無線システム、伝送装置、受信方法、プログラム
【課題】システムの少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証し、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避する。
【解決手段】本発明の無線システムは、各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線により伝送する2つのシステムと、送信モード切替器と、受信モード切替器と、を有する。2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、一方のシステムの受信機は、周波数を他方のシステムの周波数に変更し、送信モード切替器は、伝送信号を他方のシステムの送信機にのみに出力し、受信モード切替器は、2つのシステムの各々の受信機にて他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【解決手段】本発明の無線システムは、各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線により伝送する2つのシステムと、送信モード切替器と、受信モード切替器と、を有する。2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、一方のシステムの受信機は、周波数を他方のシステムの周波数に変更し、送信モード切替器は、伝送信号を他方のシステムの送信機にのみに出力し、受信モード切替器は、2つのシステムの各々の受信機にて他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線システム、伝送装置、受信方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イーサネット(登録商標)の高速化が進んでいる。これに伴い、イーサネットで伝送されるイーサネット信号を無線により伝送する無線システムにおいても、無線伝送の高速化を図る必要性が高まっている。
【0003】
無線伝送を高速化する方法の1つに、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3adで規定されているリンクアグリゲーション(Link Aggregation)と呼ばれる技術を利用する方法がある。リンクアグリゲーションは、複数の回線を束ねて、仮想的に1つ回線として扱う技術である。
【0004】
以下、リンクアグリゲーション技術を利用する無線システムについて、図9を参照して説明する(例えば、特許文献1参照)。ここでは、各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数(f1,f2)を使用して、イーサネット信号を無線により伝送する2系統のシステム(#1,#2)を設けた無線システムについて説明する。
【0005】
図9に示した無線システムは、イーサネット信号を無線により伝送する伝送装置100A,100Bを有している。
【0006】
伝送装置100Aは、送信機(#1,#2)121−1,121−2と、リンクアグリゲーション(TX:Transmit)回路122と、を有している。
【0007】
伝送装置100Bは、受信機(#1,#2)131−1,131−2と、リンクアグリゲーション(RX:Receive)回路132と、を有している。
【0008】
なお、図9においては、伝送装置100Aについては、送信側の構成のみを示し、また、伝送装置100Bについては、受信側の構成のみを示している。
【0009】
また、送信機(#1,#2)121−1,121−2および受信機(#1,#2)131−1,131−2の個々の伝送容量は、150Mbpsであるとする。
【0010】
伝送装置100Aでは、リンクアグリゲーション(TX)回路122は、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)121−1と送信機(#2)121−2とに分配して出力していく。
【0011】
送信機(#1)121−1は、自機に分配されたイーサネット信号を、周波数f1を使用して、無線により受信機(#1)131−1に送信する。また、送信機(#2)121−2は、自機に分配されたイーサネット信号を、周波数f2を使用して、無線により受信機(#2)131−2に送信する。
【0012】
一方、伝送装置100Bでは、受信機(#1)131−1は、周波数f1を使用して、送信機(#1)121−1A−1から無線により送信されてきたイーサネット信号を受信し出力する。また、受信機(#2)131−2は、周波数f2を使用して、送信機(#2)121−2から無線により送信されてきたイーサネット信号を受信し出力する。
【0013】
リンクアグリゲーション(RX)回路132は、受信機(#1,#2)131−1,131−2から出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する。
【0014】
したがって、図9に示した無線システムにおいては、送信機(#1,#2)121−1,121−2の個々の伝送容量(150Mbps)の2倍の伝送容量(300Mbps)に相当するスループット伝送を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−260904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、図9に示した無線システムには、以下のような課題がある。
【0017】
図10に示すように、システム(#1,#2)の双方が伝送不良になったとする。ここでは、伝送不良とは、受信品質レベルが閾値以下になって、受信信号を受信できない受信信号断状態になったことを指すものとする。この場合、無線システム全体として受信信号断状態になってしまう。
【0018】
また、システム(#1,#2)の一方が伝送不良になった場合には、他方のシステムのみで無線伝送を継続することになるため、受信品質の低下が懸念される。
【0019】
したがって、受信品質を保証し、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避するには、システムをもう1系統追加しなければならないという問題がある。
【0020】
そこで、本発明の目的は、上述の課題を解決し、システムの少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証し、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができる無線システム、伝送装置、受信方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の無線システムは、
各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線により伝送する2つのシステムと、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の送信モードに遷移し、伝送信号を前記2つのシステムの各々の送信機に分配して出力する送信モード切替器と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記送信モード切替器は、
第2の送信モードに遷移し、伝送信号を前記他方のシステムの送信機にのみに出力し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【0022】
本発明の伝送装置は、
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【0023】
本発明の受信方法は、
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有してなる伝送装置による受信方法であって、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を他方のシステムの周波数に変更するステップと、
前記受信モード切替器が、第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力するステップと、を有する。
【0024】
本発明のプログラムは、
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有してなる伝送装置に、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を他方のシステムの周波数に変更する手順と、
前記受信モード切替器が、第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、2つのシステムの双方が正常である場合、送信側では、伝送信号を2つの送信機に分配して出力し、受信側では、2つの受信機から出力された伝送信号を積み上げて出力する。
【0026】
したがって、送信機の個々の伝送容量の2倍の伝送容量に相当するスループット伝送を実現することができるという効果が得られる。
【0027】
また、一方のシステムが先に伝送不良になった場合、送信側では、伝送信号を他方のシステムの送信機にのみ出力し、受信側では、一方のシステムの受信機の周波数を他方のシステムの周波数に変更し、2つの受信機の各々にて他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【0028】
したがって、無線システムをスペースダイバーシティ(SD:Space Diversity)モードで動作させるのと同様になるため、受信品質は向上する。
【0029】
よって、2つのシステムの少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証することができるため、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の無線システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2A】図1に示した送信モード切替器の構成の一例を示すブロック図である。
【図2B】図2Aに示した送信モード切替器における、リンクアグリゲーション(TX)モード時の動作の一例を説明する図である。
【図2C】図2Aに示した送信モード切替器における、システム(#1)固定モード時の動作の一例を説明する図である。
【図2D】図2Aに示した送信モード切替器における、システム(#2)固定モード時の動作の一例を説明する図である。
【図3A】図1に示した受信モード切替器の構成の一例を示すブロック図である。
【図3B】図2Aに示した受信モード切替器における、リンクアグリゲーション(RX)モード時の動作の一例を説明する図である。
【図3C】図2Aに示した受信モード切替器における、ヒットレス切替モード時の動作の一例を説明する図である。
【図3D】図2Aに示した受信モード切替器における、ヒットレス切替モード時の動作の他の例を説明する図である。
【図4】図1に示した無線システムにおける、システム(#1,#2)の双方が正常である場合の動作の一例を説明する図である。
【図5】図1に示した無線システムにおける、システム(#2)が先に伝送不良になった場合の動作の一例を説明する図である。
【図6】図1に示した無線システムにおける、システム(#1)が先に伝送不良になった場合の動作の一例を説明する図である。
【図7】図1に示した無線システムにおける、SDモードから復帰する場合の動作の一例を説明する図である。
【図8】図1に示した無線システムの伝送状況の一例を説明する図である。
【図9】関連する無線システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図9に示した無線システムの伝送状況の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0032】
