説明

無洗米加工装置

【課題】 無洗米の大量加工が可能で、衛生的で実用的な無洗米加工装置等を提供する。
【解決手段】 精白米と接触して精白米の表面に付着した物を吸着しながら、所定の方向に移動するシート状吸着手段400と、精白米をシート状吸着手段に擦りつけながら搬送する搬送手段と、搬送手段内の精白米に振動を加えて精白米を搬送手段内で対流させる振動手段200とを備える無洗米加工装置10。精白米の表面に付着した糠や、微粉をシート状吸着手段で繰り返し除去する。搬送手段は、断面形状がV字形状等の精白米収容部201を有し、振動手段によって、水平方向等に往復運動を行うか、または回転運動を行う。搬送手段は、複数の集塵用穴部208を有し、集塵用穴部から集塵することにより、シート状吸着手段を吸引し、シート状吸着手段が伸びて皺になったり、裏側に汚れが蓄積するのを防止することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無洗米加工装置に関し、特に、水を使用せずに精白米の表面の肌糠、微粉等を除去する乾式無洗米加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研がずに炊飯して食せる米を製造する、いわゆる無洗米加工技術には、大別すると、水を使用して糠を除去する湿式方式と、水を使用しない乾式方式とが存在する。
【0003】
湿式方式では、加工工程で水分を使用するため、加工後の米の生菌数が増加し、加工前の米と比較して、賞味期限の短縮(品質劣化)、及び給排水設備や加熱設備等のコスト増加の問題がある。
【0004】
一方、乾式方式は、水を使用しないので、設備コストが低く、加工後の品質劣化も少ない。この乾式方式として、例えば、特許文献1には、揺すられながら下方に落下する精白米が繭玉と絹布との間で研磨され、付着していた米糠等が除去される技術が開示されている。また、特許文献2には、穀粒を螺旋状に移動させながら穀粒表面の糠を除去する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、炊飯前の米を研ぐときに水を使用しないで済む乾式研米装置が開示され、特許文献4には、精白米を布の2つの面に滑らせながら転がすようにして精白米の表面に付着した糠等の異物を除去する技術が開示され、特許文献5には、白度10〜15%の精白米をポリエチレン袋等の容器に収容し、この容器に不活性ガスを充填した後密閉すること等により、研ぎ不要米を製造する方法が記載されている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2593894号公報
【特許文献2】特開2000−354773号公報
【特許文献3】特開2000−237610号公報
【特許文献4】特開平9−29112号公報
【特許文献5】特開2000−4809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載の技術では、ブラシで米の表面を削っているので、肌糠は除去されるが、米表面の微粉を除去しきれず、水を入れると白濁してしまう。そのため、炊飯前に軽く水で濯ぐ必要があり、この技術によって得られた米は、準無洗米等とも呼ばれている。
【0007】
また、特許文献1〜5に記載の技術には、共通して、次のような問題点が存在する。すなわち、布や紙を吸着手段として使用するため、肌糠、微粉、油分の吸着に限界があり、大量の精白米を処理すると、吸着性能が劣化し、逆に米を汚してしまうこととなり、加工品質にばらつきが生じるとともに、大量に加工するのが困難である。
【0008】
また、無洗米加工装置は、研がずに炊飯して食することができる米を提供することが目的であり、衛生面を第一に考慮しなければならないが、上記技術では、大量に処理した際の汚れた布や紙等を交換する手段が曖昧であったり(特に、特許文献3及び4参照)、掃除機で清掃するように構成されているため(特許文献1参照)、実用性に欠ける。そして、布や紙等に残留した肌糠や微粉には多くの生菌も生息しているため、やがて雑菌が繁殖することは容易に予測できる。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の無洗米加工装置における問題点に鑑みてなされたものであって、無洗米の大量加工を前提とし、衛生的で実用的な無洗米加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、無洗米加工装置であって、精白米と接触して該精白米の表面に付着した物を吸着しながら、所定の方向に移動するシート状吸着手段と、精白米をシート状吸着手段に擦りつけながら搬送する搬送手段と、前記搬送手段内の精白米に振動を加えて該精白米を該搬送手段内で対流させる振動手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明によれば、搬送手段によって精白米をシート状吸着手段に擦りつけながら搬送する際に、振動手段によって搬送手段内の精白米に振動を加えて該精白米を該搬送手段内で対流させることにより、精白米の表面に付着した糠や、微粉をシート状吸着手段で繰り返し除去することができ、無洗米の大量加工が可能で、衛生的で実用的な無洗米加工装置を提供することができる。
