説明

無線システムのための協調連接符号化

協調連接符号化技術が、少なくとも2のユーザと基地局との間における無線通信のために提供される。協調連接符号化を使用するネットワークシステムは、共同メッセージの少なくとも一部分を符号化しかつ送信するようにそれぞれが構成された協調ユーザ装置を含む。共同メッセージは、第1の協調ユーザ装置からの第1のメッセージの少なくとも一部分と第2の協調ユーザ装置からの第2のメッセージの少なくとも一部分とを含む。実施形態は、第1の協調ユーザからの第1のメッセージを符号化し、第2の協調ユーザからの第2のメッセージを受信し、第2のメッセージを復号化することを含む。また、方法は、復号化されたメッセージの少なくとも一部分を第1のメッセージの少なくとも一部分とともに再符号化して組み合わせメッセージを生成し、そして、組み合わせメッセージの少なくとも一部分を送信することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年5月7日に出願された、「COOPERATIVE CONCATENATED CODING FOR WIRELESS SYSTEMS(無線システムのための協調連接符号化)」と題する、米国特許仮出願第60/916,423号に基づいて優先権を主張し、全体が本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
発明の分野
本明細書は、無線通信システムのための協調連接符号化に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の携帯電話ネットワークにおいては、モバイル機器は、基地局と個々に通信し、深刻なチャンネルフェージングの影響を受けやすい。時間および周波数におけるダイバーシチ技術が、システム性能を改善するのに使用されてきたが、多くの場合、帯域幅効率を犠牲にするものである。最近、複数アンテナ解決法が、システム帯域幅を犠牲にすることなく空間ダイバーシチを達成するためのさらなる試みとして発展しているが、これらの解決法の実現可能性は、とりわけ、携帯端末における、機器の寸法によって大きく制限されている。この点に鑑みて、異なるユーザが送信元から宛先へメッセージを中継するのを可能にすることによって空間ダイバーシチを達成するためのユーザ協調が、提案されている。
【0004】
一般的に使用される3つの協調ストラテジは、増幅転送型(amplify-and-forward:AF)、復号転送型(decode-and-forward:DF)、および、符号化協調型(coded cooperation:CC)がある。CCは、AFおよびDFと比較して、付加的な符号化利得を提供する。CCの場合、中継は、最初に、受信された送信元メッセージを復号化し、そして、それを宛先へ転送する前に、それを異なるパリティビット集合内に再符号化する。このことは、同じパリティビット集合が中継の転送メッセージ内に存在するAFおよびDFとは対照的なことである。基本的には、CCは、より強力なチャンネル符号を使用し、異なるダイバーシチ経路を介してパリティビットを送信することによって、空間ダイバーシチをうまく利用するものである。
【0005】
従来のCCは、AFおよびDFと比較して、付加的な符号化利得を達成することができるが、同じ強力なチャンネル符号を使用する非協調的なそれの相手方に対する改善は、協調ユーザによって提供されるダイバーシチブランチだけに頼るものである。したがって、この点において、CCの符号化利得は、ユーザが送信機において与えられたチャンネル知識を備えた適応システムで同じモードの変調および符号化構成(configuration)とターゲット誤り率とを共有する場合のように、協調ユーザが基地局において同じ受信信号対雑音(SNR)比で動作すれば、消滅する。
【0006】
従って、空間ダイバーシチ利得に加えてその他の潜在的な利益を達成できる改善されたシステムおよび方法が、CCのために望まれている。CCに対する現在の設計の上述した欠点は、今日の設計に含まれる問題のいくつかの概論を提供することを意図したものにすぎず、かつ、完全に網羅することを意図したものではない。現在の技術に関するその他の問題およびここで説明されるCC技術の対応する利益が、以下の限定するものではない様々な実施形態の説明を考察することによってより明白なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、簡単な概要が、以下のより詳細な説明および添付の図面に説明される限定するものではない典型的な実施形態の様々な側面を基本的にまたは概略的に理解するのを助けるために提供される。しかしながら、この概要は、本発明のすべての範囲を完全に網羅することを意図するものではない。この概要のただ1つの目的は、以下のより詳細な説明の前置きとして、限定するものではない典型的な様々な実施形態に関するいくつかの概念を簡単に説明することである。
【0008】
様々な実施形態において、協調連接符号化が、少なくとも2のユーザと基地局との間の無線通信のために提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態においては、通信の協調連接符号化を使用するネットワークシステムが、提供される。ネットワークシステムは、共同メッセージの少なくとも一部分を符号化しかつ送信するようにそれぞれが構成された少なくとも2つの協調ユーザ装置を含んでもよい。共同メッセージは、第1の協調ユーザ装置からの第1のメッセージの少なくとも一部分と第2の協調ユーザ装置からの第2のメッセージの少なくとも一部分とを含む。
【0010】
限定するものではない別の典型的な実施形態においては、協調連接符号化方法は、第1の協調ユーザからの第1のメッセージを符号化し、第2の協調ユーザからの第2のメッセージを受信し、第2のメッセージを復号化することを含む。方法は、また、復号化されたメッセージの少なくとも一部分を第1のメッセージの少なくとも一部分とともに再符号化して組み合わせメッセージを生成し、そして、組み合わせメッセージの少なくとも一部分を送信することを含む。
【0011】
添付の図面を参照して、協調連接符号化のためのシステムおよび方法が、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】協調連接符号化の方法を説明するフローチャートである。
【図2】協調連接符号化システムを示す高位ブロック図である。
【図3】従来の非協調および従来の符号化協調を用いた固定タイムスロット割当比を備えた2ユーザシステムを比較して説明する図である。
【図4】共同ユーザ協調符号器を含む直列連接畳み込み符号器を示すハイレベルのブロック図である。
【図5】図4の共同ユーザ協調符号器を示すブロック図である。
【図6】協調連接符号に関連して反復復号器を示すブロック図である。
【図7】空間ダイバーシチ不完全シナリオにおいて異なる数のユーザに対するビット誤り率を示す図である。
【図8】空間ダイバーシチ不完全シナリオにおいて異なる入力ブロックサイズごとに3の協調ユーザに対するビット誤り率を示す図である。
【図9】空間ダイバーシチ不完全シナリオにおいて複雑さを軽減した協調符号器による異なるユーザ間チャンネル状態に対するビット誤り率を示す図である。
【図10】ここで説明される様々な実施形態が実施されてもよい限定するものではない典型的なネットワーク化された環境を表現するブロック図である。
【図11】ここで説明される様々な実施形態が実施されてもよい限定するものではない典型的なコンピューティングシステムまたは動作環境を表現するブロック図である。
【図12】ここで説明される1つかまたはそれ以上の実施形態によるサービスに適したネットワーク環境の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概論
背景技術において述べたように、潜在的な空間ダイバーシチ利得に加えてその他の利益を実現する改善されたシステムおよび方法が、符号化協調に望まれている。限定するものではない様々な実施形態においては、協調ユーザが空間ダイバーシチ利得からだけでなくより強力な共同ユーザチャンネル符号(joint-user channel code)からも利益を得る符号化協調アーキテクチャが、提供される。ここで説明される技術を使用すれば、インターリーバ利得が、データ通信において実現され、これは、協調ユーザの数とともに増加する。この付加的な性能利得は、すべての協調ユーザの受信SNRが基地局において同じものに維持されるときでさえも発生する。さらにまた、等しくないメッセージサイズを備えた2よりも多いユーザ間における協調が、ここで説明される様々な技術によって容易に達成される。また、一実施形態においては、ユーザ間のチャンネルが、「良好」または「満足」なものであると判定されると、複雑さを軽減した協調方法が、使用できる。
【0014】
ここでの記述によれば、以下の説明の手引きとして、最初に、典型的な協調連接符号化アーキテクチャが説明される。次に、遅延および複雑さの考察が説明される。そして、いくつかの設計基準および符号選択が、説明される。次に、ここで説明される実施形態のいくつかの性能利益(performance benefit)が、様々なブロックサイズ、様々な数の協調ユーザ、および、複雑さを軽減した協調符号器を用いてビット誤りをプロットすることによって定量化される。要するに、様々な協調連接符号化技術を適用した結果は、背景技術で述べられたような単純な従来の協調ストラテジの動作と比較すれば、空間ダイバーシチの利益に加えて相当な符号化利益を達成することができることをここで示している。様々なその他の実施形態および基礎となる概念が、さらに、以下においてより詳細に説明される。
【0015】
典型的な協調連接符号化アーキテクチャ
ここで、協調符号アーキテクチャおよびその特徴が、共同ユーザ再帰的体系的畳み込み(RSC:recursive systematic convolutional)内部符号(inner code)を備えたチャンネル符号として協調直列連接畳み込み符号(SCCC:serial concatenated convolutional code)を提供する実施形態を参照して説明される。時分割多元接続(TDMA:time-division-multiple-access)アップリンク送信が、半二重通信で使用され、ユーザは、特定の時間に送信するかまたは受信することができる。
【0016】
図1は、限定するものではない典型的な実施形態による協調連接符号化の方法を説明するフローチャートである。符号100において、ユーザ装置(ここでは、ユーザとも呼ばれる)は、そのユーザ自身のメッセージを符号化する。符号110において、ユーザは、(1または複数の)協調パートナーの(1つまたは複数の)メッセージを復号化する。符号120において、ユーザは、ユーザ自身のメッセージとともに(1または複数の)協調パートナーの(1つまたは複数の)メッセージを再符号化し、組み合わせメッセージを生成する。符号130において、ユーザは、組み合わせメッセージの部分集合を送信する。
【0017】
図2は、限定するものではない典型的なさらなる実施形態による協調連接符号化システムを例示するハイレベルのブロック図である。図示される例において、協調連接符号化システム200は、基地局210と、2つの協調ユーザ装置、すなわち、第1のユーザ装置220および第2のユーザ装置230とを含む。基地局210は、第1のユーザ装置220によっておよび/または第2のユーザ装置230によって送信されたデータを受信するように動作することができる。図示される例において、第1のユーザ装置220は、第1のメッセージS1を基地局に送信し、第2のユーザ装置230は、第2のメッセージS2を基地局に送信する。
【0018】
さらに、それぞれの協調ユーザ装置は、チャンネルをリッスン(listen)し、他の(1つまたは複数の)ユーザ装置の(1つまたは複数の)メッセージを復号化することを試みる。復号化するのに成功すれば、共同メッセージQが、すべての協調ユーザメッセージを用いて一緒に符号化される。そして、それぞれのユーザ装置は、Qの部分集合を基地局に送信する。図2に示される例においては、わかりやすいように、2のユーザしか例示されないが、本発明は、2つの協調ユーザ装置に限定されるのではなく、どのような数の協調ユーザ装置が使用されてもよいことを理解すべきである。さらに、図2の例は、Qの第1の部分集合を送信する第2のユーザ装置230と、Qの第2の部分集合を送信する第1のユーザ装置220とを示すが、特定のユーザ装置によってQの特定の部分を送信することは、ここで考察され、さもなければ、言及される多くの要因に応じて変化してもよい。
【0019】
より詳細な2のユーザの例が、一般的な非協調と、一般的な符号化協調と、および、ここで説明される様々な実施形態との間におけるアーキテクチャの違いを説明する図3に示される。この点において、一実施形態によるRSC内部符号を備えたSCCCおよびその他の形式の連接符号の選択が、以下でより詳細に説明される。以下の様々な実施形態の説明においては、次の表記法が使用される。
【0020】
【数1】