なお、以下の実施形態では、各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数(f1,f2)を使用して、イーサネット信号を無線により伝送する2系統(#1,#2)のシステムを設けた無線システムに対し、本発明を適用した例について説明する。
【0033】
(1)無線システムの構成
(1−1)無線システムの全体構成
まず、本実施形態の無線システムの全体構成について、図1を参照して説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の無線システムは、伝送信号であるイーサネット信号を無線により伝送する伝送装置10A,10Bを有している。
【0035】
伝送装置10Aは、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aと、送信モード切替器22Aと、を有している。
【0036】
伝送装置10Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bと、受信モード切替器32Bと、を有している。
【0037】
なお、図1においては、伝送装置10Aについては、送信側の構成のみを示し、また、伝送装置10Bについては、受信側の構成のみを示しているが、後述するように、伝送装置10Aの受信側には、伝送装置10Bの受信側と同様の構成要素が設けられ、また、伝送装置10Bの送信側には、伝送装置10Aの送信側と同様の構成要素が設けられているものとする。
【0038】
また、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aおよび受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bの個々の伝送容量は、150Mbpsであるとする。
【0039】
また、送信機(#1)21−1Aおよび受信機(#1)31−1Bは、周波数f1を使用して無線伝送を行い、また、送信機(#2)21−2Aおよび受信機(#2)31−2Bは、周波数f2を使用して無線伝送を行うものとする。
【0040】
ただし、本実施形態では、システム(#1,#2)の伝送不良の状況に応じて、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bは周波数を変更可能である。
【0041】
また、システム(#1,#2)の伝送不良の状況に応じて、送信モード切替器22Aは送信モードが切り替わり、また、受信モード切替器32Bは受信モードが切り替わる。
【0042】
なお、システム(#1,#2)が伝送不良であるか否かを判断する方法としては、伝送状況や機器の故障状況を利用して判断する方法がある。
【0043】
伝送状況を利用する方法としては、例えば、受信機にて受信された無線信号のRSL(Received Signal Level:受信信号レベル)、BER(Bit Error Rate:ビット誤り率)、または波形歪み量に応じて受信品質レベルを定義し、受信品質レベルが閾値以下である場合に、伝送不良と判断する方法がある。この場合、伝送不良の判断は、受信機にて行うことができる。なお、RSLやBERの測定方法や、波形歪み量の計算方法は、特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。
【0044】
また、機器の故障状況を利用する方法としては、例えば、システムを構成する機器が故障によりアラームを報知した場合に、伝送不良と判断する方法がある。この場合、伝送不良の判断は、故障した機器以外の各々の機器にてアラームを検知することにより行うことができる。
【0045】
本実施形態では、送信側の送信モードとして、以下の(A)〜(C)がある。
【0046】
(A)リンクアグリゲーション(TX)モード(第1の送信モード)
送信モード切替器22Aは、システム(#1,#2)の双方が正常(伝送不良が発生していない状況。以下、同じ)である場合に、本モードに遷移する。
【0047】
本モードでは、送信モード切替器22Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく。
【0048】
(B)システム(#1)固定モード(第2の送信モード)
送信モード切替器22Aは、システム(#2)がシステム(#1)よりも先に伝送不良になった場合に(システム(#2)のみが伝送不良になった場合と、システム(#2)に続いてシステム(#1)も伝送不良になった場合と、を含む。以下、同じ)、本モードに遷移する。
【0049】
本モードでは、送信モード切替器22Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#1)21−1Aに出力していく。
【0050】
(C)システム(#2)固定モード(第2の送信モード)
送信モード切替器22Aは、システム(#1)がシステム(#2)よりも先に伝送不良になった場合に(システム(#1)のみが伝送不良になった場合と、システム(#1)に続いてシステム(#2)も伝送不良になった場合と、を含む。以下、同じ)、本モードに遷移する。
【0051】
本モードでは、送信モード切替器22Aは、入力端子を送信機(#2)21−2Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#2)21−2Aに出力していく。
【0052】
一方、受信側の受信モードとして、以下の(a)、(b)がある。
【0053】
(a)リンクアグリゲーション(RX)モード(第1の受信モード)
受信モード切替器32Bは、システム(#1,#2)の双方が正常である場合に、本モードに遷移する。
【0054】
本モードでは、受信モード切替器32Bは、出力端子を受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続し、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する。
【0055】
したがって、本モードでは、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aの個々の伝送容量(150Mbps)の2倍の伝送容量(300Mbps)に相当するスループット伝送を実現することができる。
【0056】
(b)ヒットレス切替モード(第2の受信モード)
受信モード切替器32Bは、システム(#1,#2)の少なくとも一方が伝送不良である場合に、本モードに遷移する。この場合、システム(#1,#2)のうち先に伝送不良になったシステムの受信機は、周波数を他方のシステムの周波数に変更している。
【0057】
本モードでは、例えば、システム(#2)が先に伝送不良になった場合、受信モード切替器32Bは、出力端子を受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。
【0058】
このとき、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bの双方が、周波数f1を使用して、送信機(#1)21−1Aから無線により送信されてきたイーサネット信号を受信している。
【0059】
そのため、受信モード切替器32Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベル(RSL、BER、または波形歪み量に応じたレベル)が高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択して、出力端子から出力する。
【0060】
一方、システム(#1)が先に伝送不良になった場合、受信モード切替器32Bは、出力端子を受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。
【0061】
このとき、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bの双方が、周波数f2を使用して、送信機(#2)21−2Aから無線により送信されてきたイーサネット信号を受信している。
【0062】
そのため、受信モード切替器32Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択して、出力端子から出力する。
【0063】
したがって、本モードでは、無線システムをスペースダイバーシティ(SD:Space Diversity)モードで動作させるのと同様になるため、受信品質は向上する。
【0064】
よって、システムの少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証することができるため、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができる。
【0065】
(1−2)送信モード切替器22Aの構成
次に、送信モード切替器22Aの構成について、図2A〜図2Dを参照して説明する。
【0066】
図2Aに示すように、送信モード切替器22Aは、リンクアグリゲーション(TX)回路(図中“Link AGR(TX)”と表記)23Aを有している。
【0067】
図2Bに示すように、上記(A)のリンクアグリゲーション(TX)モードでは、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく。
【0068】
図2Cに示すように、上記(B)のシステム(#1)固定モードでは、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#1)21−1Aに出力していく。
【0069】
図2Dに示すように、上記(C)のシステム(#2)固定モードでは、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#2)21−2Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#2)21−2Aに出力していく。
【0070】
(1−3)受信モード切替器32Bの構成
次に、受信モード切替器32Bの構成について、図3A〜図3Dを参照して説明する。
【0071】
図3Aに示すように、受信モード切替器32Bは、ヒットレス切替器(図中“HL SW”と表記)(#1,#2)33−1B,33−2Bと、リンクアグリゲーション(RX)回路(図中“Link AGR(RX)”と表記)34Bと、を有している。
【0072】
図3Bに示すように、上記(a)のリンクアグリゲーション(RX)モードでは、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bおよびヒットレス切替器(#2)33−2Bの双方に接続し、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する。
【0073】
図3Cに示すように、上記(b)のヒットレス切替モードにおいて、システム(#2)が先に伝送不良になっていた場合には、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。そして、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#1)33−1Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する。
【0074】
図3Dに示すように、上記(b)のヒットレス切替モードにおいて、システム(#1)が先に伝送不良になっていた場合には、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#2)33−2Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。そして、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#2)33−2Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する。
【0075】
(2)無線システムの動作
以下、本実施形態の無線システムの動作について、図4〜図7を参照して説明する。
【0076】
