無焼結MIMキャパシタ及びその製造方法
【課題】無焼結MIMキャパシタ及びその製造方法を開示する。
【解決手段】本発明に係るMIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【解決手段】本発明に係るMIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタ(Metal―Insulator―Metal Capacitor)に関するもので、より詳細には、体積収縮の問題を解決しながらも高い誘電定数を示すことができ、キャパシタの製造費用を減少させることができる無焼結MIMキャパシタの製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MIM(Metal―Insulator―Metal)キャパシタは、下部金属及び上部金属からなる二つの金属と、それらの間に挿入される絶縁体とを含む。
MIMキャパシタの性能が優秀であるためには、金属と絶縁体との界面で電荷の貯蔵能力が優秀でなければならず、このためには、絶縁体の誘電率が高くなければならない。
MIMキャパシタにおける従来の絶縁体形成方法では、高誘電性セラミック粉末及び有機無機バインダーを含むペーストを用いて金属上に又は各金属間に膜を形成し、焼結過程を経る(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、従来の方法は、焼結が必須であるので、MIMキャパシタの製造時、焼結工程のために基本的に高価な製造費用がかかり、体積収縮の問題及びセラミック固有の脆性問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/102709号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタを製造するにおいて、無焼結方式で絶縁体を形成する過程を含む無焼結MIMキャパシタ製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、従来のMIMキャパシタの製造時に発生する体積収縮の問題を解決しながらも、MIMキャパシタで要求される高い誘電定数を示すことができる無焼結MIMキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記一つの目的を達成するための本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0007】
前記一つの目的を達成するための本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し;高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し;前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し;前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し;前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0008】
前記一つの目的を達成するための本発明の更に他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、平均粒径が400nm〜800nmである高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0009】
前記一つの目的を達成するための本発明の更に他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、平均粒径が400nm〜800nmである高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し;高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し;前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し;前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し;前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0010】
前記他の目的を達成するための本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタは、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含み、前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、前記高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことを特徴とする。
【0011】
前記他の目的を達成するための本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタは、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含み、前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、前記高誘電性セラミックパウダーは平均粒径が400nm〜800nmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂をインクジェット方式などで塗布し、無焼結で絶縁体を製造する。したがって、キャパシタ製造費用の節減効果と共に、従来のMIMキャパシタの製造時に発生する体積収縮の問題を解決することができ、セラミック固有の脆性問題を解決することができる。
【0013】
また、本発明に係る無焼結MIMキャパシタは、平均粒径が互いに異なる高誘電性セラミックパウダーを適正な比率で共に適用する。したがって、パッキング密度が向上し、これによって、誘電定数の増加効果をもたらす。その結果、高性能のキャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】高誘電性セラミックパウダーのサイズによるパッキング密度の変化を示すグラフである。
【図4】高誘電性セラミックパウダーのサイズによる誘電定数の変化を示すグラフである。
【図5】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率によるパッキング密度の変化を示すグラフである。
【図6】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率による誘電定数の変化を示すグラフである。
【図7】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差によるパッキング密度の変化を示すグラフである。
【図8】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差による誘電定数の変化を示すグラフである。
【図9】高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときに製造されたMIMキャパシタの絶縁体の写真である。
【図10】高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【図11】高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真である。
【図12】高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【図13】高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真である。
【図14】高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点、特徴及びそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述する各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものでなく、互いに異なる多様な形態で具現可能である。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、特許請求の範囲の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全般にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
以下、添付の図面を参照して本発明に係る無焼結MIMキャパシタ及びその製造方法について詳細に説明する。
【0016】
本発明は、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタに関するものである。本発明に係るMIMキャパシタの全体的な製造工程には、下部金属の積層、絶縁体の形成、上部金属の積層などのMIMキャパシタ製造方法として広く知られた方法を適用することができる。以下では、MIMキャパシタの性能を左右する下部金属と上部金属との間の絶縁体の形成方法について重点的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。より具体的には、図1に示した例は、絶縁体を形成するために高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂を共に塗布する例を示している。