【0012】
前記搬送手段は、断面形状がV字形状、U字形状または矩形凹状の精白米収容部を有するようにすることができる。また、前記搬送手段は、前記振動手段によって、水平方向もしくは鉛直方向に往復運動を行うか、または回転運動を行うようにすることができる。
【0013】
さらに、前記搬送手段は、複数の集塵用穴部を有し、該集塵用穴部から集塵することにより、前記シート状吸着手段を吸引するようにすることができる。これによって、シート状吸着手段が伸びて、皺になることがなく、シート状吸着手段の裏側の汚れの蓄積を防止し、シート状吸着手段に付着した汚れを吸い取り、シート状吸着手段の拭き取り性能の劣化を軽減することができる。
【0014】
前記搬送手段の精白米収容部の内部を集塵する集塵手段を備えるようにすることができる。これによって、集塵手段内の米の動きによって、雰囲気中に飛散した微粉、糠を集塵し、精白米への再付着を防止することができるとともに、装置内への汚れの蓄積を防止することができる。
【0015】
前記シート状吸着手段は、該シート状吸着手段が巻回される第1のローラ及び第2のローラの回転によって前記第1のローラの回転方向に移動し、前記シート状吸着手段の移動の際に、前記シート状吸着手段が該第1のローラ及び第2のローラの表面を滑ることがなく、該第1のローラ及び第2のローラは、前記搬送手段とともに振動し、前記第1のローラの回転速度よりも前記第2のローラの回転速度を遅くするか、前記シート状吸着手段に前記第1のローラの回転方向に対して反対の力が加わる方向に前記第2のローラを回転させるようにすることができる。これによって、シート状吸着手段に常に張力を加え続け、その表面を平らに維持することができる。
【0016】
また、本発明は、無洗米加工システムであって、上記無洗米加工装置を複数台連結したことを特徴とする。これによって、無洗米の加工効率をさらに高めることができる。
【0017】
前記無洗米加工システムにおいて、上段に位置する無洗米加工装置で精白米と接触したシート状吸着手段の一方の面とは反対側の面を、下段に位置する無洗米加工装置で精白米と接触させるようにすることができる。これによって、無駄なくシート状吸着手段を使用することができるとともに、無洗米の加工効率がさらに向上する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、無洗米の大量加工が可能で、衛生的で実用的な無洗米加工装置及び無洗米加工システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明にかかる無洗米加工装置の全体構成を示し、この無洗米加工装置10には、前段の精米工程で精米された精白米(以下、「米」と略称する)が投入パイプ11を介して供給され、無洗米加工装置10によって無洗米化された米は、昇降機等の輸送装置あるいは計量、袋詰め装置等(以下、「輸送装置等」と略称する)12によって次工程に搬送される。
【0020】
無洗米加工装置10は、図2に示すように、全体の骨格であり、各部品を支えるフレーム103と、装置の上部に位置し、上方向に米の投入のための穴部を有する投入ホッパー102と、無洗米化した米の排出口であり、装置内に投入された米を所定の時間貯めるための流量制限口を有する排出シューター104と、米を拭くための布でロール状に巻かれた不織布等の布(シート状吸着手段)400と、装置の中央に位置し、断面形状がV字形状で、その中で米を対流させ、対流によって布に擦りつけながら米を送るためのガイド(米収容部)201を有する搬送手段と、ガイド201内に貯められた米に対流を起こさせるため、ガイド201を往復振動させる動力源である振動機(振動手段)200と、振動方向には自在に動きガイド201を支持する支持部材202と、ロール状に巻かれた布401を引き出し、ガイド201内の米の下を通過させ、使用済みの布402を巻き取る布送り機構300とで構成される。
【0021】
