説明

無線ネットワークシステム、ゲーム機、および、プログラム

【課題】データ送信をより効率よく行うことのできる無線ネットワークシステム等を提供する。
【解決手段】
各子機100は、任意のデータの送信を要求するための要求情報を親機200に向けてそれぞれ送信する。一方、親機200において、要求受信部210は、各子機100からそれぞれ送られる要求情報を受信する。登録部231は、要求受信部210が各要求情報を受信した際に、キュー情報を生成してキューバッファ220に登録する。更新部232は、データ送信部250がデータ送信を行う前に、キューバッファ220に登録されている各キュー情報を整理し適宜集約する。データ送信部250は、集約後のキュー情報に従って、複数の子機100から要求された同一データを、対象となる各子機100に向けて同時に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信をより効率よく行うことのできる無線ネットワークシステム、ゲーム機、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯型ゲーム機が広く普及している。この携帯型ゲーム機は、持ち運びが容易であるため、例えば、外出先等でもゲームを楽しむことができる。
また、このような携帯型ゲーム機は、他の携帯型ゲーム機と通信を行い、データの交換や対戦ゲーム等を行うこともできる。
【0003】
一例として、通信ケーブルを介して接続された携帯型ゲーム機(携帯ビデオゲーム装置)が、トレーディングカードゲームにおける新しいカード情報を送受信する技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−52251号公報(第5−7頁、第1図)
【0004】
最近では、無線通信が可能な携帯型ゲーム機も普及してきており、通信ケーブルを使わずに、近傍の携帯型ゲーム機同士で通信を行うことができるようになっている。
このような無線通信機能を有する携帯型ゲーム機は、例えば、複数の携帯型ゲーム機が通信確立する際に、何れかが親機となり、残りが子機となって親子間の無線通信を行う。具体的には、親機の通信制御に基づき、一定のデータサイクルにおいて、親機のタイムスロット(親機スロット)及び、各子機のタイムスロット(子機スロット)がそれぞれ重複無く割り当てられ、送信がぶつかることなく無線通信を行うことができる。
つまり、複数台の携帯型ゲーム機がこのような無線ネットワークを構築し、データの交換や対戦ゲーム等を行えるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した携帯型ゲーム機により構築される無線ネットワークでは、異なる子機から別々のタイミングで親機に対してデータ送信の要求(ファイルの転送要求等)が送られることを想定しているため、親機から子機へのデータ送信は1対1で行われている。
例えば、あるタイミングに子機Aからファイルαの転送要求が送られ、異なるタイミングに子機Bからファイルαの転送要求が送られた場合、親機は、ファイルαを子機Aに転送した後に、ファイルαを子機Bに転送することになる。ファイルαの転送に例えば10秒かかるとすると、全ての転送が終わるまでに少なくとも20秒を要することになる。
この場合、別々のタイミングで子機から親機に転送要求が送られたため、このような結果になるのは自然なことである。
【0006】
しかしながら、このような無線ネットワークでは、同じタイミングで同じファイルの転送要求が複数の子機から送られた場合でも、親機から子機へのデータ送信は1対1で行われていた。
つまり、同じタイミングに子機A,Bからファイルαの転送要求が送られた場合でも、親機は、上記と同様にファイルαを子機Aに転送した後に、ファイルαを子機Bに転送することになる。この場合も、全ての転送が終わるまでに少なくとも20秒を要することになり、極めて効率の悪いものであった。
そのため、携帯型ゲーム機同士の無線通信において、データ送信をより効率よく行える技術が求められていた。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、データ送信をより効率よく行うことのできる無線ネットワークシステム、ゲーム機、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る無線ネットワークシステムは、無線通信可能な少なくとも3つのゲーム機から構成され、何れか1つのゲーム機が親機となり、残りの複数のゲーム機が子機となって親子間の無線通信を行う無線ネットワークシステムであって、各子機が、要求送信部及び、データ受信部を含み、また、親機が、要求受信部、登録部、集約部、及び、データ送信部を含んで構成される。
