無偏光ビームスプリッタおよび光ピックアップ
【課題】BD、DVD、CDの3つの波長帯域の全てにおいて無偏光特性を確保しつつ、入射角依存性の少ない、プレート型の無偏光ビームスプリッタを実現する。
【解決手段】屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜する際に、薄膜の総膜厚に対して基板側の膜厚部分における低屈折率材料の存在比を2.5%以下とし、大気側の膜厚部分における中間屈折率材料の存在比を1.25%以下とすることにより、BD、DVD、CDの3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦15%を満たす良好な無偏光特性を実現できるとともに、入射角による無偏光特性のばらつきを小さくすることができる。
【解決手段】屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜する際に、薄膜の総膜厚に対して基板側の膜厚部分における低屈折率材料の存在比を2.5%以下とし、大気側の膜厚部分における中間屈折率材料の存在比を1.25%以下とすることにより、BD、DVD、CDの3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦15%を満たす良好な無偏光特性を実現できるとともに、入射角による無偏光特性のばらつきを小さくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜したプレート型の無偏光ビームスプリッタと、その無偏光ビームスプリッタを備えた光ピックアップとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップにおいては、往路の光を対物レンズおよび光ディスクに誘導する一方で、復路の光をフォトディテクターなどの検出器に誘導する素子が必要となる。そのような素子として、従来、キューブ型の偏光ビームスプリッタ(PBSプリズム)が多用されていたが、コストダウンの要請から、最近ではプレート形状で機能するビームスプリッタが適用されるようになってきている。つまり、プレート型のビームスプリッタは、光が入出射する界面を大気中に露出して構成されるので、製造時にPBSプリズムのようなプリズム同士の貼り合わせ工程が不要であり、貼り合わせの精度なども考慮しなくて済むので、低コストで得ることができる。
【0003】
ところで、復路において、光ディスクからの戻り光は1/4波長板にて直線偏光に変換された後、ビームスプリッタを介して検出器に入射する。このとき、用いる光ディスクが粗悪なもの、つまり、複屈折性を持ち、位相差を変動させてしまうような光ディスクの場合は、1/4波長板で直線偏光の偏光面が回転する。その結果、偏光分離タイプのビームスプリッタを用いた場合は、復路の光量が変動し、検出信号が安定しない。このため、市場では、極力偏光依存性のない分光特性を持つビームスプリッタ、つまり、無偏光特性を確保したビームスプリッタが要求されている。
【0004】
この点、キューブ型ではあるが、ある限定された波長帯域(例えば400nm〜700nmの波長帯域)で無偏光特性を確保したビームスプリッタが、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−174905号公報(図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、光ピックアップにおいては、BD(Blu-ray disc)、DVD、CDの3種類の光ディスクに対応したものが多く開発されている。ここで、BDの記録再生時には、波長405nmを含む波長帯域の光が用いられ、DVDの記録再生時は、波長660nmを含む波長帯域の光が用いられ、CDの記録再生時は、波長785nmを含む波長帯域の光が用いられる。
【0007】
一方、図30〜図32は、特許文献1に開示されたビームスプリッタの分光特性および入射角依存性についてシミュレーションした結果を示している。詳しくは、図30〜図32は、特許文献1のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が例えば44.5度、42.5度、46.5度のときの分光特性をそれぞれ示している。なお、これらの図中、一点鎖線はP偏光についての分光特性を示し、破線はS偏光についての分光特性を示し、実線はP偏光の透過率とS偏光の透過率との平均(Ave)を示している。参考のため、特許文献1に開示された膜データを表1に示す。なお、上記のシミュレーションでは、設計主波長λ0を510nmとした。
【0008】
【表1】
【0009】
図30〜図32から、特許文献1のビームスプリッタは、405nm帯、660nm帯、785nm帯の全ての波長帯域において、無偏光特性を確保したものとは言えず、また、入射角によって無偏光特性がばらつく波長帯域があると言える。
【0010】
一般的に、無偏光特性を確保した薄膜設計は非常に難しいものであり、405nm帯、660nm帯、785nm帯の3波長全ての波長帯域において無偏光特性を確保しつつ、入射角依存性の少ないビームスプリッタで、かつ、プレート型で低コスト化を図ったものは、未だ提案されてはいない。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、BD、DVD、CDの3つの波長帯域の全てにおいて無偏光特性を確保しつつ、入射角依存性の少ない、プレート型の無偏光ビームスプリッタと、その無偏光ビームスプリッタを備えた光ピックアップとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無偏光ビームスプリッタは、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜したプレート型の無偏光ビームスプリッタであって、P偏光の透過率をTpとし、S偏光の透過率をTsとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域と、660±10nmに含まれる波長帯域と、785±15nmに含まれる波長帯域とにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満たし、前記3種類以上の成膜材料は、屈折率nHが2.00≦nH≦2.50を満たす少なくとも1種類の高屈折率材料と、屈折率nMが1.60≦nM≦1.90を満たす少なくとも1種類の中間屈折率材料と、屈折率nLが1.35≦nL≦1.49を満たす少なくとも1種類の低屈折率材料とからなり、前記基板上に成膜された前記薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.5%以下であり、大気に近い側から8%までの膜厚部分において前記中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が1.25%以下であることを特徴としている。
【0013】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光およびS偏光についての各平均反射率が、それぞれ80%以上であることが望ましい。
【0014】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角をθとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域ではθ±7°において、660±10nmに含まれる波長帯域ではθ±6°において、785±15nmに含まれる波長帯域ではθ±5°において、|Ts−Tp|≦15%を満たすことが望ましい。
【0015】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記基板上に成膜された薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.2%以下であることが望ましい。
【0016】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦2.0、かつ、0.4≦y≦1.0
を満たすことが望ましい。
【0017】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満たすことが望ましい。
【0018】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記高屈折率材料はNb2O5またはTiO2であり、前記低屈折率材料はSiO2であることが望ましい。
【0019】
本発明の光ピックアップは、上述した本発明の無偏光ビームスプリッタと、光を出射する光源と、前記光源から前記無偏光ビームスプリッタを介して得られる光を光ディスクに集光させる対物レンズとを備えていることを特徴としている。
【0020】
本発明の光ピックアップにおいて、前記光源は、波長405nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長660nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長785nmを含む波長帯域の光を出射する光源部とを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜する際に、薄膜の総膜厚に対して基板側の膜厚部分における低屈折率材料(屈折率nL)の存在比、および大気側の膜厚部分における中間屈折率材料(屈折率nM)の存在比を上記のように規定することにより、3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦15%を満たす特性、すなわち、P偏光の分光特性とS偏光の分光特性とがほぼ同じであり、透過率の偏光依存性がほとんどない良好な無偏光特性を、プレート型のビームスプリッタで実現することができる。また、無偏光ビームスプリッタに所定の発散角の光が入射する場合でも、上記の良好な無偏光特性を確保することができ、入射角依存性の少ない無偏光ビームスプリッタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の一形態に係る光ピックアップの概略の構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図3】実施例1の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図4】実施例2の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図5】実施例2の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図6】実施例3の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図7】実施例3の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図8】実施例4の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図9】実施例4の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図10】実施例5の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図11】実施例5の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図12】実施例6の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図13】実施例6の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図14】実施例7の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図15】実施例7の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図16】実施例8の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図17】実施例8の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図18】実施例9の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図19】実施例9の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図20】実施例10の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図21】実施例10の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図22】比較例1のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図23】比較例1のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図24】比較例2のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図25】比較例2のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図26】比較例3のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図27】比較例3のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図28】比較例4のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図29】比較例4のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図30】従来のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が44.5度のときの分光特性を示す説明図である。
【図31】従来のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が42.5度のときの分光特性を示す説明図である。
【図32】従来のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が46.5度のときの分光特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0024】
〔光ピックアップについて〕
図1は、本発明の実施の一形態に係る光ピックアップの概略の構成を示す説明図である。この光ピックアップは、光源1と、合成プリズム2と、光学素子3と、コリメータレンズ4と、立ち上げミラー5と、1/4波長板6と、対物レンズ7と、APC(Auto Power Control)モニタ8と、フォトディテクター9とを備えている。なお、図1では、光源1から光ディスクDに向かう光の光路(往路)を実線で示し、光ディスクDからの戻り光の光路(復路)を破線で示している。
【0025】