は、ユーザkの複数のビット
【数2】

のブロックの集合を表す。ユーザkのi番目のブロックの符号化ビットは、図3に示されるように、
【数3】

および
【数4】

によって表現される2つの部分集合に分割される。ここで、一般的なユーザに言及するときには、上付き添字は省略される。
【0021】
「(a)」として全体的に指定される図3の部分集合においては、従来の非協調方式が示される。この従来の方式においては、それぞれのユーザは、他のユーザからの協調を伴うことなく、ただ単に自分自身のデータを自分自身のタイムスロット中に送信するだけである。従来の符号化協調方式が、「(c)」として全体的に指定される図3の部分集合に示され、これは、送信元ユーザが自身の第1の集合である符号化ビット
【数5】

を基地局に送信するとき、協調パートナーがチャンネルをリッスンしかつメッセージを復号化することを試みる点が「(a)」の非協調アプローチと異なる。復号化するのに成功すると、パートナーは、メッセージを再符号化し、送信元ユーザが第2の集合
【数6】

を基地局に送信するのを助ける。
【0022】
しかしながら、復号化に失敗したことが検出されると、この方式は、非協調モードに戻るかまたは部分的な協調モードとなる。第1の場合においては、失敗したユーザは、そのユーザのパートナーに失敗したことを通知し、そして、どちらのユーザも、協調することなく、彼ら自身の
【数7】

を送信する。第2の場合においては、同様に、失敗したユーザは、協調タイムスロットにおいて、そのユーザ自身の
【数8】

を代わりに送信するが、失敗をそのユーザのパートナーに通知することはしない。このことは、潜在的に、パートナーの誤り性能(error performance)を犠牲にして、そのユーザ自身の
【数9】

に対する付加的なダイバーシチ利得を失敗したユーザにもたらし、そして、そのパートナーの誤り性能は、より弱い(より大きな符号化率の)チャンネル符号によって保護される。
【0023】
「(b)」として中央に全体的に指示される図3の部分集合は、符号化協調アーキテクチャの限定するものではない典型的な実施形態を表現する。図示されるように、協調パートナーによって送信される符号化ビットは、もはや、部分集合「(a)」および「(c)」の場合のような個々のユーザの複数の
【数10】

ではなく、
【数11】

によって表現される新しい集合である符号化ビットであり、それらの符号化ビットは、K個の協調ユーザメッセージのすべてを用いて一緒に符号化される。割り当てられたタイムスロットの数に応じて、それぞれのユーザは、
【数12】

の部分集合をしかるべく送信する。
【0024】
暫定協調グループが送信に先だって形成されると仮定する。ユーザは、最初に、それらのユーザの第1の集合である符号化ビット
【数13】

を順次送信し、その第1の集合は、SCCCベースシステムを用いた実施形態においては、それらのユーザの外部符号語(outer codeword)に対応する。そして、短い期間が、復号化の失敗が発生したことを協調パートナーおよび基地局に同時に報告するために、ユーザごとに提供される。他のいずれかのユーザのメッセージを復号化することに失敗したユーザは、協調グループから除外され、そして、それらのユーザ自身のメッセージを符号化することに復帰してもよい。そして、それらのユーザは、次の集合である符号化ビット、すなわち、それらのユーザ自身の符号化ビットまたは協調的に符号化されるビットを交代で送信する。
【0025】
上述したように、限定するものではない様々な実施形態において、ここで説明される符号化協調アーキテクチャは、空間ダイバーシチにおける利得に加えて、連接符号のインターリーバ利得をうまく利用することによって別次元の性能助長(performance boost)を提供する。ユーザ協調によって、インターリーバ利得を相当に増加させることができ、そのために、より強力な全体的チャンネル符号が生成される。さらに、このフレームワークは、協調ユーザの数およびメッセージブロック長の観点における協調的柔軟性を可能にする。また、この概念は、図3の部分集合「(b)」に示されるような複数のユーザに拡張されてもよく、あるいは、互いに協力して送信するすべてのユーザに拡張されてもよい。すべてのユーザが、互いに協力して送信しているならば、例えば送信機におけるチャンネル状態情報が、使用されてもよい。また、協調ユーザ間における非対称および任意のメッセージブロック長が、タイムスロット割当比を変更することを必要とすることなく、部分集合「(b)」および「(c)」に示されるようにサポートされてもよい。
【0026】
SCCCは、協調符号構造の様々な実施形態において使用され、特定のユーザkのための符号器が、図4に示される。
【数14】

