炊飯器
【課題】本発明は、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に各種条件を設定することができるとともに、設定後においてそのときの炊飯器の状態を容易に確認することができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】本発明の炊飯器は、入力手段により鍋の加熱状態の各種設定条件が制御手段に入力されるとき、報知手段が入力手段の設定条件と加熱手段を制御する駆動手段の制御状態を音又は音声報知するよう構成されており、入力手段における特定のスイッチを操作することにより報知手段が入力手段の設定条件、駆動手段の制御状態、又は当該炊飯器の動作状態を所望の音量で音声報知するよう構成されている。
【解決手段】本発明の炊飯器は、入力手段により鍋の加熱状態の各種設定条件が制御手段に入力されるとき、報知手段が入力手段の設定条件と加熱手段を制御する駆動手段の制御状態を音又は音声報知するよう構成されており、入力手段における特定のスイッチを操作することにより報知手段が入力手段の設定条件、駆動手段の制御状態、又は当該炊飯器の動作状態を所望の音量で音声報知するよう構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種お米を調理するための電気調理器具である炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、お米を炊くための電気調理器具である炊飯器においては、お米をユーザの好みに応じて最適な状態で所望の時間に炊き上げるために、各種工夫が施されている。このような炊飯器においては、加熱温度、加熱時間、加熱位置などの各種の条件を炊き上がり時間を考慮して時間経過に応じて自動制御している。炊飯器で炊くべきお米の種類としては、白米はもとより玄米、無洗米などがあり、さらにお米の中にも各種銘柄米といわれているものがある。これらの各種お米に対して、炊飯器では加熱温度、加熱時間、加熱位置などの炊き方の条件が異なっている。このため、ユーザは炊くべきお米に合わせて好みの状態に炊き上げるべく炊飯器を設定する必要がある。また、近年の炊飯器においては、おかゆ、すし、炊き込みご飯などの各種のご飯が炊ける機能を有している。
前述のように、炊飯器においては、各種のお米を最適な状態で所望の時間に炊き上げるためにユーザが煩雑な操作を設定の度に行う必要があった。このような煩雑な設定操作をユーザが間違えることなく行えるよう、各操作スイッチの機能を音声で案内するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、従来の炊飯器においては、炊飯器自体に異常が生じた場合、炊飯器の表示部分に記号を表示するとともに、報知音を発生させてユーザに注意を喚起する構成のものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、炊飯器において鍋が収納されているか否かを検知して、鍋が収納されていないときには警報音を鳴らしてユーザに注意を喚起する構成のものもあった(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−137119号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】特開2002−142976号公報(第2−3頁)
【特許文献3】特公平4−40003号公報(第2頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示された炊飯器は、ユーザが操作スイッチにより設定するとき、その操作スイッチの機能の案内や設定時の状態を音声によりユーザが確認できるよう構成したものである。炊飯器においては、設定後に設定されている内容を確認したい場合がある。特に、予約炊飯を行った場合には、予約設定後において炊飯器の状況を確認したい場合がある。ここで、予約炊飯とは、ご飯等の出来上がり時刻をユーザが予め設定することである。予約炊飯の設定操作においては、ユーザが誤操作して誤った設定を行った場合には大きな問題となる。従来の炊飯器において、予約炊飯の設定には複数の操作スイッチを用いて設定を行っているため、誤操作や誤設定が生じやすく、このような誤操作や誤設定の発生抑制が炊飯器の分野における重要な課題であった。従来においては、設定操作時にのみ音声によりユーザに操作スイッチの機能を案内する構成の炊飯器は存在するが、設定後に設定内容を容易に確認できる構成や、設定操作時に誤りが生じていても容易に修正できる構成の炊飯器は存在しなかった。
【0005】
特許文献2や特許文献3に開示された炊飯器においては、炊飯器自体に異常が生じた場合、炊飯器の表示部分に記号を表示し、かつ報知音を発生させる構成である。しかし、ユーザは報知音だけでは炊飯器にどのような異常が生じているのかを認識することができず、また、記号の表示だけではその表示の内容をユーザが認識するために取扱説明書で確認しなければならなかった。
前述のように近年の炊飯器においては、ユーザが設定操作すべき条件は多種多様にわたっており、さらに最近の炊飯器には機能が増える傾向にある。このため、最近の炊飯器は、さらに煩雑な設定作業をユーザに要求する構成のものが増えてきている。このような多機能な炊飯器を容易に、且つ確実に設定操作できる構成がこの分野のこれからの重要な課題である。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決することを目的として、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に設定操作することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の炊飯器は、請求項1に記載したように、
鍋を加熱する加熱手段、
前記加熱手段の加熱状態を制御する駆動手段、
前記加熱手段と前記駆動手段に電力を供給する電源回路、
前記鍋の加熱状態の各種設定条件を入力するための入力手段、
前記入力手段からの設定条件が入力されて、当該設定条件に応じて前記駆動手段を制御する制御手段、
前記入力手段の設定条件又は前記駆動手段の制御状態を、前記入力手段及び前記制御手段の出力信号に応じて音又は音声により報知する報知手段、及び
前記制御手段からの信号が入力され、前記入力手段の設定条件を表示する表示手段、を具備する炊飯器であって、
前記制御手段は、前記入力手段の設定条件に応じて、前記表示手段により表示された内容を第1の所定時間経過後に前記報知手段が音声報知するように、前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間を変更するよう構成されている。このように構成された本発明の炊飯器は、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に設定操作することができるとともに、ユーザの操作状態に応じて音声報知行うことによりユーザに対して確実な操作を行わせることが可能となり、ユーザの使用状態が考慮された音声報知が可能となり、使い慣れたユーザに対しては音声報知を行わないよう設定することができる。
【0008】
本発明の炊飯器は、請求項2に記載したように、請求項1の炊飯器において、
前記制御手段が、前記入力手段の設定条件に応じて、前記報知手段が前記入力手段の設定方法を音声報知し、当該音声報知から第2の所定時間の間に前記入力手段において設定操作がないとき、前記報知手段による音声報知の内容が前記第2の所定時間経過後に設定動作を終了させる設定方法となるよう前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間と共に前記第2の所定時間を変更するよう構成されている。このように構成された本発明の炊飯器は、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に設定操作することができるとともに、使い慣れたユーザに対しては音声報知を行わないよう設定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に各種条件を設定操作することができるとともに、ユーザの操作状態に応じて音声報知を行うことによりユーザに対して確実な操作を行わせることが可能となり、ユーザの使用状態や使用環境に応じた音声報知が可能となり、優れた操作性を有する機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施例1の炊飯器の構成を示すブロック図
【図2】実施例1の炊飯器の平面図であり蓋部を上方から見た図
【図3】実施例1の蓋部に形成された入力手段6と表示手段8とを示す図
【図4】実施例1の炊飯器における入力手段6の押しボタンスイッチである「コース選択」をユーザが押圧する度に表示手段8の表示窓8aに順次表示される表示内容を示す図
【図5】実施例1の炊飯器における設定条件1の設定動作を説明する図
【図6】実施例1の炊飯器における設定条件2の設定動作を説明する図
【図7】実施例1の炊飯器における設定条件3の設定動作を説明する図
【図8】実施例1の炊飯器における設定条件4の設定動作を説明する図
【図9】実施例1の炊飯器における設定条件5の設定動作を説明する図
【図10】実施例1の炊飯器において前述の「予約炊飯」を行った場合の鍋温度の推移を示すグラフ
【図11】実施例1の炊飯器において、条件設定時における報知手段9の音声報知動作を示すフローチャート
【図12】実施例1の炊飯器において、「音声」ボタン6dが押圧されたときの報知手段9の動作を示すフローチャート
【図13】実施例1の炊飯器において、異常状態における報知手段9の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の炊飯器に係る好適な実施の形態を実施例として添付の図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明に係る実施例1の炊飯器の構成を示すブロック図である。図2は実施例1の炊飯器の平面図であり蓋部11を上方から見た図である。図3は実施例1の蓋部11に形成された入力手段6と表示手段8とを示す図である。
図1に示すように、実施例1の炊飯器は、収納した鍋1を取り囲むよう加熱手段3が配設されている。加熱手段3は鍋1の底面、上面、及び側面をそれぞれ加熱するよう複数の加熱部により構成されている。実施例1における加熱手段3は複数の誘導加熱コイルが鍋の周りに設けられて、鍋の各部分を所望の温度に加熱する構成である。実施例1の炊飯器においては、商用交流電源2からの電力が加熱手段3と電源回路5に供給される。電源回路5において所望の電圧に変換された駆動電源は、加熱手段3を駆動制御する駆動手段4とマイクロコンピュータで構成される制御手段10に供給される。制御手段10において処理された信号は、ファンモータ7、表示手段8、及び報知手段9に対して出力される。ファンモータ7は炊飯器における電気・電子回路の冷却を目的とするものである。表示手段8は入力手段6により設定される条件や炊飯器の状態を文字、記号等で表示する。報知手段9は音声又は音によりユーザに対して炊飯器の状態を報知するものであり、設定される条件や設定後の状態等が報知される。実施例1の炊飯器においては、報知手段9による音声報知により設定すべき条件や設定後の状態等を表示手段8による表示内容を補完している。実施例1における報知手段9はスピーカ及びブザーで構成されており、スピーカにより音声報知される。なお、報知内容(音声フレーズ)を記憶する記憶部と、この記憶部の報知内容をそのときの炊飯器の状態に応じてスピーカに報知させるための報知制御部は、制御手段10において構成されている。
