説明

炊飯器

【課題】蒸気導管を蓋体に対し片側に設けていても、炊飯中に蓋体が斜めにならないようにする炊飯器を提供する。
【解決手段】蓋体4の幅方向の片側に収納され、一端にパッキン6bを有する蒸気流出口6aが設けられ、炊飯中に発生する内釜2内の炊飯物からの蒸気を蒸気流出口6aへと導く蒸気導管6と、蓋体4が閉じられたときに蒸気導管6の蒸気流出口6aとパッキン6bを介在して接合される蒸気導入口22aが設けられたタンク蓋22を有し、蒸気導管6の蒸気流出口6aからタンク蓋22の蒸気導入口22aに流入する蒸気を冷却水によって復水して回収する水タンク21と、蓋体4の内釜2側と対向する周縁部4bのうち蒸気導管6の反対側に位置する周縁部4aに突出して設けられた弾性部材11とを備え、弾性部材11の突出の長さは、蓋体4が閉じられたときその蓋体4が水平になるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯中に発生する内釜内の蒸気を冷却水で復水して回収する水タンクを備えた炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器は、炊飯中に内釜内に発生した炊飯物からの蒸気を蒸気導管によって水タンクに導き、その蒸気を水タンク内の冷却水の中に放出させて復水している。その水タンクは、炊飯器本体の外側上部に着脱可能に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平03−231613号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蒸気導管は、蒸気が水タンク内の冷却水の中に放出された際、蒸気圧によって上方に押し上げられる。蒸気導管が蓋体に対し片側に設けられていた場合には、前述の如く蒸気導管が蒸気圧によって上方に押し上げられるので、蓋体は本体に対し斜めになり、蓋体と本体の間の隙間が不均一になる。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、蒸気導管を蓋体に対し片側に設けていても、炊飯中に蓋体が斜めにならないようにする炊飯器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る炊飯器は、一端が開閉自在に取り付けられた蓋体を有する炊飯器本体と、炊飯器本体に着脱可能に収納された内釜と、蓋体の幅方向の片側に収納され、一端にパッキンを有する蒸気流出口が設けられ、炊飯中に発生する内釜内の炊飯物からの蒸気を蒸気流出口へと導く蒸気導管と、蓋体が閉じられたときに蒸気導管の蒸気流出口とパッキンを介在して接合される蒸気導入口が蒸気導管と同じ片側に設けられたタンク蓋を有し、蒸気導管の蒸気流出口からタンク蓋の蒸気導入口に流入する蒸気を冷却水によって復水して回収する水タンクと、蓋体の内釜側と対向する面のうち蒸気導管の反対側に位置する面に突出して設けられた弾性部材とを備え、弾性部材の突出の長さは、蓋体が閉じられたときその蓋体が水平になるように設定されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、弾性部材の突出の長さを、蓋体が閉じられたときその蓋体が水平になるように設定し、しかも弾性部材を蒸気導管の反対側に位置する面に設けられているので、炊飯中に水タンク内に流入した蒸気の圧力により、蒸気導管が押し上げられて蓋体が斜めになることを抑えることが可能になり、このため、蓋体の水平状態を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の実施の形態に係る炊飯器を示す蓋体開放状態の斜視図、図2は実施の形態に係る炊飯器の蓋体の前部側を下方から見て示す拡大斜視図、図3は実施の形態に係る炊飯器の正面を切断して示す水タンク側の断面図、図4は蓋体が斜めになっている状態を示す水タンク側の断面図である。なお、図1に示す(11a)の符号は、他の形態として説明する。
