説明

炊飯器

【課題】鍋内の炊飯物の水位を容易に観察することができると共に、蓋体を開けることなく鍋内を観察することができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】本発明の炊飯器1は、内部に炊飯物が収容される上方が開口した有底筒状の容器からなる鍋2と、上方が開口し該開口から鍋2を収容し鍋2内の炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体9と、鍋2および炊飯器本体9の開口を覆う開閉自在な蓋体13とを有し、鍋2の側壁に光透過性材料で密閉された窓3A、3Bが設けられたものである。加えて、炊飯器本体9の外周壁に光透過性材料で密閉された筒状窓枠10A、10B及び窓板11からなる窓を設けてもよく、炊飯器本体9内に鍋2を収容するときに、鍋2の窓3A、3Bと炊飯器本体9の窓とを位置合わせして、炊飯器本体9の窓から鍋2内を透視できるようにするとより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に係り、特に鍋内の炊飯物の水位を容易に観察することができると共に、蓋体を開けることなく炊飯器内部を観察できる炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家電製品の中で電気炊飯器は、一般家庭において必需品となっており、種々タイプのものが開発されている。これらの電気炊飯器は、炊飯時の鍋内圧力に応じて、その圧力をほぼ常圧で炊飯するいわゆる常圧式の炊飯器と圧力を高めて炊飯する圧力式の炊飯器とに大別され、これらの炊飯器は、白米、玄米、すし飯等の多種の炊飯メニューを備えるとともに、選択された炊飯メニューで硬さ、粘り、甘み等においてユーザーの好みに応じた炊き上げができるようにした様々な制御ソフトウエアが搭載された高機能のものとなっている。
【0003】
常圧式および圧力式炊飯器は、いずれも概ね、上方が開口し深底の所定大きさの容器からなる鍋と、上方が開口しこの開口から鍋を収容し鍋内の炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、鍋および炊飯器本体の開口を覆う開閉自在な蓋体とで構成されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
図8及び図9は下記特許文献1に記載された電気炊飯器を示し、図8は全体の斜視図、図9は図8の縦断面図である。
【0005】
この電気炊飯器30は、全体構造を図8に示すように、上方に開口を有しこの開口から鍋32が収容される内ケースおよび外装ケースからなる炊飯器本体と、この炊飯器本体に開閉自在に装着されて鍋の開口を塞ぐ蓋体ユニット37とを有し、炊飯器本体の正面に各種操作スイッチおよび表示ランプを有する操作パネル38が装着された構成となっている。
【0006】
その内部構造は、図9に示すように、ステンレス鋼等の鉄系金属からなる鍋32と、この鍋32が収容される合成樹脂製の有底筒状の内ケース33と、この内ケース33を保持する外装ケース34とを有し、内ケース33の底壁部および側壁部に誘導コイルが設けられている。また、内ケース33の底壁部33b下部側には、コイル台35が設けられ、その中央部にセンタセンサ36が設けられている。また、外装ケース34は、カバー部材34aと、このカバー部材34aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材34cとを有し、内ケース33の底壁部33bとカバー部材34aの底部34bとの間に所定広さの断熱および通風空間部が形成されている。また、蓋体ユニット37は、外カバー部材37aを有し、この外カバー部材の中央部に調圧ユニット39が設けられた構成となっている。
【特許文献1】特開2000−197561号公報(図1、図5、段落〔0033〕〜〔0043〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のような炊飯器においては、鍋内に所定量の米を入れ、鍋内に表示されている水位目盛りを見ながら鍋内に入れた米の量に合わせて水を入れるものである。しかしながら、鍋内に水を入れる際にはユーザーは鍋の上部開口方向から水位目盛りを見下ろすようにして水を入れることになるため、水量を厳密に水位目盛りに合わせることが難しいという問題点があった。
【0008】