ガイド201の振動系は、図3乃至図5に示すように、フレーム103に固定され、ガイド201を振動させる振動源として機能する振動機200と、ガイド201のベースであるガイドベース204と、ガイドベース204と機械的に結合され、振動機200が発生する振動をガイドベース204に伝達し、かつガイドベース204からの反動を軽減するための連結部材203と、ガイドベース204とガイド201とを固定するガイドフレーム205とで構成される。また、ガイド201内の布401の面上の米の量を制限するための排出口制御板207と、ガイド201に沿って通された布401の裏側に米が入り込まないように米の動きを制限する米進入防止板206とで米の動作、流量制限機構が構成される。
【0022】
布送り機構300は、図6に示すように、フレーム103(図2参照)に設置され、使用前のロール状の布401を回転自在に保持する布セットローラ331と、後記布送りローラ301への巻き付け角度を増大させるための布送りガイドローラ303と、使用前のロール状の布401から布を引き出し、布401がスリップしないような加工を施した布送りローラ302と、布送りローラ302の回転駆動源である布送りモータ301と、ガイド201に沿って布が通過するようにするための布ガイドシャフト330と、布送りローラ302から送り出され、ガイド201(図5参照)内の米の下を通過するように使用後の布402を引っ張り上げ、布401がスリップしないような加工を施した布引きローラ311と、布引きローラ311の回転駆動源である布引きモータ310と、使用後の布402を巻き取るための布巻きローラ321と、布巻きローラ321の回転駆動源である布巻きモータ320とで構成される。
【0023】
次に、上記構成を有する無洗米加工装置10の動作について説明する。まず、無洗米加工装置10内の米の流れについて説明する。
【0024】
米は、図1に示した投入パイプ11を介して無洗米加工装置10に送られる。米は、投入パイプ11に結合される投入ホッパー102を介して、ガイド201の上の布400の上に落下する。米は、順次連続的に投入され、かつ、ガイド201の振動によって山が崩れ、広がる動きを見せる。すなわち、図4に示すように、米侵入防止板206によって一方の端部には広がることができないため、排出シューター104の方向に移動する。排出シューター104の前には、米がある程度貯まらないと排出シューター104に向かわないように排出口制御板207が設けられるため、ガイド201内には、一定量の米が保持される。ガイド201は、振動機200によって水平方向に振動しているため、V字形状の断面形状を有するガイド201内で、米は、図7に図示した方向に対流する。また、ガイド201の振動が米にも伝わるため、米も振動する。
【0025】
上記のように、ガイド201の中で振動しながら対流する米は、ガイド201に沿って位置する布400に擦られ、かつ叩き付けられることになる。この時、米の表面に付着している微粉、肌糠は、布400に拭き取られる。米は対流しているため、排出シューター104から排出されるまでの間に何回か布で拭き取られる動作が繰り返され、最終的に、米は微粉、肌糠がほとんど残っていない状態となり、無洗米が得られる。
【0026】
ガイド201内を振動、対流した米は、最終的に排出シューター104から溢れ出て、図1に示した輸送装置等12を介して次工程にもたらされる。
【0027】
尚、上記実施の形態においては、ガイド201の断面形状をV字形状としたが、U字形状、または矩形凹状の断面形状とすることができる。また、振動方向は、図8(a)の水平方向のみならず、図8(b)に示すような鉛直方向、または図8(c)に示すような回転方向であっても米の対流は発生し、布400で米表面に付着している微粉、肌糠を拭き取ることが可能である。
【0028】
次に、無洗米加工装置10内の空気の流れについて、図9を中心に参照しながら説明する。尚、無洗米加工装置10内の空気の流れは大別して2つ存在する。
【0029】
1つ目の空気の流れは、ガイド201の上部に位置し、ガイド201を覆う集塵フード210に集塵ダクト211を介して接続された図示しない集塵機によって、ガイド201内の米から飛散し、浮遊している微粉、糠を吸い取る空気の流れである。このガイド201内の米から飛散し、浮遊している微粉、糠を吸い取ることによって、ガイド201内の米に糠等が再付着することを防止するとともに、無洗米加工装置10内を衛生的に維持することができる。
【0030】
