説明

炊飯装置

【課題】米飯をより熱効率良く炊飯することができ、さらには、炊き上がる米飯の食味をより一層向上させることができる炊飯装置を提供する。
【解決手段】炊飯釜12が炊飯位置にセットされたときに、前記炊飯釜12の底面の中心部近傍を加熱する位置に配置された内輪バーナ3と、前記炊飯釜12の底面外周部を加熱し、かつ、前記炊飯釜12の底面の中心部に向かって燃焼する位置に配置された外輪バーナ4とを備える炊飯装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯装置に関し、詳細には、高い熱効率で食味の良い米飯を炊飯することができる炊飯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炊飯装置に関しては多数の提案が為されている。中でも、比較的多量の米飯を一気に炊き上げる業務用の炊飯装置に関しては、いかに熱効率良く低いエネルギーコストで米飯を炊き上げるかが大きな課題となっており、例えば、特許文献1、2においては、かまど(竈)内の炊飯位置に炊飯釜をセットしたときに炊飯釜の底面を加熱する位置に、燃焼効率の高い表面燃焼式バーナを配置し、これを加熱源とすることによって、熱効率の良い炊飯を可能にした炊飯装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、表面燃焼式バーナに供給する一次空気の量を減らすとともに、バーナプレートの表面近傍に設けられた空気口から二次空気を供給することによって、表面燃焼式バーナと同じく多孔性のバーナプレートを用いながら、火炎を伴った輻射燃焼を行わせるようにし、熱効率が良く、かつ、ムラのない炊飯を可能にした炊飯装置が開示されている。
【0004】
これら従来の炊飯装置によれば、いずれも、加熱手段における燃焼効率が高く、熱効率の良い炊飯が可能であるが、熱効率をさらに向上させることができれば、省エネルギー的にも、また、二酸化炭素の排出量の削減の点からも好ましいものである。また、家庭用の炊飯器とは違って、業務用の炊飯装置においては、これまでは熱効率が重視され、ややもすれば炊き上がる米飯の食味に関しては後回しにされる傾向にあるが、業務用の炊飯装置においても食味の良い米飯を炊き上げることができれば、より好ましいことは勿論である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−224499号公報
【特許文献2】特開2005−69641号公報
【特許文献3】特開2006−145104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、業務用の炊飯装置に求められている上記の課題を解決するために為されたもので、米飯をより熱効率良く炊飯することができ、さらには、炊き上がる米飯の食味をより一層向上させることができる炊飯装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、従来は、炊飯位置にセットされた炊飯釜の底面と対向する位置にほぼ均等に配置されていたバーナを、炊飯釜の底面の中心部近傍を加熱する内輪バーナと、炊飯釜の底面の外周部を加熱する外輪バーナとに分割し、かつ、外輪バーナを炊飯釜の底面中心部に向かって燃焼する向きに配置することによって、バーナから発生する高温の燃焼ガスを、より有効に炊飯釜の加熱に利用することができることを見出して、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、炊飯釜が炊飯位置にセットされたときに、前記炊飯釜の底面の中心部近傍を加熱する位置に配置された内輪バーナと、前記炊飯釜の底面の外周部を加熱し、かつ、前記炊飯釜の底面の中心部に向かって燃焼する位置に配置された外輪バーナとを備える炊飯装置を提供することによって、上記の課題を解決するものである。
【0009】
