説明

無機顔料を包み囲む着色された粒子、ポリシロキサンに基づくポリアミド、及びMQ樹脂ポリマーを含む化粧料組成物

【課題】皮膚及び口唇のようなケラチン物質のケア及び/又はメイクアップのための化粧料組成物の提供。
【解決手段】生理学的に許容される媒体中に少なくとも、無機顔料を包み囲む1つの着色された粒状物質、ポリシロキサンに基づくポリアミド、及び少なくとも1つのMQ樹脂ポリマーを含む化粧料組成物であり、これらを併用することにより、皮膚上で高い被覆力を有し、透明に見えると同時に、上に施与され得る第二の化粧料組成物への長く持続する効果を与える組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物、特に皮膚及び口唇のようなケラチン物質のケア及び/又はメイクアップのための化粧料組成物であって、無機顔料を包み囲む少なくとも1の着色された粒状物質、ポリシロキサンに基づく1つのポリアミド、及び1つのMQ樹脂ポリマーを含む組成物に関する。そのような組成物はメイクアップベース組成物として特に有用である。
【0002】
メイクアップ組成物の主な目的の一つは、耐久性のある審美効果を提供することである。従って、この目的を達成するために、組成物は良好な密着及び非移動性を示さなければならない。
【背景技術】
【0003】
この良好な密着は、粘着性を得、移動することを防ぐために、メイクアップ組成物に何かポリマーを添加することにより従来は得られている。すなわち国際公開第03/105789号パンフレットは、揮発性溶媒及びポリシロキサンをベースとするポリアミドにより構造化された脂肪相を含むメイクアップ組成物を開示している。しかし、そのような組成物は、べたつきすぎる場合もある。
【0004】
別の実施態様は、メイクアップベース組成物の使用を含む。メイクアップベースの主な目的は、上に施与される第二の化粧料組成物のための良好な密着性を有する、平滑で均一に見える皮膚の色調を与えることである。
【0005】
すなわち、例えば、特開2002−322020は、2つのメイクアップ組成物を開示し、第一の組成物は表面において安定化されたポリマー粒子の分散物を含む。
【0006】
しかしそのようにして得られたメイクアップは、繊細な光学効果、例えばソフトフォーカス効果及び良好な感覚効果を欠いている可能性がある。
【0007】
この問題を解決するために、特開2005−139127は、高い透明性及び同時に満足できる隠蔽効果を提供する、無機顔料を包み囲む着色された粒状物質を含む化粧料組成物を提案している。しかし、これらの組成物は、乏しい非移動性を有し、上に施与されることのできる第二組成物上で長く持続する効果を与えない可能性がある。
【0008】
意外なことに、発明者らは、無機顔料を包み囲む少なくとも1の着色された粒状物質、少なくとも1のMQ樹脂ポリマー、及び少なくとも1のポリシロキサンに基づくポリアミドを併用することは、皮膚上で高い被覆力を有し、透明に見えると同時に、上に施与され得る第二の化粧料組成物への長く持続する効果を与える組成物を得ることを許すことを見出した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、化粧料組成物、特に、ケラチン物質、例えば皮膚及び口唇のケア及び/又はメイクアップのための化粧料組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、無機顔料を包み囲む少なくとも1の着色された粒状物質、少なくとも1のポリシロキサンに基づくポリアミド、及び少なくとも1のMQ樹脂ポリマーを含む化粧料組成物に関する。
【0010】
より特に、本発明に従う組成物は、メイクアップベース組成物である。
【0011】
さらに、本発明は、そのような化粧料組成物を第二の化粧料組成物と組み合わせて含むキットに関し、該第二化粧料組成物は、前者とは異なるものであり、かつ少なくとも1の生理学的に許容される媒体を含む。
【0012】
両方の組成物は、同じキット中の異なる区画に貯蔵され得る。
本発明は、本発明に従う化粧料組成物の少なくとも1の層を皮膚、及び口唇へ施与することを含む、特に皮膚及び口唇をメイクアップする方法にさらに関する。
【0013】
本発明は、上に施与されるべき異なる第二の化粧料組成物へのより良い耐久密着性を提供するために、皮膚又は口唇へそのような化粧料組成物の少なくとも1の層を施与することを含む化粧方法にもまた関する。
【0014】
本発明は、皮膚及び口唇に本発明に従う化粧料組成物の少なくとも1の層を施与すること、及びその後、少なくとも1の生理学的に許容される媒体を含む、上記のものとは異なる第二の組成物の少なくとも1の層を、該層の少なくとも一部の上へ施与することを含む、皮膚及び口唇をメイクアップするための化粧方法にも特に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書において使用されるように、表現「少なくとも1の」は、1以上を意味し、すなわち個々の成分並びに混合物/組み合わせも含む。
【0016】
本明細書において使用される、組成物の「耐久密着性」とは、均一性、色、及びマット性(matity)から選択された少なくとも1の性質が、施与のときからかなりの時間の後、例えば1時間後、2時間後、及びさらに8時間後に裸眼により見たとき、施与の時と同じのままである組成物を意味する。
【0017】
耐久密着性は、そのような性質を評価するための先行技術において公知の方法により評価され得る。
【0018】
例えば口唇組成物の色は、施与に続いてすぐに評価されてもよく、これらの特徴は、個人がある時間の間、例えば口唇組成物をつけたのち、再評価され比較されてもよい。さらにこれらの特徴は、比較組成物、例えば市販入手可能な組成物に関して評価されてもよい。
【0019】
本発明の化粧料組成物及び方法は、本明細書に記載される本発明の基本的要素及び制限、並びに本明細書に記載された、又は皮膚又はケラチン物質、例えば繊維への局所施与のために意図されたパーソナルケア組成物において有益である任意の追加の若しくは選択的な原料、成分、制限を含み、それらから構成され、又は基本的にそれらから構成されていることができる。
【0020】
本発明の主成分
ポリシロキサンに基づくポリアミド
本発明に従って、ポリシロキサンに基づくポリアミドは、下記式(I)又は(II)に対応し得る。
【0021】
【化1】

ここで
1)R,R,R及びRは、同じであるか又は異なっていてもよく、
直鎖、分岐状、又は環状の、飽和又は不飽和のC〜C40の炭化水素に基づく基、該基はその鎖に1以上の酸素、硫黄、及び/又は窒素原子を含む可能性があり、部分的又は全体的に弗素原子で置換されている可能性がある、
〜C10のアリール基、該基は場合により1以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい、
ポリオルガノシロキサン鎖、該鎖は1以上の酸素、硫黄、及び/又は窒素原子を含む可能性がある、
から選択された基を表す、
2)基Xは、同じであるか又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐状のC〜C30のアルキレンジイル又はアルキレン基を表し、該基はその鎖の中に1以上の酸素及び/又は窒素原子を含む可能性がある、
3)Yは飽和又は不飽和の、C〜C50の直鎖又は分岐状の2価のアルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレン基であり、該基は1以上の酸素、硫黄、及び/又は窒素原子を含み、及び/又は以下の原子又は原子の群、すなわちフッ素、ヒドロキシル、C〜Cのシクロアルキル、C〜C40のアルキル、C〜C10のアリール、場合によって1〜3のC〜Cアルキル基で置換されていてもよいフェニル、C〜Cのヒドロキシアルキル及びC〜Cアミノアルキルの1つを置換基として有する可能性があるか、又は
Yは、下記式に対応する基を表す、
【0022】
【化2】

