説明

炭素ナノチューブ及び金属でなされたナノ複合体及びこれの製造方法

本発明は、炭素ナノチューブと金属を結合したナノ複合体の製造方法に関するものであり、より詳細には、炭素ナノチューブを還元性溶媒に分散させて分散液を製造する段階、前記分散液に安定剤と金属前駆体を加えて混合液を製造する段階、及び前記混合液を熱処理して金属前駆体を還元させる段階を含む炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法及びこれから製造されたものである。本発明による製造方法は、炭素ナノチューブに数nm〜数百nmの金属粒子が均一に分散されて、金属粒子の大きさが一定に結合されている炭素ナノチューブ−金属複合体を製造することができる長所がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素ナノチューブと金属を結合したナノ複合体及びこれの製造方法に関するものであり、炭素ナノチューブに数nm〜数百nmの金属粒子が均一に分散されて、金属粒子大きさが一定に結合されていることを特徴とする炭素ナノチューブ−金属複合体及びこれの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近発見された炭素ナノチューブは、優秀な機械的強度、熱伝導度、電気伝導度及び化学的安全性によってエネルギー、環境及び電子素材など多様な分野に応用が可能である。1991年日本電気会社(NEC)付設研究所のイジマ博士が電気放電法を使用して黒煙陰極上に形成させた炭素固まりを透過電子顕微鏡(TEM)で分析する過程で細くて長い丸竹の切れ模様の炭素ナノチューブを見つけてネイチャー(Nature)に初めて発表したものが炭素ナノチューブのスタートである。炭素ナノチューブは、黒煙面がナノ大きさの直径で丸く巻かれた状態であり、この黒煙面が巻かれる角度及び構造にしたがって金属または半導体の特性を見せる。炭素ナノチューブは超微細連結線、超微細パイプ、超微細液体注入装置、ガスセンサーと炭素の生体組織との親和性を利用した医療用素材への応用が期待される。炭素ナノチューブを利用した電子放出源及び電界放出ディスプレイ(FED)への応用は、最近活発に研究される分野中の一つである。また、代替エネルギー源として脚光を浴びる燃料電池及び二次電池の素材で、軽量高強度を要求するバルク素材などとしても応用研究が活発である。
【0003】
現在の炭素ナノチューブ自体より電界放出型平面ディスプレイ、燃料電池及び太陽電池の電極物質、燃料電池の水素保存装置、電磁波遮断装置、電子インク原料物質などの電子産業素材及び高強度素材で軽量高強度工具鋼、軽量高強度自動車用部品、防衛産業素材でより高い性能を与えることができる素材が炭素ナノチューブ−金属複合体である。これは炭素ナノチューブに官能基を誘導して、誘導された官能基に金属(コバルト、銅、ニッケルなど)を反応させて、化学的に結合させた新素材で、含有している金属成分のために電界放出ディスプレイ製作、水素保存装置結合体製作、電極製作、スーパーキャパシタ(Super Capacitor)製作、電磁波遮断体製作、軽量高強度応用製品製作などの構造体成形製作に優秀な特性を有している。そして、結合する金属粒子の大きさがナノ大きさである場合既存金属とは異なる金属物性を有するようになるが、代表的な物性変化は金属の融点が低くなる変化がある。そして、結合するナノ金属粒子の大きさが小さくなるほど融点はさらに低くなるようになる。このような変化は炭素ナノチューブ−金属複合体が既存の物質らとは異なる特異な物性を有するようにするので、新しい素材として多様な応用性を付与する。
【0004】
炭素ナノチューブ−金属複合体が新しい素材への必要性が頭をもたげて、最近に炭素ナノチューブと金属らを物理的に混合して焼結する複合体が開発された(P.J.F.Harris、International Materials Reviews、Vol49、p31-43、2004)。しかし、このような複合体は金属が炭素ナノチューブに結合されておらず、均一に分散されないで、固まっていて素材への応用性が低下するという短所がある。これとは異なり最近になって炭素ナノチューブに金属を化学的に結合する方法も提示されたが、微細構造上で金属が炭素ナノチューブ全体を覆ってコーティングされていて炭素ナノチューブの特性が現われない問題点がある。
【0005】
一方、大韓民国登録特許第616071号及び大韓民国登録特許第778094号では、炭素ナノチューブが分散された溶媒に金属前駆体及び還元剤を投入して金属前駆体を還元させる方法が開示されている。しかし、前記特許では還元剤投入による還元反応が反応液全体で均一になされおらず、製造される炭素ナノチューブ−金属複合体で金属粒子の大きさが均一ではなく分散性が落ちる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、炭素ナノチューブに数nm〜数百nmの金属粒子が均一に分散されて、炭素ナノチューブに結合されている金属粒子の大きさが均一な、炭素ナノチューブ−金属複合体及びこれの製造方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明のまた他の目的は、炭素ナノチューブに結合される金属粒子の大きさを調節することで、より小さくて均一な大きさの金属ナノ粒子が炭素ナノチューブに均一に分散されて結合されるようにする炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記の目的を達成するために研究を繰り返えした結果、多価アルコール、グリコールエーテル類またはこれの混合物から選択される還元性溶媒に炭素ナノチューブを分散させた後、安定剤と金属前駆体を加えて熱処理することで、還元された金属粒子が炭素ナノチューブに均一に分散結合された炭素ナノチューブ−金属複合体を製造することができることを知見した。特に、安定剤を使用することで金属前駆体の還元によって金属粒子を形成する過程で金属粒子の安全性を向上させることで安定剤を使わない場合に比べて小さな大きさの金属粒子を均一な大きさで形成することができ、安定剤の使用量によって金属粒子の大きさを調節することができることを知見した。
【0009】
本発明による還元性溶媒は、炭素ナノチューブを分散させる役割及び金属前駆体を還元する役割をして、還元性溶媒として使用される多価アルコール、グリコールエーテル類または、これの混合物は穏やかな還元力を有するので適切な速度で還元反応が進行して、均一な大きさの金属粒子を形成することができ、形成される金属粒子の凝集を抑制して製造される炭素ナノチューブ−金属複合体に金属粒子が均一に分散されるようにする特徴がある。さらにひいては還元性溶媒として多価アルコール及びグリコールエーテル類を混合した混合溶媒を使用する場合に上述したところのような還元された金属粒子の分散性がさらに向上される効果を示す。
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、炭素ナノチューブ−金属複合体及びこれの製造方法に関するものであり、本発明による製造方法は下記の段階を含んでなされることを特徴とする。
