説明

無方向性電磁鋼板の製造方法

【課題】鋼板の圧延方向に高い磁束密度を有する無方向性電磁鋼板の安価な製造方法を提案する。
【解決手段】C:0.03mass%以下、Si:4mass%以下、Mn:0.03〜3mass%、Al:3mass%以下、S:0.005mass%以下およびN:0.005mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、冷間圧延し、仕上焼鈍して無方向性電磁鋼板を製造する方法において、冷間圧延前の結晶粒径を100μm以下とし、再結晶温度以上までを平均昇温速度100℃/sec以上で急速加熱する仕上焼鈍を施すことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無方向性電磁鋼板の製造方法に関し、具体的には、圧延方向の磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板を製造する有利な方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保護を考慮した省エネルギー化という世界的な流れの中で、電気機器の分野においても、省エネルギー化を目的として高効率化や小型化が強く望まれている。そのため、電気機器の鉄心材料として広く使用されている無方向性電磁鋼板には、磁気特性の向上、すなわち、高磁束密度化、低鉄損化が強く望まれるようになってきている。
【0003】
従来、無方向性電磁鋼板は、添加する合金元素を適正化し、冷延前の結晶粒径をできる限り大きくした上で、冷延圧下率を最適化することで高磁束密度化し、また、固有抵抗を高める合金元素を添加したり、板厚を低減したりすることで低鉄損化することで磁気特性の向上が図られてきている。
【0004】
ところで、ハイブリッド自動車用の駆動モータ等では、鋼板からモータコアを製造する際の歩留まりを向上する観点から、分割コアが採用されはじめている。この分割コアは、従来のように、コア全体を鋼板から一体として打ち抜くのではなく、コアを複数のセグメントに分割し、それぞれのセグメントのティース部が鋼板の圧延方向となるように打ち抜き、これを組み合わせてコアを構成することで、モータの特性向上を図る技術である。
【0005】
この分割コアにおいては、磁束が集中するティース部の長さ方向が、鋼板の圧延方向となるため、素材となる電磁鋼板の圧延方向の磁気特性が極めて重要となってくる。圧延方向の磁気特性に優れた材料としては、圧延方向にGoss方位を揃えた方向性電磁鋼板が挙げられるが、二次再結晶プロセスを有するため、製造コストが高く、採用することには問題がある。したがって、無方向性電磁鋼板で、圧延方向の磁束密度を向上させることができれば、分割コアの最適材料となり得ると考えられる。
【0006】
このような分割コアに好適な材料としては、例えば、特許文献1および特許文献2には、熱延板焼鈍後の結晶粒径を粗大化し、冷間圧延の圧下率を制御することによって、面内圧延方向と垂直方向に優れた磁気特性を得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−332042号公報
【特許文献2】特開2008−127600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法は、冷間圧延前の結晶粒径を300μm以上とするため、鋼の不純物を極微量まで低減する必要があったり、熱延板焼鈍温度を高温にする必要があったりするため、製造性、コスト面で問題がある。また、特許文献2の技術も、熱延板焼鈍で結晶粒を粗大化させる必要があるため、製造コスト面で問題がある。
【0009】
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼板の圧延方向に優れた磁気特性を有する、具体的には、高い磁束密度を有する無方向性電磁鋼板の安価な製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた。その結果、従来と同じ熱間圧延し、冷間圧延し、仕上焼鈍して無方向性電磁鋼板を製造する方法において、冷間圧延前の結晶粒径を100μm以下とし、かつ、仕上焼鈍時の昇温速度を従来よりも急速加熱することで、圧延方向の磁気特性が著しく向上することを新規に見出し、本発明を開発するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、C:0.03mass%以下、Si:4mass%以下、Mn:0.03〜3mass%、Al:3mass%以下、S:0.005mass%以下およびN:0.005mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、冷間圧延し、仕上焼鈍して無方向性電磁鋼板を製造する方法において、冷間圧延前の結晶粒径を100μm以下とし、再結晶温度以上までを平均昇温速度100℃/sec以上で急速加熱する仕上焼鈍を施すことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0012】
