説明

点検記録作成プログラム及び点検記録作成装置

【課題】 電子文書化された点検記録中の重要事項の見落としを防ぐことができる点検記録作成プログラム及び点検記録作成装置を提供する。
【解決手段】 電子文書作成プログラムは、電力会社の各種設備に関する点検記録をコンピュータで閲覧可能な電子文書として自動的に作成するためのコンピュータプログラムであって、点検記録の基となる点検情報から所定のキーワードを検出するステップと、点検情報に基づいて、キーワードを目立たせた点検記録を作成するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータで閲覧可能な電子文書を作成する装置及び作成のためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社が管理する各種設備は、定期的又は臨時に点検が行われており、点検の結果は、点検記録表や点検報告書等の帳票(以下「点検記録」という)を電子文書化してコンピュータで管理されている。この電子文書は、電力会社内のネットワーク上に設置したサーバコンピュータ内に格納され、社員等のアクセスが許可された者が適宜閲覧することができるようになっている。
【0003】
また、点検の結果として、修繕を早急に行う必要がある旨など、電力の安定供給を維持するうえで重要な事項が帳票に記載されている場合、設備の修繕計画を策定する計画策定者は、電子文書を閲覧する際に当該事項を見落とすことなく、修繕計画に的確に反映させなければならない。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、土木・建築工事関係者間で行われるやり取りで交わされる各種情報の中から、必要な情報だけを瞬時に選び出すことができる土木・建築工事用情報管理システムが記載されている。この技術では、土木・建築工事に係る打ち合わせの議事録内容や書類の管理情報等のデータを1件毎に適宜のデータベースに格納し、或る情報の閲覧を希望する者が、そのデータベースの中から希望する情報を検索して閲覧することができるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−175542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献の技術では、データベース内の検索結果として選び出される情報は、1つの案件に関する情報全体であり、前述のとおり、計画策定者等の情報閲覧者が当該情報に含まれる重要事項を見落とすおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、電子文書化された点検記録中の重要事項の見落としを防ぐことができる点検記録作成プログラム及び点検記録作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の点検記録作成プログラムは、電力会社の各種設備に関する点検記録をコンピュータで閲覧可能な電子文書として自動的に作成するためのコンピュータプログラムであって、前記点検記録の基となる情報から所定のキーワードを検出するステップと、前記情報に基づいて、前記キーワードを目立たせた点検記録を作成するステップとを含むことを特徴とする。ここで、点検記録の基となる情報(以下、「点検情報」という)は、点検結果を示すデータ及び点検記録の文章その他一切の情報を含む。
【0009】
本発明の具体的態様では、前記キーワードは、予め複数定められており、それぞれ所定の重みに関連付けられており、前記点検記録を作成するステップでは、検出したキーワードを、その重みに対応する所定の書式で表すことにより目立たせることを特徴とする。
【0010】
別の態様では、前記情報は文章であり、前記点検記録を作成するステップでは、前記文章のうち前記キーワードを含む文を、その他の文より目立たせることを特徴とする。
【0011】
本発明の点検記録作成装置は、電力会社の各種設備に関する点検記録をコンピュータで閲覧可能な電子文書として自動的に作成するための装置であって、前記点検記録の基となる情報から所定のキーワードを検出するキーワード検出部と、前記情報に基づいて、前記キーワードを目立たせた点検記録を作成する文書作成部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の具体的態様では、作成した点検記録を、ネットワークを介して通信可能に接続したコンピュータへ送信する通信部を備えたことを特徴とする。この場合、作成した点検記録を、予め定めたメールアドレス宛の電子メールの本文として又はこれに添付して前記通信部へ送る電子メール作成部を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の点検記録作成プログラムによれば、点検記録中のキーワードを目立たせることにより、点検記録を閲覧する者は、点検記録中の重要事項を見落とすことなく、確実に把握することができる。修繕計画に的確に反映させることができる。重要事項の見落としを防ぐことにより、例えば、設備の修繕計画を策定する計画策定者が閲覧する場合、当該事項を修繕計画に的確に反映させることができる。