炭素ナノチューブを還元性溶媒に分散させて分散液を製造する段階;
前記分散液に安定剤及び金属前駆体を加えて混合液を製造する段階;及び
前記混合液を熱処理して金属前駆体を還元させる段階。
【0011】
本発明による製造方法で前記炭素ナノチューブは、単一壁炭素ナノチューブ(Single Wall Carbon Nanotube)、二重壁炭素ナノチューブ(Double Wall CNT)、薄い多重壁炭素ナノチューブ(Thin Multi-Wall CNT)、多重壁炭素ナノチューブ(Multi-wall CNT)をすべて含むものである。
【0012】
本発明で炭素ナノチューブに金属を結合させる方法の原理は次のようである。例えて説明すれば、市販される炭素ナノチューブの表面には欠陥点(defect site)が存在するようになるが、このような欠陥点には炭素ナノチューブの精製過程上カルボキシル機能基のような陰イオン機能基が誘導されるものとして知られている(M.W.Marshall et.Al., Carbon、Vol44、p1137-1141、2006)。炭素ナノチューブを化学蒸着法(CVD)で製造する時に使用される金属触媒をとり除かなければならないが、通常的に精製工程で塩酸または硝酸を使用して触媒金属を溶融してとり除く。この時、炭素ナノチューブにも酸が接触するようになるが、接触された酸は炭素ナノチューブ表面にカルボキシル機能基を誘導する。炭素ナノチューブにさらに多い機能基が必要ならば、カルボキシル基をさらに誘導するために強酸処理をすることもできる。カルボキシル基のような陰イオン性機能基を有した炭素ナノチューブに金属塩を液体に溶解して接触すれば、溶解された陽イオン性金属がカルボキシル基周りに前駆体形態で結合するようになって、これに還元剤を使用して昇温しながら還元反応をさせれば、炭素ナノチューブに還元された金属が結合するようになって炭素ナノチューブ−金属複合体が製造される。この時、金属前駆体と共に混合液に存在する安定剤は、陽イオン性金属及び還元された金属周りに結合されて金属の還元反応が安定的になされるように反応速度を調節して生成された金属粒子が固まって集合されることを阻む役割をするものとして認識されて、これによって安定剤を使わない場合に比べてより小さくて均一な金属粒子が炭素ナノチューブに均一に分散されて結合される。
【0013】
本発明による製造方法で安定剤は、界面活性剤、水溶性高分子、アミン類及びこれらの混合物から選択して使用されることができる。安定剤は使用量によって製造される金属粒子の大きさが変わるようになって炭素ナノチューブ−金属複合体の用途によって調節することができるので、その使用量に制限を置く必要はないが、金属粒子の大きさを調節する効果及び使用量による経済的な面を考慮する時、安定剤(B)は金属前駆体Aに対して重量比(A:B)で1:0.01〜50で使用することができ、1:0.05〜20重量比で使用することが望ましい。
【0014】
また、前記安定剤で水溶性高分子及びアミン類の混合物を使用する場合に還元反応によって形成される金属粒子の大きさをさらに小さな大きさで調節することができてさらに望ましい。安定剤の使用によって形成される金属粒子の大きさは200nm以下であり、より具体的には5〜200nmの範囲であるが、水溶性高分子及びアミン類の混合物を使用する場合には100nm以下、より望ましくは50nm以下の均一な金属ナノ粒子を形成することができる。
【0015】
以下、段階別に本発明による炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法を説明する。
【0016】
本発明で炭素ナノチューブ−金属複合体を製造するための一番目の段階では、炭素ナノチューブを還元性溶媒に分散させて分散液を製造する。一般に炭素ナノチューブを有機溶剤に投入して、次に還元剤を投入して還元反応をすることができるが、本発明では経済的に安価な還元剤を溶媒で使用してニット(neat)で還元反応をすることでより完全な金属の還元反応をすることに特徴がある。一般に使用される還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム(Sodium borohydride)、ヒドラジン(Hydrazine)などが知られている。しかし、このような還元剤は還元力が良いが、高価であるので、生産費用において短所がある。本発明の製造方法では購入費用が安価で生産単価に長所がある多価アルコール、グリコールエーテル類またはこれらの混合物をニットで使用して溶媒と還元剤の二つの役割をするようになる。結局、本発明による製造方法は、別途の還元剤を使わないために製造方法が簡単なだけでなく、溶媒が還元剤として作用して還元力が穏やかであるために還元反応が反応液全体的に均一で、適切な速度で処理することができて、金属前駆体の還元反応で生成される金属粒子の大きさが数nm〜数百nm範囲内で均一で、炭素ナノチューブに均一に分散される効果を示す。また、金属粒子の形態がほとんど球形で形態的にも均一性を有するようになる長所がある。
【0017】
本発明による還元性溶媒として望ましいものは、多価アルコール、グリコールエーテル類、またはこれらの混合物として、前記多価アルコールはヒドロキシ基(-OH)が2以上である化合物で下記化学式1のグリコール類、グリセリン(Glycerine)、トレイトール(Threitol)、アラビトール(Arabitol)、グルコース(Glucose)、マンニトール(Mannitol)、ガラクチトール(Galactitol)、ソルビトール(Sorbitol)でなされた群から選択して使用することができ、グリコール類を使用することがより望ましくて、前記グリコールエーテル類はグリコール類のヒドロキシ基のうちからいずれか一つまたは二つがアルキル、アリールアルキルカルボニルなどに置き換えされたことを意味して、下記化学式2の化合物から選択して使用することができ、ヒドロキシ基を一つ有しているグリコールエーテル類を使用することがより望ましい。前記トレイトール、アラビトール、グルコース、マンニトール、ガラクチトール及びソルビトールなどのように融点が高い物質の場合には融点が低い還元性溶媒と混合して使用することがより望ましい。
[化学式1]
H−(OR−OH
[化学式2]
−(OR−OR
(前記化学式でR及びRは独立的にC〜C10の直鎖または分岐鎖のアルキレンから選択され;Rは水素原子、アリール、C〜C10のアルキル、C〜C20のアリール、またはC〜C30のアラルキル基であり;Rはアリール、C〜C10のアルキル、C〜C20のアリール、C〜C30のアラルキル基、またはC〜C10のアルキルカルボニル基から選択されて、前記アルキルカルボニル基のアルキルは、その炭素鎖内に二重結合を含むことができ;n及びmは独立的に1〜100の正数である。)
