説明

炭素ナノ粒子を含有する複合材料

本発明は、炭素ナノ粒子および有機ポリマー物質を含む複合材料を、ゾル/ゲル法によって製造する方法に関する。さらに本発明は、該ゾル/ゲル法を使用して製造される複合材料に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願、およびそれらにまたはそれらの遂行中に引用された全ての文献(「出願引用文献」)、および出願引用文献において引用または参照された全ての文献、および本明細書において引用または参照された全ての文献(「本明細書引用文献」)、および本明細書引用文献において引用または参照された全ての文献、ならびに、本明細書において、または参照により本明細書に組み入れられる任意の文献において、記載されている任意製品の任意製造業者指示書、説明書、製品仕様書および製品図面(product sheets)は、参照により本明細書に組み入れられ、本発明の実施において使用しうる。本出願における任意の文献の引用または確認は、そのような文献が本発明の先行技術として利用できることを認めるものではない。本開示において、特に、パラグラフおよび/またはパラグラフにおいて(in the paragraphs and/or paragraphs)、「含む(comprises)」、「含んだ(comprised)」、「含んでいる(comprising)」などの語句は、米国特許法においてそれに帰するとされている意味を有することができ、例えば、それらは、「包含する(includes)」、「包含した(included)」、「包含している(including)」などを意味することができ;「〜から基本的になっている(consisting essentially of)」および「〜から基本的になる(consists essentially of)」という語句は、米国特許法においてそれに帰するとされている意味を有し、例えば、それらは、明確に記載されていない要素を考慮に入れるが、先行技術に見出されるか、または本発明の基本的なもしくは新規な特性に悪影響を及ぼす要素は除外することに留意すべきである。本発明の実施形態は、本明細書に開示されているか、または詳細な説明から明らかであり、かつそれに包含される。例として示されているが、記載されている特定の実施形態にのみ本発明を限定するものではない詳細な説明は、添付の図面と共に最もよく理解しうる。
【0002】
本発明は、炭素ナノ粒子および有機ポリマー物質を含む複合材料を、ゾル/ゲル法によって製造する方法に関する。本発明は、さらに、該ゾル/ゲル法を使用して製造される複合材料にも関する。
【背景技術】
【0003】
複合材料、特にセラミックは、その機械的特性およびその熱的または化学的安定性により、高い熱的および機械的歪に暴露される機械、装置または部品などの機能化成分(functionalized components)用の構成材料として使用されている。特に、多孔質セラミックは、その有利な特性により、膜、フィルター、触媒またはセンサーにおいて、ますます使用されている。
【0004】
さらに、特定の電気、誘電、磁性または光学特性、さらには半導体、強磁性または超電導特性を示す機能化複合材料も必要とされている。
【0005】
米国特許第6,255,241号は、フラーレン分散セラミックの製造法を開示し、該製造法において、いわゆるミセル形成法が使用され、該形成法はC60ミセルを形成して、得られる材料への炭素基材粒子の均一分散を可能にしている。この先行技術法は、セラミック材料を得るために、ゾルまたはゲルの乾燥、ならびに続く熱処理も必要とする。
【0006】
米国特許第6066272号は、ゾル/ゲル法によって均一分散フラーレン分子を組込んだ光学ガラスおよびポリマーを開示し、それによって光学フィルターとしての用途を有する材料を得ている。
【0007】
一般的なセラミックの不利点は、安定した二次元または三次元構造物への形成工程に関係した問題の1つとしての、材料の脆性である。それに加えて、セラミック材料の成分を、例えば、金属成分と共に適用した場合に、(種々の)原材料の種々の熱伸び率が、形成された材料にストレスを生じうる。
【0008】
セラミック材料を形成するために焼結法を適用した場合、細孔の大きさおよび分布を調節することができず、金属支持体の場合、一般的な熱条件下に、支持体の脆化を生じ、それによって、材料の特性に不利な影響を与えうる。
【0009】
さらに、これらの材料は、高圧および/または高温条件下に素地を焼結することにより、熱処理によって形成される。このような方法は、高コストであり、処理後の付加的な高労力も必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、複合材料の特性、例えば、耐機械的応力性、導電性、衝撃強度または光学特性の「調整」を可能にする複合材料の製造法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、いくつかの適用分野における使用のために、形成された材料の多孔度を、物理的および化学的安定性に不利な影響を与えずに変化させることができる新規複合材料を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ゾル/ゲルの複合材料への変換が、ほぼエラーフリーの焼結法を可能にして、極めて安定した材料を与える複合材料製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の解決手段は、下記のステップ(工程):
a)少なくとも1つの化学的に修飾(改質)された炭素ナノ粒子を、少なくとも1つのゾル/ゲル形成成分と反応させることによって、ゾル/ゲルを形成すること;
b)そのように形成されたゾル/ゲルに、有機ポリマー物質を任意に添加すること;
c)得られた混合物を、固体複合材料に変換すること
を含む材料の製造方法(製造プロセス)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ゾル/ゲル法は、種々のタイプのネットワークを強化するために広く使用されている。ゾルまたはゲルの形成下の成分の結合は、いくつかの方法、例えば、先行技術において本質的に公知の加水分解性または非加水分解性ゾル/ゲル処理によって、行うことができる。
【0015】
本明細書において使用される「ゾル/ゲル」という用語は、ゾルまたはゲルを意味する。ゾルは、例えば、熟成、硬化、pHの上昇、溶剤の蒸発、または当分野において公知の任意の他の方法によって、ゲルに変換することができる。
【0016】
炭素基材ナノ粒子を含む本発明の複合材料は、例えば、低温におけるどのような質量−および/または容積−収縮もほとんどなく、ゾルおよび/またはゲルから製造することができるという有利な特性を示す。
【0017】
特に、本発明の方法において調製されるゾルは、多孔質または非多孔質フィルムコーティングを有するほぼすべてタイプの支持体の被覆にも好適である。本発明によれば、独特の特性を有する薄いまたは厚いコーティングならびに付形バルク状複合材料(shaped bulk composite materials)が得られる。
【0018】
炭素ナノ粒子

好ましい実施形態において、炭素ナノ粒子は、フラーレン分子、特に、C36−、C60−、C70−、C76−、C80−、C86−、C112−フラーレンまたはそれらの任意混合物であり;本発明の範囲において、ナノチューブ、特に、MWNT、SWNT、DWNT、ランダム配列ナノチューブ、ならびに、フラーレンオニオン(fullerene onions)またはメタロ−フラーレン、炭素繊維、すす粒子(soot particles)またはグラファイト粒子、およびそれらの任意組合せ、およびそれらとフラーレンとの組合せの使用も好適である。
【0019】
炭素ナノ粒子は、適当なリンカー基での官能化によって化学的に修飾され、該リンカー基は、ゾル/ゲル形成成分と反応することができ、好ましくは、極性または非極性基を含み、該基は、任意の従来のゾル/ゲル法においてさらに反応することができ、ゾルゲルネットワークに組込むことができる。リンカー基として好適な極性および非極性基は、無機または有機、第一級、第二級または第三級、直鎖または分岐鎖、置換または非置換C1−C20アルキル−、C2−C20アルケニル−、C2−C20アルキニル−、シクロアルキル−、シクロアルケニル−、シクロアルキニル−、C1−C20アリール−、アルキルアリール−、アリールアルキル−、アルケニルアリール−、アリールアルケニル−、アルキニルアリール−、アリールアルキニル−基;アルキル−金属アルコキシド、ハロゲン、芳香族または脂肪族アルコール基、ピロリジン基、フタロシアニン基、カルボキシル、カルボキシレート、エステル、エーテル、有機官能性シラン、アミノ官能性シランなどからなる群より選択される。
