説明

無人の水中航走体および無人の水中航走体に光導波路ケーブルを接続するための装置

【課題】ミッションのコストが削減される、無人の水中航走体に光導波路ケーブルを接続するための装置ならびに無人の水中航走体を提供する。
【解決手段】接続ケーブル8と、該接続ケーブル8の各端部9,10に設けられた、光導波路ケーブル3および無人の水中航走体1に対する接続エレメント11,12とが設けられているようにした。接続ケーブル8の端部9,10が、それぞれ接続コネクタ13,14を有しており、接続エレメントが、接続ケーブルの端部に対する張力緩和エレメント17,18を有している

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人の水中航走体に光導波路ケーブルを接続するための接続装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、無人の水中航走体であって、該水中航走体が、光導波路ケーブルによって制御可能であり、該光導波路ケーブルが、運搬プラットフォームから延在可能である形式のものに関する。
【背景技術】
【0003】
無人の水中航走体(UUV;Unmanned Underwater Vehicle)は、水中での数多くの任務、いわゆる「ミッション」のために使用され、たとえば民間の範囲では、海底の探査および調査、海底に設けられたケーブルおよび導管の監督ならびに失われていった機器の回収のために使用される。軍事の範囲では、無人の水中航走体は、特に機雷偵察および機雷破壊のために使用されるが、有人のミッションに対して高い危険をはらんでいる事例にも使用される。
【0004】
遠隔制御式の水中航走体もしくは、いわゆる「遠隔操作無人探査機(ROV)」として、水中航走体は接続ケーブルによって遠隔操舵される。この接続ケーブルは水中航走体に運搬プラットフォーム、たとえば水上船舶から延在している。遠隔操舵ケーブルは、通常、高性能の光導波路ケーブルである。機雷掃討の分野では、光導波路ケーブルを介して遠隔操舵される水中航走体が2つのバリエーションで使用される。第1のバリエーションの水中航走体は、たとえばソナーによって発見された物体、たとえば機雷のより詳細な認識のために使用され、次いで、運搬プラットフォームに引き上げられる。機雷掃海のためには、第2のバリエーションの水中航走体が使用される。この水中航走体は付加的に装薬を支持していて、前もって認識された目標物の発見後、この目標物の破壊と同時に自体破壊される。このような形式の無人機雷掃討機、すなわち、機雷駆除のために使用される無人の水中航走体では、所望の掃海成果に対して水中航走体の喪失が甘受される。
【0005】
しかし、このような形式の無人機雷掃討機では、機雷掃海の失敗も水中航走体の喪失に繋がる。なぜならば、この水中航走体が安全性の理由からもはや甲板に引き上げられず、連行された装薬が起爆されるからである。上述した第1のバリエーションの水中航走体も機雷掃討ミッション時に、つまり、水中航走体によって、発見された機雷のトリガ機構が作動させられる場合に失われていくことがある。
【0006】
公知先行技術によれば、水中航走体を制御するために、光導波路浮動ケーブルが使用される。このケーブルは、水中航走体を引き上げるために必要となる引張り強さを有している。ケーブルの沈下を回避するために、浮動ケーブルの僅かな重量が所望されている。
【0007】
機雷掃海ミッションには、一般的に高いコストがかかる。なぜならば、水中航走体の喪失と同時に光導波路ケーブルが破壊され、交換されなければならないからである。場合により、ケーブルの大部分がウインチから取り外され、新たな光導波路ケーブルが取り付けられ、巻き上げられなければならない。このことは、ケーブルに対する入手コストに加えて、高い作業手間に結び付けられている。
【0008】