2つ目の空気の流れは、ガイド201と、ガイドフレーム205とガイドベース204とで囲まれた空間を集塵ダクト211を介して接続された集塵機によって吸引することによって、ガイド201に多数穿設されたガイド集塵穴208より、布400とガイド201の間にある、微粉、糠を吸い取る空気の流れである。これにより、ガイド201内の米に糠等が再付着することを防止するとともに、無洗米加工装置10内を衛生的に維持することができる。さらに、2つ目の空気の流れは、ガイド201の表面に沿うように移動する布400をガイド201に吸い付けることで、布400が振動しながら対流する米によって、皺になったり捩れたりすることを防止することができる。また、布400に付着した汚れ(微粉、糠)を吸い取ることによって、布400の拭き取り性能劣化を軽減する効果が得られる。
【0031】
次に、布送り機構の動作について図6を参照しながら説明する。布送り機構300において、ロール状に巻かれた使用前の布401が布セットローラ331の上に置かれる。セットされた布401は、布送りガイドローラ303を通過し、布送りモータ301によって回転駆動される布送りローラ302によって引き出される。さらに、布401は、布ガイドシャフト330を通過し、布引きモータ310によって回転駆動される布引きローラ311によって引き出される。布引きローラ311を通った使用済み布402は、最後に布巻きモータ320によって回転駆動される布巻きローラ321に巻き取られる。
【0032】
この際、布引ローラ310の布引き速度に対して布送りローラ302の布送り速度を遅くする方法、例えば、布引きモータ311及び布送りモータ301をステッピングモータ等の回転量が正確に制御できるモータを使用し、布引きモータ311の回転スピードを100%に対して布引きモータ301の回転スピードを97%に設定(布送りローラ302及び布引きローラ311の表面で布が滑ることはない)することで、布400(401、402)は、米のふき取り個所で常に3%伸びた状態になるため、拭き取り部での布400に常に張力を加え、布400を平らに維持することができる。
【0033】
もう一つの方法として、布引ローラ311の布引き方向に対し、布400に反対の力が加わるように(送り出し方向とは逆の方向)、布送りローラ301と布送りローラ302とを制御する方法がある。例えば、布引きモータ310には、ステッピングモータ等の回転量が正確に制御できるモータを使用し、布送りモータ302には、布引きモータ311に対して力が弱く、回転しようとしている方向に対し強制的に逆に回されても問題がないモータ、例えば、定格電圧の20%程度を印加するモータを使用し、布引きモータ311は、布400を布400の移動方向に強い力で回転させ、布送りモータ301は、逆方向に弱い力を加える。すると、布送りローラ302及び布引きローラ311の表面で布400が滑ることはないため、かつ布送りモータ301の力が弱いため、布400は布移動方向に移動する。この際、布400は、布送りモータ301の力によって引っ張られるため、拭き取り部での布400に常に張力をかけ、布400を平らに維持することができる。
【0034】
次に、本発明にかかる無洗米加工装置の第2の実施の形態について、図10を中心に参照しながら説明する。
【0035】
下段無洗米加工装置10Aは、第1の実施の形態に示した無洗米加工装置10と同様の構成を有する。しかし、上段無洗米加工装置10Bには、図6に示した布巻きローラ321と布巻きモータ320の代わりに、布ガイドローラ820が配置されている。
【0036】
この無洗米加工装置800は、上側に配置された上段無洗米加工装置10Bと、上側に配置された上段無洗米加工装置10Bと左右が逆になるように構成され、下側に配置された下段無洗米加工装置10Aと、上下方向に上段無洗米加工装置10Bと下段無洗米加工装置10Aとを重ねた状態に配置するための全体のフレーム810と、上段無洗米加工装置10Bと下段無洗米加工装置10Aとを連結する連結パイプ811とで構成される。
【0037】
図11に示すように、この無洗米加工装置800には、図1に示した無洗米加工装置10と同様に、精米工程で精米された米が投入パイプ11を介して供給され、無洗米加工装置10によって無洗米化された米は、昇降機等の輸送装置あるいは計量、袋詰め装置等(以下、「輸送装置等」と略称する)12によって次工程に搬送される。
【0038】
次に、上記構成を有する無洗米加工装置800の動作について説明するが、上段無洗米加工装置10Bと下段無洗米加工装置10Aの内部の動作は、米の流れと、空気の流れについては全く無洗米加工装置10と同様であり、布送り機構の動作のみ一部相違する。
【0039】