は、外部符号器410、インターリーバ420、および、RSC内部符号器430を用いて符号化されるべきユーザのソースメッセージを表現する。
【数15】

は、加法的白色ガウス雑音(AWGN: additive white Gaussian noise)を備えたフェージングチャンネルを通過する別のユーザk’から受信された外部符号語ビット
【数16】

の集合を表現する。同じかまたは類似するインターリーバが、すべてのユーザのための共同ユーザ協調符号器440に採用されてもよい。
【0027】
合計でKの協調ユーザが存在すると仮定し、それぞれのユーザは、図5に示される共同ユーザ協調符号器500に含まれる(K−1)個の協調ユーザのコーデック510と共に、うまく復号化されるその他のすべての(K−1)のユーザのメッセージを有する。図示されるように、Kのユーザすべてからの複数の
【数17】

は、コーデック510の様々な外部復号器512、514ごとに、等価単一ユーザ外部符号語として処理され、そして、それらが共同ユーザRSC内部符号器530を用いて符号化される前に、擬似ランダムインターリーバ520へ送出されてもよい。共同ユーザRSC内部符号530の体系的なビットは、個々のユーザによって基地局にすでに送信されたすべてのユーザの複数の外部符号語
【数18】

を表現する。したがって、パリティビット
【数19】

の集合は、協調タイムスロットにおいて送信されたビットだけであってもよく、それぞれのユーザは、それぞれの割り当てられたタイムスロットの数に基づいた部分集合だけを送信する。
【0028】
単一入力単一出力(SISO)要素復号器620を備えた基地局における典型的な反復復号器600が、図6に示される。
【数20】

および
【数21】

は、それぞれ、基地局においてユーザkから受信される内部符号語ビット
【数22】

および外部符号語ビット
【数23】

の集合を表現する。それらは、最初に、それらを内部SISO復号器620およびデインターリーバ630内へ供給する前に共同ユーザ内部符号の対応する符号語列の適切な位置にビットを再配置する符号語ミキサ610に送出される。
【数24】

は、デインターリーバ630から出力される
【数25】

の外部情報(extrinsic information)を表現する。
【数26】

は、k個の外部SISO復号器640から出力される
【数27】

の外部情報を表現する。
【数28】

は、ユーザkのメッセージの事後情報(posteriori information)であり、この事後情報から判定がなされてもよい。
【0029】
遅延および複雑さの考察
多くのシステムにおいて、しばしば、誤り性能利得、メッセージ遅延、および、実装の複雑さの間におけるトレードオフが存在する。この点において、誤り率改善のためのトレードオフは、ユーザの入力復号化遅延であり、それは、ユーザのメッセージが符号器内へ入力されることから開始して、メッセージが回復されることになる対応する有効な符号語が出力されるまでの期間として定義することができる。内部符号語は、すべてのユーザのメッセージから一緒に符号化されるので、最大入力復号化遅延Dmaxが、第1の送信ユーザによって経験され、式(1)によって表現される。
【数29】

ここで、Tは、Kのユーザ協調フレームワークにおいて協調ユーザkのメッセージブロックのためにスケジュールされた合計時間である。ユーザが、同じメッセージブロックサイズを有する場合、最大遅延は、協調ユーザの数に正比例する。それにもかかわらず、協調は、しばしば、フレーム内において実行されるので、この入力遅延は、フレームのみによって上限を与えられ、通常、非協調システムにおける再送信によって経験される遅延には好ましいものである。協調によってもたらされる基地局における拡張された遅延は、基地局において利用可能な大きな処理能力の観点から、単一ユーザシナリオと比較すれば無視できると仮定される。
【0030】
複雑さの点においては、ユーザごとの大部分の複雑さの増大は、図5に描写されるように、(K−1)個の付加的な協調ユーザの外部復号器512、514に存在する。これは、(1または複数の)ユーザが異なるパリティビット集合内に再符号化する前に(1つまたは複数の)パートナーメッセージをうまく復号化することを試みる符号化協調アーキテクチャにとっては無理のない制約である。別の側面によれば、ここで説明される実施形態は、システムの全体的な複雑さをさらに減少させる。例えば、一実施形態においては、ユーザ間チャンネルが許容できる品質を有するならば、(K−1)個の協調ユーザの外部復号器は、対応する符号器とともに、単純に(K−1)個の復調器に置換されてもよく、ここで、硬判定が、受信された複数の
【数30】

に対して直接になされる。複雑さのこの減少は、多くの一般的なシステムにおいては不可能なことである。さらにまた、パンクチャド連接符号に基づいた協調を備えた従来のシステムにおいては、複雑さ問題は、大きな問題であり、ここでは、反復復号器が、支援するパートナー側において必要とされる。
【0031】
いくつかの設計基準および符号選択
空間ダイバーシチおよび複雑さの減少に加えて、協調ユーザの数とともに増加するインターリーバ利得が、達成することができる。この種のインターリーバ利得を達成するために、第1の問題は、並列連接符号または直列連接符号のどちらを使用するかである。ターボ符号およびSCCCの両方が、インターリーバ利得を達成し、このインターリーバ利得は、式(2)に示されるように、与えられたインターリーバサイズNに対して、大きなSNRにおけるビット誤り率
【数31】

と次の関係を有する。
【数32】

ここで、
【数33】

は、インターリーバ利得であり、αは、符号構造と要素符号の特徴とに応じて達成される最大指数である。この点において、α=−1であることは、ターボ符号を使用する場合には常に真であるが、SCCCの場合には、最大指数は、式(3)によって与えられる。
【数34】

ここで、
【数35】

は、外部符号の自由距離を表し、
【数36】

は、xの整数部である。したがって、SCCCは、ターボ符号使用の随意的な代替物である。
【0032】
さらに、符号語分離性に関しては、符号が符号化協調に使用されなければならないならば、符号語は、上述したように、2つの集合内に分配されてもよく、第1の集合は、パートナーが符号全体だけでなくメッセージをも復号化できるほど十分に強力なものである。上述したように、インターリーバ利得は、ユーザ協調によって改善されてもよい。したがって、一般的には、ユーザのメッセージは、それらのユーザのパートナーから受信された第1の集合が復号化された後に、それぞれの協調ユーザにおいて何らかの方法で一緒に符号化されてもよい。(1つまたは複数の)選択された符号は、この処理を支援し、それによって、すべての協調ユーザからの個々に符号化される第1の集合と一緒に符号化される第2の集合とは、一体となって、改善されたインターリーバ利得を備えた強固な連接符号を形成する。
【0033】
上述したように、一実施形態においては、組織内部符号(例えば、共同ユーザRSC)を備えたSCCC構造が、採用されてもよい。説明されたように、この実施形態においては、それぞれのユーザの外部符号語は、それらのユーザの第1の集合
【数37】

の役割をなし、復号化および再符号化に成功した後に、その他のユーザの複数の
【数38】

と組み合わせられ、共同ユーザSCCCのためのより大きな外部符号語を形成する。RSC内部符号を備えた一実施形態においては、共同ユーザ内部符号語のパリティビットだけが、第2の集合
【数39】

の役割をなすために必要とされる。この組み合わせ符号語は、より大きなインターリーバを採用する拡張された入力データブロックを備えた普通の単一ユーザSCCC符号語に類似している。しかしながら、等価外部符号は、協調ユーザの外部符号を連接したものである。等価入出力重み評価関数(IOWEF:input-output weight enumerating function)
【数40】

は、式(4)によって表現される。
【数41】

ここで、
【数42】

は、ユーザkの外部畳み込み符号の等価ブロック符号のIOWEFであり、
【数43】

は、重みwの入力語によって生成される重みhを備えた符号語の数を表現する。したがって、等価外部符号の符号語の最小ハミング重みは、式(5)によって与えることができる。
【数44】

