説明

炭分散液状組成物の製造法

【課題】 炭を平均粒径が、0.05〜1μm程度のサイズにまで、水性担体中に微細分散させる技術を提供する。
【解決手段】 1)水50〜90質量%と、2)平均粒径が、0.05〜1μmの炭1〜10質量%を含有する液状組成物の製造法において、水性担体に、粒径10〜100μmに分布する粉末の炭を加え、少なくとも2種の媒体の存在下、サンドミルで壊砕、分散させる。前記水性担体としては、水50〜90質量%と、界面活性剤1〜5質量%と、固形分10〜20質量%相当のアクリル樹脂エマルションとを含有するものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭を微細分散した液状組成物の製造法に関し、更に詳細には、筆ペンタイプのアイライナー用の化粧料組成物に好適な、炭を微細分散した液状組成物の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料、取り分け、メークアップ化粧料に於いては、化粧料の持っている色に重要な意味があり、この為、種々の色材が用いられている。この様な色材としては、赤、青、黄、緑と言った有彩色色材に留まらず、白色或いは黒色色材も用いられている。これは、色の表現座標が、三次元であり、色相のみならず、彩度、明度の2軸の調整も行わないと、色出しが不可能であるためである。この中で、黒色の色材としては、これまでは天然ガスや石油を不完全燃焼させて得られるカーボンブラックが主として使用されてきた。これは、カーボンブラックの粒子が非常に細かく、且つ、比重が、金属酸化物顔料に比して、極めて小さいため分散の均一性と安定性に優れるためである。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)しかしながら、近年に於いて、カーボンブラックは安全性への配慮から、化粧料では使用できない原料になり、その代替が望まれていた。その代替としては、薬用炭などの木炭が考えられるが、このものは非常に硬く、これを1μm以下の微細に分散することは、通常知られているサンドミルによる、粉砕、分散手段では不可能であり(例えば、特許文献5を参照)、液状化粧料組成物などの色材密度の低い系では、黒いムラができ、使用できないのが現状であった。又、酸化鉄を主成分とするフェライトの微細粒子を利用する方法も考案されているが(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8を参照)、これらの比重は極めて大きく、液状化粧料組成物では、沈降する場合が存し、現実的とは言えなかった。その他には、有機染料で黒色を調色する方法も存するが(例えば、特許文献9を参照)、皮膚に染着し、その除去が極めて困難になるため、論外と言わざるを得なかった。
【0003】
一方、液状化粧料組成物は、例えば、「筆ペン」形式のアイライナーへの応用などに於いて重要な役割を果たしており、その利便性に鑑みると、その化粧料に於いて持っている意味は非常に大きい。(例えば、特許文献10、特許文献11を参照)しかしながら、その粘度の低さ故に、安定なカーボンブラックフリーの黒みのある液状化粧料組成物は知られていない。又、「筆ペン」の機構、容器については既に多くのものが知られており、(例えば、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16を参照)それに適した、液状化粧料組成物が製造できれば、直ぐにでも実施可能な状況にある。即ち、炭の微細分散化が可能になれば、カーボンブラックフリーの筆ペンタイプのメークアップ化粧料が実現出来ると言える。
【0004】
【特許文献1】特開平10−231233号公報
【特許文献2】特開平10−101521号公報
【特許文献3】特開平10−95709号公報
【特許文献4】特開平10−67646号公報
【特許文献5】特開2001−48747号公報
【特許文献6】特開平8−157220号公報
【特許文献7】特開平7−324015号公報
【特許文献8】特開2002−129063号公報
【特許文献9】特開2000−290140号公報
【特許文献10】特開昭62−124578号公報
【特許文献11】特開平07−187957号公報
【特許文献12】特開平11−221994号公報
【特許文献13】特開2003−136882号公報
【特許文献14】特開平8−224988号公報
【特許文献15】特開2000−127671号公報
【特許文献16】特開2002−19368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこの様な状況下為されたものであり、炭を平均粒径が、0.05〜1μm程度のサイズにまで、水性担体中に微細分散させる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、炭を平均粒径が、0.05〜1μm程度のサイズにまで、水性担体中に微細分散させる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねたところ、水性担体に、粒径10〜100μmに分布する粉末の炭を加え、少なくとも2種の媒体の存在下、サンドミルで壊砕、分散させることにより、かかる炭の微細分散画家の卯であることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す技術に関するものである。
(1)1)水50〜90質量%と、2)平均粒径が、0.05〜1μmの炭1〜10質量%を含有する液状組成物の製造法であって、水性担体に、粒径10〜100μmに分布する粉末の炭を加え、少なくとも2種の媒体の存在下、サンドミルで壊砕、分散させることを特徴とする、前記液状組成物の製造法。
(2)前記水性担体が、水50〜90質量%と、界面活性剤1〜5質量%と、固形分10〜20質量%相当のアクリル樹脂エマルションとを含有するものであることを特徴とする、(1)に記載の液状組成物の製造法。
(3)サンドミル処理が、2種の媒体とともに1回処理で行われるものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の液状組成物の製造法。
