説明

無線ネットワークを介して警報メッセージを送信するシステムおよび方法

本発明は、送信機(1)と少なくとも1つの受信機(2)とを持つ無線ネットワークを介して、警報メッセージを送信するシステムに関する。送信機(1)は無線ネットワークを介して警報メッセージ(14)を送信するアンテナを備えている。送信機によって送信された警報メッセージ(14)は、警報区域、警報理由(15)、および警報行為(16)のパラメータ(18)を有する。受信機(2)は、無線ネットワークを介して送信された警報メッセージを受信するアンテナ(3)と、デコーダ(4)と、プロセッサ(5)と、受信機(2)の位置が記憶されたメモリ(6)と、警報出力装置(7)とを備えている。受信された警報メッセージ(14)は、プロセッサ(5)において取得され、キャプチャーアルゴリズムを用いて読み出される。警報区域は、警報メッセージ(14)のパラメータ(18)から、ゾーンアルゴリズムを用いて決定される。解析アルゴリズムは、受信機(2)に記憶された位置が警報区域内にあるかどうかをチェックし、該位置が警報区域内にある場合、警報出力装置(7)によって出力される警報信号を発生する。本発明は、警報メッセージ(14)を受信する受信機(2)、受信機(2)で受信する方法、および、送信機(1)および受信機(2)を備えた無線ネットワークで警報メッセージ(14)を送信する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは2つ以上の送信機と1つまたは2つ以上の受信機とを持ち、無線ネットワークを介して警報メッセージを送信するシステム、無線ネットワークを介して送信された警報メッセージを受信する受信機、無線ネットワークの受信機で警報メッセージを受信する方法、および、警報メッセージを無線ネットワークで送信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
警報メッセージを送信するシステムは、長年もの間先行技術において知られている。危険な状況を集団に警報するサイレンの地域全体に広がったネットワークは、ほとんどが解体されてしまったので、これらのシステムの重要性が増している。もはやサイレンによってではなく、その代りにラジオ、テレビ、またはインターネットを介して、緊急な危険性の警報が集団に出される。この手順の不利な点は、対応する装置が作動している必要があるということである。「起床効果」が全くないこともある。
【0003】
集団に警報を出す既知のシステムおよび方法では、空間的に限定された領域内の一群の人々に警報を出す試みがなされている。ここで、下記の種々の概念を追究してみる。
【0004】
a)無線信号による送信では、送信領域内の受信機のみが信号を受信することができるように、送信機の信号到達範囲が制限されている。送信領域は警報領域に対応している必要がある。そのような実施形態は、例えばドイツ特許出願公開明細書第3915099(A1)号(DE3915099A1)に記載されている。1つの不利な点は、送信到達距離が警報区域と対応するように、送信機の位置および出力を選択する必要があるということである。警報は緊急に配信される必要があるので、最終的に、一定の警報区域を、送信機のあらかじめ規定された位置のまわりに規定する可能性のみが依然として残されている。現在の警報状況に適合させることは不可能である。したがって、警報区域は非常に広くなる場合が多いので、警報は災害に見舞われていない人々にも到達する。警報区域の精度を向上させるためには、多くの送信機が構築されなければならず、このことは受け入れがたい財政上の支出をもたらすであろう。
【0005】
b)他の可能性は、警報を出されるべきあらかじめ規定された警報領域に合わせて警報信号を符号化することである。そのような手順は例えば、ドイツ実用新案第29914155(U1)号(DE29914155U1)、ドイツ実用新案第202004006414(U1)号(DE202004006414U1)、ドイツ特許出願公開明細書第3211881(A1)号(DE3211881A1)、欧州特許出願公開明細書第1143394(A)号(EP1143394A)、PCT特許出願公開明細書第2004/004305(A)号(WO2004/004305A)、または米国特許明細書第5,121,430(A)号に説明されている。これらの手法には、符号化された領域(例えば連邦または行政区域)をあらかじめ規定していなければならないという不利な点がある。したがって、これらのシステムは非常に静的であり、拡張するのが難しい。警報が出される領域は、ほとんどの場合非常に広いので、事前に規定された領域に基づいたこれらのシステムはかなり不正確である。その結果、個人ユーザ間での受け入れは減少する。したがって、領域内の災害を被っていない多くの人々に警報を出すことが、パニックを引き起こさないかどうか、および長期的には警報を無視する結果にならないかどうかをあらかじめ考慮する必要があるので、そのようなシステムの有用性は極めて限定されたものになる。
【0006】
c)先行技術における他の手法は起床効果を考慮して、既存の通報手段、特に電話を用いて集団に警報を出すものである。そのようなシステムは、ドイツ特許出願公開明細書第10204300(A1)号(DE10204300A1)、または米国特許出願公告明細書第6,816,878(B1)号に記載されている。これらの方法は、警報を出す受信機の位置が分かっていて、どの受信機が警報に関心を示すかを警報の初期に決定する集中システムに基づいている。しかしながら、電話を介した警報メッセージの送信は、該電話を不向きにする多くの不利な点を有している。一方では、電話線は、嵐または洪水のような天災の場合には破損される可能性がある。他方では、多数の加入者に警報を出すことは、電話回路網を過負荷にする結果になるであろう。さらなる困難が通信市場の開放により発生し、結果的に電話接続を提供するプロバイダ数が多くなる。一定領域内におけるすべての接続の迅速かつよく調整された選択は、ほぼ不可能である。インターネット電話技術の使用も集団に警報を出すことを困難にする。警報が携帯電話機を介して送信される場合、電話回線の通信網が並行分布ではなく2地点間接続に基づいているので、大災害の場合には電話回線網の故障を予期しておく必要があろう。多くの接続が被害を受けている場合、これは長い待ち時間をもたらす可能性があり、このことは、この方法を受け入れがたいものにするであろう。さらに、水、地震、および嵐による危険にさらされている地上通信線への依存もこれらの通信網に対する要因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、先行技術において直面した問題を克服する、警報メッセージを用いて集団に警報を出すシステムおよび方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する送信機および受信機を使用して、無線ネットワーク上で警報メッセージを送信するシステムによって、請求項8の特徴を有する受信機によって、および、請求項13の特徴を有する受信機で警報メッセージを受信する方法および請求項14の特徴を有する送信方法によって達成される。