【0014】
キーワード毎に定めた重みを所定の書式に関連付けておくことにより、キーワードを目立たせる処理が容易になる。
【0015】
キーワード自体ではなく、これを含む文をその他の文より目立たせることにより、閲覧者に対し、より確実に重要事項を把握させることができる。
【0016】
本発明の点検記録作成装置によれば、点検記録中のキーワードを目立たせることにより、点検記録を閲覧する者は、点検記録中の重要事項を見落とすことなく、確実に把握することができる。修繕計画に的確に反映させることができる。重要事項の見落としを防ぐことにより、例えば、設備の修繕計画を策定する計画策定者が閲覧する場合、当該事項を修繕計画に的確に反映させることができる。
【0017】
別の態様として、作成した点検記録を、ネットワークを介して通信可能に接続したコンピュータへ送信する通信部を備えることにより、点検記録の閲覧を希望する者は、通信環境さえあれば、時間と場所に拘わらず適宜の点検記録を閲覧することができる。この態様において、点検記録を、予め定めたメールアドレス宛の電子メールの本文として又はこれに添付して送信することにより、点検記録を閲覧すべき者(例えば、設備の修繕計画を策定する計画策定者など)に確実に閲覧させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、実施例の点検記録作成装置1をインターネット2上に設置して構成されるネットワークシステムを示す。
【0019】
点検記録作成装置1は、電力会社の各種設備に関する点検記録を、点検情報に基づいてコンピュータで閲覧可能な電子文書として自動的に作成するコンピュータであり、電力会社(本社)4に設置されている。また、点検記録作成装置1は、支社5a,5b、電力所6、及び点検請負業者7に設置した各端末9a,9b,9c,9dとインターネット2を介して相互通信可能に構成され、作成した電子文書を、閲覧を希望する端末側へ又は予め決められた端末側へ送信する。
【0020】
実施例では、点検情報は、設備の点検員が入力する点検記録の文章であり、点検記録作成装置1は、該文章に基づいて、文章から成る点検記録の電子文書を作成する。
【0021】
端末9a,9b,9c,9dは、例えば、情報処理装置としての本体、表示装置としての液晶モニタ、並びに入力装置としてのキーボード及びマウスで構成される一般的なパソコンである。
【0022】
点検記録作成装置1は、上記機能を実現するため、
点検情報から所定のキーワードを検出するキーワード検出部11と、
点検情報を構成する文章のうち、検出したキーワードを含む文(以下「重要文」という)を抽出する重要文抽出部12と、
点検情報に基づいて、抽出した重要文を、その他の文より目立たせた点検記録を作成する文書作成部13と、
支社5a,5b、電力所6、及び点検請負業者7に設置した各端末9a,9b,9c,9dとインターネット2を介して相互通信を行う通信部15と、
作成した点検記録を、予め定めたメールアドレス宛の電子メールの本文として又はこれに添付して通信部15へ送る電子メール作成部16と
作成した点検記録及び点検記録作成装置1が実行する処理に必要な各種情報を格納するデータ格納部(例えば、ハードディスクなど)18と、
インターネット2を介して端末9a,9b,9c,9d側から、特定の点検記録を検索すべき旨の情報(以下「検索情報」という)が入力されたとき、該検索情報に基づいてデータ格納部18から当該点検記録を抽出する文書検索部22と
を備えている。
【0023】
また、点検記録作成装置1には、
作成し又はデータ格納部18に格納した点検記録のうち任意のものを表示することができる表示部(例えば、液晶モニタなど)24と、
点検情報及び検索情報等の各種情報を入力することができる入力部(キーボード及びマウスなど)25と
が接続されている。
【0024】
点検記録作成装置1に接続された入力部25から検索情報を入力すると、検索結果として、特定の点検記録を表示部24に表示させることができる。
【0025】
重要文を目立たせる方法の一例としては、キーワード検出部11で検出するキーワードを予め複数決めておき、それぞれ所定の重みに関連付けておき、文書作成部13が、重要文抽出部12で抽出した重要文を、該重要文に含まれるキーワードの重みに対応する所定の書式で表すことにより目立たせることができる。
【0026】
このキーワードとしては、点検情報のうち、点検対象である設備の故障や修繕の必要性等の異常状態を表す「非常」,「緊急」,「修繕」,「危険」,「損傷」等の言葉を設定することができ、具体的には、図2のようなキーワードマスタで管理される。また、重要文を目立たせるための書式は、例えば、重要文中のキーワードの重みの合計に基づいて、電子文書化した点検記録の文章上に提示した吹き出しの中に当該重要文を表示する書式、太字表示、赤字表示、拡大表示、及び点滅表示等の適宜の目立つ書式を定めることができ、図3のような書式マスタで管理される。キーワードマスタ及び書式マスタは、データ格納部18その他の記憶手段(例えば、メモリ)に格納され、点検記録作成装置1が実行する点検記録を作成する処理において適宜参照される。