まず、米の流れについて説明する。米は、図11の投入パイプ11を介して上段無洗米加工装置10Bに送られる。上段無洗米加工装置10B内で、米は、投入パイプ11と結合される投入ホッパー102Bを介して図10のガイド201Bの上の布400Bの上に落とされた後、上記第1の実施の形態と同様の流れとなり、上段無洗米加工装置10Bの排出シューター104Bより排出される。
【0040】
上段無洗米加工装置10Bから排出された米は、連結パイプ811及び下段無洗米加工装置10Aの投入ホッパー102Aを通過し、ガイド201Aの上の布400Aの上に落下する。その後、第1の実施の形態と同様に、上段無洗米加工装置10Aの排出シューター104Aより排出される。
【0041】
次に、布送り機構の動作について図10を参照しながら説明する。下段無洗米加工装置10Aの布送り機構300Aにおいて、ロール状に巻かれた使用前の布401Aが布セットローラ331Aに置かれる。セットされた布400Aは、布送りガイドローラ303Aを通過し、布送りモータ301Aによって回転駆動される布送りローラ302Aによって引き出される。さらに、布400Aは、布ガイドシャフト330Aを通過し、布引きモータ310Aによって回転駆動される布引きローラ311Aによって引き出される。布引きローラ311Aを通った使用済み布402Aは、布ガイドローラ820を通過し、上段無洗米加工装置10Bの布送りガイドローラ303Bを通過し、布送りモータ301Bによって回転駆動される布送りローラ302Bによって引き出される。さらに、布400Bは、布ガイドシャフト330Bを通過し、布引きモータ310Bによって回転駆動される布引きローラ311Bによって引き出される。布引きローラ311Bを通った使用済み布402Bは、最後に布巻きモータ320Bによって回転駆動される布巻きローラ321Bに巻き取られる。
【0042】
この際、布引ローラ310(310A、310B)の布引き速度に対して布送りローラ302(302A、302B)の布送り速度を遅くする方法、例えば、布引きモータ311及び布送りモータ301にステッピングモータ等の回転量が正確に制御できるモータを使用し、布引きモータ310の回転スピードを100%に対して布送りモータ301の回転スピードを97%に設定(布送りローラ302及び布引きローラ311の表面で布が滑ることはない)することで、布400(400A、400B)は、米ふき取り個所で常に3%伸びた状態となり、拭き取り部での布400に常に張力を加え、布400を平らに維持することができる。
【0043】
もう一つの方法として、布引ローラ311の布引き方向に対し、布400に反対の力が加わるように(送り出し方向とは逆の方向)、布送りローラ301と布送りローラ302とを制御する方法がある。例えば、布引きモータ310には、ステッピングモータ等の回転量が正確に制御できるモータを使用し、布送りモータ302には、布引きモータ310に対して力が弱く、回転しようとしている方法に対して強制的に逆に回されても問題がない(例えば、定格電圧の20%程度を印加する)モータを使用し、布引きモータ310は、布400を布移動方向に強い力で回転させ、布送りモータ301は、逆方向に弱い力を加える。布送りローラ302及び布引きローラ311は布400とは滑らないため、かつ布送りモータ301の力が弱いため、布400は布移動方向に移動する。この際、布400は、布送りモータ301の力によって引っ張られるため、拭き取り部での布400に常に張力を加え、布400を平らに維持することができる。
【0044】
尚、本実施の形態における無洗米加工装置800の内部の空気の流れは、図9に示した第1の実施の形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかる無洗米加工装置の第1の実施の形態の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1の無洗米加工装置を示す図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
【図3】図1の無洗米加工装置を示す透視斜視図である。
【図4】図1の無洗米加工装置のガイドと振動機等を示す斜視図である。
【図5】図4のガイドと振動機等を示す図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
【図6】図1の無洗米加工装置の布送り機構を示す図であって、(a)は正面図、(b)は上面図である。
【図7】図1の無洗米加工装置の米の流れを示す断面図である。
【図8】図1の無洗米加工装置の振動方向の説明図であって、(a)は水平方向、(b)は鉛直方向、(c)は回転方向に各々振動する場合を示す。
