、光ファイバー4は屈曲部を有しており、この屈曲部において放射線は直進させてファイバー管壁より外部へ透過させ、紫外線のみを屈曲部に沿って搬送し火炎検出器3へ入光させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物処理装置におけるバーナの着火・失火状態を確実に検出することができる火炎検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、原子力発電所等において発生する放射能含有のウェス、紙、フィルターエレメント、減速剤用黒鉛等の低レベルの放射性廃棄物は、溶融炉あるいは焼却炉等の放射性廃棄物処理装置によって溶融・焼却処理するのが普通である(例えば、特許文献1を参照)。この種の処理装置においては炉温が1300〜1600℃と非常に高温であるため、バーナの着火・失火状態を直接に温度センサーで監視するのは困難である。
そこで、このような放射性廃棄物処理装置では、図5に示すように、紫外線強度を光エネルギーに変換する光電素子を使用した火炎検出器13によってバーナ12の着火・失火状態を監視し、放射性廃棄物の安全かつ安定した溶融または焼却処理を図っている。具体的には、光電素子により光エネルギーの強弱を監視し、一定の閾値を超えた場合は着火状態と判断し、閾値を下回った場合は失火状態と判断している。
【0003】
しかしながら、放射性廃棄物を溶融あるいは焼却処理する場合、一般廃棄物と異なり溶融・焼却による紫外線だけでなく放射線も常に出るため、例えば失火状態で紫外線が出ていなくても放射線が出ていると、この放射線を光電素子が感知することで火炎検出器13から着火状態の誤った信号が出力されてしまうという問題点があった。
【特許文献1】特許第1856292号(特公平5−67888号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような問題点を解決して、放射性廃棄物処理装置におけるバーナの着火・失火状態を放射線の影響を受けて誤動作することなく、確実に検出することができる火炎検出装置を提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明の火炎検出装置は、放射性廃棄物処理装置に設けられたバーナの着火・失火状態を光電素子を用いた火炎検出器により検出する火炎検出装置であって、前記バーナの火炎に向けた検出端部と放射性廃棄物処理装置の外部に設けた火炎検出器とを、放射性廃棄物処理装置内の廃棄物から発せられる光電素子の誤動作の要因となる放射線を除外し、バーナの火炎から発する紫外線のみを伝達する光ファイバーにより接続したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の火炎検出装置では、光ファイバーによって放射性廃棄物処理装置に設けられたバーナの火炎を検出し、誤動作の要因となる放射線は光ファイバーの外部へ透過させ、紫外線のみを火炎検出器へ入光させることができるので、バーナの着火・失火状態を正確に検出可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい形態を示す。
図1は、本発明を溶融炉あるいは焼却炉等からなる放射性廃棄物処理装置1の火炎検出に適用した場合を示すもので、図において2は放射性廃棄物を加熱するバーナ、3は紫外線エネルギーを電気エネルギーに変換する光電素子を使用した火炎検出器であり、この火炎検出器3によってバーナ12の着火・失火状態を監視する点は従来の火炎検出装置と基本的に同じである。
【0008】
そして本発明では、バーナ2の火炎に向けた検出端部3aと放射性廃棄物処理装置の外部に設けた火炎検出器3とを、光ファイバー4により接続した構造となっている。
即ち、本発明者は誤動作を引き起こす要因となる放射線のエネルギーが非常に高く、強い直進性を有している点に着目して研究した結果、光ファイバーを利用すればこの放射線を除外して紫外線のみを火炎検出器3に入光させ、正確な着火・失火状態を検出できることを見出し本発明の完成に至った。
【0009】
光ファイバーとしては、例えば数mmφ程度の多芯構造の一般的なものを使用することができる。単芯の光ファイバーでもよいが、単芯の場合は伝達する光量が少なくて火炎検出器3への入光量が減るので、多芯構造の方が正確な検出ができ好ましい。
この光ファイバー4には、バーナ2の火炎から発せられる紫外線と放射性廃棄物から発せられる放射線の双方が入光されファイバー内を伝送されることとなる。
【0010】
光ファイバー4は、図1に示されるように、屈曲部を有しており、この屈曲部において放射線は直進させてファイバー管壁より外部へ透過させ、紫外線のみを屈曲部に沿って搬送し火炎検出器3へ入光させるよう構成されている。
即ち、誤動作を引き起こす要因となる放射線は、エネルギーが非常に高く強い直進性を有しているため、屈曲部においてそのまま直進してファイバー管壁より外部へ透過してしまうこととなる。一方、紫外線は放射線に比べてエネルギーが低く、屈曲部においても光ファイバーに沿って進む。この結果、火炎検出器3には放射線を除外して紫外線のみが入光されることとなり、正確な着火・失火状態を検出できることとなる。
【0011】
また火炎検出器3は、放射性廃棄物処理装置1の外部であって放射線の届かない領域に設置しておく必要がある。これは、放射線の届く領域内に火炎検出器3を設置すると、前記屈曲部において除外した放射線が再び光ファイバー4内へ入り、誤検出の要因になるおそれがあるからである。
放射線の届かない領域とは、図2に示されるように、斜線部で示した放射線の届く領域外の範囲をいう。また、図3に示されるように、例えば放射線遮断用の鉛板5等が設けられている場合は、その後方部も放射線の届かない領域ということができる。
【0012】
以上の説明からも明らかなように、本発明は放射性廃棄物処理装置1に設けられたバーナ2の着火・失火状態を光電素子を用いた火炎検出器3により検出する火炎検出装置であって、前記バーナの火炎に向けた検出端部3aと放射性廃棄物処理装置1の外部に設けた火炎検出器3とを、放射性廃棄物処理装置内の廃棄物から発せられる光電素子の誤動作の要因となる放射線を除外し、バーナ2の火炎から発する紫外線のみを伝達する光ファイバー4により接続した構造とし、誤動作の要因となる放射線を光ファイバーの屈曲部においてファイバー管壁より外部へ透過させ、紫外線のみを火炎検出器3へ入光させるようにしたので、火炎検出器3には放射線を除外して紫外線のみが入光されることとなり、正確な着火・失火状態を検出できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態を示す概略説明図である。
【図2】火炎検出器の設置場所を示す説明図である。
【図3】その他の火炎検出器の設置場所を示す説明図である。
【図4】従来例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 放射性廃棄物処理装置
2 バーナ
3 火炎検出器
3a 検出端部
4 光ファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物処理装置に設けられたバーナの着火・失火状態を光電素子を用いた火炎検出器により検出する火炎検出装置であって、前記バーナの火炎に向けた検出端部と放射性廃棄物処理装置の外部に設けた火炎検出器とを、放射性廃棄物処理装置内廃棄物から発せられる光電素子の誤動作の要因となる放射線を除外し、バーナの火炎から発する紫外線のみを伝達する光ファイバーにより接続したことを特徴とする火炎検出装置。
【請求項2】
光ファイバーは屈曲部を有し、この屈曲部において放射線は直進させてファイバー管壁より外部へ透過させ、紫外線のみを屈曲部に沿って伝送し火炎検出器へ入光させるものである請求項1に記載の火炎検出装置。
【請求項3】
火炎検出器は放射線の届かない領域に設置されている請求項1または2に記載の火炎検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−58198(P2006−58198A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241912(P2004−241912)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】