【0027】
点検情報は、入力部25から入力できるだけでなく、点検対象である設備の点検員が、点検結果に基づいて、端末9a,9b,9c,9dを操作し、インターネット2を介して点検記録作成装置1へ送信することができる。点検情報は、データ又は該データで構成されるファイルなど、点検記録作成装置1が実行する点検記録を作成する処理に適した形態で入力するのがよい。
【0028】
図4は、点検記録を電子文書として自動的に作成する処理を、点検記録作成装置1に実行させる点検記録作成プログラムのフローチャートである。
【0029】
点検記録作成装置1は、入力部25から又はインターネット2を介して端末9a,9b,9c,9d側から点検情報又は検索情報が入力されたときに処理を行う。具体的には、点検記録作成装置1は、入力された情報が点検情報と検索情報のいずれかであるかを識別し(ステップ[以下、STと表記する]1)、識別結果に基づいて、適宜の処理を実行する。更に詳細には、点検情報が入力された場合、点検記録を作成する処理を実行し、検索情報が入力された場合、特定の点検記録を抽出する処理を実行する。
【0030】
[点検情報が入力された場合(ST1で点検情報を識別した場合)]
この場合、キーワード検出部11は、入力された点検情報に含まれている所定のキーワードを検出する(ST2)。
【0031】
重要文抽出部12は、点検情報のうち、検出されたキーワードを含む文である重要文を抽出し(ST3)、キーワードマスタ(図2)を参照して、当該重要文に含まれるキーワードの重みの合計を求める(ST4)。例えば、点検情報に、「○○部に重大な損傷がありました。」という文と、「早急に修繕する必要があると思われます。」という文が含まれている場合、キーワードマスタ(図2)によれば、前者の重要文に含まれるキーワードとその重みは、「重大」の重みが2で、「損傷」の重みが1であり、重みの合計は3である。後者の重要文に含まれるキーワードとその重みは、「早急」と「修繕」と「必要」の重みがそれぞれ1であり、重みの合計は3である。
【0032】
文書作成部13は、重要文抽出部12で重要文が抽出されると、書式マスタ(図3)を参照し、当該重要文を、これに含まれるキーワードの重みの合計に対応する所定の書式(図3)で表すことにより、点検情報に含まれるその他の文より目立たせた点検記録を作成する(ST5)。具体的には、作成すべき点検記録の書式を予め決めておき、入力された点検情報を、その書式に当て嵌めることにより点検記録の電子文書を作成することができる。或いは、点検情報がファイルとして入力される場合、当該ファイルを構成するデータのうち重要文に相当する部分を目出たせる加工を施した後に、当該ファイルを上書きすることにより点検記録の電子文書とすることもできる。
【0033】
点検記録が作成された場合、電子メール作成部16は、当該点検記録を所定のメールアドレス宛に送信すべき旨の設定がされているかどうかを判別する(ST6)。
【0034】
当該判別が“YES”、即ち電子メールの送信設定がされている場合、電子メール作成部16は、当該点検記録を、予め定めたメールアドレス宛の電子メールの本文として又はこれに添付して通信部15へ送る。この電子メールは、通信部15を介してインターネット2経由で所定のメールアドレス宛に送信される(ST7)。
【0035】
電子メールの送信先としては、例えば、設備の修繕計画を策定する計画策定者など、点検記録を閲覧すべき者のメールアドレスを設定しておくことができる。このように、点検記録が作成される度に、重要文を目立たせた点検記録が計画策定者のメールアドレス宛に自動的に送信されるため、計画策定者は、点検記録中の重要文を見落とすことなく、修繕計画に的確に反映させることができる。
【0036】
ST6の判別が“NO”、即ち電子メールの送信設定がされていない場合、又は電子メールを送信した(ST7)後、文書作成部13は、作成した点検記録を表示部24に表示し(ST8)、データ格納部18に格納する(ST9)。
【0037】
図5は、表示部24に提示される点検記録閲覧用の文書提示画面31を示す。
【0038】
文書作成部13で作成された点検記録は、文書提示画面31上で左側の本文提示部33に表示され、重要文に関しては、本文提示部33に表示されるだけでなく、画面右側の重要文提示部35にも別途表示される。
【0039】
重要文は、本文提示部33に表示される本文中においては、その他の文と同じ書式で記載され、重要文提示部35において、その他の文より目立たせて表示される。
【0040】
例えば、前述のとおり、重要文として「○○部に重大な損傷がありました。」という文と、「早急に修繕する必要があると思われます。」という文が抽出された場合、いずれもキーワードの重みの合計が3であり、書式マスタ(図3)に基づいて、これらの重要文は、重要文提示部35に提示した吹き出し37a,37bの中に赤色の太字で表示される。
