説明

炊飯器

【課題】従来の真空断熱構成の炊飯器では、減圧空間の封じ部から伝熱によって炊飯器の本体や蓋から外部に放熱されてしまう。また、IH炊飯器の電子部品を冷却するために設けられている冷却ファンによって、減圧空間の外側が冷却されることでより放熱を促進することになる。
【解決手段】本発明の炊飯器は、炊飯器本体1内に着脱自在に収納される内鍋3と、内鍋3の下方に位置し内鍋3を電磁誘導作用により発熱させる誘導コイル4と、フェライト5と、内鍋3と、誘導コイル4を内包する保護枠2と、誘導コイル4を制御する回路基板11とを備えた炊飯器において、誘導コイル4とフェライト5と保護枠2は熱的に接続されるようにした炊飯器とすることで、ご飯の食味を良好に保ちつつ、省エネルギー化を図った炊飯器を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性能を高めた炊飯器に関するものであり、特に、省エネ性能の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、炊飯器においては、ご飯の食味の良さが求められる一方で、二酸化炭素の排出量の削減の観点からより一層の省エネルギー化が求められている。炊飯器において、省エネルギー化を図るには、単純には炊飯時の総消費電力量を少なくすればよい。しかしながら、ご飯の食味を良くするには、より高火力で炊飯することが良いとされており、総消費電力量を少なくすることはご飯の食味を悪くすることにつながる。すなわち、省エネルギー化を図ることとご飯の食味を良くすることとは、トレードオフの関係にある。
【0003】
このような課題を改善する技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、既存の構造を変更することなく、保護枠と内鍋との間の空間の断熱性を高め、炊飯時および保温時の省エネ効果が得られるようにした炊飯器が記載されている。
【0004】
図6は、特許文献1に記載された従来例における炊飯器の断面図である。図6において、磁性材もしくは磁性材を備える材料で形成された内鍋38を取出自在に収納し得るように構成された炊飯器本体36と、炊飯器本体36の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体37と、前記内鍋38に渦電流を発生させて発熱させる電磁誘導コイルC1,C2とを備えた電気炊飯器において、前記炊飯器本体36の内周面を構成する保護枠39と前記内鍋38との間に、減圧空間35を設けて、従来から存在している空間(即ち、保護枠39と内鍋38との間の空間)を減圧するだけで、炊飯時および保温時における内鍋から外方への放熱が効果的に防止されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−110370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の構成では、構成の複雑さの割には内鍋からの放熱量を十分に低減することができないと考えられる。すなわち、減圧空間の封じ部から伝熱によって炊飯器の本体や蓋から外部に放熱されてしまう。また、IH炊飯器の電子部品を冷却するために設けられている冷却ファンによって、減圧空間の外側が冷却されることでより放熱を促進することになる。そもそも保護枠と内鍋との間の空間は、空気断熱層になっており、これを真空にしたとしても効果は少ない。
【0007】
従って、熱が炊飯器の外部に流出するのを抑えることを、前記、特許文献1とは違う構成で実現することが求められている。
【0008】
従って、本発明の目的は、前記従来の問題を解決することにあって、発生した熱が炊飯器の外部に流出することをより一層抑えることができる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、本体内に着脱自在に収納される
内鍋と、前記内鍋の下方に位置し内鍋を電磁誘導作用により発熱させる誘導コイルと、フェライトと、前記内鍋と前記誘導コイルを内包する保護枠と、前記誘導コイルを制御する回路基板とを備えた炊飯器において、前記誘導コイルと前記フェライトと前記保護枠は熱的に接続されるようにした炊飯器を提供する。
【0010】
本発明にかかる炊飯器によれば、内蓋と保護枠との間の空間の温度が、誘導コイルおよびフェライトの自己発熱によって上昇するとともに、誘導コイルおよびフェライトの自己発熱を保護枠に導くことで、内鍋と保護枠との間の温度勾配を小さくし内鍋からの放熱を抑制する。
【0011】
また、保護枠を金属とすることで内鍋からの放射熱を保護枠によって反射し内鍋からの放熱を抑制することができる。