【0020】
炭素基材ナノ粒子の修飾は、求核付加−、付加環化−、アルキル化−、ハロゲン化−、カルボキシル化−試薬によって、ならびに、極性基、例えば、ピロリジン、アミノ−、フタロシアニン−基、または修飾ナノ粒子のゾル/ゲルネットワークへの組み込みを可能にする他の好適な官能基との共有結合によって行うことができる。
【0021】
炭素ナノ粒子の他の特定の修飾法は、米国特許第6203814B1号に開示されており、その開示は参照により全体として本明細書に組み込まれ、これらの修飾法を本発明の方法に適用してよい。
【0022】
ナノ粒子を化学的に修飾するのに好ましい試薬は、例えば、以下の物質である:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性プロピルトリメトキシシラン(Dynasilan(登録商標)TRIAMO)、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、シクロヘキシルアミン、酪酸コレステリルエステル(PCBCR)、1−(3−メトキシカルボニル)プロピル)−1−フェニルエステル、またはそれらの組合せ。
【0023】
炭素ナノ粒子を、官能化の前に、例えば、硝酸、分子酸素などのような酸化剤での処理によって、酸化するのが好ましい場合もある。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態において、種々の規格/修飾を有する前記ナノ粒子の混合物を適用して、本発明の材料に必要とされる特性を得ることができる。
【0025】
炭素ナノ粒子を、共有結合的に、例えば還元条件下で、修飾することが特に好ましい場合がある。特に好ましいのは、アルキル化および/または水素化炭素種の生成のために、種々の湿式化学金属還元反応、例えば、アルキルハライドおよびメタノールの存在下におけるアルカリ金属のカルバニオン錯体での処理を使用した炭素ナノチューブおよびナノチューブ状種のアルキル化および/または水素化、または酸を使用した酸化官能化である。例えば、炭素ナノ粒子および/またはナノチューブのカルボキシル化を生じる酸化工程によって、修飾を行い、該修飾は、続くアルキルアミンとの縮合反応、またはアミンなどとの直接的重縮合、または好適な反応物との任意のエステル化反応を可能にする。
【0026】
どのような限定も意図せずに提供される他の可能な方法は、例えば、二トレン、カルベンまたは公知の方法に従った基との付加反応、アリールジアゾニウム塩との還元的電気化学結合、例えば、イモニウム塩の脱カルボキシル化(decarboxylization)による、アゾメチンイリデンの1,3−双極付加環化である。
【0027】
炭素ナノ粒子、特にナノチューブおよび類似のナノ形態種を、非共有結合的に、例えば、界面活性剤、非イオンまたはイオンポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)での粒子の被覆によるか、または、重合性モノマー、DANN、タンパク質、グルコースアミン、シクロデキストリンおよび類似の好適な物質の吸着によって、修飾することが好ましい場合もある。
【0028】
好ましい実施形態において、炭素ナノ粒子の化学的修飾が、修飾粒子とゾル/ゲル形成成分とを合わせる前に、分離段階として行われる。
【0029】
または、炭素ナノ粒子の化学的修飾を、ゾル/ゲルの形成の間に、インサイチュ(in situ)で行ってもよい。この選択において、下記のゾル/ゲル形成剤のいずれかが、少なくとも部分的に、修飾試薬としても作用して、炭素ナノ粒子を共有結合的に修飾してもよい。
【0030】
しかし、好ましくは、ナノ粒子の修飾に使用される試薬は、ゾル/ゲル成分と異なる。使用される炭素ナノ粒子の(平均)粒度(化学修飾前)は、0.5nm〜500nm、好ましくは0.5nm〜100nm、より好ましくは0.7nm〜50nmである。基準値内(within the specification)で使用される粒度は、粒子の直径または粒子の長さであってよい。粒度は、例えばAnkersmidのCIS粒子分析器での、TOT法(移行時間(Time-Of-Transition))のようなレーザー法によって測定するのが好ましい平均粒度として示される。他の好適な方法は、粉末回折またはTEM(透過型電子顕微鏡)である。
【0031】
好ましい実施形態において、例えば、シェルまたはシース相が完全にまたは不完全にコアを包むコア/シェルまたはコア/シース粒子、即ち炭素基材ナノ粒子のように、炭素ナノ粒子をポリマーに組み込むことができる。ポリマーをゾル/ゲルネットワーク自体に組み込めない場合、該ポリマーを、ゾル/ゲルネットワークへの直接的組み込みを可能にする官能基で、適切に修飾すべきである。炭素基材ナノ粒子を含むポリマーを、好ましくは共有結合的にゾル/ゲルネットワークに組み込み、さらに処理して本発明の材料を得る。
【0032】
炭素基材ナノ粒子のポリマーへの封入は、当分野において公知の種々の重合法、例えば、分散、懸濁または乳化重合によって行うことができる。好ましいポリマーは、PMMA、ポリスチロールまたは他のラテックス形成ポリマー、ポリビニルアセテート、または特に好ましくは導電性ポリマーである。炭素基材ナノ粒子を含有するこれらのポリマーカプセルは、例えば、結合格子(linking lattices)、および/またはポリマー、好ましくはエラストマーでの付加的カプセル封入によって、さらに修飾することができ、または、金属酸化物、金属塩または他の好適な金属化合物、例えば金属アルコキシドでそれらを被覆することもできる。封入炭素基材ナノ粒子の適用は、凝集を防止することができ、かつ、凝集および/または複合材料への悪影響なしに、前駆体物質を処理することができる。
【0033】
ポリマーを修飾する方法は、必要とされる場合は、当業者に周知であり、かつ、本発明の方法に使用される各組成物の要求条件に依存して使用しうる。
【0034】
炭素基材ナノ粒子を化学的に修飾することによって、得られるゾル/ゲル組成物の固形分を、有意に変化させることができる。当業者は、溶解性、分散性、または懸濁性または乳化性の程度を最適化するために、好適な化学修飾を選択する。本発明の複合材料における炭素ナノ粒子の固形分は、0.1%〜90%、好ましくは1%〜90%、より好ましくは5%〜90%、さらに好ましくは20〜70%である(全てのパーセントは、本発明の方法によって生成された複合材料の全重量に関する重量%である)。
【0035】
ゾル/ゲル形成成分

本発明の方法におけるゾル/ゲル形成成分は、種々の金属、例えば、珪素、アルミニウム、ボル(bor)、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属、好ましくは、白金、モリブデン、イリジウム、タンタル、ビスマス、タングステン、バナジウム、コバルト、ハフニウム、ニオビウム、クロム、マンガン、レニウム、鉄、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、ランタンおよびランタニドの、アルコキシド、オキシド、アセテート、ニトレート、ならびにそれらの組合せから選択しうる。
【0036】