【0018】
図1を参照すれば、無焼結MIMキャパシタ製造方法における絶縁層の形成は、セラミック―高分子組成物の用意段階(S110)、セラミック―高分子膜の形成段階(S120)及び高分子樹脂の硬化段階(S130)を含む。
【0019】
セラミック―高分子組成物の用意段階(S110)では、高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意する。
【0020】
本発明では、下部金属と上部金属との間の絶縁体を形成するための主な素材として高誘電性セラミックパウダーを使用する。このような高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3である。
【0021】
MIMキャパシタにおける絶縁体の誘電率は、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径と密接な関係を有する。
【0022】
実験結果(図3及び図4)、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が増加するほど、誘電定数も増加することが分かった。したがって、高誘電性セラミックパウダーとしては、略400nm以上の相対的に大きい粒径を有するものを使用することが望ましい。ただし、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が大き過ぎれば、インクジェット印刷法の適用が難しいので、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が略400〜800nmであるラージパウダーを用いることが望ましい。
【0023】
また、他の側面で、高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、このスモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとが混在している。
【0024】
実験結果(図5及び図6)、高誘電性セラミックパウダーとしてスモールパウダー又はラージパウダーが単独で使用されたときより、ラージパウダーとスモールパウダーとが混在しているときに高いパッキング密度を有することができ、誘電定数も高い値を示し、結果としてMIMキャパシタの性能が向上する。
高分子樹脂は、高誘電性セラミックパウダー間の空間に含浸される。このような高分子樹脂は、高誘電性セラミックの応力を減少させ、セラミック固有の脆性を減少させる。前記高分子樹脂は、ポリアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂などの多様な樹脂である。この他にも、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂が制限なしに用いられる。
【0025】
前記セラミック―高分子組成物における高分子樹脂の含量は、高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部であることが望ましい。高分子樹脂の含量が10重量部未満である場合、高分子含浸の効果が不充分である。その一方、高分子樹脂の含量が150重量部を超える場合、MIMキャパシタにおける絶縁体の誘電特性が低下するという問題がある。
【0026】
一方、前記セラミック―高分子組成物に含まれる溶媒としては、水、エタノール、アセトン、フォルムアミドなどのように高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂を分散可能なものであれば、制限なしに用いられる。
【0027】
また、前記セラミック―高分子組成物には、表面張力制御及び分散性向上などのために分散剤がさらに含まれる。このような分散剤としては、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、オクチルアルコール及びアクリル系高分子などを用いることができ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
ただし、前記分散剤が過多に添加される場合、溶液安定性及びMIMキャパシタの絶縁体の誘電特性を阻害するおそれがある。したがって、前記分散剤は、前記セラミック―高分子組成物100重量部に対して5重量部以下の含量比で添加されることが望ましい。
【0029】
次に、セラミック―高分子膜の形成段階(S120)では、セラミック―高分子組成物を下部金属上に塗布した後、乾燥過程を通してセラミック―高分子膜を形成する。
【0030】
このとき、セラミック―高分子組成物は、均一な厚さの塗布が可能なインクジェット印刷法で塗布されることが望ましい。
【0031】
次に、高分子樹脂の硬化段階(S130)では、形成された膜に熱を加えたり、又は紫外線などの光を照射し、膜内に含まれた高分子樹脂を熱硬化又は光硬化することによってMIMキャパシタの最終的な絶縁体を形成する。
【0032】
前記高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂の複合構造を通してMIMキャパシタの絶縁体を形成するとき、焼結工程を省略する無焼結方式で絶縁体を形成することができる。その結果、全体的なキャパシタの製造費用を減少させることができる。
【0033】
特に、無焼結方式で絶縁体を形成することによって、焼結工程に伴う絶縁体の収縮問題を解決することができ、MIMキャパシタ性能の信頼性を高めることができる。
【0034】
図2は、本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【0035】
図2を参照すれば、無焼結MIMキャパシタ製造方法における絶縁体の形成過程は、セラミック組成物及び高分子組成物の用意段階(S210)、セラミック膜の形成段階(S220)、セラミック―高分子膜の形成段階(S230)及び高分子樹脂の硬化段階(S240)を含む。
【0036】
図2に示した無焼結MIMキャパシタ製造方法は、図1に示した方法と類似している。図1に示した方法では高誘電性セラミックと高分子樹脂を共に塗布する一方、図2に示した方法では、セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成した状態でセラミック膜上に高分子組成物を塗布し、この高分子組成物をセラミック膜内に浸透させる。
【0037】
セラミック組成物及び高分子組成物の用意段階(S210)で、セラミック組成物は、高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含む。このとき、高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、このスモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことができる。また、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径は400〜800nmである。
【0038】
また、高分子組成物の場合、高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物として用意される。
【0039】
このようなセラミック組成物及び高分子組成物の場合、図1のセラミック―高分子組成物を分離して用意するものであるので、具体的な事項は、図1に示した実施例に適用される事項とほぼ同一である。
【0040】
すなわち、セラミック組成物における高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3である。また、高分子組成物における高分子樹脂としては、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂が制限なしに用いられる。各組成物における溶媒としては、水、エタノールなどが用いられる。また、各組成物には、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤などの分散剤がさらに含まれる。
【0041】
また、高分子樹脂の含量は、高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部である。本実施例では、前記範囲内で、高誘電性セラミックパウダーはセラミック組成物に分離されて含まれ、高分子樹脂は高分子組成物に分離されて含まれる。
【0042】
これらセラミック組成物又は高分子組成物は、インクジェット印刷法で塗布される。
【0043】
セラミック膜の形成段階(S220)では、セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成する。
【0044】
セラミック―高分子膜形成段階(S230)では、下部金属上に形成されたセラミック膜上に高分子組成物を塗布し、これをセラミック膜内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成する。
【0045】
高分子樹脂の硬化段階(S240)では、前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させ、無焼結方法で最終的なMIMキャパシタの絶縁層を形成する。
【0046】
図3は、高誘電性セラミックパウダーのサイズによるパッキング密度の変化を示すグラフで、図4は、高誘電性セラミックパウダーのサイズによる誘電定数の変化を示すグラフである。
【0047】