光源1は、光源部1aと光源部1bとで構成されている。光源部1aは、波長405nmを含む波長帯域の光を出射するレーザーダイオード(LD for BD )で構成されている。光源部1bは、波長660nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長785nmを含む波長帯域の光を出射する光源部とが一体化されたレーザーダイオード(LD for DVD&CD )で構成されている。なお、上記した3波長に対応する光源部は互いに別体で構成されていてもよいし、2以上の光源部が一体的に構成されていてもよい。合成プリズム2は、光源部1a・1bからの出射光のうち、一方の光を透過させ、他方の光を反射させてこれらを同一の光路で出射する。
【0026】
光学素子3は、基板3aと、その表面に積層される多層膜3bとからなり、多層膜3bにおける基板3aとは反対側の面(光が入出射する界面)が大気中に露出したプレート型のビームスプリッタで構成されている。特に、光学素子3は、405±5nmに含まれる波長帯域(以下、BDの波長帯域とも称する)と、660±10nmに含まれる波長帯域(以下、DVDの波長帯域とも称する)と、785±15nmに含まれる波長帯域(以下、CDの波長帯域とも称する)とにおいて、分光特性に偏光依存性がほとんどない無偏光ビームスプリッタで構成されている。なお、光学素子3の詳細については後述する。
【0027】
コリメータレンズ4は、入射光を平行光に変換する。立ち上げミラー5は、入射光の進行方向を例えば90度折り曲げる。1/4波長板6は、入射する直線偏光を円偏光に、または円偏光を直線偏光に変換する。対物レンズ7は、光源1から少なくとも光学素子3を介して得られる光を光ディスクDに集光させる。APCモニタ8は、光学素子3を透過した光源1からの出射光の光量をモニタする。このモニタ光量に基づき、光源1の出射光量が図示しない制御部によって調整される。フォトディテクター9は、光学素子3を透過した光ディスクDからの戻り光を受光することにより、サーボ信号(フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号)、情報信号、収差信号等の各種の信号を検出する。
【0028】
上記の構成によれば、光源部1a・1bから出射される光(例えばS偏光)は、合成プリズム2を介して光学素子3に入射し、一部の光は光学素子3を透過してAPCモニタ8で受光され、残りの光は光学素子3で反射される。光学素子3にて反射された光は、コリメータレンズ4で平行光に変換された後、立ち上げミラー5で光ディスクD側へ跳ね上げられ、1/4波長板6で円偏光に変換された後、対物レンズ7を介して光ディスクDに集光される。
【0029】
光ディスクDからの反射光(戻り光)は、対物レンズ7を介して1/4波長板6に入射し、そこで直線偏光(例えばP偏光またはP偏光の偏光面が回転した直線偏光)に変換される。上記の直線偏光は、立ち上げミラー5で進行方向を折り曲げられた後、コリメータレンズ4を介して光学素子3に入射する。そして、一部の光は光学素子3を透過し、フォトディテクター9で受光される。なお、残りの光は、光学素子3で光源1の方向に反射されるが、この反射方向の直上から、光源1のレーザーの発振部分はずれて位置しており、戻り光が光源1でのレーザーの発振に支障を来たすことはない。
【0030】
〔光学素子について〕
次に、上記した光学素子3の詳細について説明する。光学素子3としてのプレート型の無偏光ビームスプリッタは、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板3a上に薄膜を成膜して構成されている。ここで、P偏光の透過率をTp(%)とし、S偏光の透過率をTs(%)としたとき、光学素子3は、BD、DVD、CDの各波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満たした特性、すなわち、上記各波長帯域において、P偏光の分光特性とS偏光の分光特性とがほぼ同じである無偏光特性を確保したものとなっている。
【0031】
上記の屈折率の異なる3種類以上の成膜材料は、少なくとも1種類の高屈折率材料と、少なくとも1種類の中間屈折率材料と、少なくとも1種類の低屈折率材料とからなっている。高屈折率材料は、その屈折率をnHとしたときに、2.00≦nH≦2.50を満たす材料である。このような高屈折率材料としては、例えば、上記の屈折率範囲でも特に高い屈折率を有するNb2O5(屈折率2.38)やTiO2(屈折率2.4)を用いることが有効である。中間屈折率材料は、その屈折率をnMとしたときに、1.60≦nM≦1.90を満たす材料である。このような中間屈折率材料としては、例えばAl2O3とLa2O3との混合物(屈折率1.74)を用いることができる。低屈折率材料は、その屈折率をnLとしたときに、1.35≦nL≦1.49を満たす材料である。このような低屈折率材料としては、屈折率が低すぎると耐環境、外観上、応力などの問題が生じるため、上記の屈折率範囲の中でも屈折率の高いSiO2(屈折率1.47)を用いることが有効である。
【0032】
なお、屈折率nH、nM、nLの種類は、それぞれ1種類に限定されるわけではない。つまり、使用する成膜材料は、屈折率の異なる3種類に限定されるわけではない。上記した屈折率範囲を満たしているのであれば、屈折率nH、nM、nLの種類は、それぞれ複数種類であってもよく、1種類と複数種類との組み合わせであってもよい。例えば、1種類の高屈折率材料(屈折率nHが1種類)と、2種類の中間屈折率材料(屈折率nMが2種類)と、1種類の低屈折率材料(屈折率nLが1種類)とを用いて光学素子3が構成されてもよく、2種類の高屈折率材料(屈折率nHが2種類)と、2種類の中間屈折率材料(屈折率nMが2種類)と、1種類の低屈折率材料(屈折率nLが1種類)とを用いて光学素子3が構成されてもよい。
【0033】
また、本実施形態の光学素子3は、基板3a上に成膜された薄膜(多層膜3b)の総膜厚を100%としたとき、基板3aに近い側から20%までの膜厚部分において低屈折率材料の膜厚を合算した値の、総膜厚に対して占める割合が2.5%以下であり、大気に近い側から8%までの膜厚部分において中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、総膜厚に対して占める割合が1.25%以下となっている。
【0034】
なお、以下での説明の便宜上、前者の割合(基板側の低屈折率材料の存在比)のことを比率Aとも称し、後者の割合(大気側の中間屈折率材料の存在比)のことを比率B(8%)とも称することとする。また、大気に近い側から10%までの膜厚部分において中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、総膜厚に対して占める割合のことを、比率B(10%)とも称し、比率B(8%)と比率B(10%)とをまとめて比率Bと称することとする。また、特に断らない限り、膜厚とは物理膜厚を指すものとし、光学膜厚(屈折率×物理膜厚)とは区別するものとする。本実施形態では、比率AおよびBが、BD、DVD、CDの3つの波長帯域における無偏光特性や入射角依存性に影響する点に着目し、後述する実施例および比較例に基づき、比率AおよびBを適正化した。
【0035】
〔実施例について〕
以下、本実施形態の光学素子3(無偏光ビームスプリッタ)の実施例について、実施例1〜10として説明する。なお、以下では、高屈折率材料としてNb2O5を用い、中間屈折率材料としてAl2O3とLa2O3との混合物を用い、低屈折率材料としてSiO2を用いた。また、以下では、無偏光ビームスプリッタに入射する光束の中心光線の入射角をθ(°)とし、P偏光の透過率Tp(%)とS偏光の透過率Ts(%)との平均透過率(Tp+Ts)/2を、透過率T(%)とした。
【0036】
また、高屈折率材料の総膜厚を1としたときの中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、以下では、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満たす膜構成が前提となっているが、この点については後述する。
【0037】
(実施例1)
実施例1では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表2〜表4は、実施例1の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
なお、表中の表記は、以下の定義に従っている。すなわち、層番号は、基板3a側から順に第1層、第2層、・・・である。「Al2O3混合物」はAl2O3とLa2O3との混合物を指し、「Nb2O5」はNb2O5を指し、「SiO2」はSiO2を指す。屈折率は、波長550nmでの値である。また、基板3aに最も近い低屈折率材料の層の膜厚の数値、および多層膜3bの総膜厚を100%としたときに基板3aに近い側から20%までの膜厚部分に含まれる低屈折率材料の膜厚の数値を、実線の枠で囲っている。一方、大気に最も近い(基板3aから最も離れた)中間屈折率材料の層の膜厚の数値、および多層膜3bの総膜厚を100%としたときに大気に近い側から10%までの膜厚部分に含まれる中間屈折率材料の膜厚の数値を、破線の枠で囲っている。以上のような表記の仕方は、他の表でも同じとする。
【0042】
図2は、実施例1の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図3は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。なお、これらの図中、実線はP偏光の透過率の変化を示し、破線はS偏光の透過率の変化を示している。また、BDの波長帯域ではθ(45°)、θ+7°(52°)、θ−7°(38°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、DVDの波長帯域では、θ(45°)、θ+6°(51°)、θ−6°(39°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、CDの波長帯域ではθ(45°)、θ+5°(50°)、θ−5°(45°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示している。また、例えば、「38Ts」とは、38°入射のS偏光の透過率を指し、「45Rp」とは、45°入射のP偏光の反射率を指すものとする。他の偏光についてもこれに倣って同様に表記する。なお、以上のような表記の仕方は、他の図面や表でも同様である。
【0043】
なお、θ±αは、光源1(図1参照)から出射される光の発散角(2α)に対応しており、上記のように、BDの波長帯域ではα=7°、DVDの波長帯域ではα=6°、CDの波長帯域ではα=5°とした。
【0044】
また、表5は、実施例1の無偏光ビームスプリッタにおいて、520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光の平均反射率およびS偏光の平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αのP偏光およびS偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0045】
【表5】
【0046】
実施例1の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は0.83であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、θ、θ+α、θ−αの各入射角においてTsとTpとの差を採ったときの最大値を|Ts−Tp|max(%)とすると、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=2.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.5%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=2.9%であった。したがって、実施例1は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例1は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0047】
(実施例2)
実施例2では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=40%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表6〜表8は、実施例2の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
図4は、実施例2の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図5は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0052】
また、表9は、実施例2の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0053】
【表9】
【0054】
実施例2の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.00であり、比率B(8%)は1.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.8%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=5.6%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.4%であった。したがって、実施例2は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例2は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0055】
(実施例3)
実施例3では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=30%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表10〜表12は、実施例3の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
【0059】
図6は、実施例3の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図7は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0060】
また、表13は、実施例3の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0061】
【表13】
【0062】
実施例3の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は2.37であり、比率B(8%)は1.22%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.3%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.1%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=5.6%であった。したがって、実施例3は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例3は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0063】