【0013】
図2の炊飯器の平面図に示すように、実施例1の蓋部11における上面の正面側に入力手段6と表示手段8が集中して配置されている。また、実施例1の蓋部11には鍋内の蒸気圧を調整する蒸気蓋12が設けられている。実施例1の炊飯器における入力手段6は複数の押しボタンスイッチにより構成されており、表示手段8である四辺形状の表示窓8aにおける隣り合う2辺に近接して配置されている。実施例1における入力手段6の具体例としては、「炊飯」ボタン6a、「取消/切」ボタン6b、「保温」ボタン6c、「音声」ボタン6d、「予約」ボタン6e、「右向きの黒三角」ボタン6f、「左向きの黒三角」ボタン6g、及び「コース選択」ボタン6hの8個の押しボタンスイッチである。実施例1において、入力手段6と表示手段8が配設された蓋部11の上面は、実質的に平面に形成されている。
表示手段8は、図2に示すように、入力手段6の各押しボタンスイッチが操作されたときに、その設定すべき内容や、設定された内容を表示する。図2に示した表示手段8の表示状態は、全ての表示内容が表示窓8aに表示されている状態である。実施例1の炊飯器においては、表示手段8において表示される内容は、後述するように、ユーザがそのときに必要とする内容のみが表示されるよう設定されている。
【0014】
実施例1の炊飯器における表示手段8においては、メニューの中に、「ふつう」、「少量」、「早炊き」、「炊き込み」、「すし」、「おかゆ」、及び「お手入れ」のいずれかのコースを選択するよう構成されている。ここで、「ふつう」のコースを選択すると、この炊飯器に設定されている通常のお米の炊き方となる。なお、「お手入れ」が選択されると炊飯器内部の汚れやにおいを取るための処理が行われる。このとき、鍋内の水が加熱されて汚れなどを除去する。
実施例1の炊飯器により処理できるお米の種類としては、白米、無洗米、玄米、発芽玄米、及び雑穀米である。実施例1の炊飯器においては、これらのお米が選択され、選択されたお米に最適な状態で炊飯動作が行われる。
実施例1の炊飯器においては、炊飯器内部にスチーム発生機構が設けられており、炊飯及び保温の各動作において所定温度のスチームを発生させられるよう構成されている。表示手段8の表示項目における「炊きわけ」では3段階のスチーム温度が選択される。
また、実施例1の炊飯器においては、スチーム発生機構による蒸し時間を設定できるよう構成されている。
上記のように入力手段6を用いてユーザにより設定された条件は、マイクロコンピュータである制御手段10において処理され、表示手段8、報知手段9、及びファンモータ7に対して駆動信号が出力される。ファンモータ7は炊飯器における電気・電子回路の冷却を目的とする。
【0015】
以下、上記のように構成された実施例1の炊飯器における炊飯動作設定時の処理について具体的に説明する。
図4は実施例1の炊飯器における入力手段6の押しボタンスイッチである「コース選択」ボタン6hをユーザが押圧する度に表示手段8の表示窓8aに順次表示される表示内容を示す図である。図4において、(a)は待機状態における表示窓8aの表示内容を示す。この待機状態において、「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(b)に示す内容が表示される。このとき、「メニュー」項目における「ふつう」が点滅状態となる。
次に「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(c)に示す内容が表示される。このとき、「お米」項目における「白米」が点滅状態となる。さらに、「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(d)に示す内容が表示される。このとき、スチーム発生機構の温度設定が行われ、「炊き分け」項目の高温スチームにおける「中」が点滅状態となる。次に「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(e)に示す内容が表示される。このとき、「蒸し」項目における蒸し時間の初期値である「40」(分)が点滅状態となる。さらに、「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(f)に示すように、そのときの時刻が表示され、その時刻が点滅状態となる。この状態において時刻の調整を行うことが可能となる。上記のように、「コース選択」ボタン6hを押圧するごとに、設定すべき条件が点滅する。このように点滅している条件を変更する場合には、「右向きの黒三角」ボタン6f又は「左向きの黒三角」ボタン6gを押圧して所望の条件を選択する。実施例1の炊飯器においては、条件設定の各項目において、「右向きの黒三角」ボタン6f又は「左向きの黒三角」ボタン6gを用いているため、条件設定ポイントを左右へ移動させることにより選択することができる。この結果、実施例1の炊飯器においては、従来の炊飯器に比べて、ユーザによる設定操作を容易に、かつ速く行うことが可能となる。
【0016】
以下、実施例1の炊飯器における具体的な設定動作として設定条件1から設定条件5について添付の図4〜図11を用いて説明する。
【0017】
[設定条件1]
図5は実施例1の炊飯器における設定条件1の設定動作を説明する図である。設定条件1は、少量の無洗米をスチーム強状態で炊飯する場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを押圧して、図4の(b)に示す内容を表示させる。このとき、「メニュー」項目における「ふつう」が点滅状態となり、3秒後に音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との設定方法を示す報知が行われる。この「ふつう」が点滅状態において、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して「少量」を選択する(図5の(a)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧して、「お米」項目に移行させる。そして、「お米」項目に移行してから3秒後に、音声により「お米の種類を三角ボタンで選んで下さい」との設定方法を示す報知が行われる。ここで、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して「無洗米」を選択する(図5の(b)参照)。さらに、「コース選択」ボタン6hを押圧して、「炊き分け」項目に移行させる。このときも、「炊き分け」項目に移行してから3秒後に、音声により「炊き分けのスチーム強さを三角ボタンで選んで下さい」との設定方法を示す報知が行われる。そこで、高温スチームにおける「強」を「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して選択する(図5の(c)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧すると、図5の(d)示す表示状態となる。この表示状態は、「メニュー」項目が選択されている状態である。したがって、このとき音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われ、この音声報知が行われた後、3秒後に「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知が行われる。
【0018】
以上のように条件設定を行った後、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチが押圧されると炊飯動作が開始する。このとき、すぐに「炊飯を始めます」との音声報知があり、表示窓8aには炊飯動作の残り時間が表示される。図5の(e)においては、炊飯動作の残り時間として約50分を表示している。なお、図5の(e)に示す表示窓8aには、「容器水確認」の表示がある。これは、実施例1の炊飯器内にはスチーム発生機構が設けられており、このスチーム発生機構は水を貯めるための容器を有している。この容器内の水がスチーム動作において使用されるため、その水の有無の確認をユーザに注意している。
【0019】
なお、実施例1の炊飯器においては、「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知は、「お米」項目における「お米の種類を三角ボタンで選んで下さい」との音声報知から3秒後と、「炊き分け」項目における「炊き分けのスチーム強さを三角ボタンで選んで下さい」との音声報知から3秒後に行われる。この音声報知は、ユーザが条件設定の最終時に「炊飯」ボタン6aを押すことを案内するものであり、設定動作を終了させ炊飯動作の開始を確実にするものである。実施例1の炊飯器では、条件設定の動作において表示から3秒後に音声報知が行われる理由は、使い慣れている人が条件設定を行う場合、条件設定の動作が3秒以内で行われるため、このような人の場合には音声報知を行わないようにするためである。したがって、実施例1の炊飯器においては、設定動作が不慣れなユーザにのみ音声報知が行われるよう構成されている。
上記のように、設定条件1の設定動作において、「コース選択」ボタン6hを押圧して所望の条件を各項目で選択することにより、選択した条件に応じて必要な項目のみが表示手段8に表示され、所定時間経過後に音声報知によりユーザの次作業を案内しているため、ユーザの設定動作を確実で容易なものとしている。
【0020】
[設定条件2]
図6は実施例1の炊飯器における設定条件2の設定動作を説明する図である。設定条件2は、白米を通常の炊飯時間より早く炊き上げる場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを押圧すると、「メニュー」項目における「ふつう」が点滅状態となり、3秒後に音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われる。ここで、「メニュー」項目における「早炊き」を「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して選択する(図6の(a)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧して、「お米」項目に移行させると、3秒後に音声により「お米の種類を三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われる。ここで、「白米」を選択する(図6の(b)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧すると、図6の(c)示す表示状態となる。この表示状態は、「メニュー」項目が選択されている状態である。したがって、このとき音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われる。この音声報知が行われた後、3秒後に「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知が行われる。ここで、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチを押圧すると、炊飯動作が開始する。このとき、表示窓8aには現在の時刻が表示される(図6の(d)参照)とともに、「炊飯を始めます」との音声報知が行われる。
