説明

無線ポーリングシステム

【課題】ポーリングに関するメッセージを互いに衝突させずにマルチホップすることができる無線ポーリングシステムを提供すること。
【解決手段】複数の無線通信装置10、11a乃至11eのうち送信権を有する無線通信装置は、下位の無線通信装置が割り当てられ、ポーリングにおける問い合わせを表すReqメッセージを下位の無線通信装置に送信する場合には、Reqメッセージを下位の無線通信装置に送信し、Reqメッセージが受信されたことを確認した上で、下位の無線通信装置に送信権を譲与する一方、Reqメッセージの送信元である上位の無線通信装置が存在し、応答情報を含むRespメッセージを上位の無線通信装置に送信する場合には、Respメッセージを上位の無線通信装置に送信し、Respメッセージが受信されたことを確認した上で、上位の無線通信装置に送信権を譲与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線通信装置がポーリングによる通信を行う無線ポーリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線ポーリングシステムとしては、基地局から無線通信装置に対して一定の時間間隔でポーリング指示と同時に衝突制御ビットを送信し、ポーリング指示を受けた無線通信装置が、ポーリング指示を受けてから初期タイマ時間内で衝突制御ビットがポーリング応答可能であることを示しているときのみ、ポーリング応答することにより、前回のポーリング動作の影響を受けずに最小限のポーリング周期でポーリングを実現するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−69441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の無線ポーリングシステムにおいて、ポーリングによる通信を行うエリアを広げるためには、このエリアの随所に複数の基地局を配備すればよい。しかしながら、複数の基地局を配備するためには、多大なコストがかかってしまう。
【0005】
一方、従来の無線ポーリングシステムにおいて、各無線通信装置にポーリングに関するメッセージをマルチホップさせることができれば、基地局の配備に多大なコストをかけずにポーリングによる通信を行うエリアを広げることができる。
【0006】
しかしながら、従来の無線ポーリングシステムは、各無線通信装置にポーリングに関するメッセージをマルチホップさせると、ある無線通信装置にメッセージが送信されている時間と、このメッセージを受信することができるエリア内にある他の無線通信装置に別のメッセージが送信されている時間とが重なってしまうメッセージの衝突が発生してしまうといった課題があった。
【0007】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、ポーリングに関するメッセージを互いに衝突させずにマルチホップすることができる無線ポーリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線ポーリングシステムは、複数の無線通信装置(10、11a乃至11e)を有し、前記複数の無線通信装置がポーリングによる通信を行う無線ポーリングシステムであって、前記複数の無線通信装置のうち送信権を有する無線通信装置は、前記複数の無線通信装置のうち下位の無線通信装置が割り当てられ、前記ポーリングにおける問い合わせを表すReqメッセージを該下位の無線通信装置に送信する場合には、該Reqメッセージを該下位の無線通信装置に送信し、該Reqメッセージが受信されたことを確認した上で、該下位の無線通信装置に前記送信権を譲与し、前記複数の無線通信装置のうち該Reqメッセージの送信元である上位の無線通信装置が存在し、前記問い合わせに対する応答を表す応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信する場合には、該Respメッセージを該上位の無線通信装置に送信し、該Respメッセージが受信されたことを確認した上で、該上位の無線通信装置に前記送信権を譲与する構成を有している。
【0009】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、ReqメッセージおよびRespメッセージを送信する無線通信装置を、送信権を有するものに限定するため、ポーリングに関するメッセージを互いに衝突させずにマルチホップすることができる。
【0010】
なお、前記各無線通信装置は、前記Reqメッセージの送信先である下位の無線通信装置から前記送信権が譲与され、まだReqメッセージを送信していない下位の無線通信装置が他に割り当てられている場合には、該Reqメッセージを該下位の無線通信装置に送信するようにしてもよい。
【0011】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、ポーリングにおける応答を下位の無線通信装置に優先的に行わせるため、マルチホップにおける通信回数を抑制することができる。