本発明の炊飯装置によれば、上記のとおり、外輪バーナは、炊飯釜の底面の外周部を加熱し、かつ、炊飯釜の底面の中心部に向かって燃焼する位置に配置されているので、その最高高温部からの放射熱によって炊飯釜の底面の外周部が加熱されるとともに、発生した高温の燃焼ガスは炊飯釜底面の中心部に向かって噴出する。噴出した高温の燃焼ガスは、炊飯釜底面を加熱しつつ、まずは炊飯釜底面中心部に向かって進行するが、内輪バーナで発生した燃焼ガスと衝突、混合して次第に速度を落とし、やがて進行方向を反転して、今度は、内輪バーナで発生した燃焼ガスととともに、炊飯釜の底面を加熱しつつ炊飯釜の底面外周部へと向かうことになる。炊飯釜の底面外周部に到達した外輪バーナの燃焼ガスと内輪バーナの燃焼ガスは、炊飯釜の側面を加熱しつつ、炊飯釜の側壁と炊飯釜を収容するかまど(竈)の内周面との間に形成される燃焼ガス通路を上昇し、かまど上部と炊飯釜との間に形成される燃焼ガスの排気口から外部へと排出されることになる。
【0010】
このように、本発明の炊飯装置によれば、外輪バーナから発生される燃焼ガスは、一旦炊飯釜の底面中心部へと向かった後、内輪バーナが発生する燃焼ガスと衝突、混合し、進行方向を反転させて炊飯釜の底面外周部へと向かい、その後、炊飯釜の側面に沿って上昇するので、炊飯釜の底面や側面と広い範囲で長時間にわたって接触することになる。このため、持っている燃焼熱をより有効に炊飯釜に伝達することが可能となる。また、内輪バーナで発生する高温の燃焼ガスも、炊飯釜の底面中心部に向かって噴出する外輪バーナの燃焼ガスと衝突し、混じり合うことによって、その進行速度が低下するので、炊飯釜底面との接触時間が長くなり、持っている燃焼熱をより有効に炊飯釜に伝達することが可能となる。このため、本発明の炊飯装置によれば、内輪及び外輪バーナの燃焼ガスが持っている燃焼熱をより効率的に炊飯釜に伝達することができ、熱効率を向上させることができるという利点が得られる。
【0011】
本発明の炊飯装置は、その好適な一態様において、前記内輪バーナと前記外輪バーナの燃焼を、互いに独立して、或いは、互いに連動させて、制御する制御装置が設けられているのが望ましい。さらに望ましくは、前記制御装置は、前記内輪バーナと前記外輪バーナの燃焼を制御して、前記炊飯釜の底面外周部を底面中心部近傍よりも強く加熱して前記炊飯釜内にその側壁内面に沿って上昇する対流を起こさせる第一燃焼モードで燃焼させる手段と、前記炊飯釜の底面中心部近傍を底面外周部よりも強く加熱して前記炊飯釜内にその中心部を上昇する対流を起こさせる第二燃焼モードで燃焼させる手段を備えているのが良い。
【0012】
本発明の炊飯装置における制御装置が上記のような手段を備えている場合には、制御装置によって、内輪バーナと外輪バーナの燃焼を制御して、一方による炊飯釜の加熱を他方による炊飯釜の加熱よりも強くしたり弱くしたりすることによって、炊飯途中の炊飯釜内に所望の向きの熱対流を生じさせたり、適宜のタイミングで熱対流の向きを逆転させたりすることができので、より均一な加熱炊飯が可能となり、炊き上がる米飯のより一層の食味向上を図ることができる。
【0013】
なお、本発明の炊飯装置に用いられる内輪及び外輪バーナとしては、放射熱と燃焼ガスとによって炊飯釜を加熱することができる限り、どのような機構、構造のバーナを用いても良いが、高い熱効率が得られるという観点からは、例えば、表面燃焼式バーナやブラストバーナが好ましく、中でも、耐熱性の金属繊維をニット状に編み込んだ多孔質の部材をバーナプレートとする表面燃焼式バーナを用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の炊飯装置によれば、高い熱効率で炊飯することができるので、使用燃料である都市ガス等の燃料ガスの消費量を減らすことができるとともに、二酸化炭素の発生量も削減することができるという利点が得られる。また、内輪バーナと外輪バーナの燃焼を制御することによって、適宜のタイミングで炊飯釜内に熱対流を発生させたり、その方向を逆転したりすることができるので、より均一な加熱炊飯が可能となり、炊き上がる米飯のより一層の食味向上を図ることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の炊飯装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の炊飯装置の一例を示す平面図である。