実施例1の炊飯器において、上記のように「早炊き」が設定された場合には、炊飯動作の開始時には現在の時刻が表示され、炊飯動作開始後の約13分経過した後から炊飯動作の残り時間が表示される。
上記のように、設定条件2の設定動作において、「コース選択」ボタン6hを押圧することにより、選択した条件に応じた必要な項目のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業を案内しているため、ユーザの設定動作を容易なものとしている。このように、設定条件2の設定動作においては、設定条件1の場合に比べて設定すべき条件が少なくなっており、設定操作が容易なものとなっている。
【0021】
[設定条件3]
図7は実施例1の炊飯器における設定条件3の設定動作を説明する図である。設定条件3は、実施例1の炊飯器を用いて「蒸す」場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを複数回(4回)押圧して、「蒸す」項目を選択する。このとき、図4の(e)に示すように蒸し時間の「40」分が表示され、この表示から3秒後に「蒸し時間を三角ボタンで合わせて下さい」との音声報知が行われる。ここで、「右向きの黒三角」ボタン6fである温度が下降する方向の押しボタンスイッチを押圧すると、1度ずつ下降する(図7の(a)参照)。一方、「左向きの黒三角」ボタン6gである温度が上昇する方向の押しボタンスイッチを押圧すると、1度ずつ上昇する(図7の(b)参照)。実施例1の炊飯器においては、蒸し時間が40分以上に設定されると「高温スチーム」が作動するよう構成されている。
上記のように「蒸し時間を三角ボタンで合わせて下さい」との音声報知が行われた後、3秒後に「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知が行われる。ここで、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチが押圧されて蒸し調理が開始し、「蒸し調理を始めます」との音声報知が行なわれる。このとき、表示窓8aは図7の(c)に示すような案内表示となる。このときの案内表示は蒸し時間の残り時間表示となる。なお、蒸し調理が終了すると、「蒸し調理が終わりました」との音声報知が行われる。
上記のように、設定条件3の設定動作において、選択した条件に応じて必要な項目(蒸し時間)のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業及び設定終了等の案内を行っているため、ユーザの設定動作を確実で容易なものとしている。
【0022】
[設定条件4]
図8は実施例1の炊飯器における設定条件4の設定動作を説明する図である。設定条件4は、実施例1の炊飯器における時刻合わせを行う場合の設定条件である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを複数回(5回)押圧して、「時刻合わせ」項目を選択する。このとき、図8の(a)に示すように現在の時刻が点滅表示され、この点滅表示から3秒後に「時刻を三角ボタンで合わせて下さい」との音声報知が行われる。ここで、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧すると時刻が進み、「左向きの黒三角」ボタン6gを押圧すると時刻が戻るよう構成されている。「右向きの黒三角」ボタン6f、又は「左向きの黒三角」ボタン6gが押圧された後、8秒後に待機状態に戻るとともに、「時刻を設定しました」の音声報知が行われる(図8の(c)参照)。
上記のように、設定条件4の設定動作において、選択した条件に応じて必要な項目(時刻合わせ)のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業及び設定終了の案内を行っている。このため、ユーザの設定動作は確実で容易なものとなっている。
【0023】
[設定条件5]
図9は実施例1の炊飯器における設定条件5の設定動作を説明する図である。設定条件5は、白米を予約炊飯する場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、入力手段6における「予約」ボタン6eの押しボタンスイッチを押圧すると、「予約1」の予め設定された炊き上がり時刻が表示され、点滅する(図9の(a)参照)。ここで「コース選択」ボタン6hと「右向きの黒三角」ボタン6f、又は「左向きの黒三角」ボタン6gを押圧することにより、前述のように、「メニュー」項目における選択、「お米」項目における選択、「炊き分け」項目における選択等の設定が行なわれる(図9の(b)参照)。このとき、各項目において音声報知が行われる。「コース選択」ボタン等を用いて予約炊飯の炊き上がり時刻以外の各条件が設定された後、「予約」ボタン6eを押圧すると、「予約1」の炊き上がり時刻が再度点滅状態となる(図9の(c)参照)。ここで、「予約」ボタン6eを押圧すると、「予約2」の別の予め設定されていた炊き上がり時刻が表示され、点滅する(図9の(d)参照)。このように炊き上がり時刻が点滅状態で表示された後、3秒後に「時刻を三角ボタンで合わせて下さい」と音声報知される。設定条件5においては、例えば炊き上がり時刻を「19時00分」に設定するために、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して時刻表示を「18時00分」から「19時00分」に進める。
【0024】
以上のように実施例1の炊飯器においては、「予約炊飯」の2つの条件設定を行うことができる。したがって、このように条件設定を行なった後において、「予約1」又は「予約2」のいずれかを選択した後、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチを押圧して予約炊飯動作を開始させる。このとき、すぐに予約完了の音声報知が行われる。例えば、「予約ができました。明日の午後7時ちょうどに炊き上げます」との音声報知が行われる。
実施例1の炊飯器では、「予約炊飯」動作において、表示窓8aに炊き上がり時刻が表示される。このとき、炊飯動作が始まった後には炊飯動作の残り時間を表示させることも可能である(図5の(e)参照)。
上記のように、設定条件5の設定動作において、「予約」ボタン6eを押圧して予約炊飯動作を行う場合においても、選択した条件に応じて必要な項目のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業及び設定した内容を案内している。このため、ユーザの設定動作は確実で、かつ容易なものとなっている。
【0025】
[「音声」ボタンの機能]
実施例1の炊飯器においては、入力手段6の中に「音声」ボタン6dの押しボタンスイッチが設けられている。この「音声」ボタン6dは、そのときの炊飯器の動作状態、又は設定状態を音声報知によりユーザに知らせるものである。例えば、前述の「予約炊飯」動作において、炊飯が始まる前に「音声」ボタン6dが押圧されると、例えば「今日の午後7時ちょうどに炊き上げます」と音声報知される。このとき、予約時から午前0時を超えた場合には「明日」から「今日」に変更される。また、炊飯が始まった後において「音声」ボタン6dが押圧されると、例えば「今日の午後7時ちょうどに炊き上げます」、又は「あと20分で炊き上がります」と音声で案内される。
なお、「音声」ボタン6dが押圧されて音声報知が行われる際には、ファンモータ7の駆動が停止されて静音化され、ユーザに対して音声報知が確実に届くよう構成されている。したがって、音声報知の時間は短く設定されており、ファンモータ7の停止を可能な限り短くしている。
【0026】
また、「音声」ボタン6dが押圧されて行われる音声報知は、低音域に比べ高音域を大きくした音質を用いることにより、高齢者の人でも、高音域の音が聞こえやすいように設定することが可能である。例えば、数百Hz〜数kHzの帯域の音圧レベルを全ての帯域で同じに設定するのではなく、2kHz〜4kHzの帯域の音圧レベルを数百Hz〜2kHzの帯域の音圧レベルよりも数dBA大きくする。大きくする方法としては、前記報知制御部の音声フレーズの電子データを予め、変更しておく方法や、報知手段9を構成するスピーカの周波数特性を低音域よりも高音域が大きくなるように設計しておく方法がある。
【0027】
実施例1の炊飯器においては、異常状態が特殊記号で表示手段8の表示窓8aに表示されるよう構成されている。例えば、鍋が炊飯器内に収納されていないときに、「炊飯」ボタン6aを押圧した場合、特殊記号「X1」が表示されるとともに、「鍋を入れて下さい」と音声報知される。また、炊飯器に布巾で覆った状態で炊飯動作等を行わせた場合には、特殊記号「X2]が表示されるとともに、「布巾を取り除いてください」と音声報知される。このような異常状態における音声報知の場合には、ユーザが予め設定している音量を無視して、当該炊飯器の音量設定範囲における予め設定された異常時報知の音量となる。さらに、実施例1の炊飯器は、炊飯動作終了後に保温動作が自動的に開始する構成であるが、長時間の保温動作を避けるため、予め設定した最大保温時間を超えたとき、保温動作を強制的に終了するよう構成されている。このように保温動作が終了された状態においては、ユーザにより「音声」ボタン6dが押圧されると、「長時間保温のため保温を取り消しました」との音声報知が行われる。したがって、ユーザはいつでも当該炊飯器がなぜ保温状態でないかを確実に把握することが可能となる。
なお、実施例1の炊飯器において、保温動作中の表示手段8の表示窓8aには現在までの保温時間のみが表示されている。このとき、「音声」ボタン6dが押圧されると、「現在の保温時間は○○時間です」と音声報知される。
【0028】
図10は実施例1の炊飯器において前述の「予約炊飯」を行った場合の鍋温度の推移を示すグラフである。図10において、下側の波形(P)は加熱手段3の駆動状態を示しており、加熱手段出力をオンオフで示している。上側のグラフ(T)は炊飯器内部に収納される鍋の温度[℃]を示している。
図10における時点Aにおいて、「予約炊飯」動作が開始され、時点Bまでが待機工程である。時点Bは「炊飯」動作が開始する時刻である。実施例1の炊飯器においては、時点Aから時点Bまでが常温(約20℃)による浸水工程であり、時点Bから時点Cまでが高温水(50℃〜60℃)による浸水工程である。実施例1の炊飯器においては、上記のように浸水時間とそのときの水温を調整するよう構成されており、これらの浸水時間と水温を考慮して炊き上げ工程、沸騰維持工程等の時間制御が行われている。
【0029】
図10の時点Cから時点Dが炊き上げ工程であり、加熱手段出力が常にオン状態となり、鍋温度を急速に上昇させている。時点Dから時点Eが沸騰状態を維持する沸騰維持工程であり、この沸騰維持工程の最終段階において高温度のスチームにより鍋温度を高温度に上昇させる。時点Eから時点Fは蒸らし工程であり、加熱手段出力が断続的なオンオフ状態である。時点Fが「予約炊飯」で設定した炊き上がり時刻であり、この時点Fにおいて炊飯動作は終了する。炊飯動作が終了すると、保温工程となり、鍋温度が約50℃から75℃の範囲内に維持されている。
【0030】
次に、実施例1の炊飯器の動作について図11〜図13に示すフローチャートを用いて説明する。
図11は条件設定時の報知手段9における音声報知動作を示すフローチャートである。図12は「音声」ボタン6dが押圧されたときの報知手段9の動作を示すフローチャートである。図13は異常状態における報知手段9の動作を示すフローチャートである。