【0009】
従属する関連の請求項は、該システム、受信機、および方法の好ましいさらなる実施形態および特徴を定めている。
【0010】
無線ネットワークを介して警報メッセージを送信する本発明のシステムは、少なくとも1つの送信機と少なくとも1つの受信機とを有する。該少なくとも1つの送信機は、無線ネットワークを介して警報メッセージを送信するアンテナを備えている。送信機によって送信される警報メッセージは、個別におよびたった今規定された領域(事前に規定されずに瞬時に規定された)を記述したおよび/または規定した警報領域のパラメータを含んでいる。該警報メッセージは、随意に警報理由と、および/または警報行為(推奨動作)とを有していてもよい。本発明のシステムの受信機は、無線ネットワークを介して送信される警報メッセージを受信するアンテナと、警報メッセージを復号するデコーダと、処理用のプロセッサと、メモリと、警報出力装置とを備えている。受信機の位置はメモリに記憶されている。
【0011】
上に挙げた先行技術からの手法との違いは、特に、手法a)およびb)とは対照的に、警報区域が動的に選択可能であり、あらかじめ規定された領域に基づいていないという事実にある。c)の下で挙げた先行技術の手法とは対照的に、それぞれの警報受信機が、警報が出された領域内にあるかどうかの評価が集中的に行われないで、その代りに各個々の警報受信機が該評価を単独で決定する。特に、警報が出された領域の動的な規定および本発明による各個々の受信機での評価は従来知られていなかったが、大きな利点を提供する。さらに、下に述べる発明では、警報装置の位置の恒久的な集中記憶装置は必要ではなく、このことは、特にプライバシー保護規則の見地から利点となる。
【0012】
本発明のシステムは、警報領域が状況の関数として規定されるので、非常に柔軟性があるという利点を持っている。警報区域をあらかじめ規定して個々の受信機にこのデータを記憶しておく必要はない。したがって、送信機と受信機との間の事前の通信の必要性は全くない。さらに、このシステムは、警報メッセージを起動するイベントに応じ、狭い領域および広い領域のいずれに対しても警報を出すことができるという利点を持っている。
【0013】
「無線ネットワーク」という用語は、1つまたは2つ以上の送信機の送信到達距離内のすべての受信機にディジタル情報を送信することができるネットワークであると理解される。これらは例えば、ページャーネットワーク、または例えばRDSを持つFM局、いわゆる放送ネットワークを含んでいる。無線ネットワークのすべての送信機は同一情報を送信することができ、または該送信機は異なる領域に異なる情報を送信することもでき、該情報は、警報または警報メッセージ、および/または警報情報も含むことができる。
【0014】
受信された警報メッセージは、キャプチャーアルゴリズム(capture algorithm)を用いて受信機で取得され、読み出される。解析アルゴリズム(analysis algorithm)が、受信機に記憶された位置が警報領域内にあるかどうかを解析する。該位置が警報領域内にある場合、警報信号が警報出力装置によって生成、出力される。警報信号は、当然、警報メッセージに誤りがない場合にのみ出力される。その際、警報メッセージの正しさのチェックを可能にするチェックサムが随意に警報メッセージに含まれている。それゆえ、受信機は一定の「人工知能」を備えている。
【0015】
受信機の位置が警報領域内にあるかどうかの解析アルゴリズムによる検証が、警報メッセージの送信パラメータに基づいた計算によって行われる。この目的のために、警報領域は受信機で完全に決定されてもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。多くの場合、受信機の位置が警報領域内にあるかどうかについてのステートメントを、これらのパラメータに基づいて行うことができる。円形の警報領域の場合には、中心からの距離を計算して該距離を半径と比較することにより、受信機の位置が警報ゾーン内にあるかどうかを、すなわち警報メッセージが受信機に関係しているかどうかを計算することができる。
【0016】
受信機は主要な計算業務をこのように行い、符号化された「記述」および/またはパラメータ化された命令から、個々の警報ゾーン(たった今または臨時に生成された)を計算する。受信機が警報領域内にあるかどうかを決定し、さらに警報メッセージを解析し、随意に警報ゾーンを決定および計算する実際の計算業務は、1つまたは2つ以上の受信機によってこのように行われる。これは、送信機が受信機の位置に関する情報を全く必要としない理由の1つでもある。
【0017】
好ましい実施形態では、警報領域は、警報メッセージのパラメータから、ゾーンアルゴリズムを(zone algorithm)用いて受信機で自動的に計算される。受信機は、警報メッセージの送信パラメータから自動的に警報領域を決定する。必要な計算能力が受信機の適切なプロセッサによって確保される。警報領域の決定、および受信機に記憶された位置が警報領域内にあるかどうかの検証は極めて迅速に行われる。必要であれば、警報メッセージの受信と警報の出力との間に言及すべき遅延はない。
【0018】
警報領域は、警報ゾーンの中心および少なくとも1つの大きさの領域によって記述されるのが好ましい個々の警報ゾーンである。該中心は、例えば、度、分、および秒の形態で定義される地理的座標によって記述される。したがって、領域のそのような記述も「地理的参照(geographic referencing)」と呼ばれる。警報領域の中間点および/または中心だけでなくその形状も、地理的座標により経度および緯度として規定することができる。このように、一義的な記述が可能である。したがって、警報領域は、ブロードキャスティング送信機の位置にかかわらず、どんな位置にあってもよい。
【0019】