米国特許出願公開第2008/0087186号明細書には、測位(位置確認)された機雷を破壊するための方法が開示されている。機雷を爆破するために、一次航走体としての無人の水中航走体が、装薬を備えた二次航走体としての遠隔制御式の無人の水中航走体と協働する。ワンウェイ航走体を使用する方法に比べて掃海コストを削減するためには、一次航走体および二次航走体が、自律的に作業するタンデムとして使用される。このタンデムでは、二次航走体が一次航走体によって遠隔制御される。二次航走体はワンウェイ航走体として構想されていて、機雷破壊のための装薬と、これに付属の起爆装置とを備えている。駆動エネルギは二次航走体に一次航走体のエネルギ源から接続ケーブルを介して供給される。さらに、この接続ケーブルは、操舵信号を二次航走体の操舵装置に伝送しかつ起爆装置を作動させるトリガ信号を伝送するために働く。タンデムは自律型のタンデム、すなわち、プラットフォームから独立したタンデムとして、予め測位された機雷に自主的に走行する。そこで、一次航走体が二次航走体を遠隔制御によって機雷に直接接近させ、相応の起爆信号によって装薬の起爆装置を作動させる。
【0009】
プラットフォームからの接続ケーブルを介した破壊可能な無人機雷掃討機の直接的な制御に類似して、一次航走体および二次航走体の公知の使用時にも、二次航走体の喪失と同時に接続ケーブルが破壊される。したがって、機雷掃海ミッション後、相応のコストをかけて、水中航走体および接続ケーブルが交換されなければならない。
【0010】
ドイツ民主共和国特許出願公開第301215号明細書に基づき、機雷を破壊するための方法および機器システムが公知である。この機器システムは、自律型のエネルギ供給部を備えた、機雷破壊装薬を運搬するための無人の水中航走体を有している。この水中航走体を船舶の甲板から制御するための制御ケーブルは、同時に起爆ケーブルとして使用される。組み合わされた制御・起爆ケーブルは、機雷破壊装薬の起爆装置に電気めっきにより接続されているかまたは非接触式に、特に誘導式に接続されている。機雷の正確な認識時に機雷破壊装薬を機雷に載置しかつ水中航走体を装薬の起爆前に運搬プラットフォームに引き戻すためには、接続ケーブルが2つの部分長さに作業半径に相応して分割されている。第1の部分長さは別個のケーブル巻枠に収納されていて、機雷破壊装薬と共に投げ出される。引戻しは、水中航走体に設けられた第2のケーブル巻枠に収納された第2の部分長さを介したケーブル制御によって行われる。
【0011】
公知の装置の組み合わされた制御・起爆ケーブルの第1および第2の部分長さは、接続エレメント(たとえばコネクタ)によって接続されている。接続ケーブルを介した爆破の誘起後、公知の装置では、組み合わされた制御・起爆ケーブルの第1の部分長さが、載置された機雷破壊装薬と共に失われていく。しかし、爆破時には、接続ケーブルの第2の部分長さも機雷破壊装薬に接続されていて、破壊されるかもしくは少なくとも接続ケーブルがコストの理由から交換されなければならないほどに損傷される。
【0012】
ドイツ民主共和国特許出願公開第300526号明細書には、ケーブル遠隔操舵可能な水中機器支持体、特に機雷掃討具が開示されている。この水中機器支持体は制御ケーブルを連行する。この制御ケーブルは、水中機器支持体に配置されたケーブル巻枠から繰り出され、海底に載置される。公知の装置では、水中機器支持体の位置決め時にかつケーブル引出し力の不足に基づく回転操作時に、突出した胴体部分、たとえばラダーおよびフィンや、特に駆動プロペラによる、水中機器支持体の胴体において直接進出した制御ケーブルの損傷が異常に高い。制御ケーブルに対する損傷の危険を減少させると共に制御ケーブルの自由部分を、突出した胴体部分および駆動プロペラの危険範囲外に保持するために、公知の装置では、制御ケーブルが、相応の撓み剛性を備えた、水中機器支持体の制御ケーブル進出開口に配置されたフレキシブルな防護チューブの内部にガイドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0087186号明細書
【特許文献2】ドイツ民主共和国特許出願公開第301215号明細書
【特許文献3】ドイツ民主共和国特許出願公開第300526号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の課題は、無人の水中航走体に光導波路ケーブルを接続するための装置ならびに無人の水中航走体を改良して、水中航走体のミッションのコストが削減されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題を解決するために本発明に係る接続装置では、接続ケーブルと、該接続ケーブルの各端部に設けられた、光導波路ケーブルおよび無人の水中航走体に対する接続エレメントとが設けられているようにした。