【0031】
図11に示す報知手段9の音声報知動作について説明する。
まず、ステップ1において入力手段6の、例えば「コース選択」ボタン6hが押圧されると、炊飯器が設定可能な状態か否かが確認される(ステップ2)。炊飯器が設定可能な状態であれば、受付ブザー音(図11においては「受付BZ音」と表示)を出力する(ステップ3)。受付ブサー音が出力された後、第1の所定時間(T1)経過後(実施例1においては1秒経過後)に第1の操作内容、例えば「メニューを三角ボタンで選んで下さい」等が音声報知される(ステップ4、5)。さらに、第1の操作内容が音声報知された後、第2の所定時間(T2)経過後(実施例1においては3秒経過後)に第2の操作内容、例えば「炊飯ボタンを押して下さい」等が音声報知される(ステップ6、7)。
【0032】
一方、ステップ2において炊飯器が設定可能な状態でないと判断されると、第1の異常ブザー音(図11においては「第1の異常BZ音」と表示)を出力する(ステップ8)。
実施例1の炊飯器において、第1の異常ブザー音は、例えば「ピ、ピ」であり、前述の受付ブザー音は、例えば「ピ」である。第1の異常ブザー音は受付ブザー音より大きな音量で、高く長い音に設定してもよい。第1の異常ブザー音が出力された後、第3の所定時間経過(T3)後(実施例1においては1秒経過後)に設定不可状態に対応した内容、例えば「鍋を入れて下さい」等が音声報知される(ステップ9、10)。
【0033】
次に、入力手段6における「音声」ボタン6dが押圧されたときの報知手段9の動作について図12を参照しつつ説明する。
まず、図12におけるステップ11において入力手段6の「音声」ボタン6dが押圧されると、この「音声」ボタン6dが2秒以上押され続けているかが確認される(ステップ12)。「音声」ボタン6dが2秒以上押圧されていた場合には、音量設定モードとなる(ステップ13)。この音量設定モードにおいては、音声報知の音量が三角ボタンである「右向きの黒三角」ボタン6fと「左向きの黒三角」ボタン6gにより設定可能な状態となる。
【0034】
一方、「音声」ボタン6dが2秒以上押圧されていない場合には、表示手段8に異常状態が表示されているか否かが確認される(ステップ14)。このとき、表示手段8に異常状態が表示されていれば、その異常状態に対応した音声報知が行われる(ステップ15)。
表示手段8に異常状態が表示されていない場合には、予約待機工程又は炊飯工程であれば炊飯終了時刻を音声報知する(ステップ17)。また、コース選択中であれば、操作方法について音声報知する(ステップ19)。
さらに、ステップ20においては、音声報知が行われてから30秒経過したか否かが確認され(ステップ20)、30秒経過していた場合には「音声」ボタン6dの機能に関する説明を音声報知する(ステップ21)。一方、音声報知が行われてから30秒が経過していない場合には、ステップ22において報知手段9が最後に出力した報知内容(音声フレーズ)を音声報知する。
【0035】
次に、異常状態における報知手段9の動作について図13を参照しつつ説明する。この異常状態は炊飯器が動作中において異常状態を検知したときの動作である。
図13のステップ31において異常状態を炊飯器の制御部が検知すると、ステップ32で修理の要否を判断する。修理が必要であれば第2の異常ブザー音が出力される(ステップ33)。この第2の異常ブザー音は前述の第1の異常ブザー音と異なった音であり、例えばピー音が3回以上発生する。この第2の異常ブザー音に関しては、第1の異常ブザー音より大きな音量で、高く長い音に設定してもよい。
ステップ34において、表示手段8により当該異常状態を示す特殊記号が表示される。この異常状態は修理が必要な異常状態であるため炊飯動作等の動作は停止される。このとき、音声報知は行われない。このように音声報知を行わない理由は、動作中においてユーザが炊飯器の近くにいない場合が多く、以下に説明する「音声」ボタン6dをユーザが押圧することにより、ユーザはその異常状態を直ぐに確認することができるためである。この状態において、ユーザが「音声」ボタン6dを押圧すると、ステップ36で修理依頼の音声報知が行なわれる。例えば、「電源プラグを抜いて修理を依頼して下さい」と音声報知される。
【0036】
一方、ステップ32において修理が必要でないと判断された場合には、ステップ37において保温工程の経過時間が第4の所定時間(Th)、例えば96時間を越えたか否かが判断される。そのときの経過時間が第4の所定時間(Th)を超えている場合には、第2の異常ブザー音が出力される(ステップ38)。ステップ39において、表示手段8により当該異常状態を示す特殊記号が表示される。この異常状態においては保温工程が長時間行なわれていたため保温動作が停止されている。この状態において、ユーザが「音声」ボタン6dを押圧すると、ステップ41でユーザに保温動作停止の音声報知が行なわれる。例えば、「長時間保温のため保温を取り消しました」と音声報知される。
ステップ37において、保温工程の経過時間が第4の所定時間(Th)を超えていない場合には、ステップ42において第2の異常ブザー音が出力される。ステップ43において、表示手段8により当該異常状態を示す特殊記号が表示される。第2の異常ブザー音が報知され、表示手段8が当該異常状態を示す特殊記号を表示した後、第1の所定時間経過(T1)後(実施例1においては1秒経過後)に当該異常状態に対応した内容、例えば「布巾を取り除いて下さい」等が音声報知される(ステップ44、45)。
【0037】
以上のように構成された実施例1の炊飯器は、各種の機能を有する構成であるが、ユーザが容易に、且つ確実に炊飯条件を設定することができるとともに、設定後においてそのときの炊飯器の状態を容易に確認することができる。
また、実施例1の炊飯器は、表示手段8の表示窓8aにはユーザが設定すべき条件のみを表示するよう構成されており、かつ報知手段においてユーザが行うべき操作の案内を簡潔に報知しているため、優れた使い勝手を有する炊飯器となる。
さらに、実施例1の炊飯器においては、入力手段がいわゆる「三角ボタン」を用いて設定するよう構成されているため、設定すべき条件が多いにもかかわらず入力手段の押しボタンスイッチの数を減らすことが可能となり、取り扱いの容易な機器となる。
【実施例2】
【0038】
以下、本発明に係る実施例2の炊飯器について説明する。実施例2の炊飯器は、前述の実施例1の炊飯器と実質的に同じ構成を有しているが、報知手段の構成が異なっている。実施例2の炊飯器における報知手段はユーザの使用状態を考慮した動作を行うよう構成されている。
実施例1の炊飯器においては、条件設定時における報知手段からの音声報知が表示手段8に表示されてから予め決められた時間である3秒後に報知するよう構成されている。このように実施例1の炊飯器において、設定動作で表示から3秒後に音声報知が行われるよう構成されているのは、ユーザが使い慣れている人の場合には設定動作が3秒以内で行われるため、このような人の場合には音声報知を行う必要が無いためである。しかし、ユーザが製品を購入して使用する初期の段階においては、条件設定操作が不慣れであるため次操作の案内や現在の設定状態を常時詳細に確認する必要がある。したがって、実施例2の炊飯器においては、製品を購入して使用する初期の段階では音声報知を表示とともに行うよう構成されている。
【0039】
実施例2の炊飯器においては、「コース選択」ボタン6hを使用した、「メニュー」項目における選択動作、「お米」項目における選択動作、「炊き分け」項目における選択動作、「蒸し」項目における時間設定動作、「時刻合わせ」項目における調整動作、予約炊飯動作、及び音量切り換え動作等の条件設定動作の経過情報が記録されており、それぞれの使用頻度、及び使用回数を考慮して表示から音声報知までの時間が長くなるよう自動的に設定される。これは、ユーザが当該炊飯器の条件設定の操作になれた場合には、音声報知がその都度生じた場合に耳障りであり、また不要な動作であるためである。
上記のように構成された実施例2の炊飯器は、表示手段8による表示から報知手段9による音声報知までの時間を制御するよう構成されているため、ユーザにとって優れた使い勝手を有する炊飯器となる。
【0040】
なお、上記の実施例1及び実施例2の炊飯器においては、音声報知における報知内容(音声フレーズ)の例を具体的に開示したが、本発明はこれらの音声フレーズだけに限定されるものではない。例えば、ユーザが誤った操作を行ったときにその操作が誤操作であることを音声報知したり、ユーザが使用している炊飯器が特別の機能を有している場合に、その機能を音声報知すること等が含まれる。さらに具体的な例としては、「予約炊飯」できないメニューからユーザが予約炊飯の設定動作を行おうとした場合には、「このメニューは予約できません」と音声報知する。また、保温状態において、鍋温度が所定温度より低い場合に「再加熱」の設定をユーザが行った場合には、「ご飯の温度が低いため再加熱できません」との音声報知が行われる。
【0041】
また、本発明の炊飯器においては、音声報知の音量を1日における時間帯ごとに変化させるよう構成することが可能である。このように時間帯で音量変化を行うことにより、例えば深夜においては小さい音量又は消音して、睡眠中の人の迷惑とならないよう構成することが可能となる。さらに、炊飯器の周囲の音量を計測して、その周囲音量を考慮して音声報知の音量を調整するよう構成することも可能である。
上記の実施例1及び実施例2の炊飯器において具体的に説明したように、本発明に係る炊飯器は多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に炊飯条件を設定することができるとともに、設定後においてそのときの炊飯器の状態を容易に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に炊飯条件を設定することができる有用な炊飯器における機構を提供するものである。
【符号の説明】
【0043】
1 鍋
2 商用交流電源
3 加熱手段
4 駆動手段
5 電源回路
6 入力手段
6a 「炊飯」ボタン
6b 「取消/切」ボタン
6c 「保温」ボタン
6d 「音声」ボタン
6e 「予約」ボタン
6f 「右向きの黒三角」ボタン
6g 「左向きの黒三角」ボタン
6h 「コース選択」ボタン
7 ファンモータ
8 表示手段
8a 表示窓
9 報知手段
10 制御手段
11 蓋部
【技術分野】
【0001】
本発明は各種お米を調理するための電気調理器具である炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、お米を炊くための電気調理器具である炊飯器においては、お米をユーザの好みに応じて最適な状態で所望の時間に炊き上げるために、各種工夫が施されている。このような炊飯器においては、加熱温度、加熱時間、加熱位置などの各種の条件を炊き上がり時間を考慮して時間経過に応じて自動制御している。炊飯器で炊くべきお米の種類としては、白米はもとより玄米、無洗米などがあり、さらにお米の中にも各種銘柄米といわれているものがある。これらの各種お米に対して、炊飯器では加熱温度、加熱時間、加熱位置などの炊き方の条件が異なっている。このため、ユーザは炊くべきお米に合わせて好みの状態に炊き上げるべく炊飯器を設定する必要がある。また、近年の炊飯器においては、おかゆ、すし、炊き込みご飯などの各種のご飯が炊ける機能を有している。