図3を参照すれば、高誘電性セラミックパウダー(BaTiO3)の平均粒径の差によるパッキング密度の変化は大きく示されない。しかし、図4を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が増加するほど、誘電定数もより大きい値を示すことが分かる。高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が500nmである場合、平均63程度の誘電定数を示した。その一方、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が略400nmである場合、平均60程度の誘電定数を示した。したがって、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が略400nm以上であるとき、MIMキャパシタの絶縁体として好適に適用することができる。
【0048】
図5は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率によるパッキング密度の変化を示すグラフで、図6は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率による誘電定数の変化を示すグラフである。
【0049】
図5及び図6を参照すれば、ラージパウダーの体積分率が増加するほど、概してパッキング密度及び誘電定数が増加することが分かる。特に、150nmの平均粒径を有するラージパウダーの体積分率が略0.75(75vol.%)で、30nmの平均粒径を有するスモールパウダーの体積分率が略0.25(25vol.%)であるとき、最も高い誘電定数を示している。
【0050】
したがって、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダー又はスモールパウダーが単独で用いられるときより、略70〜80vol.%のラージパウダーと20〜30vol.%のスモールパウダーが共に用いられるとき、MIMキャパシタの絶縁体において優れた誘電特性を示すことができる。
【0051】
図7は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差によるパッキング密度の変化を示すグラフで、図8は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差による誘電定数の変化を示すグラフである。
【0052】
理論的に、各ラージパウダーが完璧な最密充填構造(Close Packed Structure)を有すると仮定するとき、平面的に互いに接する三つのラージパウダーの中心を連結して正三角形を形成する。これをピタゴラスの定理に適用すれば、各ラージパウダーの平均粒径がスモールパウダーの平均粒径より略6.5倍以上であるとき、各ラージパウダー間の空間にスモールパウダーがより容易に充填される。
【0053】
すなわち、ラージパウダーのみを用いたり、ラージパウダーの平均粒径がスモールパウダーの平均粒径より6.5倍以下である場合、パッキング密度が相対的に低い。その一方、各ラージパウダーの平均粒径がスモールパウダーの平均粒径より大きいほど、パッキング密度を高めることができる。これは、図7に示した実験結果を通しても確認される。
【0054】
図7を参照すれば、ラージパウダーを単独で用いるときより、ラージパウダーとスモールパウダーを共に用いる場合にパッキング密度が増加することが分かる。また、図7を参照すれば、ラージパウダーとスモールパウダーの平均粒径の差が大きいほど、パッキング密度が増加することが分かる。
【0055】
また、図8を参照すれば、30nmの平均粒径と0.25の体積分率を有するスモールパウダーを固定した状態でラージパウダーの平均粒径の差による誘電定数の増加程度を測定したとき、ラージパウダーの平均粒径が大きいほど、誘電定数もより増加することが分かる。特に、ラージパウダーの平均粒径が500nmで、スモールパウダーの平均粒径が30nmで、ラージパウダーの体積分率が0.75であるとき、最も大きい値の誘電定数を示した。
【0056】
図9は、高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときに製造されたMIMキャパシタの絶縁体の写真で、図10は、高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【0057】
図9及び図10を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーとスモールパウダーを共に適用した場合、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーのみを適用した場合に比べて空隙の充填程度は高かったが、全体的に各ラージパウダーの空隙を効率的に充填することはできなかった。
【0058】
図11は、高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真で、図12は、高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【0059】
図11及び図12を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーのみを適用した場合より、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーとスモールパウダーを共に適用したときに空隙を効率的に充填していることが分かる。また、図12と図10を比較するとき、ラージパウダーとスモールパウダーの平均粒径の差が大きいほど、ラージパウダーの空隙をより効率的に充填することが分かる。
【0060】
図13は、高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真で、図14は、高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【0061】
図13及び図14を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーのみを適用した場合より、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーとスモールパウダーを共に適用したときに空隙を効率的に充填していることが分かる。図14と図10及び図12を比較するとき、ラージパウダーとスモールパウダーの平均粒径の差が大きいほど、ラージパウダーの空隙がより効率的に充填され、パッキング密度が高いことが分かる。
【0062】
これらの点を考慮するとき、MIMキャパシタの絶縁層には、次のような平均粒径条件及び体積分率条件をいずれも満足するラージパウダー及びスモールパウダーを含む高誘電性セラミックパウダーが適用されることが望ましい。平均粒径条件は、ラージパウダーの平均粒径が略490〜510nmで、スモールパウダーの平均粒径が略25〜35nmである。体積分率条件は、ラージパウダーの体積分率が略70〜80vol.%で、スモールパウダーの体積分率が略20〜30vol.%である。
【0063】
図1や図2に示した各実施例又は他の方法で製造されたMIMキャパシタは、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含む。
【0064】
本発明に係るMIMキャパシタの場合、前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成される。
【0065】
上述したように、高分子樹脂は、高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部の含量比で含まれる場合、誘電特性の低下なしに充分な高分子含浸の効果を得ることができる。
【0066】
このとき、前記高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、このスモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことができる。このとき、前記スモールパウダーは20〜30vol.%の比率で添加され、前記ラージパウダーは70〜80vol.%の比率で添加されることが望ましい。
【0067】
また、前記ラージパウダーの平均粒径が前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であるとき、高い誘電定数を有することができる。具体的には、ラージパウダーの平均粒径は490〜510nmで、前記スモールパウダーの平均粒径は25〜35nmである。
【0068】
また、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が増加するほど、誘電定数もより高い値を有する。したがって、誘電定数及びインクジェット工程の適用などを考慮するとき、前記高誘電性セラミックパウダーの平均粒径は400nm〜800nmになる。
【0069】
MIMキャパシタの絶縁体において、高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3である。また、MIMキャパシタの絶縁体において、高分子樹脂は、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂である。また、MIMキャパシタの下部金属及び上部金属は銀(Ag)で形成される。
【0070】