前記グリコール類に含まれる化合物としては、エチレングリコール(Ethylene glycol)、ジエチレングリコール(Diethylene Glycol)、トリエチレングリコール(Triethylene Glycol)、テトラエチレングリコール(Tetraethylene Glycol)、ポリエチレングリコール(Polyethylene Glycol)、プロピレングリコール(Propylene Glycol)、ジプロピレングリコール(Dipropylene Glycol)、ポリプロピレングリコール(Polypropylene Glycol)、ヘキシレングリコール(Hexylene Glycol)などを例にあげることができ、エチレングリコールとトリエチレングリコールがより望ましいが、必ずこれに限定するものではない。
【0018】
前記グリコールエーテル類に含まれる化合物としては、メチルグリコール(Methyl Glycol)、メチルジグリコール(Methyl Diglycol)、メチルトリグリコール(Methyl Triglycol)、メチルポリグリコール(Methyl Polyglycol)、エチルグリコール(Ethyl Glycol)、エチルジグリコール(Ethyl Diglycol)、ブチルグリコール(Butyl Glycol)、ブチルジグリコール(Butyl Diglycol)、ブチルトリグリコール(Butyl Triglycol)、ブチルポリグリコール(Butyl Polyglycol)、ヘキシルグリコール(Hexyl Glycol)、ヘキシルジグリコール(Hexyl Diglycol)、エチルヘキシルグリコール(Ethyl Hexyl Glycol)、エチルヘキシルジグリコール(Ethyl Hexyl Diglycol)、アリールグリコール(Allyl Glycol)、フェニルグリコール(Phenyl Glycol)、フェニルジグリコール(Phenyl Diglycol)、ベンジルグリコール(Benzil Glycol)、ベンジルジグリコール(Benzil Diglycol)、メチルプロピレングリコール(Methyl Propylene Glycol)、メチルプロピレンジグリコール(Methyl Propylene Diglycol)、メチルプロピレントリグリコール(Methyl Propylene Triglycol)、プロフィールプロピレングリコール(Propyl Propylene Glycol)、プロフィールプロピレンジグリコール(Propyl Propylene Diglycol)、ブチルプロピレングリコール(Butyl Propylene Glycol)、ブチルプロピレンジグリコール(Butyl Propylene Diglycol)、フェニルプロピレングリコール(Phenyl Propylene Glycol)、メチルプロピレングリコールアセテート(Methyl Propylene Glycol Acetate)などを例にあげることができるが、必ずこれに限定するものではない。
【0019】
本発明による還元性溶媒として前記多価アルコール及び前記グリコールエーテル類の化合物を混合した混合溶媒を使用することが、製造される炭素ナノチューブ−金属複合体において金属粒子大きさの均一性及び炭素ナノチューブに対する金属粒子の分散性がさらに優秀で、粒子の形態においてもほとんど球形で均一な特徴を示すのでより望ましい。前記多価アルコールでグリコール類を使用してグリコールエーテル類と混合して使用することがさらに望ましく、グリコール類とメチルポリグリコールを混合して使用することがさらに望ましい。
【0020】
本発明による製造方法で炭素ナノチューブを還元性溶媒に分散させる方法は、公知の方法をすべて使用することができるが、超音波処理によって分散させることが、製造方法が容易で分散性が優秀でより望ましい。炭素ナノチューブなどの炭素ナノチューブは、購入時一般的に互いにからまって(tangled)いることを電子顕微鏡で確認することができる。このような炭素ナノチューブの絡まりは金属粒子を均一に分散するのに邪魔になることがあるので、炭素ナノチューブ−金属複合体製造時に処理することが望ましい。
【0021】
本発明による製造方法で二番目の段階は、炭素ナノチューブの分散液に安定剤及び金属前駆体を加えて混合液を製造する段階である。
【0022】
前記金属前駆体は、金属成分を含む化合物およびこれらの混合物から選択されて、前記金属成分の種類に制限を置く必要はなく、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Al、Ga、In、Sn、Tl、PbまたはBiから選択される金属成分を含む化合物またはこれらの混合物が使用されることができる。
【0023】
本発明による製造方法では前記金属前駆体としては、無機金属塩でヒドロキシ(Hydroxy)化合物、カボネイト(Carbonate)化合物、クロライド(Chloride)化合物、硝酸塩(Nitrate)化合物があり、有機金属錯化合物としては、下記化学式3のカルボン酸化合物、化学式4のβ-ジケトナート化合物、またはこれらの水和物、またはこれらの混合物を例にあげることができる。
[化学式3]

[化学式4]

(前記化学式でMは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Al、Ga、In、Sn、Tl、PbまたはBiから選択されて、R、R及びRは独立的にアリール、C〜C10のアルキル、C〜C20のアリール、またはC〜C30のアラルキル基から選択されて、Rは水素原子またはC〜Cのアルキル基から選択されて、p及びqは独立的にMの原子価である。)
【0024】
前記金属塩で金属成分(M)は、Ag、Mn、AlまたはZnから選択されることがより望ましく、金属前駆体化合物としては硝酸銀(Silver Nitrate)、銀アセチルアセトナート(Silver Acetylacetonate)、酢酸銀(Silver Acetate)、炭酸銀(Silver Carbonate)、塩化銀(Silver Chloride)、水酸化アルミニウム(Aluminum hydroxide)、塩化アルミニウム(Aluminum Chloride)、アルミニウムアセチルアセトナート(Aluminum Acetylacetonate)、酢酸アルミニウム(Aluminum Acetate)、硝酸アルミニウム(Aluminum Nitrate)、炭酸マンガン(Manganese Carbonate)、塩化マンガン(Manganese Chloride)、硝酸マンガン(Manganese Nitrate)、マンガンアセチルアセトナート(Manganese Acetylacetonate)、酢酸マンガン(Manganese Acetate)、塩化亜鉛(Zinc Chloride)、硝酸亜鉛(Zinc Nitrate)、酢酸亜鉛(Zinc Acetate)、亜鉛アセチルアセトナート(Zinc Acetylacetonate)およびこれらの水和物などを例にあげることができるが、必ずこれに限定するものではない。
【0025】
前で説明したところのように安定剤は、金属前駆体及び金属前駆体が還元されて形成される金属粒子の安全性を向上させて還元反応速度を調節して生成された金属粒子が固まって集合されることを防止することで金属粒子の大きさをより小さくて均一に調節する役割をする。安定剤は界面活性剤、水溶性高分子、アミン類及びこれらの混合物から選択して使用されることができ、水溶性高分子及びアミン類の混合物を使用することがより望ましい。