ここで
Tは、直鎖又は分岐状の、飽和又は不飽和のC〜C24の3価又は4価の炭化水素に基づく基を表す、該基は場合によりポリオルガノシロキサン鎖で置換されていてもよく、該基はO,N及びSから選択された1以上の原子を含んでいる可能性があるか、又はTはN,P及びAlから選択された3価の基を表す、かつ
は直鎖又は不飽和のC〜C50アルキル基、又はポリオルガノシロキサン鎖を表す、該基又は鎖はポリマーの別の鎖に結合されていてもよい、1以上のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、及び/又はスルホンアミド基を含む可能性がある、
4)nは少なくとも1つの整数、例えば2〜500の範囲、好ましくは2〜200の範囲の整数を表し、mは1〜35,000の範囲、例えば1〜10,000、及び1〜2,500、1〜700、及び6〜200の範囲の少なくとも1つの整数であり、すべての値、及び間のサブレンジ(subrange)を含む。
【0023】
式(I)又は(II)のそのような部分(moiety)は
以下の反応式に従う、α,ω−カルボン酸末端を含むシリコーン及び1以上のジアミン間の縮合反応により得られえる。
【0024】
【化3】

又は以下の反応式に従って、α−不飽和カルボン酸とジアミンとの2分子の反応、
【0025】
【化4】

引き続き、以下の式に従って、エチレン性不飽和へのシロキサンの付加が行われることにより得られ得る。
【0026】
【化5】

ここでX−(CH−は、上で定義されたXに対応し、Y,R,R,R,R及びmは上で定義された通りである。
又は以下の反応式に従って、α,ω−NH末端を含むシリコーン及び式HOOC−Y−COOHの二酸の反応により得られる。
【0027】
【化6】

【0028】
式(I)又は(II)のポリアミドに基づくこれらのポリシロキサンにおいて、
mは、上で定義された少なくとも1つの整数であり、好ましくは1〜700の範囲、例えば,15〜500、そして15〜45の範囲の整数であって、その間のすべての値及びサブレンジを含む、
nは、特に1〜500の範囲、例えば1〜100、そして4〜25,の範囲の整数であって、その間のすべての値及びサブレンジを含む、
Xは、好ましくは直鎖又は分岐状のアルキレン鎖であって、1〜30の炭素原子、特に3〜10の炭素原子を含む、
Yは好ましくは直鎖又は分岐状であるアルキレン鎖であるか、又は環及び/又は不飽和を含む可能性のあるアルキレン鎖であり、該基は1〜40の炭素原子を含み、1〜20の炭素原子、そして2〜6の炭素原子を含み、その間のすべての値及びサブレンジ、例えば6の炭素原子を含む。
【0029】
式(I)及び(II)において、X又はYを表すアルキレン基は、場合によりそのアルキレン部分に少なくとも1の以下の要素を含むことができる。
1)1〜5のアミド、ウレア、又はカルバメート基、
2)C又はCのシクロアルキル基、及び
3)場合によって1〜3の同一又は異なるC〜Cアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基。
【0030】
式(I)及び(II)において、アルキレン基は、以下からなる群から選択された少なくとも1の元素で置換されていてもよい。
ヒドロキシル基、
〜Cシクロアルキル基
1〜3のC〜C40アルキル基、
場合により1〜3のC〜Cアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、
〜Cのヒドロキシアルキル基,及び
〜Cのアミノアルキル基。
【0031】
これらの式(I)及び(II)において、Yは
【0032】
【化7】

をも表し得る。ここでRは、ポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは下記式の基を表す。
【0033】
【化8】

ここでa,b及びcは、独立して1〜10の範囲の整数であり、R10は水素原子であり、R,R,R及びRについて定義されたような基である。
【0034】
式(I)及び(II)において,R,R,R及びRは好ましくは独立して直鎖又は分岐状のC〜C40アルキル基,好ましくはCH,C,n−C又はイソプロピル基、ポリオルガノシロキサン鎖又は場合により1〜3のメチル又はエチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
【0035】
前にみられたように、ポリマーは式(I)又は(II)の同一又は異なる部分を含み得る。
【0036】
すなわち、ポリマーは、異なる長さの式(I)又は(II)の複数の部分を含むポリシロキサンに基づくポリアミドであり得る、すなわち式(III)に対応するポリシロキサンに基づくポリアミドであり得る。
【0037】
【化9】

ここでX,Y,n及びR〜Rは上に与えられた意味を有し、m,及びm,これらは異なっており、mは、1〜35,000の範囲、例えば,1〜10,000の範囲、及び1〜2,500の範囲、1〜700の範囲,6〜200の範囲の少なくとも1つの整数であり、それらの間のすべての値及びサブレンジを含み、好ましくは1〜1000の範囲から選択され、pは例えば2〜500、好ましくは2〜200の範囲の少なくとも1つである。
【0038】
この式において、該部分は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマー又は交互コポリマーのいずれかを形成するように構造化され得る。
【0039】
このコポリマーにおいて、該部分は長さが異なるばかりでなく、化学的構造が異なり、例えば異なる基Yを含む。この場合、コポリマーは以下の式に対応し得る。
【0040】
【化10】

ここでR〜R,X,Y,m,m,n及びpは、上で与えられた意味を有し、YはYとは異なるが、Yについて定義された基から選択される。前に議論されたように、種々の部分が構造化されて、ブロックコポリマー又はランダムコポリマー又は交互コポリマーのいずれかを形成し得る。
【0041】
本発明の一つの実施態様において、ポリシロキサンに基づくポリアミドは、グラフト化されたコポリマーをもまた含み得る。すなわち、シリコーン単位を含むポリアミドがグラフト化され得、場合によりアミド基を含むシリコーン鎖で架橋されてもよい。そのようなポリマーは、3官能性アミンで合成され得る。
【0042】
この場合、コポリマーは、下記式の少なくとも1の部分を含み得る。
【0043】
【化11】

ここでX及びXは、同じであるか又は異なっていてもよく,式(I)又は(II)のXについて与えられた意味を有し、nは式(I)又は(II)において定義された通りであり,Y及びはTは、式(I)又は(II)において定義された通りであり,R11〜R18は、R〜Rと同じ基から選択された基であり,m及びmは1〜1,000の範囲の数であり,そしてpは、少なくとも1つの整数であり、例えば2〜500の範囲の整数であることができる。
【0044】
式(V)において,
pは1〜25の範囲であり、例えば1〜7の範囲であり、その間のすべての値及びサブレンジを含む、
11〜R18はメチル基である、
Tは、以下の式の1つに対応する
ことが好ましい。
【0045】
【化12】

ここでR19は水素原子又はR〜Rについて定義された基から選択された基であり、R20,R21及びR22は、独立して直鎖又は分岐状のアルキレン基であり、より好ましくは、以下の式に対応する、
【0046】
【化13】

特にR20,R21及びR22は−CH−CH−を表す、
及びmは15〜500の範囲、例えば,15〜45の範囲であり、その間のすべての値及びサブレンジを含む、
及びXは−(CH10−を表し、
Yは−CH−を表す。
【0047】
式(V)のグラフト化されたシリコーンを含むこれらのポリアミドは、式(VI)のポリアミド−シリコーンと共重合化され得る。
【0048】
【化14】

ここで
及びmは上で与えられた意味を有する、
及びRは同一又は異なっていてもよく、式(I)又は(II)について定義された通りである、
は、R及びRについて上で定義された基を表すか、又は式−X−G−Rの基を表す、ここでXは、上で定義された通りであり、Gは以下から選択された2価の基を表す。
【0049】
【化15】

ここでRは水素原子又は直鎖又は分岐状のC〜C20アルキル基を表す,但しポリマーの基Rの少なくとも50%は水素原子を表し、かつポリマーの基Gの少なくとも2つは以下以外の基であり、
【0050】
【化16】