以上、本発明の実施例を中心に説明したが、これは例示的なものに過ぎず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する技術者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能である点を理解するだろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、以下に記載される特許請求の範囲によって判断されなければならない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタ(Metal―Insulator―Metal Capacitor)に関するもので、より詳細には、体積収縮の問題を解決しながらも高い誘電定数を示すことができ、キャパシタの製造費用を減少させることができる無焼結MIMキャパシタの製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MIM(Metal―Insulator―Metal)キャパシタは、下部金属及び上部金属からなる二つの金属と、それらの間に挿入される絶縁体とを含む。
MIMキャパシタの性能が優秀であるためには、金属と絶縁体との界面で電荷の貯蔵能力が優秀でなければならず、このためには、絶縁体の誘電率が高くなければならない。
MIMキャパシタにおける従来の絶縁体形成方法では、高誘電性セラミック粉末及び有機無機バインダーを含むペーストを用いて金属上に又は各金属間に膜を形成し、焼結過程を経る(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、従来の方法は、焼結が必須であるので、MIMキャパシタの製造時、焼結工程のために基本的に高価な製造費用がかかり、体積収縮の問題及びセラミック固有の脆性問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/102709号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタを製造するにおいて、無焼結方式で絶縁体を形成する過程を含む無焼結MIMキャパシタ製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、従来のMIMキャパシタの製造時に発生する体積収縮の問題を解決しながらも、MIMキャパシタで要求される高い誘電定数を示すことができる無焼結MIMキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記一つの目的を達成するための本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0007】
前記一つの目的を達成するための本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し;高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し;前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し;前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し;前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0008】
前記一つの目的を達成するための本発明の更に他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、平均粒径が400nm〜800nmである高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0009】
前記一つの目的を達成するための本発明の更に他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、下部金属―絶縁体―上部金属を製造し、前記絶縁体は、平均粒径が400nm〜800nmである高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し;高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し;前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し;前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し;前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする。
【0010】
前記他の目的を達成するための本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタは、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含み、前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、前記高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことを特徴とする。
【0011】
前記他の目的を達成するための本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタは、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含み、前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、前記高誘電性セラミックパウダーは平均粒径が400nm〜800nmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法は、高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂をインクジェット方式などで塗布し、無焼結で絶縁体を製造する。したがって、キャパシタ製造費用の節減効果と共に、従来のMIMキャパシタの製造時に発生する体積収縮の問題を解決することができ、セラミック固有の脆性問題を解決することができる。
【0013】
また、本発明に係る無焼結MIMキャパシタは、平均粒径が互いに異なる高誘電性セラミックパウダーを適正な比率で共に適用する。したがって、パッキング密度が向上し、これによって、誘電定数の増加効果をもたらす。その結果、高性能のキャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】高誘電性セラミックパウダーのサイズによるパッキング密度の変化を示すグラフである。
【図4】高誘電性セラミックパウダーのサイズによる誘電定数の変化を示すグラフである。
【図5】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率によるパッキング密度の変化を示すグラフである。
【図6】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率による誘電定数の変化を示すグラフである。
【図7】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差によるパッキング密度の変化を示すグラフである。
【図8】高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差による誘電定数の変化を示すグラフである。
【図9】高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときに製造されたMIMキャパシタの絶縁体の写真である。
【図10】高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【図11】高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真である。
【図12】高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【図13】高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真である。
【図14】高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点、特徴及びそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述する各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものでなく、互いに異なる多様な形態で具現可能である。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、特許請求の範囲の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全般にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
以下、添付の図面を参照して本発明に係る無焼結MIMキャパシタ及びその製造方法について詳細に説明する。
【0016】
本発明は、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタに関するものである。本発明に係るMIMキャパシタの全体的な製造工程には、下部金属の積層、絶縁体の形成、上部金属の積層などのMIMキャパシタ製造方法として広く知られた方法を適用することができる。以下では、MIMキャパシタの性能を左右する下部金属と上部金属との間の絶縁体の形成方法について重点的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。より具体的には、図1に示した例は、絶縁体を形成するために高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂を共に塗布する例を示している。