【0012】
また、従来誘導加熱コイルから内鍋以外に漏れ出る電磁界を、反射板や防磁リングなどを発熱させて炊飯器本体外に漏れ出ることを防いでいたが、保護枠を磁性金属とし発熱させることで、内鍋からの放熱を抑制することができる。
【0013】
従って、鍋内で発生した排熱が炊飯器の外部に流出することをより一層抑えることができる。
【0014】
また、内鍋と保護枠との間の空間上部はシール部により囲まれ、いわゆる半閉鎖空間として形成されているので、内鍋と保護枠との間の空気が炊飯器の外部に流出することも抑えることができる。
【0015】
以上のことより、ご飯の食味を良好に保ちつつ、省エネルギー化を図ることができる。また、総消費電力量を従来と同じにした場合には、ご飯に加わる熱量を多くして、ご飯の食味をより良好にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の炊飯器は、内鍋と誘導コイルとフェライトを保護枠により内包し、かつ誘導コイルとフェライトと保護枠を熱的に接続することで、ご飯の食味を良好に保ちつつ、省エネルギー化を図った炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器用鍋を備えた炊飯器の断面図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における炊飯器用内鍋の平面図(b)本発明の実施の形態1における炊飯器用内鍋の縦断面図(c)本発明の実施の形態1における炊飯器用内鍋の下面図(d)本発明の実施の形態1における炊飯器用内鍋の要部拡大断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態1における炊飯器用内鍋磁性板の平面図(b)本発明の実施の形態1における炊飯器用内鍋磁性板の縦断面図(c)本発明の実施の形態1における炊飯器用内鍋磁性板の要部拡大断面図
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器の要部拡大断面図
【図5】本発明の実施の形態3における炊飯器の要部拡大断面図
【図6】従来の炊飯器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の発明は、本体内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋の下方に位置し内鍋を電磁誘導作用により発熱させる誘導コイルと、フェライトと、前記内鍋と前記誘導コイルを内包する保護枠と、前記誘導コイルを制御する回路基板とを備えた炊飯器において、前記誘導コイルと前記フェライトと前記保護枠は熱的に接続されるようにしたものである。
【0019】
これによって、内蓋と保護枠との間の空間の温度が、誘導コイルおよびフェライトの自己発熱によって上昇するとともに、誘導コイルおよびフェライトの自己発熱を保護枠に導くことで、内鍋と保護枠との間の温度勾配を小さくし内鍋からの放熱を抑制する。
【0020】
また、保護枠を金属とすることで内鍋からの放射熱を保護枠によって反射し内鍋からの放熱を抑制することができる。
【0021】
また、従来誘導コイルから内鍋以外に漏れ出る電磁界を、反射板や防磁リングなどを発熱させて炊飯器本体外に漏れ出ることを防いでいたが、保護枠を磁性金属とし発熱させることで、内鍋からの放熱を抑制することができる。
【0022】
従って、鍋内で発生した排熱が炊飯器の外部に流出することをより一層抑えることができる。
【0023】
また、内鍋と保護枠との間の空間上部はシール部により囲まれ、いわゆる半閉鎖空間として形成されているので、内鍋と保護枠との間の空気が炊飯器の外部に流出することも抑えることができる。
【0024】
以上のことより、ご飯の食味を良好に保ちつつ、省エネルギー化を図ることができる。また、総消費電力量を従来と同じにした場合には、ご飯に加わる熱量を多くして、ご飯の食味をより良好にすることができる。
【0025】
第2の発明は、特に、第1の発明における内鍋と保護枠の間には、前記誘導コイルと前記内鍋を仕切る仕切り板を有し、前記内鍋から順に前記仕切り板、前記誘導コイル、前記フェライト、前記保護枠によって構成されるようにした炊飯器とすることにより、内鍋の発熱と誘導コイルおよびフェライトの自己発熱を保護枠によって封じ込むことができ、より省エネルギー化を図ることができる。また、磁束密度を向上し誘導コイルからの磁束を効率よく内鍋に伝えることができるため熱効率を良くすることができる。