なお、図4〜図7においては、図1には図示していない伝送装置10Aの受信側および伝送装置10Bの送信側の構成要素も図示している。
【0077】
具体的には、伝送装置10Aの受信側には、伝送装置10Bの受信側と同様に、受信機(#1’,#2’)31−1’A,31−2’Aと、ヒットレス切替器(#1’,#2’)33−1’A,33−2’Aおよびリンクアグリゲーション(RX)回路34Aからなる受信モード切替器32Aと、が設けられている。
【0078】
また、伝送装置10Bの送信側には、伝送装置10Aの送信側と同様に、送信機(#1’,#2’)21−1’B,21−2’Bと、リンクアグリゲーション(TX)回路23Bからなる送信モード切替器22Bと、が設けられている。
【0079】
(2−1)システム(#1,#2)の双方が正常である場合の動作
まず、システム(#1,#2)の双方が正常である場合の動作について、図4を参照して説明する。
【0080】
この場合、伝送装置10Aでは、送信モード切替器22Aは、上記(A)のリンクアグリゲーション(TX)モードに遷移する。
【0081】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し(ステップS11)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく(ステップS12)。
【0082】
一方、伝送装置10Bでは、受信機(#1)31−1Bの周波数はf1のままで、受信機(#2)31−2Bの周波数はf2のままとなる(ステップS13)。
【0083】
また、受信モード切替器32Bは、上記(a)のリンクアグリゲーション(RX)モードに遷移する。
【0084】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bおよびヒットレス切替器(#2)33−2Bの双方に接続し(ステップS14)、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する(ステップS15)。
【0085】
(2−2)システム(#2)が先に伝送不良になった場合の動作
次に、システム(#2)が先に伝送不良になった場合の動作について、図5を参照して説明する。ここでは、受信機(#2)31−2Bが、システム(#2)の伝送状況を基に伝送不良を検出するものとして説明する。
【0086】
システム(#2)が先に伝送不良になった場合(ステップS21)、受信機(#2)31−2Bがこれを検出し、周波数をf2からf1に切り替える(ステップS22)。
【0087】
また、受信モード切替器32Bは、上記(b)のヒットレス切替モードに遷移する。
【0088】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する(ステップS23)。また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#1)31−1Bに対し、システム(#1)の伝送不良を検出しても周波数をf1のまま継続するよう指示する。
【0089】
また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、システム(#2)が伝送不良になったことを示す情報をDSC(Digital Service Channel)信号に変換し、DSCを介して送信機(#1’)21−1’Bに転送する(ステップS24)。
【0090】
そして、送信機(#1’)21−1’Bは、DSC信号を、周波数f1’を使用して、無線により伝送装置10Aの受信機(#1’)31−1’Aに送信し(ステップS25)、受信機(#1’)31−1’Aは、DSC信号を、DSCを介して送信モード切替器22Aに転送する(ステップS26)。
【0091】
送信モード切替器22Aは、DSC信号を受けて、上記(B)のシステム(#1)固定モードに遷移する。
【0092】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aにのみ接続し(ステップS27)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#1)21−1Aに出力していく(ステップS28)。
【0093】
以降、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#1)33−1Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する(ステップS29)。
【0094】
したがって、無線システムは、SDモードに移行することになる。この状態は、以降に、システム(#1)が伝送不良になったか否かにかかわらず、後述する正常モード(送信側および受信側の双方がリンクアグリゲーションモード。以下、同じ)へ復帰するための条件が満たされるまで継続される。
【0095】
(2−3)システム(#1)が先に伝送不良になった場合の動作
次に、システム(#1)が先に伝送不良になった場合の動作について、図6を参照して説明する。ここでは、受信機(#1)31−1Bが、システム(#1)の伝送状況を基に伝送不良を検出するものとして説明する。
【0096】
システム(#1)が先に伝送不良になった場合(ステップS31)、受信機(#1)31−1Bがこれを検出し、周波数をf1からf2に切り替える(ステップS32)。
【0097】
また、受信モード切替器32Bは、上記(b)のヒットレス切替モードに遷移する。
【0098】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#2)33−2Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する(ステップS33)。また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#2)31−2Bに対し、システム(#2)の伝送不良を検出しても周波数をf2のまま継続するよう指示する。
【0099】
また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、システム(#1)が伝送不良になったことを示す情報をDSC信号に変換し、DSCを介して送信機(#2’)21−2’Bに転送する(ステップS34)。
【0100】
そして、送信機(#2’)21−2’Bは、DSC信号を、周波数f2’を使用して、無線により伝送装置10Aの受信機(#2’)31−2’Aに送信し(ステップS35)、受信機(#2’)31−2’Aは、DSC信号を、DSCを介して送信モード切替器22Aに転送する(ステップS36)。
【0101】
送信モード切替器22Aは、DSC信号を受けて、上記(B)のシステム(#2)固定モードに遷移する。
【0102】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#2)21−2Aにのみ接続し(ステップS37)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#2)21−2Aに出力していく(ステップS38)。
【0103】
以降、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#2)33−2Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する(ステップS39)。
【0104】
したがって、無線システムは、SDモードで動作を行うことになる。この状態は、以降に、システム(#2)が伝送不良になったか否かにかかわらず、後述する正常モードへ復帰するための条件が満たされるまで継続される。
【0105】
(2−4)SDモードから復帰する場合の動作
次に、SDモードから復帰する場合の動作について、図7を参照して説明する。ここでは、上記(2−2)において、システム(#2)の伝送状況に基づく伝送不良の検出を契機に移行したSDモード(図5の下段)から復帰する場合の動作について説明する。
【0106】
システム(#1,#2)の双方が正常な状態が一定時間(例えば、5分間)継続した場合(ステップS41)、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bが、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bを介してこれを検出する。そして、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#1)31−1Bに対し、周波数f1の継続指示を解除し、また、受信機(#2)31−2Bに対し、周波数をf1からf2に戻すよう指示する(ステップS42)。
【0107】
また、受信モード切替器32Bは、上記(a)のリンクアグリゲーション(RX)モードに戻る。
【0108】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bおよびヒットレス切替器(#2)33−2Bの双方に接続する(ステップS43)。
【0109】
また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、システム(#1,#2)の双方が正常な状態になったことを示す情報をDSC信号に変換し、DSCを介して送信機(#1’)21−1’Bに転送する(ステップS44)。
【0110】
そして、送信機(#1’)21−1’Bは、DSC信号を、周波数f1’を使用して、無線により伝送装置10Aの受信機(#1’)31−1’Aに送信し(ステップS45)、受信機(#1’)31−1’Aは、DSC信号を、DSCを介して送信モード切替器22Aに転送する(ステップS46)。
【0111】
送信モード切替器22Aは、DSC信号を受けて、上記(A)のリンクアグリゲーション(TX)モードに戻る。
【0112】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し(ステップS47)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく(ステップS48)。
【0113】
以降、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する(ステップS49)。
【0114】
したがって、無線システムは、正常モードに移行することになる。
【0115】
なお、上記(2−3)のSDモード(図6の下段)から復帰する場合の動作は、略同様であるため、説明を省略する。
【0116】
上述したように本実施形態では、システム(#1,#2)の双方が正常である場合、通信装置10Aの送信側では、イーサネット信号を送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力し、通信装置10Bの受信側では、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて出力する。
【0117】
したがって、この場合は、図8に示すように、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aの個々の伝送容量(150Mbps)の2倍の伝送容量(300Mbps)に相当するスループット伝送を実現することができる。
【0118】
一方、システム(#1,#2)の少なくとも一方が伝送不良である場合、例えば、システム(#2)が先に伝送不良になっていれば、通信装置10Aの送信側では、イーサネット信号を送信機(#1)21−1Aにのみ出力し、通信装置10Bの受信側では、受信機(#1)の周波数をf1からf2に変更し、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち受信品質レベルが高い方から出力されたイーサネット信号を選択して出力する。
【0119】
したがって、この場合は、図8に示すように、無線システムをSDモードで動作させるのと同様になるため、受信品質は向上する。
【0120】