前述のように、炊飯器においては、各種のお米を最適な状態で所望の時間に炊き上げるためにユーザが煩雑な操作を設定の度に行う必要があった。このような煩雑な設定操作をユーザが間違えることなく行えるよう、各操作スイッチの機能を音声で案内するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、従来の炊飯器においては、炊飯器自体に異常が生じた場合、炊飯器の表示部分に記号を表示するとともに、報知音を発生させてユーザに注意を喚起する構成のものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、炊飯器において鍋が収納されているか否かを検知して、鍋が収納されていないときには警報音を鳴らしてユーザに注意を喚起する構成のものもあった(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−137119号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】特開2002−142976号公報(第2−3頁)
【特許文献3】特公平4−40003号公報(第2頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示された炊飯器は、ユーザが操作スイッチにより設定するとき、その操作スイッチの機能の案内や設定時の状態を音声によりユーザが確認できるよう構成したものである。炊飯器においては、設定後に設定されている内容を確認したい場合がある。特に、予約炊飯を行った場合には、予約設定後において炊飯器の状況を確認したい場合がある。ここで、予約炊飯とは、ご飯等の出来上がり時刻をユーザが予め設定することである。予約炊飯の設定操作においては、ユーザが誤操作して誤った設定を行った場合には大きな問題となる。従来の炊飯器において、予約炊飯の設定には複数の操作スイッチを用いて設定を行っているため、誤操作や誤設定が生じやすく、このような誤操作や誤設定の発生抑制が炊飯器の分野における重要な課題であった。従来においては、設定操作時にのみ音声によりユーザに操作スイッチの機能を案内する構成の炊飯器は存在するが、設定後に設定内容を容易に確認できる構成や、設定操作時に誤りが生じていても容易に修正できる構成の炊飯器は存在しなかった。
【0005】
特許文献2や特許文献3に開示された炊飯器においては、炊飯器自体に異常が生じた場合、炊飯器の表示部分に記号を表示し、かつ報知音を発生させる構成である。しかし、ユーザは報知音だけでは炊飯器にどのような異常が生じているのかを認識することができず、また、記号の表示だけではその表示の内容をユーザが認識するために取扱説明書で確認しなければならなかった。
前述のように近年の炊飯器においては、ユーザが設定操作すべき条件は多種多様にわたっており、さらに最近の炊飯器には機能が増える傾向にある。このため、最近の炊飯器は、さらに煩雑な設定作業をユーザに要求する構成のものが増えてきている。このような多機能な炊飯器を容易に、且つ確実に設定操作できる構成がこの分野のこれからの重要な課題である。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決することを目的として、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に設定操作することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の炊飯器は、請求項1に記載したように、
鍋を加熱する加熱手段、
前記加熱手段の加熱状態を制御する駆動手段、
前記加熱手段と前記駆動手段に電力を供給する電源回路、
前記鍋の加熱状態の各種設定条件を入力するための入力手段、
前記入力手段からの設定条件が入力されて、当該設定条件に応じて前記駆動手段を制御する制御手段、
前記入力手段の設定条件又は前記駆動手段の制御状態を、前記入力手段及び前記制御手段の出力信号に応じて音又は音声により報知する報知手段、及び
前記制御手段からの信号が入力され、前記入力手段の設定条件を表示する表示手段、を具備する炊飯器であって、
前記制御手段は、前記入力手段の設定条件に応じて、前記表示手段により表示された内容を第1の所定時間経過後に前記報知手段が音声報知するように、前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間を変更するよう構成されている。このように構成された本発明の炊飯器は、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に設定操作することができるとともに、ユーザの操作状態に応じて音声報知行うことによりユーザに対して確実な操作を行わせることが可能となり、ユーザの使用状態が考慮された音声報知が可能となり、使い慣れたユーザに対しては音声報知を行わないよう設定することができる。
【0008】
本発明の炊飯器は、請求項2に記載したように、請求項1の炊飯器において、
前記制御手段が、前記入力手段の設定条件に応じて、前記報知手段が前記入力手段の設定方法を音声報知し、当該音声報知から第2の所定時間の間に前記入力手段において設定操作がないとき、前記報知手段による音声報知の内容が前記第2の所定時間経過後に設定動作を終了させる設定方法となるよう前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間と共に前記第2の所定時間を変更するよう構成されている。このように構成された本発明の炊飯器は、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に設定操作することができるとともに、使い慣れたユーザに対しては音声報知を行わないよう設定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に各種条件を設定操作することができるとともに、ユーザの操作状態に応じて音声報知を行うことによりユーザに対して確実な操作を行わせることが可能となり、ユーザの使用状態や使用環境に応じた音声報知が可能となり、優れた操作性を有する機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施例1の炊飯器の構成を示すブロック図
【図2】実施例1の炊飯器の平面図であり蓋部を上方から見た図
【図3】実施例1の蓋部に形成された入力手段6と表示手段8とを示す図
【図4】実施例1の炊飯器における入力手段6の押しボタンスイッチである「コース選択」をユーザが押圧する度に表示手段8の表示窓8aに順次表示される表示内容を示す図
【図5】実施例1の炊飯器における設定条件1の設定動作を説明する図
【図6】実施例1の炊飯器における設定条件2の設定動作を説明する図
【図7】実施例1の炊飯器における設定条件3の設定動作を説明する図
【図8】実施例1の炊飯器における設定条件4の設定動作を説明する図
【図9】実施例1の炊飯器における設定条件5の設定動作を説明する図
【図10】実施例1の炊飯器において前述の「予約炊飯」を行った場合の鍋温度の推移を示すグラフ
【図11】実施例1の炊飯器において、条件設定時における報知手段9の音声報知動作を示すフローチャート
【図12】実施例1の炊飯器において、「音声」ボタン6dが押圧されたときの報知手段9の動作を示すフローチャート
【図13】実施例1の炊飯器において、異常状態における報知手段9の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の炊飯器に係る好適な実施の形態を実施例として添付の図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明に係る実施例1の炊飯器の構成を示すブロック図である。図2は実施例1の炊飯器の平面図であり蓋部11を上方から見た図である。図3は実施例1の蓋部11に形成された入力手段6と表示手段8とを示す図である。
図1に示すように、実施例1の炊飯器は、収納した鍋1を取り囲むよう加熱手段3が配設されている。加熱手段3は鍋1の底面、上面、及び側面をそれぞれ加熱するよう複数の加熱部により構成されている。実施例1における加熱手段3は複数の誘導加熱コイルが鍋の周りに設けられて、鍋の各部分を所望の温度に加熱する構成である。実施例1の炊飯器においては、商用交流電源2からの電力が加熱手段3と電源回路5に供給される。電源回路5において所望の電圧に変換された駆動電源は、加熱手段3を駆動制御する駆動手段4とマイクロコンピュータで構成される制御手段10に供給される。制御手段10において処理された信号は、ファンモータ7、表示手段8、及び報知手段9に対して出力される。ファンモータ7は炊飯器における電気・電子回路の冷却を目的とするものである。表示手段8は入力手段6により設定される条件や炊飯器の状態を文字、記号等で表示する。報知手段9は音声又は音によりユーザに対して炊飯器の状態を報知するものであり、設定される条件や設定後の状態等が報知される。実施例1の炊飯器においては、報知手段9による音声報知により設定すべき条件や設定後の状態等を表示手段8による表示内容を補完している。実施例1における報知手段9はスピーカ及びブザーで構成されており、スピーカにより音声報知される。なお、報知内容(音声フレーズ)を記憶する記憶部と、この記憶部の報知内容をそのときの炊飯器の状態に応じてスピーカに報知させるための報知制御部は、制御手段10において構成されている。
【0013】
図2の炊飯器の平面図に示すように、実施例1の蓋部11における上面の正面側に入力手段6と表示手段8が集中して配置されている。また、実施例1の蓋部11には鍋内の蒸気圧を調整する蒸気蓋12が設けられている。実施例1の炊飯器における入力手段6は複数の押しボタンスイッチにより構成されており、表示手段8である四辺形状の表示窓8aにおける隣り合う2辺に近接して配置されている。実施例1における入力手段6の具体例としては、「炊飯」ボタン6a、「取消/切」ボタン6b、「保温」ボタン6c、「音声」ボタン6d、「予約」ボタン6e、「右向きの黒三角」ボタン6f、「左向きの黒三角」ボタン6g、及び「コース選択」ボタン6hの8個の押しボタンスイッチである。実施例1において、入力手段6と表示手段8が配設された蓋部11の上面は、実質的に平面に形成されている。
表示手段8は、図2に示すように、入力手段6の各押しボタンスイッチが操作されたときに、その設定すべき内容や、設定された内容を表示する。図2に示した表示手段8の表示状態は、全ての表示内容が表示窓8aに表示されている状態である。実施例1の炊飯器においては、表示手段8において表示される内容は、後述するように、ユーザがそのときに必要とする内容のみが表示されるよう設定されている。
【0014】
実施例1の炊飯器における表示手段8においては、メニューの中に、「ふつう」、「少量」、「早炊き」、「炊き込み」、「すし」、「おかゆ」、及び「お手入れ」のいずれかのコースを選択するよう構成されている。ここで、「ふつう」のコースを選択すると、この炊飯器に設定されている通常のお米の炊き方となる。なお、「お手入れ」が選択されると炊飯器内部の汚れやにおいを取るための処理が行われる。このとき、鍋内の水が加熱されて汚れなどを除去する。
実施例1の炊飯器により処理できるお米の種類としては、白米、無洗米、玄米、発芽玄米、及び雑穀米である。実施例1の炊飯器においては、これらのお米が選択され、選択されたお米に最適な状態で炊飯動作が行われる。
実施例1の炊飯器においては、炊飯器内部にスチーム発生機構が設けられており、炊飯及び保温の各動作において所定温度のスチームを発生させられるよう構成されている。表示手段8の表示項目における「炊きわけ」では3段階のスチーム温度が選択される。
