説明

無線タグシステム、無線タグデータ書込み方法、無線タグリーダ/ライタ装置及び無線タグ

【課題】 無線タグのデータを書き換えるときに既存のデータを破壊しない。
【解決手段】 無線タグのデータを書き込んだ順序を示す順序データと所定の情報を示す情報データとをそれぞれ対応付けて記憶する2つのデータ記憶領域から、無線タグリーダ/ライタ装置で順序データ及び情報データを読み出し(ST101)、読み出した順序データ及び情報データを保存し(ST102)、保存した順序データに基づいて有効なデータ記憶領域を判定し(ST103からST105)、有効と判定されたデータ記憶領域でないデータ記憶領域に、有効と判定されたデータ記憶領域から読み出して保存している情報データに処理を施した新たな情報データと更新された順序を示す順序データを書き込む(ST107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグに記憶されているデータを読み取り、読み取ったデータに処理を施しデータを書き込む無線タグシステム、無線タグデータ書込み方法、無線タグリーダ/ライタ装置及び無線タグに関する。
【背景技術】
【0002】
無線により所定データを無線タグ(以下、RFID(ラジオ・フリークエンシー・アイデンティフィケーション)タグとする。)に書込み、また、RFIDタグに書き込まれているデータをRFIDタグリーダで読み取るRFIDタグシステムが知られている。
【0003】
また、複数のデータブロックに関連付けられる複数の冗長ブロックが記録媒体から検索され、記録媒体から検索された複数のブロックからのエラーを有するブロックの数が決定され、エラーを有するブロックの数が冗長ブロックの数を上回る場合データブロックは、データセグメントにおいて、エラー訂正されるものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−135572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDタグは、リーダ/ライタ装置に接続されたアンテナより出力される磁力や電波を受けて起動しメモリ内のデータの読み書きが行われるが、この読み書きを行なう処理の途中でRFIDタグがアンテナより出力される電波の範囲外へ移動された場合には、「書き込みができなかった」という事態に加え、「RFIDタグに書き込み途中のデータが存在する」という事態が生じることになる。このようにRFIDタグへの書き込みが失敗すると、RFID内の既存のデータが破壊されてしまう場合もある。
【0005】
すなわち、ポイントカードやプリペイドカードといった使用する毎に既存データをベースに算出された新たなデータにデータが更新されるような用途を目的に使用されるカードに、RFIDタグを利用した場合では、書き込みに失敗すると既存のデータも破壊されてしまい、それまでに貯めたポイントやプリペイド残高金額を示すデータが紛失してしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、使用する毎に既存データをベースに算出された新たなデータにデータが更新されるような用途を目的に使用されるカードにRFIDタグを利用した場合に既存のデータを破壊することがない無線タグシステム、無線タグデータ書込み方法、無線タグリーダ/ライタ装置及び無線タグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、データを記憶する記憶領域を有する無線タグと、無線タグに記憶されたデータを読み取るとともに無線タグにデータを書き込む無線タグリーダ/ライタ装置とからなる無線タグシステムにおいて、記憶領域は、データを書き込んだ順序を示す順序データと所定の情報を示す情報データとを対応付けて記憶するデータ記憶領域を2つ有し、記憶領域内の2つのデータ記憶領域の順序データ及び情報データを読み出し、この読み出した順序データ及び情報データを保存し、この保存した順序データに基づいて有効なデータ記憶領域を判定し、有効と判定されたデータ記憶領域でないデータ記憶領域に、有効と判定されたデータ記憶領域から読み出して保存手段に保存されている情報データに処理を施した新たな情報データと更新された順序を示す順序データを書き込むものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、使用する毎に既存データをベースに算出された新たなデータにデータが更新されるような用途を目的に使用されるカードにRFIDタグを利用した場合に既存のデータを破壊することがない無線タグシステム、無線タグデータ書込み方法、無線タグリーダ/ライタ装置及び無線タグを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態における無線タグ(RFIDタグ)システムの構成を説明するための図である。図1に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)や、POS(ポイントオブセールス)等の端末装置である制御装置1と、プリペイドカード4に埋設されたRFIDタグ3にデータを書込み又はデータを読取るためのリーダ/ライタ装置2とが通信可能となるように接続されている。また、リーダ/ライタ装置2はアンテナ2aを有しており、このアンテナ2aから所定のコマンドを示す電波を出力し、この電波に応答してRFIDタグ3から出力された電波を受信する。