ここで、
【数45】

は、ユーザkの外部畳み込み符号の自由距離を表現する。スペースの制約上、この協調符号の正確な解析は、ここでは説明されない。解析は、等価外部符号の様々な性質に関してSCCCと異なるビットである。しかしながら、そのような等価外部符号を備えたSCCCのNすなわちインターリーバサイズの最大指数は、式(5)を用いる式(3)によって上限を与えられることがわかる。したがって、対応する指定されたインターリーバ利得を保証することのできる設計基準として式(3)および式(5)を使用すれば十分である。
【0034】
上述したように、全体的等価符号および個々の要素符号の両方は、良好な符号でなければならない。したがって、望ましい符号は、要素符号が改善されるのと同時に全体的符号が相当に改善されることを特徴とすべきである。SCCCは、良好な選択肢である。なぜなら、SCCCのインターリーバ利得は、内部符号が再帰的であると仮定すれば、式(3)および式(5)に示されるように、等価外部符号の自由距離だけによって表現されるからである。さらに、従来のシステムは、単純な内部符号はAWGNおよびフェージングチャンネルの両方において優れた誤り性能を提供するのに十分なものであることを実証している。このことは、ユーザ協調における拡張入力ブロックサイズによる付加的な復号化の複雑さを最小限に維持できることを意味し、これは、共同ユーザ内部復号器として図6に示される。
【0035】
典型的な性能利益の定量化
図7および図8は、それぞれ、様々な数の協調ユーザと入力ブロックサイズとに対する協調符号化アーキテクチャの実施形態の性能を示す。チャンネルが送信中に不変である準静的フェージングを仮定する。この実施形態の特徴をより良く例示するために、すべてのユーザの受信SNRが基地局において一定に維持される適応システムのシナリオが、考察される。多くの一般的な符号化協調システムにおいて、このアーキテクチャは、空間ダイバーシチが利用できない単一ユーザの場合に限定される。図9は、様々なユーザ間チャンネル状態に対する複雑さを軽減した協調符号化構造の実施形態を示す。図7〜図9のそれぞれにおいて、符号化率1/3SCCCが、
【数46】