は水素原子を表し又は直鎖、分岐状、又は環状の、飽和又は不飽和のC〜C50の炭化水素基に基づく基を表し、該基は場合によってその鎖中にO,S及びNから選択された1以上の原子を含み、場合によって1以上の弗素原子及び/又は1以上のヒドロキシル基、又は場合によって1以上のC〜Cアルキル基で置換されていてもよいフェニル基で置換されていてもよい、
は、式−X−G−Rの基を表し、ここでX,G及びRは、上記の通りであり、ブロックコポリマー、交互コポリマー、又はランダムコポリマーを形成する。コポリマー中のグラフト化されたシリコーン部分(V)の重量パーセントは、0.5重量%〜30重量%の範囲である。
【0051】
本発明に従って、前に見られたように、シロキサン単位は主鎖中又はポリマーの骨格中にあってもよいが、グラフト化された鎖又はペンダント鎖中に存在していてもよい。主鎖において、シロキサン単位は、上述のセグメントの形であり得る。ペンダント又はグラフト化された鎖において、シロキサン単位は個々に又はセグメントであるように見える。
【0052】
本発明に従うと、好ましいポリシロキサンに基づくポリアミドは、以下の通りである。
式(I)のポリシロキサンに基づくポリアミド、ここでmは15〜300,例えば15〜100の範囲であり、その間のすべての値及びサブレンジを含む、
2以上のポリアミドの混合物、ここで少なくとも1のポリアミドは、15〜50の範囲のmの値を有し、その間のすべての値及びサブレンジを含む、そして少なくとも1のポリアミドは30〜300の範囲のmの値を有し、その間のすべての値及びサブレンジを含む、
15〜50の範囲から選択されたm及び30〜500の範囲から選択されたmを有する式(III)のポリマー、ここで、mに相当する部分はポリアミドの総重量の1%〜99重量%を占め、対応する部分mはポリアミドの総重量の1重量%〜99重量%を占める、
式(I)のポリシロキサンに基づくポリアミドの混合物であって以下を含むもの、
1)80重量%〜99重量%のポリシロキサンに基づくポリアミド、ここでnは2〜10に等しく、特に3〜6に等しい、及び
2)1重量%〜20重量%のポリシロキサンに基づくポリアミド、ここでnは5〜500の範囲、特に6〜100の範囲である、
式(IV)に対応するポリシロキサンに基づくポリアミド、ここで基Y及びYの少なくとも1つが少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含む、
二酸の代わりに、活性化された二酸(二酸塩化物、二無水物又はジエステル)の少なくとも一部分を用いて合成された式(I)のポリシロキサンに基づくポリアミド、
式(I)のポリシロキサンに基づくポリアミド、ここでXは、−(CH−又は−(CH10−を表す;及び
式(I)のポリシロキサンに基づくポリアミド、ここでポリアミドは、末端が、モノ官能性アミン、モノ官能性酸、モノ官能性アルコール、例えば脂肪酸、脂肪族アルコール、及び脂肪族アミン、例えばオクチルアミン、オクタノール、ステアリン酸、及びステアリルアルコールからなる群から選択されたモノ官能性鎖である。
【0053】
本発明に従うと、ポリマー鎖の末端基は、
合成の間にC〜C50モノアルコールを導入することによりC〜C50アルキルエステル基で、
もしシリコーンがα,ω−ジアミノ化されているならば停止基としてモノ酸を、又はもしシリコーンがα,ω−ジカルボン酸であるならばモノアミンを採ることによりC〜C50アルキルアミドで、
終わる。
【0054】
本発明の一つの実施態様に従うと、ポリシロキサンに基づくポリアミド及び炭化水素に基づくポリアミドのコポリマー、すなわち式(I)又は(II)の部分及び炭化水素に基づくポリアミド部分を含むコポリマーを使用することが可能である。この場合、ポリアミド−シリコーン部分は、炭化水素に基づくポリアミドの末端に配置され得る。
【0055】
ポリシロキサンに基づくポリアミドは、脂肪酸ダイマーに基づくポリアミドのシリリックアミド化(silylic amidation)により製造され得る。このアプローチはポリアミド上に末端サイトとして存在する遊離酸のサイトとオルガノシロキサン−モノアミン及び/又はオルガノシロキサン−ジアミンとの反応(アミド化反応)又はオルガノシロキサンアルコール又はオルガノシロキサンジオールとの反応(エステル化反応)を含む。エステル化反応は、先行技術において公知であるように、酸触媒の存在を必要とする。アミド化又はエステル化に使用される遊離酸のサイトを含むポリアミドが、相対的に高い数の酸末端基を有することが望ましい(例えば高い、酸基の数、例えば15〜20のポリアミド)。
【0056】
ポリアミドのカルボン酸の末端基上で行われるこれらの反応は、ポリマー鎖の末端のみにおけるシリコーン部分の取り込みをもたらす。
【0057】
遊離のアミン基を含むポリアミドを用い酸基を含むシロキサンとのアミド化反応により、ポリシロキサンに基づくポリアミドのコポリマーを合成することもまた可能である。
【0058】
例えばエチレン−ジアミン部分(constituent)を有するポリアミドのオリゴシロキサン−α,ω−ジアミンとの高温におけるトランスアミド化により、元のポリアミドのエチレンジアミンコンポーネントがオリゴシロキサンジアミンで置換されるようにトランスアミド化を行うことにより、炭化水素に基づくポリアミド及びポリシロキサンに基づくポリアミド間のコポリマーに基づくゲル化剤を製造することもまた可能である。
【0059】
炭化水素に基づくポリアミドとポリシロキサンに基づくポリアミドのコポリマーは、ペンダントのオリゴシロキサン基を有する炭化水素に基づくポリアミド骨格を含むグラフト化されたコポリマーであってもよい。
【0060】
これは例えば、
脂肪酸二量体に基づくポリアミドにおける不飽和結合のハイドロシリル化により、
ポリアミドのアミド基のシリル化により、
又は酸化による不飽和ポリアミドのシリル化、すなわち不飽和基をアルコール又はジオールに酸化することによりヒドロキシル基を形成して、該基はシロキサンカルボン酸又はシロキサンアルコールと反応させる、により得られ得る。不飽和ポリアミドのオレフィンサイトもまた、エポキシ化され得、該エポキシ基はシロキサンアミン又はシロキサンアルコールと反応されてもよい。
【0061】
本発明の組成物において使用されるポリシロキサンに基づくポリアミドは、最も好ましくは、ポリシロキサンに基づくポリアミド例えば米国特許第5,874,069号,米国特許第6,051,216、及び米国特許第5,981,680号公報に記載されているものである。
【0062】
最も好ましい実施態様において、本発明の組成物において使用されるポリシロキサンに基づくポリアミドは、Dow Corning製のDC 2−8179(商標)である。
【0063】
本発明の一つの実施態様において、ポリシロキサンに基づくポリアミドは、組成物の合計重量に対して1〜10重量%,より好ましくは1〜8重量%,より好ましくは1〜4重量%、最も好ましくは1〜2重量%で存在する。
【0064】
MQ樹脂ポリマー
「MQ」の各文字は、タイプの異なる単位を表す。
【0065】
文字Mは、モノ官能性単位(CHSiO1/2を表す。この単位は、モノ官能性であると考えられる、なぜならケイ素原子は、該単位がポリマーの一部であるとき、一つの酸素を共有しているだけだからである。
【0066】
同様に、記号Qは、4官能性単位、SiO4/2を意味し、ここで、ケイ素原子に結合された4つの酸素すべてが、ポリマーの残部に結合されている。
【0067】
すなわち、本発明に従ってより特に考慮されるMQ単位は、以下の式により表されるシロキシシリケートにより表され得る。
[(RR’R’’)SiO1/2[SiO4/2
ここでR,R’及びR’’は、それぞれ独立してC1〜10直鎖又は分岐鎖のアルキル又はフェニルであり、x及びyは、(RR’R’’)SiO1/2単位:SiO単位の比が0.5〜1:1.5〜1であるような値である。
【0068】
一つの実施態様において、R,R’及びR’’は、それぞれC1〜6のアルキル、より好ましくはメチルであり、x及びyは、(CHSiO1/2単位:SiO4/2単位の比が約0.75〜1であるようなものである。
【0069】
別の実施態様において、このシロキシシリケートは、2.4〜2.9重量%のヒドロキシル基を含む粉末の形態であってもよく、又はなくてもよいところのトリメチルシロキシシリケートであり、それはケイ酸のナトリウム塩、塩化トリメチルシラン、及びイソプロピルアルコールの反応により形成される。
【0070】
トリメチルシロキシシリケートの製造は、米国特許第2,676,182号公報;米国特許第3,541,205公報;及び米国特許第3,836,437号公報に記載されている。
【0071】
記載されているトリメチルシロキシシリケートは、Dow Corning社から2−0749及び2−0747の商品番号で入手可能であり、それは約40〜60%の揮発性シリコーン及び40〜60%のトリメチルシロキシシリケートの混合物である。特にDow Corning 2−0749は、約50%のトリメチルシロキシシリケート及び約50%のシクロメチコーンを含む流動物である。
【0072】
本発明に従うトリメチルシロキシシリケートもまたDow Corning社から2−817)の商品名で入手可能であり、トリメチルシロキシシリケート(TMS)はさらにGeneral Electric社からSR1000の商品名で、Wacker社からTMS 803の商品名で入手可能である。
【0073】
本発明に従うと、TMSは、100%活性物質の形で、すなわち、溶媒中ではなく使用され得ることに留意されたい。
【0074】
MQ樹脂ポリマーは、揮発性担体が蒸発した後にフィルムを形成し得る。MQ樹脂は、室温において一般的に硬く、もろい。用途に応じて、可塑剤が添加され得、より柔軟な、すなわちより快適なフィルムを得るのを助ける。
【0075】
有利に、MQ樹脂ポリマーは、組成物の合計重量に対して1〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、より好ましくは2〜4重量%、最も好ましくは2〜3重量%の範囲の量で存在し得る。
【0076】
本発明に従う組成物において、MQ樹脂ポリマーの重量:ポリシロキサンに基づくポリアミドの重量の比は、1より大きい、及び/又は10未満であり,より特に1〜10,好ましくは1〜4,より好ましくは1〜2,より好ましくは1.2〜1.8,最も好ましくは1.4〜1.6の範囲であり得る。
【0077】
着色された無機顔料を包み囲む粒状物質
「無機物質を包み囲む」により、顔料が粒状物質の中に存在していることが意味される。従って、本発明のコンポジット粒子は、その表面に顔料の1の層又は複数の層により被覆されている、又はコーティングされている粒子を意味しない。本発明のコンポジット粒状物質において、無機顔料は粒状物質の内部において十分にかつ均一に分散されていなければならない。内部の顔料の物質及び百分率の適切な選択は、光学的性質の良好な妥協を有することを可能にする。このタイプのコンポジット物質の利点は、顔料と水又はオイル間の相互作用がないことである。従って、メイクアップ組成物の施与後に色の変化がなく、汗又は皮脂が組成物を濡らしはじめたとき、衰える効果がない。
【0078】
この種のコンポジット物質を得る方法は例えば、無機物に基づくコンポジット物質の場合、特許第2591946号(住友化学)、特許第2861806号(NSG)、特開平08−239310号(NSG)、特開平06−47273号(鈴木油脂)、及びシリコーンエラストマーに基づく粒子の場合、特開2001−354776(信越)によく記載されている。
【0079】