【図3】内輪バーナ及び外輪バーナの燃焼状態を示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の炊飯装置による燃焼状態の全体を示す縦断面図である。
【図5】本発明の炊飯装置の配管系統及び制御系統の一例の概略を示す概念図である。
【図6】第一燃焼モードで燃焼する状態を示す図である。
【図7】第二燃焼モードで燃焼する状態を示す図である。
【図8】内輪バーナを調整火として使用する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の炊飯装置を説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0017】
図1は、本発明の炊飯装置の一例を示す縦断面図である。図1において、1は本発明の炊飯装置を示し、炊飯装置1は、かまど2と、かまど2の底面に配置されたリング状の内輪バーナ3と、かまど2の内周面の底部に配置された、同じくリング状の外輪バーナ4を備えている。5は内輪バーナ3の混合ガス室、6は外輪バーナ4の混合ガス室であり、それぞれ配管7を介して、図示しない混合ガス源に接続されている。8は温度センサ、9は温度センサ8の外筒、10は信号線であり、温度センサ8からの温度信号は信号線10を介して図示しない制御装置に伝達される。11は、かまど2の上面に設置されたスペーサー、12は炊飯釜である。炊飯釜12は、例えば、その下側の鍔部12tをスペーサー11の上面と接触させることによって、図中破線で示す炊飯位置にセットされる。
【0018】
内輪バーナ3は、図1に示すとおり、炊飯釜12が炊飯位置にセットされたとき、炊飯釜12の底面の中心部近傍12cを加熱する位置、すなわち、炊飯釜12の底面の中心部近傍12cと対向する位置に上向きに配置されている。なお、図1には、内輪バーナ3が加熱する炊飯釜12の底面の中心部近傍12cとして、温度センサ8が接触する炊飯釜12の底面の中心部を除いたドーナツ状の領域にハッチングを付して示してあるが、炊飯釜12の底面中心部と接触する位置に温度センサ8が存在しない場合には、底面の中心部近傍12cは、ドーナツ状である必要はなく、中心部まで連続した円形状の領域であっても良い。
【0019】
一方、外輪バーナ4は、炊飯釜12が炊飯位置にセットされたとき、図1にハッチングを付して示す炊飯釜12の底面の外周部12wを加熱し、かつ、炊飯釜12の底面の中心部に向かって燃焼する位置、すなわち、炊飯釜12の側面よりも外側で、発生した燃焼ガスが炊飯釜12の底面の中心部に向かうように、横向きに配置されている。
【0020】
図2は、図1に示す炊飯装置1の平面図である。ただし、炊飯釜12は省略してある。図2に示すとおり、本例の炊飯装置1において、内輪バーナ3は、かまど2の底部に上向きに配置されたリング状のバーナであり、外輪バーナ4は、かまど2の内周面の底部に横向きに配置されたリング状のバーナである。ただし、内輪バーナ3及び外輪バーナ4は、必ずしも、全体が連続したリング状である必要はなく、2つ若しくはそれ以上の部分に分割されたバーナを、全体としてリング状になるように配置したものであっても良い。また、必ずしも完全な円形のリングである必要もなく、複数の直線状のバーナを全体としてリング状になるように配置した多角形状であっても良い。
【0021】