よって、システム(#1,#2)の少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証することができるため、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができる。
【0121】
なお、本実施形態では、SDモードから復帰する条件を、システム(#1,#2)の双方が正常な状態が一定時間継続したこととしたが、本発明はこれに限定されない。
【0122】
例えば、波形歪み量が閾値以下になった(すなわち伝送不良になった)ことを契機にSDモードに移行した場合には、以降に、波形歪み量が閾値を超えたことを条件に、SDモードから復帰することとしてもよい。
【0123】
この場合、システム(#2)が先に伝送不良になっていれば、受信機(#2)31−2Bが、周波数をf1に変更してから一定時間経過後に、周波数をf2に一時的に戻して波形歪み量を再計算し、再計算した波形歪み量が閾値を超えていれば、SDモードから復帰すればよい。なお、再計算した波形歪み量がなお閾値以下であれば、受信機(#2)31−2Bは、周波数をf1のままとし、SDモードを継続することになる。
【0124】
また、本実施形態では、送信機(#1)21−1A、送信機(#2)21−2A、および送信モード切替器22Aが、同一の伝送装置10Aに設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、別個独立した装置に設けられていてもよい。
【0125】
同様に、受信機(#1)31−1B、受信機(#2)31−2B、および受信モード切替器32Bが、同一の伝送装置10Bに設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、別個独立した装置に設けられていてもよい。
【0126】
また、本実施形態では、2系統のシステム(#1,#2)が設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、システムの数は複数であればよい。
【0127】
この場合、SDモード時の周波数は、伝送不良になったシステム以外のシステムの周波数の中から任意の周波数を選択すればよい。この場合の周波数の選択方法としては、各システムの優先順位を予め決めておき、伝送不良になったシステム以外のシステムの中から最も優先順位が高いシステムの周波数を選択する方法等が考えられる。
【0128】
また、本発明の伝送装置10A,10Bにて行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能であり、ネットワークを介して外部に提供することも可能である。
【符号の説明】
【0129】
10A,10B 伝送装置
21−1A,21−2A,21−1’B,21−2’B 送信機
22A,22B 送信モード切替器
23A,23B リンクアグリゲーション(TX)回路
31−1B,31−2B,31−1’A,31−2’A 受信機
32B,32A 受信モード切替器
33−1B,33−2B,33−1’A,33−2’A ヒットレス切替器
34B,34A リンクアグリゲーション(RX)回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線システム、伝送装置、受信方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イーサネット(登録商標)の高速化が進んでいる。これに伴い、イーサネットで伝送されるイーサネット信号を無線により伝送する無線システムにおいても、無線伝送の高速化を図る必要性が高まっている。
【0003】
無線伝送を高速化する方法の1つに、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3adで規定されているリンクアグリゲーション(Link Aggregation)と呼ばれる技術を利用する方法がある。リンクアグリゲーションは、複数の回線を束ねて、仮想的に1つ回線として扱う技術である。
【0004】
以下、リンクアグリゲーション技術を利用する無線システムについて、図9を参照して説明する(例えば、特許文献1参照)。ここでは、各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数(f1,f2)を使用して、イーサネット信号を無線により伝送する2系統のシステム(#1,#2)を設けた無線システムについて説明する。
【0005】
図9に示した無線システムは、イーサネット信号を無線により伝送する伝送装置100A,100Bを有している。
【0006】
伝送装置100Aは、送信機(#1,#2)121−1,121−2と、リンクアグリゲーション(TX:Transmit)回路122と、を有している。
【0007】
伝送装置100Bは、受信機(#1,#2)131−1,131−2と、リンクアグリゲーション(RX:Receive)回路132と、を有している。
【0008】
なお、図9においては、伝送装置100Aについては、送信側の構成のみを示し、また、伝送装置100Bについては、受信側の構成のみを示している。
【0009】
また、送信機(#1,#2)121−1,121−2および受信機(#1,#2)131−1,131−2の個々の伝送容量は、150Mbpsであるとする。
【0010】
伝送装置100Aでは、リンクアグリゲーション(TX)回路122は、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)121−1と送信機(#2)121−2とに分配して出力していく。
【0011】
送信機(#1)121−1は、自機に分配されたイーサネット信号を、周波数f1を使用して、無線により受信機(#1)131−1に送信する。また、送信機(#2)121−2は、自機に分配されたイーサネット信号を、周波数f2を使用して、無線により受信機(#2)131−2に送信する。
【0012】
一方、伝送装置100Bでは、受信機(#1)131−1は、周波数f1を使用して、送信機(#1)121−1A−1から無線により送信されてきたイーサネット信号を受信し出力する。また、受信機(#2)131−2は、周波数f2を使用して、送信機(#2)121−2から無線により送信されてきたイーサネット信号を受信し出力する。
【0013】
リンクアグリゲーション(RX)回路132は、受信機(#1,#2)131−1,131−2から出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する。
【0014】
したがって、図9に示した無線システムにおいては、送信機(#1,#2)121−1,121−2の個々の伝送容量(150Mbps)の2倍の伝送容量(300Mbps)に相当するスループット伝送を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−260904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、図9に示した無線システムには、以下のような課題がある。
【0017】
図10に示すように、システム(#1,#2)の双方が伝送不良になったとする。ここでは、伝送不良とは、受信品質レベルが閾値以下になって、受信信号を受信できない受信信号断状態になったことを指すものとする。この場合、無線システム全体として受信信号断状態になってしまう。
【0018】
また、システム(#1,#2)の一方が伝送不良になった場合には、他方のシステムのみで無線伝送を継続することになるため、受信品質の低下が懸念される。
【0019】
したがって、受信品質を保証し、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避するには、システムをもう1系統追加しなければならないという問題がある。
【0020】
そこで、本発明の目的は、上述の課題を解決し、システムの少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証し、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができる無線システム、伝送装置、受信方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の無線システムは、
各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線により伝送する2つのシステムと、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の送信モードに遷移し、伝送信号を前記2つのシステムの各々の送信機に分配して出力する送信モード切替器と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記送信モード切替器は、
第2の送信モードに遷移し、伝送信号を前記他方のシステムの送信機にのみに出力し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【0022】
本発明の伝送装置は、
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【0023】
本発明の受信方法は、
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有してなる伝送装置による受信方法であって、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を他方のシステムの周波数に変更するステップと、
前記受信モード切替器が、第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力するステップと、を有する。
【0024】
本発明のプログラムは、
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有してなる伝送装置に、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を他方のシステムの周波数に変更する手順と、
前記受信モード切替器が、第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、2つのシステムの双方が正常である場合、送信側では、伝送信号を2つの送信機に分配して出力し、受信側では、2つの受信機から出力された伝送信号を積み上げて出力する。
【0026】
したがって、送信機の個々の伝送容量の2倍の伝送容量に相当するスループット伝送を実現することができるという効果が得られる。
【0027】
また、一方のシステムが先に伝送不良になった場合、送信側では、伝送信号を他方のシステムの送信機にのみ出力し、受信側では、一方のシステムの受信機の周波数を他方のシステムの周波数に変更し、2つの受信機の各々にて他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する。
【0028】
したがって、無線システムをスペースダイバーシティ(SD:Space Diversity)モードで動作させるのと同様になるため、受信品質は向上する。
【0029】
よって、2つのシステムの少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証することができるため、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の無線システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2A】図1に示した送信モード切替器の構成の一例を示すブロック図である。
【図2B】図2Aに示した送信モード切替器における、リンクアグリゲーション(TX)モード時の動作の一例を説明する図である。
【図2C】図2Aに示した送信モード切替器における、システム(#1)固定モード時の動作の一例を説明する図である。
【図2D】図2Aに示した送信モード切替器における、システム(#2)固定モード時の動作の一例を説明する図である。
【図3A】図1に示した受信モード切替器の構成の一例を示すブロック図である。