円形の警報領域の場合(楕円形の特別な場合)には、半径はメートルまたはキロメートルのような長さの1つの単位で与えられる。しかしながら、該半径は、度、分、および秒の3つ要素の形態で記述することもできる。警報領域が正方形の領域の場合、エッジ長が与えられる。そのとき、円の中心は角度2等分線の交点(すなわち正方形の中心)に対応する。長方形の警報領域の場合には、他の寸法が与えられる必要がある。このとき、該寸法を随意の第2の寸法として警報メッセージに提供することができる。このように、例えば楕円を含む極めて個別の警報区域を規定することが可能である。警報領域の形状が、数学的な曲線によって、または複数の曲線または曲線近似(例えばスプライン関数)によって記述されることも考えられる。
【0020】
警報領域は、精度の高い最新(臨時)の領域によって、および状況の関数として規定することができる。根拠として、種々の基準、例えば地域の地理的な特性(市街地、都市、農村地域)、または現在発生している災害状況が用いられてもよい。その対応は異なる状況に応じて変化してもよい。火災の場合には、個々の道路に警報を出すことが望ましい。洪水の場合には、川の進路に沿った領域が警報領域と記述されることが好ましく、または化学工場または発電所での重大事故の場合には、比較的広範囲な円形領域を規定することができるであろうが、風のような気象条件を考慮した場合、これらの領域は楕円等の形状であると考えることもできる。ここで、本発明のシステムは高い柔軟性を可能にする。
【0021】
警報領域が、発生している危険な状況に基づいて規定されるとすぐに、上で説明したような災害の種類または地理的特性、および個々の警報ゾーンをできるだけ正確に記述したパラメータが、警報メッセージを送信するシステムの送信機で決定される。警報領域はパラメータによってこのように擬似符号化される。このことは、複合的な警報領域であっても、少数のパラメータに基づいて記述することができるという利点を有する。システムの受信機は適切な計算能力を備えているので、該受信機はパラメータから警報領域を「復号する」ことができる。それゆえ、警報領域は、パラメータに基づいて受信機で自動的に計算される。該計算を行うのに、受信機は、警報領域に関する付加的情報を含んでいる必要はない。情報はすべてパラメータに格納されている。このような方法においてのみ、あらかじめ規定されていないあらゆる所望の警報領域を送信することが可能になる。このようにして、現在の状況に非常に正確に応答することが可能になる。
【0022】
警報は既存の無線ネットワークを通じて配信されるので、警報の迅速な送信(警報区域およびさらに他の区域への)が可能になる。警報領域内の受信機はすべて並行してアドレス指定されてもよい。このように、各家庭を個々にアドレス指定する必要なく、非常に目標を絞ったおよび柔軟な手法で、家庭に設置された個々の受信機に警報を出すことができる。具体的な受信機の位置データは、集中システムに恒久的に記憶される必要はなく、かつ符号化される必要または警報メッセージに格納される必要もないので、これは効率的な手法で可能になる。
【0023】
受信機および/またはネットワークの警報の受信者に向けられていない警報メッセージ以外の情報が無線ネットワークを介して送信された場合、警報メッセージが送信されているときに、受信機が認識できる識別子は、警報情報に先行する必要がある。
【0024】
本発明のシステムの好ましい実施形態では、状況に基づいて規定された個々の警報区域を警報メッセージで送信できるだけでなく、前もって規定された警報区域を送信することもできる。そのような警報区域は、例えば州、行政区域、郵便番号地域等であってもよい。というのは、それらは先行技術で知られているからである。この場合、受信機は、メモリに記憶された警報区域についての情報を持っている。
【0025】
システムが事前に規定された警報区域および送信されるべき個々の警報ゾーンの両方を提供する場合、警報メッセージは、警報領域の種類(警報区域または個々の警報ゾーン)を含む必要があるので、受信機は、警報領域の種類に基づいて、事前に規定された警報区域のコードまたは個々の警報ゾーンのパラメータが警報メッセージに含まれているかどうかを判断することができる。これに基づいて、送信された警報区域のコードが記憶された警報区域のコードと比較されるか、または一意的な警報ゾーンがパラメータに基づいて容易に決定される。
【0026】
好ましい実施形態では、送信された警報メッセージは、第1の部分と第2の部分とを持っている。警報領域の種類は第1の部分で規定される。第2の部分には、警報領域、警報理由、および警報行為のパラメータが含まれている。警報領域の種類は、地理的参照の原理によれば、事前に規定された警報区域または個々の警報ゾーンのいずれかであろう。警報領域のパラメータは該警報領域の種類による。ある実施形態では、警報領域の種類も前もって規定されており、送信される必要はない。
【0027】
受信機は、キャプチャーアルゴリズムを用いて、警報メッセージの第1の部分(もし存在すれば)が読み出され、警報領域が固定的に事前に定義された警報区域または個々の警報ゾーンかどうかが決定されるように構築されている。警報領域が警報区域である場合、該警報区域はコード化形式で記憶されるのが好ましく、2つの警報領域を1つの警報メッセージで送信することができるのが特に好ましい。
【0028】
個別の警報ゾーンが警報区域の種類として示されている場合、受信機は、警報メッセージの第2の部分のパラメータに基づいて、すなわち例えば個別の円形の警報ゾーンの中心および半径に基づいて、ゾーンアルゴリズムを用いて個別の警報ゾーンを決定する。
【0029】
本発明のシステムを介して配信される警報メッセージの随意の2つの部分の構成により、個別の状況依存的な警報ゾーンだけでなく、有効なあらかじめ規定された警報区域を送信することが可能になる。たった1つの受信機が必要なだけである。システム内で変更を行う必要はない。
【0030】
警報を必要とするイベントが発生した場合、緊急対策チームは、既存の受信機がどの警報領域で警報を出されるべきかを決定する。あらかじめ規定された警報区域が選択されるか、または中心が通常警報を必要とするイベントの場所である個別の警報ゾーンが規定される。好ましい実施形態では、送信機は、警報メッセージのパラメータがアロケーションアルゴリズム(allocation algorithm)を用いて規定されるプロセッサを含んでいる。警報領域が警報区域である場合、該パラメータは警報区域のコードを含んでいる。
【0031】
