説明

無煙ロースター

【課題】内箱は水を張ったドレンパン部と一緒にしか持ち上げられず、ドレンパンへの給水作業が面倒である。
【解決手段】外箱3の内底面に、排ガスが通過自在な中空筒状のフィルター6を、排気口4を取り囲む様に載置し、内箱7を上方部位の内箱本体12と下方部位のドレンパン部13とに分割可能にし、ドレンパン部13をフィルター6上に、内箱本体12をドレンパン部13上に載置して、フィルター6上に内箱7を載置し、外箱3と内箱7間に所定間隔の吸引流路8を形成し、上記内箱本体12内の下部に着脱可能に収容したバーナー受け22上にバーナー23を載置する。水を張った重いドレンパン部13を外箱3内に収容状態のまま、バーナー23などを収容状態の内箱本体12だけを移動可能にして、内箱本体12とドレンパン部13とに分けて着脱可能にし、内箱本体12だけを取り外せば、ドレンパン部13内に簡単に給水出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内箱及び外箱を有し、且つ外箱の下部に配置された中空筒状のフィルターの上部に載置する形式の無煙ロースターであって、上下2分割可能な内箱を使用した無煙ロースターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内箱をフィルターの上部に載置する形式の無煙ロースターにあっては、内箱の下部にドレンパンを収容したり、内箱の下部をドレンパンとしたものが見受けられる。
前者の従来技術としては、特開2000−107042号公報(特許文献1)があり、外箱と内箱より成り、外箱は、テーブル下面に配置し、その上縁をテーブル中央に穿設された開口部周縁に固定し、該外箱内に、周囲に吸引流路を形成する間隙を置いて内箱を出し入れ自在に装入し、且つ、該内箱内にドレンパン、加熱部などを夫々着脱自在に配置すると共に、前記外箱にダクトに連通する排気口を形成し、該排気口を取り囲む様に載置した中空筒状のフィルターの上部に上記内箱を載置したロースターが記載されている。
後者の従来技術としては、特開2000−201830号公報(特許文献1)があり、底部が排気手段に連通している有底筒状の外箱をテーブルの中央部に落とし込むとともに、前記底部に載置した筒状のフィルターを介して前記外箱内に内箱を設置し、さらにその内箱内に設置したガスバーナーにより食材をロースト調理する際発生する排ガスを、前記外箱と内箱との間から前記フィルターを通して前記排気手段により排気するようにしてなる無煙ロースターにおいて、前記内箱に対して、その中腹部を急激に縮径して内外面が略水平となる環状の段差部を設けて、該段差部を前記フィルターの上端部に載置することにより前記内箱を外箱内に支持させるとともに、前記段差部に前記ガスバーナーを支持させたことを特徴とする無煙ロースターが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−107042号公報(請求項1、4、段落番号〔0006〕、〔0007〕、図2)
【特許文献2】特開2000−201830号公報(請求項1、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、両者共に、下記の通り解決せねばならない課題があった。
(1)水を張ったドレンパン部と一緒に内箱を持ち上げねばならず、重労働であった。
(2)ドレンパンへの給水作業は内箱内の収容部品の隙間から行うか、収容部品を取り除かねばならず、甚だ面倒である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、(1)、(2)の課題に鑑み、テーブルに形成した開口部に、上方開口状の外箱の上部を嵌合支持し、該外箱の底部中央に、該外箱の下部に配置された排気部への排気口を形成し、外箱の内底面に、排ガスが通過自在な中空筒状のフィルターを、上記排気口を取り囲む様に載置し、内箱を上方部位の内箱本体と下方部位のドレンパン部とに分割可能にし、下方部位のドレンパン部をフィルター上に載置すると共に、上方部位の内箱本体を下方部位のドレンパン部上に載置して、フィルター上に内箱を載置すると共に、外箱と内箱間に所定間隔の吸引流路を形成し、上記内箱本体内の下部にバーナー受けを設け、該バーナー受け上にバーナーを載置して、内箱内に上記バーナーを収容することによって、水を張った重いドレンパン部を外箱内に収容状態のまま、バーナーなどを収容状態の内箱本体だけを移動可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、テーブルに形成した開口