【0018】
図1を参照すれば、無焼結MIMキャパシタ製造方法における絶縁層の形成は、セラミック―高分子組成物の用意段階(S110)、セラミック―高分子膜の形成段階(S120)及び高分子樹脂の硬化段階(S130)を含む。
【0019】
セラミック―高分子組成物の用意段階(S110)では、高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意する。
【0020】
本発明では、下部金属と上部金属との間の絶縁体を形成するための主な素材として高誘電性セラミックパウダーを使用する。このような高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3である。
【0021】
MIMキャパシタにおける絶縁体の誘電率は、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径と密接な関係を有する。
【0022】
実験結果(図3及び図4)、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が増加するほど、誘電定数も増加することが分かった。したがって、高誘電性セラミックパウダーとしては、略400nm以上の相対的に大きい粒径を有するものを使用することが望ましい。ただし、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が大き過ぎれば、インクジェット印刷法の適用が難しいので、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が略400〜800nmであるラージパウダーを用いることが望ましい。
【0023】
また、他の側面で、高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、このスモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとが混在している。
【0024】
実験結果(図5及び図6)、高誘電性セラミックパウダーとしてスモールパウダー又はラージパウダーが単独で使用されたときより、ラージパウダーとスモールパウダーとが混在しているときに高いパッキング密度を有することができ、誘電定数も高い値を示し、結果としてMIMキャパシタの性能が向上する。
高分子樹脂は、高誘電性セラミックパウダー間の空間に含浸される。このような高分子樹脂は、高誘電性セラミックの応力を減少させ、セラミック固有の脆性を減少させる。前記高分子樹脂は、ポリアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂などの多様な樹脂である。この他にも、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂が制限なしに用いられる。
【0025】
前記セラミック―高分子組成物における高分子樹脂の含量は、高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部であることが望ましい。高分子樹脂の含量が10重量部未満である場合、高分子含浸の効果が不充分である。その一方、高分子樹脂の含量が150重量部を超える場合、MIMキャパシタにおける絶縁体の誘電特性が低下するという問題がある。
【0026】
一方、前記セラミック―高分子組成物に含まれる溶媒としては、水、エタノール、アセトン、フォルムアミドなどのように高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂を分散可能なものであれば、制限なしに用いられる。
【0027】
また、前記セラミック―高分子組成物には、表面張力制御及び分散性向上などのために分散剤がさらに含まれる。このような分散剤としては、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、オクチルアルコール及びアクリル系高分子などを用いることができ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
ただし、前記分散剤が過多に添加される場合、溶液安定性及びMIMキャパシタの絶縁体の誘電特性を阻害するおそれがある。したがって、前記分散剤は、前記セラミック―高分子組成物100重量部に対して5重量部以下の含量比で添加されることが望ましい。
【0029】
次に、セラミック―高分子膜の形成段階(S120)では、セラミック―高分子組成物を下部金属上に塗布した後、乾燥過程を通してセラミック―高分子膜を形成する。
【0030】
このとき、セラミック―高分子組成物は、均一な厚さの塗布が可能なインクジェット印刷法で塗布されることが望ましい。
【0031】
次に、高分子樹脂の硬化段階(S130)では、形成された膜に熱を加えたり、又は紫外線などの光を照射し、膜内に含まれた高分子樹脂を熱硬化又は光硬化することによってMIMキャパシタの最終的な絶縁体を形成する。
【0032】
前記高誘電性セラミックパウダーと高分子樹脂の複合構造を通してMIMキャパシタの絶縁体を形成するとき、焼結工程を省略する無焼結方式で絶縁体を形成することができる。その結果、全体的なキャパシタの製造費用を減少させることができる。
【0033】
特に、無焼結方式で絶縁体を形成することによって、焼結工程に伴う絶縁体の収縮問題を解決することができ、MIMキャパシタ性能の信頼性を高めることができる。
【0034】
図2は、本発明の他の一実施例に係る無焼結MIMキャパシタ製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【0035】
図2を参照すれば、無焼結MIMキャパシタ製造方法における絶縁体の形成過程は、セラミック組成物及び高分子組成物の用意段階(S210)、セラミック膜の形成段階(S220)、セラミック―高分子膜の形成段階(S230)及び高分子樹脂の硬化段階(S240)を含む。
【0036】
図2に示した無焼結MIMキャパシタ製造方法は、図1に示した方法と類似している。図1に示した方法では高誘電性セラミックと高分子樹脂を共に塗布する一方、図2に示した方法では、セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成した状態でセラミック膜上に高分子組成物を塗布し、この高分子組成物をセラミック膜内に浸透させる。
【0037】
セラミック組成物及び高分子組成物の用意段階(S210)で、セラミック組成物は、高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含む。このとき、高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、このスモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことができる。また、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径は400〜800nmである。
【0038】
また、高分子組成物の場合、高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物として用意される。
【0039】
このようなセラミック組成物及び高分子組成物の場合、図1のセラミック―高分子組成物を分離して用意するものであるので、具体的な事項は、図1に示した実施例に適用される事項とほぼ同一である。
【0040】
すなわち、セラミック組成物における高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3である。また、高分子組成物における高分子樹脂としては、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂が制限なしに用いられる。各組成物における溶媒としては、水、エタノールなどが用いられる。また、各組成物には、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤などの分散剤がさらに含まれる。
【0041】
また、高分子樹脂の含量は、高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部である。本実施例では、前記範囲内で、高誘電性セラミックパウダーはセラミック組成物に分離されて含まれ、高分子樹脂は高分子組成物に分離されて含まれる。
【0042】
これらセラミック組成物又は高分子組成物は、インクジェット印刷法で塗布される。
【0043】
セラミック膜の形成段階(S220)では、セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成する。
【0044】
セラミック―高分子膜形成段階(S230)では、下部金属上に形成されたセラミック膜上に高分子組成物を塗布し、これをセラミック膜内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成する。
【0045】
高分子樹脂の硬化段階(S240)では、前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させ、無焼結方法で最終的なMIMキャパシタの絶縁層を形成する。
【0046】
図3は、高誘電性セラミックパウダーのサイズによるパッキング密度の変化を示すグラフで、図4は、高誘電性セラミックパウダーのサイズによる誘電定数の変化を示すグラフである。
【0047】