アロケーションアルゴリズムによる警報メッセージ、特にパラメータの生成は、送信機そのもので行われるのが好ましい。あるいは、別個の処理装置でこのアロケーションアルゴリズムを実行し、生成された警報メッセージを、次に該警報メッセージを送信する送信機に送信することは可能である。警報ゾーンを可能な限り好適に記述するパラメータ群は、ちょうど今規定された個別の警報ゾーンから自動的に生成される。次に、警報領域(個別の警報ゾーン)は、このパラメータ群に基づいて受信機で正確に計算することができる。これは、アルゴリズムにより行われるのが好ましい。
【0032】
警報領域は警報メッセージに含まれており、該警報領域は各受信機で解析されるので、1つまたは2つ以上の送信機を持つ送信機ネットワークの送信機の到達範囲を制限する必要はない。それゆえ、到達距離の長い送信機または送信ネットワークを用いることができる。
【0033】
無線ネットワークを介して送信された警報メッセージを受信する本発明の受信機は、デコーダと、プロセッサと、該受信機の位置が記憶されているメモリとを備えている。受信された警報メッセージは、警報出力装置によって出力することができる。本発明によれば、受信機は、警報メッセージを取得して該警報メッセージから警報領域のパラメータを読み出すキャプチャーアルゴリズム有する。警報区域は、受信機のプロセッサで実行されるのが好ましいゾーンアルゴリズム(zone algorithm)を用いて、警報メッセージのパラメータから決定される。次に、解析アルゴリズムは、受信機に記憶された位置が警報区域内にあるかどうかを解析する。該位置が該警報区域内にある場合、警報信号が出力される。好ましい実施形態では、警報理由および/または警報行為が出力される。これらは両方とも、好ましくはコード化形式で警報メッセージに含まれていてもよい。好ましい実施形態では、警報メッセージがコードのみを含まなくてはならないように、警報理由および警報行為(推奨)は、受信機のメモリにコード化形式で記憶される。次に、警報メッセージのコードに対応する警報理由が警報出力装置に表示される。
【0034】
警報出力装置は、音響的出力と光学的出力とを含んでいるのが好ましい。受信機の起床機能はこのような方法で実行される。警報理由および警報行為は、ディスプレイに表示されるか、またはボイスプロンプトによって出力されるのが好ましい。これらは両方ともプレーンテキストで出力され、その後直接読み、聴くことができる。あるいは、警報理由および警報行為(行為)が制御光のディスプレイによってコード化形式で出力される、受信機の簡単なバージョンが考えられる。次に、ユーザ自身は、テーブルに基づいて該理由および行為を復号しなければならない。
【0035】
本発明によれば、情報は、有効な固定された警報区域および住所の地理的座標が、各住所(もし存在すれば)に対して分かるように、システムに好ましくは送信機に含まれている。
【0036】
この情報は受信機も知っていなくてはならない。したがって、該情報は設定手順で受信機に組み込まれる。受信機は、該受信機に所定の設定データを入力することにより、ユーザによって手動で設定されてもよい。この目的のために、入力装置が受信機に任意に提供される。
【0037】
あるいは、受信機は、プロセッサの設定アルゴリズムを用いて自動的に設定されるのが特に好ましい。この場合、受信機は、無線ネットワークを介して、特に好ましくは受信機のシリアル番号も含んでいてもよいいわゆる設定メッセージの形態で、必要な設定データを受信する。
【0038】
他の実施形態では、受信機の現在の位置は、集積化デバイス、または位置決定用に随意に連続的にまたは一時的に接続された装置、例えばGPS受信機によって、絶えずまたはオンデマンドで決定され、地理的位置に変更がある場合、該変更後の位置は受信機の設定メモリに自動的に記憶される。GPS受信機で決定された位置は、受信機が、送信および計算された警報ゾーンにあるかどうかの検証の根拠としてこのように用いられる。
【0039】
以下に、図面に示した典型的な実施形態に基づき、本発明をより詳細に説明する。図面に示した詳細は、本発明の好ましい実施形態を創出するために個々にまたは組み合わせて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】送信機および受信機を持つ本発明のシステムの概略図を示している。
【図2】図1の受信機の概略図を示している。
【図3】設定メッセージの基本的なダイアグラムを示している。
【図4】2つの部分の警報メッセージの構成を示している。
【図5】2つの部分の警報メッセージの構成を示している。
【図6】1つの部分の警報メッセージの構成を示している。
【図7】1つの部分の警報メッセージの構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
警報メッセージを送信する本発明のシステムは、少なくとも1つの送信機1と複数の受信機2とを持つ無線ネットワークを有する(図1)。
【0042】
図2は、受信機2を詳細に示している。受信機2は、アンテナ3と、デコーダ4と、プロセッサ5と、メモリ6とを含んでいる。警報出力装置7が、警報灯8と、サイレン9と、ラウドスピーカ10と、警報理由および警報行為をプレーンテキストで出力することができるディスプレイ11とを備えている。警報理由および警報行為は、合成音声を用いることにより、ラウドスピーカ10を介して音響的に出力することもできる。サイレン9は、警報を知らせる役目をし、受信された警報メッセージに対して注意を喚起する起床機能を持っている。警報出力装置7は、他の装置に警報信号を送信するインタフェースも随意に含んでいてもよい。
【0043】
受信機2は、受信機2で機能テストを行う役目をし、かつ受信機2を異なるモードに、例えば設定モードまたは警報モードにもする押ボタン12も有している。異なるモードへの切り替えは、ラウドスピーカ10を介した信号音によって確認することができる。
【0044】
配達されたままの状態にある受信機は、既に設定モードにあるのが好ましい。この場合、有効な設定が受信機2のメモリ6に記憶されていない。該設定は、個別の警報ゾーンだけでなくあらかじめ決められた警報区域が本発明のシステムに送信されるべきとき、またはそのような機能が少なくとも随意に可能であるときのみ実行されなければならない。したがって、受信機2は、該受信機の地理的位置を送信機1に送信する必要がある。
【0045】
設定を簡単に、確実に、正確に行うため、および市民のプライバシー保護の必要性を考慮して、設定は匿名で実行されるのが好ましい。ユーザは、インターネットを通じてサーバにログオンし、受信機2のシリアル番号および設置場所の正確な住所を入力する。この情報から、サーバは、設置場所に関連した警報区域の符号化だけでなくシステムの正確な地理的座標も決定する。