(実施例4)
実施例4では、θ=30°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表14〜表16は、実施例4の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0064】
【表14】
【0065】
【表15】
【0066】
【表16】
【0067】
図8は、実施例4の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図9は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。なお、実施例4では、θ=30°であるので、図9のBDの波長帯域では、θ(30°)、θ+7°(37°)、θ−7°(23°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、DVDの波長帯域では、θ(30°)、θ+6°(36°)、θ−6°(24°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、CDの波長帯域ではθ(30°)、θ+5°(35°)、θ−5°(25°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示している。
【0068】
また、表17は、実施例4の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0069】
【表17】
【0070】
実施例4の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.31であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=1.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=2.3%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=1.1%であった。したがって、実施例4は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例4は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0071】
また、実施例4は、3つの波長帯域全てにおいて、さらに|Ts−Tp|≦3%を満足しており、無偏光特性が極めて良好であるとも言える。これは、入射角θが小さいほど、P偏光の分光特性とS偏光の分光特性とが近づき、無偏光特性の確保が容易になるためと考えられる。
【0072】
(実施例5)
実施例5では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表18〜表20は、実施例5の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0073】
【表18】
【0074】
【表19】
【0075】
【表20】
【0076】
図10は、実施例5の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図11は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0077】
また、表21は、実施例5の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0078】
【表21】
【0079】
実施例5の上記した膜構成では、比率Aは2.1%であり、比率B(10%)は0.00であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.0%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.4%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.0%であった。したがって、実施例5は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例5は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0080】
(実施例6)
実施例6では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表22〜表24は、実施例6の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0081】
【表22】
【0082】
【表23】
【0083】
【表24】
【0084】
図12は、実施例6の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図13は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0085】
また、表25は、実施例6の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0086】
【表25】
【0087】
実施例6の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.73であり、比率B(8%)は1.01%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.7%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.5%であった。したがって、実施例6は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例6は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0088】
(実施例7)
実施例7では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表26〜表28は、実施例7の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0089】
【表26】
【0090】
【表27】
【0091】
【表28】
【0092】
図14は、実施例7の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図15は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0093】
また、表29は、実施例7の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0094】
【表29】
【0095】
実施例7の上記した膜構成では、比率Aは1.6%であり、比率B(10%)は1.63であり、比率B(8%)は0.79%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.3%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=5.8%であった。したがって、実施例7は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例7は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0096】
(実施例8)
実施例8では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表30および表31は、実施例8の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0097】
【表30】
【0098】
【表31】
【0099】
図16は、実施例8の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図17は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0100】
また、表32は、実施例8の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0101】
【表32】
【0102】
実施例8の上記した膜構成では、比率Aは2.5%であり、比率B(10%)は0.99であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=13.9%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=8.7%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.4%であった。したがって、実施例8は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。
【0103】
(実施例9)
実施例9では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表33〜表35は、実施例9の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0104】
【表33】
【0105】
【表34】
【0106】
【表35】
【0107】
図18は、実施例9の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図19は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0108】
また、表36は、実施例9の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0109】
【表36】
【0110】
実施例9の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.93であり、比率B(8%)は1.22%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=7.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=7.0%であった。したがって、実施例9は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。
【0111】
(実施例10)
実施例10では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表37〜表39は、実施例10の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0112】
【表37】
【0113】
【表38】
【0114】
【表39】
【0115】
図20は、実施例10の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図21は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0116】
また、表40は、実施例10の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。実施例10では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て50%以上であるが、80%以上とはなっていない。
【0117】
【表40】
【0118】
実施例10の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.03であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=10.0%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=10.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=6.0%であった。したがって、実施例10は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。
【0119】
〔比較例について〕
次に、上述した実施例との比較のため、比較例のプレート型ビームスプリッタについて、比較例1〜4として説明する。なお、高屈折率材料としてNb2O5を用い、中間屈折率材料としてAl2O3とLa2O3との混合物を用い、低屈折率材料としてSiO2を用いている点は、上述した実施例と同様である。
【0120】
(比較例1)
比較例1では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表41および表42は、比較例1のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0121】
【表41】
【0122】
【表42】
【0123】
図22は、比較例1のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図23は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0124】
また、表43は、比較例1のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例1では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上となっている。
【0125】
【表43】
【0126】
比較例1の上記した膜構成では、比率Aは9.4%であり、比率B(10%)は5.23であり、比率B(8%)は4.08%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=15.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=14.3%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=10.9%であった。比較例1は、BDの波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図23を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0127】
(比較例2)
比較例2では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表44および表45は、比較例2のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0128】
【表44】
【0129】
【表45】
【0130】
図24は、比較例2のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図25は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0131】
また、表46は、比較例2のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例2では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0132】