【0009】
まず、各子機において、要求送信部は、任意のデータの送信を要求するための要求情報(例えば、ファイル転送要求等)を親機に向けて送信する。また、データ受信部は、送信した当該要求情報に応答して親機から自己に向けて送られるデータを受信する。
一方、親機において、要求受信部は、各子機からそれぞれ送られる当該要求情報を受信する。また、登録部は、受信した当該要求情報に応答するための送信処理情報(例えば、キュー情報等)をそれぞれ待ち行列(例えば、キューバッファ等)に登録する。集約部は、子機へのデータ送信前に、当該待ち行列に登録されている当該各送信処理情報を所定の条件(例えば、要求されたデータが同一等)に従って集約する。そして、データ送信部は、集約した後の当該送信処理情報に従って、当該待ち行列の順番に、要求されたデータを対象となる子機に向けて送信する。
【0010】
すなわち、親機から子機へのデータ送信に先立って、待ち行列中で、例えば、要求されたデータが同一となっている複数の送信処理情報が1つの送信処理情報に集約される。そして、集約後の送信処理情報に基づいて、複数の子機から要求された同一のデータを、対象となる各子機に向けて送信することが可能となる。
これにより、同じタイミングで同じデータの送信要求が複数の子機から送られた場合に、親機から子機へのデータ送信を1対多にて効率的に行うことができる。
この結果、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0011】
前記登録部は、受信した当該要求情報を解析し、要求されたデータ及び、要求元を含む送信処理情報を当該待ち行列に登録し、前記集約部は、登録されている当該送信処理情報のうち、要求されたデータが同一のものを抽出して、各要求元を連結させて(連記して)1つの送信処理情報に集約し、前記データ送信部は、1つの送信処理情報に集約された当該送信処理情報に従って、要求されたデータを、対象となる前記各子機に向けて同時に送信してもよい。
この場合も、親機から子機へのデータ送信前に、要求されたデータが同一のものが1つの送信処理情報に集約され、送信時に、対象となる各子機に向けて送信されるため、データ送信をより効率よく行うことができる。つまり、対象の各子機が同じデータを同時に受信できる。
【0012】
前記親機は、要求されたデータを前記データ送信部が一度の送信機会(例えば、1回の親機スロット中)で送信しきれない場合に、残りのデータを送信するための送信処理情報を、当該待ち行列に再登録する再登録部を更に備えてもよい。
例えば、再登録部は、集約後の送信処理情報に従ったデータ送信が、一度の送信機会で送信しきれない場合に、1つに集約した送信処理情報を待ち行列に再登録する。この場合、以降の送信機会にて、要求されたデータの続きが、対象となる各子機に向けて同時に送信されるため、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0013】
前記各子機は、自己に割り振られたそれぞれ異なる送信タイミング(例えば、子機スロット)に、前記要求送信部が要求情報を前記親機に向けて送信し、前記親機は、自己に割り振られた送信タイミング(例えば、親機スロット)に、要求されたデータを、前記データ送信部が対象の前記子機に向けて送信してもよい。
この場合、送信データの衝突(コリジョン)を避けながら、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0014】
本発明の第2の観点に係るゲーム機は、自己が親機となり、子機となる複数の他のゲーム機と親子間の無線通信を行うゲーム機であって、要求受信部、登録部、集約部、及び、データ送信部を含んで構成される。
【0015】
まず、要求受信部は、各子機からそれぞれ送られる、任意のデータの送信を要求する要求情報(例えば、ファイル転送要求等)を受信する。また、登録部は、受信した当該要求情報に応答するための送信処理情報(例えば、キュー情報等)をそれぞれ待ち行列(例えば、キューバッファ等)に登録する。集約部は、子機へのデータ送信前に、当該待ち行列に登録されている当該各送信処理情報を所定の条件(例えば、要求されたデータが同一等)に従って集約する。そして、データ送信部は、集約した後の当該送信処理情報に従って、当該待ち行列の順番に、要求されたデータを対象となる子機に向けて送信する。
【0016】
すなわち、親機から子機へのデータ送信に先立って、待ち行列中で、要求されたデータが同一となっている複数の送信処理情報が1つの送信処理情報に集約される。そして、集約後の送信処理情報に基づいて、複数の子機から要求された同一データを、対象となる各子機に向けて同時に送信することが可能となる。