図3を参照すれば、高誘電性セラミックパウダー(BaTiO3)の平均粒径の差によるパッキング密度の変化は大きく示されない。しかし、図4を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が増加するほど、誘電定数もより大きい値を示すことが分かる。高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が500nmである場合、平均63程度の誘電定数を示した。その一方、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が略400nmである場合、平均60程度の誘電定数を示した。したがって、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が略400nm以上であるとき、MIMキャパシタの絶縁体として好適に適用することができる。
【0048】
図5は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率によるパッキング密度の変化を示すグラフで、図6は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの体積分率による誘電定数の変化を示すグラフである。
【0049】
図5及び図6を参照すれば、ラージパウダーの体積分率が増加するほど、概してパッキング密度及び誘電定数が増加することが分かる。特に、150nmの平均粒径を有するラージパウダーの体積分率が略0.75(75vol.%)で、30nmの平均粒径を有するスモールパウダーの体積分率が略0.25(25vol.%)であるとき、最も高い誘電定数を示している。
【0050】
したがって、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダー又はスモールパウダーが単独で用いられるときより、略70〜80vol.%のラージパウダーと20〜30vol.%のスモールパウダーが共に用いられるとき、MIMキャパシタの絶縁体において優れた誘電特性を示すことができる。
【0051】
図7は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差によるパッキング密度の変化を示すグラフで、図8は、高誘電性セラミックパウダーにおけるスモールパウダーとラージパウダーの平均粒径の差による誘電定数の変化を示すグラフである。
【0052】
理論的に、各ラージパウダーが完璧な最密充填構造(Close Packed Structure)を有すると仮定するとき、平面的に互いに接する三つのラージパウダーの中心を連結して正三角形を形成する。これをピタゴラスの定理に適用すれば、各ラージパウダーの平均粒径がスモールパウダーの平均粒径より略6.5倍以上であるとき、各ラージパウダー間の空間にスモールパウダーがより容易に充填される。
【0053】
すなわち、ラージパウダーのみを用いたり、ラージパウダーの平均粒径がスモールパウダーの平均粒径より6.5倍以下である場合、パッキング密度が相対的に低い。その一方、各ラージパウダーの平均粒径がスモールパウダーの平均粒径より大きいほど、パッキング密度を高めることができる。これは、図7に示した実験結果を通しても確認される。
【0054】
図7を参照すれば、ラージパウダーを単独で用いるときより、ラージパウダーとスモールパウダーを共に用いる場合にパッキング密度が増加することが分かる。また、図7を参照すれば、ラージパウダーとスモールパウダーの平均粒径の差が大きいほど、パッキング密度が増加することが分かる。
【0055】
また、図8を参照すれば、30nmの平均粒径と0.25の体積分率を有するスモールパウダーを固定した状態でラージパウダーの平均粒径の差による誘電定数の増加程度を測定したとき、ラージパウダーの平均粒径が大きいほど、誘電定数もより増加することが分かる。特に、ラージパウダーの平均粒径が500nmで、スモールパウダーの平均粒径が30nmで、ラージパウダーの体積分率が0.75であるとき、最も大きい値の誘電定数を示した。
【0056】
図9は、高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときに製造されたMIMキャパシタの絶縁体の写真で、図10は、高誘電性セラミックパウダーとして150nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【0057】
図9及び図10を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーとスモールパウダーを共に適用した場合、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーのみを適用した場合に比べて空隙の充填程度は高かったが、全体的に各ラージパウダーの空隙を効率的に充填することはできなかった。
【0058】
図11は、高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真で、図12は、高誘電性セラミックパウダーとして300nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【0059】
図11及び図12を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーのみを適用した場合より、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーとスモールパウダーを共に適用したときに空隙を効率的に充填していることが分かる。また、図12と図10を比較するとき、ラージパウダーとスモールパウダーの平均粒径の差が大きいほど、ラージパウダーの空隙をより効率的に充填することが分かる。
【0060】
図13は、高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダーのみを適用したときの絶縁体の写真で、図14は、高誘電性セラミックパウダーとして500nmの平均粒径を有するラージパウダー75vol.%と30nmの平均粒径を有するスモールパウダー25vol.%を共に適用したときの絶縁体の写真である。
【0061】
図13及び図14を参照すれば、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーのみを適用した場合より、高誘電性セラミックパウダーとしてラージパウダーとスモールパウダーを共に適用したときに空隙を効率的に充填していることが分かる。図14と図10及び図12を比較するとき、ラージパウダーとスモールパウダーの平均粒径の差が大きいほど、ラージパウダーの空隙がより効率的に充填され、パッキング密度が高いことが分かる。
【0062】
これらの点を考慮するとき、MIMキャパシタの絶縁層には、次のような平均粒径条件及び体積分率条件をいずれも満足するラージパウダー及びスモールパウダーを含む高誘電性セラミックパウダーが適用されることが望ましい。平均粒径条件は、ラージパウダーの平均粒径が略490〜510nmで、スモールパウダーの平均粒径が略25〜35nmである。体積分率条件は、ラージパウダーの体積分率が略70〜80vol.%で、スモールパウダーの体積分率が略20〜30vol.%である。
【0063】
図1や図2に示した各実施例又は他の方法で製造されたMIMキャパシタは、下部金属―絶縁体―上部金属構造を含む。
【0064】
本発明に係るMIMキャパシタの場合、前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成される。
【0065】
上述したように、高分子樹脂は、高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部の含量比で含まれる場合、誘電特性の低下なしに充分な高分子含浸の効果を得ることができる。
【0066】
このとき、前記高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、このスモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことができる。このとき、前記スモールパウダーは20〜30vol.%の比率で添加され、前記ラージパウダーは70〜80vol.%の比率で添加されることが望ましい。
【0067】
また、前記ラージパウダーの平均粒径が前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であるとき、高い誘電定数を有することができる。具体的には、ラージパウダーの平均粒径は490〜510nmで、前記スモールパウダーの平均粒径は25〜35nmである。
【0068】
また、高誘電性セラミックパウダーの平均粒径が増加するほど、誘電定数もより高い値を有する。したがって、誘電定数及びインクジェット工程の適用などを考慮するとき、前記高誘電性セラミックパウダーの平均粒径は400nm〜800nmになる。
【0069】
MIMキャパシタの絶縁体において、高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3である。また、MIMキャパシタの絶縁体において、高分子樹脂は、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂である。また、MIMキャパシタの下部金属及び上部金属は銀(Ag)で形成される。
【0070】