さらに、図示の例では、炊飯釜12の底面の中心と接触する位置に温度センサ8が設けられているので、内輪バーナ3は中心部が欠けたリング状、すなわちドーナツ状であるが、炊飯釜12の底面の中心と接触する位置に温度センサ8が存在しない場合には、内輪バーナ3は必ずしもドーナツ状である必要はなく、炊飯釜12の底面中心部と対向する位置にもバーナプレート又は混合ガスの噴出口が存在する全体として円形又は多角形状のバーナであっても良い。
【0022】
また、内輪バーナ3としては、炊飯釜12の底面の中心部近傍12cを加熱することができる限り、その大きさに特段の制限はないが、例えば、炊飯釜12が円形で、その水平断面形状が円である場合には、内輪バーナ3の外径は、前記円の直径の2/3以下、好ましくは1/2以下であるのが望ましく、内輪バーナ3は炊飯位置にセットされたときの炊飯釜12と同心に配置されるのが望ましい。また、炊飯釜12の水平断面形状が四角形等の多角形である場合には、内輪バーナ3は、その中心を炊飯位置にセットされたときの炊飯釜12と同心に配置され、前記四角形等の多角形の底面の中心から各辺までの距離の2/3、好ましくは1/2を超えない大きさとするのが望ましい。
【0023】
なお、スペーサー11は、かまど2の上面に間隔をあけて等間隔に複数個(図示の例では8個)配置されており、炊飯釜12がその上にセットされると、鍔部12uの下面とかまど2の上面との間に燃焼ガスの排気口を形成する。
【0024】
図3は、内輪バーナ3及び外輪バーナ4の燃焼状態を示す部分拡大断面図である。図3に示すとおり、図示しない混合ガス源から内輪バーナ3の混合ガス室5内に供給された混合ガスGは、内輪バーナ3の噴出口3pから噴出し、適宜の点火装置によって点火されて燃焼する。Fは内輪バーナ3の燃焼炎、13は内輪バーナ3の燃焼によって発生する燃焼ガスである。なお、内輪バーナ3が表面燃焼式バーナである場合には、噴出口3pは、耐熱金属繊維をニット状に編み込んだ多孔質材料、又はその他の多孔質材料で形成されたバーナプレートであり、その場合、燃焼炎Fは存在しない場合がある。内輪バーナ3は、前述したとおり、炊飯釜12の底面の中心部近傍12cと対向する位置に配置されているので、炊飯釜12の底面の中心部近傍12cは、内輪バーナ3の燃焼によって内輪バーナ3から放射される放射熱、又は前記放射熱と燃焼炎Fによって、さらには、燃焼ガス13によって加熱される。
【0025】
一方、同じく図示しない混合ガス源から外輪バーナ4の混合ガス室6内に供給された混合ガスGは、外輪バーナ4の噴出口4pから噴出し、内輪バーナ3の燃焼熱によって点火されて燃焼する。ただし、外輪バーナ4に別途点火装置を設けても良いことは勿論である。Fは外輪バーナ4の燃焼炎、Rは外輪バーナ4の燃焼によって外輪バーナ4から放射される放射熱、14は外輪バーナ4の燃焼によって発生する燃焼ガスである。なお、外輪バーナ4が表面燃焼式バーナである場合には、噴出口4pは、耐熱金属繊維をニット状に編み込んだ多孔質材料、又はその他の多孔質材料で形成されたバーナプレートであり、その場合、燃焼炎Fは存在しない場合がある。外輪バーナ4は、前述したとおり、炊飯釜12の底面の外周部12wを加熱する位置に配置されているので、炊飯釜12の底面の外周部12wは、外輪バーナ4の最高高温部からの放射熱Rによって直接加熱され、燃焼炎Fが存在する場合には燃焼炎Fによっても加熱されることになる。
【0026】
また、外輪バーナ4は、前述したとおり、炊飯釜12の底面の中心部に向かって燃焼する位置、すなわち、発生した燃焼ガス14が炊飯釜12の底面の中心部に向かうように、横向きに配置されているので、外輪バーナ4から噴出された高温の燃焼ガス14は、図3に矢印で示すとおり、まずは、炊飯釜12の底面を加熱しつつ炊飯釜12の底面中心部に向かって進行する。しかし、炊飯釜12の底面中心部近傍には内輪バーナ3が存在し、内輪バーナ3からも燃焼ガス13が噴出しているので、外輪バーナ4からの燃焼ガス14は、途中で内輪バーナ3からの燃焼ガス13と衝突、混合し、徐々に速度を落としつつ、やがて、その進行方向を反転して、内輪バーナ3の燃焼ガス13とともに、炊飯釜12の底面を加熱しつつ、炊飯釜12の底面に沿って底面の外周部12wへと向かうことになる。底面の外周部12wへと達した燃焼ガス13と燃焼ガス14が混合した燃焼ガスは、炊飯釜12の側壁とかまど2の内周面との間に形成された燃焼ガス通路Lを通過し、炊飯釜12の側面を加熱する。