これにより、同じタイミングで同じデータの送信要求が複数の子機から送られた場合に、親機から子機へのデータ送信を1対多にて効率的に行うことができる。
この結果、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0017】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、コンピュータ(電子機器を含む。)を、上記のゲーム機として機能させるように構成する。
【0018】
このプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
【0019】
上記プログラムは、当該プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記録媒体は、当該コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無線通信において、データ送信をより効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、携帯型ゲーム機に本発明が適用される実施形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話などの情報処理装置においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯型ゲーム機の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0023】
携帯型ゲーム機1は、処理制御部10と、コネクタ11と、カートリッジ12と、無線通信部13と、通信コントローラ14と、サウンドアンプ15と、スピーカ16と、操作キー17と、第1の表示部18と、第2の表示部19と、タッチパネル20と、を備える。
【0024】
処理制御部10は、CPU(Central Processing Unit)コア10aと、画像処理部10bと、VRAM(Video Random Access Memory)10cと、WRAM(Work RAM)10dと、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ10eと、タッチパネルコントローラ10fと、を備える。
【0025】
CPUコア10aは、携帯型ゲーム機1全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。具体的には、カートリッジ12がコネクタ11に装着された状態で、カートリッジ12内のROM(Read Only Memory)12aに記憶されたプログラムやデータを読み出して、所定の処理を実行する。
【0026】
画像処理部10bは、カートリッジ12内のROM 12aから読み出されたデータや、CPUコア10aにて処理されたデータを加工処理した後、これをVRAM 10cに格納する。
【0027】
VRAM 10cは、表示用の情報を記憶するメモリであり、画像処理部10b等により加工された画像情報を記憶する。
WRAM 10dは、CPUコア10aがプログラムに従った各種処理を実行する際に必要となるワークデータ等を記憶する。
【0028】
LCDコントローラ10eは、第1の表示部18および、第2の表示部19を制御し、所定の表示用画像を表示させる。例えば、LCDコントローラ10eは、VRAM 10cに記憶された画像情報を、所定の同期タイミングで表示信号に変換し、第1の表示部18に出力する。また、LCDコントローラ10eは、第2の表示部19aに所定の指示アイコン等を表示する。
【0029】
タッチパネルコントローラ10fは、タッチペンやユーザの指によるタッチパネル20への接触(タッチ)を検出する。例えば、第2の表示部19に所定の指示アイコン等が表示されている状態で、タッチパネル20上の接触およびその位置等を検出する。
【0030】
コネクタ11は、カートリッジ12と脱着自在に接続可能な端子であり、カートリッジ12が接続された際に、カートリッジ12との間で所定のデータを送受信する。
【0031】
カートリッジ12は、ROM 12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、を備える。
ROM 12aには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ等が記録される。
RAM 12bには、ゲームの進行状況等を示す種々のデータが記憶される。
【0032】
無線通信部13は、他の携帯型ゲーム装置1の無線通信部13との間で、無線通信を行うユニットであり、図示せぬアンテナ(内蔵アンテナ等)を介して所定のデータを送受信する。