いくつかの好ましい実施形態において、ゾル/ゲル形成成分は、前記金属の、金属オキシド、金属カーバイド、金属ニトリド、メタロキシニトリド、メタルカルボニトリド、メタロキシカーバイド、メタロキシニトリドおよびメタロキシカルボニトリド、またはそれらの任意組合せであってよい。好ましくはコロイド粒子としての、これらの化合物を、酸素含有化合物、例えばアルコキシド、と反応させて、ゾル/ゲルを形成することができ、またはコロイド状でない場合は充填剤として添加してよい。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つのゾル/ゲル形成成分を、アルコキシド、金属アルコキシド、コロイド粒子、特に金属オキシドなどから選択しうる。本発明においてゾル/ゲル形成成分として有用な金属アルコキシドは、種々の用途に使用されている周知の化学化合物である。それらは、式M(OR)xで示され、ここで、Mは、例えば、水の存在下に加水分解し重合する、金属アルコキシドからの任意の金属であり;Rは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基であり;xは、金属イオン原子価に相当する数値を有する。本発明のいくつかの実施形態において、Si(OR)4、Ti(OR)4、Al(OR)3、Zr(OR)3およびSn(OR)4のような金属アルコキシドが好ましい。特に、Rは、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基であってよい。好適な金属アルコキシドの他の例は、Ti(イソプロポキシ)4、Al(イソプロポキシ)3、Al(sec−ブトキシ)3、Zr(n−ブトキシ)4およびZr(n−プロポキシ)4である。
【0038】
特に好ましいのは、アルコキシが分岐鎖または直鎖であってよく、1〜20個の炭素原子を含有してよいテトラアルコキシシランのようなシリコンアルコキシド、例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)またはテトラ−n−プロポキシシラン、ならびにそれらのオリゴマー形態である。下記の化合物も好適である:アルコキシが前記のように定義され、アルキルが1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換、分岐鎖または直鎖アルキルであってよいアルキルアルコキシシラン、例えば、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン(Degussa AG、Germanyから商業的に入手可能)、メタクリルオキシデシルトリメトキシシラン(MDTMS);アリールトリアルコキシシラン、例えば、フェニルトリメトキシシラン(PTMOS)、フェニルトリエトキシシラン(Degussa AG、Germanyから商業的に入手可能);フェニルトリプロポキシシラン、およびフェニルトリブトキシシラン フェニル−トリ−(3−グリシジルオキシ)−シラン−オキシド(TGPSO)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性プロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)TRIAMO、Degussa AG、Germanyから商業的に入手可能)、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビスフェノール−A−グリシジルシラン;(メタ)アクリルシラン、フェニルシラン、オリゴマーまたはポリマーシラン、エポキシシラン;1〜20個の炭素原子を有する部分的または完全に弗素化された直鎖または分岐鎖フルオロアルキル残基を有するフルオロアルキルトリメトキシシラン、フルオロアルキルトリエトキシシランのようなフルオロアルキルシラン、例えば、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、および修飾反応性フルオロアルキルシロキサン(Degussa AG、商品名Dynasylan(登録商標)F8800およびF8815で商業的に入手可能);ならびに、それらの任意の混合物。
【0039】
他の好ましい実施形態において、ゾル/ゲルは、炭素基材ナノ粒子およびアルカリ金属塩、例えば酢酸塩、ならびに酸、例えば、亜リン酸、五酸化物、ホスフェート、または有機リン化合物、例えばアルキルホスホン酸から調製される。特に好ましいのは、エタンジオール中のゾルとしての、酢酸カルシウム、亜リン酸、P25、ならびに亜リン酸トリエチルであり、それによって、生分解性複合材料を、炭素基材ナノ粒子および生理的に許容される無機成分から製造することができる。Ca/Pの化学量論比を変化させることによって、変性速度(degeneration rate)を調節することができる。Ca/Pのモル比0.1〜10が好ましく、1〜3が特に好ましい。
【0040】
いくつかの実施形態において、ゾル/ゲルを、コロイド溶液から調製することができ、該溶液は、好ましくは、極性または非極性溶剤、特に好ましくは水性溶剤における、溶解状態、分散状態または懸濁状態の炭素基材ナノ粒子、ならびに、前駆体物質としての、カチオンまたはアニオン重合性ポリマー、好ましくはアルギネートを含む。好適な凝固剤、例えば、無機または有機酸または塩基、特にアセテートおよびジアセテートの添加によって、炭素含有複合材料を、沈降またはゲル形成によって製造することができる。場合により、付加的粒子を添加して、本発明の材料の特性を調整することができる。このような粒子は、例えば、金属、金属酸化物、金属炭化物、またはそれらの混合物、ならびに金属酢酸塩または−二酢酸塩である。
【0041】
本発明に使用されるゾル/ゲル成分は、コロイド金属酸化物、好ましくは、それらを他のゾル/ゲル成分と合わせるのに充分長く安定したコロイド金属酸化物、および化学的に修飾された炭素ナノ粒子からも選択しうる。本発明に含有されるそのようなコロイド金属酸化物は、SiO2、Al23、ZrO2、TiO2、SnO2、ZrSiO4、B23、La23およびSb25である。本発明に好ましいのは、SiO2、Al23、ZrO2、TiO2、SnO2、ZrSiO4およびZrO(NO32である。最も好ましいのは、SiO2、Al23、ZrSiO4およびZrO2である。少なくとも1つのゾル/ゲル形成成分の他の例は、水酸化アルミニウムゾルまたはゲル、アルミニウムトリ−sec−ブチラート、AlOOH−ゲルなどである。
【0042】
これらのコロイドゾルのいくつかは、ゾル形態において酸性であり、従って、加水分解の間に本発明と共に使用する場合、付加的酸を加水分解媒質に添加する必要がない。これらのコロイドゾルも、種々の方法で調製することができる。例えば、5〜150nmの粒度を有するチタニアゾルを、四塩化チタンの酸水解によって、酒石酸での含水TiO2の解凝固によって、および、塩酸でのアンモニア洗浄Ti(SO42の解凝固によって、調製することができる。Weiser, Inorganic Colloidal Chemistry, Vol. 2, p.281(1935)参照。本発明の目的のために、かつ、ゾルへの汚染物の取り込みを防止するために、1〜3の酸性pH範囲において、水相溶性溶剤の存在下に、金属のアルキルオルトエステルを加水分解するのが好ましく、その場合、コロイドは0.1〜10重量%の量で分散液に存在する。
【0043】
いくつかの実施形態において、ゾル/ゲル形成成分は、前記金属の金属ハロゲン化物であってよく、それを酸素官能化炭素ナノ粒子と反応させて、所望のゾル/ゲルを形成する。
【0044】
ゾル/ゲル形成化合物が、酸素含有化合物、例えば、アルコキシド、エーテル、アルコールまたはアセテートである場合、これらを好適な官能化炭素基材ナノ粒子と反応させることができる。
【0045】
ゾル/ゲルを加水分解ゾル/ゲル法によって形成する場合、添加される水と、ゾル/ゲル形成成分、例えば、アルコキシド、オキシド、アセテート、ニトリドまたはそれらの組合せとのモル比は、0.001〜100、好ましくは0.1〜80、より好ましくは0.2〜30であるのが好ましい。
【0046】
本発明の方法に好適な一般的な加水分解ゾル/ゲル調製手順において、水、倍により付加的溶剤またはそれらの混合物の存在下に、ゾル/ゲル成分を、化学修飾炭素ナノ粒子とブレンドし、以下に詳しく記載する付加的添加剤、例えば、界面活性剤、充填剤などを添加する。場合により、その混合物に有機ポリマーを添加してよく、それは、水、有機溶剤またはそれらの混合物に溶解していてもよく、または懸濁液、エマルジョンまたは分散液として存在してもよい。付加的添加剤、例えば、架橋剤、ならびにゾルの加水分解速度を調節するかまたは架橋速度を調節するための触媒も添加してよい。そのような触媒も、以下に詳しく記載する。そのような方法は、先行技術において主に公知のゾル/ゲル調製に類似している。
【0047】
非加水分解ゾル/ゲル調製は、前記と同様に行われるが、基本的に水の不存在下に行われる。
【0048】