【図3B】図2Aに示した受信モード切替器における、リンクアグリゲーション(RX)モード時の動作の一例を説明する図である。
【図3C】図2Aに示した受信モード切替器における、ヒットレス切替モード時の動作の一例を説明する図である。
【図3D】図2Aに示した受信モード切替器における、ヒットレス切替モード時の動作の他の例を説明する図である。
【図4】図1に示した無線システムにおける、システム(#1,#2)の双方が正常である場合の動作の一例を説明する図である。
【図5】図1に示した無線システムにおける、システム(#2)が先に伝送不良になった場合の動作の一例を説明する図である。
【図6】図1に示した無線システムにおける、システム(#1)が先に伝送不良になった場合の動作の一例を説明する図である。
【図7】図1に示した無線システムにおける、SDモードから復帰する場合の動作の一例を説明する図である。
【図8】図1に示した無線システムの伝送状況の一例を説明する図である。
【図9】関連する無線システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図9に示した無線システムの伝送状況の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0032】
なお、以下の実施形態では、各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数(f1,f2)を使用して、イーサネット信号を無線により伝送する2系統(#1,#2)のシステムを設けた無線システムに対し、本発明を適用した例について説明する。
【0033】
(1)無線システムの構成
(1−1)無線システムの全体構成
まず、本実施形態の無線システムの全体構成について、図1を参照して説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の無線システムは、伝送信号であるイーサネット信号を無線により伝送する伝送装置10A,10Bを有している。
【0035】
伝送装置10Aは、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aと、送信モード切替器22Aと、を有している。
【0036】
伝送装置10Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bと、受信モード切替器32Bと、を有している。
【0037】
なお、図1においては、伝送装置10Aについては、送信側の構成のみを示し、また、伝送装置10Bについては、受信側の構成のみを示しているが、後述するように、伝送装置10Aの受信側には、伝送装置10Bの受信側と同様の構成要素が設けられ、また、伝送装置10Bの送信側には、伝送装置10Aの送信側と同様の構成要素が設けられているものとする。
【0038】
また、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aおよび受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bの個々の伝送容量は、150Mbpsであるとする。
【0039】
また、送信機(#1)21−1Aおよび受信機(#1)31−1Bは、周波数f1を使用して無線伝送を行い、また、送信機(#2)21−2Aおよび受信機(#2)31−2Bは、周波数f2を使用して無線伝送を行うものとする。
【0040】
ただし、本実施形態では、システム(#1,#2)の伝送不良の状況に応じて、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bは周波数を変更可能である。
【0041】
また、システム(#1,#2)の伝送不良の状況に応じて、送信モード切替器22Aは送信モードが切り替わり、また、受信モード切替器32Bは受信モードが切り替わる。
【0042】
なお、システム(#1,#2)が伝送不良であるか否かを判断する方法としては、伝送状況や機器の故障状況を利用して判断する方法がある。
【0043】
伝送状況を利用する方法としては、例えば、受信機にて受信された無線信号のRSL(Received Signal Level:受信信号レベル)、BER(Bit Error Rate:ビット誤り率)、または波形歪み量に応じて受信品質レベルを定義し、受信品質レベルが閾値以下である場合に、伝送不良と判断する方法がある。この場合、伝送不良の判断は、受信機にて行うことができる。なお、RSLやBERの測定方法や、波形歪み量の計算方法は、特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。
【0044】
また、機器の故障状況を利用する方法としては、例えば、システムを構成する機器が故障によりアラームを報知した場合に、伝送不良と判断する方法がある。この場合、伝送不良の判断は、故障した機器以外の各々の機器にてアラームを検知することにより行うことができる。
【0045】
本実施形態では、送信側の送信モードとして、以下の(A)〜(C)がある。
【0046】
(A)リンクアグリゲーション(TX)モード(第1の送信モード)
送信モード切替器22Aは、システム(#1,#2)の双方が正常(伝送不良が発生していない状況。以下、同じ)である場合に、本モードに遷移する。
【0047】
本モードでは、送信モード切替器22Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく。
【0048】
(B)システム(#1)固定モード(第2の送信モード)
送信モード切替器22Aは、システム(#2)がシステム(#1)よりも先に伝送不良になった場合に(システム(#2)のみが伝送不良になった場合と、システム(#2)に続いてシステム(#1)も伝送不良になった場合と、を含む。以下、同じ)、本モードに遷移する。
【0049】
本モードでは、送信モード切替器22Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#1)21−1Aに出力していく。
【0050】
(C)システム(#2)固定モード(第2の送信モード)
送信モード切替器22Aは、システム(#1)がシステム(#2)よりも先に伝送不良になった場合に(システム(#1)のみが伝送不良になった場合と、システム(#1)に続いてシステム(#2)も伝送不良になった場合と、を含む。以下、同じ)、本モードに遷移する。
【0051】
本モードでは、送信モード切替器22Aは、入力端子を送信機(#2)21−2Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#2)21−2Aに出力していく。
【0052】
一方、受信側の受信モードとして、以下の(a)、(b)がある。
【0053】
(a)リンクアグリゲーション(RX)モード(第1の受信モード)
受信モード切替器32Bは、システム(#1,#2)の双方が正常である場合に、本モードに遷移する。
【0054】
本モードでは、受信モード切替器32Bは、出力端子を受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続し、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する。
【0055】
したがって、本モードでは、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aの個々の伝送容量(150Mbps)の2倍の伝送容量(300Mbps)に相当するスループット伝送を実現することができる。
【0056】
(b)ヒットレス切替モード(第2の受信モード)
受信モード切替器32Bは、システム(#1,#2)の少なくとも一方が伝送不良である場合に、本モードに遷移する。この場合、システム(#1,#2)のうち先に伝送不良になったシステムの受信機は、周波数を他方のシステムの周波数に変更している。
【0057】
本モードでは、例えば、システム(#2)が先に伝送不良になった場合、受信モード切替器32Bは、出力端子を受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。
【0058】
このとき、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bの双方が、周波数f1を使用して、送信機(#1)21−1Aから無線により送信されてきたイーサネット信号を受信している。
【0059】
そのため、受信モード切替器32Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベル(RSL、BER、または波形歪み量に応じたレベル)が高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択して、出力端子から出力する。
【0060】
一方、システム(#1)が先に伝送不良になった場合、受信モード切替器32Bは、出力端子を受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。
【0061】
このとき、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bの双方が、周波数f2を使用して、送信機(#2)21−2Aから無線により送信されてきたイーサネット信号を受信している。
【0062】
そのため、受信モード切替器32Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択して、出力端子から出力する。
【0063】
したがって、本モードでは、無線システムをスペースダイバーシティ(SD:Space Diversity)モードで動作させるのと同様になるため、受信品質は向上する。
【0064】
よって、システムの少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証することができるため、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができる。
【0065】
(1−2)送信モード切替器22Aの構成
次に、送信モード切替器22Aの構成について、図2A〜図2Dを参照して説明する。
【0066】
図2Aに示すように、送信モード切替器22Aは、リンクアグリゲーション(TX)回路(図中“Link AGR(TX)”と表記)23Aを有している。
【0067】
図2Bに示すように、上記(A)のリンクアグリゲーション(TX)モードでは、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく。
【0068】
図2Cに示すように、上記(B)のシステム(#1)固定モードでは、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#1)21−1Aに出力していく。
【0069】
図2Dに示すように、上記(C)のシステム(#2)固定モードでは、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#2)21−2Aにのみ接続し、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#2)21−2Aに出力していく。
【0070】
(1−3)受信モード切替器32Bの構成
次に、受信モード切替器32Bの構成について、図3A〜図3Dを参照して説明する。
【0071】
図3Aに示すように、受信モード切替器32Bは、ヒットレス切替器(図中“HL SW”と表記)(#1,#2)33−1B,33−2Bと、リンクアグリゲーション(RX)回路(図中“Link AGR(RX)”と表記)34Bと、を有している。
【0072】
図3Bに示すように、上記(a)のリンクアグリゲーション(RX)モードでは、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bおよびヒットレス切替器(#2)33−2Bの双方に接続し、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する。