【0026】
前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤またはこれらの混合物を使用することができる。非イオン性界面活性剤にはポリオキシエチレンデシルエーテル(Polyoxyethylene Decyl Ether)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Polyoxyethylene Lauryl Ether)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(Polyoxyethylene Cetyl Ether)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(Polyoxyethylene Oleyl Ether)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(Polyoxyethylene Stearyl Ether)、ポリオキシエチレンオクチルデシルエーテル(Polyoxyethylene OctylDecylEther)、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(Polyoxyethylene Tridecyl Ether)、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(Polyoxyethylene Nonylphenol Ether)、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル(Polyoxyethylene Octylphenol Ether)、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(Polyoxyethylene Phenyl Ether)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(Polyoxyethylene Sorbitan Ester)、ソルビタンモノ−ラウレイト(Sorbitan Monolaurate)、ソルビタンモノ−パルミテート(Sorbitan Monopalmitate)、ソルビタンモノ−ステレイト(Sorbitan Monostearate)、ソルビタントリオレイン(Sorbitan Trioleate)、ポリオキシエチレングリコール(Polyoxyethylene Glycol)、ポリオキシエチレンオレイルエステル(Polyoxyethylene Oleyl Ester)などが使用されることができる。陽イオン性界面活性剤にはドデシルアンモニウムクロライド(Dodecyl ammonium Chloride)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(Cetyltrimethyl ammonium bromide)、アルキルアンモニウムメトサルフェート(Alkylammonium Methosulfate)、アルキルジメチルアンモニウムクロライド(Alkyl Dimethyl Ammonium Chloride)などが使用されることができる。陰イオン性界面活性剤にはステアリン酸ナトリウム(Sodium stearate)、ラウリン酸ナトリウム(Sodium Laurate)、パルミチン酸ナトリウム(Sodium Palmitate)、ステアリン酸カリウム(Potassium Stearate)、ラウリン酸カリウム(Potassium Laurate)、パルミチン酸カリウム(Potassium Palmitate)、ラウリル硫酸ナトリウム(Sodium Laurylsulfate)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Sodium dodecylbenzene sulfonate)などを例にあげることができるが、必ずこれに限定するものではない。
【0027】
前記水溶性高分子に含まれる化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、ポリメタクリル酸(polymethacrylic acid)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリビニルスルホン酸(polyvinyl sulfonic acid)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyl dimethyl ammonium chloride)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)、ポリオキシエチレン(polyoxyethylene)、ポリビニルアセテート(polyvinyl acetate)、ポリビニルシアノ−エチルエテル(polyvinyl cyanoethyl ether)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、硫酸セルロース(cellulose sulfate)、アミロペクチン(amylopectin)、ポリエチレングリコールモノーメチルエーテル(polyethylene glycol monomethyl ether)またはポリエチレングリコールtert-オクチルペニルエテル(polyethylene glycol tert-octylphenyl ether)などを例にあげることができ、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)がより望ましいが、必ずこれに限定するものではない。
【0028】
前記アミン類に含まれる化合物としては、プロフィールアミン(Propylamine)、ブチルアミン(Butylamine)、ヘキシルアミン(Hexylamine)、ヘプチルアミン(Heptylamine)、オクチルアミン(Octylamine)、デシルアミン(Decylamine)、ドデシルアミン(Dodecylamine)、オクタデシルアミン(Octadecylamine)、オレイルアミン(Oleylamine)などを例にあげることができ、オレイルアミンがより望ましいが、必ずこれに限定するものではない。
【0029】