【図9】図1の無洗米加工装置の空気の流れを示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図10】本発明にかかる無洗米加工装置の第2の実施の形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図11】本発明にかかる無洗米加工装置の第2の実施の形態の全体構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 無洗米加工装置
10A 下段無洗米加工装置
10B 上段無洗米加工装置
11 投入パイプ
12 輸送装置等
102 投入ホッパー
103 フレーム
104 排出シューター
200 振動機
201 ガイド
202 支持部材
203 連結部材
204 ガイドベース
205 ガイドフレーム
206 米進入防止板
207 排出口制御板
208 ガイド集塵穴
210 集塵フード
211 集塵ダクト
300 布送り機構
301 布送りモータ
302 布送りローラ
303 布送りガイドローラ
310 布引きモータ
311 布引きローラ
320 布巻きモータ
321 布巻きローラ
330 布ガイドシャフト
331 布セットローラ
400 布
401 使用前布
402 使用後布
800 無洗米加工装置
810 フレーム
811 連結パイプ
820 布ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精白米と接触して該精白米の表面に付着した物を吸着しながら、所定の方向に移動するシート状吸着手段と、
精白米をシート状吸着手段に擦りつけながら搬送する搬送手段と、
前記搬送手段内の精白米に振動を加えて該精白米を該搬送手段内で対流させる振動手段とを備えることを特徴とする無洗米加工装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、断面形状がV字形状、U字形状または矩形凹状の精白米収容部を有することを特徴とする請求項1に記載の無洗米加工装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記振動手段によって、水平方向もしくは鉛直方向に往復運動を行うか、または回転運動を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の無洗米加工装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、複数の集塵用穴部を有し、該集塵用穴部から集塵することにより、前記シート状吸着手段を吸引することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の無洗米加工装置。
【請求項5】
前記搬送手段の精白米収容部の内部を集塵する集塵手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無洗米加工装置。
【請求項6】
前記シート状吸着手段は、該シート状吸着手段が巻回される第1のローラ及び第2のローラの回転によって前記第1のローラの回転方向に移動し、前記シート状吸着手段の移動の際に、前記シート状吸着手段が該第1のローラ及び第2のローラの表面を滑ることがなく、該第1のローラ及び第2のローラは、前記搬送手段とともに振動し、前記第1のローラの回転速度よりも前記第2のローラの回転速度を遅くするか、前記シート状吸着手段に前記第1のローラの回転方向に対して反対の力が加わる方向に前記第2のローラを回転させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無洗米加工装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の無洗米加工装置を複数台連結したことを特徴とする無洗米加工システム。
【請求項8】
上段に位置する無洗米加工装置で精白米と接触したシート状吸着手段の一方の面とは反対側の面を、下段に位置する無洗米加工装置で精白米と接触させることを特徴とする請求項7に記載の無洗米加工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−35169(P2006−35169A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222247(P2004−222247)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】