【0073】
図3Cに示すように、上記(b)のヒットレス切替モードにおいて、システム(#2)が先に伝送不良になっていた場合には、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。そして、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#1)33−1Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する。
【0074】
図3Dに示すように、上記(b)のヒットレス切替モードにおいて、システム(#1)が先に伝送不良になっていた場合には、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#2)33−2Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する。そして、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#2)33−2Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する。
【0075】
(2)無線システムの動作
以下、本実施形態の無線システムの動作について、図4〜図7を参照して説明する。
【0076】
なお、図4〜図7においては、図1には図示していない伝送装置10Aの受信側および伝送装置10Bの送信側の構成要素も図示している。
【0077】
具体的には、伝送装置10Aの受信側には、伝送装置10Bの受信側と同様に、受信機(#1’,#2’)31−1’A,31−2’Aと、ヒットレス切替器(#1’,#2’)33−1’A,33−2’Aおよびリンクアグリゲーション(RX)回路34Aからなる受信モード切替器32Aと、が設けられている。
【0078】
また、伝送装置10Bの送信側には、伝送装置10Aの送信側と同様に、送信機(#1’,#2’)21−1’B,21−2’Bと、リンクアグリゲーション(TX)回路23Bからなる送信モード切替器22Bと、が設けられている。
【0079】
(2−1)システム(#1,#2)の双方が正常である場合の動作
まず、システム(#1,#2)の双方が正常である場合の動作について、図4を参照して説明する。
【0080】
この場合、伝送装置10Aでは、送信モード切替器22Aは、上記(A)のリンクアグリゲーション(TX)モードに遷移する。
【0081】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し(ステップS11)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく(ステップS12)。
【0082】
一方、伝送装置10Bでは、受信機(#1)31−1Bの周波数はf1のままで、受信機(#2)31−2Bの周波数はf2のままとなる(ステップS13)。
【0083】
また、受信モード切替器32Bは、上記(a)のリンクアグリゲーション(RX)モードに遷移する。
【0084】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bおよびヒットレス切替器(#2)33−2Bの双方に接続し(ステップS14)、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する(ステップS15)。
【0085】
(2−2)システム(#2)が先に伝送不良になった場合の動作
次に、システム(#2)が先に伝送不良になった場合の動作について、図5を参照して説明する。ここでは、受信機(#2)31−2Bが、システム(#2)の伝送状況を基に伝送不良を検出するものとして説明する。
【0086】
システム(#2)が先に伝送不良になった場合(ステップS21)、受信機(#2)31−2Bがこれを検出し、周波数をf2からf1に切り替える(ステップS22)。
【0087】
また、受信モード切替器32Bは、上記(b)のヒットレス切替モードに遷移する。
【0088】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する(ステップS23)。また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#1)31−1Bに対し、システム(#1)の伝送不良を検出しても周波数をf1のまま継続するよう指示する。
【0089】
また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、システム(#2)が伝送不良になったことを示す情報をDSC(Digital Service Channel)信号に変換し、DSCを介して送信機(#1’)21−1’Bに転送する(ステップS24)。
【0090】
そして、送信機(#1’)21−1’Bは、DSC信号を、周波数f1’を使用して、無線により伝送装置10Aの受信機(#1’)31−1’Aに送信し(ステップS25)、受信機(#1’)31−1’Aは、DSC信号を、DSCを介して送信モード切替器22Aに転送する(ステップS26)。
【0091】
送信モード切替器22Aは、DSC信号を受けて、上記(B)のシステム(#1)固定モードに遷移する。
【0092】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aにのみ接続し(ステップS27)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#1)21−1Aに出力していく(ステップS28)。
【0093】
以降、ヒットレス切替器(#1)33−1Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#1)33−1Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する(ステップS29)。
【0094】
したがって、無線システムは、SDモードに移行することになる。この状態は、以降に、システム(#1)が伝送不良になったか否かにかかわらず、後述する正常モード(送信側および受信側の双方がリンクアグリゲーションモード。以下、同じ)へ復帰するための条件が満たされるまで継続される。
【0095】
(2−3)システム(#1)が先に伝送不良になった場合の動作
次に、システム(#1)が先に伝送不良になった場合の動作について、図6を参照して説明する。ここでは、受信機(#1)31−1Bが、システム(#1)の伝送状況を基に伝送不良を検出するものとして説明する。
【0096】
システム(#1)が先に伝送不良になった場合(ステップS31)、受信機(#1)31−1Bがこれを検出し、周波数をf1からf2に切り替える(ステップS32)。
【0097】
また、受信モード切替器32Bは、上記(b)のヒットレス切替モードに遷移する。
【0098】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#2)33−2Bにのみ接続し、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bの双方に接続する(ステップS33)。また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#2)31−2Bに対し、システム(#2)の伝送不良を検出しても周波数をf2のまま継続するよう指示する。
【0099】
また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、システム(#1)が伝送不良になったことを示す情報をDSC信号に変換し、DSCを介して送信機(#2’)21−2’Bに転送する(ステップS34)。
【0100】
そして、送信機(#2’)21−2’Bは、DSC信号を、周波数f2’を使用して、無線により伝送装置10Aの受信機(#2’)31−2’Aに送信し(ステップS35)、受信機(#2’)31−2’Aは、DSC信号を、DSCを介して送信モード切替器22Aに転送する(ステップS36)。
【0101】
送信モード切替器22Aは、DSC信号を受けて、上記(B)のシステム(#2)固定モードに遷移する。
【0102】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#2)21−2Aにのみ接続し(ステップS37)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、送信機(#2)21−2Aに出力していく(ステップS38)。
【0103】
以降、ヒットレス切替器(#2)33−2Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち、受信品質レベルが高い方の受信機から出力されたイーサネット信号を選択し、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、ヒットレス切替器(#2)33−2Bにて選択されたイーサネット信号を出力端子から出力する(ステップS39)。
【0104】
したがって、無線システムは、SDモードで動作を行うことになる。この状態は、以降に、システム(#2)が伝送不良になったか否かにかかわらず、後述する正常モードへ復帰するための条件が満たされるまで継続される。
【0105】
(2−4)SDモードから復帰する場合の動作
次に、SDモードから復帰する場合の動作について、図7を参照して説明する。ここでは、上記(2−2)において、システム(#2)の伝送状況に基づく伝送不良の検出を契機に移行したSDモード(図5の下段)から復帰する場合の動作について説明する。
【0106】
システム(#1,#2)の双方が正常な状態が一定時間(例えば、5分間)継続した場合(ステップS41)、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bが、受信機(#1)31−1Bおよび受信機(#2)31−2Bを介してこれを検出する。そして、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#1)31−1Bに対し、周波数f1の継続指示を解除し、また、受信機(#2)31−2Bに対し、周波数をf1からf2に戻すよう指示する(ステップS42)。
【0107】
また、受信モード切替器32Bは、上記(a)のリンクアグリゲーション(RX)モードに戻る。
【0108】
すなわち、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、出力端子をヒットレス切替器(#1)33−1Bおよびヒットレス切替器(#2)33−2Bの双方に接続する(ステップS43)。
【0109】
また、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、システム(#1,#2)の双方が正常な状態になったことを示す情報をDSC信号に変換し、DSCを介して送信機(#1’)21−1’Bに転送する(ステップS44)。
【0110】
そして、送信機(#1’)21−1’Bは、DSC信号を、周波数f1’を使用して、無線により伝送装置10Aの受信機(#1’)31−1’Aに送信し(ステップS45)、受信機(#1’)31−1’Aは、DSC信号を、DSCを介して送信モード切替器22Aに転送する(ステップS46)。
【0111】
送信モード切替器22Aは、DSC信号を受けて、上記(A)のリンクアグリゲーション(TX)モードに戻る。
【0112】
すなわち、リンクアグリゲーション(TX)回路23Aは、入力端子を送信機(#1)21−1Aおよび送信機(#2)21−2Aの双方に接続し(ステップS47)、入力端子に入力されたイーサネット信号(パケット)を、順次、送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力していく(ステップS48)。
【0113】
以降、リンクアグリゲーション(RX)回路34Bは、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて元のイーサネット信号に復元し、出力端子から出力する(ステップS49)。