として、それぞれ、生成行列GoutおよびGinによって表現される4状態外部符号および4状態内部符号(観測者標準形(observer canonical form)において)を備えたすべてのユーザに対して採用される。外部符号の自由距離は、N−3であるインターリーバ利得に対応する5である。このアーキテクチャにおいて、Nは、ユーザからのすべての外部符号語の全長に対応する。4相位相変調(QPSK)が、一実施形態において、変調方式として選択され、それぞれの直交チャンネルが、1つの独立した符号化ビットを搬送する。ユーザ間チャンネルは、特に指定しない限り、完全なものであると仮定される。実際に、符号化協調は、ユーザ間チャンネルが十分に良好であれば望ましい。ユーザ間チャンネルは独立していると仮定する。ユーザ間チャンネルの与えられたフレーム誤り率(FER)に対して、Kのユーザ間における最大限の協調の確率は、
Pr(Kユーザ間での最大限の協調)=(1−FER)K(K−1) 式(6)
となり、これは、例えば、5の協調ユーザに対してFER=0.01であるとき、十分に大きく、2桁の誤り率の減少に対応する。
【0036】
図7の例においては、曲線700によって表現される従来のCC上では、誤り率がユーザ協調によって大きく減少することを観測することができる。インターリーバ利得は、最尤(ML)復号化の性能を意味するが、1.5dBから開始するほんの6回の反復を備えた反復復号器の場合、類似する利得を達成することができる。お互いに協調する3のユーザに対する曲線710を参照し、また、1のユーザに対する曲線740と比較すると、BERは、2×10−2から2×10−3まで減少し(約1桁の利得)、そして、曲線720によって示されるように、さらに2のユーザが協調送信に参加すれば、さらに、4×10−4まで減少し(約2桁の利得)、それらは、予測された曲線に近い。また、500個の入力ビットを備えた単一ユーザである構成が、これまでに説明されたそれらの等価外部符号の違いによる効果を調査するために、5のユーザが協調する場合を参照して曲線730によって与えられる。この例においては、彼らは、同じインターリーバサイズを共有し、明らかに、同じBERを達成する。
【0037】
図8の例に示されるように、ブロックサイズが増加すると、BERで表現される性能利得は、協調ユーザの数が増加することによって得られる性能利得と同じ傾向をたどる。式(3)によって表現されるように、インターリーバ利得は、全体的ブロックサイズが増加する回数に比例する。しかしながら、一般的には、図7および図8に示されるように、異なる総入力ブロックサイズ(インターリーバサイズ)ごとに顕著となるインターリーバ利得に対するいくつかのSNRしきい値が存在する。曲線点800、810、および、820によって示されるように、1dBにおいて、曲線800から曲線810までは、100ビットの入力ブロックサイズから200ビットの入力ブロックサイズ(2倍)までのほぼ1桁の利得が存在し、曲線800から曲線820までは、100ビットの入力ブロックサイズから400ビットの入力ブロックサイズ(4倍)までの1桁よりも大きい利得が存在する。しかしながら、図7においては、曲線点750および760において、ユーザの数が1から5(5倍)に増加したときでさえも、より小さい利得(<1桁)が達成されることを観測することができる。これは、全体的性能に対するインターリーバ利得の重要性は、より大きい入力ブロックサイズに対する、より小さいSNRにおいて早期に開始することを示唆している。反復がない場合と曲線800、810、および、820の6回の反復がある場合とを比較するために、曲線830が、図8に示される。
【0038】
上で説明した複雑さを軽減した協調復号器の一実施形態の場合、巡回冗長検査を実行することができないとき、硬判定が、すべてのユーザからの外部符号語ビットに対して直接になされる。したがって、それらの硬判定は、送信中におけるAWGNおよび一定のフェージングの影響を受け、これは、独立同一分布(i.i.d.:independent and identically distributed)誤りをもたらすことができる。図9において、符号化協調の実施形態が、様々なユーザ間チャンネル状態の符号化されないBER(uncoded BER)の観点から、それらのユーザ間チャンネル状態に対する典型的な小さい複雑さの協調復号器によって評価される。符号化されないBER10−6においては、性能は、曲線900において、曲線910における完全なユーザ間チャンネルの場合と基本的に同じものである。符号化されていないBERが、曲線920および930において10−4または10−3であるとき、一般的に、1桁の利得を依然として達成することができる。しかしながら、誤り伝搬が、この状況においては深刻な問題になるかもしれず、あるいは、ユーザ間の状況においてはより悪化したものになるかもしれない。反復の数が3回よりも多くなると、開きが発生し、これは、劣化した性能をもたらす。より大きなSNR誤りにおいては、フロア(floor)が、誤り伝搬問題のために発生するかもしれない。曲線940は、協調がなく、6回の反復の場合として、比較のために示され、また、曲線950は、反復がない場合を示す。
【0039】
図7〜図9の例に示されるように、様々な実施形態において説明される協調符号化アーキテクチャは、従来のシステムに対して魅力のある誤り性能利得を達成する。利得は、協調ユーザの数かまたは入力ブロックサイズを増大させることによってより大きくなる。この利得は、ほんの限られた数の反復、例えば、例においては4回の反復を用いる反復復号器によって達成されてもよい。例えば、ほんの5のユーザが協調することによって、実際に関心のあるBER(10−3およびそれ以下の)に対してビット誤り率を2桁も減少させることができる。さらにまた、類似する改善傾向が、ここで説明される技術を用いてフレーム誤り率に対しても達成される。
【0040】
結論
限定するものではない様々な実施形態において、協調連接符号化ストラテジが、マルチユーザ無線ネットワークに提供される。この技術は、異なる協調ユーザからの空間ダイバーシチが性能改善に必要とされる従来のシステムとは対照的に、空間ダイバーシチ以外の付加的な符号化利益を含む。とりわけ、すべての協調ユーザの受信SNRが適応送信システムのような基地局において特定のレベルに維持される場合でさえも、誤り率における驚くべき減少を達成することができる。連接符号のインターリーバ利得に関する概念が採用され、協調ユーザの数を増加させることによって、誤り率における大きな減少を達成することができる。
【0041】
説明したように、等しくないメッセージサイズを備えた複数の協調ユーザが、割り当てられたチャンネル(タイムスロット)の数の観点からユーザ間の公平性に悪影響を与えることなく、協調フレームワークにおいてサポートされてもよい。また、複雑さを軽減した協調符号化構造が、ユーザ間チャンネルが十分な品質を有すると判定された場合に、すなわち、使用するために予め設定された基準を満たす場合に使用するために、提供される。符号設計基準および適切な符号の選択が、考察され、RSC内部符号を備えたSCCCが、有効な候補であることが明らかにされた。性能が、従来の符号化協調ストラテジが非協調的な相手方に対する何らかの性能改善を提供しない適応送信システムのシナリオにおいて評価された。例えば、2桁のビット誤り率の減少が、5のユーザが協調する場合に単純な符号化率1/3の直列連接符号によって達成された。ほんの2のユーザの場合でさえも、誤り率は、そのようなシナリオにおいて、少なくとも1桁は減少する。
【0042】
典型的なコンピュータネットワークおよび環境
当業者は、ここで説明される協調連接符号化の様々な実施形態は、コンピュータネットワークの一部分としてまたは分散コンピューティング環境内に配置されかつ何らかの種類のデータストアに接続されてもよい何らかのコンピュータまたはその他のクライアント装置またはサーバ装置に関連して実施されてもよいことがわかるはずである。この点において、ここで説明される様々な実施形態は、どのような数のメモリまたは記憶装置を有してもよく、またどのような数の記憶装置間で発生するどのような数のアプリケーションおよびプロセスを有するどのようなコンピュータシステムまたは環境内においても実施されてよい。これは、限定はされないが、ネットワーク環境または分散コンピューティング環境内に配置されたリモート記憶装置またはローカル記憶装置を有するサーバコンピュータおよびクライアントコンピュータを備えた環境を含む。
【0043】
分散コンピューティングは、コンピューティング装置およびコンピューティングシステム間における通信交換によって、コンピュータ資源およびコンピュータサービスの共有を提供する。これらの資源およびサービスは、ファイルのようなオブジェクトのための情報の交換、キャッシュ記憶装置、および、ディスク記憶装置を含む。これらの資源およびサービスは、また、負荷分散、資源の拡張、処理の特化などのために、複数の処理ユニット間における処理能力の共有を含む。分散コンピューティングは、ネットワークコネクティビティをうまく利用し、クライアントが、それらの集団能力を利用し、企業体全体に利益を与えるのを可能にする。この点において、様々な装置は、本明細書の様々な実施形態に説明されるように、協調連接符号化の1つかまたはそれ以上の側面を実施可能なアプリケーション、オブジェクト、または、資源を有してもよい。
【0044】
図10は、ネットワーク化または分散化された典型的なコンピューティング環境の概略図を提供する。分散コンピューティング環境は、コンピューティングオブジェクト1010、1012など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1020、1022、1024、1026、1028などを備え、これらのオブジェクトおよび装置は、アプリケーション1030、1032、1034、1036、1038によって表現されるようなプログラム、メソッド、データストア、プログラマブル論理などを含んでもよい。オブジェクト1010、1012など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1020、1022、1024、1026、1028などは、PDA、オーディオ/ビデオ装置、携帯電話、MP3プレーヤ、パーソナルコンピュータ、ラップトップなどのような様々な装置から構成されてもよいことがわかるはずである。
【0045】
それぞれのオブジェクト1010、1012など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1020、1022、1024、1026、1028などは、通信ネットワーク1040を介して直接的にまたは間接的に、1つかまたはそれ以上のその他のオブジェクト1010、1012など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1020、1022、1024、1026、1028などと通信することができる。図10には単一構成要素として示されるが、ネットワーク1040は、サービスを図10のシステムに提供するその他のコンピューティングオブジェクトおよびコンピューティング装置を備えてもよく、および/または、図示されない複数の相互接続されたネットワークを表現してもよい。それぞれのオブジェクト1010、1012など、または、1020、1022、1024、1026、1028などは、また、アプリケーション1030、1032、1034、1036、1038のようなアプリケーションを含んでもよく、それらのアプリケーションは、本明細書の様々な実施形態に基づいて提供される(1つまたは複数)協調連接符号化アーキテクチャ(1つかまたは複数)と通信するのに適切な、または、該アーキテクチャを実施するのに適切な、API、または、その他のオブジェクト、ソフトウェア、ファームウェア、および/または、ハードウェアを利用してもよい。