「着色された無機顔料」により、化粧料において、皮膚の色を補助するために慣用的に使用される金属酸化物顔料が意味される。これらの顔料の色は、赤、黄色、青、緑、紫、茶、又は黒であり得る。典型的な例は酸化鉄、群青、紺青、第二鉄青、マンガン紫、酸化クロムを含む。金属酸化物の混合物を含む、混合された顔料、又は錯体顔料、例えば混合されたチタン−鉄酸化物をもまた含む。これらの顔料は、0.1〜1.5μmの一次粒子サイズを有し得る。より小さい及びより高次の粒子サイズは、隠ぺい力に関して十分ではない。
【0080】
ベース物質は有機又は無機であることができる。有機物質は、セルロースに基づくポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、アクリルポリマー、ポリウレタンに基づくポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレンを含む。無機物質は、ガラス、二酸化ケイ素、又はケイ素に基づくコンポジット酸化物を含む。
【0081】
特定の実施態様に従うと、着色された顔料を包み囲む粒状物質は、セルロースに基づくポリマー又はシリカに基づく物質からなっていてもよい。
【0082】
粒状物質の形状に関して制限はなく、球、フレーク、棒、又は針を含む。粒状物質は多孔質又は非多孔質であることができる。
【0083】
粒状物質は、1〜20μmの体積平均粒子サイズを有し得る。より小さい粒子サイズの場合、物質の中に顔料を導入し、均一に分散させることは非常に困難であろう。より大きい粒子サイズの場合、施与の間の使用感及び施与後の光学的性質が低下し得る。より大きい着色された粒子サイズは、高い前方散乱を有し、従って配合物にほとんど被覆力をもたらさない。体積平均粒子サイズは、空気中で、又はエタノール媒体中で、粉末レーザー粒度計で測定されることができる。市販の装置が、Malvern Instrument,Horiba社又はCoulter社から入手可能である。
【0084】
有利に、粒状物質は、皮膚上への施与の後の透明性を高めるために、1.8より低い、好ましくは1.6より低い屈折指数を有し得る。実際には、これらの物質の透明性は、配合物中に存在するオイルにより濡らされたとき、高くなる傾向がある。
【0085】
粒状物質の中の無機顔料の百分率は、3〜60重量%の範囲であるべきである。もし百分率がより低いと、粒状物質は十分な隠蔽力を与えない可能性がある。もし百分率がより高いと、粒状物質を含む組成物の上に施与された第二の組成物が、密着性、色及びマット性の持続効果が下げられる可能性がある。
【0086】
粒状物質は、着色された無機顔料の1つのタイプ、着色された無機顔料の混合物又は白色及び着色された無機顔料の混合物を含み得る。
【0087】
白色無機顔料により、化粧料用途において慣用的に使用される白色の金属酸化物顔料であって表面処理されていてもよい顔料が意味される。典型的な例は酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム又は酸化ジルコニウムである。これらの顔料は、0.1〜1.5μmの一次粒子サイズを有し得る。より小さい、及びより高い粒子サイズは、隠ぺい力の点で十分ではない可能性がある。
【0088】
市販入手可能な着色された無機顔料を包み囲む粒状物質の例は、Ganz Chemicalから入手可能なポリメチルメタクリレートに基づく製品(Ganzpearl(商標))、Daitoから入手可能なセルロースに基づく製品(Cellulobeads(商標))、ミヨシから入手可能な多孔質シリカに基づく製品(PC Ball(商標))を含む。
【0089】
一つの実施態様において、無機顔料を包み囲む着色された粒状物質は、組成物の合計重量に対して1〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%、より好ましくは7〜11重量%、より好ましくは7〜9重量%、そして最も好ましくは7.5〜8.5重量%の量で存在し得る。
【0090】
本発明の別の実施態様において、無機顔料を包み囲む着色された粒状物質の重量は、ポリシロキサンに基づくポリアミドの重量より高くてもよい。
【0091】
本発明の別の好ましい実施態様において、無機顔料を包み囲む着色された粒状物質の重量は、MQ樹脂ポリマーの重量より大きくてもよい。
【0092】
本発明に従う組成物において、無機顔料を包み囲む着色された粒状物質の重量は、ケラチン物質上への施与中に、つけるのに快適であり、粘着性でありすぎず、皮膚に良好な密着性を提供し、上に施与された第二の組成物の耐久密着性、マット性、及び色を高める組成物を得るために、MQ樹脂ポリマー及びポリシロキサンに基づくポリアミドの量に従って調節され得る。
【0093】
別の実施態様に従うと、上記の性質すべてを得るために、特に以下において開示されるフィラーが本発明に従う組成物に添加され得る。
【0094】
すなわち無機顔料を包み囲む着色された粒状物質の重量は、ポリシロキサンに基づくポリアミド及びMQ樹脂ポリマー両方の重量より大きい。
【0095】
その上、本発明に従う組成物は、慣用の着色物質、例えば以下において開示されるものをもまた含み得る。
【0096】
フィラー
組成物は、当業者に周知であるフィラー、及び化粧料組成物において一般的に使用されるフィラーから選択され得るフィラーを含み得る。
【0097】
フィラーは、鉱物又は有機物、及びラメラ又は球状であってもよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン粉末(Oragasol(商標)、Atochem社)、ポリ−β−アラニン粉末、ポリエチレン粉末、Teflon(商標)ラウロイルリジン、澱粉、窒化ホウ素、テトラフロロエチレンポリマーパウダー、空洞の微小球例えばExpancel(商標)(Nobel Industrie社)、ポリトラップ(商標)(Dow Corning)、シリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば東芝製Tospearls(商標))、沈殿された炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、空洞シリカ微小球(Maprecos製のシリカビーズ(商標))、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル、8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムが挙げられうる。
【0098】
ケラチン物質上への施与中に、つけるのに快適であり、粘着性でありすぎず、皮膚に良好な密着性を付与し、上に施与された第二の組成物の耐久密着性、マット性、及び色を高める組成物を得るために、フィラーの量、例えば無機顔料を包み囲む着色された粒状物質の量は、MQ樹脂ポリマー及びポリシロキサンに基づくポリアミドの量に従って調節され得る。
【0099】
例えば、フィラーの量は、組成物の合計重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは8〜12%,そして最も好ましくは約10重量%の範囲であり得る。
【0100】
前述されたように、本発明に従う組成物は、「ベースコート」と呼ばれるメイクアップベース組成物、すなわち、少なくとも部分的に第二の異なる組成物、該第二の組成物は「トップコート」と呼ばれ、該「トップコート」はメイクアップ効果を付与することにより特に向けられていてもよい、によりコーティングされることが意図されている組成物として特に有用であり得る。
【0101】
言うまでも無く、両方の組成物は化学的又は皮膚科学的に許容されえなければならない。すなわち非毒性の生理学的に許容される媒体を含まなければならず、ヒトの皮膚及び口唇に施与されることができなければならない。本発明の目的のために、表現「化粧的に許容される」は、気持ちのよい外観、香り、感触/味の組成物を意味する。
【0102】
生理学的に許容される媒体
脂肪相
本発明に従う組成物は、液状脂肪相を含み得る。これらの脂肪相は、固体及び/又は液状脂肪物質に基づき得る。
【0103】
液状脂肪相の例として、本発明に従う組成物は揮発性オイルを含み得る。
用語「揮発性」とは、1時間未満内に皮膚から蒸発できる任意の媒体である。この揮発性相は室温及び大気圧において、10−2〜300mmHg(1.33Pa〜40000Pa)の範囲の蒸気圧を有するオイルを特に含む。
【0104】
これらの揮発性オイルは、炭化水素をベースとするオイル又は場合によってアルキル又はアルコキシ基をシリコーン鎖の末端に、又は鎖のペンダントに含んでいてもよいシリコーンオイルであることができる。
【0105】
本発明において使用され得る揮発性オイルとして、2〜7の珪素原子を含む直鎖又は環状シリコーン(これらのシリコーンは1〜10の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシ基を任意的に含んでいてもよい)が挙げられる。特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン及びヘプタメチルオクチルトリシロキサンが挙げられ得る。
【0106】
挙げられ得る揮発性の炭化水素に基づくオイルは、C〜C16のイソパラフィン例えばイソオクタン、イソドデカン、イソデカン、ヘプタン、イソヘキサデカン、及び/又はそれらの混合物である。
【0107】
脂肪相の他の例として、本発明に従う組成物は、非揮発性の炭化水素に基づく/シリコーン及び/又はフルオロオイルから選択された少なくとも1の非揮発性のオイルをもまた特に含み得る。
【0108】
特に挙げられ得る非揮発性の炭化水素をベースとするオイルは以下である:
炭化水素をベースとする植物オイル、例えば脂肪酸エステル及びグリセロールからなるトリグリセリド、ここで該脂肪酸はC〜C24の範囲の鎖の長さを有し得、これらの鎖は直鎖又は分岐状である可能性があり、そして飽和又は不飽和であってもよい;これらのオイルは特に小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ種油、トウモロコシ油、アプリコット油、ひまし油、カリテ油、アボガド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシの実油、かぼちゃ油、髄油(marrow oil)、黒スグリ油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイナッツ油、パッションフラワー油、及びジャコウバラ油;又はカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されるもの、またはDynamit Nobel社によりMiglyol810(商標)、812(商標)、及び818(商標)の名前の下に販売されるもの、
10〜40の炭素原子を含む合成エーテル、
鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐状の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン例えばパーレアム、及びスクワラン、及びそれらの混合物、
合成エステル、例えば式RCOORのオイル、ここでRは1〜40の炭素原子を含む直鎖又は分岐の脂肪酸残基を表し、Rは、特に1〜40の炭素原子を含む分岐状炭化水素鎖を表す、ただしR+Rは10より大であり、例えばプルセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸のC12〜C15のアルキルエステル、ラウリル酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、オクタン酸、デカン酸、又はリシノール酸のアルコール又はポリアルコールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール;水素化されたエステル、例えば乳酸イソステアリル及びリンゴ酸ジイソステアリル及びペンタエリスリトールエステル、