【0041】
[検索情報が入力された場合(ST1で検索情報を識別した場合)]
この場合、文書検索部22は、検索情報に基づいて、特定の点検記録をデータ格納部18内で検索し(ST10)、取り出した点検記録を出力する(ST11)。具体的には、検索情報が入力部25から入力された場合、検索した点検記録を表示部24に表示し、検索情報がインターネット2を介して端末9a,9b,9c,9d側から受信した場合、当該検索情報の送信元である端末側へ送信する。検索結果である点検記録は、文書提示画面31(図5)上に提示される。
【0042】
また、検索情報は、設備の修繕計画を策定する計画策定者が入力することもできる。即ち、計画策定者は、点検記録が作成される度に、点検記録をメールで受信することができるだけでなく、任意の時期に検索情報を入力し、特定の点検記録を閲覧することができる。
【0043】
以上、実施例の点検記録作成プログラム及び点検記録作成装置1について説明したが、本発明はこれに限られず、重要文は、実施例のように、文書提示画面31の重要文提示部35に目立たせて表示するだけでなく、本文提示部33においても、同様に目立たせて表示することができる。この場合、吹き出しを設けずに、重要文を、点検記録の文章中で太字、赤字、拡大、及び点滅等の適宜の書式で表せばよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例の点検記録作成装置をインターネット上に設置して構成されるネットワークシステムを示す図。
【図2】キーワードと、その重みから成るキーワードマスタ。
【図3】重要文に含まれるキーワードの重みの合計と、これに対応する重要文の書式から成る書式マスタ。
【図4】点検記録を電子文書として自動的に作成する処理を、点検記録作成装置に実行させる点検記録作成プログラムのフローチャート。
【図5】表示部に提示される点検記録閲覧用の文書提示画面を示す図。
【符号の説明】
【0045】
1…点検記録作成装置、2…インターネット、4…本社、5a,5b…支社、6…電力所、7…点検請負業者、9a,9b,9c,9d…端末、11…キーワード検出部、12…重要文抽出部、13…文書作成部、15…通信部、16…電子メール作成部、18…データ格納部、22…文書検索部、24…表示部、25…入力部、31…文書提示画面、33…本文提示部、35…重要文提示部、37a,37b…吹き出し。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力会社の各種設備に関する点検記録をコンピュータで閲覧可能な電子文書として自動的に作成するためのコンピュータプログラムであって、
前記点検記録の基となる情報から所定のキーワードを検出するステップと、
前記情報に基づいて、前記キーワードを目立たせた点検記録を作成するステップと
を含むことを特徴とする点検記録作成プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の点検記録作成プログラムにおいて、前記キーワードは、予め複数定められており、それぞれ所定の重みに関連付けられており、
前記点検記録を作成するステップでは、検出したキーワードを、その重みに対応する所定の書式で表すことにより目立たせることを特徴とする点検記録作成プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の点検記録作成プログラムにおいて、前記情報は文章であり、
前記点検記録を作成するステップでは、前記文章のうち前記キーワードを含む文を、その他の文より目立たせることを特徴とする点検記録作成プログラム。
【請求項4】
電力会社の各種設備に関する点検記録をコンピュータで閲覧可能な電子文書として自動的に作成するための点検記録作成装置であって、
前記点検記録の基となる情報から所定のキーワードを検出するキーワード検出部と、
前記情報に基づいて、前記キーワードを目立たせた点検記録を作成する文書作成部と
を備えたことを特徴とする点検記録作成装置。
【請求項5】
請求項4記載の点検記録作成装置において、作成した点検記録を、ネットワークを介して通信可能に接続したコンピュータへ送信する通信部を備えたことを特徴とする点検記録作成装置。
【請求項6】
請求項5記載の点検記録作成装置において、作成した点検記録を、予め定めたメールアドレス宛の電子メールの本文として又はこれに添付して前記通信部へ送る電子メール作成部を備えたことを特徴とする点検記録作成装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−34367(P2007−34367A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212385(P2005−212385)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】