【0026】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の保護枠は金属材料で構成した炊飯器とすることにより、誘導コイルおよびフェライトの自己発熱の一部を保護枠上部に熱伝導し易くなることで、内鍋の側面に加熱ヒータなどを設けなくとも内鍋の側面を加熱することが可能となる。従来は炊飯加熱に利用していなかった誘導コイルやフェライトの発熱を炊飯加熱に利用するため、ご飯の食味を良好に保ちつつ、省エネルギー化を図ることができる。
【0027】
第4の発明は、特に、第3の発明における誘導コイルと前記フェライトと前記保護枠は電気的に分離するように構成した炊飯器とすることにより、誘導コイルの絶縁耐圧を確保し安全性を高めることでより、信頼性の高い炊飯器とすることができる。
【0028】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明における回路基板および前記誘導コイルを冷却する冷却ファンを設けない構成とした炊飯器とすることにより、誘導コイルや保護枠がファンで強制冷却されないため内鍋の発熱が外部に強制的に放熱されることを防ぐことができる。
【0029】
また、内鍋と保護枠との間の空間に冷却風が入り込み、内鍋と保護枠との間の空気が炊飯器の外部に流出することも抑えることができる。
【0030】
よって、内鍋の発熱と誘導コイルおよびフェライトの自己発熱を保護枠によって封じ込
むことができ、より省エネルギー化を図ることができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における炊飯器用鍋を備えた炊飯器の断面図、図2(a)は同炊飯器用内鍋の平面図、(b)は同炊飯器用内鍋の縦断面図、(c)は同炊飯器用内鍋の下面図、(d)は同炊飯器用内鍋の要部拡大断面図、図3(a)は同炊飯器用内鍋磁性板の平面図、(b)は同炊飯器用内鍋磁性板の縦断面図、(c)は同炊飯器用内鍋磁性板の要部拡大断面図を示したものである。
【0033】
図1において、炊飯器本体1は、上面が開口しており、この炊飯器本体1の内部に配設した金属製の保護枠2に、内鍋3が着脱自在に収納されるようになっていて、この内鍋3の下方に位置し保護枠2の内側に加熱手段である誘導コイル4を設けており、誘導コイル4の磁束を集中させるためにフェライト5が設けている。
【0034】
内鍋3と誘導コイル4との間には絶縁体の仕切り板6が設けられている。内鍋3に米と水を入れて、誘導コイル4で内鍋3を加熱することによって炊飯するようにしている。保護枠2と内鍋3と仕切り板6で囲まれた空間は密閉空間であり外部からの空気の流出入は極めて少なく設計されている。
【0035】
また、誘導コイル4とフェライト5と保護枠2は熱的に接続されており、誘導コイル4とフェライト5の自己発熱は保護枠2に伝熱され、保護枠2の上部の温度が上昇するように設計されている。
【0036】
また、通常誘導加熱方式の炊飯器においては誘導コイル4と駆動回路(図示せず)を冷却するための冷却ファンを設けるが、本構成では保護枠2と仕切り板6によって内鍋3の発熱を封じ駆動回路に伝えない構成としているため、ご飯を加熱する実質的な加熱性能が向上し、低電流かつ、低電力量で炊飯することが可能となる。よって、駆動回路の主要発熱部品の発熱量を低減することができ、冷却ファンを設けない駆動回路の設計が可能となるものである。
【0037】
上記内鍋3は、図2(a)〜図2(d)に示すアルミニウムで構成された内鍋3と、図3(a)〜図3(c)に示すように、内鍋3の底面の外面に配設して、内鍋3の底面投影面よりその外径が内側に位置するように設けられたステンレスなどの磁性金属で構成された内鍋磁性板26とから構成されている。
【0038】
なお、図2(d)は、図2(b)のA部の拡大断面図を示すものであり、図3(C)は、図3(b)のB部の拡大断面図を示すものである。
【0039】
内鍋3および内鍋磁性板26は底面における中心から側面に至る略中間部(本実施の形態では中心と側面の3等分割点における側面から1/3とした)を通る任意の外周上を起点とし、中心方向および側面方向に繋がる曲面において、起点が内鍋3全高の最下点となるように成形されている。
【0040】
この内鍋3の底面の内面の適所に複数の凹部27を配設するとともに、内鍋3の底面の外面に複数の凸部28を同時に配設し、且つ、凸部28に対応する内鍋磁性板26に内鍋3の底面に向かって凸となるような略バーリング形状に開口させた複数の内鍋繋止部29を配設するとともに、内鍋3の凸部28と内鍋磁性板26の内鍋繋止部29を合わせて圧
着して、内鍋3に内鍋磁性板26を固定した構成としてある。
【0041】