12〜26の炭素原子を含む分岐状及び/又は不飽和の炭素鎖を有する、室温において液状であるところの脂肪族アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール又は2−ウンデシルペンタデカノール、
高級脂肪酸例えばオレイン酸、リノール酸、又はリノレン酸;
及びそれらの混合物。
【0109】
本発明に従う組成物において使用され得るところの非揮発性シリコーンオイルは、非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキル又はアルコキシ基(該基はペンダント状であるか、又はシリコーン鎖の末端にあり、これらの基はそれぞれ2〜24の炭素原子を含む)を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートである。
【0110】
本発明の組成物において使用され得るフルオロオイルは特に、欧州特許出願公開第847752号に記載されているフルオロシリコーンオイル、フルオロポリエーテル、及びフルオロシリコーンである。
【0111】
固体脂肪層の例として、本発明に従う組成物はワックスを含み得る。
【0112】
実際には、棒の形状への構造化を改善するために、1以上のワックスが使用されることができる。もっともこの硬い形状はワックスの不存在下で得られることもできる。本発明の目的のために、ワックスは室温(25℃)及び大気圧(760mmHg,すなわち101KPa)において固体である親油性脂肪化合物であり、可逆的な固体/液体の状態変化を起こし、40℃より高い融点、さらに例えば55℃より高く、200℃までである融点を有し、固体状態において異方性のある結晶組織を有する。結晶のサイズは、結晶が光を回折させて、及び/又は散乱させて、組成物に曇った、多かれ少なかれ不透明な外観を与えるようなサイズである。ワックスをその融点に至らせることにより、オイルと混和性にし、微視的に均一な混合物を形成することが可能であるが、混合物の温度を室温に戻すことにより、混合物のオイル中でワックスの再結晶が得られる。混合物の光沢の減少の原因は、混合物中のこの再結晶である。すなわち、組成物は有利にほとんど、又は全くワックスを含まず、特に5%未満のワックスを含む。
【0113】
本発明の目的のために、ワックスは化粧料及び皮膚科学において一般的に使用されるものである。例えば天然起源のワックスであり、例えば蜜蝋、カルナウバ蝋、キャンデリラワックス、オウリキュリワックス、木蝋、コルクファイバー蝋、サトウキビワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、モンタン蝋、オゾケライト、及び水素化されたオイル、例えば水素化されたホホバ油、並びに合成起源のワックス、例えばエチレンの重合化から得られたポリエチレンワックス、Fischer−Tropsch合成により得られるワックス、40℃、例えば55℃より上において固体である脂肪酸エステル及びグリセリド、シリコーンワックス、例えば40℃、例えば55℃より上において固体であるアルキル及びアルコキシポリ(ジ)メチルシロキサン及び/又はポリ(ジ)メチル−シロキサンエステルである。
【0114】
本発明に従って、融点の値は5又は10℃/分の温度上昇で「示差走査熱測定」法により測定された融解するピークに相当する。
【0115】
組成物において使用され得る脂肪相のさらなる例として、エモリエントが挙げられ得る。
【0116】
本発明の組成物において使用され得るエモリエント及び/又は湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール、及び「国際化粧料成分の辞書及びハンドブック」、第4巻、(第9版、2002年)に開示されているエモリエント及び他の類似の成分、より特に2930〜2936ページに開示されているエモリエントを含む。
【0117】
水性相
本発明に従う組成物は水を含む水性相を含み得る。水は、植物性の水、例えばコーンフラワー水及び/又はミネラルウォーター、例えばVITTEL水、LUCAS水、又はLA ROCHE POSAY水及び/又は温泉水であり得る。
【0118】
水性相は、水以外の溶媒をもまた含み得、例えば一級アルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、グリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリコールエーテル、例えばモノ、ジ、又はトリプロピレングリコールの(C〜C)アルキルエーテル、モノ、ジ、又はトリエチレングリコール、及びそれらの混合物をもまた含み得る。
【0119】
水性相は、さらに安定化剤、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを含み得る。
【0120】
可塑剤
得られる配合物の柔軟性及び化粧料の性質を改善するために、可塑剤もまた組成物に添加され得る。可塑剤は、合成ポリマーを柔らかくする物質である。可塑剤は、フィルム形成体の脆さ、及びクラッキングを避けるために、しばしば必要とされる。当業者は、所望される性質及び想定される用途に基づいて、所望される可塑剤の量を日常的に変化させてもよい。本発明の実施において有用である可塑剤は、レシチン、ポリソルベート、ジメチコーンコポリオール、グリコール、クエン酸エステル、グリセリン、ジメチコーン、及び「国際化粧料成分の辞書及びハンドブック」、第4巻、(第9版、2002年)、他の類似する成分、より詳細には、2927ページに開示されている可塑剤を含む。
【0121】
界面活性剤
本発明の組成物は、想定される用途の分野において通常使用される配合所剤をさらに含み得る。本発明において使用される配合所剤は、界面活性剤であり得るが、それに限定されない。有用な界面活性剤は油中水系用の有機及び有機シリコーン乳化剤を含むが、それに限定されない。有機乳化剤の例は、先行技術において公知であるエトキシ化された界面活性剤、例えばPolysorbate−20,Laureth−7,Laureth−4,SEPPICから入手可能なSepigel(商標)305、及び「国際化粧料成分の辞書及びハンドブック」、第4巻、(第9版、2002年)に開示されている他の類似する成分、より詳細には、2962〜2971に開示されている乳化剤を含む。有機シリコーン乳化剤は、Goldschmidt Chemical社から入手可能なセチルジメチコーンコポリオールポリグリセリル−4−イソステアレート−ヘキシルラウレート(ABIL(商標)WE 09)セチルジメチコーンコポリオール(ABIL(商標)EM90),(ABIL(商標)EM97),ラウリルメチコーンコポリオール(5200),シクロメチコーン(及び)GEシリコーン社から入手可能なジメチコーンコポリオール(DC 5225 C及びDC3225 C)、シクロペンタシロキサン&ジメチコーンコポリオール(GE SF 1528)又は当業者に公知である任意の他の配合物を含む。
【0122】
本発明に従う組成物は、そのような組成物において一般的に使用される任意の添加剤、例えば増粘剤、保存剤、香料、遊離基捕捉剤、モイスチャライザー、ビタミン、タンパク質、封鎖剤、セラミド、酸性化又は塩基性化剤をもまた含み得る。
【0123】
本発明に従う組成物は活性物質、例えばサンスクリーン及び顔料をもまた含み得る。
【0124】
活性物質
サンスクリーン
一つの実施態様において、本発明に従う組成物はサンスクリーンを含み得る。
【0125】
別の実施態様において、本発明に従う組成物は、本発明に従う製品がキットであるとき、すなわちトップコート及び/又はベースコートはサンスクリーンを含み得る。本発明に従う製品がキットである場合の一つの好ましい実施態様において、サンスクリーンは好ましくはトップコートに含まれる。
【0126】
ある実施態様において、1以上のサンスクリーンと組み合わせたときのポリシロキサンに基づくポリアミドの組合せが組成物の総SPF値を、ポリシロキサンに基づくポリアミドなしの組成物に対してかなり顕著に改善し得る。
【0127】
サンスクリーンは無機のナノ粒子又は有機化合物であり得る。一つの実施態様において、ナノ粒子は、基本的に金属酸化物からなる無機化合物である。適する金属酸化物は、1以上の酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化セリウム銅、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、二酸化チタン、及びそれらの混合物を特に含む。また別の実施態様において、二酸化チタン酸化亜鉛が使用される。理論に制限されずに、ほとんどの場合、金属酸化物のナノ粒子は、紫外光を分散させることにより太陽からの保護の利益を付与する。1つのナノ粒子の基本サイズは、典型的には1μm未満であり、例えば約100nm〜約500nm、例えば約200nm〜約350nmである。
【0128】
化学的な吸収剤である、本発明に従うサンスクリーンは、実際に有害な紫外線を吸収する。化学吸収剤は、それらが保護するところの放射線のタイプに依存してUV−A又はUV−B吸収剤のいずれかとして分類されることは周知である。UV−A吸収剤は、一般的にUVスペクトルの320〜400nmの領域の放射線を吸収する。UV−A吸収剤はアントラニレート、ベンゾフェノン、及びジベンゾイルメタンを含む。UV−B吸収剤は、一般的にUVスペクトルの280〜320nmの領域の放射線を吸収する。UV−B吸収剤は、p−アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、シンナメート、及びサリチレートを含む。
【0129】
化学吸収剤を一般的にUV−A又はUV−B吸収剤として分類することは、産業界において受け入れられている。しかし、より正確な分類は、サンスクリーンの化学的性質に基づく分類である。N.Shaathら著の「サンスクリーン、開発、評価、及び規制の概観(Evaluation and Regulatory Aspects)」、第2版、269〜273ページ,Marcel Dekker社(1997年)に、詳しく議論されているところの、サンスクリーンの化学的性質の8つの主な分類がある。
【0130】
本発明に従って配合され得るサンスクリーンは、典型的に化学吸収剤を含むが、物理的なブロックをもまた含み得る。本発明の組成物に配合され得る例示的なサンスクリーンは、化学吸収剤、例えばp−アミノ安息香酸誘導体,アントラニレート,ベンゾフェノン、カンファー誘導体、桂皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン、ジフェニルアクリレート誘導体、サリチル酸誘導体、トリアジン誘導体、ベンズイミダゾール化合物、ビスベンゾアゾリル誘導体、メチレンビス−(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物,サンスクリーンポリマー及びシリコーン、又はそれらの混合物である。これらは特に、米国特許第2,463,264号、米国特許第4,367,390号,米国特許第5,166,355号及び米国特許第5,237,071号及び欧州特許出願公開第0,863,145号,欧州特許出願公開第0,517,104号,欧州特許出願公開第0,570,838号,欧州特許出願公開第0,796,851号,欧州特許出願公開第0,775,698号,欧州特許出願公開第0,878,469号,欧州特許出願公開第0,933,376号,欧州特許出願公開第0,893,119号,欧州特許出願公開第0,669,323号,英国特許第2,303,549号,独国特許第1,972,184号及び国際公開第93/04665号において種々に記載されている。
【0131】