【表46】
【0133】
比較例2の上記した膜構成では、比率Aは2.5%であり、比率B(10%)は2.39であり、比率B(8%)は1.29%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=16.4%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=7.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=6.4%であった。比較例2は、BDの波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図25を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0134】
(比較例3)
比較例3では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表47〜表49は、比較例3のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0135】
【表47】
【0136】
【表48】
【0137】
【表49】
【0138】
図26は、比較例3のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図27は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0139】
また、表50は、比較例3のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例3では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0140】
【表50】
【0141】
比較例3の上記した膜構成では、比率Aは5.1%であり、比率B(10%)は0.00であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=12.6%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=18.2%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=15.8%であった。比較例3は、DVDおよびCDの各波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図27を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0142】
(比較例4)
比較例4では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表51〜表53は、比較例4のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0143】
【表51】
【0144】
【表52】
【0145】
【表53】
【0146】
図28は、比較例4のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図29は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0147】
また、表54は、比較例4のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例4では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て70%以上となっているが、80%以上を満たしてはいない。
【0148】
【表54】
【0149】
比較例4の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は2.01であり、比率B(8%)は2.01%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=13.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=26.2%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=18.5%であった。比較例4は、DVDおよびCDの各波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図29を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0150】
〔まとめ〕
以上の実施例および比較例の結果をまとめたものを表55に示す。
【0151】
【表55】
【0152】
また、波長区間520nm以上580nm以下における平均反射率と、比率AおよびBと、表55の無偏光特性(|Ts−Tp|)の評価との関係をまとめたものを表56に示す。
【0153】
【表56】
【0154】
つまり、平均反射率が80%以上の場合は、比率Aが2.5%以下で、比率B(8%)が1.25以下を満足するときに、無偏光特性の評価が、◎(|Ts−Tp|≦3%)、○(|Ts−Tp|≦7%)、△(|Ts−Tp|≦15%)のいずれかとなり、満足しないときには×(|Ts−Tp|>15%の波長帯域を含む)となる。また、平均反射率が80%未満の場合は、比率Aが2.5%以下で、比率B(8%)が1.25以下を満足するときに、無偏光特性の評価が△(|Ts−Tp|≦15%)となり、満足しないときには×(|Ts−Tp|>15%の波長帯域を含む)となる。
【0155】
以下、これらの表を参照しながら、本発明の効果について述べる。
上述した実施例および比較例の結果から、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて無偏光ビームスプリッタを構成する際に、比率AおよびBを調整したり、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を調整することにより、3波長帯域での無偏光特性およびその入射角依存性を調整できると言える。特に、比率Aを2.5%以下とし、比率B(8%)を1.25以下とすることにより、BD、DVD、CDの3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦15%を満たす良好な無偏光特性を実現できるとともに、入射角依存性の少ない、プレート型の無偏光ビームスプリッタを実現することができる(実施例1〜10参照)。
【0156】
また、3つの波長帯域での透過率Tが30%の実施例3を除く他の実施例では、比率B(10%)が2.00以下で、|Ts−Tp|≦15%の無偏光特性を実現できている。このことから、比率B(10%)を2.00以下とすることで、少なくとも、3つの波長帯域での透過率Tが40%〜50%の構成においては、|Ts−Tp|≦15%の良好な無偏光特性を実現できると言える。
【0157】
また、520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光およびS偏光についての各平均反射率が、それぞれ80%以上であることにより、BD、DVD、CDの3つの波長帯域のうちの少なくとも2つについて、|Ts−Tp|≦9%を満たす無偏光特性を実現することができる(実施例1〜9参照)。特に、平均反射率を90%以上とすることで、そのような効果を確実に得ることができる。
【0158】
また、上述の実施例1〜10は、BDの波長帯域ではθ±7°において、DVDの波長帯域ではθ±6°において、CDの波長帯域ではθ±5°において、|Ts−Tp|≦15%を満たしている。このように入射角θ±αにおいて|Ts−Tp|≦15%を満足することにより、3つの波長帯域の光がそれぞれ所定の発散角(2α)を有して入射する構成であっても、良好な無偏光特性を確保することができる。
【0159】
また、上記の比率Aが2.2%以下であれば、BD、DVD、CDの3つの波長帯域全てついて、|Ts−Tp|≦15%を容易に実現することができる(実施例1〜7、9、10参照)。このとき、P偏光およびS偏光についての上記波長区間における各平均反射率を調整すれば(例えば80%以上にすれば)、3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦8%を満たす、さらに良好な無偏光特性を実現することができる(実施例1〜7、9参照)。また、比率AおよびBをさらに調整すれば、3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦7%を満たす、より一層良好な無偏光特性を実現することも可能となる(実施例1〜7参照)。
【0160】
なお、実施例3および実施例9は、両者とも、比率Aが0.0%であり、比率B(8%)が1.22%であり、かつ、波長区間520nm以上580nm以下での平均反射率が80%以上であるが、無偏光特性に差が見られる(実施例3では○、実施例9では△)。このように比率B(8%)が1.25%以下の値であっても、1.25%付近の値である場合には、膜構成内の微妙な材料配置の違い、無偏光特性を達成する透過率(または反射率)の狙い目、設計の最適化位置の違い等、種々複雑な要因により、無偏光特性に若干の差が生じてくる。その他の実施例(実施例1、2、5〜7)から推測すると、比率Bの上限は、1.25%よりもさらに低い値のほうが良好な無偏光特性を確保できる点で望ましいと言える。同様に、実施例1〜4、6、7より、比率Aの上限も、2.2%よりもさらに低い値のほうが良好な無偏光特性を確保できる点で望ましいと言える。
【0161】
ところで、表57は、上述した実施例および比較例において、低屈折率材料(SiO2)、高屈折率材料(Nb2O5)および中間屈折率材料(Al2O3混合物)の存在比、すなわち、低屈折率材料の膜厚の合算値、高屈折率材料の膜厚の合算値、中間屈折率材料の膜厚の合算値の、総膜厚に対する比率(%)をそれぞれ示している。また、表58は、表57における低屈折率材料および中間屈折率材料の存在比を、高屈折率材料の存在比を基準にして示したものである。
【0162】
【表57】
【0163】
【表58】
【0164】
ここで、高屈折率材料の総膜厚を1としたときの中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、上述した本発明の効果は、
1.0≦x≦2.0、かつ、0.4≦y≦1.0
を満足している構成において得られている。このことから、上記の条件式は、本発明の前提となる構成を示すものであり、このような条件式を満たす構成において、上述した本発明の膜構成が有効であると言える。特に、実施例1〜10は、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満足しており、そのような条件を満たす構成において、上述した本発明の膜構成が非常に有効となる。
【0165】
なお、実施例1〜10では、無偏光ビームスプリッタの膜の層数を100層以上としているが、良好な無偏光特性を確保するという観点から、70層以上であることが望ましく、さらに良好な無偏光特性を確保するという点では、80層以上であることが望ましい。
【0166】
なお、実施例1〜10では、入射角θを30°または45°としているが、入射角はこれらに限定されるわけではない。例えば、入射角を60°としても、比率AおよびBや、波長区間520nm以上580nm以下での平均反射率を調整することにより、|Ts−Tp|≦15%(望ましくは|Ts−Tp|≦7%)を実現することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明の無偏光ビームスプリッタは、BD、DVD、CDの3つの波長帯域の全てにおいて良好な無偏光特性が要求される光ピックアップに利用可能である。
【符号の説明】
【0168】
1 光源
1a 光源部(光源)
1b 光源部(光源)
3 光学素子(無偏光ビームスプリッタ)
3a 基板
7 対物レンズ
nH 屈折率
nL 屈折率
nM 屈折率
Tp P偏光透過率
Ts S偏光透過率
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜したプレート型の無偏光ビームスプリッタと、その無偏光ビームスプリッタを備えた光ピックアップとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップにおいては、往路の光を対物レンズおよび光ディスクに誘導する一方で、復路の光をフォトディテクターなどの検出器に誘導する素子が必要となる。そのような素子として、従来、キューブ型の偏光ビームスプリッタ(PBSプリズム)が多用されていたが、コストダウンの要請から、最近ではプレート形状で機能するビームスプリッタが適用されるようになってきている。つまり、プレート型のビームスプリッタは、光が入出射する界面を大気中に露出して構成されるので、製造時にPBSプリズムのようなプリズム同士の貼り合わせ工程が不要であり、貼り合わせの精度なども考慮しなくて済むので、低コストで得ることができる。
【0003】
ところで、復路において、光ディスクからの戻り光は1/4波長板にて直線偏光に変換された後、ビームスプリッタを介して検出器に入射する。このとき、用いる光ディスクが粗悪なもの、つまり、複屈折性を持ち、位相差を変動させてしまうような光ディスクの場合は、1/4波長板で直線偏光の偏光面が回転する。その結果、偏光分離タイプのビームスプリッタを用いた場合は、復路の光量が変動し、検出信号が安定しない。このため、市場では、極力偏光依存性のない分光特性を持つビームスプリッタ、つまり、無偏光特性を確保したビームスプリッタが要求されている。
【0004】
この点、キューブ型ではあるが、ある限定された波長帯域(例えば400nm〜700nmの波長帯域)で無偏光特性を確保したビームスプリッタが、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−174905号公報(図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、光ピックアップにおいては、BD(Blu-ray disc)、DVD、CDの3種類の光ディスクに対応したものが多く開発されている。ここで、BDの記録再生時には、波長405nmを含む波長帯域の光が用いられ、DVDの記録再生時は、波長660nmを含む波長帯域の光が用いられ、CDの記録再生時は、波長785nmを含む波長帯域の光が用いられる。
【0007】
一方、図30〜図32は、特許文献1に開示されたビームスプリッタの分光特性および入射角依存性についてシミュレーションした結果を示している。詳しくは、図30〜図32は、特許文献1のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が例えば44.5度、42.5度、46.5度のときの分光特性をそれぞれ示している。なお、これらの図中、一点鎖線はP偏光についての分光特性を示し、破線はS偏光についての分光特性を示し、実線はP偏光の透過率とS偏光の透過率との平均(Ave)を示している。参考のため、特許文献1に開示された膜データを表1に示す。なお、上記のシミュレーションでは、設計主波長λ0を510nmとした。
【0008】
【表1】
【0009】
図30〜図32から、特許文献1のビームスプリッタは、405nm帯、660nm帯、785nm帯の全ての波長帯域において、無偏光特性を確保したものとは言えず、また、入射角によって無偏光特性がばらつく波長帯域があると言える。