部に、上方開口状の外箱の上部を嵌合支持し、該外箱の底部中央に、該外箱の下部に配置された排気部への排気口を形成し、外箱の内底面に、排ガスが通過自在な中空筒状のフィルターを、上記排気口を取り囲む様に載置し、上方部位の内箱本体と下方部位のドレンパン部とに分割可能にした内箱を、ドレンパン部をフィルター上に、内箱本体をドレンパン部上に載置して、フィルター上に載置し、外箱と内箱間に吸引流路を形成し、上記内箱本体内の下部にバーナー受けを設け、該バーナー受け上にバーナーを載置したので、内箱全体ではなく、内部にバーナーなどを収容したままの内箱の内箱本体を、水を張ったドレンパン部が収容状態のまま外箱上方より装着したり外箱内から上方へ引き抜くことが出来るため、内箱内の加熱状態の収容部品が冷めるまで待たずに清掃作業やドレンパン部内への給水作業などを行うことが出来、且つかかる作業時に動かす内箱は、水の張った重いドレンパン部を除いた軽い内箱本体だけになるため、軽量化により作業にかかる負担を軽減することが出来、而も内箱内に直接水を張ることにより、ドレンパン部の外側面に、吸引流路内を通過する排気が直接接触することから、ドレンパン部内の温度上昇を抑止することが出来るため、ドレンパン部内の水の蒸発を抑えることが出来る他、例えドレンパン部内の水が全て蒸発してしまって空焚き状態になってもドレンパン部内の残留物の自然着火を防止することが出来、又内箱内へ収容する単独の別のドレンパンを不要にすることが出来る。
又、従来の一体型の内箱は深く有底状であるため、深絞り加工による製造は困難であったが、上記内箱本体は筒状でドレンパン部は皿状であるため、プレス加工を容易化して生産性の向上を図るとが出来る。
【0007】
上記フィルターは、内筒体と、該内筒体より高い外筒体と、内外筒体の間に充填された吸着材とを有し、ドレンパン部における底部より上方で上記外筒体の上端部との当接部位に段差部を周設したので、フィルターに対しドレンパン部を確実且つ正しい位置・姿勢で着座させることが出来る。
【0008】
外箱及び内箱における内箱本体の一側に夫々に連結筒を貫通させると共に、該連結筒の外方突出部をオーバーラップさせて、外箱の外方と内箱の内方を連結開口した連通連結部を形成し、連通連結部内に上記バーナーの導入部の基端を挿通し、外箱の連結筒に設置された噴射ノズルをバーナーの導入部における中心線の延長線上に設置し、且つバーナーの導入部の基端面と外箱側の噴射ノズルの先端との間に僅かな隙間を設定したので、この僅かな隙間とは内箱本体の着脱作業時にバーナーが外箱側の連結筒に当たらず而も使用時のガス漏れを防止可能な隙間であるため、噴射ノズルから噴出したガスの外部流出を防止出来、よって安全に使用することが出来、更に内箱本体は垂直方向に移動させことで着脱可能なため、かかる着脱作業の簡易化をことが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
無煙ロースターにあっては、図1〜3に示す様に、テーブル1の略中央位置に形成した開口部2に、上方開口状の外箱3を嵌合支持し、該外箱3の底部中央に円形状の排気口4を形成して、外箱3とその下部の排気部5とを連通する様にしている。
上記外箱3の内底面に、排ガスが通過自在な中空円筒状のフィルター6を、上記排気口4を取り囲む様に載置し、該フィルター6上に外箱3の内部に収容状態の内箱7を載置して、外箱3と内箱7間に所定間隔の吸引流路8を形成している。
【0010】
上記フィルター6は、基本的には、多数の通気孔を有した内外筒体9、10の間に、油脂が内部浸透する多孔質で、粒径を1mm以上に揃えたセラミック製(無機質材料)の吸着材が充填され、上方開口部を閉塞する、中央部を陥没させたキャップ11を装着し、外筒体10の高さを内筒体9より高くして、外筒体10の上端部を、内箱7の着座部としているが、かかる形態に限定せず、要するに排気口4を取り囲む様な形態で、上記内箱7が載置可能であれば良い。
【0011】
上記内箱7にあっては、図1〜5に示す様に、円筒状に形成された上方部位の内箱本体12と、皿状に形成された下方部位のドレンパン部13とに分割可能にし、該ドレンパン部13を上記フィルター6の上部に着座、載置させると共に、上記ドレンパン部13の上部に内箱本体12を着座、載置させて、外箱3内に内箱7を収容し、排ガスはフィルター6内を通過する様にしている。
又、上記ドレンパン部13における、底部より上方で上記フィルター6の外筒体10の上端部との当接部位に段差部14を周設し、上記フィルター6におけるキャップ11の中央陥没部11a 内に上記ドレンパン部13の底部が収容された状態とし、ドレンパン部13の上端部は外方へのカール部が形成されて補強され、且つ上記内箱本体12の座りを良くしている。