【0114】
したがって、無線システムは、正常モードに移行することになる。
【0115】
なお、上記(2−3)のSDモード(図6の下段)から復帰する場合の動作は、略同様であるため、説明を省略する。
【0116】
上述したように本実施形態では、システム(#1,#2)の双方が正常である場合、通信装置10Aの送信側では、イーサネット信号を送信機(#1)21−1Aと送信機(#2)21−2Aとに分配して出力し、通信装置10Bの受信側では、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bから出力されたイーサネット信号を積み上げて出力する。
【0117】
したがって、この場合は、図8に示すように、送信機(#1,#2)21−1A,21−2Aの個々の伝送容量(150Mbps)の2倍の伝送容量(300Mbps)に相当するスループット伝送を実現することができる。
【0118】
一方、システム(#1,#2)の少なくとも一方が伝送不良である場合、例えば、システム(#2)が先に伝送不良になっていれば、通信装置10Aの送信側では、イーサネット信号を送信機(#1)21−1Aにのみ出力し、通信装置10Bの受信側では、受信機(#1)の周波数をf1からf2に変更し、受信機(#1,#2)31−1B,31−2Bのうち受信品質レベルが高い方から出力されたイーサネット信号を選択して出力する。
【0119】
したがって、この場合は、図8に示すように、無線システムをSDモードで動作させるのと同様になるため、受信品質は向上する。
【0120】
よって、システム(#1,#2)の少なくとも一方が伝送不良になった場合にも、システムを追加することなく受信品質を保証することができるため、無線システム全体が受信信号断状態になるのを回避することができる。
【0121】
なお、本実施形態では、SDモードから復帰する条件を、システム(#1,#2)の双方が正常な状態が一定時間継続したこととしたが、本発明はこれに限定されない。
【0122】
例えば、波形歪み量が閾値以下になった(すなわち伝送不良になった)ことを契機にSDモードに移行した場合には、以降に、波形歪み量が閾値を超えたことを条件に、SDモードから復帰することとしてもよい。
【0123】
この場合、システム(#2)が先に伝送不良になっていれば、受信機(#2)31−2Bが、周波数をf1に変更してから一定時間経過後に、周波数をf2に一時的に戻して波形歪み量を再計算し、再計算した波形歪み量が閾値を超えていれば、SDモードから復帰すればよい。なお、再計算した波形歪み量がなお閾値以下であれば、受信機(#2)31−2Bは、周波数をf1のままとし、SDモードを継続することになる。
【0124】
また、本実施形態では、送信機(#1)21−1A、送信機(#2)21−2A、および送信モード切替器22Aが、同一の伝送装置10Aに設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、別個独立した装置に設けられていてもよい。
【0125】
同様に、受信機(#1)31−1B、受信機(#2)31−2B、および受信モード切替器32Bが、同一の伝送装置10Bに設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、別個独立した装置に設けられていてもよい。
【0126】
また、本実施形態では、2系統のシステム(#1,#2)が設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、システムの数は複数であればよい。
【0127】
この場合、SDモード時の周波数は、伝送不良になったシステム以外のシステムの周波数の中から任意の周波数を選択すればよい。この場合の周波数の選択方法としては、各システムの優先順位を予め決めておき、伝送不良になったシステム以外のシステムの中から最も優先順位が高いシステムの周波数を選択する方法等が考えられる。
【0128】
また、本発明の伝送装置10A,10Bにて行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能であり、ネットワークを介して外部に提供することも可能である。
【符号の説明】
【0129】
10A,10B 伝送装置
21−1A,21−2A,21−1’B,21−2’B 送信機
22A,22B 送信モード切替器
23A,23B リンクアグリゲーション(TX)回路
31−1B,31−2B,31−1’A,31−2’A 受信機
32B,32A 受信モード切替器
33−1B,33−2B,33−1’A,33−2’A ヒットレス切替器
34B,34A リンクアグリゲーション(RX)回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線により伝送する2つのシステムと、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の送信モードに遷移し、伝送信号を前記2つのシステムの各々の送信機に分配して出力する送信モード切替器と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記送信モード切替器は、
第2の送信モードに遷移し、伝送信号を前記他方のシステムの送信機にのみに出力し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する、無線システム。
【請求項2】
前記一方のシステムが伝送不良になった後、前記他方のシステムが伝送不良になったか否かにかかわらず、所定条件が満たされるまでの間、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記他方のシステムの周波数のままとし、
前記送信モード切替器は、
前記第2の送信モードのままとし、
前記受信モード切替器は、
前記第2の受信モードのままとする、請求項1に記載の無線システム。
【請求項3】
前記所定条件は、前記2つのシステムの双方が正常である状態が一定時間継続したことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記送信モード切替器は、
前記第1の送信モードに戻り、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項2に記載の無線システム。
【請求項4】
前記伝送不良は、前記受信機により、当該受信機にて受信された伝送信号について計算された波形歪み量が閾値以下になることであり、
前記所定条件は、前記一方のシステムの受信機により、周波数を前記一方のシステムの周波数に一時的に戻して再計算された波形歪み量が閾値を超えたことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記送信モード切替器は、
前記第1の送信モードに戻り、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項2に記載の無線システム。
【請求項5】
前記受信モード切替器は、
前記2つのシステムの各々に対応して設けられた2つのヒットレス切替器と、
リンクアグリゲーション回路と、を有し、
前記第1の受信モードでは、
前記2つのヒットレス切替器の各々は、
対応するシステムの受信機と接続し、接続した受信機にて受信された伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記2つのヒットレス切替器と接続し、接続した2つのヒットレス切替器の各々から出力された伝送信号を積み上げて出力し、
前記第2の受信モードでは、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器は、
前記2つのシステムの受信機と接続し、接続した2つのシステムの受信機の各々にて受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器と接続し、接続したヒットレス切替器から出力された伝送信号を出力する、請求項1から4のいずれか1項に記載の無線システム。
【請求項6】
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する、伝送装置。
【請求項7】
前記一方のシステムが伝送不良になった後、前記他方のシステムが伝送不良になったか否かにかかわらず、所定条件が満たされるまでの間、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記他方のシステムの周波数のままとし、
前記受信モード切替器は、
前記第2の受信モードのままとする、請求項6に記載の伝送装置。
【請求項8】
前記所定条件は、前記2つのシステムの双方が正常である状態が一定時間継続したことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項7に記載の伝送装置。
【請求項9】
前記伝送不良は、前記受信機により、当該受信機にて受信された伝送信号について計算された波形歪み量が閾値以下になることであり、
前記所定条件は、前記一方のシステムの受信機により、周波数を前記一方のシステムの周波数に一時的に戻して再計算された波形歪み量が閾値を超えたことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項7に記載の伝送装置。
【請求項10】
前記受信モード切替器は、
前記2つのシステムの各々に対応して設けられた2つのヒットレス切替器と、
リンクアグリゲーション回路と、を有し、
前記第1の受信モードでは、
前記2つのヒットレス切替器の各々は、
対応するシステムの受信機と接続し、接続した受信機にて受信された伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記2つのヒットレス切替器と接続し、接続した2つのヒットレス切替器の各々から出力された伝送信号を積み上げて出力し、
前記第2の受信モードでは、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器は、
前記2つのシステムの受信機と接続し、接続した2つのシステムの受信機の各々にて受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器と接続し、接続したヒットレス切替器から出力された伝送信号を出力する、請求項6から9のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項11】
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機を有してなる伝送装置による受信方法であって、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、
受信モード切替器が、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力するステップを有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を他方のシステムの周波数に変更するステップと、
前記受信モード切替器が、第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力するステップと、を有する受信方法。
【請求項12】
前記一方のシステムが伝送不良になった後、前記他方のシステムが伝送不良になったか否かにかかわらず、所定条件が満たされるまでの間、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を前記他方のシステムの周波数のままとするステップと、
前記受信モード切替器が、前記第2の受信モードのままとするステップと、を有する請求項11に記載の受信方法。
【請求項13】
前記所定条件は、前記2つのシステムの双方が正常である状態が一定時間継続したことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を前記一方のシステムの周波数に戻すステップと、