また、電気炊飯器は、上記特許文献1の炊飯器に見られるように、鍋はステンレス鋼等の鉄系金属材で作製され、この鍋が収容される内ケースおよび外装ケースからなる炊飯器本体は合成樹脂製の有底筒状体で作製されているので、蓋体を閉じた状態では、外部から鍋内の様子を観察することができないようになっている。当然のことながら、炊飯時に蓋体を開くことはできない。
【0009】
このため、ユーザーにとっては、蓋体を開かない限り鍋内の状態を観察できず、一方で炊飯時に蓋体を開くことができないので、メーカーには蓋体を開かずに鍋内を様子が観察できる炊飯器が要求されている。この要求は、鍋内の様子が分からないまま使用することに生じる不安感や不便さに起因するもので、不安感としては、例えばタイマーをセットしたが鍋内に炊飯物を入れ忘れていないか、電源スイッチを入れたが空焚きしていないか、炊飯器が実際に作動しているか、何時炊飯が終了するか、或いは美味しく炊き上がっているか、等々であり、不便さとしては、例えば保温中にその都度蓋体を開かないと残量が分からないことであり、一方でまた蓋体の開閉回数が多くなると、保温が途中で途切れて、美味しい保温状態を維持できなくなることである。
【0010】
このようなユーザー要求はもっともなものであるが、一方で、蓋体を開けることなく鍋内の様子を観察できるようにするためには、上述のように炊飯器が鍋、炊飯器本体および蓋体を堅固な鉄材あるいは樹脂材等で作製しなければ安全性を確保できないという理由から製品化が難しく、特に、圧力式炊飯器にあっては、炊飯時に高温、高圧となるので更に困難になっていた。しかし、近年、上述のように多彩な制御ソフトウエアが炊飯器に搭載されるとともに、美味しい米を選定しその炊飯のプロセスを観察しながら美味しいご飯を炊き上げ、食したいと言う強い要望が出て来ていることから、本発明者らは、この要望に応えるべく試行錯誤を重ねて開発を進めたことで本発明の完成に至ったものである。
【0011】
すなわち本発明は、上記のようなユーザーの要望に応えるものであって、本発明の目的は、鍋内の炊飯物の水位を容易に観察することができると共に、蓋体を開けることなく鍋内を観察することができる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、以下の手段によって達成できる。すなわち、請求項1の発明に係る炊飯器は、内部に炊飯物が収容される上方が開口した有底筒状の容器からなる鍋と、上方が開口し該開口から前記鍋を収容し鍋内の炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、前記鍋および前記炊飯器本体の開口を覆う開閉自在な蓋体とを有する炊飯器において、
前記鍋の側壁に光透過性材料で密閉された窓を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記炊飯器本体の外周壁に光透過性材料で密閉された窓を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の炊飯器において、前記炊飯器本体内に前記鍋を収容するときに、前記鍋の窓と炊飯器本体の窓とを位置合わせして、前記炊飯器本体の窓から前記鍋内を透視できるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の炊飯器において、前記鍋および前記炊飯器本体の窓は、それぞれ同数で複数個設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1又は2に記載の炊飯器において、前記鍋および前記炊飯器本体の窓は、円形又は矩形状をなし、前記炊飯器本体の窓が前記鍋の窓より大きく形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の炊飯器において、前記炊飯器本体に設けられた窓の窓枠には、照明又は表示ランプが付設されていることを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明に係る炊飯器は、内部に炊飯物が収容される上方が開口した有底筒状の容器からなる鍋と、上方が開口し該開口から前記鍋を収容し鍋内の炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、前記鍋および前記炊飯器本体の開口を覆う開閉自在な蓋体と、該蓋体に着脱自在に取り付けられ前記鍋の開口部を覆う内蓋と、を有する炊飯器において、