【0016】
本発明に係る接続装置の有利な態様によれば、接続ケーブルの端部が、それぞれ接続コネクタを有しており、接続エレメントが、接続ケーブルの端部に対する張力緩和エレメントを有している。
【0017】
本発明に係る接続装置の有利な態様によれば、光導波路ケーブルに対する前記接続エレメントが、フロートであり、該フロートが、接続ケーブルの一方の端部を張力緩和エレメントによって収容するようになっていて、光導波路ケーブルを収容するための別の張力緩和エレメントを有している。
【0018】
本発明に係る接続装置の有利な態様によれば、水中航走体に対する接続エレメントが、該接続エレメントを水中航走体の機尾室に配置するための、ケーブルガイドを有するボディを備えて形成されており、該ボディが、接続ケーブルの、水中航走体に接続可能な端部に対する張力緩和エレメントを有している。
【0019】
本発明に係る接続装置の有利な態様によれば、接続ケーブルが、水中航走体に対する接続エレメントに配置されたフレキシブルな管を通してガイドされている。
【0020】
本発明に係る接続装置の有利な態様によれば、接続エレメントが、同じ構造の張力緩和エレメントを有している。
【0021】
本発明に係る接続装置の有利な態様によれば、接続ケーブルが、巻付け支持体に巻き付けられている。
【0022】
さらに、前述した課題を解決するために本発明に係る水中航走体では、光導波路ケーブルが、水中航走体に接続装置を介して接続されており、該接続装置が、接続ケーブルと、それぞれ第1の光導波路ケーブルおよび水中航走体に対する接続エレメントとを有しているようにした。
【0023】
本発明に係る水中航走体の有利な態様によれば、接続装置が、水中航走体から分離可能に形成されている。
【0024】
本発明に係る水中航走体の有利な態様によれば、接続ケーブルが、巻付け支持体に巻き付けられており、該巻付け支持体が、運搬プラットフォームに対応配置されたアダプタに装着可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光導波路ケーブルが水中航走体に接続装置を介して接続されている。この接続装置は、接続ケーブルと、この接続ケーブルの端部に設けられた、一方で光導波路ケーブルおよび他方で水中航走体に対する接続エレメントとを有している。これによって、爆破による水中航走体の喪失時に、この水中航走体を制御するための一般的に極めて長い光導波路ケーブルが破壊されることが回避される。ワンウェイ構成部材として廉価に予め製造することができる接続装置しか失われていかない。
【0026】
接続ケーブルは、有利には第2の光導波路ケーブルである。この第2の光導波路ケーブルの喪失は甘受されるので、この第2の光導波路ケーブルは、有利には、爆破時に、運搬プラットフォームに接続された光導波路浮動ケーブルの損傷を確実に回避するために十分である僅かな長さで提供される。水中航走体の運搬プラットフォームは、たとえば船舶の甲板に定置にまたは可動に取り付けられていてよい。
【0027】
運搬プラットフォームの、接続ケーブルに比べて極めて長い光導波路ケーブルは、後続のミッションのために使用することができ、この場合、新たな接続装置を備え、これによって、所定のミッションのコスト、特に上述した第2のバリエーションの無人機雷掃討機による機雷掃海のコストが削減される。
【0028】
ワンウェイ構成部材は、より大きな個数で運搬プラットフォームにストックすることができる。また、この運搬プラットフォームに対する可能なミッションの回数を増加させることもできる。なぜならば、長い光導波路ケーブルを再使用することができ、この長い光導波路ケーブルに対するスペアの代わりに、多数の接続ケーブルを蓄えることができるからである。
【0029】
また、接続装置を簡単に取り扱うこともできる。なぜならば、1つには、運搬プラットフォームの長い光導波路ケーブルへの接続のために、もう1つには、水中航走体への接続のために、僅かな操作しか必要とならないからである。
【0030】
接続装置の簡単な取扱いによって、所定のミッションの準備時の過失の可能性も減少させられる。
【0031】