【0008】
実施の形態の炊飯器は、図1に示すように、炊飯器本体1と、炊飯時に発生する蒸気を冷却水で復水して回収する水タンク21とで構成されている。炊飯器本体1には、外面が磁性体金属で構成された有底筒状の内釜2が着脱可能に収納され、炊飯器本体1の上部には、一端がヒンジ部3によって開閉自在に軸支された蓋体4が取り付けられている。蓋体4には、内釜2の上部開口を塞ぐ内蓋5が着脱可能に取り付けられている。この内蓋5の外周部には、内蓋5によって内釜2の上部開口が塞がれたときに内釜2のフランジ部2aに接して、内釜2の上部開口を密閉状態にするパッキン5bが取り付けられている。また、蓋体4には、内蓋5によって覆われた蓋放熱板が取り付けられており、蓋放熱板の内蓋5側の面の反対側の面に蓋ヒータが配設されている。さらに、蓋体4と内蓋5の間には蒸気導管6が設けられている。
【0009】
炊飯器本体1の内側には、何れの図にも示していないが、上部枠と、胴ヒータが配設された側面放熱板と、コイル台とによって構成された上部開口の有底筒状の保護枠が設けられている。この保護枠に前述した内釜2が収納される。保護枠のコイル台には、内釜2を誘導加熱する誘導コイルが設けられており、また、コイル台の中央部を貫通して内釜2の底部に接触する底温度センサが設けられている。
【0010】
水タンク21は、例えばプラスチックからなり、炊飯器本体1の前面側に着脱可能に取り付けられている。水タンク21の上部開口には、タンク蓋22が着脱可能な状態で嵌め込まれており、また、水タンク21には、上方から見てほぼC字状に形成されたタンクカバー23が着脱可能に取り付けられている。このタンクカバー23は、使用者が高温時の水タンク21に直接触れないようにするためと、炊飯器の意匠を損なわないようにするために設けられている。タンク蓋22には、蓋体4に設けられた蒸気導管6の蒸気流出口6aとパッキン6bを介在して接合されるほぼ四辺形の蒸気導入口22aが設けられている。タンク蓋22の蒸気導入口22aは、水タンク21側から見て左側に位置している。また、この蒸気導入口22aには、図3に示すように、水タンク21内に下方に延びる連通管22bが設けられている。
【0011】
蒸気導管6は、図3に示すように、前述した蒸気流出口6aがタンク蓋22の蒸気導入口22aに接合されるように、水タンク21側から見て、蓋体4の下面4aの左側に設けられた蓋凹部7に収納されている。この蒸気導管6は、内蓋5の蒸気排出口5aに接合された蒸気流入口(図示せず)を有している。
【0012】
前述した蓋凹部7は、タンク蓋22の蒸気導入口22a及び内蓋5の一部を覆うように蓋体4の長手方向に延びており、内蓋5側においては、内蓋5の蒸気排出口5aを覆うように内蓋5の中心軸方向に膨らんでおり、タンク蓋22側においては、図3に示すように、幅方向の寸法が内蓋5側と比べ狭くなって水タンク21の上方に位置する蓋体4の下面4aと一体になっている。
【0013】
蓋体4の下面4aと一体に形成された周縁部4bのうち、水タンク21側から見て、蓋体4の前部右側のコーナ近傍に位置する周縁部4bに弾性部材11が設けられている(図1及び図2参照)。この弾性部材11は、例えば耐熱性を有するゴム材よりなり、図3に示すように周縁部4bを貫通して突出している。弾性部材11の突出部分の長さは、例えば蓋体4が閉じられたときの蒸気流出口6aのパッキン6bの高さとほぼ同じになるように設定されている。つまり、蓋体4が閉じられたときのパッキン6bと弾性部材11とによって、蓋体4とタンク蓋22との間の隙間がほぼ均一になり、その状態が弾性部材11によって保たれている。
【0014】