【0027】
このように、本発明の炊飯装置1においては、外輪バーナ4によって発生される燃焼ガス14は、そのまま炊飯釜12の側面に沿って上昇するのではなく、一旦炊飯釜12の底面に沿って炊飯釜12の底面中心部へと進行した後、その進行方向を反転して、再び炊飯釜12の底面に沿って進行し、最後に炊飯釜12の側面に沿って上昇することになる。このため、燃焼ガス14は、炊飯釜12の底面の広い範囲にわたって長時間接触し、持っている高温の燃焼熱を効率的に炊飯釜12に伝達することができる。また、内輪バーナ3によって発生される燃焼ガス13も、外輪バーナ4からの燃焼ガス14と衝突、混じり合うことによってその速度が遅くなるので、炊飯釜12の底面と接触する時間が長くなり、持っている燃焼熱をより効率的に炊飯釜12に伝達することができる。
【0028】
図4は、本発明の炊飯装置1による燃焼状態の全体を示す縦断面図である。図4において、15は炊飯釜12の蓋、16は、かまど2の上部と炊飯釜12の鍔部12tとの間に形成される燃焼ガス排気口、17は、炊飯釜12に収容されている米、水その他の炊飯資材である。
【0029】
図4に示すとおり、内輪バーナ3及び外輪バーナ4は、それぞれ、炊飯釜12の底面中心部12c及び底面外周部12wを直接加熱するとともに、噴出する高温の燃焼ガス13及び燃焼ガス14によって、炊飯釜12の底面と側面とを加熱する。炊飯釜12の底面及び側面を介して炊飯釜12に十分に熱を供給し吸熱された燃焼ガス13及び燃焼ガス14は、燃焼ガス通路Lを通り、炊飯釜12の側面に沿って上昇し、かまど2の上部に形成される燃焼ガス排気口16から外部へと排出される。
【0030】
図5は、本発明の炊飯装置1の配管系統及び制御系統の一例の概略を示す概念図である。図5において、18は制御装置、19は燃料ガス源、20はブロアーである。21、21は、それぞれ混合ガス室5及び混合ガス室6に接続された混合器、22、22は、それぞれ燃料ガス源19と混合器21又は21との間に設置されたマスフローコントローラー、23、23は、それぞれブロアー20と混合器21又は21との間に設置された均圧弁、24は開閉弁である。
【0031】
図5に示すとおり、燃料ガス源19から供給される燃料ガスは、開閉弁24を通過した後、2方に分岐し、それぞれマスフローコントローラー22又は22を通り、さらに開閉弁24、24を通過して、混合器21又は21に供給される。一方、ブロアー20から送り込まれる燃焼用の空気は、これも2方に分岐して、それぞれ均圧弁23、23を通過した後、開閉弁24、24を通り、混合器21又は21に供給される。混合器21又は21に供給された燃料ガスと空気とは、そこで混合され、混合ガス室5又は混合ガス室6に供給されて、内輪バーナ3又は外輪バーナ4で燃焼する。
【0032】
一方、制御装置18は、信号線10によって、温度センサ8、ブロアー20、マスフローコントローラー22、22、及び複数の開閉弁24と接続されており、さらには、図示しない点火装置や炎検知装置、炊飯釜12の存在検知装置とも接続されている。
【0033】
上記のような配管系統と制御系統を備えた本発明の炊飯装置1の炊飯動作は、例えば以下のとおりである。まず、米と水その他の炊飯に必要な資材が収容された炊飯釜12が炊飯装置1の所定の炊飯位置にセットされると、図示しない存在検知装置が作動して、炊飯釜12が炊飯位置にセットされたことを制御装置18に知らせる。制御装置18は、燃料ガス源19が接続されている開閉弁24を開にして、マスフローコントローラー22、22を介して、混合器21又は21に燃料ガスを供給するとともに、ブロアー20を作動させて、均圧弁23、23を介して、混合器21又は21に燃焼用空気を供給する。