なお、無線通信部13は、所定のアクセスポイントとの間で、無線LAN通信を行うこともできる。また、無線通信部13には、固有のMAC(Media Access Control)アドレスが採番されている。
【0033】
通信コントローラ14は、無線通信部13を制御し、所定のプロトコルに沿って、処理制御部10と他の携帯型ゲーム装置1の処理制御部10との間で行われる無線通信の仲立ちをする。
【0034】
サウンドアンプ15は、処理制御部10にて生成された音声信号を増幅し、スピーカ16に供給する。
スピーカ16は、例えば、ステレオスピーカ等からなり、サウンドアンプ15にて増幅された音声信号に従って、所定の楽曲音や効果音等を出力する。
【0035】
操作キー17は、ゲーム装置1に適宜配置された複数のキースイッチ等からなり、ユーザの操作に従って、所定の指示入力を受け付ける。
【0036】
第1の表示部18および、第2の表示部19は、LCD等からなり、LCDコントローラ10eに制御され、ゲーム画像等を適宜表示する。
なお、第2の表示部19は、タッチパネル20の接触によりユーザから操作指示を入力させるための指示アイコン等を表示する。
【0037】
タッチパネル20は、第2の表示部19の前面に重畳して配置され、タッチペンやユーザの指の接触による入力を受け付ける。
タッチパネル20は、例えば、感圧式のタッチセンサパネル等からなり、ユーザの指等の圧力を検出し、接触状態および、接触状態から非接触状態への移行等を検出する。なお、タッチパネル20は、他に静電容量の変化等から、ユーザの指等の接触を検出してもよい。
【0038】
このような構成の携帯型ゲーム装置1は、複数台で無線ネットワークを構築して、データの送受信が行えるようになっている。
例えば、図2に示すように5台の携帯型ゲーム装置1(1a〜1e)が通信可能な範囲内に存在する場合、これら携帯型ゲーム装置1a〜1eから構成される無線ネットワークを構築し得る。なお、各携帯型ゲーム装置1は、データ転送タイミングを制御する親機としても動作することができ、また、その制御下で子機としても動作することができるようになっている。
つまり、携帯型ゲーム機1a〜1e間で通信確立する際に、何れかが親機となり、残りが子機となって親子間の無線通信を行う。
【0039】
一例として、携帯型ゲーム機1aが親機となり、残りの携帯型ゲーム機1b〜1eが子機となった場合では、携帯型ゲーム機1aの通信制御に基づき、図3に示すような一定のデータサイクルにおいて、携帯型ゲーム機1aのタイムスロット(親機スロット)及び、携帯型ゲーム機1b〜1eのタイムスロット(子機スロット)がそれぞれ重複無く割り当てられる。
そして、携帯型ゲーム機1a〜1eは、自己のタイムスロットにてそれぞれが送信を行うため、衝突(コリジョン)を生じさせることなく無線通信を行うことができる。
【0040】
(子機及び親機の概要構成)
図4は、本実施形態に係る携帯型ゲーム機1が子機となる場合、及び、親機となる場合の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。なお、上述した図2に示す5台の携帯型ゲーム機1(1a〜1e)において、携帯型ゲーム機1b〜1eが子機となり、携帯型ゲーム機1aが親機となる場合を一例として説明する。
【0041】
各子機100(携帯型ゲーム機1b〜1e)は、要求送信部110と、処理部120と、データ受信部130とを備える。
【0042】
要求送信部110は、任意のデータの送信を要求するための要求情報を親機200に向けて送信する。具体的には、処理部120に制御され、上述した図3に示すような自己に割り当てられたタイムスロット(子機スロット)で、所望のファイルサイズの要求やファイルの転送を要求する要求情報を、親機200に向けて送信する。
なお、無線通信部13や通信コントローラ14がこのような要求送信部110として機能しうる。
【0043】
処理部120は、子機100全体を制御し、要求送信部110及びデータ受信部130を制御して、親機200にデータの送信(ファイル転送等)を要求し、自己に向けて送信されるデータを受信する。
なお、CPUコア10aがこのような処理部120として機能しうる。
【0044】
データ受信部130は、要求送信部110が送信した要求情報に応答して、親機200から自己に向けて送られるデータを受信する。具体的には、処理部120により制御され、上述した図3に示すような親機スロットにて、親機200から自己に向けて転送されるデータ(自己が送り先となっているファイル等)を受信する。
なお、無線通信部13や通信コントローラ14がこのようなデータ受信部130として機能しうる。
【0045】