【0046】
分散コンピューティング環境をサポートする様々なシステム、コンポーネント(要素)、および、ネットワーク構成が存在する。例えば、コンピューティングシステムは、有線システムまたは無線システムによって、ローカルネットワークまたは広域分散ネットワークによって、お互いに接続されてもよい。現在、多くのネットワークが、インターネットに結合され、このインターネットは、広域分散コンピューティングのためのインフラストラクチャを提供し、また、多くの異なるネットワークを包含するが、どのようなネットワークインフラストラクチャが、様々な実施形態に説明されるような協調連接符号化に付随する典型的な通信のために使用されてもよい。
【0047】
したがって、クライアント/サーバアーキテクチャ、ピアツーピアアーキテクチャ、または、ハイブリッドアーキテクチャのようなネットワークトポロジおよびネットワークインフラストラクチャのホストが、利用されてもよい。「クライアント」は、それが関係しない別のクラスまたはグループのサービスを使用するクラスまたはグループのメンバである。クライアントは、別のプログラムまたはプロセスによって提供されるサービスを要求するプロセス、すなわち、大まかに言えば、命令またはタスクの集合であってもよい。クライアントプロセスは、その他のプログラムまたはサービス自身の何らかの機能的詳細を「知る」ことを必要とせずに、要求されたサービスを利用する。
【0048】
クライアント/サーバアーキテクチャ、とりわけ、ネットワーク化されたシステムにおいては、クライアントは、通常、別のコンピュータ、例えば、サーバによって提供される共有ネットワーク資源にアクセスするコンピュータである。限定するものではない例として示される図10において、コンピュータ1020、1022、1024、1026、1028などは、クライアントと考えられてもよく、コンピュータ1010、1012などは、サーバと考えられてもよく、ここで、サーバ1010、1012などは、クライアントコンピュータ1020、1022、1024、1026、1028などからデータを受信し、データを記憶し、データを処理し、クライアントコンピュータ1020、1022、1024、1026、1028などにデータを送信するようなデータサービスを提供するが、いずれのコンピュータも、環境に応じて、クライアント、サーバ、または、その両方であると考えられてもよい。
【0049】
サーバは、一般的には、インターネットまたは無線ネットワークインフラストラクチャのようなリモートネットワークまたはローカルネットワークを介してアクセスすることのできるリモートコンピュータシステムである。クライアントプロセスは、第1のコンピュータシステムにおいてアクティブ状態であってもよく、サーバプロセスは、第2のコンピュータシステムにおいてアクティブ状態であってもよく、そして、通信媒体を介してお互いに通信し、それによって、分散機能を提供し、複数のクライアントがサーバの情報収集能力を利用するのを可能にする。協調連接符号化を実施するための技術に基づいて利用される何らかのソフトウェアオブジェクトは、スタンドアロンで提供されてもよく、あるいは、複数のコンピューティング装置またはコンピューティングオブジェクト間に分散されてもよい。
【0050】
通信ネットワーク/バス1040が例えばインターネットであるネットワーク環境においては、サーバ1010、1012などは、クライアント1020、1022、1024、1026、1028などがハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)のようないくつかの既知のプロトコルのいずれかを介して通信するウェブサーバであってもよい。また、サーバ1010、1012などは、分散コンピューティング環境の特徴として、クライアント1020、1022、1024、1026、1028の役割をなしてもよい。
【0051】
典型的なコンピューティング装置
上述したように、有利なことには、ここで説明される技術は、一組の協調ユーザからデータを送信することが望ましいどのような装置にも適用されてよい。したがって、ハンドヘルドコンピューティング装置、ポータブルコンピューティング装置、および、その他のコンピューティング装置、および、あらゆる種類のコンピューティングオブジェクトは、様々な実施形態に関連して使用されること、すなわち、装置がデータを送信(または、受信)することを望むかもしれないどのような場所においても使用されることが考慮されることを理解すべきである。したがって、以下、図11において説明される汎用リモートコンピュータは、コンピューティング装置のほんの一例にすぎない。さらに、ここで説明される協調連接符号化を実施する実施形態のいずれかは、以下の汎用コンピュータの1つかまたはそれ以上の側面を含んでもよい。
【0052】
要求はされないが、実施形態は、装置またはオブジェクトに対するサービスの開発者によって使用するために、オペレーティングシステムを介して部分的に実施されてもよく、および/または、ここで説明される様々な実施形態の1つまたはそれ以上の機能的側面を実行するように動作するアプリケーションソフトウェア内に含められてもよい。ソフトウェアは、クライアントワークステーション、サーバ、または、その他の装置のような1つまたはそれ以上のコンピュータによって実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテクストとして記述されてもよい。当業者は、コンピュータシステムはデータを通信するのに使用できる様々な構成およびプロトコルを有することがわかるはずであり、したがって、特定の構成またはプロトコルに限定されると考えるべきではない。
【0053】
したがって、図11は、一例としての適切なコンピューティングシステム環境1100を示し、このコンピューティングシステム環境1100において、これまでに明白にされたとはいえ、ここで説明される実施形態の1つまたはそれ以上の側面が、実施されてもよく、コンピューティングシステム環境1100は、適切なコンピューティング環境のほんの一例にすぎず、かつ、使用方法または機能の範囲に関する何らかの限定を示唆しようとするものではない。コンピューティング環境1100は、典型的な動作環境1100に例示されたコンポーネントのいずれか1つまたはそれらの組み合わせに関する何らかの従属関係または要求を有するものであると解釈されるべきでもない。
【0054】
図11を参照すると、1つまたはそれ以上の実施形態を実施するための典型的なリモート装置は、汎用コンピューティング装置をコンピュータ1110の形で含む。コンピュータ1110のコンポーネントは、限定はされないが、処理ユニット1120、システムメモリ1130、および、システムメモリと処理ユニット1120との結合を含める様々なシステムコンポーネントを結合するシステムバス1122を含んでもよい。
【0055】
コンピュータ1110は、一般的には、様々なコンピュータ可読媒体を含み、そのコンピュータ可読媒体は、コンピュータ1110がアクセスすることのできる入手可能な如何なる媒体であってもよい。システムメモリ1130は、リードオンリーメモリ(ROM)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリの形でコンピュータ記憶媒体を含んでもよい。限定するものではない例として、メモリ1130は、また、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、その他のプログラムモジュール、および、プログラムデータを含んでもよい。
【0056】
ユーザは、入力装置1140を介して、コマンドおよび情報をコンピュータ1110に入力することができる。また、モニタまたはその他の種類のディスプレイ装置が、出力インタフェース1150のようなインタフェースを介して、システムバス1122に接続される。モニタに加えて、コンピュータは、また、スピーカおよびプリンタのようなその他の周辺出力装置を含んでもよく、それらの周辺出力装置は、出力インタフェース1150を介して、接続されてもよい。
【0057】
コンピュータ1110は、リモートコンピュータ1170のような1つまたはそれ以上の他のリモートコンピュータとの論理接続を用いたネットワーク化されるかまたは分散化された環境において動作してもよい。リモートコンピュータ1170は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピア装置またはその他の共通ネットワークノード、または、何らかのその他のリモート媒体消費装置またはリモート媒体送信装置であってもよく、また、コンピュータ1110に関連して上述した構成要素のいずれかかまたはすべてを含んでもよい。図11に描写される論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)のようなネットワーク1172を含むが、その他のネットワーク/バスをさらに含んでもよい。そのようなネットワーキング環境は、家庭、事務所、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、および、インターネットにおいて、一般的なことである。
【0058】
典型的な通信ネットワークおよび環境
上述した最適化は、どのようなネットワークにも適用されてよいが、以下の記述は、ここで説明される様々な実施形態を組み込むためのいくつかの典型的な電話無線ネットワークおよび限定するものではない動作環境を説明するものである。以下で説明される動作環境は、すべてを網羅するものではないと考えられるべきであるが、以下で説明されるネットワークアーキテクチャは、ここで説明される様々な実施形態が組み込まれてもよいほんの1つのネットワークアーキテクチャを示すにすぎない。しかしながら、(1つまたは複数の)実施形態は、同様に、通信ネットワークのために現時点において存在するかまたは将来において取って代わるどのようなアーキテクチャにも組み込まれてよいことがわかるはずである。
【0059】
移動通信のためのグローバルシステム(「GSM:Global System for Mobile communication」)は、今日の急成長している通信システムの中で最も幅広く利用されている無線アクセスシステムの1つである。GSMは、携帯電話またはコンピュータユーザのような加入者に回線交換データサービスを提供する。GMS技術が拡張された汎用パケット無線通信システム(「GPRS:General Packet Radio Service」)は、GSMネットワークにパケット交換を取り入れたものである。GPRSは、高速データおよび低速データを効率的に伝達するためにパケットベース無線通信技術を使用する。GPRSは、ネットワークおよび無線資源の使用を最適化し、したがって、パケットモードアプリケーションのために、GSMネットワーク資源の費用効果がありかつ効率的な使用を可能にする。