前記蓋体及び内蓋には光透過性材料で密閉された窓が設けられ、前記蓋体の上方から鍋内を透視できるようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項7に記載の炊飯器において、前記蓋体に設けられた窓の窓枠には、照明又は表示ランプが付設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成を備えることにより以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、鍋に光透過性材料で密閉された窓を形成することにより、鍋内の炊飯物をこの窓から見ることができるようになるので、炊飯物として米及び水の水位を鍋に対して水平に見ることができるため、容易に水量を調節することができるようになる。
【0021】
請求項2の発明によれば、鍋の側壁に加えて炊飯器本体にも窓を形成すれば、安全性を確保して炊飯器本体の窓穴から鍋内を透視できるので、鍋内の様子が分からないとによるユーザーが抱える不安感および不便さを解消することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、炊飯器本体と鍋とを容易に位置合わせすることができれば、炊飯器本体と鍋とに設けられた窓をユーザーがいちいち目視しながら合わせる必要がなくなる。
【0023】
請求項4の発明によれば、鍋および炊飯器本体に、それぞれ同数の複数個の窓を設けることにより、少なくとも1個の窓から採光し、この採光により他の窓から鍋内を観察できるので、鍋内を照らす照明装置が不要になる。
【0024】
請求項5の発明によれば、鍋および炊飯器本体の窓を円形又は矩形状にすることにより、安全性および美観を保持しながら鍋内を観察できるようになる。また、鍋の窓を炊飯器本体の窓より大きくすることにより、鍋の窓枠が炊飯器本体の窓に表れることがなくなるので、炊飯器本体の窓から広い範囲で鍋内を観察できる。
【0025】
請求項6の発明によれば、炊飯器本体の窓枠に照明ランプを設け、炊飯時等にこの照明ランプを点灯させることにより、鍋内の様子を観察できる。また、表示ランプを設け、炊飯時等に点灯させることにより、炊飯工程の様子を表示させることができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、蓋体及び内蓋に光透過性材料で密閉された窓を形成することにより、安全性を確保して蓋体の窓穴から鍋内を透視できるので、鍋内の様子が分からないことによるユーザーが抱える不安感および不便さを解消することができる。
【0027】
請求項8の発明によれば、請求項7の効果に加えて、請求項6の発明に示す効果と同じ効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための炊飯器を例示するものであって、本発明をこの炊飯器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。なお、図1は本発明の実施例に係る炊飯器の側面図、図2は図1のA−Aの縦断面図、図3は炊飯物が収納された鍋を示す正面図である。
【実施例】
【0029】
本発明の実施形態に係る炊飯器は、圧力式炊飯器であり、この炊飯器1は、図1、図2に示すように、上方が開口し深底の容器からなる鍋2と、上方が開口しこの開口から鍋を収容し鍋内の炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体9と、鍋2および炊飯器本体の開口を覆う開閉自在な蓋体13と、を有し、鍋2および炊飯器本体9に、それぞれの外周壁に光透過性材料の窓板で密閉された窓3A、3Bを設け、炊飯器本体9内に鍋2を収容したときに、鍋2の各窓3A、3Bと炊飯器本体9の各窓穴とを位置合わせを行ない炊飯器本体9の窓穴から鍋2内を透視できる構成を有している。
【0030】
鍋2は、図2に示すように、上方に米および水等の炊飯物を収容できる大きさの開口2aと、対向する側壁面にそれぞれ窓3A、3Bとを有する深底の筒状容器からなりステンレス鋼等の鉄系金属材で形成されている。上方の開口部2aの開口縁は所定長さ外方へ延びてフランジが形成され、鍋2が炊飯器本体9内へ収容されたときに、このフランジが炊飯器本体9の外装ケース8の肩部に係止されるようになっている。各窓3A、3Bは、対向する側壁面(図2の左右)にそれぞれ形成され、略同じ大きさを有し、図1の外装ケース8の窓穴と略同じ矩形状をした窓枠3a、3bを有している。
【0031】