広い範囲のサンスクリーンが、1992年2月11日にHaffeyらに発行された米国特許第5,087,445号、1991年12月17日にTurnerらに発行された米国特許第5,073,372号、及びSegarinら著「化粧料及び科学及び技術」の第VIII章の189ページ及びその続編(1957年)に記載されている。
【0132】
本発明の組成物に配合され得るサンスクリーンの非制限的な例は、以下から選択されるものを含む:アミノ安息香酸、アミルジメチルPABA、シノキセート(cinoxate)、ジエタノールアミンp−メトキシ桂皮酸エステル、ジガロイルトリオレート、ジオキシベンゾン、p−メトキシ桂皮酸2−エトキシエチル、4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノ安息香酸エチル,2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート,p−桂皮酸エチルヘキシル,サリチル酸2−エチルヘキシル,アミノ安息香酸グリセリル,サリチル酸ホモメンチル,ホモサレート,3−イミダゾール−4−イルアクリル酸及びエチルエステル,メチルアントラニレート,オクチルジメチルPABA,2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸及び塩、赤色ワセリン(red petrolatum),スルイソベンゾン(sulisobenzone),二酸化チタン,サリチル酸トリエタノールアミン,N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボロニ−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート,及びそれらの混合物。
【0133】
UV−A及び/又はUV−Bの範囲で活性な酸スクリーンは以下をもまた含むことができる。
p−アミノ安息香酸,
p−アミノ安息香酸オキシエチレン(25mol),
p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル,
N−オキシプロピレンp−アミノ安息香酸エチル,
p−アミノ安息香酸グリセロール,
サリチル酸4−イソプロピルベンジル,
4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル,
ジイソプロピル桂皮酸メチル,
4−メトキシ桂皮酸イソアミル,
4−メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン,
3−(4’−トリメチルアムニウム)−ベンジリデン−ボラナノ−2−オンメチルサルフェート,
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホネート,
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン,
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン,
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン,
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン,
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン,
(2−オキソボロニ−3−イリデン)−トリル−4−スルホン酸及びその可溶な塩,
3−(4’−スルホ)ベンジリデン−ボラナノ−2−オン及びその可溶な塩,
3−(4’メチルベンジリデン)−d,l−カンファー,
3−ベンジリデン−d,l−カンファー,
ベンゼン1,4−ジ(3−メチリデン−10−カンファースルホン)酸及びその塩
(1986年4月29日にLangeらに発行された米国特許第4,585,597号に記載された製品Mexoryl SX)
ウロカニン酸、
2,4,6−トリス[p−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)−アニリノ]−1,3,5−トリアジン,
2−[(p−(tertブチルアミド)アニリノ)−4,6−ビス−[(p−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)アニリノ)−1,3,5−トリアジン,
2,4−ビス{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)]−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジン(Cibaにより販売されている「TINOSORB S」),
N−(2及び4)−[(2−オキソボルニ−3−イリデン)メチル]ベンジル]−アクリルアミドのポリマー,
1,4−ビスベンズイミダゾリル−フェニレン−3,3’,5,5’−テトラスルホン酸及びその塩、
ベンザールマロネート置換されたポリオルガノシロキサン,
ベンゾトリアゾール置換されたポリオルガノシロキサン(ドロメトリゾールトリシロキサン),
分散された2,2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、例えばFairmount ChemicalによりMIXXIM BB/100の商標で市販されているもの、又はその分散された形でマイクロ化されているものであって例えばCiba−GeigyによりTINOSORB Mの商標で販売されているもの、及び
溶解された2,2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(メチル)フェノール]、例えばFairmount ChemicalによりM IXXIM BB/200の商標名で販売されているもの。
【0134】
典型的に、これらのサンスクリーンの1以上の組み合わせが使用される。
【0135】
アボベンゾン以外のジベンゾイルメタン誘導体が例えば仏国特許出願公開第2,326,405号,仏国特許出願公開第2,440,933号及び欧州特許出願公開第0,114,607号に記載されており、これらを参照することにより本明細書に明示的に取り込まれる。
【0136】
アボベンゾン以外の他のジベンゾイルメタンのサンスクリーンは(単独で又は任意の組み合わせにおいて)
2−メチルジベンゾイルメタン
4−メチルジベンゾイルメタン
4−イソプロピルジベンゾイルメタン
4−tert−ブチルジベンゾイルメタン
2,4−ジメチルジベンゾイルメタン
2,5−ジメチルジベンゾイルメタン
4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン
4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン
2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
2−メチル−5−tert.−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
2,6−ジメチル−4−tert.−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
を含む。
【0137】
使用されることができる追加のサンスクリーンは、「国際化粧料成分の辞書及びハンドブック」、(第9版、2002年)の2954〜2955ページに記載されている。
【0138】
サンスクリーンは、組成物の合計重量に対して0.1〜30重量%、好ましくは組成物の合計重量に対して0.2〜15重量%で存在し得る。本発明の組成物は、25以上45未満のSPFを有し得る。
【0139】
慣用の着色物質
本発明に従う製品がキットであるとき、トップコート組成物は、慣用の着色物質をもまた含み得る。
【0140】
さらに、一つの実施態様において、トップコート組成物は、いくつかの動的なメイクアップ効果を付与し得る慣用の着色物質を含み得る。
【0141】
非制限的な方法で、トップコート組成物は顔料、水溶性の着色物質、脂溶性の着色された物質、ゴニオクロマチック着色物質、真珠層及びそれらの混合物を含み得る。
【0142】
顔料の例として、着色された無機顔料を包み囲む粒状物質についての段落において記載された「着色された無機顔料」が挙げられ得る。
【0143】
脂溶性の着色された物質の例として、非制限的な方法で、スーダンレッド、DCレッド17,DCグリーン6,β−カロテン,大豆油,DCイエロー11,DCオレンジ5,及びキノリンイエローが挙げられ得る。
【0144】
ゴニオクロマチック着色剤の例として、干渉する多層構造及び液晶液体着色剤が挙げられ得る。
【0145】
例えば非制限的な方法で、干渉する多層構造は以下の非制限的なリスト:Dupont de Nemours社製のAl/SiO/Al/SiO/Al、Flex及びChromaflair製のCr/MgF/Al/MgF/Cr、Sicopearl及びBASF製のMoS/SiO/Al/SiO/MoS,Fe/SiO/Al/SiO/Fe,Fe/SiO/Fe/SiO/Feから選択され得る。
【0146】
液晶着色剤は、例えば非制限的な方法でWacker社製のHelicone(商標)HCであり得る。
【0147】
真珠層の例として、非制限的な方法で酸化チタン、酸化鉄、又は塩化オキシビスマスが挙げられ得る。
【0148】
本発明の別の実施態様において、本発明に従う製品がキットであるとき、トップコート組成物はフィラー、特に上記のフィラーを含み得る。
【0149】
上記のように、本発明は、本明細書に記載された1以上の組成物を含む消費者の使用に適するキット及び/又はプレ包装された物質もまた考えている。
【0150】
本発明の課題のための包装及び施与装置は、当業者により、当業者の常識に基づいて選択され得、製造され得、包装されるべき組成物の性質に従って適合され得る。実際、使用されるべき装置のタイプは特に組成物の粘凋性、特にその粘度にリンクされることができ、組成物中に存在する成分の性質、例えば揮発性化合物の存在にもまた依存することができる。
【0151】
特に、キットは、上で定義された本発明に従う化粧料組成物、及びトップコート組成物として、第一の組成物とは異なる第二の組成物を含み得、該第二の組成物は少なくとも1の生理学的に許容される媒体を含む。
【0152】
本発明の組成物は、いかなる形態であってもよい。例えばペースト、固体、ゲル、又はクリームであり得る。それはエマルジョン、例えば水中油又は油中水エマルジョン、マルチエマルジョン、例えば油中水中油エマルジョン又は水中油中水、又は固体の、硬い又は柔軟なゲル、例えば無水のゲルであり得る。組成物は半透明の無水のゲル、及び透明な無水のゲルから選択された形態であることもまたできる。本発明の組成物は、例えば外部の又は連続する脂肪相を含み得る。組成物は無水であってもよい。
【0153】
別の実施態様において、本発明の組成物は、半透明であり得、それは可視光の一部のみがそのような組成物の所与の厚さの層を通り抜け得ることを意味する。半透明組成物は、例えば顔料なしの組成物を含む。組成物は、モールド成形された組成物又は棒又は皿としてキャスト成形された組成物であることもできる。一つの実施態様の組成物は固体、例えば型成形された棒又は注型された棒である。本発明の組成物は口唇の組成物の形、例えば口紅又は液状口唇カラー、ファンデーション又はマスカラの形態でもあり得、それらは優れた、かつ改善された耐移動性、柔軟性、しなやかさ、密着性、及びべたつきの無さを示し、上に施与されることのできる第二の組成物の耐久密着性を提供する。
【0154】
以下の非制限的かつ比較の例が、発明を説明するために与えられる。すべての組成物は重量百分率で書かれている。
【実施例】
【0155】
【表1】