一方、親機200(携帯型ゲーム機1a)は、要求受信部210と、キューバッファ220と、処理制御部230と、データ記憶部240と、データ送信部250とを備える。
【0046】
要求受信部210は、各子機100からそれぞれ送られる要求情報を受信する。具体的には、処理制御部230に制御され、上述した図3に示すような各子機スロットにて、各子機100から送られるファイルの転送要求等をそれぞれ受信する。
なお、無線通信部13や通信コントローラ14がこのような要求受信部210として機能しうる。
【0047】
キューバッファ220は、送信処理に用いるための待ち行列であり、キュー情報を格納する。つまり、子機100から送られた要求情報に応答するための送信処理の内容を示すキュー情報(送信処理情報)が順次登録される。
例えば、キューバッファ220には、図5に示すようなキュー情報を格納する。なお、図中において、便宜的に送り先を「携帯型ゲーム機1b」等にて表しているが、実際には、子機となる各携帯型ゲーム機1に割り振られた識別子(CID)や、MACアドレス等が用いられている。
なお、WRAM10dがこのようなキューバッファ220として機能しうる。
【0048】
図4に戻って、処理制御部230は、登録部231と、更新部232と、再登録部233とを含んでおり、親機200全体を制御する。
登録部231は、要求受信部210が要求情報を受信した際に、キュー情報をキューバッファ220に登録する。例えば、登録部231は、要求受信部210が受信した要求情報を解析し、上述した図5に示すようなキュー情報を生成してキューバッファ220に登録する。
【0049】
更新部232は、データ送信部250が子機100にデータを送信する前に、キューバッファ220に登録されている各キュー情報を整理し適宜集約する。
一例として、キューバッファ220に上述の図5に示すようなキュー情報が格納されている場合に、更新部232は、要求されたデータが同一のものを抽出して、各送り先(要求元)を連記させ(並記した)1つのキュー情報に集約する。
つまり、図6(a)に示すように、コマンドがファイルサイズ要求でありそのファイル名がファイルαとなっている同一のキュー情報を抽出して、図6(b)に示すように1つにまとめて、各要求元を連結させた(連記した)キュー情報に更新する。同様に、図6(c)に示すように、コマンドがファイル要求で、そのファイル名がファイルαで、しかもオフセットが0となっている同一のキュー情報を抽出して、図6(d)に示すように1つにまとめて、各送り先を連結させたキュー情報に更新する。
これにより、図5のキュー情報は、図6(e)に示すように整理される。
【0050】
図4に戻って、再登録部233は、子機100により要求されたデータを、データ送信部250が一度の送信機会(1回の親機スロット中)で送信しきれない場合に、残りのデータを送信するためのキュー情報を、キューバッファ220に再登録する。
例えば、要求されたデータが、親機200に割り当てられたタイムスロット中に送信しきれない容量である場合に、再登録部233は、残りのデータを送るためのキュー情報を、オフセットの値を変更して(進めて)キューバッファ220に再登録する。
なお、再登録部233は、上述の図6(d)に示すような集約したキュー情報に従ったデータ送信が、1回の親機スロット中に送信しきれない場合に、同様に集約したキュー情報を、オフセットの値を進めてキューバッファ220に再登録する。
また、再登録部233は、データ送信部250が送信したデータが、子機100側で受信エラーとなった場合(例えば、再送要求が子機100から送られた場合等)も、同じデータを再送信するためのキュー情報を、キューバッファ220に再登録してもよい。
【0051】
このような構成の処理制御部230は、この他に、データ記憶部240にデータを書き込み、また、データ記憶部240からデータを読み出す。
そして、CPUコア10aがこのような処理制御部230として機能しうる。
【0052】
データ記憶部240は、子機100に転送可能なファイル等のデータを記憶する。
なお、ROM12aやRAM12b等がこのようなデータ記憶部240として機能しうる。
【0053】
データ送信部250は、更新部232が集約した後のキュー情報に従って、順番に、要求されたデータを対象となる子機100に向けて送信する。
具体的にデータ送信部250は、図6(e)に示すような集約済のキュー情報に従って、上から順番に、対象のデータをデータ記憶部240から読み出し、親機200のタイムスロットで、対象の子機100に向けて送信する。
つまり、データ送信部250は、まず、図6(e)の先頭のキュー情報に従って、ファイルαのファイルサイズを、携帯ゲーム機1b、1cに向けて送信する。続いて、次のキュー情報に従って、ファイルαを携帯ゲーム機1d、1eに向けて送信する。以降、同様に、ファイルβを携帯ゲーム機1eに向けて送信し、ファイルαの続き(オフセット200以降のデータ)を携帯ゲーム機1eに向けて送信する。