本発明の製造方法における鋼素材は、上記成分組成に加えてさらに、SnおよびSbのうちのいずれか1種または2種をそれぞれ0.005〜0.5mass%含有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の製造方法は、上記急速加熱した後、脱炭焼鈍することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、圧延方向に優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を安価に提供することが可能となるので、分割コアやトランスコアなどの鉄心材料として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】仕上焼鈍の昇温速度が、圧延方向の磁束密度に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】圧延方向の磁束密度に及ぼす冷間圧延前の粒径および昇温速度の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
C:0.0025mass%、Si:3.3mass%、Mn:0.16mass%、Al:0.001mass%、N:0.0019mass%およびS:0.0010mass%を含有する成分組成の鋼素材(スラブ)を1100℃×30分の加熱後、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とし、次いで、950℃×30秒の熱延板焼鈍を施してから、1回の冷間圧延して最終板厚が0.35mmの冷延板とした。その後、上記冷延板を直接通電加熱炉で、昇温速度を30〜300℃/secの範囲で変えて740℃まで加熱し、その後、30℃/secにて1000℃まで加熱し、10sec間均熱保持し、冷却する仕上焼鈍を施した。上記仕上焼鈍後の鋼板から、圧延方向(L方向)を長さ方向とする長さ180mm×幅30mmのL方向サンプルを切り出し、単板磁気試験を行い、磁化力5000A/mにおける磁束密度B50を測定した。
【0017】
図1に、上記実験の結果を、昇温速度と圧延方向の磁束密度との関係として示したが、昇温速度100℃/sec以上で急速加熱して仕上焼鈍することで、圧延方向の磁束密度が高い電磁鋼板が得られていることがわかる。この理由は、以下のように考えられる。
一次再結晶は、転位の歪エネルギーを駆動力として起こる現象である。一般に、冷間圧延で導入される転位の蓄積エネルギー(歪エネルギー)は、結晶方位依存性があり、{111}>{110}>{100}となる。そのため、低速加熱した場合には、上記結晶方位依存性によって、蓄積エネルギーが高い{111}方位粒が優先的に再結晶を起こす。しかし、急速加熱した場合には、上記結晶方位依存性の拘束が外れて、他の方位も再結晶を起こすようになるため、{110}や{100}方位粒が増加し、その結果、L方向の磁気特性が向上したものと考えられる。
【0018】
ところで、従来の無方向性電磁鋼板の製造方法では、熱延板焼鈍を高温で行い、冷間圧延前の結晶粒径を大きくすることで、{111}方位粒の発生を抑制し、磁気特性の向上を図っていた。しかし、上述したように、急速加熱する場合には再結晶挙動も大きく変化する。そこで、冷間圧延前の結晶粒径の大きさが磁気特性(圧延方向の磁束密度)に及ぼす影響を調査した。
【0019】
C:0.0025mass%、Si:3.3mass%、Mn:0.15mass%、Al:0.001mass%、N:0.0022mass%およびS:0.0013mass%を含有するスラブを1100℃×30分加熱した後、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とした。次いで、この熱延板に、焼鈍温度を850〜1100℃の温度範囲で変化させ、30秒間保持する条件で熱延板焼鈍を施して、冷間圧延前の結晶粒径を変化させた。その後、この熱延板を1回の冷間圧延で最終板厚が0.35mmの冷延板とした後、直接通電加熱炉で昇温速度を20℃/secまたは300℃/secとして、740℃まで加熱し、その後さらに30℃/secで1020℃まで加熱し、10秒間均熱保持した後、冷却する仕上焼鈍を施した。この冷延焼鈍板から、圧延方向(L方向)を長さ方向とする長さ180mm×幅30mmのL方向サンプルを切り出し、単板磁気試験を行い、磁化力5000A/mにおける磁束密度B50を測定した。
【0020】
図2に上記実験結果を示した。図2から、300℃/secで急速加熱したときには、冷間圧延前の粒径が100μm以下の領域において、圧延方向の磁束密度が向上しているが、20℃/secの低速加熱では、逆に低下していることがわかる。この理由は、現時点で明確とはなっていないが、以下のように考えている。
熱延板焼鈍温度が低く、冷間圧延前の結晶粒が小さい場合には、冷間圧延後の再結晶焼鈍においては{111}粒が優先的に成長する。そのため、仕上焼鈍における昇温速度が通常焼鈍のように遅いときには、{111}粒が発達する。しかしながら、前述したように、昇温速度を高めた場合には、{111}粒の再結晶が抑制され、{110}粒や{100}粒が相対的に増加する。さらに、{110}粒や{100}粒は、その後の均熱焼鈍時に{111}粒を蚕食して優先的に粒成長し、圧延方向の磁気特性が向上する。
一方、熱延板焼鈍温度が高く、冷間圧延前の結晶粒が大きい場合は、前述したように、昇温速度を高めることによって{110}粒や{100}粒が再結晶しやすい。しかし、冷間圧延前の粒径が大きいために、粒径が小さい場合と比較すると、再結晶後の{111}粒の割合が少なくなるため、その後の均熱焼鈍において、{110}粒や{100}粒が蚕食する{111}粒の割合が少なくなって、{110}粒や{100}粒が十分に発達せず、圧延方向の磁気特性の向上が認められなかったものと考えられる。