【0046】
次に、ユーザは、ボタン12を繰り返し押し下げることにより、受信機2を設定モードに切り替えるように指示される。次に、送信機1に接続されたサーバは、送信機1を介して無線ネットワーク上で設定メッセージを送信する。図3は、そのような設定メッセージ13の例を示している。
【0047】
設定メッセージは、設定されるべき受信機2のシリアル番号を有しており、例えば設置場所および/または規定された警報区域の地理的座標のようなすべての設定データも随意に有している。設定メッセージは、送信機1から、設置場所がある送信区域にのみ送られるのが好ましい。しかしながら、設定メッセージの送信は、集中化された方法で実行されてもよい。排他的に、個々に規定された警報ゾーンが、このシステムによってパラメータに基づいて決定される場合、受信機2の設定は必要ではない。しかしながら、計算が警報メッセージの受信に対して行われることになった場合、設定メッセージを用いてユーザからの該当データを事前に照合してもよい。
【0048】
インターネットを通したサーバへのシリアル番号の手動入力に対する代替として、この動作は、ユーザが該ユーザに割り当てられた番号を呼び出した後、コールセンターエージェントを通した電話で実行されてもよい。ここでの設定サービスは、ユーザに料金請求されるのが好ましい。これは、市外局番を呼び出すことにより、またはユーザが該ユーザを明確に特定する特別のPIN番号を入力しなければならないプレミアムSMSを料金請求時に送ることによって行われてもよい。この場合、サーバは適切な会計システムに接続されるべきである。
【0049】
受信機2が設定モードになり、送信機1が設定メッセージ13を送信しているとすぐに、デコーダ4は有効な設定メッセージ13の受信データストリームをチェックする。該設定メッセージは、ある無線アドレス(RIC)に送信されるのが好ましい。設定モードでは、デコーダ4は、このアドレスに送られたメッセージのみを解析する。設定メッセージ13が受信機2によって認識されるとすぐに、送信されたシリアル番号は受信機2のシリアル番号と比較される。シリアル番号が一致する場合にのみ、設定メッセージ13はさらに処理される。
【0050】
設定メッセージ13は、74個の16進数字、あるいはBCD数字、または類似のコードを有するのが好ましい。このため、設定メッセージは異なる部分に細分される。装置のシリアル番号131は、第1の11個の16進数字に符号化される。12番目の16進数字132は、地理的座標の位置を符号化する。該位置は、そこにおいて、マクロの範囲で、すなわち北半球または南半球により、および/または設置場所が基準子午線の東かまたは西かどうかが区別される。16進数字は4ビット長である。最上位のビットは、位置が北または南半球にあるかどうかを符号化する(北半球=0、南半球=1)。最下位のビットは基準子午線に対する位置を特徴づける(東=0、西=1)。
【0051】
次の2個の16進数字133は、8ビットの16進コードに符号化された経度(0度から180度)を記述している。3個の16進数字(12ビットに対応する)を有する付加部分134は、16進コードの場合と同様に、0から3599の範囲の秒角として符号化された経度の分と秒とを含んでいる。
【0052】
設定メッセージ13は、経度に従って16進コードに再度符号化された緯度についての情報を次の2個のセグメント135、136に含んでいる。5個の警報ゾーンが次のセグメント137に符号化されている。警報ゾーンの各々は、10個の16進数字(40ビットに対応する)を有する。5個未満の警報ゾーンが設定メッセージで送信される場合、使用されない警報ゾーンはプレースホルダコード(0xFFFFFFFFFF)で埋められる。設定メッセージ13の最後の部分セグメントは、2個の16進数字を有するチェックサム138を有しており、したがって、チェックサムは8ビット長である。チェックサム138は、すべての設定データ上でCRC−8の方法に従って送信されるのが好ましい。
【0053】
デコーダ4は、チェックサム138を検査し、チェックサム138が正しい場合、かつ装置に記憶されたシリアル番号が送信されたシリアル番号131に一致した場合、受信された地理的座標をメモリ6に書き込む。受信された警報区域もメモリ6に記憶されるのが好ましい。メモリ6は不揮発性メモリとして構成されているので、該メモリは停電中に消去されない。
【0054】
地理的座標として設置場所を記憶して、警報区域を記憶した後、受信機2は、設定モードから警報モードへ自動的に切り替わる。同時に、この切り替えをラウドスピーカ10および/または警報灯8を介した音響的または視覚的ディスプレイによってユーザに知らせることができる。
【0055】
有効な設定データが、設定モードが始動する前に受信機2のメモリ6に既に記憶されている場合、および有効な設定メッセージ13を所定の期間内に受信することができない場合、受信機2は警報モードに自動的に切り替わる。
【0056】
警報モードでは、デコーダ4は、ある無線アドレス(RIC)に送信された有効な警報メッセージの受信データストリームをチェックする。すべての他のモジュールは省電力化という理由で動作を停止されてもよいので、受信機は、警報メッセージ14が認識された場合にのみ起動される。あるいは、いわゆる警報情報は、警報メッセージが送られているときだけ信号を送り、デコーダ4が、警報メッセージ14を受信する受信機2の構成要素、例えば警報メッセージの処理を実行するプロセッサが起動されることになっていることを認識するように働く、送信機1によって放送することもできる。
【0057】
固定の警報区域および個別の警報ゾーンの両方がシステムで送信される場合、どの種類の警報領域が含まれているかについての決定がなされる必要がある。したがって、該警報領域の種類は警報メッセージに含まれているのが好ましい。警報領域の種類は受信機2のキャプチャーアルゴリズムによって解析される。
【0058】
したがって、警報メッセージ14は、第1の部分141と第2の部分142とを有するのが好ましい。第1の部分141は、警報領域の種類を含んでいるのが好ましい。第2の部分142は警報領域の種類の機能として構築されている。警報領域の種類は、状況に応じ、あらかじめ規定された警報区域、または状況によって異なった形状および大きさを持つ、動的に規定された警報ゾーンのいずれであってもよい。警報領域の種類は4ビットの数字が好ましい。例えば、0は規定された警報区域の送信を表し、1は個々の警報ゾーンを表す。警報メッセージ14の第2の部分142は、警報領域の種類に応じて区分されている。図4は、2つの警報区域を持つ警報メッセージ14を示している。図5は、個別の警報ゾーンを持つ警報メッセージ14を示している。