接続装置に適合される光導波路ケーブルは、有利には浮動ケーブルである。浮動ケーブルは、水中航走体の接続線路が海底における障害物に引っ掛かることを阻止している。この有利な特性によって、接続ケーブルが浮動ケーブルとして形成されていてもよい。
【0032】
特別な態様では、接続ケーブルの端部が、それぞれ接続コネクタを有している。接続ケーブルの接続エレメントは、ケーブル端部に対する張力緩和エレメントを有しており、これによって、1つには、運搬プラットフォームと水中航走体との間に安定した頑丈な光導波路接続部が提供され、したがって、故障確率が低減される。もう1つには、端部に設けられた張力緩和エレメントによって、ケーブルと水中航走体との確実な引戻しが保証されている。リセット可能な起爆装置、たとえばEFI起爆装置(Electrical Fuse Ignitor)の使用時には、張力緩和された接続によって、水中航走体の引戻しを簡単にすることができる。無人機雷掃討機の喪失に結び付けられている機雷掃海ミッションにおいて、欠陥事例、たとえば起爆不発時には、水中航走体を、光導波路ケーブルと接続ケーブルとによって提供された接続部によって迅速に発見することができ、除去することができる。
【0033】
さらに、廉価な接続装置は、既存の光導波路ケーブルシステムに対する完全な適合性の利点を有している。
【0034】
接続装置の規定の特性によって、環境条件に相応して使用を高い信頼性で推奨することが可能となる。この場合、目標物に対する距離と、水中航走体に対する向流との、状況に関連した考慮すべきパラメータにおいて、線形の関係が存在していることが判った。目標距離と向流とによって線形に制限された、浮動ケーブルと接続ケーブルとに対する使用範囲が超越される場合には、光導波路ケーブルを繰り出すための2つの巻枠の使用下でのミッションが推奨されなければならない。このバリエーションでは、運搬プラットフォームにも、水中航走体にも、接続ケーブルを繰り出すための1つの巻枠が設けられており、これによって、張力緩和された接続ひいては安定した接続が提供される。状況に関連したパラメータ、つまり、目標距離と向流との線形の関係に基づき、目標距離が数百メートル未満ならびに向流が数ノット未満において、光導波路ケーブルと接続装置とによる水中航走体の本発明における制御の適正が高い信頼性を備えていると見なすことができる。
【0035】
有利には、光導波路ケーブルに対する接続エレメントがフロートを有している。このフロートは張力緩和エレメントによって接続ケーブルの一区分を収容していて、光導波路ケーブルを収容するための別の張力緩和エレメントを有している。これによって、光導波路ケーブルと接続ケーブルとの間の差込み接続部が張力ひいては望ましくない分離に対して防護される。なぜならば、張力が固形のフロートを介して、接続された両ケーブルの間で伝達されるからである。
【0036】
水中航走体に対する接続ケーブルの接続エレメントは、有利には、水中航走体の機尾室に配置するための、ケーブルに対して半径方向に伸ばされたボディを備えて形成されている。このボディは、接続ケーブルの、水中航走体に接続可能な端部に対する張力緩和エレメントを有している。ボディは接続ケーブルに対するケーブルガイドを有している。このケーブルガイドを通して、ケーブル端部が水中航走体への接続のためにガイドされている。
【0037】
ケーブルガイドは、有利には、接続エレメントにおけるケーブル通路の漏斗状の構造によって形成されている。漏斗の壁は丸み付けられて形成されており、これによって、光導波路ケーブルが屈曲による損傷に対して効果的に防護され、さらに、光導波路ケーブル内で光学的な反射が行われる範囲内での光導波路の可能な曲げが保たれる。接続エレメントのこの構成によって、水中航走体の、張力緩和された故障しにくい適合が僅かな操作で可能となる。
【0038】
接続装置は、有利には水中航走体から分離可能に形成されており、これによって、本発明に係る接続装置が、再使用可能な航走体によるミッションのために適している。たとえば、船の残骸のような水中障害物でのケーブルの引掛りによって、航走体の引戻しが不可能となることがあり、これによって、ケーブル接続部の、相応に制御された分離により、水中航走体を引き戻すことができる。
【0039】
この分離は、たとえば接続ケーブルをはね飛ばすための小型爆破装置または接続ケーブルを分離するための遠隔制御可能な切断装置によって行うことができる。このような形式の分離装置は、接続ケーブルの一方の端部または両方の端部または両端部の間に設けられていてよい。