【0010】
一般的に、無偏光特性を確保した薄膜設計は非常に難しいものであり、405nm帯、660nm帯、785nm帯の3波長全ての波長帯域において無偏光特性を確保しつつ、入射角依存性の少ないビームスプリッタで、かつ、プレート型で低コスト化を図ったものは、未だ提案されてはいない。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、BD、DVD、CDの3つの波長帯域の全てにおいて無偏光特性を確保しつつ、入射角依存性の少ない、プレート型の無偏光ビームスプリッタと、その無偏光ビームスプリッタを備えた光ピックアップとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無偏光ビームスプリッタは、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜したプレート型の無偏光ビームスプリッタであって、P偏光の透過率をTpとし、S偏光の透過率をTsとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域と、660±10nmに含まれる波長帯域と、785±15nmに含まれる波長帯域とにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満たし、前記3種類以上の成膜材料は、屈折率nHが2.00≦nH≦2.50を満たす少なくとも1種類の高屈折率材料と、屈折率nMが1.60≦nM≦1.90を満たす少なくとも1種類の中間屈折率材料と、屈折率nLが1.35≦nL≦1.49を満たす少なくとも1種類の低屈折率材料とからなり、前記基板上に成膜された前記薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.5%以下であり、大気に近い側から8%までの膜厚部分において前記中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が1.25%以下であることを特徴としている。
【0013】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光およびS偏光についての各平均反射率が、それぞれ80%以上であることが望ましい。
【0014】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角をθとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域ではθ±7°において、660±10nmに含まれる波長帯域ではθ±6°において、785±15nmに含まれる波長帯域ではθ±5°において、|Ts−Tp|≦15%を満たすことが望ましい。
【0015】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記基板上に成膜された薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.2%以下であることが望ましい。
【0016】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦2.0、かつ、0.4≦y≦1.0
を満たすことが望ましい。
【0017】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満たすことが望ましい。
【0018】
本発明の無偏光ビームスプリッタにおいて、前記高屈折率材料はNb2O5またはTiO2であり、前記低屈折率材料はSiO2であることが望ましい。
【0019】
本発明の光ピックアップは、上述した本発明の無偏光ビームスプリッタと、光を出射する光源と、前記光源から前記無偏光ビームスプリッタを介して得られる光を光ディスクに集光させる対物レンズとを備えていることを特徴としている。
【0020】
本発明の光ピックアップにおいて、前記光源は、波長405nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長660nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長785nmを含む波長帯域の光を出射する光源部とを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜する際に、薄膜の総膜厚に対して基板側の膜厚部分における低屈折率材料(屈折率nL)の存在比、および大気側の膜厚部分における中間屈折率材料(屈折率nM)の存在比を上記のように規定することにより、3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦15%を満たす特性、すなわち、P偏光の分光特性とS偏光の分光特性とがほぼ同じであり、透過率の偏光依存性がほとんどない良好な無偏光特性を、プレート型のビームスプリッタで実現することができる。また、無偏光ビームスプリッタに所定の発散角の光が入射する場合でも、上記の良好な無偏光特性を確保することができ、入射角依存性の少ない無偏光ビームスプリッタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の一形態に係る光ピックアップの概略の構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図3】実施例1の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図4】実施例2の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図5】実施例2の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図6】実施例3の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図7】実施例3の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図8】実施例4の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図9】実施例4の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図10】実施例5の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図11】実施例5の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図12】実施例6の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図13】実施例6の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図14】実施例7の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図15】実施例7の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図16】実施例8の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図17】実施例8の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図18】実施例9の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図19】実施例9の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図20】実施例10の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図21】実施例10の無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図22】比較例1のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図23】比較例1のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図24】比較例2のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図25】比較例2のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図26】比較例3のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図27】比較例3のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図28】比較例4のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。
【図29】比較例4のビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【図30】従来のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が44.5度のときの分光特性を示す説明図である。
【図31】従来のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が42.5度のときの分光特性を示す説明図である。
【図32】従来のビームスプリッタにおいて、入射光束の中心光線の入射角が46.5度のときの分光特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0024】
〔光ピックアップについて〕
図1は、本発明の実施の一形態に係る光ピックアップの概略の構成を示す説明図である。この光ピックアップは、光源1と、合成プリズム2と、光学素子3と、コリメータレンズ4と、立ち上げミラー5と、1/4波長板6と、対物レンズ7と、APC(Auto Power Control)モニタ8と、フォトディテクター9とを備えている。なお、図1では、光源1から光ディスクDに向かう光の光路(往路)を実線で示し、光ディスクDからの戻り光の光路(復路)を破線で示している。
【0025】
光源1は、光源部1aと光源部1bとで構成されている。光源部1aは、波長405nmを含む波長帯域の光を出射するレーザーダイオード(LD for BD )で構成されている。光源部1bは、波長660nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長785nmを含む波長帯域の光を出射する光源部とが一体化されたレーザーダイオード(LD for DVD&CD )で構成されている。なお、上記した3波長に対応する光源部は互いに別体で構成されていてもよいし、2以上の光源部が一体的に構成されていてもよい。合成プリズム2は、光源部1a・1bからの出射光のうち、一方の光を透過させ、他方の光を反射させてこれらを同一の光路で出射する。
【0026】
光学素子3は、基板3aと、その表面に積層される多層膜3bとからなり、多層膜3bにおける基板3aとは反対側の面(光が入出射する界面)が大気中に露出したプレート型のビームスプリッタで構成されている。特に、光学素子3は、405±5nmに含まれる波長帯域(以下、BDの波長帯域とも称する)と、660±10nmに含まれる波長帯域(以下、DVDの波長帯域とも称する)と、785±15nmに含まれる波長帯域(以下、CDの波長帯域とも称する)とにおいて、分光特性に偏光依存性がほとんどない無偏光ビームスプリッタで構成されている。なお、光学素子3の詳細については後述する。
【0027】
コリメータレンズ4は、入射光を平行光に変換する。立ち上げミラー5は、入射光の進行方向を例えば90度折り曲げる。1/4波長板6は、入射する直線偏光を円偏光に、または円偏光を直線偏光に変換する。対物レンズ7は、光源1から少なくとも光学素子3を介して得られる光を光ディスクDに集光させる。APCモニタ8は、光学素子3を透過した光源1からの出射光の光量をモニタする。このモニタ光量に基づき、光源1の出射光量が図示しない制御部によって調整される。フォトディテクター9は、光学素子3を透過した光ディスクDからの戻り光を受光することにより、サーボ信号(フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号)、情報信号、収差信号等の各種の信号を検出する。
【0028】
上記の構成によれば、光源部1a・1bから出射される光(例えばS偏光)は、合成プリズム2を介して光学素子3に入射し、一部の光は光学素子3を透過してAPCモニタ8で受光され、残りの光は光学素子3で反射される。光学素子3にて反射された光は、コリメータレンズ4で平行光に変換された後、立ち上げミラー5で光ディスクD側へ跳ね上げられ、1/4波長板6で円偏光に変換された後、対物レンズ7を介して光ディスクDに集光される。
【0029】
光ディスクDからの反射光(戻り光)は、対物レンズ7を介して1/4波長板6に入射し、そこで直線偏光(例えばP偏光またはP偏光の偏光面が回転した直線偏光)に変換される。上記の直線偏光は、立ち上げミラー5で進行方向を折り曲げられた後、コリメータレンズ4を介して光学素子3に入射する。そして、一部の光は光学素子3を透過し、フォトディテクター9で受光される。なお、残りの光は、光学素子3で光源1の方向に反射されるが、この反射方向の直上から、光源1のレーザーの発振部分はずれて位置しており、戻り光が光源1でのレーザーの発振に支障を来たすことはない。
【0030】
〔光学素子について〕
次に、上記した光学素子3の詳細について説明する。光学素子3としてのプレート型の無偏光ビームスプリッタは、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板3a上に薄膜を成膜して構成されている。ここで、P偏光の透過率をTp(%)とし、S偏光の透過率をTs(%)としたとき、光学素子3は、BD、DVD、CDの各波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満たした特性、すなわち、上記各波長帯域において、P偏光の分光特性とS偏光の分光特性とがほぼ同じである無偏光特性を確保したものとなっている。
【0031】
上記の屈折率の異なる3種類以上の成膜材料は、少なくとも1種類の高屈折率材料と、少なくとも1種類の中間屈折率材料と、少なくとも1種類の低屈折率材料とからなっている。高屈折率材料は、その屈折率をnHとしたときに、2.00≦nH≦2.50を満たす材料である。このような高屈折率材料としては、例えば、上記の屈折率範囲でも特に高い屈折率を有するNb2O5(屈折率2.38)やTiO2(屈折率2.4)を用いることが有効である。中間屈折率材料は、その屈折率をnMとしたときに、1.60≦nM≦1.90を満たす材料である。このような中間屈折率材料としては、例えばAl2O3とLa2O3との混合物(屈折率1.74)を用いることができる。低屈折率材料は、その屈折率をnLとしたときに、1.35≦nL≦1.49を満たす材料である。このような低屈折率材料としては、屈折率が低すぎると耐環境、外観上、応力などの問題が生じるため、上記の屈折率範囲の中でも屈折率の高いSiO2(屈折率1.47)を用いることが有効である。
【0032】