本発明による製造方法で三番目の段階は、炭素ナノチューブ及び金属前駆体の混合液を熱処理して金属前駆体を還元する段階として反応器内部を窒素などの不活性気体で置換することが望ましい。還元反応後に形成された金属が酸化されることを防止して、合成された金属が高温で酸素と反応して爆発することを予防する危険防止役割もする。反応器を不活性気体で置換した後に混合液を一定温度以上に昇温させて還元反応が起きるようにする。本発明による還元性溶媒は常温では還元剤効果がないが、一定温度以上に昇温する場合に還元反応を起こす。前記熱処理温度は還元性溶媒の組成によって変わることができるので、昇温する温度範囲に制限を設ける必要はないが、80℃〜300℃の範囲で処理することが適切である。前記温度が80℃未満である場合には、還元反応がほとんどなされなくて、金属粒子の形成が容易でないこともあって、300℃を超過してとても高い場合には混合液の構成物質の分解及び蒸発が起きることがあって、安定的な反応が難しいことがあって、また度が外れた高温反応は経済的な面でも不利なことがある。
【0030】
また、本発明による製造方法は、前記三番目の段階以後に通常的な濾過、洗浄及び乾燥の段階をさらに含むことができる。
【0031】
本発明による一例として製造された炭素ナノチューブ−金属複合体の走査電子顕微鏡写真が図1、図2、図4〜図6に示されている。図1、図2、図4〜図6の写真を参照すれば、本発明による製造方法によって製造された炭素ナノチューブ−金属複合体は金属粒子が均一に分散されていて、金属粒子の大きさが20nm〜100nmの範囲で一定であって、金属粒子の形態がほとんど球形で炭素ナノチューブに結合されていることを確認することができる。そして、本発明による一例として製造された炭素ナノチューブ−シルバー複合体の示差熱分析法(Differential Thermal Analysis;DTA)による分析の結果が図3に開示されているが、ナノ金属粒子がナノ大きさで小さくなりながら、金属(ここでは、シルバー)の融点が固有の融点である960度より低くなって、150度であることを確認することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明による製造方法は、炭素ナノチューブに数nm〜数百nmの金属粒子が均一に分散されて、金属粒子の大きさが一定に結合されている炭素ナノチューブ−金属複合体を製造することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1で製造した炭素ナノチューブ−シルバーナノ複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】実施例3で製造した炭素ナノチューブ−シルバーナノ複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】実施例3で製造した炭素ナノチューブ−シルバーナノ複合体の示差熱分析法(Differential Thermal Analysis;DTA)スペクトラムである。
【図4】実施例4で製造した炭素ナノチューブ−亜鉛ナノ複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】実施例5で製造した炭素ナノチューブ−マンガンナノ複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】実施例6で製造した炭素ナノチューブ−アルミニウムナノ複合体の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
【0035】
[実施例1]薄い多重壁炭素ナノチューブを使った炭素ナノチューブ−シルバー複合体の製造
500mlの丸いフラスコに薄い多重壁炭素ナノチューブ(ナノテック、Thin Multi-wall CNT grade)0.3gを入れて、エチレングリコール(EG)280mlを丸いフラスコ反応器に投入する。撹拌器を装着して30分間撹拌して、反応器を超音波洗浄機に入れて超音波を利用して3時間炭素ナノチューブをエチレングリコールに分散させる。この時、反応器の温度は50度を超えないようにする。超音波処理が終われば撹拌器を再び装着して、温度計と冷却用コンデンサーを連結する。反応器を撹拌しながらPVP(Poly vinylpyrrolidone、製造社:Fluka、平均分子量(Mw):40,000)1.68g、オレイルアミン(Oleylamine)5.6mlを投入して、引き継いで硝酸銀(Silver Nitrate;AgNO)1.102gを投入する。反応器に真空ポンプを連結して、反応器内部の空気をとり除いて窒素に置き換えさせる。窒素を続いて投入して、窒素が反応器内部を通じて外部に流れるようにして酸素流入を阻む。フラスコ下部にマントルを設置して、反応器内部温度を200℃まで40分にわたって昇温して、1時間の間に反応させる。還元反応が終われば3時間にわたって反応器温度を常温まで除々に下げる。合成された炭素ナノチューブ−シルバー複合体を、濾過紙を利用して濾過して酢酸エチル(Ethyl acetate)とヘキサン(Hexane)で数回洗浄して製造物を得る。製造された炭素ナノチューブ−シルバー複合体の走査電子顕微鏡(SEM)による分析の結果、シルバー粒子が球形で、20nmの大きさで均一に分散していることを図1で確認することができた。
【0036】
[実施例2]多重壁炭素ナノチューブを使った炭素ナノチューブ−シルバー複合体の製造
炭素ナノチューブで多重壁炭素ナノチューブ(イルジンナノテック、Multi-Wall CNT;CM-95 grade)を使用することを除き、実施例1と等しい条件で処理して炭素ナノチューブ−シルバー複合体を製造した。製造された炭素ナノチューブ−シルバー複合体の走査電子顕微鏡(SEM)による分析の結果、図2のようにシルバー粒子が球形で、20nmの大きさで均一に分散していることを確認することができた。製造された炭素ナノチューブ−シルバーの示差熱分析法(Differential Thermal Analysis;DTA)による分析の結果、図3のようにシルバーの融点が150℃であることを確認することができた。
【0037】
[実施例3]安定剤投入量による金属粒子大きさの変化
炭素ナノチューブで多重壁炭素ナノチューブ(イルジンナノテック、Multi-WallCNT;CM-95 grade)を使用して、安定剤としてPVP(Poly vinylpyrrolidone)1.68g、オレイルアミン(Oleylamine)2.8mlを使用することを除き実施例1と等しい条件で処理して炭素ナノチューブ−シルバー複合体を製造した。製造された炭素ナノチューブ−シルバー複合体の走査電子顕微鏡(SEM)による分析の結果、シルバー粒子が球形で、30nmの大きさで均一に分散していることを確認することができたし、製造された炭素ナノチューブ−シルバーの示差熱分析法(Differential Thermal Analysis;DTA)による分析の結果、シルバーの融点が170℃であることを確認することができた。
[実施例4]炭素ナノチューブ−亜鉛複合体の製造
【0038】