ゾル/ゲルを、非加水分解ゾル/ゲル法によるか、または成分とリンカーとの化学的結合によって形成する場合、ハロゲン化物と酸素含有化合物とのモル比は、0.001〜100、好ましくは0.1〜140、さらに好ましくは0.1〜100、特に好ましくは0.2〜80である。
【0049】
非加水分解ゾル/ゲル法において、金属アルコキシドおよびカルボン酸またはカルボン酸官能価炭素ナノ粒子およびそれらの誘導体の使用も、本発明に好適である。好適なカルボン酸は、酢酸、アセト酢酸、ギ酸、マレイン酸、クロトン酸、コハク酸である。
【0050】
水の不存在下の非加水分解ゾル/ゲル処理は、アルキルシランまたは金属アルコキシドを、無水有機酸、酸無水物または酸エステルなどと反応させることによって行ってよい。酸およびそれらの誘導体は、ゾル/ゲル成分として、または炭素ナノ粒子の修飾/官能化に好適である。
【0051】
従って、本発明の方法において、非含水ゾル/ゲル処理における少なくとも1つのゾル/ゲル形成成分は、無水有機酸、酸無水物または酸エステル、例えば、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、コハク酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、部分または完全弗素化カルボン酸、それらの無水物およびエステル、例えばメチル−またはエチルエステル、およびそれらの任意混合物から選択しうる。酸無水物の場合、これらの無水物を、無水アルコールと混合して使用するのが好ましいことが多く、その場合、これらの成分のモル比は、使用されたアルキルシランの珪素原子における残留アセトキシ基の量を決定する。
【0052】
一般に、得られるゾル/ゲルに所望される架橋度により、特に加水分解ゾル/ゲル法において、酸性または塩基性触媒が使用される。好適な無機酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ならびに希フッ化水素酸である。好適な塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニアおよびカーボネート、ならびに有機アミンである。非加水分解ゾル/ゲル法における好適な触媒は、無水ハロゲン化化合物、例えば、BCl3、NH3、AlCl3、TiCl3またはそれらの混合物である。
【0053】
本発明の加水分解ゾル/ゲル処理工程における加水分解を行うために、溶剤を添加してもよい。好ましいのは、水相溶性溶剤である。本発明において、水相溶性アルコール、または水相溶性アルコールの混合物を使用することが好ましい。特に好適なのは、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールおよび低分子量エーテルアルコール、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルである。ある場合には、少量の非水相溶性溶剤、例えばトルエンを使用するのが好都合である。
【0054】
添加剤

本発明の複合材料の特性、例えば、耐機械的応力性、導電性、衝撃強度または光学特性は、適量の添加剤の適用によって、特に有機ポリマー物質の添加によって、変化させることができる。
【0055】
有機ポリマー物質
本発明の特に好ましい実施形態において、有機ポリマー物質をゾル/ゲルブレンドに添加して、得られた本発明複合材料の特性をさらに修飾して、多孔性を誘発し、生体適合性を増加させ、または機械的または電気的性質を向上させる。
【0056】
本発明の方法に好適な有機ポリマー物質は、下記から選択しうる:脂肪族または芳香族ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテンの、ホモポリマーまたはコポリマー;ポリブタジエン;ポリビニル、例えば、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロシアノアクリレート;ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン;ポリマー、例えば、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースフタレート;ワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス;カゼイン、デキストラン、ポリサッカリド、フィブリノーゲン、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチドコグリコリド)、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエステル、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリジオキサノン、ポリエチレンテレフタレート、ポリマレエート酸(polymaleate acid)、ポリタルトロン酸、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸;ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン;ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステルウレア)、ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニック(pluronics)、ポリテトラメチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアセテートフタレート)、アルキド樹脂、塩化ゴム、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、アミン樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、Novolac(登録商標)エポキシ樹脂、ならびにそれらのコポリマー、シェラック、再生可能原材料の有機物質、これらのホモポリマーまたはコポリマーの混合物および組合せ。他の好適な有機物質は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリジアルキルフルオレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリアジン、ポリフラン、ポリ−p−フェニレンシルフィド(phenylensilfides)、ポリセレノフェンまたはポリピロール、それらのモノマー、オリゴマーまたはポリマーであり、それらは、ゲルが光学熱分解工程で変換された後でも、本発明複合材料の導電性を増加させるために使用しうる。
【0057】
いくつかの実施形態において特に好ましいのは、前記のポリマー封入フラーレンまたは他の炭素ナノ粒子の、ゾル/ゲル混合物に添加される有機ポリマー材料としての使用である。炭素ナノ粒子の少なくとも一部を、この目的のために、ほぼすべて前記ポリマーのシェルに、先行技術において公知の分散−、懸濁−または乳化重合法によって、封入することができる。この目的のために好ましいポリマーは、PMMA、ポリスチレンおよびポリビニルアセテートであり、特に好ましいのは導電性ポリマーである。
【0058】
有機ポリマー物質は、得られる複合材料の1〜90重量%、好ましくは5〜60重量%の量で、ゾル/ゲルに添加される。
【0059】
いくつかの好ましい実施形態において、ゾル/ゲルの成分と反応しない付加的添加剤を、ゾル/ゲル形成組成物に添加することができる。
【0060】
好適な添加剤の例は、充填剤、増孔剤、金属および金属粉末などである。無機添加剤および充填剤の例は以下の物質である:酸化珪素および酸化アルミニウム、アルミノシリケート、ゼオライト、酸化ジルコニウム、酸化チタン、タルク、グラファイト、カーボンブラック、フラーレン、クレー物質、フィロシリケート、珪化物、窒化物、金属粉末、特に、触媒活性遷移金属、例えば、銅、金および銀、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金の粉末。
【0061】
本発明の複合材料におけるそのような添加剤によって、注文製造被覆剤の製造に特に好適な材料の機械的、光学的および熱的特性をさらに変化させ調整することができる。
【0062】