【0034】
本発明の炊飯装置1の好適な一例において、内輪バーナ3及び外輪バーナ4は、共に表面燃焼式バーナ若しくはブラストバーナなどの全一次空気式バーナであるので、マスフローコントローラー22、22を通過する燃料ガスの流量に合わせて、均圧弁23、23が自動的に調整され、燃焼に必要な空気の全量がブロアー20からの強制的な送気によって混合器21又は21に供給される。或いは、均圧弁23、23に代えて適宜の流量調整弁を設け、制御装置18によって、マスフローコントローラー22、22を通過する燃料ガスの流量を制御するとともに、マスフローコントローラー22、22を通過する燃料ガスの流量に応じて前記流量調整弁を調整し、燃料ガスの供給量に応じた量の空気を混合器21又は21に供給するようにしても良い。
【0035】
燃料ガスと空気とは、混合器21又は21において互いに混合し、混合ガスとなって内輪バーナ3の混合ガス室5及び外輪バーナ4の混合ガス室6に供給される。制御装置18は、適当なタイミングを見計らって、図示しない点火装置を作動させ、内輪バーナ3及び外輪バーナ4の噴出口から噴出する混合ガスに着火し、炊飯を開始する。
【0036】
このように、本例の炊飯装置1においては、内輪バーナ3に混合ガスを供給する配管系統と、外輪バーナ4に混合ガスを供給する配管系統の各々に、マスフローコントローラー22、22、均圧弁23、23、混合器21、21、及び開閉弁24を設けることによって、制御装置18は、内輪バーナ3の燃焼と、外輪バーナ4の燃焼とを、互いに独立して別々に制御することを可能とされている。ただし、内輪バーナ3の燃焼と外輪バーナ4の燃焼とは必ずしも常に独立して別々に制御されなければならないという訳ではない。例えば、2台のマスフローコントローラー22、22に代えて、1台のマスフローコントローラーを、混合器21又は21に接続された配管7の分岐点よりも燃料ガス源19側に配置し、そのマスフローコントローラーを通過する燃料ガスの流量を制御装置18によって制御することにより、混合器21及び21に供給される燃料ガスの総量を制御するようにしても良い。混合器21及び21には、前記1台のマスフローコントローラーを通過した燃料ガスが、混合器21又は21へと続く配管7の予め設定された流路抵抗に応じた比率で分割されて、それぞれ供給されることになる。
【0037】
炊飯は、通常のタイムテーブルに従って、内輪バーナ3及び外輪バーナ4の火力を調整して行うようにしても良いし、温度センサ8からの信号に基づいて、炊飯の進行状況についての情報を得て、この情報に基づいて内輪バーナ3及び外輪バーナ4の火力を調整するようにしても良いし、これら2つを併用するようにしても良い。炊飯が終了すると、制御装置18は、開閉弁24を閉として、燃料ガス源19からの燃料ガスの供給を停止するとともに、ブロアー20を停止させて、燃焼用空気の供給も停止する。
【0038】
更に、本発明の炊飯装置1によれば、制御装置18によって内輪バーナ3の燃焼と外輪バーナ4の燃焼を制御して、炊飯プロセスの適宜の段階で、炊飯釜12内にその側壁内面に沿って上昇する対流を起こさせる第一燃焼モードで燃焼させたり、逆に、炊飯釜12内にその中心部を上昇する対流を起こさせる第二燃焼モードで燃焼させたり、さらには、両燃焼モードを交互に繰り返したりすることができる。
【0039】
図6は第一燃焼モードで燃焼する状態を示し、図7は第二燃焼モードで燃焼する状態を示している。制御装置18によって内輪バーナ3の燃焼と外輪バーナ4の燃焼を制御して、例えば、図6に示すとおり、外輪バーナ4を強火で燃焼させ、内輪バーナ3を弱火で燃焼させることにより、炊飯釜12の底面外周部12wを底面中心部近傍12cよりも強く加熱して、炊飯釜12内に図中矢印で示すとおり側壁内面に沿って上昇し、中心部近傍で下降する対流を起こさせる第一燃焼モードで燃焼させることができる。また、逆に、図7に示すとおり、外輪バーナ4を弱火で燃焼させ、内輪バーナ3を強火で燃焼させることにより、炊飯釜12の底面中心部近傍12cを底面外周部12wよりも強く加熱して、炊飯釜12内に図中矢印で示すとおり中心部で上昇し、側壁内面に沿って下降する逆向きの対流を起こさせる第二燃焼モードで燃焼させることができる。