また、内鍋3の底面の内外面に配設する凹部27と凸部28は内鍋3の中心を中心とする複数の同心円上に略等分に配置してあるとともに、凹部27と凸部28の位置が重ならないように、上述の凹部27と凸部28を配置する同心円の径を互い違い、例えば、隣り合う凹部27の間に凸部28の同心円が位置するように、或いは、隣り合う凸部28の間に凹部27の同心円が位置するように配置してあり、これにより、凹部27と凸部28の位置が干渉しなくなるようにしてある。
【0042】
このように、内鍋3の底面の内面に配設する複数の凹部27は、内鍋3の底面の外面に配設する複数の凸部28の位置が重ならないように配置してある。
【0043】
また、炊飯器本体1の上部には、炊飯器本体1の上面開口部を覆うように回動自在に取付けられた蓋7が設けてあり、内方に内鍋パッキン8を備えた放熱板9が取り付けられており、炊飯器本体1の下部には、内鍋3の温度を検知する内鍋温度検知手段10が設けてある。
【0044】
そして、制御手段である回路基板11によって、内鍋3の温度を検知する内鍋温度検知手段10に基づき、所定のシーケンスで加熱手段である誘導コイル4をコントロールすることによって炊飯工程が実施される。
【0045】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯工程の動作、作用を説明する。
【0046】
ユーザが、炊飯を行う米とその米量に対応する水とを内鍋3に入れ、炊飯器本体1に内装する。更にユーザが炊飯開始スイッチ(図示しない)を操作すると、炊飯工程が実施される。炊飯工程は、時間順に前炊き、炊き上げ、沸騰維持、蒸らしに大分される。
【0047】
前炊き工程において、内鍋3の温度が米の吸水に適した温度(50℃)になるように誘導コイル4への入力を制御し、内鍋3内の米と水とを加熱する。次に、炊き上げ工程において、内鍋3の温度が所定値(100℃)になるまで誘導コイル4への通電によって内鍋3を所定の熱量で加熱する。
【0048】
この時の温度上昇速度によって、炊飯量を判定する。沸騰維持工程において、内鍋3の水が無くなり、内鍋3の温度が100℃を超えた所定値になるまで、誘導コイル4に通電し、米と水を加熱する。最後に蒸らし工程において、一定時間の間に複数回、炊飯量に応じた誘導コイル4及び加熱板加熱手段(図示しない)による加熱(追い炊き)と加熱の停止(休止)を繰り返す。
【0049】
炊飯工程において、内鍋3と保護枠2との間の空間の温度が、誘導コイル4およびフェライト5の自己発熱によって上昇するとともに、誘導コイル4およびフェライト5の自己発熱を保護枠2に導くことで、内鍋3と保護枠2との間の温度勾配を小さくし内鍋3からの放熱を抑制する。
【0050】
また、保護枠2を金属とすることで内鍋3からの放射熱を保護枠2によって反射し内鍋3からの放熱を抑制することができる。
【0051】
また、従来、誘導コイル4から内鍋3以外に漏れ出る電磁界を、反射板や防磁リングなどを発熱させて炊飯器本体1外に漏れ出ることを防いでいたが、保護枠2を磁性金属とし発熱させることで、内鍋3からの放熱を抑制することができる。
【0052】
また、内鍋3と保護枠2との間の空間上部はシール部により囲まれ、いわゆる半閉鎖空間として形成されているので、内鍋3と保護枠2との間の空気が炊飯器本体1の外部に流出することも抑えることができる。
【0053】
以上のことより、ご飯の食味を良好に保ちつつ、省エネルギー化を図ることができる。また、総消費電力量を従来と同じにした場合には、ご飯に加わる熱量を多くして、ご飯の食味をより良好にすることができる。
【0054】
また、内鍋3と保護枠2の間には、誘導コイル4と内鍋3を仕切る仕切り板6を有し、内鍋3から順に仕切り板6、誘導コイル4、フェライト5、保護枠2によって構成することにより、内鍋3の発熱と誘導コイル4およびフェライト5の自己発熱を保護枠2によって封じ込むことができ、より省エネルギー化を図ることができる。
【0055】
また、磁束密度を向上し誘導コイル4からの磁束を効率よく内鍋3に伝えることができるため熱効率が良い。
【0056】
また、保護枠2は金属材料であるため、誘導コイル4およびフェライト5の自己発熱の一部を保護枠2の上部に熱伝導し易くなることで、内鍋3の側面に別途加熱ヒータなどを設けなくとも内鍋3の側面を加熱することが可能となる。
【0057】
従来は、炊飯加熱に利用していなかった誘導コイル4やフェライト5の発熱を炊飯加熱に利用するため、ご飯の食味を良好に保ちつつ、省エネルギー化を図ることができる。
【0058】
また、冷却ファンを設けないことで、炊飯器本体1外の油煙や埃を炊飯器本体1内部に吸い込む恐れがないため、信頼性が高い炊飯器とすることができるものである。