なお、屈折率nH、nM、nLの種類は、それぞれ1種類に限定されるわけではない。つまり、使用する成膜材料は、屈折率の異なる3種類に限定されるわけではない。上記した屈折率範囲を満たしているのであれば、屈折率nH、nM、nLの種類は、それぞれ複数種類であってもよく、1種類と複数種類との組み合わせであってもよい。例えば、1種類の高屈折率材料(屈折率nHが1種類)と、2種類の中間屈折率材料(屈折率nMが2種類)と、1種類の低屈折率材料(屈折率nLが1種類)とを用いて光学素子3が構成されてもよく、2種類の高屈折率材料(屈折率nHが2種類)と、2種類の中間屈折率材料(屈折率nMが2種類)と、1種類の低屈折率材料(屈折率nLが1種類)とを用いて光学素子3が構成されてもよい。
【0033】
また、本実施形態の光学素子3は、基板3a上に成膜された薄膜(多層膜3b)の総膜厚を100%としたとき、基板3aに近い側から20%までの膜厚部分において低屈折率材料の膜厚を合算した値の、総膜厚に対して占める割合が2.5%以下であり、大気に近い側から8%までの膜厚部分において中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、総膜厚に対して占める割合が1.25%以下となっている。
【0034】
なお、以下での説明の便宜上、前者の割合(基板側の低屈折率材料の存在比)のことを比率Aとも称し、後者の割合(大気側の中間屈折率材料の存在比)のことを比率B(8%)とも称することとする。また、大気に近い側から10%までの膜厚部分において中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、総膜厚に対して占める割合のことを、比率B(10%)とも称し、比率B(8%)と比率B(10%)とをまとめて比率Bと称することとする。また、特に断らない限り、膜厚とは物理膜厚を指すものとし、光学膜厚(屈折率×物理膜厚)とは区別するものとする。本実施形態では、比率AおよびBが、BD、DVD、CDの3つの波長帯域における無偏光特性や入射角依存性に影響する点に着目し、後述する実施例および比較例に基づき、比率AおよびBを適正化した。
【0035】
〔実施例について〕
以下、本実施形態の光学素子3(無偏光ビームスプリッタ)の実施例について、実施例1〜10として説明する。なお、以下では、高屈折率材料としてNb2O5を用い、中間屈折率材料としてAl2O3とLa2O3との混合物を用い、低屈折率材料としてSiO2を用いた。また、以下では、無偏光ビームスプリッタに入射する光束の中心光線の入射角をθ(°)とし、P偏光の透過率Tp(%)とS偏光の透過率Ts(%)との平均透過率(Tp+Ts)/2を、透過率T(%)とした。
【0036】
また、高屈折率材料の総膜厚を1としたときの中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、以下では、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満たす膜構成が前提となっているが、この点については後述する。
【0037】
(実施例1)
実施例1では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表2〜表4は、実施例1の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
なお、表中の表記は、以下の定義に従っている。すなわち、層番号は、基板3a側から順に第1層、第2層、・・・である。「Al2O3混合物」はAl2O3とLa2O3との混合物を指し、「Nb2O5」はNb2O5を指し、「SiO2」はSiO2を指す。屈折率は、波長550nmでの値である。また、基板3aに最も近い低屈折率材料の層の膜厚の数値、および多層膜3bの総膜厚を100%としたときに基板3aに近い側から20%までの膜厚部分に含まれる低屈折率材料の膜厚の数値を、実線の枠で囲っている。一方、大気に最も近い(基板3aから最も離れた)中間屈折率材料の層の膜厚の数値、および多層膜3bの総膜厚を100%としたときに大気に近い側から10%までの膜厚部分に含まれる中間屈折率材料の膜厚の数値を、破線の枠で囲っている。以上のような表記の仕方は、他の表でも同じとする。
【0042】
図2は、実施例1の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図3は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。なお、これらの図中、実線はP偏光の透過率の変化を示し、破線はS偏光の透過率の変化を示している。また、BDの波長帯域ではθ(45°)、θ+7°(52°)、θ−7°(38°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、DVDの波長帯域では、θ(45°)、θ+6°(51°)、θ−6°(39°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、CDの波長帯域ではθ(45°)、θ+5°(50°)、θ−5°(45°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示している。また、例えば、「38Ts」とは、38°入射のS偏光の透過率を指し、「45Rp」とは、45°入射のP偏光の反射率を指すものとする。他の偏光についてもこれに倣って同様に表記する。なお、以上のような表記の仕方は、他の図面や表でも同様である。
【0043】
なお、θ±αは、光源1(図1参照)から出射される光の発散角(2α)に対応しており、上記のように、BDの波長帯域ではα=7°、DVDの波長帯域ではα=6°、CDの波長帯域ではα=5°とした。
【0044】
また、表5は、実施例1の無偏光ビームスプリッタにおいて、520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光の平均反射率およびS偏光の平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αのP偏光およびS偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0045】
【表5】
【0046】
実施例1の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は0.83であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、θ、θ+α、θ−αの各入射角においてTsとTpとの差を採ったときの最大値を|Ts−Tp|max(%)とすると、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=2.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.5%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=2.9%であった。したがって、実施例1は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例1は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0047】
(実施例2)
実施例2では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=40%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表6〜表8は、実施例2の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
図4は、実施例2の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図5は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0052】
また、表9は、実施例2の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0053】
【表9】
【0054】
実施例2の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.00であり、比率B(8%)は1.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.8%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=5.6%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.4%であった。したがって、実施例2は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例2は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0055】
(実施例3)
実施例3では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=30%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表10〜表12は、実施例3の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
【0059】
図6は、実施例3の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図7は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0060】
また、表13は、実施例3の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0061】
【表13】
【0062】
実施例3の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は2.37であり、比率B(8%)は1.22%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.3%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.1%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=5.6%であった。したがって、実施例3は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例3は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0063】
(実施例4)
実施例4では、θ=30°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表14〜表16は、実施例4の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0064】
【表14】
【0065】
【表15】
【0066】
【表16】
【0067】
図8は、実施例4の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図9は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。なお、実施例4では、θ=30°であるので、図9のBDの波長帯域では、θ(30°)、θ+7°(37°)、θ−7°(23°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、DVDの波長帯域では、θ(30°)、θ+6°(36°)、θ−6°(24°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示し、CDの波長帯域ではθ(30°)、θ+5°(35°)、θ−5°(25°)で入射するP偏光およびS偏光の透過率の変化を示している。
【0068】
また、表17は、実施例4の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0069】
【表17】
【0070】
実施例4の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.31であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=1.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=2.3%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=1.1%であった。したがって、実施例4は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例4は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0071】
また、実施例4は、3つの波長帯域全てにおいて、さらに|Ts−Tp|≦3%を満足しており、無偏光特性が極めて良好であるとも言える。これは、入射角θが小さいほど、P偏光の分光特性とS偏光の分光特性とが近づき、無偏光特性の確保が容易になるためと考えられる。
【0072】
(実施例5)
実施例5では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表18〜表20は、実施例5の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0073】
【表18】
【0074】
【表19】
【0075】
【表20】
【0076】
図10は、実施例5の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図11は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0077】
また、表21は、実施例5の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0078】
【表21】
【0079】
実施例5の上記した膜構成では、比率Aは2.1%であり、比率B(10%)は0.00であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.0%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.4%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.0%であった。したがって、実施例5は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例5は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0080】
(実施例6)
実施例6では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表22〜表24は、実施例6の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0081】
【表22】
【0082】
【表23】
【0083】
【表24】
【0084】