以上、本発明の実施例を中心に説明したが、これは例示的なものに過ぎず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する技術者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能である点を理解するだろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、以下に記載される特許請求の範囲によって判断されなければならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタ(Metal―Insulator―Metal Capacitor)の製造方法において、
前記絶縁体は、
スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、
前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、
前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項2】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタの製造方法において、
前記絶縁体は、
スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し、
高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し、
前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し、
前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し、
前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項3】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタの製造方法において、
前記絶縁体は、
平均粒径が400nm〜800nmである高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、
前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、
前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項4】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタの製造方法において、
前記絶縁体は、
平均粒径が400〜800nmである高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し、
高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し、
前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し、
前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し、
前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項5】
前記セラミック―高分子組成物は、インクジェット印刷法で塗布されることを特徴とする、請求項1又は3に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項6】
前記セラミック組成物又は前記高分子組成物は、インクジェット印刷法で塗布されることを特徴とする、請求項2又は4に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項7】
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項8】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項9】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含み、
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項10】
前記ラージパウダーの平均粒径は490〜510nmで、前記スモールパウダーの平均粒径は25〜35nmであることを特徴とする、請求項9に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項11】
前記高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3であることを特徴とする、請求項1から4のうち何れか1項に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項12】
前記高分子樹脂の含量は、前記高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部であることを特徴とする、請求項1から4のうち何れか1項に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項13】
前記高分子樹脂は、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂であることを特徴とする、請求項1から4のうち何れか1項に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項14】
前記セラミック―高分子組成物は、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、オクチルアルコール及びアクリル系高分子のうち一つ以上を含む分散剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は3に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項15】
前記分散剤は、前記セラミック―高分子組成物100重量部に対して5重量部以下の含量比で添加されることを特徴とする、請求項14に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項16】
前記セラミック組成物又は高分子組成物は、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、オクチルアルコール及びアクリル系高分子のうち一つ以上を含む分散剤をさらに含むことを特徴とする、請求項2又は4に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項17】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタにおいて、
前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、
前記高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことを特徴とする無焼結MIMキャパシタ。
【請求項18】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタにおいて、
前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、
前記高誘電性セラミックパウダーの平均粒径は400nm〜800nmであることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ。
【請求項19】
前記高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項20】
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項17に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項21】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含むことを特徴とする、請求項17に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項22】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含み、
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項17に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項23】
前記ラージパウダーの平均粒径は490〜510nmで、前記スモールパウダーの平均粒径は25〜35nmであることを特徴とする、請求項22に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項24】
前記高分子樹脂は、前記高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部の含量比で含まれることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項25】
前記高分子樹脂は、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項26】
前記下部金属及び上部金属は銀(Ag)で形成されることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項1】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタ(Metal―Insulator―Metal Capacitor)の製造方法において、