【0010】
図2は、リーダ/ライタ装置2の構成を示すブロック図である。リーダ/ライタ装置2は、制御装置1とのインタフェース部21、CPU,ROM,情報を保存するバッファを有するRAM等で構成される制御部22、RFIDタグ3へデータの送受信を制御する送受信部23、表示部24への表示を制御する表示制御部25等を有している。
【0011】
図3は、RFIDタグ3の構成を示すブロック図である。RFIDタグ3は、ループコイル等からなるタグアンテナ3aとLSIチップ3bとから構成される。LSIチップ3bは、電源生成部31、復調部32、変調部33、制御部34、記憶部35とを有している。電源生成部31は、タグアンテナ3aで受信した変調電波の整流と安定化を行うことにより各部に電源を供給する。復調部32は、上記変調電波を復調して制御部34へ送出する。変調部33は、制御部34から送出された情報を変調してタグアンテナ21に送出する。制御部34は、復調部32で復調された情報が所定の読取りコマンドであるときは記憶部35に記憶した情報を読み出し変調部33へ送出するとともに所定の書込みコマンドであるときは受信した情報を記憶部35の所定の領域に書き込む。記憶部35は各種データを記憶する。
【0012】
図4は、RFIDタグ3の記憶部35の記憶領域を説明するための図である。リーダ/ライタ装置2によるRFIDタグ3へのデータの書込みは、ある一定単位毎に行なわれるようになっており、この単位をブロックと称することとする。図4に示すように、記憶部35は、ユーザIDエリア35aとユーザエリア35bからなる。ユーザIDエリア35aは、RFIDタグ3固有の識別番号を記憶する1つのブロックからなるエリアである。また、ユーザエリア35bは、ユーザがリーダ/ライタ装置2により書き込んだデータを記憶する複数のブロックからなるエリアである。このユーザエリアは、書き換えることができる。
【0013】
ユーザエリアは、ブロックB1、ブロックB2、ブロックB3、…、のように複数のブロック(データ記憶領域)を有している。この各ブロックB1、B2、B3、…、は、それぞれ、シーケンシャルナンバー(S/N)とチェックサム値(CS)を持つ。各ブロックB1、B2、B3、…、には、順序データとしてS/Nと、S/N回数目に書き込まれたデータ及びS/N+データのチェックサム値(CS)が情報データとして記憶される。
【0014】
図5は、ユーザIDエリア35a、ユーザエリア35bとしてブロックB1、ブロックB2のデータエリアを有するRFIDタグ3を説明するための図である。図5に示すように、各ブロックB1、B2は、S/Nのサイズ及びチェックサム値のサイズを1バイトとし、データのサイズを6バイトとした合計8バイトとする。また、初回(RFIDタグ発行時)には、ブロックB1のS/Nは、“1”とし、ブロックB2のS/Nは“0”とする。
【0015】
以下では、図5で示したユーザIDエリア35a及びユーザエリア35b(ブロックB1及びブロックB2)のデータエリアを持つRFIDタグ3を、プリペイドカード4内に埋設して利用する場合について説明する。すなわち、図5で示すデータフォーマットでプリペイド残高金額を示すデータを保持し、決済時にその残高をリーダ/ライタ装置2で更新する(残高金額データを読み取って、決済処理後の新たな残高金額データに書き換える)場合について説明する。
【0016】
先ず、1000円の残高金額が記憶されたプリペイドカード4を発行する場合を説明する。リーダ/ライタ装置2を用いてユーザIDエリア35a以外のデータがブランク(全データが“0”)となっているRFIDタグ3に1000円の残高金額データを書込み発行する。先ず、ユーザID、ブロックB1及びブロックB2のデータを読み込み、それぞれのブロックのS/Nを比較する。この場合、S/Nは共に“0”であるためブロックB1をデータの書込み対象とする。すなわち、S/Nが同じ場合には若いブロック番号のブロックをデータの書込み対象のエリアとする。なお、S/Nが“有効値のMAX”と“1”であった場合には、S/Nが“1”のブロックがデータの書込み対象となる。