他の好適な添加剤は、充填剤、架橋剤、可塑剤、潤滑剤、耐燃剤、ガラスまたはガラス繊維、炭素繊維、綿、織物、金属粉末、金属化合物、珪素、酸化珪素、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、タルカム、グラファイト、すす、フィロシリケートなどである。充填剤が特に好ましい。
【0063】
好ましい実施形態において、ゾル/ゲル成分、修飾ナノ粒子および任意に有機ポリマー物質の混合物に、少なくとも1つの架橋剤を添加することによって、ゾル/ゲルネットワークをさらに修飾し、該架橋剤は、例えば、イソシアネート、シラン、ジオール、ジ−カルボン酸、(メタ)アクリレート、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピルトリメトキシシラン、3−(トリメチルシリル)プロピルメタクリレート、イソホロンジイソシアネートなどから選択される。特に、ゾル/ゲルが比較的低い温度、例えば100℃未満で固体複合材料に変換される本発明の方法において、生体適合性架橋剤、例えば、ジエチレントリアミノイソシアネート、および1,6ジイソシアナトヘキサンが特に好ましい。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、炭素ナノ粒子の本発明複合材料への組み込みと組み合わせた、好適な架橋剤の使用によって、異方多孔性(anisotropic porosity)、即ち、複合材料における孔径の勾配が得られると考えられる(実施例3および4参照)。そのような異方多孔性の付与は、先に記載し、以下に記載するように、充填剤によってさらに影響を受けると考えられる。
【0064】
細孔の大きさおよび程度を変化させるために、充填剤を使用することができる。いくつかの実施形態において、非ポリマー充填剤が特に好ましい。非ポリマー充填剤は、材料特性に不利な影響を及ぼさずに、例えば熱処理または他の条件によって、除去または分解できる任意の物質であってよい。いくつかの充填剤は、好適な溶剤中で分解でき、このようにして材料から除去することができる。さらに、選択された熱条件下で可溶性物質に変換される非ポリマー充填剤も適用することができる。いくつかの実施形態において、これらの非ポリマー充填剤は、例えば、本発明の熱条件下に除去または分解することができるアニオン、カチオンまたは非イオン界面活性剤である。
【0065】
他の実施形態において、好ましい充填剤は、無機金属塩、特に、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属の塩、好ましくは、アルカリまたはアルカリ土類金属カーボネート,−スルフェート、−スルファイト、−ニトレート、−ニトライト、−ホスフェート、−ホスファイト、−ハライド、−スルフィド、−オキシド、ならびにそれらの混合物である。他の好適な充填剤は、有機金属塩、例えば、アルカリまたはアルカリ土類および/または遷移金属塩、特に、そのホルメート、アセテート、プロピオネート、マレート、マレエート、オキサレート、タルタレート、シトレート、ベンゾエート、サリチレート、フタレート、ステアレート、フェノレート、スルホネートおよびアミン、ならびにそれらの混合物である。
【0066】
さらに他の実施形態において、ポリマー充填剤が適用される。好適なポリマー充填剤は、ホモ−またはコポリマーであってよい飽和、直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素である。ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテン、ならびにそれらのコポリマーおよびそれらの混合物が好ましい。さらに、メタクリレートまたはポリステアリンならびに導電性ポリマー、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリジアルキルフルオレン、ポリチオフェンまたはポリピロールから形成されたポリマー粒子も、ポリマー充填剤として適用できる。
【0067】
前記の手順、ポリマー充填剤に加えて可溶性充填剤の使用、を組み合わせることができ、該充填剤は、本発明の熱条件下に揮発性であるか、または熱処理の間に揮発性化合物に変換することができる。このようにして、ポリマー充填剤によって形成された細孔を、他の充填剤によって形成された細孔と合わせて、異方性細孔分布を得ることができる。
【0068】
非ポリマー充填剤の好適な粒度は、得られる複合材料の所望の多孔性および/または孔径に依存して、当業者によって決めることができる。
【0069】
好ましくは、本発明の複合材料における多孔性は、DE 10335131およびPCT/EP04/00077(それらの開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている処理法によって生じる。
【0070】
本発明に有用な他の添加剤は、例えば、乾燥調節化学添加剤、例えば、グリセロール、DMF、DMSO、またはゾルのゲルおよび固体複合材料への変換を適切に調節するための任意の他の好適な高沸点または粘性液体である。
【0071】
溶剤

材料の熱処理後に、充填剤の除去に使用することができる好適な溶剤は、例えば、(温)水、希または濃無機または有機酸、塩基などである。好適な無機酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸ならびに希フッ化水素酸である。好適な塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、カーボネートならびに有機アミンである。好適な有機酸は、例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロメタン酸、トリフルオロメタン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸およびそれらの混合物である。
【0072】
好ましい実施形態において、本発明複合材料の被覆剤を、好適な溶剤または溶剤混合物中の溶液または分散液または懸濁液として適用し、次に、溶剤の乾燥/蒸発を行う。好適な溶剤は、例えば、以下の物質を含む:メタノール、エタノール、N−プロパノール、イソプロパノール、ブトキシジグリコール、ブトキシエタノール、ブトキシイソプロパノール、ブトキシプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ブチレングリコール、ブチルオクタノール、ジエチレングリコール、ジメトキシジグリコール、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、エトキシエタノール、エチルヘキサンジオール、グリコール、ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール、イソブトキシプロパノール、イソペンチルジオール、3−メトキシブタノール、メトキシジグリコール、メトキシエタノール、メチルエチルケトン、メトキシイソプロパノール、メトキシメチルブタノール、メトキシPEG−10、メチラール、メチルヘキシルエーテル、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、PEG−4、PEG−6、PEG−7、PEG−8、PEG−9、PEG−6−メチルエーテル、ペンチレングリコール、PPG−7、PPG−2−ブテス(buteth)−3、PPG−2ブチルエーテル、PPG−3ブチルエーテル、PPG−2メチルエーテル、PPG−3メチルエーテル、PPG−2プロピルエーテル、プロパンジオール、プロピレングリコール、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トリメチルヘキサノール、フェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン;ならびに水(必要であれば、分散剤、界面活性剤または他の添加剤と混合する)、及び前記物質の混合物。
【0073】
前記溶剤は全て、ゾル/ゲル法にも使用することができる。
【0074】