(4)前記、サンドミル処理に用いる、少なくとも2種の媒体が、1mmφのビーズと0.3mmφのビーズを構成として含むことを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の液状組成物の製造法。
(5)前記液状組成物が、筆ペンタイプのアイライナー用の化粧料組成物であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の液状組成物の製造法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、炭を平均粒径が、0.05〜1μm程度のサイズにまで、水性担体中に微細分散させる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の液状組成物の製造法は、1)水50〜90質量%と、2)平均粒径が、0.05〜1μmの炭1〜10質量%を含有する液状組成物の製造法であって、水性担体に、粒径10〜100μmに分布する粉末の炭を加え、少なくとも2種の媒体の存在下、サンドミルで壊砕、分散させることを特徴とする。本発明に言う炭とは、木材、鉋屑、草などの植物体又はその加工物を焼成して作成した固形の炭素塊を意味し、通常販売されているものであれば特段の限定なくしよう出来るが、例えば、竹炭、備長炭、薬用炭などが好ましく例示でき、その内、日本薬局方で規定されている薬用炭を用いることが特に好ましく例示できる。通常この様な炭は、粉末であっても、返金粒子径が20μm程度であり、これ以上に壊砕することは、例え、ダイノミルやサンドミルなどの高速ビーズミルを用いても不可能であるとされている。この平均粒子径を2μm以下、より好ましくは1μm以下にしなければ、色むらなく、安定な液状分散系は得られない。本発明の製造法によって調整される液状組成物における、炭の平均粒子径は0.05〜1μm、より好ましくは、0.1〜0.8μmである。この様な大きさの炭粒子は、粒径10〜100μmに分布する粉末のものを、水性担体存在下サンドミルを用いて、少なくとも2種の大きさの媒体により、粉砕、分散することにより、得ることが出来る。ここで用いる媒体としては、この様なミルで使用されているものであれば特段の限定はないが、ジルコニウムビーズが好ましく、少なくとも2種として、0.8〜3mmの比較的大型のビーズと、0.1〜0.5mmの比較的小型の少なくとも2種は用いることが好ましく、この少なくとも2種の媒体を用いて、それぞれで2段に分けて壊砕することも出来るが、これらの2種の媒体を混合して使用することがより好ましい。これらの混合比は1:2〜2:1が好ましい。勿論、かかる2種以外の粒子径の媒体を加えて使用することも可能であり、この様な壊砕方法によって、前記の粒子径域に調整された炭粒子を使用することも、本発明の技術的範囲に属する。かかる媒体は、総量で、炭の質量に対して、10〜10000質量%使用することが好ましい。又、この様な壊砕に於いては、水性担体を用いて行うことが好ましく、かかる水性担体としては、多価アルコールの水溶液が好ましく例示できる。かかる水性担体の含有量は、炭の質量に対して、10〜20質量倍が好ましい。又、この様な水性担体には、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤を1〜5質量%加えておくと良い。かかる成分をサンドミルに仕込み30〜120分処理することにより、本発明の対象とする、液状組成物を得ることが出来る。かかる液状組成物は、そのまま化粧料組成物とすることも出来るし、このものを中間仕掛品として用い、他の任意成分とともに処理して、化粧料組成物とすることも出来る。
【0009】
本発明の対象とする液状組成物は、前記の成分以外に、通常化粧料で使用される任意の成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0010】
かくして、本発明の製造法によって製造された液状組成物は、化粧料組成物として、或いは、化粧料組成物用の中間仕掛品として大変有用である。特に、所謂筆ペンタイプのアイライナー用の液状化粧料組成物として、非常に好適である。かかる化粧料組成物は、物理的特性として、1気圧、25℃液状の性状を有する。かかる液状を示す物性値としては、B型粘度計で計測した粘度が1〜1000mパスカル・秒であることが好ましく、より好ましくは、1〜100mパスカル・秒である。この様な性状を示すことにより、皮膚に塗布するための毛束部乃至は発泡性高分子体チップ部と、塗布すべき化粧料組成物を貯蔵するリザーバー部と前記毛束部乃至は発泡性高分子体チップ部と前記リザーバー部とをつなぐ連結部と有する化粧料容器のリザーバー部に充填すべき組成物として使用することが出来る。このものは、カーボンブラックフリーの条件でも、優れた色の均一性、分散安定性を示すので、カーボンブラックフリーで使用することが好ましい。又、前記の粘度範囲が好ましいのは、粘度が高いと、筆ペン容器に充填して使用した場合かすれなどの原因になるからである。
【0011】
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0012】
以下に示す処方に従って、本発明の製造法に従って、化粧料組成物である、組成物1を製造した。即ち、処方成分をサンドミルに仕込み、更に、100質量%の1mmφのジルコニウムビーズと、100質量%の0.3mmφのジルコニウムビーズを加え、1時間壊砕処理を行い、スクリーンを通して、液体部分を回収し、本発明の化粧料組成物1とした。顕微鏡下分散状況を観察したところ、炭の平均粒径は0.5μmであった。このものは5℃、20℃、40℃に1ヶ月保存しても分散状態は安定であった。
【0013】
薬用炭粉末(平均粒径18μm) 5 質量%
アクリル樹脂エマルション* 25 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
POE(20)セチルエーテル 2 質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1質量%