また、実施例1の炊飯器においては、スチーム発生機構による蒸し時間を設定できるよう構成されている。
上記のように入力手段6を用いてユーザにより設定された条件は、マイクロコンピュータである制御手段10において処理され、表示手段8、報知手段9、及びファンモータ7に対して駆動信号が出力される。ファンモータ7は炊飯器における電気・電子回路の冷却を目的とする。
【0015】
以下、上記のように構成された実施例1の炊飯器における炊飯動作設定時の処理について具体的に説明する。
図4は実施例1の炊飯器における入力手段6の押しボタンスイッチである「コース選択」ボタン6hをユーザが押圧する度に表示手段8の表示窓8aに順次表示される表示内容を示す図である。図4において、(a)は待機状態における表示窓8aの表示内容を示す。この待機状態において、「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(b)に示す内容が表示される。このとき、「メニュー」項目における「ふつう」が点滅状態となる。
次に「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(c)に示す内容が表示される。このとき、「お米」項目における「白米」が点滅状態となる。さらに、「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(d)に示す内容が表示される。このとき、スチーム発生機構の温度設定が行われ、「炊き分け」項目の高温スチームにおける「中」が点滅状態となる。次に「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(e)に示す内容が表示される。このとき、「蒸し」項目における蒸し時間の初期値である「40」(分)が点滅状態となる。さらに、「コース選択」ボタン6hが押圧されると、図4の(f)に示すように、そのときの時刻が表示され、その時刻が点滅状態となる。この状態において時刻の調整を行うことが可能となる。上記のように、「コース選択」ボタン6hを押圧するごとに、設定すべき条件が点滅する。このように点滅している条件を変更する場合には、「右向きの黒三角」ボタン6f又は「左向きの黒三角」ボタン6gを押圧して所望の条件を選択する。実施例1の炊飯器においては、条件設定の各項目において、「右向きの黒三角」ボタン6f又は「左向きの黒三角」ボタン6gを用いているため、条件設定ポイントを左右へ移動させることにより選択することができる。この結果、実施例1の炊飯器においては、従来の炊飯器に比べて、ユーザによる設定操作を容易に、かつ速く行うことが可能となる。
【0016】
以下、実施例1の炊飯器における具体的な設定動作として設定条件1から設定条件5について添付の図4〜図11を用いて説明する。
【0017】
[設定条件1]
図5は実施例1の炊飯器における設定条件1の設定動作を説明する図である。設定条件1は、少量の無洗米をスチーム強状態で炊飯する場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを押圧して、図4の(b)に示す内容を表示させる。このとき、「メニュー」項目における「ふつう」が点滅状態となり、3秒後に音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との設定方法を示す報知が行われる。この「ふつう」が点滅状態において、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して「少量」を選択する(図5の(a)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧して、「お米」項目に移行させる。そして、「お米」項目に移行してから3秒後に、音声により「お米の種類を三角ボタンで選んで下さい」との設定方法を示す報知が行われる。ここで、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して「無洗米」を選択する(図5の(b)参照)。さらに、「コース選択」ボタン6hを押圧して、「炊き分け」項目に移行させる。このときも、「炊き分け」項目に移行してから3秒後に、音声により「炊き分けのスチーム強さを三角ボタンで選んで下さい」との設定方法を示す報知が行われる。そこで、高温スチームにおける「強」を「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して選択する(図5の(c)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧すると、図5の(d)示す表示状態となる。この表示状態は、「メニュー」項目が選択されている状態である。したがって、このとき音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われ、この音声報知が行われた後、3秒後に「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知が行われる。
【0018】
以上のように条件設定を行った後、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチが押圧されると炊飯動作が開始する。このとき、すぐに「炊飯を始めます」との音声報知があり、表示窓8aには炊飯動作の残り時間が表示される。図5の(e)においては、炊飯動作の残り時間として約50分を表示している。なお、図5の(e)に示す表示窓8aには、「容器水確認」の表示がある。これは、実施例1の炊飯器内にはスチーム発生機構が設けられており、このスチーム発生機構は水を貯めるための容器を有している。この容器内の水がスチーム動作において使用されるため、その水の有無の確認をユーザに注意している。
【0019】
なお、実施例1の炊飯器においては、「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知は、「お米」項目における「お米の種類を三角ボタンで選んで下さい」との音声報知から3秒後と、「炊き分け」項目における「炊き分けのスチーム強さを三角ボタンで選んで下さい」との音声報知から3秒後に行われる。この音声報知は、ユーザが条件設定の最終時に「炊飯」ボタン6aを押すことを案内するものであり、設定動作を終了させ炊飯動作の開始を確実にするものである。実施例1の炊飯器では、条件設定の動作において表示から3秒後に音声報知が行われる理由は、使い慣れている人が条件設定を行う場合、条件設定の動作が3秒以内で行われるため、このような人の場合には音声報知を行わないようにするためである。したがって、実施例1の炊飯器においては、設定動作が不慣れなユーザにのみ音声報知が行われるよう構成されている。
上記のように、設定条件1の設定動作において、「コース選択」ボタン6hを押圧して所望の条件を各項目で選択することにより、選択した条件に応じて必要な項目のみが表示手段8に表示され、所定時間経過後に音声報知によりユーザの次作業を案内しているため、ユーザの設定動作を確実で容易なものとしている。
【0020】
[設定条件2]
図6は実施例1の炊飯器における設定条件2の設定動作を説明する図である。設定条件2は、白米を通常の炊飯時間より早く炊き上げる場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを押圧すると、「メニュー」項目における「ふつう」が点滅状態となり、3秒後に音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われる。ここで、「メニュー」項目における「早炊き」を「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して選択する(図6の(a)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧して、「お米」項目に移行させると、3秒後に音声により「お米の種類を三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われる。ここで、「白米」を選択する(図6の(b)参照)。次に「コース選択」ボタン6hを押圧すると、図6の(c)示す表示状態となる。この表示状態は、「メニュー」項目が選択されている状態である。したがって、このとき音声により「メニューを三角ボタンで選んで下さい」との報知が行われる。この音声報知が行われた後、3秒後に「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知が行われる。ここで、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチを押圧すると、炊飯動作が開始する。このとき、表示窓8aには現在の時刻が表示される(図6の(d)参照)とともに、「炊飯を始めます」との音声報知が行われる。
実施例1の炊飯器において、上記のように「早炊き」が設定された場合には、炊飯動作の開始時には現在の時刻が表示され、炊飯動作開始後の約13分経過した後から炊飯動作の残り時間が表示される。
上記のように、設定条件2の設定動作において、「コース選択」ボタン6hを押圧することにより、選択した条件に応じた必要な項目のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業を案内しているため、ユーザの設定動作を容易なものとしている。このように、設定条件2の設定動作においては、設定条件1の場合に比べて設定すべき条件が少なくなっており、設定操作が容易なものとなっている。
【0021】
[設定条件3]
図7は実施例1の炊飯器における設定条件3の設定動作を説明する図である。設定条件3は、実施例1の炊飯器を用いて「蒸す」場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを複数回(4回)押圧して、「蒸す」項目を選択する。このとき、図4の(e)に示すように蒸し時間の「40」分が表示され、この表示から3秒後に「蒸し時間を三角ボタンで合わせて下さい」との音声報知が行われる。ここで、「右向きの黒三角」ボタン6fである温度が下降する方向の押しボタンスイッチを押圧すると、1度ずつ下降する(図7の(a)参照)。一方、「左向きの黒三角」ボタン6gである温度が上昇する方向の押しボタンスイッチを押圧すると、1度ずつ上昇する(図7の(b)参照)。実施例1の炊飯器においては、蒸し時間が40分以上に設定されると「高温スチーム」が作動するよう構成されている。
上記のように「蒸し時間を三角ボタンで合わせて下さい」との音声報知が行われた後、3秒後に「炊飯ボタンを押して下さい」との音声報知が行われる。ここで、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチが押圧されて蒸し調理が開始し、「蒸し調理を始めます」との音声報知が行なわれる。このとき、表示窓8aは図7の(c)に示すような案内表示となる。このときの案内表示は蒸し時間の残り時間表示となる。なお、蒸し調理が終了すると、「蒸し調理が終わりました」との音声報知が行われる。
上記のように、設定条件3の設定動作において、選択した条件に応じて必要な項目(蒸し時間)のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業及び設定終了等の案内を行っているため、ユーザの設定動作を確実で容易なものとしている。
【0022】
[設定条件4]