これらの窓枠3a、3bは、図2に示すように、特に縦方向の高さを鍋2の内周囲に内部に収容する米及び水の量の目印として付けられた米量に対応する複数本の水位線のうち、最高水位線の高さHより上位の高さHにするが好ましい。なお、この高さHは上方の開口2aより下方に位置している。このように、この高さHを最高水位線より高くすると、鍋2に米および水を投入したときに窓を通して水の水位を直接観察することが可能になるため、従来のように水位線に対して斜め上方から目視して水量を決定することがなく、容易に適切な水量とすることができる。また、下方の高さHは、誘導コイル6に近接した高さにして、誘導コイル6による鍋の加熱の障害にならないようにする。また、横幅は、任意の長さでよいが、長くすると、鍋の加熱面積が減少するので、加熱に影響を与えない長さに設定される。
【0032】
なお、鍋2内の炊飯物の量をより容易に測るために、図3に示すように、鍋2に設けられた窓3A、3Bに隣接する外側壁に水位目盛り3Cを設けても良い。このようになせば、より炊飯物の水位を水位目盛り3Cに合わせやすくなる。
【0033】
また、各窓3A、3Bの窓枠3a、3bには、光透過性材料、例えば、ポリカーボネート、ガラス等からなる窓板4a、4bが取付けられる。各窓板4a、4bの肉厚は、炊飯時の鍋圧力に充分耐える厚さに設定される。また、その取付けは、窓枠の内周縁および窓板の端縁にそれぞれ肉薄にした段部を形成して、互い段違に重ね合わせて接着剤(例えばシリコン)で水漏れ、蒸気漏れがないように貼着固定される。
【0034】
このように、鍋2の側壁面に対向させて一対の窓3A、3Bを設けると、一方の窓から外光を採取して他方の窓から鍋2内を観察することができる。なお、この窓数は、2個でなく1又は3個以上でもよい。1個にすると採光ができないので、後述する外装ケースの窓枠に光源を設けて鍋内を照射するのが好ましい。
【0035】
炊飯器本体9は、上方に開口を有し鍋2が収容される大きさを有する有底で鍋の外形と略同じ形状の内ケース5と、この内ケース5を保持する外装ケース8とからなり、これらのケース5、8は、合成樹脂材の成型体で形成されている。これらのケース5、8は、内ケース5の底壁部5と外装ケース8との間に所定広さの通風空間部Spが形成されるように取付けられて、この通風空間部Spに、図示しないファンモータ、制御基板等が装着されるようになっている。通風空間部Spを設けることにより、内ケース5と外装ケース8間を断熱でき、また、ファンモータを駆動させることによって制御基板等を冷却できる。
【0036】
内ケース5は、その外周壁に鍋2の各窓3A、3Bと対応する箇所に外装ケース8の内壁面まで突出した突出片5a’、5b’を有する出窓穴5a、5bが形成されている。各出窓穴5a、5bの大きさは、鍋2の窓3A、3Bより若干小さくするのが好ましい。このように鍋の窓3A、3Bを出窓穴5a、5bより大きくすると、出窓穴の内周縁によって鍋の窓が隠れることがなくなり、観察面積を最大にできる。各出窓穴5a、5bには、後述する筒状窓枠が嵌入固定される。また、内ケース5は、底壁部5の裏面に同心状に分巻した誘導コイル6、6が装着されて、この誘導コイルを駆動することにより、鍋にうず電流を誘起させて自己発熱させる。また、内ケース5は、その底壁部5の略中央部5cに温度センサ7が設けられている。このセンサ7は、鍋内の炊飯量を検知するとともに、その出力により炊飯制御がなされる。
【0037】
外装ケース8は、内ケース5との間に通風空間部Spを設けることから、内ケースの外形より大きくし、化粧ボックスとなっている。この外装ケース8は、その外周壁に内ケースの出窓穴5a、5bと対応する箇所に窓穴9a、9bが形成されている。各窓穴9a、9bには、筒状の窓枠10A、10Bが嵌入装着される。また、この外装ケース8の前面には、操作パネル12が装着される。この操作パネル12には、各種の操作スイッチ類およびそれらの各種スイッチ類によって設定される設定状態を表示する表示灯が設けられている。
【0038】
筒状窓枠10A、10Bは、いずれも同じ形状を有し、外装ケース8および内ケース5の窓穴9a、9bと5a’、5b’に合わせ矩形状の外形および内ケースに達する長さを有し、合成樹脂材の成型体で形成されている。各窓枠10A、10Bは、前方、すなわち炊飯器1の外装側に位置する開口10aを後方、すなわち炊飯器1の内側に位置する開口10bより大きくして、内周壁面の途中に段部10cを形成し、この段部10cを利用して、光透過性の材料(ポリカーボネート、ガラス)からなる窓板11が装着されている。この窓板は、炊飯中に圧力が加わることがないので、鍋の窓板より薄くしてもよい。なお、この窓枠10A、10Bには、図示しないが鍋2を照明する照明ランプ、或いは、炊飯工程および保温工程等を表示する表示ランプを設けるのが好ましい。この照明および表示ランプには、蛍光管あるいは発光ダイオードを用い、特に表示ランプは発光色の異なるもの使用して点滅等させるのが好ましい。