又、内箱7における内箱本体12の上方部を拡径させて、その段部に形成された平坦部を、ロストル、焼網などの調理物載置体15の外周部や炭壺16の外周部の載置部17と成している上記内箱本体12の下端縁部に、内方へ水平に突出する内鍔部18を周設し、該内鍔部18の内周部より下方へ、上記ドレンパン部13の上方開口部への嵌合部19を連続形成し、該嵌合部19は内鍔部18の内周部より下方へ連続形成した周壁部位の下端に外方へのカール部を形成したもので、該カール部により補強されている。
【0012】
外箱3及び内箱7における内箱本体12の一側に夫々に連結筒20、20a を貫通させると共に、該連結筒20、20a の外方突出部をオーバーラップさせて、外箱3の外方と内箱7の内方を連結開口した略四角筒状の連通連結部21を形成し、該連通連結部21は外箱3と内箱7の間の吸引流路8を部分横断状態で配置されている。
上記連結筒20、20a は共に略四角筒状又は門型状であり、少なくとも外箱3側の連結筒20の上部板を内方側に突出させると共に、内箱7側の連結筒20a の上部板を外方側に突出させ、且つ外箱3側の連結筒20の下部板を内方側に突出させると共に、内箱7側の連結筒20a の下部板を外方側に突出させて、外箱3側の上部板に内箱7側の上部板が、外箱3側の下部板に内箱7側の下部板が夫々着座状態と成り、而も内箱7側の下部板の外端部位と外箱3側の上部板が重ならない様にして、外箱3から内箱7を着脱する時には、連通連結部21は外箱3の連結筒20と内箱7の連結筒20a に分離される。
【0013】
上記内箱7内に設けたバーナー受け22上にリング状のバーナー23を載置して、内箱7内に上記バーナー23を収容し、連通連結部21内に上記バーナー23の導入部24の基端を挿通している。
そして、図2に示す様に、バーナー23の導入部24における中心線が、外箱3及び内箱7側の連通連結部21の中心線に対し所定角度を水平方向に傾いた状態で内箱7内に収容され、それに基づき外箱3の連結筒20に設置された噴射ノズル25をバーナー23の導入部24における中心線の延長線上に、同様に連通連結部21の中心線に対し所定角度を有して設置され、且つバーナー23の導入部24の基端と外箱3側の連結筒20の上部板の内端部が重ならない様にすると共に、バーナー23の導入部24の基端面と外箱3側の噴射ノズル25の先端との間に僅かな隙間26を設定している。
【0014】
上記バーナー受け22にあっては、内箱7における内箱本体12の下部に配置し、両端部を上記内鍔部18の上面に載置して内箱本体12内に架設している。
具体的には、図6〜8に示す様に、概ね縦長四角形状にして、両側部より下方に側壁部27、27a を連続形成し、両端部中央に切欠部28、29を形成して、一端側の切欠部28の両側方に係止片30、30a を、他端側の切欠部29の両側方に係止片31、31a を夫々形成し、内箱7の中央に相当する位置に油切り孔32を貫設し、一端側の係止片30、30a の中間部に立上げ部位を屈曲形成して、その先端部分を連結筒20の両側板間に差し込むことで、バーナー受け22を位置決めする様にしている。つまり、上記係止片30、30a の外側間の距離を上記連結筒20の両側板間より若干短くして差込み可能にしている。
又、設置状態におけるバーナー受け22は、その側壁部27、27a の両端部が上記内鍔部18に接地することになる。
【0015】
図1、3に示す様に、下方開口状の炭壺16内に、複数個の扇形状のセラミック炭33、33a …を、中央側の先端部が低くなる様に傾斜せさて載上する支持体34を収容して、使用時にセラミック炭33、33a …上に落下した肉汁を表面を流下させて先端側より落下させることで、バーナー受け22の油切り孔32を通過させてドレンパン部13内に収容可能にしている。
【0016】
次に、本発明に係る無煙ロースターの作用について説明する。
外箱3及び内箱7側の連通連結部21の中心線に対しバーナー23の導入部24の中心線を水平方向に傾けた状態にして、該導入部24の基端側部位を少し内箱本体12の連結筒20a 内に挿入した状態で設置することで、バーナー23における導入部24の基端が外箱3における連結筒20内に位置せずに内箱本体12内に納まるため、内箱本体12を、その内部にバーナー23等を収容状態のまま上方へ持ち上げれば、何の支障もなくそのまま取り外すことが可能になり、水を張ったドレンパン部13はそのまま外箱3内に残る。
【0017】