図8は実施例1の炊飯器における設定条件4の設定動作を説明する図である。設定条件4は、実施例1の炊飯器における時刻合わせを行う場合の設定条件である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、「コース選択」ボタン6hを複数回(5回)押圧して、「時刻合わせ」項目を選択する。このとき、図8の(a)に示すように現在の時刻が点滅表示され、この点滅表示から3秒後に「時刻を三角ボタンで合わせて下さい」との音声報知が行われる。ここで、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧すると時刻が進み、「左向きの黒三角」ボタン6gを押圧すると時刻が戻るよう構成されている。「右向きの黒三角」ボタン6f、又は「左向きの黒三角」ボタン6gが押圧された後、8秒後に待機状態に戻るとともに、「時刻を設定しました」の音声報知が行われる(図8の(c)参照)。
上記のように、設定条件4の設定動作において、選択した条件に応じて必要な項目(時刻合わせ)のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業及び設定終了の案内を行っている。このため、ユーザの設定動作は確実で容易なものとなっている。
【0023】
[設定条件5]
図9は実施例1の炊飯器における設定条件5の設定動作を説明する図である。設定条件5は、白米を予約炊飯する場合である。
前述の図4の(a)に示した待機状態において、入力手段6における「予約」ボタン6eの押しボタンスイッチを押圧すると、「予約1」の予め設定された炊き上がり時刻が表示され、点滅する(図9の(a)参照)。ここで「コース選択」ボタン6hと「右向きの黒三角」ボタン6f、又は「左向きの黒三角」ボタン6gを押圧することにより、前述のように、「メニュー」項目における選択、「お米」項目における選択、「炊き分け」項目における選択等の設定が行なわれる(図9の(b)参照)。このとき、各項目において音声報知が行われる。「コース選択」ボタン等を用いて予約炊飯の炊き上がり時刻以外の各条件が設定された後、「予約」ボタン6eを押圧すると、「予約1」の炊き上がり時刻が再度点滅状態となる(図9の(c)参照)。ここで、「予約」ボタン6eを押圧すると、「予約2」の別の予め設定されていた炊き上がり時刻が表示され、点滅する(図9の(d)参照)。このように炊き上がり時刻が点滅状態で表示された後、3秒後に「時刻を三角ボタンで合わせて下さい」と音声報知される。設定条件5においては、例えば炊き上がり時刻を「19時00分」に設定するために、「右向きの黒三角」ボタン6fを押圧して時刻表示を「18時00分」から「19時00分」に進める。
【0024】
以上のように実施例1の炊飯器においては、「予約炊飯」の2つの条件設定を行うことができる。したがって、このように条件設定を行なった後において、「予約1」又は「予約2」のいずれかを選択した後、「炊飯」ボタン6aの押しボタンスイッチを押圧して予約炊飯動作を開始させる。このとき、すぐに予約完了の音声報知が行われる。例えば、「予約ができました。明日の午後7時ちょうどに炊き上げます」との音声報知が行われる。
実施例1の炊飯器では、「予約炊飯」動作において、表示窓8aに炊き上がり時刻が表示される。このとき、炊飯動作が始まった後には炊飯動作の残り時間を表示させることも可能である(図5の(e)参照)。
上記のように、設定条件5の設定動作において、「予約」ボタン6eを押圧して予約炊飯動作を行う場合においても、選択した条件に応じて必要な項目のみが表示手段8に表示され、音声報知によりユーザの次作業及び設定した内容を案内している。このため、ユーザの設定動作は確実で、かつ容易なものとなっている。
【0025】
[「音声」ボタンの機能]
実施例1の炊飯器においては、入力手段6の中に「音声」ボタン6dの押しボタンスイッチが設けられている。この「音声」ボタン6dは、そのときの炊飯器の動作状態、又は設定状態を音声報知によりユーザに知らせるものである。例えば、前述の「予約炊飯」動作において、炊飯が始まる前に「音声」ボタン6dが押圧されると、例えば「今日の午後7時ちょうどに炊き上げます」と音声報知される。このとき、予約時から午前0時を超えた場合には「明日」から「今日」に変更される。また、炊飯が始まった後において「音声」ボタン6dが押圧されると、例えば「今日の午後7時ちょうどに炊き上げます」、又は「あと20分で炊き上がります」と音声で案内される。
なお、「音声」ボタン6dが押圧されて音声報知が行われる際には、ファンモータ7の駆動が停止されて静音化され、ユーザに対して音声報知が確実に届くよう構成されている。したがって、音声報知の時間は短く設定されており、ファンモータ7の停止を可能な限り短くしている。
【0026】
また、「音声」ボタン6dが押圧されて行われる音声報知は、低音域に比べ高音域を大きくした音質を用いることにより、高齢者の人でも、高音域の音が聞こえやすいように設定することが可能である。例えば、数百Hz〜数kHzの帯域の音圧レベルを全ての帯域で同じに設定するのではなく、2kHz〜4kHzの帯域の音圧レベルを数百Hz〜2kHzの帯域の音圧レベルよりも数dBA大きくする。大きくする方法としては、前記報知制御部の音声フレーズの電子データを予め、変更しておく方法や、報知手段9を構成するスピーカの周波数特性を低音域よりも高音域が大きくなるように設計しておく方法がある。
【0027】
実施例1の炊飯器においては、異常状態が特殊記号で表示手段8の表示窓8aに表示されるよう構成されている。例えば、鍋が炊飯器内に収納されていないときに、「炊飯」ボタン6aを押圧した場合、特殊記号「X1」が表示されるとともに、「鍋を入れて下さい」と音声報知される。また、炊飯器に布巾で覆った状態で炊飯動作等を行わせた場合には、特殊記号「X2]が表示されるとともに、「布巾を取り除いてください」と音声報知される。このような異常状態における音声報知の場合には、ユーザが予め設定している音量を無視して、当該炊飯器の音量設定範囲における予め設定された異常時報知の音量となる。さらに、実施例1の炊飯器は、炊飯動作終了後に保温動作が自動的に開始する構成であるが、長時間の保温動作を避けるため、予め設定した最大保温時間を超えたとき、保温動作を強制的に終了するよう構成されている。このように保温動作が終了された状態においては、ユーザにより「音声」ボタン6dが押圧されると、「長時間保温のため保温を取り消しました」との音声報知が行われる。したがって、ユーザはいつでも当該炊飯器がなぜ保温状態でないかを確実に把握することが可能となる。
なお、実施例1の炊飯器において、保温動作中の表示手段8の表示窓8aには現在までの保温時間のみが表示されている。このとき、「音声」ボタン6dが押圧されると、「現在の保温時間は○○時間です」と音声報知される。
【0028】
図10は実施例1の炊飯器において前述の「予約炊飯」を行った場合の鍋温度の推移を示すグラフである。図10において、下側の波形(P)は加熱手段3の駆動状態を示しており、加熱手段出力をオンオフで示している。上側のグラフ(T)は炊飯器内部に収納される鍋の温度[℃]を示している。
図10における時点Aにおいて、「予約炊飯」動作が開始され、時点Bまでが待機工程である。時点Bは「炊飯」動作が開始する時刻である。実施例1の炊飯器においては、時点Aから時点Bまでが常温(約20℃)による浸水工程であり、時点Bから時点Cまでが高温水(50℃〜60℃)による浸水工程である。実施例1の炊飯器においては、上記のように浸水時間とそのときの水温を調整するよう構成されており、これらの浸水時間と水温を考慮して炊き上げ工程、沸騰維持工程等の時間制御が行われている。
【0029】
図10の時点Cから時点Dが炊き上げ工程であり、加熱手段出力が常にオン状態となり、鍋温度を急速に上昇させている。時点Dから時点Eが沸騰状態を維持する沸騰維持工程であり、この沸騰維持工程の最終段階において高温度のスチームにより鍋温度を高温度に上昇させる。時点Eから時点Fは蒸らし工程であり、加熱手段出力が断続的なオンオフ状態である。時点Fが「予約炊飯」で設定した炊き上がり時刻であり、この時点Fにおいて炊飯動作は終了する。炊飯動作が終了すると、保温工程となり、鍋温度が約50℃から75℃の範囲内に維持されている。
【0030】
次に、実施例1の炊飯器の動作について図11〜図13に示すフローチャートを用いて説明する。
図11は条件設定時の報知手段9における音声報知動作を示すフローチャートである。図12は「音声」ボタン6dが押圧されたときの報知手段9の動作を示すフローチャートである。図13は異常状態における報知手段9の動作を示すフローチャートである。
【0031】
図11に示す報知手段9の音声報知動作について説明する。
まず、ステップ1において入力手段6の、例えば「コース選択」ボタン6hが押圧されると、炊飯器が設定可能な状態か否かが確認される(ステップ2)。炊飯器が設定可能な状態であれば、受付ブザー音(図11においては「受付BZ音」と表示)を出力する(ステップ3)。受付ブサー音が出力された後、第1の所定時間(T1)経過後(実施例1においては1秒経過後)に第1の操作内容、例えば「メニューを三角ボタンで選んで下さい」等が音声報知される(ステップ4、5)。さらに、第1の操作内容が音声報知された後、第2の所定時間(T2)経過後(実施例1においては3秒経過後)に第2の操作内容、例えば「炊飯ボタンを押して下さい」等が音声報知される(ステップ6、7)。
【0032】
一方、ステップ2において炊飯器が設定可能な状態でないと判断されると、第1の異常ブザー音(図11においては「第1の異常BZ音」と表示)を出力する(ステップ8)。
実施例1の炊飯器において、第1の異常ブザー音は、例えば「ピ、ピ」であり、前述の受付ブザー音は、例えば「ピ」である。第1の異常ブザー音は受付ブザー音より大きな音量で、高く長い音に設定してもよい。第1の異常ブザー音が出力された後、第3の所定時間経過(T3)後(実施例1においては1秒経過後)に設定不可状態に対応した内容、例えば「鍋を入れて下さい」等が音声報知される(ステップ9、10)。
【0033】
次に、入力手段6における「音声」ボタン6dが押圧されたときの報知手段9の動作について図12を参照しつつ説明する。
まず、図12におけるステップ11において入力手段6の「音声」ボタン6dが押圧されると、この「音声」ボタン6dが2秒以上押され続けているかが確認される(ステップ12)。「音声」ボタン6dが2秒以上押圧されていた場合には、音量設定モードとなる(ステップ13)。この音量設定モードにおいては、音声報知の音量が三角ボタンである「右向きの黒三角」ボタン6fと「左向きの黒三角」ボタン6gにより設定可能な状態となる。
【0034】
一方、「音声」ボタン6dが2秒以上押圧されていない場合には、表示手段8に異常状態が表示されているか否かが確認される(ステップ14)。このとき、表示手段8に異常状態が表示されていれば、その異常状態に対応した音声報知が行われる(ステップ15)。
表示手段8に異常状態が表示されていない場合には、予約待機工程又は炊飯工程であれば炊飯終了時刻を音声報知する(ステップ17)。また、コース選択中であれば、操作方法について音声報知する(ステップ19)。
さらに、ステップ20においては、音声報知が行われてから30秒経過したか否かが確認され(ステップ20)、30秒経過していた場合には「音声」ボタン6dの機能に関する説明を音声報知する(ステップ21)。一方、音声報知が行われてから30秒が経過していない場合には、ステップ22において報知手段9が最後に出力した報知内容(音声フレーズ)を音声報知する。
【0035】