【0017】
そして、リーダ/ライタ装置2により、ユーザIDを指定して、S/N=01(Hex)、Data=00 00 00 00 03 E8(Hex)、CS=CSUM(01 00 00 00 00 03 E8)をRFIDタグ3のブロックB1に書き込む。なお、このデータの書込みに失敗しても、ブロックB1の対となるブロックB2のS/Nは“0”のままなので、書き込みをリトライすると、再度ブロックB1が書込み対象となる。プリペイドカード4の発行時は、データの書込みが成功するまでこの作業を繰り返す。そして、何度書込みのリトライをしてもデータの書込みが成功しないRFIDタグ3は、物理的に破損しているものとして破棄する。
【0018】
図6は、このようにして1000円の残高金額データが書き込まれたRFIDタグの記憶部35を示す図である。図6に示すように、ブロックB1は、S/N“1”、1000円の残高金額を示すデータ、S/Nと1000円のデータのCSが記憶されており、ブロックB2はブランクとなっている。
【0019】
図7は、リーダ/ライタ装置2の制御部22が実行するプリペイドカード4に埋設されたRFIDタグ3からデータを読み取り、RFIDタグ3へデータを書き込む処理の要部を示すフローチャートである。
【0020】
先ず、RFIDタグ3のユーザIDエリア35a、ブロックB1及びブロックB2に記憶されているデータが読み取られる(ST101,読取手段)。そして、ユーザIDエリア35a、ブロックB1及びブロックB2から読み取られたデータは、制御部22内のRAMの情報を保存するバッファに一時保存される(ST102,保存手段)。
【0021】
そして、RAMに保存されたデータに基づいて、ブロックB1のS/NとブロックB2のS/Nが比較され、S/Nの大きいブロックのチェックサムはOKか否かが判定される(ST103,チェック手段)。チェックサムがOKか否かは、読み取ったブロックB1のS/Nとデータより計算したチェックサムとタRFIDタグ3から読み取ったチェックサム値を比較することにより判定される。
【0022】
チェックサムがOKと判定されると(ST103でYES)、S/Nの大きいブロック、すなわち、ブロックB1が有効とされる(ST104)。また、チェックサムがOKでないと判定されると(ST103でNO)、S/Nの小さいブロック、すなわち、ブロックB2が有効とされる(ST105)。ステップST104及びST105で有効データ記憶領域判定手段を構成する。また、ステップST103からST105で判定手段を構成する。
【0023】
このように有効と判定されたブロックのデータに基づいて新データが算出される(ST106)。新データは、例えば有効と判定されたブロックから読み出された残高金額のデータから今回使用した金額を減算した新たな残高金額のデータと更新されたS/Nである。更新されたS/Nは、制御部22内に保存しているS/Nの大きい番号に1を加算した値となる(S/Nの値がMAXとなっているときは“0”となる)、すなわち、S/Nとして“0”と“1”が記憶されている場合は、大きい番号に1を加算した値、すなわち“2”となる。そして、算出した新データがステップST104又はST105の処理で有効と判定されなかったブロックに書き込まれる(ST107,書込手段)。この書込みは、RFIDタグ3から読み取ったユーザIDを指定してデータの書込みが行なわれる。
【0024】
次に、新データが書き込まれたことを示す応答がRFIDタグ3からあったか否かが判定される(ST108)。ステップST108の処理でRFIDタグ3からの応答データが新データの書込みエラーであると判定された場合はステップST107の処理へ戻り、再び新データの書込みが行なわれる。また、ステップST108の処理でRFIDタグ3からの応答データが新データの書込みOKと判定された場合は新データの書込みが成功したことを示す成功メッセージが表示部24に表示される(ST109)。また、ステップST108の処理でRFIDタグ3からの応答無し、すなわち、RFIDタグ3未検出である場合には、新データの書込みのリトライ時にRFIDタグ3が未検出となったか否かが判定される(ST110)。つまり、RFIDタグ3へデータの書き込みを行なった後未検出となったのか、初めからRFIDタグ3が検出できなかったのかが判定される。
【0025】
ステップST110でリトライ時におけるRFIDタグ3の未検出であると判定された場合は、書込まれたデータが破損している可能性があるため新データの書込み失敗を示す書込失敗エラーメッセージが表示部24に表示される(ST111)。
【0026】
また、ステップST110でリトライ時におけるRFIDタグ3の未検出でないと判定された場合、すなわち、初めからRFIDタグ3が検出できなかった場合は、RFIDタグ3未検出を示すRFIDタグ未検出エラーメッセージが表示部24に表示される(ST112)。