【0039】
これらのランプを設けることにより、鍋を照明して鍋内の様子を容易に観察でき、また、表示ランプにより、窓を通しての鍋の観察に加え、この表示ランプの点灯で離れた場所からも監視することができる。
【0040】
炊飯器本体9は、その開口の外周端に鍋の開口を塞ぐ蓋体13が取付けられる。この蓋体13は、鍋内が高温、高圧になるので、これに耐えるように安全弁等が設けられる。以下に、図4を参照して蓋体の構造を説明する。なお、図4は図2の鍋体を異なる位置で切断した断面図である。
【0041】
蓋体13は、図2、図4に示すように、下側に設けた着脱自在な内蓋14と、その上方に設けた外蓋15とで構成されている。内蓋14には、弁孔16を有する弁座17と、弁座17の上に自重により弁孔16を塞ぐように載置される金属性のボール18と、ボール18を覆うカバー19とからなる圧力弁20が設けられている。この圧力弁20は、鍋2内の圧力とボール18の自重とのバランスによって、ボール18が弁孔16上に載置されたり離れたりし、このボール18の移動により弁孔16が開閉される。圧力弁20の開閉機構21は、弁孔16、弁座17、ボール18、およびカバー19により形成されている。また、内蓋14には、鍋2内が異常に加圧された時(例えば炊飯中に圧力弁20が故障して開かないとき)に開放して鍋内の圧力を逃がす安全弁(図示省略)が設けられている。外蓋15内の圧力弁20にはプランジャ21が取付けられている。このプランジャ21は、制御装置(図示省略)により制御される。すなわち、プランジャ21は、通常状態では、ロッド21aがシリンダ21bから突出して弁孔16上のボール18を弁孔16の横方向に押し、弁孔16を強制的に開放する。また、プランジャ21は、制御装置からの出力によりロッド21aがシリンダ21b内に没入される。このときボール18は、自重により弁孔16上に戻り、弁孔16が閉塞される。
【0042】
このようにしてプランジャ21は、圧力弁開放機構として作動し、圧力弁20と圧力弁開放機構(プランジャ)21とは炊飯工程中に加圧された鍋内の圧力を強制的に降下させるための圧力変更手段として用いられる。また、外蓋15には弁孔16を介して鍋2内と大気とを連通し、鍋2内の圧力や蒸気を大気中に逃がす蒸気口22を有している。
【0043】
図5は炊飯器を制御する制御装置のブロック図である。
【0044】
制御装置23は、制御部23a、演算部23b、計時部23cおよび記憶部23dを有するマイクロコンピュータからなり、この制御装置の入力部23には操作スイッチ12、炊飯メニュー選定手段12、タイマー手段12および鍋底の温度を検出する温度センサ7が接続され、また、出力部23には、加熱手段(誘導コイル)6、6、圧力弁開放制御手段25、表示手段24aおよび炊飯器本体の窓枠に設けられて鍋内を照明或いは炊飯工程を表示する照明・表示灯24bが接続されている。
【0045】
炊飯メニューは、図7に示すように、3つの炊飯コース、白米・ふつうコース、玄米・ふつうコースおよび白米・すしめしコースを有し、これらの炊飯メニューが選定手段12により選定される。この選定手段により、例えば、白米・ふつうコースが選定されると、その炊飯は、順次、鍋内の米に糊化温度以下(例えば55℃)で吸水させる吸水工程(S106)、炊飯物を全加熱(フルパワー)で加熱する立上加熱工程(S112)、沸騰状態を保つ沸騰維持工程(S116)、沸騰維持終了後に行う蒸らし1工程(S139)、この蒸らし工程後に行う追炊き工程(S142)、および蒸らし仕上げを行う蒸らし2工程(S144)を経て炊飯される。そして、この炊飯終了後は、保温工程(S147)に入り、保温状態となる。
【0046】
この炊飯工程において、図6に示すように、立ち上がり加熱が終了した直後に、制御装置23により、圧力弁開放機構(プランジャ)21を作動させて、圧力弁20を強制的に数秒(例えば4秒)間開放し、鍋2の圧力を1.2気圧から略大気圧近傍まで低下させる。この圧力弁の開放は複数回所定の間隔で行われる。その後は、ボール18の自重により、略一定の高圧に維持される。
【0047】
この圧力弁20の開閉により、鍋2内の圧力は一気に大気圧近傍まで低下され、鍋内が激しい沸騰状態(突沸)となり、この突沸現象により生じた泡によって米粒が攪拌される。この攪拌は、炊飯量の多少にかかわらず、鍋内で米粒が充分にかき混ぜられるので、美味しく炊飯することができる。
【0048】