【0059】
2つの警報区域を持つ警報メッセージ14の場合(図4)、第2の部分142は、2つの警報区域R1、R2と、警報理由15と、警報行為16とを有し、警報理由15および警報行為16は、それぞれ16進数字によって表されている。合計16個の警報理由15および合計16個の警報特性16は、このように符号化することができる。第2の部分142は合計24個の16進数字を有している。
【0060】
チェックサム17は、警報メッセージ14の第2の部分142の最後の区分を形成する。チェックサム17は、すべての警報データ上でCRC−8の方法に従って決定されるのが好ましい。該チェックサムは計8ビット長である。
【0061】
1つの警報区域R1だけが警報を出される場合、第2の警報区域R2はプレースホルダ(例えば「充填コード」0xFFFFFFFFFF)で埋められる。警報区域R1、R2の下位の16進数字の1つまたは2つ以上に値0がある場合、16進数字のコードに同一の高位の16進数字があるゾーンのすべてに警報が出されてもよい。
【0062】
図5は、個別の警報ゾーンZを持つ警報メッセージ14を示している。警報メッセージ14の第2の部分142は、警報パラメータ18として、警報ゾーンZの中間点および/または中心を、経度および緯度として記述された地理的座標の形態で有している。さらに、第2の部分142は、警報ゾーンの形状(shape)19と、第1の寸法(first dimension)20と、形状19が長方形または楕円の形状の場合に随意に第2の寸法(second dimension)と、さらに随意に、図5に示すように、警報ゾーンZの大きさとしての規模(scale)21とを含んでいる。警報メッセージ14の付加の要素は、2個の16進数字を有するチェックサム17だけでなく、警報理由15と警報行為16とを含んでおり、警報理由15および警報行為16は各々16進数字である。
【0063】
図5、図6、および図7は、個別の警報ゾーンZが送信される警報メッセージを示している。図5は、第1の部分141と第2の部分142とを持つ2つの部分からなる警報メッセージを示している。図6および図7は各々、1つの部分からなる警報メッセージ140を示しており、図6の1つの部分140は、図7の第2の部分142に対応する。図7の部分140は、パラメータ18とチェックサム17とのみを有しているが、警報理由または警報行為(行為)を含まない警報メッセージ14を示している。
【0064】
図5から図7を参照して、警報メッセージの部分140、142を以下のように詳細に説明する。
【0065】
地理的座標で画像化された警報の中心22は、経度については21ビット長のシーケンスで、緯度については別の21ビット長のシーケンスで、警報メッセージ14に符号化される。経度および緯度の最初の8ビットは各々度数を表すが一方、次の12ビットは秒数を表す。最終ビットは、基準子午線に対する経度の位置(0=東、1=西)、および/または緯度の位置(0=北、1=南)を表す。警報ゾーンZの形状19はこの実施形態では1ビットで送信され、ここで形状が正方形の場合にはビットは0に設定される。このビットは、円形の警報ゾーンZについては1の値を持つ。さらに、長方形または楕円の警報領域が警報を出される場合、形状19は2ビットで表される必要がある。
【0066】
警報ゾーンZの大きさは、第1の寸法20(8ビット)と規模21(1ビット)とによって符号化される。規模21のビットが0の値を持っている場合、警報ゾーンの大きさ(円形の形状については半径、方形の形状についてはエッジ長の半分)は、1から256秒角の間であろう。この場合、第1の寸法20の値は、秒角で、半径および/またはエッジ長の半分に1秒角をプラスした値に対応する。
【0067】
規模21のビットが1の値を持っている場合、第1の寸法20と20秒角との積は、秒角で、半径および/またはエッジ長の半分に260秒角をプラスした値(大きさ=寸法*20秒角)+260秒角)に対応する。したがって、半径および/またはエッジ長の半分は、260秒角(寸法20=0)と5,380秒角(寸法20=255)との間にある。
【0068】
警報領域の寸法20は、結果的に円形の警報領域の直径および/または長方形の警報領域のエッジ長に対応する。
【0069】
欧州では、1秒角は、ほぼ31メートルの地理緯度および20メートルの地理経度に対応する。その結果、実際に記述された領域は円形または正方形にはならないが、その代りに、楕円形または長方形を形成する。この「誤差」は、警報ゾーンZの直径および/またはエッジ長の表現を、地理経度のみのまたは地理緯度のみの配置に基づかせることにより補正することができる。設定中、「誤差」に関する情報も受信機2に提供される必要がある。この補正因子は、装置の位置での、横方向の1秒角に対する縦方向の1秒角の経路長の比に関係する。
【0070】
本発明によれば、警報メッセージを送信機から受信機にページングネットワークで送信するこの方法は、以下のステップを有している。第1のステップでは、警報メッセージ14がコンパイルアルゴリズム(compilation algorithm)によって生成され、該警報メッセージは、少なくとも個別の警報ゾーンのパラメータ18を有しており、随意にチェックサム17を含んでいる。受信機2の解析アルゴリズムは、記憶された受信機2の位置が警報ゾーンZにあるかどうかを確認する。
【0071】
個別の警報ゾーンZだけでなくあらかじめ規定された警報区域R1、R2をこの方法で送信することができる場合、送信機1のコンパイルアルゴリズムを用いて、第1の部分141と第2の部分142とを有する警報メッセージが生成されると共に、警報領域の種類が該第1の部分141に記憶される。警報メッセージ14の第2の部分142では、警報領域と、警報理由15と、警報行為16と、随意にチェックサム17とを含んだパラメータ18が規定される。生成された警報メッセージは、送信機1によって送信され、ページングネットワークの受信機2によって受信される。警報メッセージ14の第1の部分141は、受信機2のキャプチャーアルゴリズムを用いて自動的に読み出される。該警報メッセージの第1の部分141に基づき、警報領域が事前に定められた警報区域R1、R2または個別の警報ゾーンZかどうかが明示される。警報区域R1、R2または個別の警報ゾーンZのいずれかを示す警報メッセージ14の第2の部分142のパラメータ18に基づいて、解析アルゴリズムは、読み出しの後、受信機2のメモリ6に記憶された該受信機2の位置が警報領域内にあるかどうかを確認する。該位置が警報領域内にある場合、警報信号が警報出力装置7によって出力される。