500mlの丸いフラスコに炭素ナノチューブ(イルジンナノテック、CM-95)0.3gを入れて、トリエチレングリコール(TEG)280mlを反応器に投入する。撹拌器を装着して30分間撹拌して、反応器を超音波洗浄機に入れて、超音波を利用して3時間炭素ナノチューブを分散させる。この時、反応器の温度は50℃を超えないようにする。超音波処理が終われば撹拌器を再び装着して、温度計と冷却用コンデンサーを連結する。反応器溶液を撹拌しながらメチルポリグリコール(MPG、CH(OCHCH)nOH、n=4〜5、ハンノング化成、製品名:MPG)6.39ml、PVP(Polyvinylpyrrolidone製造社:Fluka、平均分子量(Mw):40,000)1.68gをフラスコ反応器に投入して引き継いでジンクアセチルアセトネート(Zn acetylacetonate)2.82gを追加で投入する。反応器に真空ポンプを連結して、反応器内部の空気をとり除いて窒素で置き換えさせる。窒素を続いて投入して窒素が反応器内部を通じて外部で流れるようにして酸素流入を阻む。フラスコ下部にマントルを設置して反応器内部温度を290℃まで1時間にわたって昇温して、3時間の間に反応させる。還元反応が終われば3時間にわたって反応器温度を常温まで除々に下げる。合成された炭素ナノチューブ−亜鉛複合体を、濾過紙を利用して濾過して酢酸エチル(Ethyl acetate)とヘキサン(Hexane)で数回洗浄して製造物を得る。製造された炭素ナノチューブ−亜鉛複合体の走査電子顕微鏡(SEM)による分析の結果は図4のようであり、図で亜鉛粒子が50−100nm大きさで分散していることを確認することができた。
【0039】
[実施例5]炭素ナノチューブ−マンガン複合体の製造
500mlの丸いフラスコに炭素ナノチューブ(イルジンナノテック、CM-95)0.3gを入れて、トリエチレングリコール(TEG)280mlを反応器に投入する。撹拌器を装着して30分間撹拌して、反応器を超音波洗浄機に入れて超音波を利用して3時間炭素ナノチューブを分散させる。この時、反応器の温度は50℃を超えないようにする。超音波処理が終われば撹拌器を再び装着して、温度計と冷却用コンデンサーを連結する。反応器溶液を撹拌しながらPVP(Polyvinylpyrrolidone製造社:Fluka、平均分子量(Mw):40,000)1.68gをフラスコ反応器に投入して、引き継いで酢酸マンガン(Mn acetate)5.35gを追加で投入する。反応器に真空ポンプを連結して、反応器内部の空気をとり除いて窒素で置き換えさせる。窒素を続いて投入して窒素が反応器内部を通じて外部に流れるようにして酸素流入を阻む。フラスコ下部にマントルを設置して反応器内部温度を290℃まで1時間にわたって昇温して、2時間の間に反応させる。還元反応が終われば3時間にわたって反応器温度を常温まで除々に下げる。合成された炭素ナノチューブ−マンガン複合体を、濾過紙を利用して濾過して、酢酸エチル(Ethyl acetate)とヘキサン(Hexane)で数回洗浄して製造物を得る。製造された炭素ナノチューブ−マンガン複合体の走査電子顕微鏡(SEM)による分析の結果は図5のようであり、図でマンガン粒子が50nm大きさで均一に分散していることを確認することができた。
【0040】
[実施例6]炭素ナノチューブ−アルミニウム複合体の製造
500ml丸いフラスコに炭素ナノチューブ(イルジンナノテック、CM-95)0.3gを入れて、トリエチレングリコール(TEG)280mlを反応器に投入する。撹拌器を装着して30分間撹拌して、反応器を超音波洗浄機に入れて超音波を利用して3時間炭素ナノチューブを分散させる。この時、反応器の温度は50℃を超えないようにする。超音波処理が終われば撹拌器を再び装着して、温度計と冷却用コンデンサーを連結する。反応器溶液を撹拌しながらメチルポリグリコール(MPG、CH(OCHCHOH、n=4〜5、ハンノング化成、製品名:MPG)10.0ml、PVP(Polyvinylpyrrolidone製造社:Fluka、平均分子量(Mw):40,000)1.68g、オレイルアミン(Oleylamine)2.8mlをフラスコ反応器に順に投入して、引き継いでアルミニウムアセチルアセトナート(Al acetylacetonate)32.45gを追加で投入する。反応器に真空ポンプを連結して、反応器内部の空気をとり除いて窒素に置き換えさせる。窒素を続いて投入して窒素が反応器内部を通じて外部に流れるようにして、酸素流入を阻む。フラスコ下部にマントルを設置して反応器内部温度を290℃まで1時間にわたって昇温して、2時間の間に反応させる。還元反応が終われば3時間にわたって反応器の温度を常温まで除々に下げる。合成された炭素ナノチューブ−アルミニウム複合体を、濾過紙を利用して濾過して酢酸エチル(Ethyl acetate)とヘキサン(Hexane)で数回洗浄して製造物を得る。製造された炭素ナノチューブ−アルミニウム複合体の走査電子顕微鏡(SEM)による分析の結果は、図6のようであり、図でアルミニウム粒子が100nm大きさで分散していることを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したところのように、本発明による炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法は、経済的に安価な多価アルコール、グリコールエーテル類または、これの混合物を還元剤で使用して炭素ナノチューブにナノ大きさの金属粒子が均一に分散されて、金属粒子の大きさが一定に結合されている多様な炭素ナノチューブ−金属複合体を容易に製造することができ、安定剤使用によって金属粒子の大きさをより小さくて均一に調節することができた。また、金属前駆体の種類によって製造された炭素ナノチューブ−金属複合体は電界放出ディスプレイの電子エミッタ及び電子インクなどの電子産業素材及び高強度軽量構造体の素材で使用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素ナノチューブを還元性溶媒に分散させて分散液を製造する段階;
前記分散液に安定剤及び金属前駆体を加えて混合液を製造する段階;及び
前記混合液を熱処理して金属前駆体を還元させる段階;
を含む炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項2】
前記還元性溶媒は、多価アルコール、グリコールエーテル類及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項3】
前記多価アルコールは、下記化学式1のグリコール類、グリセリン、トレイトール、アラビトール、グルコース、マンニトール、ガラクチトール及びソルビトールからなる群より選択されて、前記グリコールエーテル類は下記化学式2の化合物から選択されることを特徴とする請求項2に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
[化学式1]
H−(OR−OH
[化学式2]
−(OR−OR
(前記化学式でR及びRは独立的にC〜C10の直鎖または分岐鎖のアルキレンから選択され;Rは水素原子、アリール、C〜C10のアルキル、C〜C20のアリール、またはC〜C30のアラルキル基であり;Rはアリール、C〜C10のアルキル、C〜C20のアリール、C〜C30のアラルキル基、またはC〜C10のアルキルカルボニル基から選択されて、前記アルキルカルボニル基のアルキルはその炭素鎖内に二重結合を含むことができ;n及びmは独立的に1〜100の正数である。)