メチルパラベン 0.2質量%
水 59.7質量%
*「エマポリ−CE-119N」(岐阜シェラック株式会社製)
アクリル酸・アクリル酸2−エチルヘキシル・α−メチルスチレンコポリマー樹脂分59%、水39%、1,3−ブタンジオール2%
【0014】
<比較例1>
以下に示す処方に従って、比較例の方法によって、化粧料組成物である、組成物2を製造した。即ち、上記の組成物1と同じ組成の処方成分をサンドミルに仕込み、更に、200質量%の1mmφのジルコニウムビーズを加え、1時間壊砕処理を行い、スクリーンを通して、液体部分を回収し、比較例の化粧料組成物2とした。顕微鏡下分散状況を観察したところ、炭の平均粒径は2.4μmであった。このものは5℃、20℃、40℃に1ヶ月保存したところ、40℃において極僅かながら、沈降が認められた。
【0015】
<比較例2>
以下に示す処方に従って、比較例の方法によって、化粧料組成物である、組成物3を製造した。即ち、上記の組成物1と同じ組成の処方成分をサンドミルに仕込み、更に、200質量%の0.3mmφのジルコニウムビーズを加え、1時間壊砕処理を行い、スクリーンを通して、液体部分を回収し、比較例の化粧料組成物3とした。顕微鏡下分散状況を観察したところ、炭の平均粒径は4.8μmであった。このものは5℃、20℃、40℃に1ヶ月保存したところ、40℃において僅かながら沈降が認められた。
【0016】
<試験例3>
市販の筆ペン(極細)を購入し、リザーバー部より、インキ液を除去し、洗浄した後、組成物1〜3を、それぞれ個別に充填し、筆部に装着し、筆ペンタイプのアイライナーとした。このものを用いて、和紙上に30cmの直線を引いた。この引いた直線のかすれ具合を観察したところ、表1の如くになった。これより、本発明の炭の微細分散法によって製造された組成物を充填したもののみが、かすれなく描けていることが判る。これは、本発明の製造法が、微細分散に優れるためである。
【0017】
【表1】

【実施例2】
【0018】
実施例1と同様に下記の処方に従って、本発明の方法によって、化粧料組成物である、化粧料組成物4を得た。顕微鏡下分散状況を観察したところ、炭の平均粒径は0.8μmであった。このものは5℃、20℃、40℃に1ヶ月保存しても分散状態は安定であった。このものを試験例に従って同様に試験をしたところ、かすれを認めなかった。
【0019】
備長炭粉末(平均粒径24μm) 5 質量%
アクリル樹脂エマルション* 25 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
POE(20)セチルエーテル 2 質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1質量%
メチルパラベン 0.2質量%
水 59.7質量%
*「エマポリ−CE-119N」(岐阜シェラック株式会社製)
アクリル酸・アクリル酸2−エチルヘキシル・α−メチルスチレンコポリマー樹脂分59%、水39%、1,3−ブタンジオール2%
【実施例3】
【0020】
実施例1と同様に下記の処方に従って、本発明の方法によって、化粧料組成物である、化粧料組成物5を得た。顕微鏡下分散状況を観察したところ、炭の平均粒径は0.8μmであった。このものは5℃、20℃、40℃に1ヶ月保存しても分散状態は安定であった。このものを試験例に従って同様に試験をしたところ、かすれを認めなかった。
【0021】
竹炭粉末(平均粒径21μm) 5 質量%
アクリル樹脂エマルション* 25 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
POE(20)セチルエーテル 2 質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1質量%
メチルパラベン 0.2質量%
水 59.7質量%
*「エマポリ−CE-119N」(岐阜シェラック株式会社製)
アクリル酸・アクリル酸2−エチルヘキシル・α−メチルスチレンコポリマー樹脂分59%、水39%、1,3−ブタンジオール2%
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、筆ペンタイプのアイライナー用の化粧料組成物の製造に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)水50〜90質量%と、2)平均粒径が、0.05〜1μmの炭1〜10質量%を含有する液状組成物の製造法であって、水性担体に、粒径10〜100μmに分布する粉末の炭を加え、少なくとも2種の媒体の存在下、サンドミルで壊砕、分散させることを特徴とする、前記液状組成物の製造法。
【請求項2】
前記水性担体が、水50〜90質量%と、界面活性剤1〜5質量%と、固形分10〜20質量%相当のアクリル樹脂エマルションとを含有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の液状組成物の製造法。
【請求項3】
サンドミル処理が、2種の媒体とともに1回処理で行われるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液状組成物の製造法。
【請求項4】
前記、サンドミル処理に用いる、少なくとも2種の媒体が、1mmφのビーズと0.3mmφのビーズを構成として含むことを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の液状組成物の製造法。
【請求項5】
前記液状組成物が、筆ペンタイプのアイライナー用の化粧料組成物であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の液状組成物の製造法。

【公開番号】特開2006−8577(P2006−8577A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187324(P2004−187324)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】