【0040】
また、水中航走体からの接続装置のコントロールされた解離によって、水中航走体の、部分的にケーブルガイドされた部分的に自律的なミッションも可能となる。たとえば、ある程度の深さにまでケーブルガイドし、次いで、ケーブル分離によって、より深い場所で作業することもできる。水中航走体からの接続装置のコントロールされた解離によって、たとえば規則的に自律的に実施されなければならないパイプライン作業が可能となる。
【0041】
ケーブル分離は、特別な態様では、接続装置のフロートにおいて行われ、これによって、浮動ケーブルを引き上げることができる。浮動ケーブルと接続装置とは、接続ケーブルと接続エレメントとが浮動ケーブルよりも少ない引張り強さを備えて形成される場合にコントロールして分離することができる。この場合、張力の意図的な形成、たとえば浮動ケーブルのウインチの操作によって、接続装置の切離しを行うことができる。このためには、張力緩和エレメントが接続ケーブルの接続エレメントに配置されてもよいし、調整されてもよく、これによって、異なる引張り強さにより、ケーブルの意図的な解離が可能となる。
【0042】
本発明に係る接続装置の製作のコストは、全ての接続エレメントが、同じ構造の張力緩和エレメントを有している場合に一層減少させられている。これらの張力緩和エレメントは、それぞれ対応するケーブルの横断面に適合されている。接続ケーブルの横断面を浮動ケーブルの横断面に合致させ、これによって、同じ横断面および同じ構造の張力緩和エレメントを備えたケーブルを使用することができると有利である。
【0043】
水中航走体の駆動装置による接続ケーブルの損傷もしくは駆動装置への接続ケーブルの巻付けを回避するためには、水中航走体に対する接続エレメントにフレキシブルな管が配置されている。この管を通して、接続ケーブルがガイドされている。したがって、フレキシブルな管は、組付け位置で水中航走体から離れる方向に向けられていて、航走体駆動装置の領域での接続ケーブルの過剰な屈曲を阻止している。フレキシブルな管は、有利には、ケーブルガイドを有するボディに配置されている。
【0044】
特に有利には、接続ケーブルが巻付け支持体に巻き上げられている。この巻付け支持体は、運搬プラットフォームに設けられたアダプタに装着可能である。したがって、ワンウェイ構成部材を整然と蓄えることができ、必要に応じて迅速に使用することができる。さらに、ケーブルリールは、水中航走体の始動段階の間の接続ケーブルの確実な繰出しを保証している。
【0045】
ケーブルリールを備えたワンウェイ構成部材は、容易にかつ迅速に取り扱うこともできる。ミッションの準備時には、使用者がフロートを光導波路ケーブルに接続し、接続ケーブルを水中航走体に接続し、接続ケーブルのケーブルリールを、たとえば船舶の手摺りに取り付けられていてよいアダプタに装着しさえすればよい。水中航走体が卸下され、始動された後、まず、接続ケーブルが、たとえば数十メートルの長さで繰り出される。接続ケーブルが水中に到達した後、フロートが接続ケーブルと浮動ケーブルとの間の力伝達接続部として浮動ケーブルを水中に引き込み、水中航走体が浮動ケーブルをケーブルウインチから繰り出し始める。
【0046】
別の有利な態様は、従属請求項ならびに図面につき詳しく説明する本発明の実施の形態から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】光導波路ケーブルと本発明に係る接続装置とによって互いに接続された船舶と無人の水中航走体との概略図である。
【図2】無人の水中航走体に光導波路ケーブルを接続するための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0049】
図1には、無人の水中航走体1が概略的に示してある。この水中航走体1はケーブル接続部を介して運搬プラットフォーム2から制御される。この運搬プラットフォーム2は、この実施の形態では、水上船舶である。択一的には、運搬プラットフォーム2は、水中航走体、たとえば潜水艦であるか、浮動プラットフォーム、たとえばテンダのような駆動装置なしの航走体であるか、輸送可能なコンテナであるか、あらゆる形態の可動式のプラットフォームであるかまたは、たとえば陸の沿岸領域にまたは海底に固定されたあらゆる形態の固定式のプラットフォームであり、これによって、たとえば、機雷が敷設された水路、特に海峡から機雷を取り除くことができる。水中航走体1は無人機雷掃討機である。この無人機雷掃討機は、機雷掃海ミッションのために、装薬または機雷認識のための種々のセンサを備えていてよい。