好ましい溶剤は、下記の群からの1つまたはいくつかの有機溶剤を含む:エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ジプロピレングリコールメチルエーテルおよびブトキシイソプロパノール(1,2−プロピレングリコール−n−ブチルエーテル)、テトラヒドロフラン、フェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールおよび/またはジプロピレングリコールメチルエーテル、特に、イソプロパノールおよび/またはn−プロパノール。
【0075】
充填剤は、溶剤での処理の種類および時間に依存して、材料から部分的にまたは完全に除去することができる。充填剤の完全な除去が好ましい。
【0076】
変換(Conversion)

本発明の方法によって形成されたゾルまたはゲルは、固体複合材料に変換される。
【0077】
ゾルのゲルへの変換は、例えば、熟成、硬化、pHの上昇、溶剤の蒸発、または当分野において公知の任意の他の方法によって達成され得る。
【0078】
先ず、ゾルをゲルに変換し、次に、本発明の固体複合材料に変換するか、または、特に、使用した材料がポリマーガラス状複合材料を生じる場合、ゾルを直接的に複合材料に変換してもよい。
【0079】
変換工程は、ゾルまたはゲルを乾燥させることによって行うのが好ましい。好ましい実施形態において、この乾燥工程は、ゾルまたはゲルの熱処理であり、それは、−200℃〜3500℃、好ましくは−100℃〜2500℃、より好ましくは−50℃〜1500℃、0℃〜1000℃、最も好ましくは50℃〜800℃における熱分解または炭化工程であってよい。
【0080】
いくつかの好ましい実施形態において、熱処理を、レーザー適用、例えば選択的レーザー焼結(SLS)によって行う。
【0081】
雰囲気

ゾル/ゲルの固体材料への変換は、種々の条件下に行うことができる。変換は、種々の雰囲気、例えば、不活性雰囲気(例えば、窒素、SF6または希ガス、例えばアルゴン、またはそれらの任意混合物)において、または酸化雰囲気(例えば、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素)において、行うことができる。さらに、不活性ガスと、反応性ガス、例えば、水素、アモニア、C1−C6飽和脂肪族炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパンおよびブテン、それらの混合物または他の酸化ガスとをブレンドすることも好ましい。
【0082】
いくつかの実施形態において、熱処理中の雰囲気および本発明の方法が、酸素を実質的に含有しないのが好ましい。酸素含有量は、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満である。
【0083】
本発明のいくつかの他の実施形態において、熱処理によって得られる材料を、酸化剤および/または還元剤でさらに処理することができる。
【0084】
特に好ましいのは、酸化雰囲気中での高温における材料の処理である。酸化雰囲気の例は、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、または類似の酸化雰囲気である。酸化剤を、不活性雰囲気、例えば希ガスと混合することもできる。部分酸化は、50℃〜800℃の範囲の高温で行うのが好ましい。
【0085】
気体酸化剤での材料の部分酸化に加えて、液体酸化剤も適用できる。液体酸化剤は、例えば、濃硝酸である。濃硝酸と材料とを、室温より高い温度で接触させるのが好ましい。
【0086】
さらに、いくつかの実施形態において、高圧を適用して、本発明の材料を形成することもできる。1つの特に好ましい変換工程は、超臨界条件下、例えば超臨界一酸化炭素中での、乾燥であり、それによって高多孔性エアロゲル複合材料が得られる。他の実施形態において、減圧または真空を適用して、ゾル/ゲルを本発明の材料に変換する。
【0087】
当業者は、本発明の完成材料、および本発明の材料を形成するために使用される材料の、所望の特性に依存して、好適な条件、例えば、温度、雰囲気または圧力を適用する。
【0088】
炭素ナノ粒子は、使用された条件に依存して、分解せずに本発明の材料にそのまま存在することができる。いくつかの実施形態において、炭素基材ナノ粒子とゲル/ゾル形成化合物との化学結合が、そのまま存在することができる。
【0089】
酸化および/または還元処理によるか、または添加剤、充填剤または機能材料の組み込みによって、本発明によって製造される複合材料の特性が、管理的に影響を受け、かつ/または修飾される。例えば、無機ナノ粒子またはナノ複合材料、例えば層状珪酸塩を組み込むことによって、複合材料の表面特性を親水性または疎水性にすることができる。
【0090】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、例えば、好適な酸化または還元後処理工程によって孔径を変化させることにより、複合材料を適切に修飾することもでき、そのような後処理工程の例は、空気中での高温における酸化、酸化酸、アルカリ中での煮沸、また、変換工程中に完全に分解して炭素含有層に細孔を残す揮発性成分の混合である。
【0091】
本発明によって製造される被覆剤またはバルク状材料は、支持体に適用されるかまたは成形または形成される前か後に、折重ね、型押、パンチング、プレス、押出、ギャザリング、射出成形などによって、本発明の複合材料に変換する前又は後に好適な方法で製造しうる。このようにして、規則型または不規則型の特定の構造を、本発明の材料で製造した複合被覆剤に組み込むことができる。
【0092】
本発明のゾルまたはゲルを、当分野において公知の方法によってさらに処理して、例えば、成形パッド(padding)、付形体(shaped bodies)などを形成するか、または任意の支持体上の被膜を形成することができる。
【0093】
成形パッドは、任意の形に製造することができる。本発明による成形パッドまたは付形材料は下記の形態であることができる:パイプ、ビーズ成形物、プレート、ブロック、直方体、立方体、球体または中空球、また任意の他の三次元構造、例えば、やや長い、円形、ポリエーテル形、例えば、三角形または棒形またはプレート形またはテトラエーデル(tetraeder)形、ピラミッド形、オクタエーデル(octaeder)形、ドデカエーデル(dodecaeder)形、イコサエーデル(ikosaeder)形、菱形、角柱形、または球状、例えば、ボール形、楕円形または円筒形レンズ状(lensoid)、リング形、ハニカム形など。
【0094】
多層半製成形品を適用することによって、非対称構造を本発明の材料によって得ることができる。当分野において公知の任意の方法を適用することによって、該材料を所望の形にすることができ、そのような方法は、例えば、以下の方法である:鋳造法、例えば、砂型鋳造、シェル鋳造法、フルモールド法、ダイ鋳造、遠心鋳造、または加圧成形、焼結、射出成形、圧縮成型、吹込み成形、押出し成形、カレンダリング、融接、加圧溶接、機械ろくろ成形、スリップキャスティング、乾式加圧成形、乾燥、焼成、フィラメントワインディング、引抜成形、ラミネーション、オートクレーブ、硬化またはブレード(braiding)。
【0095】
本発明のゾル/ゲルからの被覆剤は、液体、パルプ状またはペースト状の形態で、例えば、塗装、ファーニッシング(furnishing)、転相、分散、噴霧または溶融塗布、押出し、スリップキャスティング、浸漬によって、またはホットメルトとして、適用することができる。ゾルまたはゲルが固体状の場合、粉末被覆、火炎溶射、焼結などによって、好適な支持体に適用される。浸漬、吹付け、スピンコーティング、インクジェットプリンティング、タンポンおよびミクロドロップコーティングまたは3−D−プリンティングが好ましい。本発明による被覆は、下記の方法で行うことができる:被膜を不活性支持体に適用し、乾燥させ、必要であれば熱的に処理して(支持体は熱的に安定かまたは熱的に不安定である)、支持体の実質的に完全な分解を生じ、それによって被膜が、熱処理後に、本発明の材料の形態に維持される。
【0096】
特に、ゲルは、当分野において公知の任意の方法によって処理することができる。好ましい方法は、折重ね、スタンピング、パンチング、プリンティング、押出し、ダイ鋳造、射出成形、リーピング(reaping)などである。他の好ましい被膜は、ゲルを支持体に層(lamination)として適用するトランスファー法によって得ることができる。被覆された支持体を硬化させることができ、次に、被膜を支持体から剥離して、熱的に処理することができる。支持体の被膜は、好適なプリンティング法、例えば、スラスト軸受プリンティング、掻取り、吹付け法または熱貼合わせまたはウェット−イン−ウェット貼合わせによって得ることができる。1超の薄層を適用して、エラーフリー複合フィルムを確実に得ることができる。
【0097】
前記のトランスファー法を適用することによって、種々の層系列の種々の層から、多層勾配フィルムを形成することもでき、該フィルムは、本発明の材料に変換した後に、材料の密度が位置によって異なる勾配材料を与える。
【0098】
他の好ましい実施形態において、本発明のゾルまたはゲルを乾燥させるか、または熱的に処理し、当分野において公知の好適な方法、例えばボールミルまたはローラーミルにおける磨砕などによって粉砕する。粉砕材料を、種々のグレイニング(grainings)において、粉末、フラットブランク、ロッド、球体、中空球として使用することができ、当分野において公知の方法によって処理して、種々の形態の粒質物または押出物にすることができる。必要であれば好適な結合剤を伴う高温圧力法を使用して、本発明の材料を形成することができる。
【0099】
他の可能な処理は、当分野において公知の他の方法、例えば、噴霧熱分解法、または沈降、またはスピニング法、好ましくはゲル−スピニングによる繊維形成による、粉末の形成である。他の可能な処理は、エアロゲルを形成するために、超臨界条件下での乾燥である。
【0100】
本発明の方法による好ましい実施形態の熱処理は、キセロゲルまたはエアロゲルの形成のためかまたは材料の硬化のための粉末または乾燥ゲルを生じ、多孔性または焼結度のような所望の特性を与える。
【0101】
熱処理のために選択した温度、および材料の特定組成に依存して、複合材料が得られ、特に、セラミック−および複合半製材料、成形パッドおよび被覆剤が得られ、それらの構造は、非晶質から結晶質までの範囲に及び得る。
【0102】
特に好ましい実施形態において、0℃未満の温度の適用によって、溶剤不含ゲルを使用することができる。特に、本発明のゾル/ゲルを室温でさらに処理して、例えばセンサーまたは光学用途のために材料の特性を保護するために、特定の熱処理を行わないことが好ましい場合がある。

(実施例)
【実施例1】
【0103】
(炭素基材ナノ粒子の修飾)
1gのC60およびC70のフラーレン混合物(Nanom−Mix、FCC,Japan)を、99gの3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)AMMO、Degussa AG、Germanyから入手可能)と共に、連続撹拌(20rpm)下に、水浴において、50℃で、20時間にわたって混合して、赤褐色液体を得る。
【実施例2】
【0104】
2gの前記シラン修飾フラーレン液体混合物を、0.5gのTEOS(Dynasil(登録商標)A、Degussa AG、Germanyから入手可能)および0.5gの濃H2SO4と室温で約4時間反応させて、均質ゲルを得る(20rpm)。次に、1.0gのフェノキシ樹脂(Beckopox EP 401、UCB Solutia)および22.5gのMEK(メチルエチルケトン)をそのゲルに添加して、分散液を得た。該分散液をガラスおよびスチール支持体に適用した後、試料を300℃で30分間焼入れした。フィルムは、均質、半透明であり、黄色がかっていた。フラーレン含有試料は、表面抵抗109オームを示し、ポリマーフィルムは、いかなる帯電防止性または耐導電性も示さなかった。フィルムは、耐引っ掻き性、弾性であり、被覆スチールの90°折曲げは、フィルム内にどのような剥離も亀裂も示さなかった。
【実施例3】
【0105】
4gの前記フラーレンミックス(Nanom、FCC)を、16gの2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)DAMO、Degussa AG、Germanyから入手可能)と共に、50℃で20時間撹拌する(20rpm)。修飾フラーレンおよび残留シランを含有する4gの得られた液体混合物を、1gの濃HCl、1gのTween(登録商標)20(界面活性剤)、0.5gの水および1.0gのフェノキシ樹脂(Beckopox EP 401、UCB Solutia)でゲル化する。次に、イソホロンジイソシアネートをゆっくり添加した。得られた物質を周囲条件下に室温で硬化させた。次に、固体物質を150℃で酸化的に炭化した。SEM分析は、表面および切縁(cutting edge)において平均孔径1nmを有する多孔構造を示した(図2)。表面積は、BET法によりヘリウム吸収によって測定して4000m2/gである。
【実施例4】
【0106】
フラーレン/AMMOの重量比1:20を有する、実施例1に記載のように調製した4gのAMMO修飾フラーレン液体混合物を、16gのTEOS(Dynasil(登録商標)A、Degussa AG、Germanyから入手可能)、2gのTween(登録商標)20(界面活性剤)、ならびに、3g水、3gエタノールおよび3g濃HClの調製溶液と共に、6時間撹拌する(20rpm)。得られたゾルに、2gのAerosil(登録商標)R972(Degussa AG)および4gのP25(酸化チタンナノ粒子、Degussa AG)を添加し、均質ペーストを得た。一定撹拌下に、1gの1,6ジイソシアナトヘキサン(Sigma Aldrich)を発泡架橋剤として添加した。10分後、素材を円筒形ガラス型に移し、30℃で乾燥させた。次に、型において形成された乾燥硬化円筒体をエタノールで洗浄し、次に、室温で乾燥させた。得られた複合材料体は、5〜10μmの平均孔径を有するマクロ孔質構造を示した。SEM写真は、マクロ細孔の壁に存在する10〜20nmの平均孔径を有する付加的ミクロ細孔を示す。
【実施例5】
【0107】
フラーレン/AMMOの重量比1:20を有する、実施例1に記載のように調製した4gのAMMO修飾フラーレン液体混合物を、16gのTEOS(Dynasil(登録商標)A、Degussa AG、Germanyから入手可能)、2gのTween(登録商標)20(界面活性剤)、ならびに、3g水、3gエタノールおよび3g濃HClの調製溶液と共に、6時間撹拌する(20rpm)。得られたゾルに、2gのAerosil(登録商標)R972(Degussa AG)および6gのポリエチレングリコール PEO 100000を添加した。一定撹拌下に、1gの1,6ジイソシアナトヘキサン(Sigma Aldrich)を発泡架橋剤として添加した。10分後、素材を円筒形ガラス型に移し、30℃で乾燥させた。次に、型において形成された乾燥硬化円筒体を、超音波浴において70℃で6時間にわたってエタノールで洗浄し、次に、室温で乾燥させた。得られた複合材料体は、5〜10μmの平均孔径を有するマクロ孔質構造を示した。SEM写真は、マクロ細孔の壁に存在する30〜60nmの平均孔径を有する付加的ミクロ細孔を示す。
【0108】
さらに例示する目的で示され、本発明の範囲のいかなる限定も示すものではない請求の範囲によって、本発明をさらに説明する。
【0109】
以上のように本発明の好ましい実施形態を詳しく記載したが、本発明の意図または範囲を逸脱せずに多くの明らかなその変型も可能であるので、先のパラグラフによって規定された本発明は、先に記載した特定の詳細に限定されるものではないと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】酸化熱分解前の、実施例2により作製したゲルの表面を示すSEM写真図(倍率50,000倍)であり、固体ゲルネットワークにおけるフラーレン粒子のほぼ完全な分散を示す。
【図2】酸化熱分解後の、図1と同じ物質のSEM写真図(倍率50,000倍)であり、約1nmの平均孔径の均一多孔性を示す。
【図3】実施例5により作製した円筒形複合材料体の破断縁面(fracture edge surface)を示すSEM写真図(倍率5,000倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のステップ:
a)少なくとも1つの化学的に修飾された炭素ナノ粒子を、少なくとも1つのゾル/ゲル形成成分と反応させることによりゾル/ゲルを形成すること;
b)そのように形成されたゾル/ゲルに、有機ポリマー物質を添加すること;
c)得られた混合物を、固体複合材料に変換すること
を含む複合材料の製造方法。
【請求項2】
ゾル/ゲル内の炭素基材ナノ粒子が、少なくとも1つのゾル/ゲル形成成分と共有結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
炭素ナノ粒子が、フラーレン分子、特に、C36−、C60−、C70−、C76−、C80−、C86−、C112−フラーレンまたはそれらの任意混合物;ナノチューブ、特に、MWNT、SWNT、DWNT;ランダム配列ナノチューブ、およびフラーレンオニオンもしくはメタロ−フラーレン、炭素繊維、すす粒子またはグラファイト粒子;ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
炭素ナノ粒子が、ゾル/ゲル形成成分と反応することができる適当なリンカー基での官能化によって化学的に修飾されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
リンカー基が、第一級、第二級または第三級アミノ基、直鎖または分岐鎖、置換または非置換アルキル−、アルケニル−、アルキニル−、シクロアルキル−、シクロアルケニル−、シクロアルキニル−、アリール−、アルキルアリール−、アリールアルキル−、アルケニルアリール−、アリールアルケニル−、アルキニルアリール−、アリールアルキニル−基;アルキル−金属アルコキシド、ハロゲン、芳香族または脂肪族アルコール基、ピロリジン基、フタロシアニン基、カルボキシル、カルボキシレート、エステル、エーテルなどからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ナノ粒子が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、シクロヘキシルアミン、酪酸コレステリルエステル(PCBCR)、1−(3−メトキシカルボニル)プロピル)−1−フェニルエステルまたはそれらの組合せの1つとの反応により官能化されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ナノ粒子が、化学修飾前に、0.5nm〜500nm、好ましくは0.5nm〜100nm、より好ましくは0.7nm〜50nmの平均粒度を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのゾル/ゲル形成成分が、アルコキシド、金属アルコキシド、金属酸化物、金属酢酸塩、金属硝酸塩、金属ハロゲン化物およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ゾル/ゲル形成成分が、シリコンアルコキシドおよびそのオリゴマー形態;アルキルアルコキシシラン;アリールトリアルコキシシランおよびフェニルトリブトキシシラン;フェニル−トリ−(3−グリシジルオキシ)−シラン−オキシド(TGPSO)、アミノアルキルシラン;3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビスフェノール−A−グリシジルシラン;(メタ)アクリルシラン、フェニルシラン、オリゴマーまたはポリマーシラン、エポキシシラン;フルオロアルキルシラン、ならびにそれらの任意混合物からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ゾル/ゲル形成成分が、金属ハロゲン化物から選択され、かつ、アルコキシド−、エーテル−、エステル−、アルコール−またはアセテート−官能化炭素ナノ粒子から選択される酸素官能化炭素ナノ粒子と反応したものである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ゾル/ゲルが水を含み、該水とゾル/ゲル形成成分とのモル比が0.001〜100の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ゾル/ゲルが有機溶剤の存在下に形成され、かつ、ゾル/ゲルおよび/または得られる複合材料の溶剤含有量が0.1%〜90%である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ゾル/ゲルに添加される有機物質が、脂肪族または芳香族ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリペンテンの、ホモポリマーまたはコポリマー;ポリブタジエン;ポリカーボネート;ボリノルボルニレン、ポリアルキン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリビニル、例えば、ポリ塩化ビニルまたはポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス;パラシクロファン、アルキド樹脂、フッ化ゴム、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、タール、タール様物質、タールピッチ、ビチューメン、デンプン、セルロース、シェラック、再生可能原材料の有機物質、ならびにこれらの任意物質の混合物、コポリマーおよび組合せから選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ゾル/ゲルおよび有機ポリマー物質の混合物の、固体複合材料への変換を、乾燥により行う、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
乾燥を、場合により減圧または真空下で、−200℃〜3500℃の範囲での熱処理により行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの架橋剤を、ゾル/ゲルおよび有機ポリマー物質の混合物に添加することをさらに含み、かつ、前記架橋剤が、イソシアネート、シラン、(メタ)アクリレート、またはそれらの任意物質の混合物から選択される、前記請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの充填剤を、ゾル/ゲルおよび有機ポリマー物質の混合物に添加することをさらに含み、かつ、前記充填剤が、ゾル/ゲルの他の成分と反応しない成分からなる群より選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
充填剤がポリマー封入炭素ナノ粒子である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
得られた固体複合材料から充填剤を少なくとも部分的に除去することをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
有機ポリマー物質および/または充填剤または他の添加剤を、ゾル/ゲルの形成工程中、ゾル/ゲルの形成後、または部分的にゾル/ゲルの形成中および形成後に添加する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ゾル/ゲルネットワークに共有結合的に組み込まれた炭素ナノ粒子および少なくとも1つの有機ポリマー物質を含む、ゾル/ゲル複合材料。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法によって得られる、請求項21に記載のゾル/ゲル複合材料。
【請求項23】
請求項21または22に記載のゾル/ゲル複合材料から形成された固体複合材料。
【請求項24】
炭素ナノ粒子が存在する、請求項23に記載の材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−527119(P2008−527119A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550711(P2007−550711)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/014096
【国際公開番号】WO2006/074809
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507221243)シンベンション アーゲー (9)
【Fターム(参考)】