図12は、実施例6の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図13は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0085】
また、表25は、実施例6の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0086】
【表25】
【0087】
実施例6の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.73であり、比率B(8%)は1.01%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.7%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.5%であった。したがって、実施例6は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例6は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0088】
(実施例7)
実施例7では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表26〜表28は、実施例7の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0089】
【表26】
【0090】
【表27】
【0091】
【表28】
【0092】
図14は、実施例7の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図15は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0093】
また、表29は、実施例7の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0094】
【表29】
【0095】
実施例7の上記した膜構成では、比率Aは1.6%であり、比率B(10%)は1.63であり、比率B(8%)は0.79%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.3%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=5.8%であった。したがって、実施例7は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。特に、実施例7は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦7%を満足しており、無偏光特性についてさらに良好であるとも言える。
【0096】
(実施例8)
実施例8では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表30および表31は、実施例8の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0097】
【表30】
【0098】
【表31】
【0099】
図16は、実施例8の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図17は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0100】
また、表32は、実施例8の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0101】
【表32】
【0102】
実施例8の上記した膜構成では、比率Aは2.5%であり、比率B(10%)は0.99であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=13.9%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=8.7%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=4.4%であった。したがって、実施例8は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。
【0103】
(実施例9)
実施例9では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表33〜表35は、実施例9の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0104】
【表33】
【0105】
【表34】
【0106】
【表35】
【0107】
図18は、実施例9の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図19は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0108】
また、表36は、実施例9の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。このように、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0109】
【表36】
【0110】
実施例9の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.93であり、比率B(8%)は1.22%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=3.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=7.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=7.0%であった。したがって、実施例9は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。
【0111】
(実施例10)
実施例10では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となり、かつ、上記3つの波長帯域で無偏光特性が確保されるように、無偏光ビームスプリッタを設計した。表37〜表39は、実施例10の無偏光ビームスプリッタの多層膜3bの膜構成を示している。
【0112】
【表37】
【0113】
【表38】
【0114】
【表39】
【0115】
図20は、実施例10の無偏光ビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図21は、上記無偏光ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0116】
また、表40は、実施例10の無偏光ビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。実施例10では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て50%以上であるが、80%以上とはなっていない。
【0117】
【表40】
【0118】
実施例10の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は1.03であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=10.0%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=10.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=6.0%であった。したがって、実施例10は、3つの波長帯域全てにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満足しており、無偏光特性が良好であるとともに、各波長帯域において、入射角の違いによる無偏光特性のばらつきが小さく、入射角依存性が少ないと言える。
【0119】
〔比較例について〕
次に、上述した実施例との比較のため、比較例のプレート型ビームスプリッタについて、比較例1〜4として説明する。なお、高屈折率材料としてNb2O5を用い、中間屈折率材料としてAl2O3とLa2O3との混合物を用い、低屈折率材料としてSiO2を用いている点は、上述した実施例と同様である。
【0120】
(比較例1)
比較例1では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表41および表42は、比較例1のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0121】
【表41】
【0122】
【表42】
【0123】
図22は、比較例1のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図23は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0124】
また、表43は、比較例1のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例1では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上となっている。
【0125】
【表43】
【0126】
比較例1の上記した膜構成では、比率Aは9.4%であり、比率B(10%)は5.23であり、比率B(8%)は4.08%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=15.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=14.3%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=10.9%であった。比較例1は、BDの波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図23を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0127】
(比較例2)
比較例2では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表44および表45は、比較例2のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0128】
【表44】
【0129】
【表45】
【0130】
図24は、比較例2のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図25は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0131】
また、表46は、比較例2のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例2では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0132】
【表46】
【0133】
比較例2の上記した膜構成では、比率Aは2.5%であり、比率B(10%)は2.39であり、比率B(8%)は1.29%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=16.4%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=7.8%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=6.4%であった。比較例2は、BDの波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図25を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0134】
(比較例3)
比較例3では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表47〜表49は、比較例3のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0135】
【表47】
【0136】
【表48】
【0137】
【表49】
【0138】
図26は、比較例3のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図27は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0139】
また、表50は、比較例3のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例3では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て80%以上(特に90%以上)となっている。
【0140】
【表50】
【0141】
比較例3の上記した膜構成では、比率Aは5.1%であり、比率B(10%)は0.00であり、比率B(8%)は0.00%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=12.6%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=18.2%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=15.8%であった。比較例3は、DVDおよびCDの各波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図27を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0142】
(比較例4)
比較例4では、θ=45°において、BD、DVD、CDの各波長帯域でT=50%となるようにビームスプリッタを設計した。表51〜表53は、比較例4のビームスプリッタの多層膜の膜構成を示している。
【0143】
【表51】
【0144】
【表52】
【0145】
【表53】
【0146】
図28は、比較例4のビームスプリッタの全波長域での分光特性を示す説明図である。また、図29は、上記ビームスプリッタのBD、DVD、CDの各波長帯域での分光特性を示す説明図である。
【0147】
また、表54は、比較例4のビームスプリッタにおいて、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を示している。比較例4では、平均反射率は、入射角θおよびθ±αの各偏光について全て70%以上となっているが、80%以上を満たしてはいない。
【0148】
【表54】
【0149】
比較例4の上記した膜構成では、比率Aは0.0%であり、比率B(10%)は2.01であり、比率B(8%)は2.01%である。このとき、BDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=13.5%であり、DVDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=26.2%であり、CDの波長帯域では、|Ts−Tp|max=18.5%であった。比較例4は、DVDおよびCDの各波長帯域において、|Ts−Tp|≦15%を満足していないため、無偏光特性が良好とは言えない。また、図29を見てもわかるように、各波長帯域において、入射角による特性のばらつきも大きい。