【0072】
受信機で警報メッセージを受信する方法では、警報メッセージは、キャプチャーアルゴリズムを用いた警報メッセージ14の自動受信後に読み出されるのが好ましく、チェックサムは、警報メッセージ14の影響を受けたデータビットのすべてにわたり決定され、警報メッセージ14で送信されたチェックサム17と比較される。チェックサムが一致しない場合、警報メッセージ14は廃棄される。送信機1は、事前に定められた時間間隔内で警報通信を繰り返し、例えば次々と10回送信するので、受信機2は、正しいチェックサム17および同一の警報内容を持つ繰り返し受信、例えば3回の後でのみ、有効な警報として該メッセージを受け入れる。この対策の結果として、誤報率を劇的に下げることができる。
【0073】
解析アルゴリズムを用いて警報領域に対する受信機2の位置を確認する際に、警報区域R1、R2が警報メッセージ14で送信される場合、警報区域または「高次警報区域」(警報区域の16進コードの末端のいくつかのゼロによって特徴づけられた)が、受信機2に記憶された警報区域R1、R2に一致するかどうかの判定が行われる。一致が見つからない場合、警報メッセージ14は廃棄される。
【0074】
警報ゾーンZを持つ警報メッセージ14の場合、受信機2は、記憶された該受信機2の位置が警報ゾーンZにあるかどうかを、解析アルゴリズムを用いて確認する。
【0075】
正方形の警報ゾーンZの場合には、送信された警報の中心22の経度がエッジ長(寸法20および規模21から形成された)の半分未満だけ偏位しているかどうかの検証が、補正因子を用いた変換の後で随意行われる。次に、同一の検証が緯度に対して行われる。該偏位が所定の範囲の範囲内である場合、警報メッセージ14は有効なメッセージである。
【0076】
円形の警報ゾーンの場合には、受信機2の位置と中心22との間の差が計算される。該計算を行うために、縦方向の偏位および横方向の偏位(各々秒角の)の幾何平均が決定される。必要ならば、記憶された補正因子が事前に考慮される。該距離が、警報メッセージ14(第1の寸法20および規模21から形成された)で送信された警報ゾーンZの半径の半分未満である場合、該メッセージは有効な警報メッセージ14である。
【0077】
有効な警報メッセージの場合には、例えばSOS信号の形態であってもよい警報音が、受信機2のサイレン9によって発せられる。しかしながら、サイレン音は、一定期間の後停止されるか、受信機2の押ボタン12が押されるまで間隔を置いて鳴っていてもよい。同時に、警報灯8が起動されるかまたは代替として信号灯が起動されてもよい。加えて、警報理由15および警報行為16が、音声メッセージとして、ラウドスピーカ10によってあらかじめ録音された音声メッセージで出力されるのが好ましく、または、警報理由15および警報行為16は、プレーンテキストとして、受信機2のディスプレイ11に表示されるのが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの送信機(1)と少なくとも1つの受信機(2)とを持つ無線ネットワークを介して警報メッセージを送信するシステムであって、
前記送信機(1)は、前記無線ネットワーク上で警報メッセージ(14)を送信するアンテナを有し、
前記送信機によって送信された警報メッセージ(14)は、個別の警報ゾーン(Z)として規定された警報領域のパラメータ(18)を含み、
前記受信機(2)は、前記無線ネットワークを介して送信された前記警報メッセージ(14)を受信するアンテナ(3)と、デコーダ(4)と、プロセッサ(5)と、当該受信機(2)の位置が記憶されたメモリ(6)と、警報出力装置(7)とを有し、
前記受信された警報メッセージ(14)は、キャプチャーアルゴリズムを用いて前記プロセッサ(5)で取得されて読み出され、解析アルゴリズムが、前記受信機(2)に記憶された位置が個別の警報ゾーン(Z)内にあるかどうかを自動的に計算し、前記位置が前記警報ゾーン内にある場合、警報信号が前記警報出力装置(7)によって生成されて出力される、システム。
【請求項2】
前記警報領域は、前記パラメータ(18)からゾーンアルゴリズムを用いて計算されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記個別の警報ゾーン(Z)のパラメータ(18)は、前記個別の警報ゾーン(Z)の中心(22)の地理的座標と、前記個別の警報ゾーン(Z)の形状(19)のコードと、および/または、寸法(20)、および/または規模(21)とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記送信された警報メッセージ(14)は、警報理由(15)と、および/または警報行為(16)とを含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記規模(21)で重みづけされているのが好ましい前記個別の警報ゾーン(Z)の寸法(20)は、円形の警報区域の直径または正方形の警報区域のエッジ長であることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記パラメータ(18)は、前記警報区域の形状(19)が楕円または長方形の場合に、楕円の警報領域の軸または長方形のエッジに対応する第2の寸法を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記送信機(1)は、前記個別の警報ゾーン(Z)のパラメータ(18)が、
a)前記警報ゾーン(Z)の中心(22)を規定すること、
b)前記警報ゾーン(Z)の形状(19)を楕円形状または正方形状として規定すること、
c)前記警報ゾーン(Z)の寸法(20)を規定すること、および
d)前記警報ゾーン(Z)の第2の寸法を随意に規定すること、
によって生成されるように、前記警報メッセージ(14)のパラメータ(18)がアロケーションアルゴリズムによって規定されるプロセッサを有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
無線ネットワークを介して送信される警報メッセージを受信する受信機であって、特に請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステムの構成要素として、デコーダ(4)と、プロセッサ(5)と、当該受信機(2)の位置が記憶されたメモリ(6)とを持ち、かつ警報出力装置(7)を持つ受信機であって、