【0012】
また、前記各無線通信装置は、前記Reqメッセージの送信先である下位の無線通信装置から前記送信権が譲与され、前記上位の無線通信装置が存在し、前記下位の無線通信装置が他に割り当てられていない場合には、前記下位の無線通信装置からそれぞれ受信されたRespメッセージに含まれる応答情報と、自己の応答情報とを含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信するようにしてもよい。
【0013】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、各無線通信装置に下位の無線通信装置の応答情報と、自己の応答情報とを上位の無線通信装置にまとめて送信させるため、マルチホップにおける通信回数を抑制することができる。
【0014】
また、前記各無線通信装置は、前記上位の無線通信装置から前記送信権が譲与され、前記下位の無線通信装置が割り当てられていない場合には、自己の応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信するようにしてもよい。
【0015】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、Reqメッセージに対して、最下位の無線通信装置から優先的に応答させるため、マルチホップにおける通信回数を抑制することができる。
【0016】
また、前記各無線通信装置は、前記上位の無線通信装置が存在し、前記Reqメッセージに一度に応答させる無線通信端末の最大数を表すポーリングノード数(PNum)が該Reqメッセージに含まれ、前記下位の無線通信装置から受信済みのRespメッセージに含まれる応答情報の総数が前記ポーリングノード数に達している場合には、前記受信済みのRespメッセージに含まれる応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信するようにしてもよい。
【0017】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、ポーリングノード数を調整することにより、各無線通信装置において、Reqメッセージを送信してからRespメッセージが受信されるまでの時間を調整することができる。
【0018】
また、前記各無線通信装置は、前記上位の無線通信装置が存在し、自己の応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信する場合には、自己および全ての下位の無線通信装置の応答情報が該Respメッセージに含まれることを表すEndフラグを該Respメッセージに含めるようにしてもよい。
【0019】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、各無線通信装置の上位の無線通信端末に全ての下位の無線通信装置から応答が得られたことを認識させることができる。
【0020】
また、前記各無線通信装置は、前記下位の無線通信装置から受信したRespメッセージにEndフラグが含まれていない場合には、前記上位の無線通信装置から前記Reqメッセージを再び受信したときに、前記Endフラグが含まれていないRespメッセージを送信した下位の無線通信装置に該Reqメッセージを他の下位の無線通信装置に先立って送信するようにしてもよい。
【0021】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、ポーリングノード数以上の下位の無線通信装置がある場合でもポーリングの工程を継続させることができる。
【0022】
前記各無線通信装置は、前記下位の無線通信装置に送信権を譲与してから予め定められた時間(T1)内に該下位の無線通信装置からRespメッセージが受信されなかった場合には、該下位の無線通信装置に生存確認メッセージを送信し、該下位の無線通信装置から生存応答メッセージが受信できるか否かに基づいて、該下位の無線通信装置が機能しているか否かを判断するようにしてもよい。
【0023】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、ポーリングの工程中に機能しなくなった無線通信装置を検出することができる。
【0024】
また、前記各無線通信装置は、前記下位の無線通信装置に前記生存確認メッセージを送信してから予め定められた時間(T2)内に該下位の無線通信装置から前記生存応答メッセージを受信できないことが予め定められた回数以上連続して発生した場合には、通信異常が発生したものとして、前記ポーリングにおける次の工程を実行するようにしてもよい。
【0025】