なお、無線通信部13や通信コントローラ14がこのようなデータ送信部250として機能しうる。
【0054】
(親機の動作の概要)
図7は、上述した構成の親機200において実行されるデータ送信処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して親機200の動作について説明する。なお、このデータ送信処理は、繰り返し実行される。
【0055】
まず、親機200は、子機100から送られる要求情報を受信する(ステップS301)。つまり、1つの子機スロットに割り当てられた子機100から送られるファイルの転送等を要求する要求情報を受信する。
【0056】
親機200は、受信した要求情報に応答するための送信処理の内容を示すキュー情報をキューバッファ220に登録する(ステップS302)。
例えば、受信した要求情報を解析し、上述の図5に示すようなキュー情報を生成してキューバッファ220に登録する。
【0057】
親機200は、全子機スロットが終了したか否かを判別する(ステップS303)。つまり、1回のデータサイクルで各子機100から送られる要求情報を全て受信し、キュー情報の登録を終えたかどうかを判別する。
全子機スロットが終了していないと判別すると、親機200は、上述のステップS301に処理を戻す。
【0058】
一方、全子機スロットが終了したと判別した場合に、親機200は、キューバッファ220のキュー情報を集約する(ステップS304)。つまり、キューバッファ220に格納されているキュー情報から、要求されたデータが同一のものを抽出して、各送り先を連結させて1つのキュー情報に集約する。
【0059】
そして、親機200は、集約後のキュー情報に従って、データを送信する(ステップS305)。つまり、対象のデータをデータ記憶部240から読み出し、そのデータを親機スロットで、対象の子機100に向けて送信する。
その際、複数のキュー情報が1つのキュー情報に集約されている場合、キュー情報の送り先が複数設定されているため、親機200は、複数の子機100に向けて同じデータを同時に送信することになる。
【0060】
このようなデータ送信処理によって、親機200から子機100へのデータ送信に先立って、キュー情報が整理され、要求されたデータが同一となっている複数のキュー情報が1つのキュー情報に集約される。そして、集約後のキュー情報に基づいて、複数の子機100から要求された同一データを、対象となる各子機100に向けて同時に送信することが可能となる。
つまり、同じタイミングで同じデータの送信要求が複数の子機100から送られた場合に、親機200から子機100へのデータ送信が1対多で行われることになり、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0061】
この結果、携帯型ゲーム機1同士の無線通信において、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0062】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、図7に示すデータ送信処理において、全子機スロットが終了した後に、キュー情報の集約を行う場合について説明したが、キュー情報の集約を行うタイミングは、送信前であればよく、例えば、キュー情報を登録する度に、逐次集約を行うようにしてもよい。
【0063】
上記の実施形態では、同じタイミングにて、同じデータの送信要求が複数の子機100から送られた場合に、要求されたデータを、親機200から各子機100へ同時に送信する場合について説明した。
しかしながら、複数回に分けて送信するような、ある程度大きな容量のデータの場合には、送信要求が全く同じタイミングでなくとも、途中のデータから同時に送信するようにしてもよい。
以下、ある程度大きな容量のデータを親機200から子機100へ送信途中に、別の子機100から同じデータの送信を要求された場合について、図8を参照して説明する。図8は、途中のデータから同時送信を行う親機200の具体的な動作を説明するための模式図である。
【0064】
一例として、親機200は、子機100(携帯型ゲーム機1c)からのファイルγの転送要求を受信すると、図8(a)に示すようなキュー情報をキューバッファ220に登録し、ファイルγの転送を開始する。なお、ファイルγは、図8(b)に示すように、例えば、3回に分けて親機200から子機100に送信が行われる容量のデータとなっている。