【0059】
(実施の形態2)
図4は本発明の第2の実施の形態における炊飯器の要部拡大断面図を示したものである。
【0060】
図4において、金属製の保護枠2に、内鍋3が着脱自在に収納されるようになっていて、この内鍋3の下方に位置し保護枠2の内側に加熱手段である誘導コイル4を設けており、誘導コイル4の磁束を集中させるためにフェライト5が設けている。
【0061】
内鍋3と誘導コイル4との間には絶縁体の仕切り板6が設けられている。誘導コイル4とフェライト5の間と、フェライト5と保護枠2の間にはそれらを電気的に絶縁する絶縁板30を設けている。
【0062】
その他の構成においては実施の形態1に示す炊飯器と同等とした。
【0063】
以上の構成とすることにより、誘導コイル4の絶縁耐圧を確保し安全性を高めるとともに、誘導コイル4およびフェライト5の自己発熱を保護枠2に熱伝導する際の熱抵抗を自在に設定し、誘導コイル4の温度を安全基準値未満に抑えながら、必要以上に保護枠2に伝熱され保護枠2から炊飯器本体1の外部へ放熱してしまう熱量を最小限にすることができる。
【0064】
すなわち、炊飯性能から導かれる各炊飯工程における必要熱量によって、誘導コイル4およびフェライト5の自己発熱を保護枠2に熱伝導させる熱量を導き、それに見合う熱抵抗を絶縁板30の材質や厚みの各パラメーターに反映させれば良い。
【0065】
以上より、誘導コイル4の絶縁耐圧を確保し安全性を高め、炊飯器本体1の外部へ放熱してしまう熱量を最小限にすることでより省エネ性能と信頼性の高い炊飯器とすることができる。
【0066】
(実施の形態3)
図5は本発明の第3の実施の形態における炊飯器の要部拡大断面図を示したものである。
【0067】
図5において、金属製の保護枠2に、内鍋3が着脱自在に収納されるようになっていて、この内鍋3の下方に位置し保護枠2の内側に加熱手段である誘導コイル4を設けており、誘導コイル4の磁束を集中させるためにフェライト5が設けている。
【0068】
内鍋3と誘導コイル4との間には絶縁体の仕切り板6が設けられている。保護枠2と炊飯器本体1との間には遮熱板40を設けている。その他の構成においては実施の形態1に示す炊飯器と同等とした。
【0069】
以上の構成とすることにより、保護枠2と遮熱板40の間は密閉された空気断熱層が形成され、遮熱板40から外部への放射熱および対流伝熱を抑制し駆動回路部などへの熱的悪影響を最小限にとどめることができる。また、内鍋3からの放熱をさらに抑制することで入力電力を少なくすることができ、省エネ性能を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明の炊飯器は、内鍋からの放熱を最小限に抑え、省エネ性能を向上することができ、家庭用または業務用の炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0071】
1,36 炊飯器本体
2、39 保護枠
3、38 内鍋
4 誘導コイル
5 フェライト
6 仕切り板
11 回路基板(制御手段)
26 内鍋磁性板
27 凹部
28 凸部
29 内鍋繋止部
30 絶縁板
40 遮熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体内に着脱自在に収納される内鍋と、
前記内鍋の下方に位置し前記内鍋を電磁誘導作用により発熱させる誘導コイルと、フェライトと、
前記内鍋と前記誘導コイルを内包する保護枠と、
前記誘導コイルを制御する回路基板とを備えた炊飯器において、
前記誘導コイルと前記フェライトと前記保護枠は熱的に接続されるようにした炊飯器。
【請求項2】
前記内鍋と前記保護枠の間には、前記誘導コイルと前記内鍋を仕切る仕切り板を有し、前記内鍋から順に前記仕切り板、前記誘導コイル、前記フェライト、前記保護枠によって構成される請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記保護枠は金属材料で構成した請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記誘導コイルと前記フェライトと前記保護枠は電気的に分離するように構成した請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記回路基板および前記誘導コイルを冷却する冷却ファンを設けない構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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