【0027】
次に、図6で示した1000円の残高金額データが記憶されているプリペイドカード4を利用して400円の買い物をするための決済を行なう場合の作用を説明する。
【0028】
リーダ/ライタ装置2でプリペイドカード4に埋設されたRFIDタグ3からユーザID、ブロックB1及びブロックB2のデータを読み取ると、それぞれのブロックのS/Nが比較される。ブロックB1のS/Nが“1”でブロックB2のS/Nが“0”であるためブロックB1のS/N>ブロックB2のS/Nと判定され、S/Nの大きいブロックB1のチェックサムがOKか否かが判定される。
【0029】
ブロックB1のチェックサムがOKであると判定されると、ブロックB1の1000円という金額データが有効となる。そして、新データのうち、金額データは1000円から400円を減算した600円、S/Nは“2”、これらのデータのCSが算出され、その算出されたデータがRFIDタグ3の有効と判定されていないブロックB2に書き込まれる。
【0030】
図8は、このようにしてデータが書き込まれたRFIDタグ3の記憶部35を示す図である。ブロックB1のデータは図6で説明したときと変化していないが、ブロックB2はS/Nが“0”から“2”に更新されるとともに600円を示す金額データが書き込まれ、またこれらのデータのCSが書き込まれている。すなわち、前回の残高金額である1000円を示す金額データと、現在の残高金額である600円を示すデータが共にRFIDタグ3内に記憶されている。
【0031】
次に、この残高金額が600円のプリペイドカード4を用いて、更に100円の買い物をした場合について説明する。リーダ/ライタ装置2でプリペイドカード4に埋設されたRFIDタグ3からユーザID、ブロックB1及びブロックB2のデータを読み取ると、それぞれのブロックのS/Nが比較される。ブロックB1のS/Nが“1”でブロックB2のS/Nが“2”であるためブロックB1のS/N<ブロックB2のS/Nと判定され、S/Nの大きいブロックB2のチェックサムがOKか否かが判定される。
【0032】
ブロックB2のチェックサムがOKであると判定されると、ブロックB2の600円という金額データが有効となる。そして、新データのうち、金額データは600円から100円を減算した500円、S/Nは“3”、これらのデータのCSが算出され、その算出されたデータがRFIDタグ3の有効と判定されていないブロックB1に書き込まれる。
【0033】
図9は、このようにしてデータが書き込まれたRFIDタグ3の記憶部35を示す図である。ブロックB2のデータは図8で説明したときと変化していないが、ブロックB1はS/Nが“1”から“3”に更新されるとともに500円を示す金額データが書き込まれ、また、これらのデータのCSが書き込まれている。すなわち、前回の残高金額である600円を示す金額データと、現在の残高金額である500円を示すデータが共にRFIDタグ3内に記憶されている。
【0034】
続いて、この残高金額が500円のプリペイドカード4を用いて、更に400円の買い物をした場合について説明する。リーダ/ライタ装置2でプリペイドカード4からユーザID、ブロックB1及びブロックB2のデータを読み取ると、それぞれのブロックのS/Nが比較される。ブロックB1のS/Nが“3”でブロックB2のS/Nが“2”であるためブロックB1のS/N>ブロックB2のS/Nと判定され、S/Nの大きいブロックB1のチェックサムがOKか否かが判定される。
【0035】
ブロックB1のチェックサムがOKであると判定されると、ブロックB1の500円という金額データが有効となる。そして、新データのうち、金額データは500円から400円を減算した100円、S/Nは“4”、これらのデータのCSが算出され、その算出されたデータがRFIDタグ3の有効と判定されていないブロックB2に書き込まれる。
【0036】
図10は、このようにしてデータが書き込まれたRFIDタグ3の記憶部35を示す図である。ブロックB1のデータは図9で説明したときと変化していないが、ブロックB2はS/Nが“2”から“4”に更新されるとともに100円を示す金額データが書き込まれ、また、これらのデータのCSが書き込まれている。すなわち、前回の残高金額である500円を示す金額データと、現在の残高金額である100円を示すデータが共にRFIDタグ3内に記憶されている。
【0037】
このようにプリペイドカード4が決済に用いられる毎に、RFIDタグ3からユーザIDと共に2つのブロックB1,B2のデータを読み取り、有効とされたブロックの残高金額から今回使用した金額を減算した残高金額を示すデータと更新したS/N、これらのデータのCSを、有効と判定されたブロックでないブロックに書き込む。このため、前回のデータを残すことができ、既存のデータを破壊することがない。