【0021】
以上の実験結果から、圧延方向の磁束密度を改善するには、冷間圧延前の粒径を100μm以下とし、仕上焼鈍での加熱を、昇温速度を100℃/sec以上で急速加熱することが有効であることがわかった。なお、ここでいう粒径とは、線分法で求めた平均結晶粒径のことをいう。
本発明は、上記知見に基づき開発したものである。
【0022】
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の成分組成について説明する。
C:0.03mass%以下
Cは、鋼中に固溶し、冷間圧延時に導入された転位を固着して変形帯を形成しやすくする。この変形帯は、仕上焼鈍時の再結晶においてGoss方位粒{110}<001>を優先的に成長させ、圧延方向の磁気特性を向上する効果がある。しかし、Cが0.03mass%を超えると、後述する脱炭が不十分となるおそれがあるため、本発明では、素材の鋼中Cの上限は0.03mass%とする。
一方、Cは、製品段階において0.005mass%以上存在すると、磁気時効を起こして磁気特性が低下する。したがって、素材の鋼中Cが0.005mass%を超えている場合には、製品とする前に脱炭焼鈍し、鋼中Cを0.005mass%以下に低減しておくのが好ましい。上記脱炭焼鈍は、仕上焼鈍における急速加熱後であれば、何時行っても構わない。なお、脱炭した後のCは、0.003mass%以下とするのがより好ましい。
【0023】
Si:4mass%以下
Siは、鋼の固有抵抗を高め、鉄損を低減する効果がある元素である。しかし、4mass%を超えて添加すると、鋼が硬質化し、圧延して製造することが困難となる。よって、Siの上限は4mass%とする。
【0024】
Mn:0.03〜3mass%
Mnは、Sによる熱間脆性を防止して、熱間加工性を改善するのに必要な元素である。しかし、0.03mass%未満では上記効果が小さく、一方、3mass%を超える添加は、上記効果が飽和し、原料コストが上昇するだけである。よって、Mnは0.03〜〜3mass%の範囲とする。
【0025】
Al:3mass%以下
Alは、Siと同様、鋼の固有抵抗を高め、鉄損を低減する効果がある元素である。しかし、3mass%を超える添加は、圧延性を悪化させるので、3mass%を上限として添加する。なお、本発明の圧延方向の磁束密度改善効果は、Alが0.01mass%以下の場合により顕著に現れたため、Alの鉄損低減効果を利用しない場合には、0.01mass%以下とするのが好ましい。
【0026】
S:0.005mass%以下、N:0.005mass%以下
SおよびNは、本発明においては、磁気特性を低下させる不可避的不純物であるので、それぞれ0.005mass%以下に制限する。
【0027】
本発明の方向性電磁鋼板は、上記成分に加えてさらに、SnおよびSbを下記の範囲で添加することができる。
Sn,Sb:それぞれ0.005〜0.5mass%
Sn,Sbは、集合組織を改善して磁束密度を向上させるだけでなく、鋼板表層の酸化や窒化を防止し、それに伴う表層微細粒の生成を抑制することによって、磁気特性を向上する作用のある元素である。かかる効果を発現するには、SnおよびSbのいずれか1種以上を0.005mass%以上添加するのが好ましい。一方、SnおよびSbの含有量が0.5mass%を超えると、仕上焼鈍時の結晶粒成長が阻害されて磁気特性の低下を招くおそれがある。よって、SnおよびSbは、それぞれ0.005〜0.5mass%の範囲で添加するのが好ましい。
【0028】
本発明の方向性電磁鋼板は、上記以外の成分の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の効果を害しない範囲であれば、上記以外の成分の添加を拒むものではない。
【0029】
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板は、本発明に適合する上記成分組成を有する鋼を転炉や電気炉、真空脱ガス装置などを用いた通常公知の精錬プロセスで溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で鋼素材(スラブ)とし、上記スラブを通常公知の方法で熱間圧延した後、以下に説明する条件で、必要に応じて熱延板焼鈍し、冷間圧延し、仕上焼鈍し、あるいはさらに脱炭焼鈍して製造する。
【0030】
熱延板焼鈍
熱延板焼鈍は、熱間圧延後かつ冷延前の鋼板組織を好ましい整粒かつ細粒の再結晶組織とするため、必要に応じて行うことができる。しかし、この熱延板焼鈍は、従来技術のように高温・長時間の条件で行うと、結晶粒が100μmを超えて粗大化し、仕上焼鈍で急速加熱した場合に、圧延方向の磁束密度が低下するようになる。したがって、本発明においては、熱延板焼鈍を施す場合は、結晶粒径を100μm以下とするため、低温・短時間の焼鈍とすることが好ましく、具体的には均熱温度800〜950℃で保持時間60sec以下の条件で行うのが好ましく、800℃以上920℃未満で60sec以下の条件で行うのがより好ましい。
【0031】
冷間圧延