【0156】
プロトコル
相A3、相A1のシクロメチコーンの一部がトリシリンダーを3回通過された。
相Bは、すべての成分を60℃の水の中で溶解し、得られた混合物は次に室温まで冷却されて、調製された。
相A1は、主ビーカーに注がれ、次にMoritzホモジェナイザーで約60℃において完全に溶解された。次に相A1は室温に冷却され、相A2が添加され、続いて1時間の2000〜2500rpmにおける分散が行われた。
相A3が次に前述の混合物に添加され、続いてホモジェナイザーによる2000〜2500rpmにおける3分間の分散が行われた。
相A4
相A5
次に相Bが添加され、混合物は次に5〜8分間、2500rpmにおけるMoritzのホモジェナイザーにより乳化された。
【0157】
試験結果
メイクアップベース及びランコムマキケーキUVフォーエバー粉末ファンデーションの組み合わせによりチェックされた耐久性能
【0158】
試験装置
ほほ紅の色が、分散光及び3CCD日立、HV−C20カラーカメラを装備されたクロマスフィアで、様々な時間後に試験された。
マット性及び輝きは偏向カメラでチェックされた。
【0159】
パネルの数
18名
【0160】
試験
メイクアップベース(実施例1〜4)の上に粉末ファンデーションを施与し、マット効果及び色の変化を施与から15分後にチェックする。同じデータを4時間後にチェックする。
【0161】
結果
マット効果
++++:25%超の輝きの減少
+++:20%超の輝きの減少
マットの持続効果
++++:15分及び4時間の間に10%未満の変化
+++:15分及び4時間の間に20%未満の変化
色の持続効果:
++++:15分及び4時間の間に10%未満の変化
+++:15分及び4時間の間に20%未満の変化
【0162】
【表2】