そして、このファイルγの送信途中で、他の子機100から同じファイルγの転送要求が送られたとする。例えば、図8(c)に示すような同じデータサイクルにおいて、親スロットにて、ファイルγ(オフセット0)のデータが携帯型ゲーム機1cに送信され、子機スロットにて、ファイルγの転送要求が別の携帯型ゲーム機1dから送信されたような場合である。
【0065】
この場合、親機200では、再登録部233が、続きのファイルγ(オフセット200)を携帯型ゲーム機1cに送るためのキュー情報をキューバッファ220に再登録し、また、登録部231が、ファイルγ(オフセット0)を携帯型ゲーム機1dに送るためのキュー情報をキューバッファ220に登録することになる。
つまり、図8(d)に示すようなキュー情報がキューバッファ220に登録される。
【0066】
親機200の更新部232は、データ送信部250が子機100にデータを送信する前に、このようなキュー情報を適宜集約する。すなわち、図8(d)に示す各キュー情報がオフセット値が異なるものの、同じファイルγが要求されているため、更新部232は、これらのキュー情報を、オフセット値が大きい(進んでいる)キュー情報に集約する。
つまり、更新部232は、図8(e)に示すように、オフセット200の方に1つにまとめて、各要求元を連結させたキュー情報に更新する。なお、キュー情報の集約に伴い、データ記憶部240には、携帯型ゲーム機1dにファイルγ(オフセット0)が未送信であることを示す未送信情報が記憶される。
【0067】
そして、親機200は、データ送信部250が図8(e)に示す集約後のキュー情報に従って、ファイルγ(オフセット200)を、携帯型ゲーム機1c,1dに向けて同時に送信する。続いて、再登録部233が図8(f)に示すキュー情報をキューバッファ220に再登録し、このキュー情報に従って、データ送信部がファイルγ(オフセット400)を、携帯型ゲーム機1c,1dに向けて同時に送信する。
【0068】
こうして、ファイルγの送信を最後まで終えると、親機200は、データ記憶部240に記憶した未送信情報を読み出し、再登録部233が、未送信分のファイルγ(オフセット0)を携帯型ゲーム機1dに送るためのキュー情報をキューバッファ220に再登録する。つまり、図8(g)に示すようなキュー情報がキューバッファ220に再登録される。
そして、親機200は、データ送信部250が図8(g)に示すキュー情報に従って、未送信分のファイルγ(オフセット0)を、携帯型ゲーム機1dに向けて送信する。
【0069】
このように、途中のデータから同時送信を可能とすることで、データの一部においても、親機200から子機100へのデータ送信が1対多で行われることになり、データ送信をより効率よく行うことができる。
この場合も、携帯型ゲーム機1同士の無線通信において、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0070】
また、上記の実施形態では、無線通信の場合を一例として説明したが、通信ケーブルを介して行う有線通信の場合にも適宜適用可能である。例えば、4台の携帯型ゲーム機1が専用の通信ケーブルによって接続され、親子間通信が行われる場合に、親機となる携帯型ゲーム機1が、上記と同様にキュー情報の集約を行い、この集約後のキュー情報に基づいて、複数の子機に向けて同じデータを同時に送信する。
この場合も、携帯型ゲーム機1同士の通信において、データ送信をより効率よく行うことができる。
【0071】
以上説明したように、本発明によれば、携帯型ゲーム機同士の無線通信において、データ送信をより効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯型ゲーム機の概要構成を示すブロック図である。
【図2】複数台の携帯型ゲーム機が構築する無線ネットワークの一例を示す模式図である。
【図3】データサイクル中に割り当てられる、各携帯型ゲーム機のタイムスロットを説明するための模式図である。
【図4】子機及び親機の概要構成を説明するためのブロック図である。
【図5】キューバッファに格納されるキュー情報の一例を示す模式図である。
【図6】(a)〜(e)共に、キュー情報の集約を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係るデータ送信処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】(a)〜(g)共に、本発明の他の実施形態に係る途中から同時に送信する動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0073】
1 携帯型ゲーム機
10 処理制御部
11 コネクタ
12 カートリッジ