【0050】
水中航走体1を制御するためのケーブル接続部は光導波路浮動ケーブル3を有している。この光導波路浮動ケーブル3は、図2に別個に示した接続装置4によって水中航走体1に接続されている。光導波路浮動ケーブル3は、船舶2の甲板に設けられたケーブルウインチ5から延在している。この実施の形態においてケーブルウインチ5に対応配置された張力緩和部材6は、浮動ケーブル3を運搬プラットフォーム2の制御ユニット7に張力緩和状態で接続するために働く。
【0051】
接続装置4は接続ケーブル8としての光導波路ケーブルを有している。この光導波路ケーブルの端部9,10には、接続エレメントが配置されている。つまり、端部9には、フロート11が配置されており、他方の端部10には、水中航走体1に接続するための接続エレメント12が配置されている。
【0052】
接続ケーブルの両端部9,10には、それぞれ1つのコネクタ13,14が配置されている。水中航走体1を卸下(しゃが)する前には、フロート11に対応配置されたコネクタ13が浮動ケーブル3の相応の差込みエレメント15に接続される。接続ケーブル8の他方の端部10に設けられたコネクタ14は、水中航走体1の相応のコンタクト16に接続される。
【0053】
フロート11は固形の物体である。この固形の物体は接続ケーブル8の端部9を張力緩和エレメント17によって収容している。フロート11は、浮動ケーブル3を収容するための別の張力緩和エレメント18を有している。両張力緩和エレメント17,18はフロート11に固定されており、これによって、接続された両ケーブル3,8の間の張力が固形のフロート11によって伝達される。このフロート11は細長い物体として形成されている。この細長い物体の端部には、それぞれ張力緩和部材17,18が固定されており、これによって、ケーブル端部を両張力緩和エレメント17,18の間のスペースで容易に差し合わせることができ、張力緩和された差込み接続部が形成される。こうして、前進する無人機雷掃討機1がフロート11における差込み接続部を分離することが回避されているかまたは浮動ケーブル3の引上げ時に接続ケーブルの望ましくない分離が生じることが回避されている。
【0054】
接続ケーブル8と浮動ケーブル3との間の差込み接続部と、両ケーブル8,3に対応する張力緩和エレメント17,18とは、フロート11の内部に収容されている。このフロート11は流れに関して有利に成形されていて、図示の実施の形態では、その内部に、水中航走体1の潜水深さに関して耐圧性の、浮揚体として作用する発泡体を有している。接続ケーブル8の端部9は、フロート11に成形された屈曲防止部材19を介してフロート11の内部にガイドされており、これによって、接続ケーブル8の屈曲が回避されている。
【0055】
水中航走体1に対する接続エレメント12は、水中航走体1の機尾室21に配置するための部分的に半径方向に形成されたボディを備えて形成されている。このボディは接続ケーブル8に対するケーブルガイド20を有している。このケーブルガイド20を通して、接続ケーブル8の端部10が規定されて機尾室21内にガイドされている。ケーブルガイド20は急角度の屈曲による光導波路部材の損傷を阻止している。さらに、ケーブルガイド20はその端部の一方または両方に成形されており、これによって、光導波路部材に対して維持したい最小の曲げ半径が実際に維持されるようになっている。このためには、(各)端部が、有利には凸状に湾曲させられた漏斗状の区分を有している。
【0056】
接続エレメント12はケーブルガイド20の領域に張力緩和エレメント22を有している。この張力緩和エレメント22はミッションの間に接続ケーブル8の端部10を張力緩和していて、望ましくない解離に対して防護している。ケーブルガイド20を備えて形成されたボディの、張力緩和エレメント22と反対の側には、フレキシブルな管23が配置されている。この管23を通して、接続ケーブル8が延びている。有利にはシリコーンから成るフレキシブルな管23は接続ケーブル8を接続エレメント12の領域での過剰な屈曲に対して防護していて、接続ケーブル8を、特に水中航走体1の機尾領域に位置する駆動装置から遠ざけている。