【0150】
〔まとめ〕
以上の実施例および比較例の結果をまとめたものを表55に示す。
【0151】
【表55】
【0152】
また、波長区間520nm以上580nm以下における平均反射率と、比率AおよびBと、表55の無偏光特性(|Ts−Tp|)の評価との関係をまとめたものを表56に示す。
【0153】
【表56】
【0154】
つまり、平均反射率が80%以上の場合は、比率Aが2.5%以下で、比率B(8%)が1.25以下を満足するときに、無偏光特性の評価が、◎(|Ts−Tp|≦3%)、○(|Ts−Tp|≦7%)、△(|Ts−Tp|≦15%)のいずれかとなり、満足しないときには×(|Ts−Tp|>15%の波長帯域を含む)となる。また、平均反射率が80%未満の場合は、比率Aが2.5%以下で、比率B(8%)が1.25以下を満足するときに、無偏光特性の評価が△(|Ts−Tp|≦15%)となり、満足しないときには×(|Ts−Tp|>15%の波長帯域を含む)となる。
【0155】
以下、これらの表を参照しながら、本発明の効果について述べる。
上述した実施例および比較例の結果から、屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて無偏光ビームスプリッタを構成する際に、比率AおよびBを調整したり、波長区間520〜580nmでのP偏光およびS偏光についての平均反射率を調整することにより、3波長帯域での無偏光特性およびその入射角依存性を調整できると言える。特に、比率Aを2.5%以下とし、比率B(8%)を1.25以下とすることにより、BD、DVD、CDの3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦15%を満たす良好な無偏光特性を実現できるとともに、入射角依存性の少ない、プレート型の無偏光ビームスプリッタを実現することができる(実施例1〜10参照)。
【0156】
また、3つの波長帯域での透過率Tが30%の実施例3を除く他の実施例では、比率B(10%)が2.00以下で、|Ts−Tp|≦15%の無偏光特性を実現できている。このことから、比率B(10%)を2.00以下とすることで、少なくとも、3つの波長帯域での透過率Tが40%〜50%の構成においては、|Ts−Tp|≦15%の良好な無偏光特性を実現できると言える。
【0157】
また、520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光およびS偏光についての各平均反射率が、それぞれ80%以上であることにより、BD、DVD、CDの3つの波長帯域のうちの少なくとも2つについて、|Ts−Tp|≦9%を満たす無偏光特性を実現することができる(実施例1〜9参照)。特に、平均反射率を90%以上とすることで、そのような効果を確実に得ることができる。
【0158】
また、上述の実施例1〜10は、BDの波長帯域ではθ±7°において、DVDの波長帯域ではθ±6°において、CDの波長帯域ではθ±5°において、|Ts−Tp|≦15%を満たしている。このように入射角θ±αにおいて|Ts−Tp|≦15%を満足することにより、3つの波長帯域の光がそれぞれ所定の発散角(2α)を有して入射する構成であっても、良好な無偏光特性を確保することができる。
【0159】
また、上記の比率Aが2.2%以下であれば、BD、DVD、CDの3つの波長帯域全てついて、|Ts−Tp|≦15%を容易に実現することができる(実施例1〜7、9、10参照)。このとき、P偏光およびS偏光についての上記波長区間における各平均反射率を調整すれば(例えば80%以上にすれば)、3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦8%を満たす、さらに良好な無偏光特性を実現することができる(実施例1〜7、9参照)。また、比率AおよびBをさらに調整すれば、3つの波長帯域全てについて、|Ts−Tp|≦7%を満たす、より一層良好な無偏光特性を実現することも可能となる(実施例1〜7参照)。
【0160】
なお、実施例3および実施例9は、両者とも、比率Aが0.0%であり、比率B(8%)が1.22%であり、かつ、波長区間520nm以上580nm以下での平均反射率が80%以上であるが、無偏光特性に差が見られる(実施例3では○、実施例9では△)。このように比率B(8%)が1.25%以下の値であっても、1.25%付近の値である場合には、膜構成内の微妙な材料配置の違い、無偏光特性を達成する透過率(または反射率)の狙い目、設計の最適化位置の違い等、種々複雑な要因により、無偏光特性に若干の差が生じてくる。その他の実施例(実施例1、2、5〜7)から推測すると、比率Bの上限は、1.25%よりもさらに低い値のほうが良好な無偏光特性を確保できる点で望ましいと言える。同様に、実施例1〜4、6、7より、比率Aの上限も、2.2%よりもさらに低い値のほうが良好な無偏光特性を確保できる点で望ましいと言える。
【0161】
ところで、表57は、上述した実施例および比較例において、低屈折率材料(SiO2)、高屈折率材料(Nb2O5)および中間屈折率材料(Al2O3混合物)の存在比、すなわち、低屈折率材料の膜厚の合算値、高屈折率材料の膜厚の合算値、中間屈折率材料の膜厚の合算値の、総膜厚に対する比率(%)をそれぞれ示している。また、表58は、表57における低屈折率材料および中間屈折率材料の存在比を、高屈折率材料の存在比を基準にして示したものである。
【0162】
【表57】
【0163】
【表58】
【0164】
ここで、高屈折率材料の総膜厚を1としたときの中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、上述した本発明の効果は、
1.0≦x≦2.0、かつ、0.4≦y≦1.0
を満足している構成において得られている。このことから、上記の条件式は、本発明の前提となる構成を示すものであり、このような条件式を満たす構成において、上述した本発明の膜構成が有効であると言える。特に、実施例1〜10は、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満足しており、そのような条件を満たす構成において、上述した本発明の膜構成が非常に有効となる。
【0165】
なお、実施例1〜10では、無偏光ビームスプリッタの膜の層数を100層以上としているが、良好な無偏光特性を確保するという観点から、70層以上であることが望ましく、さらに良好な無偏光特性を確保するという点では、80層以上であることが望ましい。
【0166】
なお、実施例1〜10では、入射角θを30°または45°としているが、入射角はこれらに限定されるわけではない。例えば、入射角を60°としても、比率AおよびBや、波長区間520nm以上580nm以下での平均反射率を調整することにより、|Ts−Tp|≦15%(望ましくは|Ts−Tp|≦7%)を実現することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明の無偏光ビームスプリッタは、BD、DVD、CDの3つの波長帯域の全てにおいて良好な無偏光特性が要求される光ピックアップに利用可能である。
【符号の説明】
【0168】
1 光源
1a 光源部(光源)
1b 光源部(光源)
3 光学素子(無偏光ビームスプリッタ)
3a 基板
7 対物レンズ
nH 屈折率
nL 屈折率
nM 屈折率
Tp P偏光透過率
Ts S偏光透過率
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜したプレート型の無偏光ビームスプリッタであって、
P偏光の透過率をTpとし、S偏光の透過率をTsとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域と、660±10nmに含まれる波長帯域と、785±15nmに含まれる波長帯域とにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満たし、
前記3種類以上の成膜材料は、
屈折率nHが2.00≦nH≦2.50を満たす少なくとも1種類の高屈折率材料と、屈折率nMが1.60≦nM≦1.90を満たす少なくとも1種類の中間屈折率材料と、屈折率nLが1.35≦nL≦1.49を満たす少なくとも1種類の低屈折率材料とからなり、
前記基板上に成膜された前記薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.5%以下であり、大気に近い側から8%までの膜厚部分において前記中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が1.25%以下であることを特徴とする無偏光ビームスプリッタ。
【請求項2】
520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光およびS偏光についての各平均反射率が、それぞれ80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項3】
入射光束の中心光線の入射角をθとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域ではθ±7°において、660±10nmに含まれる波長帯域ではθ±6°において、785±15nmに含まれる波長帯域ではθ±5°において、|Ts−Tp|≦15%を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項4】
前記基板上に成膜された薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.2%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項5】
前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦2.0、かつ、0.4≦y≦1.0
を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項6】
前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満たすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項7】
前記高屈折率材料はNb2O5またはTiO2であり、前記低屈折率材料はSiO2であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタと、
光を出射する光源と、
前記光源から前記無偏光ビームスプリッタを介して得られる光を光ディスクに集光させる対物レンズとを備えていることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項9】
前記光源は、波長405nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長660nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長785nmを含む波長帯域の光を出射する光源部とを含んでいることを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ。
【請求項1】
屈折率の異なる3種類以上の成膜材料を用いて基板上に薄膜を成膜したプレート型の無偏光ビームスプリッタであって、
P偏光の透過率をTpとし、S偏光の透過率をTsとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域と、660±10nmに含まれる波長帯域と、785±15nmに含まれる波長帯域とにおいて、|Ts−Tp|≦15%を満たし、
前記3種類以上の成膜材料は、
屈折率nHが2.00≦nH≦2.50を満たす少なくとも1種類の高屈折率材料と、屈折率nMが1.60≦nM≦1.90を満たす少なくとも1種類の中間屈折率材料と、屈折率nLが1.35≦nL≦1.49を満たす少なくとも1種類の低屈折率材料とからなり、
前記基板上に成膜された前記薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.5%以下であり、大気に近い側から8%までの膜厚部分において前記中間屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が1.25%以下であることを特徴とする無偏光ビームスプリッタ。
【請求項2】
520nm以上580nm以下の波長区間におけるP偏光およびS偏光についての各平均反射率が、それぞれ80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項3】
入射光束の中心光線の入射角をθとしたとき、405±5nmに含まれる波長帯域ではθ±7°において、660±10nmに含まれる波長帯域ではθ±6°において、785±15nmに含まれる波長帯域ではθ±5°において、|Ts−Tp|≦15%を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項4】
前記基板上に成膜された薄膜の総膜厚を100%としたとき、前記基板に近い側から20%までの膜厚部分において前記低屈折率材料の膜厚を合算した値の、前記総膜厚に対して占める割合が2.2%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項5】
前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦2.0、かつ、0.4≦y≦1.0
を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項6】
前記高屈折率材料の総膜厚を1としたときの前記中間屈折率材料の総膜厚の比率をx、前記低屈折率材料の総膜厚の比率をyとすると、
1.0≦x≦1.9、かつ、0.5≦y≦0.9
を満たすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項7】
前記高屈折率材料はNb2O5またはTiO2であり、前記低屈折率材料はSiO2であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の無偏光ビームスプリッタと、
光を出射する光源と、
前記光源から前記無偏光ビームスプリッタを介して得られる光を光ディスクに集光させる対物レンズとを備えていることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項9】
前記光源は、波長405nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長660nmを含む波長帯域の光を出射する光源部と、波長785nmを含む波長帯域の光を出射する光源部とを含んでいることを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2010−231829(P2010−231829A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75676(P2009−75676)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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