【0038】
また、このプリペイドカード4が新データを書き込んでいるときに、リーダ/ライタ装置2のアンテナ2aから発する電波の範囲外にプリペイドカード4が移動されてしまう等の理由によりデータの書込みが失敗してしまった場合を、図8に示す状態から図9に示す状態に遷移する場合(600円の残高金額のときに100円を使用する場合)に失敗した場合について説明する。
【0039】
図11はデータの書き込みが失敗したRFIDタグ3の記憶部35を示す図である。ブロックB2のデータは図8で説明したときと変化していないが、ブロックB1はデータの書込みが失敗したため、S/Nが“3”から破壊されたデータ“12”に更新されるとともに正当な残高でない金額データ、破壊された値のCSとなっている。すなわち、RFIDタグ3内のブロックB1に記憶されているデータが破壊されている。なお、データの書込みが失敗した場合は、リーダ/ライタ装置2の表示部24に新データの書込み失敗を示す書込失敗エラーメッセージが表示される。
【0040】
リーダ/ライタ装置2のオペレータは、この表示部24の表示を視認すると、再びプリペイドカード4を用いて100円の決済処理を行なう。すなわち、プリペイドカード4を再びリーダ/ライタ装置2のアンテナ2aから電波の発する範囲に載置し、プリペイドカード4に埋設されたRFIDタグ3からユーザID、ブロックB1及びブロックB2のデータを読み取る。すると、それぞれのブロックのS/Nが比較される。ブロックB1のS/Nが“12”でブロックB2のS/Nが“2”であるためブロックB1のS/N>ブロックB2のS/Nと判定され、S/Nの大きいブロックB1のチェックサムがOKか否かが判定される。
【0041】
データの書き込みが失敗してデータが破壊されているため、ブロックB1のチェックサムがOKでないと判定される。このため、ブロックB2の600円という金額データが有効となる。そして、新データのうち、金額データは600円から100円を減算した500円、S/Nは“3”が算出され、その算出されたデータがRFIDタグ3の有効と判定されていないブロックB1に書き込まれる。そして、このようにして書き込まれたデータは、図9で示したデータ記憶領域と同一となる。
【0042】
したがって、有効であると判定されていないブロックへのデータの書込みに失敗したとしても、読出し時に書込みが失敗したデータはチェックサムが正しくないと判定されるため有効なデータとならず、前回の残高金額を示すデータとS/Nが記憶されたブロックが有効であると判定される。このため、データの書込みに失敗してもプリペイドカード4の既存の残高金額のデータが破壊されることはない。
【0043】
上述の実施の形態では、S/Nとして数値を用いているが、これに限るものではない。例えば、リーダ/ライタ装置2の制御部22内にタイマを設け、書き込むときにタイマで計時している現在時刻を書込みようにしても良い。そして、RFIDタグ3からデータを読み取ったときは、その時刻を比較して有効となるブロックを判定するようにしても良い。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態における無線タグシステムの全体構成を概略的に示す図。
【図2】同実施の形態における無線タグリーダ/ライタ装置の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態における無線タグの要部構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態における無線タグの記憶部の構成を説明するための図。
【図5】同実施の形態における無線タグの記憶部の構成を示す図。
【図6】同実施の形態における無線タグの記憶部に記憶されるデータの一例を示す図。
【図7】同実施の形態における無線タグの記憶部にデータを書き込む処理の要部を示すフローチャート。
【図8】同実施の形態における無線タグの記憶部に記憶されるデータの一例を示す図。
【図9】同実施の形態における無線タグの記憶部に記憶されるデータの一例を示す図。
【図10】同実施の形態における無線タグの記憶部に記憶されるデータの一例を示す図。
【図11】同実施の形態における無線タグの記憶部に記憶されるデータの一例を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1…制御装置、2…リーダライタ装置、2a…アンテナ、3…RFIDタグ、4…プリペイドカード、22…制御部、24…表示部、35…記憶部、35a…ユーザIDエリア、35b…ユーザエリア、B1,B2…ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶する記憶領域を有する無線タグと、前記無線タグに記憶されたデータを読み取るとともに前記無線タグにデータを書き込む無線タグリーダ/ライタ装置とからなる無線タグシステムにおいて、