前記絶縁体は、
スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、
前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、
前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項2】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタの製造方法において、
前記絶縁体は、
スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含む高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し、
高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し、
前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し、
前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し、
前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項3】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタの製造方法において、
前記絶縁体は、
平均粒径が400nm〜800nmである高誘電性セラミックパウダー、高分子樹脂及び溶媒を含むセラミック―高分子組成物を用意し、
前記セラミック―高分子組成物を前記下部金属上に塗布してセラミック―高分子膜を形成し、
前記形成されたセラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項4】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタの製造方法において、
前記絶縁体は、
平均粒径が400〜800nmである高誘電性セラミックパウダー及び溶媒を含むセラミック組成物を用意し、
高分子樹脂及び溶媒を含む高分子組成物を用意し、
前記セラミック組成物を下部金属上に塗布してセラミック膜を形成し、
前記形成されたセラミック膜上に前記高分子組成物を塗布し、前記高分子組成物を前記セラミック内に浸透させてセラミック―高分子膜を形成し、
前記セラミック―高分子膜内の高分子樹脂を硬化させることを含んで無焼結方式で形成されることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項5】
前記セラミック―高分子組成物は、インクジェット印刷法で塗布されることを特徴とする、請求項1又は3に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項6】
前記セラミック組成物又は前記高分子組成物は、インクジェット印刷法で塗布されることを特徴とする、請求項2又は4に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項7】
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項8】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項9】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含み、
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項10】
前記ラージパウダーの平均粒径は490〜510nmで、前記スモールパウダーの平均粒径は25〜35nmであることを特徴とする、請求項9に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項11】
前記高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3であることを特徴とする、請求項1から4のうち何れか1項に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項12】
前記高分子樹脂の含量は、前記高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部であることを特徴とする、請求項1から4のうち何れか1項に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項13】
前記高分子樹脂は、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂であることを特徴とする、請求項1から4のうち何れか1項に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項14】
前記セラミック―高分子組成物は、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、オクチルアルコール及びアクリル系高分子のうち一つ以上を含む分散剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は3に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項15】
前記分散剤は、前記セラミック―高分子組成物100重量部に対して5重量部以下の含量比で添加されることを特徴とする、請求項14に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項16】
前記セラミック組成物又は高分子組成物は、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、オクチルアルコール及びアクリル系高分子のうち一つ以上を含む分散剤をさらに含むことを特徴とする、請求項2又は4に記載の無焼結MIMキャパシタ製造方法。
【請求項17】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタにおいて、
前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、
前記高誘電性セラミックパウダーは、スモールパウダーと、前記スモールパウダーより大きい平均粒径を有するラージパウダーとを含むことを特徴とする無焼結MIMキャパシタ。
【請求項18】
下部金属―絶縁体―上部金属構造を含むMIMキャパシタにおいて、
前記絶縁体は、高分子樹脂が含浸された高誘電性セラミックパウダーで形成され、
前記高誘電性セラミックパウダーの平均粒径は400nm〜800nmであることを特徴とする無焼結MIMキャパシタ。
【請求項19】
前記高誘電性セラミックパウダーはBaTiO3であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項20】
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項17に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項21】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含むことを特徴とする、請求項17に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項22】
前記高誘電性セラミックパウダーは、前記スモールパウダー20〜30vol.%及び前記ラージパウダー70〜80vol.%を含み、
前記ラージパウダーの平均粒径は、前記スモールパウダーの平均粒径の6.5倍以上であることを特徴とする、請求項17に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項23】
前記ラージパウダーの平均粒径は490〜510nmで、前記スモールパウダーの平均粒径は25〜35nmであることを特徴とする、請求項22に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項24】
前記高分子樹脂は、前記高誘電性セラミックパウダー100重量部に対して10〜150重量部の含量比で含まれることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項25】
前記高分子樹脂は、熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【請求項26】
前記下部金属及び上部金属は銀(Ag)で形成されることを特徴とする、請求項17又は18に記載の無焼結MIMキャパシタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−222923(P2011−222923A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107389(P2010−107389)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(510126287)韓国セラミック技術院 (2)
【出願人】(510126298)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(510126287)韓国セラミック技術院 (2)
【出願人】(510126298)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]