警報メッセージ(14)がキャプチャーアルゴリズムを用いて取得され、個別の警報ゾーン(Z)のパラメータ(18)が当該警報メッセージ(14)から読み出され、
前記個別の警報ゾーン(Z)は、前記パラメータ(18)からゾーンアルゴリズムを用いて随意に決定され、
解析アルゴリズムが、前記受信機(2)に記憶された位置が前記個別の警報ゾーン(Z)内にあるかどうかを確認し、
前記位置が前記警報ゾーン内にある場合、警報信号が生成され、
前記警報信号は、前記警報出力装置(7)によって出力されることを特徴とする受信機。
【請求項9】
前記受信機(2)は、その位置に対して個々に設定可能であり、該設定は、前記無線ネットワークを介して受信された所定の設定データに基づいてユーザによって手動で、または前記プロセッサ(5)の設定アルゴリズムを用いて自動的に行われることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム、または請求項8に記載の受信機。
【請求項10】
前記受信機(2)は、コード化形式の警報理由(15)およびコード化形式の警報行為(16)が記憶されたメモリ(6)を有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム、または請求項8または請求項9に記載の受信機。
【請求項11】
前記受信機(2)は、該受信機(2)のメモリの地理的座標に記憶された位置が前記送信された個別の警報ゾーン(Z)内にあるかどうかを、解析アルゴリズムを用いて認識する解析装置を有し、
前記警報ゾーン(Z)は、前記パラメータ(18)、前記中心(22)の地理的座標、前記規模(21)を考慮した送信された寸法(20)、および前記警報ゾーンの形状(19)によって記述されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム、または請求項8乃至10のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項12】
解析アルゴリズムを用いて、前記記憶されている位置と前記個別の警報ゾーン(Z)の送信された中心(22)との間の差が計算され、前記差が前記警報メッセージで送信された警報領域の寸法(20)の半分未満かどうかを、前記規模(21)を考慮して確認し、前記差が半分未満の場合、好ましくは第2のステップで、前記受信機(2)の位置が前記警報ゾーン(Z)内にあるかどうかを判定することを特徴とする、請求項11に記載のシステムまたは受信機。
【請求項13】
無線ネットワークの受信機で警報メッセージを受信する方法であって、
前記無線ネットワークは、送信機(1)と受信機(2)とを持ち、
前記受信機(2)は、プロセッサ(5)と、デコーダ(4)と、警報出力装置(7)と、当該受信機(2)の位置が地理的座標で記憶されたメモリ(6)とを含み、
警報領域のパラメータ(18)を有する警報メッセージ(14)を自動的に受信するステップと、
前記警報メッセージ(14)を、キャプチャーアルゴリズムを用いて読み出すステップと、
前記パラメータ(18)から警報領域を随意に決定するステップと、
前記メモリ(6)に記憶された前記受信機(2)の位置が前記警報領域にあるかどうかを、前記プロセッサ(5)の解析アルゴリズムを用いて解析するステップと、
前記位置が前記警報領域にある場合、前記警報出力装置(7)により信号を出力するステップと、を含む方法。
【請求項14】
第1の部分(141)と第2の部分(142)とを持つ警報メッセージ(14)を自動的に受信することであって、前記警報領域の種類は前記第1の部分(141)に含まれ、個別の警報ゾーンのパラメータ(18)、警報理由(15)、および/または警報特性(16)が、随意にチェックサム(17)と共に、前記第2の部分(142)に含まれていること、
前記警報メッセージ(14)の前記第2の部分(142)から前記パラメータ(18)を読み出すこと、
前記警報領域が、規定された警報区域(R1、R2)または個別の警報ゾーン(Z)かどうかを判定すること、
前記警報領域が警報区域(R1、R2)である場合、前記警報メッセージ(14)の前記第2の部分(142)から当該警報区域(R1、R2)を決定すること、または
前記警報領域が個別の警報ゾーン(Z)である場合、前記警報メッセージ(14)の第2の部分(142)の前記パラメータ(18)から、好ましくはゾーンアルゴリズムを用いて当該警報ゾーン(Z)を決定すること、を特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
送信機(1)と受信機(2)とを持つ無線ネットワークで警報メッセージを送信する方法であって、
生成アルゴリズムを用いて、少なくとも警報領域のパラメータ(18)を有する警報メッセージ(14)を生成するステップと、
前記警報メッセージ(14)を前記送信機(1)から既存の無線ネットワーク上で送信するステップと、
前記警報メッセージ(14)を前記無線ネットワークの少なくとも1つの受信機(2)で受信するステップと、
前記警報メッセージ(14)から個別の警報ゾーン(Z)のパラメータ(18)を自動的に読み出すステップと、
前記受信機(2)に記憶された位置が前記個別の警報ゾーン(Z)内にあるかどうかを、解析アルゴリズムを用いて解析するステップと、
前記位置が前記警報ゾーン内にある場合、前記受信機(2)の警報出力装置(7)に警報信号を出力するステップと、を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−532026(P2010−532026A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511583(P2010−511583)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056935
【国際公開番号】WO2008/151975
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509338868)イー*メッセージ ワイヤレス インフォメイション サービシズ ドイツチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク (1)
【氏名又は名称原語表記】E MESSAGE WIRELESS INFORMATION SERVICES DEUTSCHLAND GMBH
【Fターム(参考)】