【0057】
図示していない実施の形態では、フレキシブルな管の代わりに、接続ケーブル8が、この接続ケーブルの全長にわたって延びる保護シースを備えていてよい。
【0058】
図2に別個に示した接続装置4は、廉価に製作可能なワンウェイ構成部材、つまり、再使用することができない構成部材である。このワンウェイ構成部材は、接続ケーブル8と、フロート11と、無人機雷掃討機1に対する接続エレメント12とを有している。この構成部材には、ケーブルリール24が含まれている。このケーブルリール24は、接続ケーブル8が巻き付けられた巻付け支持体25を備えている。この巻付け支持体25は、この実施の形態では、円錐形の巻枠である。この巻枠から、接続ケーブル8をミッションの開始時に容易に繰り出すことができる。無人機雷掃討機1のミッションの準備時には、巻付け支持体25が単純な作業ステップで運搬プラットフォーム2(図1参照)のアダプタ26に差し被せられている。このアダプタ26は、図示の実施の形態では、水上船舶の手摺り27に固定されているが、船舶の異なる箇所に配置されていてもよい。
【0059】
接続装置4は、ワンウェイ構成部材として機雷掃討ミッション時に水中航走体1の破壊に基づき失われる。しかし、爆轟による運搬プラットフォーム2の長い光導波路ケーブル3の損傷は回避される。この長い浮動ケーブル3は、接続ケーブル8の長さに相応して、水中航走体1に対して安全な距離を置いて位置していて、したがって、再使用することができる。接続ケーブル8は、爆破時に浮動ケーブル3を損傷に対して防護するために、十分に長く形成されている。
【0060】
さらに、接続装置4の廉価な製作および容易な取扱い可能性は、この接続装置4のフロート11と接続エレメント12とに設けられた張力緩和部材17,18,22が全て同じ構造で形成されていることによって促進される。
【0061】
接続装置4はミッションの準備前に簡単に取り扱うことができ、これによって、過失のもとが減少させられる。使用者は、浮動ケーブル3をフロート11に組み付けるかもしくはフロート11に設けられた張力緩和エレメント18に組み付け、次いで、水中航走体1をフレキシブルな管23と、接続エレメント12の、ケーブルガイド20を備えたボディとを介して適合させさえすればよい。水中航走体1が卸下され、始動された後、まず、この水中航走体1が接続ケーブル8の長さをケーブルリール24から繰り出し、次いで、フロート11を介して本来の浮動ケーブル3を水中に引き込む。次いで、水中航走体1が光導波路浮動ケーブル3を運搬プラットフォーム2のケーブルウインチ5から繰り出す。フロート11に設けられた張力緩和部材17,18は、グラスファイバ差込み接続部の損傷なしに接続ケーブル8と浮動ケーブル3との間の張力の伝達のために働く。
【0062】
接続エレメント12には、光導波路通路28が形成されている。この光導波路通路28の、ケーブル端部10に向けられた端区分は、ケーブルガイド20の一部である。光導波路通路28の端区分は、凸状に丸められた輪郭を備えて漏斗状に形成されている。丸み半径は、光導波路ケーブルの望ましくない屈曲ひいては接続ケーブル8の損傷を回避する。したがって、接続エレメント12の半径方向のボディと、このボディに形成されたケーブルガイド20とは、一緒にほぼs字形の輪郭を形成している。
【0063】
図面の説明、特許請求の範囲および明細書冒頭に記載した全ての特徴は個々に使用可能でもあり、任意に互いに組み合わせて使用可能でもある。したがって、本発明は、説明したかもしくは請求した特徴の組合せに限定されるものではない。それどころか、あらゆる特徴の組合せが開示されているものと見なすことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 水中航走体
2 運搬プラットフォーム
3 光導波路浮動ケーブル
4 接続装置
5 ケーブルウインチ
6 張力緩和部材
7 制御ユニット
8 接続ケーブル
9 端部
10 端部
11 フロート
12 接続エレメント
13 コネクタ
14 コネクタ
15 差込みエレメント
16 コンタクト