【0040】
ただし、図6及び図7に示した強火、弱火の組み合わせは、あくまでも一例であって、内輪バーナ3及び外輪バーナ4のそれぞれの燃焼によって発生される熱量の多寡に応じて、第一燃焼モード又は第二燃焼モードで燃焼させる火力の組み合わせは異なってくる。例えば、内輪バーナ3が比較的小型で、燃焼によって発生する熱エネルギーが比較的少量である場合には、内輪バーナ3及び外輪バーナ4の双方を強火にした状態でも、炊飯釜12の底面外周部12wは底面中心部近傍12cよりも強く加熱され、炊飯釜12内に図6に示すような側壁内面に沿って上昇し、中心部近傍で下降する対流を起こさせる第一燃焼モードでの燃焼が実現される場合がある。そして、このような場合には、炊飯釜12内に図7に示すような第二燃焼モードでの対流を生じさせるためには、内輪バーナ3を強火に、そして、外輪バーナ4を弱火、或いは消火状態にする必要があるということになる。
【0041】
逆に、内輪バーナ3が比較的大型で、燃焼によって発生する熱エネルギーが比較的多量である場合には、内輪バーナ3及び外輪バーナ4の双方を強火にした状態でも、炊飯釜12の底面中心部近傍12cは底面外周部12wよりも強く加熱され、炊飯釜12内に図7に示すような中心部で上昇し、側壁内面に沿って下降する対流を起こさせる第二燃焼モードでの燃焼が実現される場合がある。そして、このような場合には、炊飯釜12内に図6に示すような第一燃焼モードでの対流を生じさせるためには、外輪バーナ4を強火に、そして、内輪バーナ3を弱火、或いは消火状態にする必要があるということになる。
【0042】
好適な一例において、内輪バーナ3と外輪バーナ4とは、そのいずれもが強火で燃焼するときに、炊飯釜12内に図6に示すような側壁内面に沿って上昇し、中心部近傍で下降する対流を起こさせる第一燃焼モードでの燃焼が実現されるのが好ましい。炊飯釜12内に図7に示すような中心部で上昇し、側壁内面に沿って下降する対流を起こさせる第二燃焼モードでの燃焼を実現させるには、外輪バーナ4を強火から弱火に変化させれば良い。この場合には、外輪バーナ4の燃焼を強火から弱火に、又はその逆に切り替えることによって、炊飯釜12内に生じる対流の向きを交互に変化させることができる。
【0043】
上記のような内輪バーナ3及び外輪バーナ4の火力の調整は、制御装置18によって、マスフローコントローラー22、22を制御して、内輪バーナ3及び外輪バーナ4に供給される燃料ガスの量を調整することによって行うことができる。このような調整は、上述したとおり、内輪バーナ3及び外輪バーナ4のそれぞれについて互いに独立して行うことが可能であるが、第一燃焼モード及び第二燃焼モードにおける内輪バーナ3と外輪バーナ4のそれぞれに供給する燃料ガスの量比が既知の場合には、マスフローコントローラー22又は22のいずれか一方の変化に連動させて他方を変化させ、制御装置18による内輪バーナ3又は外輪バーナ4のいずれか一方の燃焼制御に、他方の燃焼制御を連動させるようにしても良い。
【0044】
いずれにせよ、上記のような本発明の炊飯装置1によれば、制御装置18によって、内輪バーナ3及び外輪バーナ4の燃焼を制御して、炊飯プロセス中の所望のタイミングで、炊飯釜12内に所望の向きの熱対流を起こさせることが可能である。炊飯釜12内に熱対流を発生させたり、その向きを交互に変化させたりすることによって、炊飯釜12内を撹拌し、より均一な加熱炊飯が可能となるので、本発明の炊飯装置1によれば、炊き上がる米飯のより一層の食味向上を図ることができる。
【0045】
さらに、本発明の炊飯装置1によれば、例えば図8に示すように、外輪バーナ4を消火状態とし、内輪バーナ3を弱火状態とすることによって、内輪バーナ3を炊飯終了時の調整火として使用することも可能である。図8において、25は米飯である。