【0060】
当業者は、ここで説明される典型的なGSM/GPRS環境およびGSM/GPRSサービスが、同様に、ユニバーサル移動電話システム(「UMTS:Universal Mobile Telephone System」)、周波数分割複信(「FDD」)および時分割複信(「TDD」)、高速パケットデータアクセス(「HSPDA:High Speed Packet Data Access」)、cdma2000 1x Evolution Data Optimized(「EVDO」)、符号分割多元接続2000(「cdma2000 3x」)、時分割同期符号分割多元接続(「TD−SCDMA:Time Division Synchronous Code Division Multiple Access」)、広帯域符号分割多元接続(「WCDMA」)、Enhanced Data GSM Environment(「EDGE」)、International Mobile Telecommunications 2000(「IMT−2000」)、Digital Enhanced Cordless Telecommunications(「DECT」)などのような3Gサービスに拡張されてもよく、また、やがては利用可能となるその他のネットワークサービスにも拡張されてよいことがわかるはずである。この点において、ここで説明される技術は、特に指示されない限り、データ伝送の方法とは無関係に適用されてもよく、かつ、何らかの特定のネットワークアーキテクチャまたは下層のプロトコルに依存するものではない。
【0061】
図12は、1つまたはそれ以上の実施形態が実施されてもよいGPRSネットワークのような典型的なパケットベースモバイルセルラネットワーク環境の全体概略図を描写する。そのような環境においては、複数の無線局サブシステム(「BSS:Base Station Subsystems」)1200(1つのみ図示)が存在し、無線局サブシステムのそれぞれは、BTS1204、1206、および、1208のような複数の無線基地局(「BTS:Base Transceiver Stations」)を助ける無線局制御装置(「BSC:Base Station Controller」)1202を備える。BTS1204、1206、1208などは、パケットベースモバイル機器のユーザが無線ネットワークに接続されるアクセスポイントである。典型的には、ユーザ装置から発生するパケットトラフィックは、無線インタフェースを介して、BTS1208へ伝送され、また、BTS1208からBSC1202へ伝送される。BSS1200のような無線局サブシステムは、SGSN1212および1214のようなサービスGPRSサポートノード(「SGSN:Service GPRS Support Nodes」)を含んでもよい内部フレーム中継ネットワーク(internal frame relay network)1210の一部分である。
【0062】
そして、それぞれのSGSNは、内部パケットネットワーク1220に接続され、その内部パケットネットワーク1220を介して、SGSN1212、1214などは、複数のゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)1222、1224、1226などへ、および、複数のゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)1222、1224、1226などから、データパケットをルーティングすることができる。図示されるように、SGSN1214とGGSN1222、1224、および、1226とは、内部パケットネットワーク1220の一部分である。ゲートウェイGPRSサービスノード1222、1224、1226は、主として、公衆陸上移動通信ネットワーク(「PLMN」)1245、企業イントラネット1240、または、固定端システム(「FES:Fixed-End System」)または公衆インターネット1230のような外部インターネットプロトコル(「IP」)ネットワークへのインタフェースを提供する。図示されるように、加入者企業ネットワーク1240は、ファイアウォール1232を介して、GGSN1224に接続されてもよく、また、PLMN1245は、境界ゲートウェイルータ1234を介して、GGSN1224に接続される。リモート認証ダイヤルインユーザサービス(「RADIUS:Remote Authentication Dial-In User Service」)サーバ1242は、モバイルセルラ装置のユーザが企業ネットワーク1240を呼び出したとき、発信者を認証するのに使用されてもよい。
【0063】
一般的には、4つの異なるセルサイズ、すなわち、マクロセル、マイクロセル、ピコセル、および、アンブレラセル(umbrella cell)が、GSMネットワークにおいて存在してもよい。それぞれのセルのカバレッジエリアは、異なる環境において異なる。マクロセルは、基地局アンテナが平均的な屋根の高さよりも高い柱かまたは建物に設置されたセルであると考えることができる。マイクロセルは、セルのアンテナ高が平均的な屋根の高さよりも低いセルであり、これらのマイクロセルは、一般的には、市街地で使用される。ピコセルは、数十メーターの直径を有する小さなセルであり、これらのセルは、主として、屋内で使用される。他方において、アンブレラセルは、より小さいセルのシャドー領域をカバーし、かつ、それらのより小さいセル間の間隙を満たすために使用される。
【0064】
本発明による最適化アルゴリズムおよび最適化プロセスの機能を包含してもよいネットワーク構成要素は、限定はされないが、特定のディジタルネットワークによって必要とされるならば、ゲートウェイGPRSサポートノードテーブル、固定端システムルータテーブル、ファイアウォールシステム、VPNトンネル、および、どのような数のその他のネットワーク構成要素を含んでもよい。
【0065】
「典型的な」という用語は、ここでは、例、実例、または、例示として役に立つことを意味するのに使用される。誤解を避けるために、ここで開示される主題は、そのような例によって限定されるものではない。さらに、ここで「典型的な」として説明されるすべての側面または設計は、必ずしも他の側面または設計よりも好ましいまたは有利なものであると解釈されるべきではなく、また、当業者には公知の同等の典型的な構造および技術を除外することを意味するものではない。さらにまた、「含む」、「有する」、「包含する」、および、その他の類似する用語が詳細な説明または請求項において使用される限り、誤解を避けるために、そのような用語は、何らかの付加的なまたはその他の構成要素を除外することなく、開放的移行語(open transition word)として「備える」という用語に類似する形で含めることを意図したものである。
【0066】
ここで説明される本発明の様々な実施態様は、全体的にハードウェアであり、部分的にハードウェアでありかつ部分的にソフトウェアであり、また、ソフトウェアである側面を有してもよい。ここで使用される場合、「コンポーネント(要素)」、「システム」などの用語は、同様に、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、または、実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティに言及することを意図したものである。例えば、コンポーネントは、限定はされないが、プロセッサ上で実行されているプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、および/または、コンピュータであってもよい。実例として、コンピュータ上で実行されているアプリケーションおよびそのコンピュータの両方が、コンポーネントであってもよい。1つまたはそれ以上のコンポーネントが、プロセスおよび/または実行のスレッド内に存在してもよく、また、コンポーネントは、1つのコンピュータ上でローカライズされてもよく、および/または、2つまたはそれ以上のコンピュータ間に分散されてもよい。
【0067】
したがって、本発明の方法および装置、あるいは、それらの方法および装置のある特定の側面または一部分は、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD−ROM、ハードドライブ、または、何らかのその他の機械可読記憶媒体のような実体のある媒体(tangible media)として具現化されたプログラムコード(すなわち、命令)の形を有してもよく、そのプログラムコードが、コンピュータのようなマシン内にロードされ、そのマシンによって実行されるとき、そのマシンは、本発明を実施するための装置となる。プログラムコードがプログラマブルコンピュータ上で実行される場合、コンピューティング装置は、一般的には、プロセッサ、プロセッサによって読み出すことのできる記憶媒体(揮発性メモリおよび不揮発性メモリおよび/または記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力装置、および、少なくとも1つの出力装置を含む。
【0068】
さらにまた、開示される主題は、ここで詳細に説明された側面を実施するようにコンピュータまたはプロセッサベース装置を制御するためのソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、それらの何らかの組み合わせを製造するための標準的なプログラミング技術および/またはエンジニアリング技術を用いて、システム、方法、装置、または、製品として実施されてもよい。「製品」、「コンピュータプログラムプロダクト」、または、それらに類似する用語は、ここで使用される場合、何らかのコンピュータ可読装置、キャリア、または、媒体からアクセスすることのできるコンピュータプログラムを包含することを意図したものである。例えば、コンピュータ可読媒体は、限定はされないが、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストライプ、など)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)、など)、スマートカード、および、フラッシュメモリ装置(例えば、カード、スティック)を含んでもよい。さらに、搬送波が、電子メールを送受信するとき、あるいは、インターネットまたはローカルエリアネットワーク(LAN)のようなネットワークにアクセスするときに使用されるようなコンピュータ可読電子データを搬送するのに使用されてもよいことが知られている。
【0069】