表2から、本発明の組成物のみが、すべての期待される性質を示すことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に少なくとも、
無機顔料を包み囲む1つの着色された粒状物質、
ポリシロキサンに基づくポリアミド、及び
少なくとも1つのMQ樹脂ポリマー
を含む化粧料組成物。
【請求項2】
前記ポリシロキサンに基づくポリアミドが、下記式(I)又は(II)により表されるところの、請求項1に記載の化粧料組成物。

ここで
1)R,R,R及びRは、同じであるか又は異なっていてもよく、
直鎖、分岐状、又は環状の、飽和又は不飽和のC〜C40の炭化水素に基づく基、
〜C10のアリール基、
ポリオルガノシロキサン鎖、
から選択された基を表す、
2)基Xは、同じであるか又は異なっていてもよく、直鎖又は分岐状のC〜C30のアルキレンジイル基を表す、
3)Yは飽和又は不飽和の、C〜C50の直鎖又は分岐状の2価のアルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレン基であるか、又は下記式に対応する基を表す、

ここで
Tは、直鎖又は分岐状の、飽和又は不飽和のC〜C24の3価又は4価の炭化水素に基づく基、又はN,P及びAlから選択された3価の原子を表す、かつ
は直鎖又は分岐状のC〜C50アルキル基、又はポリオルガノシロキサン鎖を表し、該基又は鎖はポリマーの別の鎖に結合されていてもよい、
4)nは2〜500の範囲の整数であり、mは1〜35,000の範囲の整数である。
【請求項3】
Xは、3〜10の炭素原子を含む直鎖又は分岐状のアルキレン鎖である、
Yは、1〜20の炭素原子含む直鎖又は分岐状のアルキレン鎖である、
mは、15〜500の範囲の整数である、及び
nは、1〜100の範囲の整数である
ところの、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
MQ樹脂ポリマーが以下の式により表されるところの、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物、
[(RR’R’’)SiO1/2[SiO4/2
ここでR,R’及びR’’はそれぞれ独立してC1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はフェニルである。
【請求項5】
1〜20μmの体積平均粒子サイズをする、無機顔料を含む着色された粒状物質1〜20重量%を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
MQ樹脂ポリマーの重量:ポリシロキサンに基づくポリアミドの重量の比が1より大きいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
MQ樹脂ポリマーの重量:ポリシロキサンに基づくポリアミドの重量の比が10未満であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
MQ樹脂ポリマーの重量:ポリシロキサンに基づくポリアミドの重量の比が1〜4の範囲であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
ポリシロキサンに基づくポリアミドが組成物の合計重量に対して1〜10重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
MQ樹脂ポリマーが組成物の合計重量に対して1〜10重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記の、無機顔料を包み囲む着色された粒状物質の重量が、ポリシロキサンに基づくポリアミドの重量より大きいところの、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記の、無機顔料を包み囲む着色された粒状物質の重量がMQ樹脂ポリマーの重量より大きいところの、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
さらに少なくとも1のフィラーを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
エマルジョンの形態であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のメイクアップベース組成物。
【請求項16】
第一の組成物として、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化粧料組成物、及び第一の組成物とは異なる、トップコート組成物としての第二の組成物を含み、前記第二の組成物は生理学的に許容される媒体を含むところのキット。
【請求項17】
上に施与される第二の異なる化粧料組成物のより良い耐久密着性を提供するために、メイクアップベースとして請求項1〜15のいずれか1項に記載の化粧料組成物の少なくとも1の層を皮膚又は口唇に施与することを含む化粧方法。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の化粧料組成物の少なくとも1の層を皮膚又は口唇へ施与することを含む、皮膚又は口唇をメイクアップするための化粧方法。
【請求項19】
皮膚又は口唇をメイクアップするための化粧法方法において、皮膚又は口唇に請求項1〜15のいずれか1項に記載の化粧料組成物の少なくとも1の層を施与し、次に前記層の少なくとも一部に、少なくとも生理学的に許容される媒体を含む、上記のものとは異なる第二の化粧料組成物の少なくとも1の層を施与することを含む化粧方法。

【公開番号】特開2008−156242(P2008−156242A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−343830(P2006−343830)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】