外箱3内に内箱7を収容する際には、ドレンパン部13を、その底部がフィルター6上部の中央陥没部11a 内に収容される様に外箱3内に収容すれば、自動的にドレンパン部13の段差部14がフィルター6の外筒体10の上端部に着座し、正しい姿勢・位置に設置され、内箱本体12を、その下部の嵌合部19を上記ドレンパン部13における上方開口部内に嵌め込む様に外箱3内に収容すれば、内箱本体12の内鍔部18がドレンパン部13の上端部に着座して正しい姿勢・位置に設置される。
【0018】
ドレンパン部13の外側面に、吸引流路8内を通過する比較的低温状態の排気が直接接触してドレンパン部13が冷やされるため、内部温度の上昇を抑止することが可能になる。
【0019】
内箱7内に張った水の水面とバーナー23との間に、ドレンパン部13の上方開口部の大部分を閉鎖するバーナー受け22が介在することから、該バーナー受け22によりバーナー23からの輻射熱が反射するため、その下方への輻射熱の伝播が抑えられて、水の蒸発速度が遅くなるため、水の補給作業の頻度を抑えることが可能になる。
而も、内箱7に対し着脱可能、具体的には単に内鍔部18に両端部を載置することで内箱7に対し設置されていることから、内箱7から取り外して洗浄することが可能で、尚且つ上記バーナー受け22は適宜形状の板材を必要に応じて屈曲して形成したもので凹凸が少ないため、洗浄し易い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るロースターの断面図である。
【図2】内箱を取外し可能な状態にセッティングした図1のロースターの平面図である。
【図3】内箱本体を持ち上げた状態の図1のロースターの断面図である。
【図4】内箱における内箱本体の断面図である。
【図5】内箱におけるドレンパン部の断面図である。
【図6】バーナー受けの平面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】図6のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 テーブル
2 開口部
3 外箱
4 排気口
5 排気部
6 フィルター
7 内箱
8 吸引流路
9 内筒体
10 外筒体
12 内箱本体
13 ドレンパン部
14 段差部
18 内鍔部
20 連結筒
20a 連結筒
21 連通連結部
22 バーナー受け
23 バーナー
24 導入部
25 噴射ノズル
26 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルに形成した開口部に、上方開口状の外箱の上部を嵌合支持し、該外箱の底部中央に、該外箱の下部に配置された排気部への排気口を形成し、外箱の内底面に、排ガスが通過自在な中空筒状のフィルターを、上記排気口を取り囲む様に載置し、上方部位の内箱本体と下方部位のドレンパン部とに分割可能にした内箱を、ドレンパン部をフィルター上に、内箱本体をドレンパン部上に載置して、フィルター上に載置し、外箱と内箱間に吸引流路を形成し、上記内箱本体内の下部にバーナー受けを設け、該バーナー受け上にバーナーを載置したことを特徴とする無煙ロースター。
【請求項2】
上記フィルターは、内筒体と、該内筒体より高い外筒体と、内外筒体の間に充填された吸着材とを有し、ドレンパン部における底部より上方で上記外筒体の上端部との当接部位に段差部を周設したことを特徴とする請求項1記載の無煙ロースター。
【請求項3】
外箱及び内箱における内箱本体の一側に夫々に連結筒を貫通させると共に、該連結筒の外方突出部をオーバーラップさせて、外箱の外方と内箱の内方を連結開口した連通連結部を形成し、連通連結部内に上記バーナーの導入部の基端を挿通し、外箱の連結筒に設置された噴射ノズルをバーナーの導入部における中心線の延長線上に設置し、且つバーナーの導入部の基端面と外箱側の噴射ノズルの先端との間に僅かな隙間を設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の無煙ロースター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−94444(P2010−94444A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270135(P2008−270135)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(591031902)シンポ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】