17 張力緩和エレメント
18 張力緩和エレメント
19 屈曲防止部材
20 ケーブルガイド
21 機尾室
22 張力緩和エレメント
23 管
24 ケーブルリール
25 巻付け支持体
26 アダプタ
27 手摺り
28 光導波路通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人の水中航走体(1)に光導波路ケーブル(3)を接続するための接続装置において、接続ケーブル(8)と、該接続ケーブル(8)の各端部(9,10)に設けられた、光導波路ケーブル(3)および無人の水中航走体(1)に対する接続エレメント(11,12)とが設けられていることを特徴とする、無人の水中航走体に光導波路ケーブルを接続するための接続装置。
【請求項2】
接続ケーブル(8)の端部(9,10)が、それぞれ接続コネクタ(13,14)を有しており、接続エレメント(11,12)が、接続ケーブル(8)の端部(9,10)に対する張力緩和エレメント(17,22)を有している、請求項1記載の接続装置。
【請求項3】
光導波路ケーブル(3)に対する前記接続エレメントが、フロート(11)であり、該フロート(11)が、接続ケーブル(8)の一方の端部(9)を張力緩和エレメント(17)によって収容するようになっていて、光導波路ケーブル(3)を収容するための別の張力緩和エレメント(18)を有している、請求項1または2記載の接続装置。
【請求項4】
水中航走体(1)に対する接続エレメント(12)が、該接続エレメント(12)を水中航走体(1)の機尾室(21)に配置するための、ケーブルガイド(20)を有するボディを備えて形成されており、該ボディが、接続ケーブル(8)の、水中航走体(1)に接続可能な端部(10)に対する張力緩和エレメント(22)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の接続装置。
【請求項5】
接続ケーブル(8)が、水中航走体(1)に対する接続エレメント(12)に配置されたフレキシブルな管(23)を通してガイドされている、請求項4記載の接続装置。
【請求項6】
接続エレメント(11,12)が、同じ構造の張力緩和エレメント(17,18,22)を有している、請求項2から5までのいずれか1項記載の接続装置。
【請求項7】
接続ケーブル(8)が、巻付け支持体(25)に巻き付けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の接続装置。
【請求項8】
無人の水中航走体(1)であって、該水中航走体(1)が、光導波路ケーブル(3)によって制御可能であり、該光導波路ケーブル(3)が、運搬プラットフォーム(2)から延在可能である形式のものにおいて、光導波路ケーブル(3)が、水中航走体(1)に接続装置(4)を介して接続されており、該接続装置(4)が、接続ケーブル(8)と、それぞれ第1の光導波路ケーブル(3)および水中航走体(1)に対する接続エレメント(11,12)とを有していることを特徴とする、無人の水中航走体。
【請求項9】
接続装置(4)が、水中航走体(1)から分離可能に形成されている、請求項8記載の水中航走体。
【請求項10】
接続ケーブル(8)が、巻付け支持体(25)に巻き付けられており、該巻付け支持体(25)が、運搬プラットフォーム(2)に対応配置されたアダプタ(26)に装着可能である、請求項8または9記載の水中航走体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−105305(P2011−105305A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257848(P2010−257848)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(303062772)アトラス エレクトロニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (13)
【氏名又は名称原語表記】ATLAS ELEKTRONIK GmbH
【住所又は居所原語表記】Sebaldsbruecker Heerstrasse 235, D−28309 Bremen, Germany
【Fターム(参考)】