この炊飯器によれば、各炊飯工程、および炊き上がり状態、蒸らし工程、保温状態を観察できるのでユーザーからの要望に全て応えることができる。特に、鍋内が高温、高圧下において鍋内の米が激しく沸騰、いわゆる突沸現象を起して攪拌される様子も観察可能になる。
【0049】
なお、上述した実施例においては、鍋2及び炊飯器本体9にそれぞれ窓3A、3B及び窓板11を備えた筒状窓枠10A、10Bが形成されたものについて述べたが、鍋2に設けた窓3A、3Bと同様の構成を有する窓を内蓋14に設け、この内蓋14の窓に対応するように炊飯器本体9に設けた筒状窓枠10A、10B及び窓板11を蓋体13に設けても同様の効果を奏することができる。また、この場合においては、上述の実施例のようにその内部を透視しやすくするため、窓を複数個設けるようにしても良いし、蓋体13に照明または表示ランプを設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は本発明の実施例に係る炊飯器の側面図である。
【図2】図2は図1のA−Aの縦断面図である。
【図3】図3は炊飯物が収納された鍋を示す正面図である。
【図4】図4は図2の鍋体を異なる位置で切断した断面図である。
【図5】図5は炊飯器を制御する制御装置のブロック図である。
【図6】図6は炊飯工程と鍋内の温度および圧力との関係を示した特性図である。
【図7】図7は炊飯メニューの工程を示したフロー図である。
【図8】図8は従来技術の炊飯器の外観斜視図である。
【図9】図9は図8の炊飯器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 炊飯器
2 鍋
3A、3B 窓
5 内ケース
8 外装ケース
9 炊飯器本体
10A、10B 筒状窓枠
11 窓板
13 蓋体
14 内蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に炊飯物が収容される上方が開口した有底筒状の容器からなる鍋と、上方が開口し該開口から前記鍋を収容し鍋内の炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、前記鍋および前記炊飯器本体の開口を覆う開閉自在な蓋体とを有する炊飯器において、前記鍋の側壁に光透過性材料で密閉された窓を設けたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記炊飯器本体の外周壁に光透過性材料で密閉された窓を設けたことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記炊飯器本体内に前記鍋を収容するときに、前記鍋の窓と炊飯器本体の窓とを位置合わせして、前記炊飯器本体の窓から前記鍋内を透視できるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記鍋および前記炊飯器本体の窓は、それぞれ同数で複数個設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記鍋および前記炊飯器本体の窓は、円形又は矩形状をなし、前記炊飯器本体の窓が前記鍋の窓より大きく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記炊飯器本体に設けられた窓の窓枠には、照明又は表示ランプが付設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項7】
内部に炊飯物が収容される上方が開口した有底筒状の容器からなる鍋と、上方が開口し該開口から前記鍋を収容し鍋内の炊飯物を加熱する加熱手段を有する炊飯器本体と、前記鍋および前記炊飯器本体の開口を覆う開閉自在な蓋体と、該蓋体に着脱自在に取り付けられ前記鍋の開口部を覆う内蓋と、を有する炊飯器において、前記蓋体及び内蓋には光透過性材料で密閉された窓が設けられ、前記蓋体の上方から鍋内を透視できるようにしたことを特徴とする炊飯器。
【請求項8】
前記蓋体に設けられた窓の窓枠には、照明又は表示ランプが付設されていることを特徴とする請求項7に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−312872(P2007−312872A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143543(P2006−143543)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】