【請求項4】
前記グリコール類は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびヘキシレングリコールからなる群より選択されて、前記グリコールエーテル類は、メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、メチルポリグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、ブチルポリグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、エチルヘキシルグリコール、エチルヘキシルジグリコール、アリールグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロフィールプロピレングリコール、プロフィールプロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、ブチルプロピレンジグリコール、フェニルプロピレングリコールおよびメチルプロピレングリコールアセテートからなる群より選択されることを特徴とする請求項3に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項5】
前記還元性溶媒は、多価アルコール及びグリコールエーテル類の混合物であることを特徴とする請求項2に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項6】
前記多価アルコールは、グリコール類であることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項7】
前記安定剤は、界面活性剤、水溶性高分子、アミン類およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項8】
前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項9】
非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンデシルエーテル(Polyoxyethylene Decyl Ether)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Polyoxyethylene Lauryl Ether)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(Polyoxyethylene Cetyl Ether)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(Polyoxyethylene Oleyl Ether)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(Polyoxyethylene Stearyl Ether)、ポリオキシエチレンオクチルデシルエーテル(Polyoxyethylene Octyl Decyl Ether)、ポリオキシエチレントリデシルエーテル(Polyoxyethylene Tridecyl Ether)、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(Polyoxyethylene Nonylphenol Ether)、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル(Polyoxyethylene Octylphenol Ether)、ポリオキシエチレン フェニルエーテル(Polyoxyethylene Phenyl Ether)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(Polyoxyethylene Sorbitan Ester)、ソルビタンモノ−ラウレイト(Sorbitan Monolaurate)、ソルビタンモノ−パルミテート(Sorbitan Monopalmitate)、ソルビタンモノ−ステレイト(Sorbitan Monostearate)、ソルビタントリオレイン(Sorbitan Trioleate)、ポリオキシエチレングリコール(Polyoxyethylene Glycol)、ポリオキシエチレンオレイルエステル(Polyoxyethylene Oleyl Ester)およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項10】
陽イオン性界面活性剤は、ドデシルアンモニウムクロライド(Dodecyl ammonium Chloride)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(Cetyltrimethylammonium bromide)、アルキルアンモニウムメトサルフェート(Alkylammonium Methosulfate)、アルキルジメチルアンモニウムクロライド(Alkyl Dimethyl Ammonium Chloride)およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項11】
陰イオン性界面活性剤は、ステアリン酸ナトリウム(Sodium stearate)、ラウリン酸ナトリウム(Sodium Laurate)、パルミチン酸ナトリウム(Sodium Palmitate)、ステアリン酸カリウム(Potassium Stearate)、ラウリン酸カリウム(Potassium Laurate)、パルミチン酸カリウム(Potassium Palmitate)、ラウリル硫酸ナトリウム(Sodium Lauryl sulfate)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Sodium dodecylbenzene sulfonate)およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項12】