前記受信モード切替器が、前記第1の受信モードに戻るステップと、を有する請求項12に記載の受信方法。
【請求項14】
前記伝送不良は、前記受信機により、当該受信機にて受信された伝送信号について計算された波形歪み量が閾値以下になることであり、
前記所定条件は、前記一方のシステムの受信機により、周波数を前記一方のシステムの周波数に一時的に戻して再計算された波形歪み量が閾値を超えたことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を前記一方のシステムの周波数に戻すステップと、
前記受信モード切替器が、前記第1の受信モードに戻るステップと、を有する請求項12に記載の受信方法。
【請求項15】
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機を有してなる伝送装置に、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、
第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する手順を実行させ、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機の周波数を他方のシステムの周波数に変更する手順と、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する手順と、を実行させるプログラム。
【請求項1】
各々が送信機と受信機との組からなり、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線により伝送する2つのシステムと、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の送信モードに遷移し、伝送信号を前記2つのシステムの各々の送信機に分配して出力する送信モード切替器と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記送信モード切替器は、
第2の送信モードに遷移し、伝送信号を前記他方のシステムの送信機にのみに出力し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する、無線システム。
【請求項2】
前記一方のシステムが伝送不良になった後、前記他方のシステムが伝送不良になったか否かにかかわらず、所定条件が満たされるまでの間、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記他方のシステムの周波数のままとし、
前記送信モード切替器は、
前記第2の送信モードのままとし、
前記受信モード切替器は、
前記第2の受信モードのままとする、請求項1に記載の無線システム。
【請求項3】
前記所定条件は、前記2つのシステムの双方が正常である状態が一定時間継続したことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記送信モード切替器は、
前記第1の送信モードに戻り、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項2に記載の無線システム。
【請求項4】
前記伝送不良は、前記受信機により、当該受信機にて受信された伝送信号について計算された波形歪み量が閾値以下になることであり、
前記所定条件は、前記一方のシステムの受信機により、周波数を前記一方のシステムの周波数に一時的に戻して再計算された波形歪み量が閾値を超えたことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記送信モード切替器は、
前記第1の送信モードに戻り、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項2に記載の無線システム。
【請求項5】
前記受信モード切替器は、
前記2つのシステムの各々に対応して設けられた2つのヒットレス切替器と、
リンクアグリゲーション回路と、を有し、
前記第1の受信モードでは、
前記2つのヒットレス切替器の各々は、
対応するシステムの受信機と接続し、接続した受信機にて受信された伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記2つのヒットレス切替器と接続し、接続した2つのヒットレス切替器の各々から出力された伝送信号を積み上げて出力し、
前記第2の受信モードでは、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器は、
前記2つのシステムの受信機と接続し、接続した2つのシステムの受信機の各々にて受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器と接続し、接続したヒットレス切替器から出力された伝送信号を出力する、請求項1から4のいずれか1項に記載の無線システム。
【請求項6】
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機と、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する受信モード切替器と、を有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を他方のシステムの周波数に変更し、
前記受信モード切替器は、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する、伝送装置。
【請求項7】
前記一方のシステムが伝送不良になった後、前記他方のシステムが伝送不良になったか否かにかかわらず、所定条件が満たされるまでの間、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記他方のシステムの周波数のままとし、
前記受信モード切替器は、
前記第2の受信モードのままとする、請求項6に記載の伝送装置。
【請求項8】
前記所定条件は、前記2つのシステムの双方が正常である状態が一定時間継続したことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項7に記載の伝送装置。
【請求項9】
前記伝送不良は、前記受信機により、当該受信機にて受信された伝送信号について計算された波形歪み量が閾値以下になることであり、
前記所定条件は、前記一方のシステムの受信機により、周波数を前記一方のシステムの周波数に一時的に戻して再計算された波形歪み量が閾値を超えたことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機は、
周波数を前記一方のシステムの周波数に戻し、
前記受信モード切替器は、
前記第1の受信モードに戻る、請求項7に記載の伝送装置。
【請求項10】
前記受信モード切替器は、
前記2つのシステムの各々に対応して設けられた2つのヒットレス切替器と、
リンクアグリゲーション回路と、を有し、
前記第1の受信モードでは、
前記2つのヒットレス切替器の各々は、
対応するシステムの受信機と接続し、接続した受信機にて受信された伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記2つのヒットレス切替器と接続し、接続した2つのヒットレス切替器の各々から出力された伝送信号を積み上げて出力し、
前記第2の受信モードでは、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器は、
前記2つのシステムの受信機と接続し、接続した2つのシステムの受信機の各々にて受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力し、
前記リンクアグリゲーション回路は、
前記他方のシステムに対応するヒットレス切替器と接続し、接続したヒットレス切替器から出力された伝送信号を出力する、請求項6から9のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項11】
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機を有してなる伝送装置による受信方法であって、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、
受信モード切替器が、第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力するステップを有し、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を他方のシステムの周波数に変更するステップと、
前記受信モード切替器が、第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力するステップと、を有する受信方法。
【請求項12】
前記一方のシステムが伝送不良になった後、前記他方のシステムが伝送不良になったか否かにかかわらず、所定条件が満たされるまでの間、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を前記他方のシステムの周波数のままとするステップと、
前記受信モード切替器が、前記第2の受信モードのままとするステップと、を有する請求項11に記載の受信方法。
【請求項13】
前記所定条件は、前記2つのシステムの双方が正常である状態が一定時間継続したことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を前記一方のシステムの周波数に戻すステップと、
前記受信モード切替器が、前記第1の受信モードに戻るステップと、を有する請求項12に記載の受信方法。
【請求項14】
前記伝送不良は、前記受信機により、当該受信機にて受信された伝送信号について計算された波形歪み量が閾値以下になることであり、
前記所定条件は、前記一方のシステムの受信機により、周波数を前記一方のシステムの周波数に一時的に戻して再計算された波形歪み量が閾値を超えたことであり、
前記所定条件が満たされた場合、
前記一方のシステムの受信機が、周波数を前記一方のシステムの周波数に戻すステップと、
前記受信モード切替器が、前記第1の受信モードに戻るステップと、を有する請求項12に記載の受信方法。
【請求項15】
2つのシステムにそれぞれ属し、互いに異なる周波数を使用して、伝送信号を無線で受信する2つの受信機を有してなる伝送装置に、
前記2つのシステムの双方が正常である場合、
第1の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて受信された伝送信号を積み上げて出力する手順を実行させ、
前記2つのシステムのうち一方のシステムが先に伝送不良になった場合、
前記一方のシステムの受信機の周波数を他方のシステムの周波数に変更する手順と、
第2の受信モードに遷移し、前記2つのシステムの各々の受信機にて前記他方のシステムの周波数を使用して受信された伝送信号のうち、受信品質レベルが高い方の伝送信号を出力する手順と、を実行させるプログラム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−288067(P2010−288067A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140153(P2009−140153)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390001454)NECネッツエスアイ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390001454)NECネッツエスアイ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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