次に、異常状態における報知手段9の動作について図13を参照しつつ説明する。この異常状態は炊飯器が動作中において異常状態を検知したときの動作である。
図13のステップ31において異常状態を炊飯器の制御部が検知すると、ステップ32で修理の要否を判断する。修理が必要であれば第2の異常ブザー音が出力される(ステップ33)。この第2の異常ブザー音は前述の第1の異常ブザー音と異なった音であり、例えばピー音が3回以上発生する。この第2の異常ブザー音に関しては、第1の異常ブザー音より大きな音量で、高く長い音に設定してもよい。
ステップ34において、表示手段8により当該異常状態を示す特殊記号が表示される。この異常状態は修理が必要な異常状態であるため炊飯動作等の動作は停止される。このとき、音声報知は行われない。このように音声報知を行わない理由は、動作中においてユーザが炊飯器の近くにいない場合が多く、以下に説明する「音声」ボタン6dをユーザが押圧することにより、ユーザはその異常状態を直ぐに確認することができるためである。この状態において、ユーザが「音声」ボタン6dを押圧すると、ステップ36で修理依頼の音声報知が行なわれる。例えば、「電源プラグを抜いて修理を依頼して下さい」と音声報知される。
【0036】
一方、ステップ32において修理が必要でないと判断された場合には、ステップ37において保温工程の経過時間が第4の所定時間(Th)、例えば96時間を越えたか否かが判断される。そのときの経過時間が第4の所定時間(Th)を超えている場合には、第2の異常ブザー音が出力される(ステップ38)。ステップ39において、表示手段8により当該異常状態を示す特殊記号が表示される。この異常状態においては保温工程が長時間行なわれていたため保温動作が停止されている。この状態において、ユーザが「音声」ボタン6dを押圧すると、ステップ41でユーザに保温動作停止の音声報知が行なわれる。例えば、「長時間保温のため保温を取り消しました」と音声報知される。
ステップ37において、保温工程の経過時間が第4の所定時間(Th)を超えていない場合には、ステップ42において第2の異常ブザー音が出力される。ステップ43において、表示手段8により当該異常状態を示す特殊記号が表示される。第2の異常ブザー音が報知され、表示手段8が当該異常状態を示す特殊記号を表示した後、第1の所定時間経過(T1)後(実施例1においては1秒経過後)に当該異常状態に対応した内容、例えば「布巾を取り除いて下さい」等が音声報知される(ステップ44、45)。
【0037】
以上のように構成された実施例1の炊飯器は、各種の機能を有する構成であるが、ユーザが容易に、且つ確実に炊飯条件を設定することができるとともに、設定後においてそのときの炊飯器の状態を容易に確認することができる。
また、実施例1の炊飯器は、表示手段8の表示窓8aにはユーザが設定すべき条件のみを表示するよう構成されており、かつ報知手段においてユーザが行うべき操作の案内を簡潔に報知しているため、優れた使い勝手を有する炊飯器となる。
さらに、実施例1の炊飯器においては、入力手段がいわゆる「三角ボタン」を用いて設定するよう構成されているため、設定すべき条件が多いにもかかわらず入力手段の押しボタンスイッチの数を減らすことが可能となり、取り扱いの容易な機器となる。
【実施例2】
【0038】
以下、本発明に係る実施例2の炊飯器について説明する。実施例2の炊飯器は、前述の実施例1の炊飯器と実質的に同じ構成を有しているが、報知手段の構成が異なっている。実施例2の炊飯器における報知手段はユーザの使用状態を考慮した動作を行うよう構成されている。
実施例1の炊飯器においては、条件設定時における報知手段からの音声報知が表示手段8に表示されてから予め決められた時間である3秒後に報知するよう構成されている。このように実施例1の炊飯器において、設定動作で表示から3秒後に音声報知が行われるよう構成されているのは、ユーザが使い慣れている人の場合には設定動作が3秒以内で行われるため、このような人の場合には音声報知を行う必要が無いためである。しかし、ユーザが製品を購入して使用する初期の段階においては、条件設定操作が不慣れであるため次操作の案内や現在の設定状態を常時詳細に確認する必要がある。したがって、実施例2の炊飯器においては、製品を購入して使用する初期の段階では音声報知を表示とともに行うよう構成されている。
【0039】
実施例2の炊飯器においては、「コース選択」ボタン6hを使用した、「メニュー」項目における選択動作、「お米」項目における選択動作、「炊き分け」項目における選択動作、「蒸し」項目における時間設定動作、「時刻合わせ」項目における調整動作、予約炊飯動作、及び音量切り換え動作等の条件設定動作の経過情報が記録されており、それぞれの使用頻度、及び使用回数を考慮して表示から音声報知までの時間が長くなるよう自動的に設定される。これは、ユーザが当該炊飯器の条件設定の操作になれた場合には、音声報知がその都度生じた場合に耳障りであり、また不要な動作であるためである。
上記のように構成された実施例2の炊飯器は、表示手段8による表示から報知手段9による音声報知までの時間を制御するよう構成されているため、ユーザにとって優れた使い勝手を有する炊飯器となる。
【0040】
なお、上記の実施例1及び実施例2の炊飯器においては、音声報知における報知内容(音声フレーズ)の例を具体的に開示したが、本発明はこれらの音声フレーズだけに限定されるものではない。例えば、ユーザが誤った操作を行ったときにその操作が誤操作であることを音声報知したり、ユーザが使用している炊飯器が特別の機能を有している場合に、その機能を音声報知すること等が含まれる。さらに具体的な例としては、「予約炊飯」できないメニューからユーザが予約炊飯の設定動作を行おうとした場合には、「このメニューは予約できません」と音声報知する。また、保温状態において、鍋温度が所定温度より低い場合に「再加熱」の設定をユーザが行った場合には、「ご飯の温度が低いため再加熱できません」との音声報知が行われる。
【0041】
また、本発明の炊飯器においては、音声報知の音量を1日における時間帯ごとに変化させるよう構成することが可能である。このように時間帯で音量変化を行うことにより、例えば深夜においては小さい音量又は消音して、睡眠中の人の迷惑とならないよう構成することが可能となる。さらに、炊飯器の周囲の音量を計測して、その周囲音量を考慮して音声報知の音量を調整するよう構成することも可能である。
上記の実施例1及び実施例2の炊飯器において具体的に説明したように、本発明に係る炊飯器は多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に炊飯条件を設定することができるとともに、設定後においてそのときの炊飯器の状態を容易に確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、多機能の炊飯器においてもユーザが容易に、且つ確実に炊飯条件を設定することができる有用な炊飯器における機構を提供するものである。
【符号の説明】
【0043】
1 鍋
2 商用交流電源
3 加熱手段
4 駆動手段
5 電源回路
6 入力手段
6a 「炊飯」ボタン
6b 「取消/切」ボタン
6c 「保温」ボタン
6d 「音声」ボタン
6e 「予約」ボタン
6f 「右向きの黒三角」ボタン
6g 「左向きの黒三角」ボタン
6h 「コース選択」ボタン
7 ファンモータ
8 表示手段
8a 表示窓
9 報知手段
10 制御手段
11 蓋部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋を加熱する加熱手段、
前記加熱手段の加熱状態を制御する駆動手段、
前記加熱手段と前記駆動手段に電力を供給する電源回路、
前記鍋の加熱状態の各種設定条件を入力するための入力手段、
前記入力手段からの設定条件が入力されて、当該設定条件に応じて前記駆動手段を制御する制御手段、
前記入力手段の設定条件又は前記駆動手段の制御状態を、前記入力手段及び前記制御手段の出力信号に応じて音又は音声により報知する報知手段、及び
前記制御手段からの信号が入力され、前記入力手段の設定条件を表示する表示手段、を具備する炊飯器であって、
前記制御手段は、前記入力手段の設定条件に応じて、前記表示手段により表示された内容を第1の所定時間経過後に前記報知手段が音声報知するように、前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間を変更するよう構成された炊飯器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記入力手段の設定条件に応じて、前記報知手段が前記入力手段の設定方法を音声報知し、当該音声報知から第2の所定時間の間に前記入力手段において設定操作がないとき、前記報知手段による音声報知の内容が前記第2の所定時間経過後に設定動作を終了させる設定方法となるよう前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間と共に前記第2の所定時間を変更するよう構成された請求項1に記載の炊飯器。
【請求項1】
鍋を加熱する加熱手段、
前記加熱手段の加熱状態を制御する駆動手段、
前記加熱手段と前記駆動手段に電力を供給する電源回路、
前記鍋の加熱状態の各種設定条件を入力するための入力手段、
前記入力手段からの設定条件が入力されて、当該設定条件に応じて前記駆動手段を制御する制御手段、
前記入力手段の設定条件又は前記駆動手段の制御状態を、前記入力手段及び前記制御手段の出力信号に応じて音又は音声により報知する報知手段、及び
前記制御手段からの信号が入力され、前記入力手段の設定条件を表示する表示手段、を具備する炊飯器であって、
前記制御手段は、前記入力手段の設定条件に応じて、前記表示手段により表示された内容を第1の所定時間経過後に前記報知手段が音声報知するように、前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間を変更するよう構成された炊飯器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記入力手段の設定条件に応じて、前記報知手段が前記入力手段の設定方法を音声報知し、当該音声報知から第2の所定時間の間に前記入力手段において設定操作がないとき、前記報知手段による音声報知の内容が前記第2の所定時間経過後に設定動作を終了させる設定方法となるよう前記報知手段に対して信号を出力し、前記入力手段で入力され前記表示手段により表示された設定条件毎の使用頻度又は使用回数に応じて、前記第1の所定時間と共に前記第2の所定時間を変更するよう構成された請求項1に記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−189868(P2009−189868A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131854(P2009−131854)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【分割の表示】特願2005−27761(P2005−27761)の分割
【原出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【分割の表示】特願2005−27761(P2005−27761)の分割
【原出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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