前記水溶性高分子は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、ポリメタクリル酸(polymethacrylic acid)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリビニルスルホン酸(polyvinyl sulfonic acid)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyl dimethyl ammonium chloride)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)、ポリオキシエチレン(polyoxyethylene)、ポリビニルアセテート(polyvinyl acetate)、ポリビニルシアノ−エチルエテル(polyvinylcyanoethyl ether)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose)、硫酸セルロース(cellulose sulfate)、アミロペクチン(amylopectin)、ポリエチレングリコールモノーメチルエーテル(polyethylene glycol monomethyl ether)、ポリエチレングリコールtert-オクチルペニルエテル(polyethylene glycol tert-octylphenyl ether)およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項13】
前記アミン類は、1次アミン、2次アミン、3次アミン、芳香族アミンおよびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項14】
前記アミン類は、プロフィールアミン(Propylamine)、ブチルアミン(Butylamine)、ヘキシルアミン(Hexylamine)、ヘプチルアミン(Heptylamine)、オクチルアミン(Octylamine)、デシルアミン(Decylamine)、ドデシルアミン(Dodecylamine)、オクタデシルアミン(Octadecylamine)、オレイルアミン(Oleylamine)およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項13に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項15】
前記安定剤は、水溶性高分子及びアミン類の混合物であることを特徴とする請求項7に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項16】
前記水溶性高分子は、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)であることを特徴とする請求項15に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項17】
前記アミン類は、オレイルアミン(Oleylamine)であることを特徴とする請求項15に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項18】
前記金属前駆体は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Al、Ga、In、Sn、Tl、PbおよびBiから選択される金属成分を含む化合物並びにこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項19】
前記金属前駆体は、ヒドロキシ(Hydroxy)化合物、カボネイト(Carbonate)化合物、クロライド(Chloride)化合物、硝酸塩(Nitrate)化合物、下記化学式3のカルボン酸化合物、化学式4のβ-ジケトナート化合物、およびこれらの水和物からなる群より選択されることを特徴とする請求項18に記載の1種以上である炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
[化学式3]

[化学式4]

(前記化学式で、MはSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Al、Ga、In、Sn、Tl、PbまたはBiから選択されて、R、R及びRは独立的にアリール、C〜C10のアルキル、C〜C20のアリール、またはC〜C30のアラルキル基から選択されて、Rは水素原子またはC〜Cのアルキル基から選択されて、p及びqは独立的にMの原子価である。)
【請求項20】
前記金属成分(M)は、Ag、Mn、AlおよびZnからなる群より選択されることを特徴とする請求項18に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項21】
金属前駆体は、硝酸銀(Silver Nitrate)、銀アセチルアセトナート(Silver Acetylacetonate)、酢酸銀(Silver Acetate)、炭酸銀(Silver Carbonate)、塩化銀(Silver Chloride)、水酸化アルミニウム(Aluminum hydroxide)、塩化アルミニウム(Aluminum Chloride)、アルミニウムアセチルアセトナート(Aluminum Acetylacetonate)、酢酸アルミニウム(Aluminum Acetate)、硝酸アルミニウム(Aluminum Nitrate)、炭酸マンガン(Manganese Carbonate)、塩化マンガン(Manganese Chloride)、硝酸マンガン(Manganese Nitrate)、マンガンアセチルアセトナート(Manganese Acetylacetonate)、酢酸マンガン(Manganese Acetate)、塩化亜鉛(Zinc Chloride)、硝酸亜鉛(Zinc Nitrate)、酢酸亜鉛(Zinc Acetate)、亜鉛アセチルアセトナート(Zinc Acetylacetonate)およびこれらの水和物からなる群より選択されることを特徴とする請求項19に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体の製造方法。
【請求項22】
5〜200nmの球形金属粒子及び炭素ナノチューブを含む炭素ナノチューブ−金属複合体。
【請求項23】
前記炭素ナノチューブ−金属複合体は、
炭素ナノチューブを還元性溶媒に分散させて分散液を製造する段階;
前記分散液に安定剤及び金属前駆体を加えて混合液を製造する段階;及び
前記混合液を熱処理して金属前駆体を還元させる段階;
を含む製造方法で製造されたものであることを特徴とする請求項22に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体。
【請求項24】
前記安定剤は、水溶性高分子及びアミン類の混合物であることを特徴とする請求項23に記載の炭素ナノチューブ−金属複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−523929(P2011−523929A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511490(P2011−511490)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005712
【国際公開番号】WO2009/145393
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(502235773)バイオニア コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】