続く冷間圧延は、1回の冷間圧延でもよく、また、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延でもよい。また、その冷延圧下率も、通常の無方向性電磁鋼板の製造と同様の条件であればよく、特に制限はない。
【0032】
仕上焼鈍
冷間圧延後の仕上焼鈍(再結晶焼鈍)では、再結晶温度以上までを平均昇温速度100℃/sec以上で急速加熱することが必要である。なお、上記急速加熱の終点温度は、短時間で再結晶を起こさせる必要があるため、高温であるほど好ましいが、850℃を超えると、加熱に要する設備負荷が大きくなり過ぎ、設備コストも嵩む。そのため、急速加熱の終点温度は850℃以下とするのが好ましく、740℃以下であればより好ましい。
再結晶温度以上まで急速加熱した後は、さらに均熱温度まで加熱するが、この昇温速度については特に制限はない。また、均熱温度は850〜1100℃の範囲とし、均熱保持時間は5〜60secの範囲とするのが好ましい。均熱温度が850℃未満または保持時間が5sec未満では粒成長が進まず、一方、均熱温度が1100℃超えあるいは保持時間が60sec超えでは、焼鈍設備に負担がかかるからである。より好ましい均熱条件は、900〜1050℃の温度で、10〜40sec間保持するのが望ましい。
なお、昇温速度を100℃/sec以上とする方法としては、例えば、直接通電加熱あるいは誘導加熱などの方法を用いることができ、特に制限はない。
【0033】
脱炭焼鈍
上記均熱焼鈍した鋼板は、素材Cが0.005mass%より高い場合には、製品板における磁気時効を防止するため、その後、脱炭焼鈍してC量を0.005mass%以下に低減するのが好ましく、0.003mass%以下に低減するのがより好ましい。なお、この脱炭焼鈍は、上記急速加熱後の段階であれば何時行ってもよい。また、脱炭は、通常公知の条件で行えばよく、例えば、露点を30℃とした酸化性雰囲気下で850℃×30secの条件を例示することができる。
なお、均熱焼鈍した後、あるいはさらに脱炭焼鈍した後の冷却条件については特に制限はなく、例えば、30℃/sec以下のガス冷却としてもよい。
また、仕上焼鈍した鋼板は、その後、必要に応じて絶縁被膜を被成して製品板とするのが好ましい。
【実施例】
【0034】
表1に示す成分組成からなるNo.1〜34の鋼を溶製し、スラブとした。次いで、このスラブを1080℃×30分加熱した後、熱間圧延して板厚2.3mmの熱延板とした。次いで、上記熱延板に850℃〜1100℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、1回の冷間圧延で最終板厚0.35mmの冷延板とした。その後、上記冷延板に、直接通電加熱炉で昇温速度および急速加熱の終点温度を表2に示したように変化させて加熱し、さらに、30℃/secで均熱温度まで加熱して10秒間保持後、冷却する仕上焼鈍を施した。なお、素材の鋼中Cが0.005%以上である鋼板に対しては、850℃まで加熱後、露点30℃の雰囲気下で850℃×30秒の脱炭焼鈍を施してCを0.0030mass%以下に低減した後、均熱温度まで昇温した。なお、一部の鋼板については、熱延板焼鈍を施さない、もしくは、熱延板焼鈍の焼鈍時間を変えて結晶粒径を変化させた。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
上記のようにして得た仕上焼鈍後の各冷延鋼板から、長さ180mm×幅30mmのL方向サンプルを切り出し、単板磁気試験を行って圧延方向の磁束密度(B50−L)を測定し、その結果を表2に併記した。
表2から、冷間圧延前の結晶粒径を100μm以下に制御し、仕上焼鈍における昇温速度を100℃/sec以上とした本発明例の鋼板は、圧延方向の磁束密度B50−Lがいずれも1.74T以上の優れた磁気特性を有していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C:0.03mass%以下、Si:4mass%以下、Mn:0.03〜3mass%、Al:3mass%以下、S:0.005mass%以下およびN:0.005mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を熱間圧延し、熱延板焼鈍氏、冷間圧延し、仕上焼鈍して無方向性電磁鋼板を製造する方法において、
冷間圧延前の結晶粒径を100μm以下とし、
再結晶温度以上までを平均昇温速度100℃/sec以上で急速加熱する仕上焼鈍を施すことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項2】
上記成分組成に加えてさらに、SnおよびSbのうちのいずれか1種または2種をそれぞれ0.005〜0.5mass%含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】
上記急速加熱した後、脱炭焼鈍することを特徴とする請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−132070(P2012−132070A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285335(P2010−285335)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】