前記記憶領域は、データを書き込んだ順序を示す順序データと所定の情報を示す情報データとを対応付けて記憶するデータ記憶領域を2つ有し、
前記記憶領域内の2つのデータ記憶領域の順序データ及び情報データを読み出す読出手段と、
この読出手段で読み出した順序データ及び情報データを保存する保存手段と、
この保存手段に保存した順序データに基づいて有効なデータ記憶領域を判定する判定手段と、
この判定手段で有効と判定されたデータ記憶領域でないデータ記憶領域に、前記有効と判定されたデータ記憶領域から読み出して前記保存手段に保存されている情報データに処理を施した新たな情報データと更新された順序を示す順序データを書き込む書込手段とを具備することを特徴とする無線タグシステム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記順序データに基づいて有効と判定したデータ記憶領域のデータ内容が正しいか否かをチェックするチェック手段と、このチェック手段によるチェックで前記データ記憶領域のデータ内容が正しいときはそのデータ記憶領域を有効であるとし、前記チェック手段によるチェックで前記データ記憶領域のデータ内容が正しくないときは前記有効と判定したデータ記憶領域でないデータ記憶領域を有効であるとする有効データ記憶領域判定手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の無線タグシステム。
【請求項3】
データを記憶する記憶領域を有する無線タグに記憶されたデータを無線タグリーダ/ライタ装置で読み取り、無線タグリーダ/ライタ装置で前記無線タグにデータを書き込む無線タグデータ書込方法において、
データを書き込んだ順序を示す順序データと所定の情報を示す情報データとを対応付けて記憶する前記無線タグの2つのデータ記憶領域から、前記無線タグリーダ/ライタ装置で前記順序データ及び情報データをそれぞれ読み出すステップと、
このステップで読み出した順序データ及び情報データを保存するステップと、
このステップで保存した順序データに基づいて有効なデータ記憶領域を判定するステップと、
このステップで有効と判定されたデータ記憶領域でないデータ記憶領域に、前記有効と判定されたデータ記憶領域から読み出して保存している情報データに処理を施した新たな情報データと更新された順序を示す順序データを書き込むステップとを具備することを特徴とする無線タグデータ書込方法。
【請求項4】
データを記憶する記憶領域を有する無線タグに記憶されたデータを読み取るとともに前記無線タグにデータを書き込む無線タグリーダ/ライタ装置において、
データを書き込んだ順序を示す順序データと所定の情報を示す情報データとを対応付けて記憶する前記無線タグの2つのデータ記憶領域から、前記順序データ及び情報データをそれぞれ読み出す読出手段と、
この読出手段で読み出した順序データ及び情報データを保存する保存手段と、
この保存手段に保存した順序データに基づいて、有効なデータ記憶領域を判定する判定手段と、
この判定手段で有効と判定されたデータ記憶領域でないデータ記憶領域に、前記有効と判定されたデータ記憶領域から読み出して前記保存手段に保存されている情報データに処理を施した新たな情報データと更新された順序を示す順序データを書き込む書込手段とを具備することを特徴とする無線タグリーダ/ライタ装置。
【請求項5】
無線タグリーダ/ライタ装置によって記憶しているデータが読み出されるとともにデータが書き込まれる無線タグにおいて、
データを書き込んだ順序を示す順序データと所定の情報を示す情報データとをそれぞれ対応付けて記憶するデータ記憶領域を2つ有し、
前記無線タグリーダ/ライタ装置で前記データ記憶領域から前記順序データ及び前記情報データが読み出され、この読み出された順序データから有効であると判定されたデータ記憶領域でないデータ記憶領域に、前記有効と判定されたデータ記憶領域から読み出された情報データに処理を施した新たな情報データと更新された順序を示す順序データが書き込まれることを特徴とする無線タグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−310590(P2007−310590A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138091(P2006−138091)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】