【0046】
なお、以上は、炊飯釜12の水平断面形状が円形である場合について説明したが、本発明の炊飯装置が対象とする炊飯釜は、水平断面形状が円形に限られず、正方形であっても、長方形であっても、その他の多角形であっても良く、楕円形や長円形であっても良い。炊飯釜12の水平断面形状が正方形又は長方形である場合には、内輪バーナ3のリング状の外周部の形状は、炊飯釜12の形状に合わせて、正方形又は長方形とすることができる。また、外輪バーナ4のリング状の内周部の形状も、炊飯釜12の形状に合わせて、正方形又は長方形とすることができる。また、本発明の炊飯装置は業務用の炊飯装置である場合が最も好適であり、以上においても主として業務用の炊飯装置を例に説明をしたが、本発明の炊飯装置は家庭用の炊飯装置であっても良いことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上述べたとおり、本発明の炊飯装置は、高い熱効率で炊飯を行うことができるので省エネルギーであり、かつ、二酸化炭素の発生量の削減にも寄与するものである。さらに、本発明の炊飯装置は、内輪バーナと外輪バーナの燃焼を制御して、炊飯途中の所望のタイミングで炊飯釜内に中心部で上向き又は下向きの対流を起こさせることができるので、より均一な加熱炊飯が可能となり、炊き上がる米飯の食味のより一層の向上を図ることができる。このように本発明の炊飯装置によれば、高い熱効率での炊飯と、米飯の食味のより一層の向上を図ることができるので、外食産業や、いわゆる中食産業に、食味の良い米飯をより安価に提供することが可能であり、その産業上の利用可能性は多大である。
【符号の説明】
【0048】
1 炊飯装置
2 かまど
3 内輪バーナ
4 外輪バーナ
5、6 混合ガス室
7 配管
8 温度センサ
9 外筒
10 信号線
11 スペーサー
12 炊飯釜
13、14 燃焼ガス
15 蓋
16 燃焼ガス排気口
17 炊飯資材
18 制御装置
19 燃料ガス源
20 ブロアー
21、21 混合器
22、22 マスフローコントローラー
23、23 均圧弁
24 開閉弁
25 米飯
、F 火炎
G 混合ガス
L 燃焼ガス通路
R 放射熱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯釜が炊飯位置にセットされたときに、前記炊飯釜の底面の中心部近傍を加熱する位置に配置された内輪バーナと、前記炊飯釜の底面外周部を加熱し、かつ、前記炊飯釜の底面の中心部に向かって燃焼する位置に配置された外輪バーナとを備える炊飯装置。
【請求項2】
上部が開口した内部空間を有するかまどを備え、前記内部空間の炊飯位置に前記炊飯釜がセットされたとき、前記炊飯釜の側壁と前記かまどの内周面との間に上方に燃焼ガス排気口を有する燃焼ガス通路が形成される請求項1記載の炊飯装置。
【請求項3】
前記内輪バーナと前記外輪バーナの燃焼を、互いに独立して、又は互いに連動して制御する制御装置を備えている請求項1又は2記載の炊飯装置。
【請求項4】
前記制御装置が、前記内輪バーナと前記外輪バーナの燃焼を制御して、前記炊飯釜の底面外周部を底面中心部近傍よりも強く加熱して前記炊飯釜内にその側壁内面に沿って上昇する対流を起こさせる第一燃焼モードで燃焼させる手段と、前記炊飯釜の底面中心部近傍を底面外周部よりも強く加熱して前記炊飯釜内にその中心部を上昇する対流を起こさせる第二燃焼モードで燃焼させる手段とを備えている請求項3記載の炊飯装置。
【請求項5】
前記内輪バーナ及び前記外輪バーナが、表面燃焼式バーナ又はブラストバーナである請求項1〜4のいずれかに記載の炊飯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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