前記のように構成された炊飯器においては、炊飯中に内釜2内の炊飯物から蒸気が発生すると、その蒸気は、内蓋5の蒸気排出口5aから蒸気導管6内に入り、蒸気導管6に導かれてタンク蓋22の蒸気導入口22aに至る。そして、水タンク21内に延びた連通管22bを通って冷却水の中に入っていく。この時、前記の弾性部材11がなかった場合、図4に示すように、連通管22b内の蒸気圧によって蒸気導管6の蒸気流出口6a側が上方に押し上げられて蓋体4が斜めになるが、本実施の形態では、蓋体4が閉じられたときのパッキン6bの高さとほぼ同じ弾性部材11がタンク蓋22に当たって蓋体4とタンク蓋22との間の隙間を保持し、しかも蓋体4の幅方向において弾性部材11が蒸気導管6の反対側の位置に設置されているので、連通管22b内の蒸気圧によって蒸気導管6側の蓋体4は押し上げられるが、その蓋体4の傾きは弾性部材11によって僅かで、弾性部材11の弾性力によってほぼ水平状態が保たれる。
【0015】
以上のように実施の形態によれば、蓋体4の下面4aと一体に形成された周縁部4bのうち、水タンク21側から見て、蓋体4の前部右側のコーナ近傍に位置する周縁部4bに、蓋体4を閉じた際にタンク蓋22に当たる弾性部材11を設けたので、炊飯中に水タンク21の連通管22b内に流入した蒸気の圧力により、蒸気導管6の蒸気流出口6a側が押し上げられて蓋体4が斜めになることを抑え、蓋体4の水平状態を保つことができる。
【0016】
なお、実施の形態では、弾性部材11を蓋体4の周縁部4bに設けたことを述べたが、例えば図1に示すように、炊飯器本体1の前部右側の角部に上方に突出する弾性部材11aを設けて、その弾性部材11aが蓋体4の周縁部4bに当たるようにしても良い。この弾性部材11aの突出部分の長さは、蓋体4が閉じられたとき、その蓋体4が水平になるように設定されている。
【0017】
また、弾性部材11を蓋体4の前部右側のコーナ近傍に位置する周縁部4b、或いは炊飯器本体1の前部右側の角部に設けたことを述べたが、これに限定されるものではなく、蓋体4を水平に保てる位置であれば何れでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器を示す蓋体開放状態の斜視図である。
【図2】実施の形態に係る炊飯器の蓋体の前部側を下方から見て示す拡大斜視図である。
【図3】実施の形態に係る炊飯器の正面を切断して示す水タンク側の断面図である。
【図4】蓋体が斜めになっている状態を示す水タンク側の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 炊飯器本体、2 内釜、2a フランジ、3 ヒンジ部、4 蓋体、4a 蓋体の下面、4b 周縁部、5 内蓋、5a 蒸気排出口、5b パッキン、6 蒸気導管、
6a 蒸気流出口、6b パッキン、7 蓋凹部、11 弾性部材、21 水タンク、
22 タンク蓋、22a 蒸気導入口、22b 連通管、23 タンクカバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が開閉自在に取り付けられた蓋体を有する炊飯器本体と、
前記炊飯器本体に着脱可能に収納された内釜と、
前記蓋体の幅方向の片側に収納され、一端にパッキンを有する蒸気流出口が設けられ、炊飯中に発生する前記内釜内の炊飯物からの蒸気を前記蒸気流出口へと導く蒸気導管と、
前記蓋体が閉じられたときに前記蒸気導管の蒸気流出口と前記パッキンを介在して接合される蒸気導入口が前記蒸気導管と同じ片側に設けられたタンク蓋を有し、前記蒸気導管の蒸気流出口から前記タンク蓋の蒸気導入口に流入する蒸気を冷却水によって復水して回収する水タンクと、
前記蓋体の前記内釜側と対向する面のうち前記蒸気導管の反対側に位置する面に突出して設けられた弾性部材とを備え、
前記弾性部材の突出の長さは、前記蓋体が閉じられたとき当該蓋体が水平になるように設定されていることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記蓋体側に代えて、前記炊飯器本体の蓋体側と対向する面のうち前記蒸気導管の反対側に位置する面に上方に突出して設けられていることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate