説明

炭素質材料を精製するためのシステム及び方法

炭素質材料を粒度分類するための第一振動型スクリーンユニットを含む炭素質材料の供給原料ユニットと、該炭素質材料供給原料ユニットに連通する蒸解ユニットと、H2O源、HF源、H2SiF6源を含み、蒸解ユニットに付与される前に、これらの化合物を比率で互いに混合することによって、酸混合物溶液を準備するための、蒸解ユニットに連通する酸供給原料ユニットと、蒸解した炭素質材料を酸混合物溶液から分離するための、蒸解ユニットに連通する分離ユニットと、蒸解した炭素質材料を乾燥させ、密度に基づいて炭素質材料を分離するための、分離ユニットに連通する乾燥ユニットとを含む炭素質材料を精製するためのシステムを示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、炭素材料の精製、より具体的には石炭及び石炭関連材料を精製することに向けられる。
【背景技術】
【0002】
石炭は、原料の状態で多くの無機及び有機不純物を含み、これらの不純物は、石炭を使用する工程に問題を生じる。例えば、石炭は主に燃料として使用され、燃焼によって電力及び熱を発生する。しかしながら、石炭を燃やすことは、環境汚染を減少するために施設の所有者及び運用関係者に対する環境規制機関による圧力が強くなってきたために、以前より一層問題となっている。最新の汚染物質浄化装置を備えるための火力発電所の装置改良は、極めて高価である。
【0003】
更に、石炭は、基本的な製品から消費者向けの製品まで、多くの製品に対して使用することができる。例えば、石炭は、カーボンブラック、インク、活性炭、タール、及び同様のものを形成するために使用することができる。しかしながら、その組成のために、多くのマクロ孔及びミクロ孔を含んでおり、これらの孔には大量の不純物が含まれるので、製品の処理中に不純物を取り除くことが困難になる。一般的には、これらの様々な用途において石炭を使用する前に、原炭を処理してこれらの大量の不純物を取り除くことが有益である。
【0004】
不純物、すなわち灰含有量を減少するために、炭素を処理する方法が知られている。例えば、炭素から汚染物質を取り除くためにHF酸を使用することが知られている。HF酸を単体で使用することの問題点は、これが高い反応性化合物であるので、本質的にすべての汚染物質と反応することである。炭素がカルシウム及びマグネシウム族の汚染物質を含む場合には、HF酸は、不溶性のCaF2及びMgF2を生成し、これらは容易には取り除くことができない。幾つかの金属酸化汚染物質は金属フッ化物に転換され、これらはHF酸では溶解できない。更に、かなりの量のHF酸がこれらの蒸解において使用されるが、この酸は工程の中では高価な化合物である。
【0005】
別の例として、米国特許第4,780,112号は、ヒドロフルオロケイ酸(H2SiF4)とフッ化水素又はフッ化水素酸(HF)の水溶液から成るフッ素酸溶液で炭素を処理することを開示している。存在する金属酸化物は、金属フッ化物及び/又は金属フッ化ケイ素酸塩に転換され、水溶液に溶解して、炭素から分離される。処理済み石炭は、次にH2SiF4で洗浄され、処理済み炭素の表面から金属フッ化物を取り除き、70℃から140℃の間の温度で乾燥される。乾燥した炭素は、250℃から400℃の間の温度に加熱されて、HFとSiF4の形態でH2SiF4を取り除く。
【0006】
別の例においては、米国特許第4,804,390号に、HFで石炭を処理し、H2Oで石炭を洗浄して不純物を溶脱することが開示されている。これは、その後HCL酸溶液で石炭を処理することを含む第二溶脱段階に続き、その後別の水洗が行われる。各々のこれらの溶脱段階の後、酸溶液が処理済み石炭から分離される。次に石炭は、真空で20℃から100℃の間に加熱されて、残留HCL、HF及びSiF4が取り除かれる。
【0007】
更に別の例としては、米国特許公開出願番号20060150474に、HFが含まれないH2SiF6の水溶液で炭素質材料を処理することが開示されており、この場合には、硫黄含有不純物は、H2SiF6と反応して蒸解生成物を形成し、蒸解生成物を処理済み炭素質材料から分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,780,112号公報
【特許文献2】米国特許第4,804,390号公報
【特許文献3】米国特許出願公開番号20060150474
【発明の概要】
【0009】
一実施形態においては、炭素質材料を精製するための本システム及び方法(「炭素質材料を精製するシステム」)は、蒸解を改善し、このような精製工程の費用を軽減するものである。炭素質材料を精製するための本システムは、石炭などの炭素質原材料を、一般的には機械的に破砕された原料から獲得する、炭素質材料供給原料ユニットを含む。例えば、炭素質材料を精製するためのシステムは、0−5mmのサイズの小さい石炭微細粉を含む調整工場からの沈殿用池の流れを取得し、従来技術に見られるような高価な付加的湿潤段階を必要とせずに、望ましい大きさ、及び望ましい水含有量を有する炭素質材料を効率的に製造することができる。炭素質材料供給原料ユニットは、材料を洗浄して、粒度分類する湿式ろ過装置上で、好ましくは1mmより小さい直径の炭素質材料に処理する。次に、重力分類ユニットに給送され、望ましい閾値を越えた重い不純物又は炭素質材料から、機械的に分解された炭素質材料を機械的に分離する。分離された不純物は、除去及び更なる処理又は廃棄のためにホッパー内に堆積されるが、洗浄された炭素質材料は、重力分類ユニットを出て、振動型乾式ろ過機に堆積され、後の蒸解ユニットで使用するために、洗浄及び粒度分類された炭素質材料の残留水含有量を望ましい程度にまで減少させる。この洗浄された炭素質材料は、例えばマイクロ波乾燥機を使用して、更なる乾燥処理を施され、例えば、望ましい湿分含有量の炭素質材料を製造する。この炭素質材料供給原料ユニットは、炭素質材料の粒度分類及び湿潤性を改善するために、超音波刺激装置を更に含むことができる。更に、部分的に脱水した炭素質材料は、遠心分離機に送られ、後工程の蒸解ユニットで使用するために、炭素質材料の水含有量を望ましい程度にまで一層減少させることができる。炭素質材料を精製するための本システムは、湿分平衡装置を更に含み、洗浄及び粒度分類された炭素質材料の湿分含有量を増加させることができる。
【0010】
炭素質材料を精製するための本システムは、炭素質材料から汚染物質を蒸解及び除去するために、フッ素を含む酸の経済的混合物を利用する蒸解ユニットを更に含む。炭素質材料を精製するためのシステムは、炭素質材料供給原料ユニットから、H2SiF4及びHF酸及びH2Oの酸混合物溶液を含む少なくとも1つの蒸解用容器を含む蒸解ユニットに、炭素質材料を添加することを含む。蒸解用容器は、炭素質材料を酸混合物溶液と完全に混合するために、機械的攪拌装置を含むことができる。蒸解用容器からの吐出物は、化学的処理又は蒸解された炭素質材料の少なくとも1つのスラリーを含む。一般的には、蒸解用容器内の炭素質材料は十分に物理的に分離され、処理済み炭素質材料の異なる層を生成する。一態様においては、これらの炭素質材料の異なる層は、蒸解用容器から異なる下流側の容器へ別個のスラリーとして送り出すことができる。蒸解ユニットは、頻発する容器内での蒸解段階の間に、炭素質材料のミクロ孔とほぼ同じか又はこれより小さい直径を有するキャビテーションを形成するための、炭素質材料の超音波刺激を含むことができ、炭素質材料のミクロ孔の内部で泡が潰れるときに、ポンピング作用又は水圧作用を発生する。この作用は、上昇した温度で、酸混合物溶液をミクロ孔及びマクロ孔に入れて、そこに含まれる無機化合物に物理的に接触するようにさせ、これにより蒸解を著しく促進する。これらの超音波刺激供給源は、望ましい大きさのキャビテーション泡を形成する超音波を発生する、新しい方形波信号を含むことができる。この超音波作用は、超清浄燃料作動で使用するために、及び、このような清浄化された炭素質材料を生成するための商業的に実用的な工程のために、炭素質材料に含まれる汚染物質を100%まで蒸解することができる。更に、炭素質材料を精製するための本システムは、蒸解時間を減少することができ、これは生産性を高め、経済的実用性を改善するものである。
【0011】
炭素質材料を精製するためのシステムは、例えば、遠心分離機を介して、酸混合物溶液及び液状廃棄物から、化学的に蒸解された炭素質材料を分離する。化学的に蒸解された炭素質材料は熱水で洗浄することができ、その後、蒸気除去工程に運ばれるが、遠心分離機内で、化学的に処理された炭素質材料から酸混合物溶液及び液状廃棄物をできるだけ多く取り除き、炭素質材料の湿分含有量を減少させる。酸の溶液及び液状廃棄物は、リサイクル用タンクに導かれ、廃棄物をろ過し、再生利用して、H2SiF6を再び補い、工程内で再使用される。遠心分離機を出た、脱水された化学的に蒸解された炭素質材料は、好ましくは5%ないし15%、より好ましくは5%ないし10%の湿分含有量を有し、任意ではあるが、適当な温度(<130℃)の乾燥機で更に乾燥することができ、炭素質材料の揮発性化合物をすべて除去せずに、湿分含有量を減少することができる。
【0012】
炭素質材料を精製するためのシステムは、金属不純物を取り除くために、酸蒸解処理、及び、その後のスラリーから処理済み石炭を機械的に分離するための新しい工程を提供する。炭素質材料を精製するための本システムは、蒸解用容器を加圧せず、工程におけるエネルギー消費を節約する。更に、炭素質材料を精製するための本システムは、蒸解した炭素質材料構造をH2SiF6酸で洗浄したり、洗い流したりするものではない。
【0013】
一実施形態においては、炭素質材料を精製するための本システムは、迅速に活性化する精製された炭素を生成し、活性炭を製造する。更に、現在知られている工程から類似した活性炭を製造するのにかかる時間より少ない時間で、良質の活性炭が製造された。更に、炭素質材料を精製するための本システムで生成された炭素質材料は、現在の燃焼後処理をせずに、従来の発電所が、米国環境保護庁が発布する要求に対処することが可能である。炭素質材料の粒状物の大きさが10ミクロンより小さい場合には、燃焼時間は0.05秒以内である。炭素質材料を精製するための本システムにより生成された、このような特性を有する炭素質材料は、油のように作用し、およそ1ミクロンに処理される場合には、天然ガスの特性に近づく。蒸解及び粒度分類された炭素質材料を短い時間燃焼させることにより、滞留時間は0.05秒より短くなり、工場内の燃焼温度を、一層容易に制御することができる。
【0014】
一実施形態においては、炭素質材料を精製するための本システムは、炭素質材料を粒度分類するための第一振動型スクリーンユニットを含む炭素質材料供給原料ユニットと、該炭素質材料供給原料ユニットと連通する第一蒸解ユニットを含む蒸解ユニットと、第一蒸解ユニットと連通する第二蒸解ユニットと、H2O源、HF源、H2SiF6源を含み、これらの化合物を第一蒸解ユニットに付与する前にある比率で互いに混合して得られる酸混合物溶液を第一蒸解ユニットに付与するために、蒸解ユニットと連通する酸供給原料ユニットと、蒸解した炭素質材料を酸混合物溶液から分離するために蒸解ユニットと連通する分離ユニットと、蒸解した炭素質材料を乾燥させ、密度に基づいて炭素質材料を分離するための分離ユニットと連通する乾燥ユニットとを含むことができる。
【0015】
別の実施形態においては、炭素質材料を精製するための本システムは、炭素質材料を粒度分類するための第一振動型スクリーンユニットを含む炭素質材料供給原料ユニットと、炭素質材料供給原料ユニットと連通する蒸解ユニットを含む蒸解ユニットと、H2O源、HF源、H2SiF6源を含み、これらの化合物を蒸解ユニットに付与する前にある比率で互いに混合して得られる酸混合物溶液を第一蒸解ユニットに付与するために、該蒸解ユニットと連通する酸供給原料ユニットと、蒸解した炭素質材料を酸混合物溶液から分離するために該蒸解ユニットと連通する分離ユニットと、蒸解した炭素質材料を乾燥するための、分離ユニットと連通する乾燥ユニットとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による炭素質材料供給原料ユニットの概略図である。
【図2】本発明の実施形態によるマイクロ波乾燥ユニットの概略図である。
【図3】本発明の実施形態による蒸解ユニットの概略図である。
【図4】本発明の実施形態による流動層乾燥ユニットの概略図である。
【図5】本発明の実施形態による梱包及び製造ユニットの概略図である。
【図6】本発明の実施形態による蒸気回収ユニットの概略図である。
【図7】本発明の実施形態による供給原料ユニットの概略図である。
【図8】本発明の実施形態による超音波ユニットの概略図である。
【図9】本発明の別の実施形態による超音波ユニットの概略図である。
【図10】本発明の実施形態による炭素質材料を精製するための例示的工程の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面においては、同様の又は類似する要素は、幾つかの図及び図面全体で同一の参照番号で示され、様々な図示要素は、必ずしも縮尺により示されてはいない。
【0018】
「炭素質」という用語は、実質的な量の炭素から成るすべての材料を意味する。限定する意味ではないが、この用語は、石炭、精製炭、活性炭、カーボンブラック、炭素生成物、固形原油、コールタールピッチ、カーボン繊維、タール、カーボン、コークス、グラファイト、その他の炭素構造を含む。
【0019】
「蒸解した炭素質材料」という用語は、ここに述べられている清浄化工程または蒸解工程に曝された炭素質材料を意味する。一態様においては、この用語は、炭素質材料内に埋め込まれた鉱物を蒸解することにより炭素質材料を化学的に清浄化することを意味する。この用語は更に、化学的に清浄化された炭素質材料を意味することがあり、「化学的に清浄化された炭素質材料」ということができる。
【0020】
「マクロ孔(マクロポア)」という用語は、典型的には50nmより大きい直径の孔を意味する。「ミクロ孔(ミクロポア)」という用語は、典型的には50nmより小さい直径の孔を意味する。「製品」という用語は、これらに限定されるものではないが、プラスチック、繊維、溶媒、薬剤、カーボンブラック、インク、活性炭、カーボン、タール、特異な鉱物、ボイラー用燃料、活性剤、気体浄化残留物、及び同様のものを含む、精製された炭素質材料から形成されるすべての物質を意味する。
【0021】
図1は、本発明による炭素質材料供給原料ユニットの実施形態100を示している。一実施形態においては、炭素質材料供給原料製造ユニット100は、当業者に知られているような調整工場又は洗鉱場などの、炭素質材料を含む廃棄物の流れ及び/又は沈殿用池の流れを形成するあらゆる場所に、再配置するために移動可能とすることができる。典型的には、調整工場は、例えば、通常は炭素質材料の採掘現場の近くで、炭素質材料の原料を洗浄し、選別し、粒度分類、清浄化及び同様のものを行う工場である。典型的には、これらの調整工場は、水などの運搬流体の流れから取り除く費用の点から、これ以上は処理されない程度の小さいサイズの炭素質材料を製造する。必要とされるこれらの小さいサイズの炭素質粒状物は、大きいサイズの石炭から、粘土、炭素質材料及び岩石を洗浄することにより生成されるもので、調整工場で、様々な密度関連工程を使用して全体的に分離され、廃棄される。廃棄炭素質材料のサイズは非常に小さいので調整工場の工程の流れから回収することができないか、又は回収する価値がないので、これらは一般的には廃棄され、この廃棄炭素質材料は廃水と共に沈殿用池に流れ出て、廃棄炭素質材料が沈殿用池の底部に沈殿し、廃水は後に処理される。幾つかの例においては、これらの沈殿用池の流れ及び/又は沈殿用池における炭素質材料の割合は、沈殿用池の年数に応じて、沈殿用池全体の25%ないし75%とすることができる。一態様においては、炭素質材料を精製するためのシステムは、沈殿用池の流れなどの調整工場の工程の流れから炭素質材料を回収することができる。別の態様においては、炭素質材料を精製するためのシステムは、沈殿用池などの貯水池から炭素質材料を回収することができる。
【0022】
炭素質材料供給原料製造ユニット100は、炭素質材料洗鉱場、炭素質材料処理工場、石炭調整工場、石炭採掘工場、沈殿用貯水池、沈殿用池、及び同様のものの近くに移動又は配置することができ、小さいサイズの炭素質材料を含む水を加えられた調整工場の廃棄物の流れ又は沈殿用池の流れの材料に、パイプ102を介して結合される。パイプ102は、大きいサイズの炭素質材料片を小さいサイズの炭素質材料から分類する振動型スクリーンユニット104に結合される。一態様においては、振動型スクリーンユニット104は、スクリーンサイズを次第に小さくした一連の降下型スクリーンを含む。振動型スクリーンユニット104は、ティーターベッド、ワッフルテーブル、冶具、パルス動型ウオーターベッド、定常流ベッド、及び同様のものなどの、重力及び/又は密度分類装置を含むことができる。したがって、大きいサイズの炭素質材料片は、上方のスクリーンでろ過されるが、小さいサイズの炭素質材料は、振動型スクリーンユニット104の下方の部分にまで流れる。一態様においては、中間スクリーンの1つは、望ましい大きさの炭素質材料を含むことができる。工場外の処理水は、振動型スクリーンユニット104での洗浄及び処理を改善するために、パイプ106を通して振動型スクリーンユニット104に供給される。
【0023】
一実施形態においては、炭素質材料の望ましい予め定められたサイズを越える小さいサイズの粒状物及び大きいサイズの粒状物は、パイプ108及び110を介して、振動型スクリーンユニット104から取り除かれ、例えば調整工場に戻すことができる。工場外の処理水は、振動型スクリーンユニット104を出た望ましくない粒状物を含むことができる。使用上の便宜性を考慮して、炭素質材料の供給原料製造ユニット100を調整工場に連結しやすくするために、パイプ102、106、108及び110は、可撓性ホース、チューブ、パイプ、及び同様のものとすることができる。望ましいサイズの粒状物は、振動型スクリーンユニット104を出て、パイプ112を介して密度差分類機114に流れる。一実施形態においては、密度差分類機114は、高密度の粒状物を低密度の粒状物から分類する。典型的には、低密度の粒状物は、以下に述べるように処理される望ましい炭素質材料粒状物を含む。高密度の粒状物は、典型的には、炭素質材料を精製するためのシステムにより使用することができない材料及び粒状物を含む。
【0024】
望ましいサイズの粒状物は、密度差分類機114を出て、パイプ122を介して別の振動型スクリーンユニット120に流れる。一態様においては、振動型スクリーンユニット120は、粒状物を更に洗浄し、振動型スクリーンユニット120に入る炭素質材料粒状物を更に乾燥させることができる。望ましいサイズではないあらゆる大きさの粒状物は、パイプ122を介して振動型スクリーンユニット120を出て、例えば調整工場に戻すことができる。洗浄され、粒度分類された炭素質材料は、乾燥機124からの圧送空気により乾燥させることができる。一実施形態においては、水含有量は、約8%から約40%w/wが好ましく、約12%から約18%w/wがより好ましい。以下に十分に述べられているように、このような水含有量を有する炭素質材料は、後の蒸解工程にとって理想的であり、乾燥した炭素質材料を再湿潤させる必要性及び費用を排除することができる。このことは更に、典型的には、そうでない場合に精製工場に供給される完全に乾燥した炭素質材料を湿潤させるために費やされることになるエネルギーを節約することができる。一態様においては、炭素質材料をその場所以外の精製工場に運搬する費用を少なくするために、マイクロ波乾燥ユニット及び/又は遠心分離機を使用することにより、調整工場での水含有量を一層減少することができる。この態様においては、炭素質材料の水含有量は、およそ7%w/wとすることができる。
【0025】
炭素質材料が望ましい程度で水を保有する状態になると、該材料は、コンベア又は他の適当な装置により、上昇した高さまで移送され、貯蔵用袋、容器、タンク、トラック、コンテナ、及び同様のもの(貯蔵用コンテナ128)に落下させることができる。上記したように、炭素質材料供給原料製造ユニット100は、移動可能又は運搬可能であるので、上記したユニットは、トレーラー130のような車輌に取り付けることができる。これは、炭素質材料供給原料製造ユニット100がある場所又は調整工場から、望ましい大きさ及び水又は湿分含有量の炭素質材料を使用して、ここに述べた後の処理を施すための別の場所に移動することを可能とさせるが、例えば、沈殿用池へ流れる廃棄物の流れを減少させることとなる。一実施形態においては、貯蔵用コンテナ128が一杯になると、該コンテナは、別の車輌(図示されず)に積み込まれるか又は移すことができ、以下に示しているマイクロ波乾燥ユニット又は蒸解ユニットに移送することができる。一実施形態においては、炭素質材料供給原料製造ユニット100は、炭素質材料の湿分及び/又は水含有量を一層減少させるために、振動型スクリーンユニット120から炭素質材料の給送を受け入れるための遠心分離機ユニット132を含むことができる。
【0026】
図2は、本発明によるマイクロ波乾燥ユニットの実施形態200を示している。一実施形態においては、炭素質材料を精製するためのシステムは、マイクロ波乾燥ユニット200を含み、別の実施形態においては、炭素質材料を精製するためのシステムは、マイクロ波乾燥ユニット200を含まない。この実施形態においては、炭素質材料に望ましい水含有量になるように、更に水含有量を低くするために、貯蔵用コンテナ202及び128を空にして、マイクロ波ユニット208を通過するコンベア206に給送するホッパー204に移す。マイクロ波ユニット208を出た後に、炭素質材料は、コンベア212を介して、次の工程ユニットに給送するためにホッパー214に移送することができる。ホッパー204及び214は、固まりあった炭素質材料を動揺させるために、振動型ホッパーとすることができる。一実施形態においては、マイクロ波乾燥ユニット200は、炭素質材料の湿分及び/又は水含有量を更に減少させるために、マイクロ波ユニット208からの炭素質材料の給送を受け入れる遠心分離機ユニット216を更に含むことができる。別の実施形態においては、付加的遠心分離機ユニットを、例えばマイクロ波ユニット208の直前において、マイクロ波ユニット208と共に使用することができる。
【0027】
図3は、本発明による蒸解ユニットの実施形態300を示している。蒸解ユニット300は、清浄化され、粒度分類された炭素質材料を湿分平衡ユニット346に移送するためのコンベア302を含むことができる。湿分平衡ユニット346は、清浄化され、粒度分類された炭素質材料の湿分含有量を制御しながら増加させる、水及び蒸気の供給源を含むことができる。炭素質材料の湿分含有量が移送目的のために減少される場合には、湿分平衡ユニット346は、炭素質材料に湿分を加えることができる。1つの例においては、湿分平衡ユニット346は、好ましくは約7%から約40%w/wの湿分含有量で、より好ましくは約25%から約35%w/wの湿分含有量で、炭素質材料を生成することができる。湿分含有量が、湿分平衡ユニット346で調整又は平衡をとられた後、該炭素質材料は、1又はそれ以上の蒸解用容器304、308及び310に移送するためのコンベア302に給送することができる。
【0028】
一態様においては、コンベア302の基部に、コンベア302に入る炭素質材料を計量するためのロードセル316が設けられる。蒸解ユニット300は、パイプ318を介して、H2SiF6調整タンク712(図7)から移送される酸混合物溶液を含む。酸混合物溶液は、ミキサー312及び加熱器314を含む蒸解用容器304に給送される。炭素質材料は、蒸解用容器304に給送されて、炭素質材料の蒸解が開始される。蒸解用容器304、308、及び310の間で、炭素質材料/酸混合物溶液を切り替えるために、バルブ306を使用することができる。一態様においては、蒸解用容器304、308、及び310は、ここで示されているように、互いに重力給送か又はポンプ給送により送ることができる。
【0029】
炭素質材料及び酸混合物溶液は次に、蒸解用容器308及び310の1つに給送することができ、ここで、更に炭素質材料が蒸解される。蒸解用容器308及び310は、それぞれ加熱器324及び326、及びミキサー322及び326をそれぞれ含む。蒸解用容器304、308、及び310における炭素質材料の蒸解温度を維持するために、加熱器314、324、及び326が使用される。加熱器は、当業者によく知られている蒸気供給型熱交換器とすることができる。
【0030】
下流側の蒸解用容器308及び310を備えることにより、新しいバッチが蒸解用容器304に加えられる間に、炭素質材料及び酸混合物溶液を更に蒸解させることができる。更に、炭素質材料及び酸混合物溶液が特定のものではない場合には、蒸解用容器304での蒸解を停止せずに更に処理するために、蒸解用容器308及び310の1つに投入することができる。更に、炭素質材料及び酸混合物溶液は、蒸解用溶液310に移動又はポンプ給送することができ、該蒸解用容器は、炭素質材料及び酸混合物溶液の蒸解をするために使用するか、又はパイプ330を介して、蒸解用容器304、308、及び310より小さい容量又は容積を有することができる遠心分離機328に給送するために保持、ステージ、又はサージ用容器として使用することができる。
【0031】
一実施形態においては、蒸解用容器304、308及び310は、凝縮ループすなわち回路348を含み、蒸解用容器304、308及び310で蒸発するあらゆる酸混合物溶液を使用することができる。凝縮回路348は、炭素質材料を精製するための本システムにおいて、貯蔵目的で蒸気又はガス状酸混合物溶液を凝縮するために、冷却機などの凝縮ユニットを含むことができる。当業者によく知られている分類機は、酸混合物溶液の異なる化合物又は組成物を分類するために使用することができる。別の実施形態においては、触媒ベッドを、凝縮回路348と共に使用することができる。一態様においては、該酸混合物溶液は、HF及びH2SiF6などの多くの酸化合物を含むものとすることができ、温度特定の蒸留により異なる化合物を分離する温度制御による分離機の使用により、互いに分離させることができる。分離機内の温度及び酸化合物の比率を制御することにより、この分離を制御することができる。更に、炭素質材料により蒸解された金属は、異なるpHレベルで沈殿させ、炭素質材料及び酸混合物溶液からろ過することができる。
【0032】
上記した実施形態においては、炭素質材料を精製するための本システムは、炭素質材料/酸混合物溶液を、1つの蒸解用容器から別の下流側にある蒸解用容器に給送する一連の多数の蒸解用容器を含むことができる。この実施形態においては、炭素質材料/酸混合物溶液は、連続する下流側への流れを保持できる形態で、バッチ区分けすることができ、これは例えばパイプ330を介して、連続する遠心分離機328に給送するために重要になることがある。
【0033】
別の実施形態においては、炭素質材料を精製するための本システムは、蒸解用容器304のような1つの蒸解用容器を、それ自体の中に含むことができる。この実施形態においては、下流側に炭素質材料/酸混合物溶液を給送する蒸解用容器はなく、例えば遠心分離機328に直接給送される。
【0034】
更に別の実施形態においては、炭素質材料を精製するための本システムは、炭素質材料/酸混合物溶液を並列的に、すなわち同時に、例えば遠心分離機328に給送する、並列配置された多数の蒸解用容器を含むことができる。この実施形態においては、蒸解用容器304、308、及び310の各々は、炭素質材料/酸混合物溶液をコンベア302から個別に給送される。
【0035】
好ましくは、酸混合物溶液は、HF及びH2SiF6を所定割合の範囲で含む。1つの例においては、HFは、好ましくは約2%から約20%w/wの範囲で、より好ましくは約5%から約15%の範囲で存在する。H2SiF6は、好ましくは約10%から約58%w/wの範囲で存在する。好ましくは、HFは、約5%から約12%w/wの範囲で、より好ましくは約8%から約10%w/wの範囲で存在し、H2SiF6は、好ましくは約30%から約38%w/wの範囲で、より好ましくは約22%から約32%の範囲で存在する。混合物の残部は水である。一態様においては、例えば、10%のHFと35%のH2SiF6を含む酸混合物溶液は、蒸解用溶液に給送される炭素質材料の湿分を考慮して、55%のH2O含有量を有するようになる。好ましくは、酸混合物溶液は、炭素質材料と混合される前に、これらの混合される割合のHFとH2SiF6を含む。
【0036】
別の実施形態においては、基本の酸として、H2SiF6にH2Oを加えた溶液からフッ素酸溶液を準備することができ、これらの反応性酸の両方で1つの溶液にするために、無水フッ化水素酸を添加する。酸の幾つかの例示的範囲は、約5%−34%w/wのH2SiF6、32%−90%w/wのH2O、及び5%−34%w/wのHF酸とする。一態様においては、フッ素酸溶液は、水でH2SiF6の飽和溶液とガス状無水フッ化水素酸を添加して準備される。別の実施形態においては、SiF4は、H2Oと反応してH2SiF6を形成することができる。
【0037】
一実施形態においては、蒸解用容器304、308、及び310は、約10℃から約125℃の温度及び約0kPaから約105kPaの圧力で作動することができる。別の実施形態においては、蒸解用容器304、308、及び310の温度は、好ましくは約55℃から約85℃の範囲、より好ましくは約70℃から約85℃の範囲とすることができる。
【0038】
一実施形態においては、炭素質材料/酸混合物溶液は、好ましくは約20秒から約80秒間、より好ましくは約40秒から約60秒間、蒸解用容器304、308、及び310内を攪拌され、又はかき回される。
【0039】
蒸解用容器304、308、及び310は、含まれる化学物質に耐性がある材料で形成することができる。例えば、蒸解用容器304は、プラスチック及びカーボン繊維化合物の混合物で形成されるか、又は使用される酸の腐食作用に損なわれない何れかの材料で内張りをされた構造的材料で形成することができる。
【0040】
処理済み炭素質材料は、炭素質材料及び酸混合物溶液より小さい比重を有するので、ミキサー312、322、及び324が停止された時、処理済み炭素質材料は、蒸解用容器304、308、及び310内の炭素質材料及び酸混合物溶液の上部に浮遊する状態になる。酸混合物溶液より大きい比重である反応していない硫化鉄及び他の非溶解性重金属塩は、ミキサー312、322及び324を入れることにより攪拌が停止すると、蒸解用容器304、308、及び310の底部に沈下する。一実施形態においては、蒸解用容器に入った状態で、石炭などのある種の炭素質材料の比重は、およそ1.3であり、酸混合物溶液はおよそ1.2である。蒸解後、遠心分離機328に入ると、炭素質材料は、典型的には、比重が1.1で、酸性溶液の比重は1.2となる。更に、分離工程の間、処理済み炭素質材料は、酸混合物溶液に含まれる金属フッ化物及び/又は金属フッ化ケイ素酸塩に対してフィルターとして機能する。
【0041】
一実施形態においては、パイプ330がポンプ332に連結され、炭素質材料及び酸混合物溶液を遠心分離機328にポンプ給送する。好ましくは、ポンプ332は、粒状物のサイズを減少させることなく、炭素質材料/酸混合物溶液をポンプ給送する。一態様においては、ポンプ332は、蠕動ポンプである。
【0042】
一態様においては、遠心分離機328は、幾つかの異なる段階を含むものとすることができる。例えば、第一段階では、炭素質材料から酸混合物溶液を取り除くのに十分な速度で回転させることができる。第二段階においては、脱イオン水供給336及び/又はすすぎ水供給部334から供給された水を、炭素質材料の洗浄に使用することができる。このすすぎ水は、遠心分離機328の内部が回転している間に、炭素質材料に投入することが好ましくい。この過程で使用される水は、遠心分離機328に投入される前に加熱することができる。例えば、水は、好ましくは約30℃から約100℃、より好ましくは75℃から約85℃の温度とすることができる。次に遠心分離機328は、この洗浄水を除去し、該洗浄水は、この第二段階のろ過装置を通してろ過された後、再利用することができる。遠心分離機328から除去されたすすぎ水は、以下に示すようにパイプ342を介して再利用するために送られる。別の実施形態においては、ここに述べたような蒸解の前に、流入する炭素質材料の湿分含有量が望ましいものより低い場合には、湿分平衡ユニット346内の蒸解用容器304、308、及び310に入る前に、遠心分離機328から除去された洗浄水を炭素質材料にスプレーすることができる。ろ過装置は、ある種の金属フッ化物及び金属塩化物を取り除き、これらはアルミニウム及び製鋼工場などの他の市場に販売することができる。
【0043】
好ましくは、第三段階は、回転工程の間に遠心分離機328に蒸気を噴出させることを含む。一実施形態においては、遠心分離機328内の温度は、好ましくは約120℃から約400℃であり、遠心分離機328内の炭素質材料に付与される蒸気の量は、遠心分離機328内で炭素質材料が沈下するのを防ぐために、炭素質材料粒状物のサイズ及び遠心分離機328内のドラムの速度を含む、幾つかの要因により定めることができる。この蒸気は、残留フッ化物を取り除くことを助ける。例えば、炭素質材料に付与される蒸気の量は、最終の炭素質材料に必要とされるフッ素の残留レベルにより定めることができる。例えば、HF、H2SiF6の等方体及びH2Oは、個々の化合物の濃度に応じて、好ましくは約105℃から約120℃で蒸発することができる。このように遠心分離機328に蒸気を付与することにより、残留しているHF、H2SiF6、及びH2Oは、蒸気として炭素質材料から除去されて、例えばパイプ342を介して後に回収され、蒸気工程は、炭素質材料を精製するための本システムの乾燥段階を開始することができる。
【0044】
遠心分離機328は、スクレーパーを更に含むことができ、遠心分離機328内で回転する時に、炭素質材料を擦ることにより、遠心分離機328から炭素質材料を取り除く。このようにして炭素質材料が遠心分離機328を出て、炭素質材料は、次にコンベアを介してホッパー344に移送される。一態様においては、より小さい望ましくない微細粉を形成しないように、炭素質材料を微細化する可能性のあるあらゆる運搬手段を使用しないことが重要である。この時点での炭素質材料の湿分含有量は、約4%から約12%w/wとすることができる。
【0045】
図4は、本発明による乾燥ユニットの実施形態400を示している。この乾燥ユニット400は、蒸解ユニット300により生成された炭素質材料を更に乾燥させることができる乾燥機402を含む。ホッパー344からの炭素質材料が乾燥機402に給送され、炭素質材料は、望ましい速度及び温度の空気流に曝される。滞留時間の後、炭素質材料は乾燥機402を出てホッパー406に給送され、ここで、該材料は、図5に示されるように貯蔵コンテナ502内に配置された炭素質材料を計量するためのロードセルすなわちスケール504を含む最終の梱包及び製造ユニット500より上方に持ち上げられ、又は、該材料は、大規模貯蔵庫に送られ、ほとんどの純粋で乾燥した炭素質材料は、次の段階、燃料、活性化及び同様のものに使用できる状態になる。
【0046】
一実施形態においては、乾燥機402は、ティーターベッドなどの、一般的には密度依存型ユニットである流動層型とすることができ、該密度依存型ユニットは、流動層乾燥機の底部から上部に空気が流れ、サイクロン408によりドラム410に移送するために、流動層乾燥機の上部から軽い炭素質材料を引き込む。炭素質材料粒状物は、その密度に基づいて空気の流れの中で懸濁状態にあり、この工程により一層乾燥される。流動層乾燥機の上部から流出しない中間サイズの炭素質材料粒状物は、コンベア404上での移送のために流動層乾燥機の底部で回収される。流動層乾燥機は、該流動層乾燥機の内部の炭素質材料の高さを制御する堰を含む。コンベア404は、当業者に知られているように、真空コンベアとすることができる。一態様においては、流動層乾燥機の上部を出た小さいサイズの炭素質材料粒状物は、およそ200ミクロン又はこれより小さいものとすることができる。流動層乾燥機を通して粒状物のサイズの分類を制御するために、空気の流れを調整することができる。流動層乾燥機の中の強い空気の流れは、流動層乾燥機の上部から出る大きいサイズの炭素質材料粒状物を生成するが、弱い空気の流れは、流動層乾燥機の上部から出る小さいサイズの炭素質材料粒状物を生成する。更に、小さいサイズの炭素質材料粒状物は、袋及び同様のものなどの貯蔵用コンテナに給送することができる。
【0047】
別の実施形態においては、乾燥機402は、空気の流れ及び炭素質材料の動きがあるものであれば、多くの設計を使用することができ、乾燥機402の温度は、好ましくは、約100℃から約160℃、より好ましくは約120℃から約140℃の範囲とすることができ、該温度は、残留フッ素を遊離させて、炭素質材料の本来の固有値にレベルを近づけるために、ほとんどの湿分及びある程度のタールを十分に除去できるように、高い値とすることができる。
【0048】
図6は、本発明による蒸気回収ユニット600の実施形態600を示している。炭素質材料を精製するための該システムにより生成された処理水は、浄化装置602に給送することができ、空気が該浄化装置602に引き込まれて、処理水からあらゆる付加的軽揮発性蒸気を取り除く。浄化装置602を通る空気の流れは、送風機608により供給され、スタック610に給送される。取り除かれた処理水は、ポンプ612を介して浄化装置602の上部に戻すことができる。更に、取り除かれた処理水は、湿分平衡ユニット346に給送することができ、湿分平衡ユニット346内の炭素質材料の湿分含有量を増加するための供給原料として使用される。
【0049】
図7は、本発明による供給原料ユニットの実施形態700を示している。供給原料ユニット700は、炭素質材料を精製するためのシステムで使用される、脱イオン水を保持するための脱イオン水貯蔵タンク702を含む。例えば、脱イオン水は、脱イオン水貯蔵タンク702からパイプ704を介して遠心分離機328に給送される。供給原料ユニット700は、パイプ708を介してHF酸をHF調整タンク710に給送するHF貯蔵タンク706を含み、H2SiF6調整タンク712は、酸混合物溶液を望ましい強さに混合した後、それぞれの酸混合物溶液を加熱するための加熱器を更に含むことができる。H2SiF6調整タンク712は、H2SiF6貯蔵タンク714に貯蔵されるH2SiF6を、より凝縮した形態で給送することができる。酸混合物溶液の望ましい強度が達成されると、炭素質材料と混合するために、パイプ716を介して蒸解用容器304に圧送される。更に、HF調整タンク710は、パイプ718を介して、遠心分離機328に強度を減少させたHFを給送することができる。供給原料ユニット700は、炭素質材料を精製するためのシステムから集積されたすすぎ水を含む、すすぎ水集積タンク722を含むことができる。このすすぎ水は、パイプ720を介して、遠心分離機328に給送することができる。炭素質材料を精製するためのシステムのあらゆるこぼれた酸を中和するか、又は酸の強度を減少させるために、塩基などの苛性化合物を含む追加の容器724及び728を使用することができる。このような塩基は、パイプ726を介して、蒸解用容器304に給送することができる。
【0050】
図8は、本発明による超音波ユニットの実施形態800を示している。一実施形態においては、蒸解用容器304、308、及び310は、パイプ802を含むことができ、該パイプは、炭素質材料及び酸混合物溶液の流れを受け取り、該材料を、酸混合物溶液が炭素質材料のミクロ孔及びマクロ孔へ浸透するのを改善するための超音波発信源804により、パイプ802を通して圧送する。一態様においては、超音波発信源804は、このような超音波発信源に曝されている水槽とすることができ、酸混合物溶液の浸透を改善するために、パイプ802を通して超音波を与える。一実施形態においては、波動信号は、このような浸透及び蒸解作用を改善するために方形波である。
【0051】
図9は、本発明による超音波ユニットの実施形態900を示している。この実施形態においては、超音波発信源902は、振動型スクリーンユニット104に入る前のパイプ102上に配置される。
【0052】
一実施形態においては、超音波発信源804及び902の周波数は、約80KHzから約100KHzとする。1つの例においては、炭素質材料のマクロ孔の開口部は、凡そ1ミクロンで、周波数が100KHzの超音波発信源804及び902は、酸混合物溶液がマクロ孔の開口部に浸透するのを可能にすることが分かっている。更に、酸混合物溶液が、炭素質材料のマクロ孔にポンプ給送されると、マクロ孔の内側に圧力が発生し、マクロ孔の内側の圧力がマクロ孔の外側の圧力より大きくなると、圧送されるようにすることができる。このポンピング作用は、炭素質材料の汚染物質の浸透及び蒸解を改善するものである。超音波発信源804及び902は、当業者によく知られている超音波変換器により形成することができる。一態様においては、これらの変換器は、水槽と接触又は連通させることができ、水に波動作用を伝達し、次にパイプに該波動作用を伝達するなどして、炭素質材料のミクロ孔及びマクロ孔にポンピング作用を与える。これは、機械的攪拌の必要性を減少させて、蒸解の時間を改善させるものである。超音波発信源804及び902の周波数は、酸混合物溶液内に、炭素質材料のマクロ孔の典型的開口部と同じか又はこれより小さいサイズとなるようなキャビテーション、キャビテーション泡、及び/又は空洞泡を形成する。一般的には、周波数が高くなると、キャビテーションの泡が小さくなる。キャビテーションの泡が大き過ぎると、工程に望ましくない小さいサイズにまで炭素質材料を粉砕する傾向を生じる。一実施形態においては、超音波発信源804及び902は、約10KHzから約50KHzの周波数で、約250ワットから約16,000ワットの電力を発生することができる。超音波生成は、作動しようとするパイプの次にある給送用ポンプ及び調整可能な背圧バルブを使用して、大気圧を超える増加した圧力で生成することができる。
【0053】
炭素質材料を精製するための本システムの前述した態様及び実施形態に加えて、本発明は、炭素質材料を精製するための方法を更に含む。図10は、炭素質材料を精製するための方法の実施形態1000を示している。1002の段階においては、望ましい割合のHF、H2O、及びH2SiF6を混合することにより、酸混合物溶液が準備される。この段階においては、貯蔵された凝縮状態のHF及びH2SiF6は、個々の容器に個別にポンプ給送することができ、各々の濃度は、水又は塩基で減少される。次に、これらの濃度を減少させたHF及びH2SiF6は、容器内で結合させることができ、HF、H2SiF6及びH2Oを混合して、該混合物を加熱する。この段階においては、酸混合物溶液の正確な量は、蒸解される炭素質材料の特定の量に対して準備される。
【0054】
1004の段階においては、調整工場沈殿用池の流れなどの、炭素質材料の原料を粒度分類することにより、炭素質材料が準備される。この段階は、炭素質材料を約8%から約10%w/wといった望ましい含有量にまで、H2Oで湿潤することを含む。この段階は、粒度分類作用をする前、又はしている間に、炭素質材料に超音波を付与することを更に含むことができる。
【0055】
1006の段階においては、炭素質材料と酸混合物溶液とが、温度及び圧力が制御されている蒸解用容器内で組み合わされる。この段階は、更なる蒸解時間のために、炭素質材料及び酸混合物溶液を第二蒸解用容器に移送することを更に含むことができる。この段階は、更なる蒸解時間のために、炭素質材料及び酸混合物溶液を第三蒸解用容器に移送することを更に含むことができる。この段階は、超音波を蒸解用容器又は迂回或いは循環パイプに付与することを更に含むことができ、蒸解用容器から炭素質材料及び酸混合物溶液の流れを取り出し、蒸解を改善するために超音波を付与した後、蒸解用容器に戻し入れる。
【0056】
1008の段階においては、炭素質材料及び酸混合物溶液が、酸混合物溶液を取り除くために遠心分離機に移送される。この段階は、あらゆる残留酸混合物溶液を炭素質材料から洗浄するために、遠心分離機にすすぎ水をスプレーする手順を含むことができる。炭素質材料が望ましい湿分含有量を有するまで、更に遠心分離を行うことができる。
【0057】
1010の段階においては、炭素質材料は、密度に基づいて更に乾燥及び分類することができ、特定の用途又は注文に対して望ましい製品のサイズを達成することができる。この段階は、垂直容器に空気の流れを付与することを含み、密度の低い炭素質材料は乾燥機の上部から取り除かれ、密度の高い炭素質材料は、袋などの貯蔵用容器に移すために、乾燥機内に保持される。1012の段階においては、炭素質材料は、完成されて、意図する目的のために袋などの最終貯蔵コンテナ内で計量される。ここに述べた工程は、規模は関係がなく、小規模、中規模及び大規模で使用することができる。
【0058】
炭素質材料を精製するためのシステムが示された。本明細書に述べられた特定の実施形態は、例示の目的のものであり、本発明を限定するものと解釈するべきではないことが理解されるべきである。更に、当業者は、本発明の概念から外れることなく、述べられた特定の実施形態について、多くの用途及び修正を達成できることは明らかである。例えば、異なる温度、圧力、酸混合物溶液化合物及び同様のものは、本発明の概念から外れることなく、ここに又は他に述べた炭素質材料を精製するための本システムに適合するために変更又は改変することができる。
【符号の説明】
【0059】
100 炭素質材料供給原料ユニット; 104 振動型スクリーンユニット;
114 密度差分類機; 124 乾燥機; 300 蒸解ユニット;
304 蒸解用容器; 328 遠心分離機; 334 すすぎ水供給;
336 脱イオン水供給;346 湿分平衡ユニット; 400 乾燥ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質材料を望ましいサイズに粒度分類するための第一振動型スクリーンユニットを含み、前記第一振動型スクリーンユニットに連通し且つ5%より少ない鉱物含有量の炭素質材料を生成する密度差分類装置を含んでいる、炭素質材料供給原料ユニットと、
前記炭素質材料供給原料ユニットに連通する蒸解ユニットと、
2O源、
HF源、及び
2SiF6
を含み、前記HFとH2SiF6とH2Oを予め定められた比率で互いに混合して、前記第一蒸解ユニットに付与される前に酸混合物溶液を形成する、前記第一蒸解ユニットに前記酸混合物溶液を付与するための、前記蒸解ユニットに連通する酸供給原料ユニットと、
前記蒸解した炭素質材料を前記酸混合物溶液から分離するために、前記蒸解ユニットに連通する分離ユニットと、
前記蒸解した炭素質材料を乾燥させて前記炭素質材料を分離するための、前記分離ユニットに連通する乾燥ユニットと、
を備える、炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項2】
前記炭素質材料の供給原料ユニットは、炭素質材料の調整工場と、前記第一振動型スクリーンユニットと連結された炭素質材料の沈殿用池の1つから得られる、沈殿用池の流れからの供給原料供給部を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項3】
前記炭素質材料の供給原料製造ユニットは、運搬可能なユニットであることを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項4】
前記蒸解ユニットは、最小の粒状物分解で、前記炭素質材料/酸混合物溶液を前記蒸解ユニットから前記分類ユニットにポンプ給送する、前記蒸解ユニットと前記分離ユニットとの間に設置される蠕動ポンプを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項5】
前記分離ユニットは、遠心分離機であることを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項6】
前記分離ユニットは、残留酸混合物溶液を前記蒸解した炭素質材料から洗い流すためのH2Oすすぎを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項7】
前記分離ユニットは、残留酸混合物溶液を前記蒸解した炭素質材料から洗い流すために、蒸気すすぎを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項8】
前記蒸解した炭素質材料を乾燥させるために前記分離ユニットに連通する流動層式密度依存型ユニットを更に含み、前記乾燥工程は、前記蒸解した炭素質材料の密度に基づいて前記蒸解した炭素質材料を分離し、前記乾燥工程及び分離は、前記流動層密度依存型ユニットを通して空気の流れの前記速度により制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項9】
前記乾燥され蒸解した炭素質材料を、前記流動層式密度依存型ユニットから炭素質材料の完成した製品のコンテナへ移送するために、前記流動層式密度依存型ユニットに連通する真空コンベアを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項10】
前記炭素質材料の供給原料ユニットと前記蒸解ユニットの少なくとも1つは、キャビテーション泡が、前記炭素質材料のマクロ孔の開口部の平均直径より小さい直径を有するようにさせるために、十分な大きさの超音波を発生する超音波発生器を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項11】
蒸解ユニットを準備し、
HF、H2SiF6及びH2Oを、前記蒸解ユニットに給送される前に予め定められた比率で互いに混合することによって形成される、H2O、HF、及びH2SiF6の混合物から成る酸混合物溶液を給送し、
前記蒸解ユニットに予め湿潤した炭素質材料の供給量を給送して、炭素質材料/酸混合物溶液を形成し、
前記炭素質材料を蒸解して前記酸混合物溶液に溶解する汚染物質を取り除き、
前記炭素質材料/酸混合物溶液を、前記蒸解ユニットから分離ユニットに圧送し、
前記蒸解した炭素質材料を前記炭素質材料/酸混合物溶液から分離し、
前記蒸解した炭素質材料を望ましい速度の加熱した空気の流れに曝して、前記望ましい速度の加熱した空気の流れが、前記炭素質材料の密度に基づいて、前記蒸解した炭素質材料を分離して、前記蒸解した炭素質材料を更に乾燥するようにすること
を備える、炭素質材料を精製するための方法。
【請求項12】
前記予め湿潤した炭素質材料の供給量の給送は、炭素質材料調整工場と炭素質材料沈殿用池の流れの1つから、炭素質材料の供給原料供給を受けるものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸混合物溶液の前記給送は、前記溶液を約55℃から約85℃の温度に加熱することを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の炭素質材料を精製する方法。
【請求項14】
前記第一蒸解ユニットを準備することは、更なる蒸解のために、前記炭素質材料/酸混合物溶液を移送するように、前記第一蒸解ユニットに連通する第二蒸解を準備することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記蒸解した炭素質材料を前記炭素質材料/酸混合物溶液から分離することは、前記酸混合物溶液を遠心力に曝すことにより、前記炭素質材料から前記酸混合物溶液を取り除くことを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の炭素質材料を精製するための方法。
【請求項16】
前記酸混合物溶液を取り除くことは、前記遠心力付与の間に、前記炭素質材料をすすぎ水で洗うことを含むことを特徴とする請求項15に記載の炭素質材料を精製するための方法。
【請求項17】
前記酸混合物溶液を取り除くことは、前記遠心力付与の間に、前記炭素質材料を蒸気で洗うことを更に含むことを特徴とする請求項15に記載の炭素質材料を精製するための方法。
【請求項18】
前記予め湿潤した炭素質材料の供給量の給送及び前記炭素質材料の蒸解の少なくとも1つは、キャビテーション泡が前記炭素質材料のマクロ孔の開口部の平均直径より小さい直径となるようにさせるのに十分な大きさの超音波に、前記炭素質材料を曝すことを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の炭素質材料を精製するための方法。
【請求項19】
蒸解ユニットを準備する手段と、
前記蒸解ユニットに給送される前に予め定められた比率で互いに混合することによって形成される、H2O、HF、及びH2SiF6の混合物からなる酸混合物溶液を、前記蒸解ユニットに給送するための手段と、
予め湿潤された炭素質材料の供給量を前記第一蒸解ユニットに給送して、炭素質材料/酸混合物溶液を形成するための手段と、
前記炭素質材料を蒸解して、前記酸混合物溶液に溶解する汚染物質を取り除くための手段と、
前記蒸解ユニットから分離ユニットに前記炭素質材料/酸混合物溶液を圧送するための手段と、
前記酸混合物溶液から前記蒸解した炭素質材料を分離するための手段と、
前記炭素質材料の密度に基づいて前記蒸解した材料を分離し、前記蒸解した炭素質材料を乾燥するための、望ましい速度の加熱した空気の流れに前記蒸解した炭素質材料を曝す手段と、
を備える炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項20】
前記予め湿潤された炭素質材料の供給量を給送するための手段は、炭素質材料の調整工場からの沈殿用池の流れから、炭素質材料の供給原料供給を受けるための手段を含むことを特徴とする請求項19に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項21】
前記酸混合物溶液を給送するための手段は、前記溶液を約55℃から約85℃の温度にまで加熱するための手段を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項22】
蒸解ユニットを準備するための前記手段は、更なる蒸解のために、前記炭素質材料及び酸混合物溶液を移送するための前記蒸解ユニットに連通する第二蒸解ユニットを設ける手段を含むことを特徴とする請求項19に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項23】
前記蒸解した炭素質材料を前記炭素質材料/酸混合物溶液から分離するための前記手段は、前記酸混合物溶液を遠心力に曝すことにより、前記酸混合物溶液を前記炭素質材料から除去するための手段を含むことを特徴とする請求項19に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項24】
前記酸混合物溶液を除去するための手段は、前記遠心力付与の間に前記炭素質材料を蒸気で洗うための手段を含むことを特徴とする請求項23に記載の炭素質材料を精製するためのシステム。
【請求項25】
予め湿潤された炭素質材料の供給量を給送するための前記手段及び前記炭素質材料を蒸解するための手段の少なくとも1つは、キャビテーション泡が前記炭素質材料のマクロ孔の開口部の平均直径より小さい直径となるようにさせるのに十分な大きさの超音波に、前記炭素質材料を曝すことを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の炭素質材料を精製するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−509236(P2011−509236A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542340(P2010−542340)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/030442
【国際公開番号】WO2009/089351
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510189352)カーボンエクスト・グループ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】