13 無線通信部
14 通信コントローラ
15 サウンドアンプ
16 スピーカ
17 操作キー
18 第1の表示部
19 第2の表示部
20 タッチパネル
100 子機
110 要求送信部
120 処理部
130 データ受信部
200 親機
210 要求受信部
220 キューバッファ
230 処理制御部
231 登録部
232 更新部
233 再登録部
240 データ記憶部
250 データ送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信可能な少なくとも3つのゲーム機から構成され、何れか1つのゲーム機が親機となり、残りの複数のゲーム機が子機となって親子間の無線通信を行う無線ネットワークシステムであって、
前記各子機は、
任意のデータの送信を要求するための要求情報を前記親機に向けて送信する要求送信部と、
送信した当該要求情報に応答して前記親機から自己に向けて送られるデータを受信するデータ受信部と、を備え、
前記親機は、
前記各子機からそれぞれ送られる当該要求情報を受信する要求受信部と、
受信した当該要求情報に応答するための送信処理情報をそれぞれ待ち行列に登録する登録部と、
前記子機へのデータ送信前に、当該待ち行列に登録されている当該各送信処理情報を所定の条件に従って集約する集約部と、
集約した後の当該送信処理情報に従って、当該待ち行列の順番に、要求されたデータを対象となる前記子機に向けて送信するデータ送信部と、を備える、
ことを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線ネットワークシステムであって、
前記登録部は、受信した当該要求情報を解析し、要求されたデータ及び、要求元を含む送信処理情報を当該待ち行列に登録し、
前記集約部は、登録されている当該送信処理情報のうち、要求されたデータが同一のものを抽出して、各要求元を連結させて1つの送信処理情報に集約し、
前記データ送信部は、1つの送信処理情報に集約された当該送信処理情報に従って、要求されたデータを、対象となる前記各子機に向けて送信する、
ことを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線ネットワークシステムであって、
前記親機は、
要求されたデータを前記データ送信部が一度の送信機会で送信しきれない場合に、残りのデータを送信するための送信処理情報を、当該待ち行列に再登録する再登録部を更に備える、
ことを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線ネットワークシステムであって、
前記各子機は、
自己に割り振られたそれぞれ異なる送信タイミングに、前記要求送信部が要求情報を前記親機に向けて送信し、
前記親機は、
自己に割り振られた送信タイミングに、要求されたデータを、前記データ送信部が対象の前記子機に向けて送信する、
ことを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項5】
自己が親機となり、子機となる複数の他のゲーム機と親子間の無線通信を行うゲーム機であって、
前記各子機からそれぞれ送られる、任意のデータの送信を要求する要求情報を受信する要求受信部と、
受信した当該要求情報に応答するための送信処理情報をそれぞれ待ち行列に登録する登録部と、
前記子機へのデータ送信前に、当該待ち行列に登録されている当該各送信処理情報を所定の条件に従って集約する集約部と、
集約した後の当該送信処理情報に従って、当該待ち行列の順番に、要求されたデータを対象となる前記子機に向けて送信するデータ送信部と、を備える、
ことを特徴とするゲーム機。
【請求項6】
自己が親機となり、子機となる複数の他のゲーム機と親子間の無線通信を行うコンピュータを、
前記各子機からそれぞれ送られる、任意のデータの送信を要求する要求情報を受信する要求受信部、
受信した当該要求情報に応答するための送信処理情報をそれぞれ待ち行列に登録する登録部、
前記子機へのデータ送信前に、当該待ち行列に登録されている当該各送信処理情報を所定の条件に従って集約する集約部、
集約した後の当該送信処理情報に従って、当該待ち行列の順番に、要求されたデータを対象となる前記子機に向けて送信するデータ送信部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−78843(P2008−78843A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253663(P2006−253663)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】