上述したシステムは、いくつかのコンポーネント間における相互作用に関して説明された。そのようなシステムおよびコンポーネントは、それらのコンポーネントまたは特定のサブコンポーネント、特定のコンポーネントまたはサブコンポーネントの中のいくつか、および/または、さらなるコンポーネントを含んでもよく、したがって、上述したものの様々な置換および組み合わせを含んでもよいことがわかるはずである。また、サブコンポーネントは、例えば、階層構造に基づいて親コンポーネント内に含まれるのではなく、その他のコンポーネントに通信可能に結合されたコンポーネントとして実施されてもよい。さらに、1つまたはそれ以上のコンポーネントは、集約された機能を提供する単一コンポーネントとして組み合わせられてもよく、あるいは、いくつかの分離したサブコンポーネントに分割されてもよく、また、統合された機能を提供するために、管理層のような1つまたはそれ以上の何らかの中間層が、そのようなサブコンポーネントに通信可能に結合するように提供されてもよいことに注意されたい。ここで説明されるいずれかのコンポーネントは、また、ここでは詳細には説明されないが当業者には一般的に知られている1つまたはそれ以上のその他のコンポーネントと相互作用してもよい。
【0070】
上述した典型的なシステムを考えれば、開示された主題に基づいて実施されてもよい方法が、図面によって表現される様々なフローチャートを参照してより良く理解されるはずである。説明を簡潔にするために、方法が、一連のブロックとして図示されかつ説明されたが、請求される主題はブロックの順序によって限定されないことを認識および理解すべきである。なぜなら、いくつかのブロックは、異なる順序で発生してもよく、および/または、ここに描写されかつ説明されるその他のブロックと同時に発生してもよいからである。非順次的なフローすなわち分岐のあるフローが、フローチャートに沿って例示される場合、様々なその他の分岐、フロー経路、および、ブロックの順序が、実施されてもよく、それらは、同じかまたは類似する結果を達成することがわかるはずである。さらにまた、例示されたブロックのすべてが、以下で説明される方法を実施するために必要とされるわけではない。
【0071】
さらにまた、明らかなように、これまでに開示されたシステムおよび以下に開示される方法の様々な部分は、人工知能または知識またはルールベースコンポーネント、サブコンポーネント、プロセス、手段、方法、または、メカニズム(例えば、サポートベクトルマシン、ニューラルネットワーク、エキスパートシステム、ベイジアン信念ネットワーク(Bayesian belief network)、ファジ論理、データ融合エンジン、分類器、など)を含みまたはそれらから構成されてもよい。そのようなコンポーネントは、とりわけ、実行されるある特定のメカニズムまたはプロセスを自動化し、それによって、システムおよび方法の一部分をより適応性のあるものにし、また、より効率的および知的なものにしてもよい。
【0072】
本発明が、様々な図面に示される好ましい実施形態に関連して説明されたが、本発明から逸脱することなく、本発明の同じ機能を実行するために、その他の類似する実施形態が使用されてもよいこと、あるいは、変更および追加が説明された実施形態になされてもよいことを理解すべきである。
【0073】
典型的な実施形態は、特定のプログラミング言語要素、仕様、または、標準に関連して本発明を利用することに言及しているが、本発明は、そのように限定されるのではなく、最適化アルゴリズムおよびプロセスを実行するどのような言語で実施されてもよい。さらにまた、本発明は、複数の処理チップまたはデバイスにおいて、または、それらの複数の処理チップまたはデバイス間において実施されてもよく、また、記憶は、同様に、複数のデバイス間において実施される。したがって、本発明は、何らかの一実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲に記載された広さおよび範囲において解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2の協調ユーザと基地局との間における無線通信に関連して協調連接符号化を実行する方法であって、
前記少なくとも2の協調ユーザに含まれる第1の協調ユーザからの第1のメッセージを符号化するステップと、
前記少なくとも2の協調ユーザに含まれる第2の協調ユーザからの第2のメッセージを受信するステップと、
前記第2の協調ユーザからの前記第2のメッセージを復号化されたメッセージに復号化するステップと、
少なくとも1つの協調直列連接畳み込み符号(SCCC)と少なくとも1つの共同ユーザ再帰的体系的畳み込み(RSC)内部符号とに基づいて、前記復号化されたメッセージの少なくとも一部分を前記第1の協調ユーザの前記第1のメッセージの少なくとも一部分とともに再符号化して組み合わせメッセージを生成するステップと、
前記組み合わせメッセージの少なくとも一部分を送信するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記第2の協調ユーザからの前記第2のメッセージを前記基地局へ通信するために、前記少なくとも2の協調ユーザの空間ダイバーシチに関係なく、ビット誤り率を減少させるステップをさらに備えた請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組み合わせメッセージの少なくとも一部分を送信するステップが、前記組み合わせメッセージの少なくとも一部分を前記基地局と前記少なくとも2の協調ユーザに含まれる他の協調ユーザとに送信するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組み合わせメッセージの少なくとも一部分を送信するステップが、前記組み合わせメッセージのパリティビットの少なくとも一部分を送信するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の協調ユーザからの前記第1のメッセージを前記少なくとも2の協調ユーザに含まれる他の協調ユーザに送信するステップ、
をさらに備えた請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の協調ユーザからの前記第1のメッセージを送信するステップが、前記第1の協調ユーザからの前記第1のメッセージを前記基地局に送信するステップを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を備えたコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
少なくとも1つのネットワークによって通信可能に結合された少なくとも2つのユーザ装置と基地局との間における無線通信に関連して協調連接符号化を実行するためのユーザ装置であって、
前記少なくとも2つのユーザ装置に含まれる第2の協調ユーザ装置からの第2のメッセージを受信する無線通信コンポーネントと、
前記少なくとも2つのユーザ装置に含まれる第1の協調ユーザ装置からの第1のメッセージを符号化し、かつ、前記第2の協調ユーザ装置からの前記第2のメッセージを復号化メッセージに復号化する符号器/復号器であり、前記符号器/復号器が、共同ユーザ再帰的体系的畳み込み(RSC)内部符号を用いて、前記復号化メッセージの少なくとも一部分を前記第1の協調ユーザ装置の前記第1のメッセージの少なくとも一部分とともに再符号化して組み合わせメッセージを生成し、前記無線通信コンポーネントが、前記組み合わせメッセージの少なくとも一部分を送信する、前記符号器/復号器と、
を備えたユーザ装置。
【請求項9】
前記符号器/復号器が、協調直列連接畳み込み符号(SCCC)に基づいて、前記復号化メッセージの前記少なくとも一部分を再符号化する請求項8に記載のユーザ装置。
【請求項10】
前記無線通信コンポーネントが、前記組み合わせメッセージの少なくとも一部分を前記基地局と前記少なくとも2の協調ユーザに含まれる他の協調ユーザとに送信する請求項8に記載のユーザ装置。
【請求項11】
前記第2の協調ユーザからの前記第2のメッセージを前記基地局へ通信するために、前記少なくとも2の協調ユーザの空間ダイバーシチに関係なく、ビット誤り率が、減少させられる請求項8に記載のユーザ装置。
【請求項12】
前記無線通信コンポーネントが、前記第1の協調ユーザ装置からの前記第1のメッセージを前記基地局と前記少なくとも2の協調ユーザに含まれる他の協調ユーザとに送信する請求項8に記載のユーザ装置。
【請求項13】
通信の協調連接符号化を使用するネットワークシステムであって、
共同メッセージの少なくとも一部分を符号化し送信するようにそれぞれが構成された少なくとも2つの協調ユーザ装置を備え、前記共同メッセージが、
前記少なくとも2つの協調ユーザ装置に含まれる第1の協調ユーザ装置からの第1のメッセージの少なくとも一部分と、
前記少なくとも2つの協調ユーザ装置に含まれる第2の協調ユーザ装置からの第2のメッセージの少なくとも一部分と、を含み、
前記少なくとも2つの協調ユーザ装置のそれぞれが、協調直列連接畳み込み(SCC)符号器を含み、ビット誤り率が、前記第2のメッセージを基地局へ通信するために減少させられ、前記少なくとも2の協調ユーザの空間ダイバーシチに関係なく達成される、
ネットワークシステム。
【請求項14】
前記少なくとも2つの協調ユーザ装置のそれぞれが、共同ユーザ再帰的体系的畳み込み(RSC)内部符号器を含む請求項13に記載のネットワークシステム。
【請求項15】
前記協調SCC符号器が、少なくとも1つの復調器であり、該復調器の出力が、前記第2の協調ユーザ装置からの前記第2のメッセージに関して判定するための根拠を提供する請求項13に記載のネットワークシステム。
【請求項16】
送信された前記共同メッセージを復号化するように構成された、前記少なくとも2つの協調ユーザ装置に通信可能に結合された基地局、
をさらに備えた請求項13に記載のネットワークシステム。
【請求項17】
前記基地局が、複数の単一入力単一出力(SISO)要素復号器を含む請求項16に記載のネットワークシステム。
【請求項18】
前記少なくとも2つの協調ユーザ装置が、適応システムにおいてか、または、相当に大きい見通し特性を備えた伝搬環境において協調する請求項13に記載のネットワークシステム。
【請求項19】
前記少なくとも2つの協調ユーザ装置のそれぞれが、ユーザ間チャンネルを保護するためのしきい値最小距離を備えた強力な要素符号を指示する請求項13に記載のネットワークシステム。
【請求項20】
前記システムの前記ビット誤り率が、少なくとも前記第1のメッセージおよび前記第2のメッセージのブロックサイズが増加したときに減少する請求項13に記載のネットワークシステム。
【請求項21】
前記システムの前記ビット誤り率が、協調ユーザ装置の数が少なくとも第3の協調ユーザ装置を含めて、前記第1および第2の協調ユーザ装置よりも増加したときに、減少する請求項13に記載のネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−511478(P2011−511478A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507024(P2010−507024)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003337
【国際公開番号】WO2009/022240
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(510253723)リンナ・ホールディングス・プライベート,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (3)
【Fターム(参考)】