この構成により、本発明の無線ポーリングシステムは、ポーリングの工程中に機能しなくなった無線通信装置のために、ポーリングの工程が停止してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、ポーリングに関するメッセージを互いに衝突させずにマルチホップすることができる無線ポーリングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態における無線ポーリングシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における第1の無線通信装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における第2の無線通信装置を示すブロック図である。
【図4】(a)は、本発明の一実施形態における無線ポーリングシステムにおいてReqメッセージを送受信する3ウェイのシーケンス図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係る無線ポーリングシステムにおいてRespメッセージを送受信する3ウェイのシーケンス図である。
【図5】本発明の一実施形態における無線ポーリングシステムにおいて、機能しなくなった無線通信装置を検出する一例を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態における無線ポーリングシステムの動作を具体的に説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1に示すように、本発明の一実施の形態の無線ポーリングシステム1は、複数の無線通信装置10、11a乃至11eを備え、複数の無線通信装置10、11a乃至11eでポーリングによる通信を行うようになっている。
【0030】
なお、図1において、6つの無線通信装置10、11a乃至11eが示されているが、本発明に係る無線ポーリングシステムを構成する無線通信装置の数を限定するものではない。
【0031】
また、以下の説明においては、無線通信装置11a乃至11eの何れか1つを「無線通信装置11」と記載し、無線通信装置10、11a乃至11eの何れか1つを単に「無線通信装置」と記載する。
【0032】
図2に示すように、無線通信装置10は、例えば、災害時の情報を配信するサーバによって構成され、アンテナ20と、アンテナ20を介して高周波信号を送受信するRF(Radio Frequency)部21と、高周波信号と中間周波数信号とを相互に周波数変換する周波数変換部22と、中間周波数信号を処理して無線通信装置10の各部を後述するように機能させる信号処理部23と、信号処理部23によってデータが読み書きされるメモリ24と、災害を報知する外部装置や災害検知センサ等と無線または有線で通信するための通信インターフェイス(IF)25と、表示部26とを備えている。
【0033】
また、図3に示すように、無線通信装置11は、例えば、家屋等に設けられた災害警報装置によって構成され、アンテナ30と、アンテナ30を介して高周波信号を送受信するRF部31と、高周波信号と中間周波数信号とを相互に周波数変換する周波数変換部32と、中間周波数信号を処理して無線通信装置11の各部を後述するように機能させる信号処理部33と、信号処理部33によってデータが読み書きされるメモリ34と、表示部35と、安否情報等の応答を表す応答情報が入力される入力部36とを備えている。
【0034】
無線通信装置10、11の各メモリ24、34には、下位の無線通信装置の識別情報(ID)が予め登録されている。例えば、無線通信装置10のメモリ24には、下位の無線通信装置として無線通信装置11aのIDが登録され、無線通信装置11aのメモリ34には、下位の無線通信装置として無線通信装置11b、11eのIDが登録されている。
【0035】
また、無線通信装置11のメモリ34には、上位の無線通信装置のIDが予め登録されている。例えば、無線通信装置11aのメモリ34には、上位の無線通信装置として無線通信装置10のIDが登録され、無線通信装置11bのメモリ34には、上位の無線通信装置として無線通信装置11aのIDが登録されている。
【0036】
各無線通信装置10、11は、メモリ24、34に登録された上位および下位の無線通信装置のIDに基づいてホッピング先の無線通信装置を選択し、選択した無線通信装置にポーリングに関するメッセージを送信するようになっている。
【0037】
ポーリングに関するメッセージとしては、主に、ポーリングにおける問い合わせを表すReqメッセージと、この問い合わせに対する応答を表すRespメッセージとがある。例えば、図1においては、無線通信装置10がReqメッセージの送信を開始し、無線通信装置11a乃至11eがReqメッセージに応答してRespメッセージを返信するようになっている。
【0038】
各無線通信装置は、ReqメッセージとRespメッセージとを図4に示すように、3ウェイで他の無線通信装置に送信するようになっている。
【0039】
例えば、図4(a)に示すように、無線通信装置11aによって送信されたReqメッセージが無線通信装置11bに受信されると、無線通信装置11bは、Reqメッセージが受信されたことを表すAckメッセージを無線通信装置11aに送信するようになっている。また、無線通信装置11aは、Ackメッセージを受信すると、送信権を表すPass Controlメッセージを無線通信装置10bに送信するようになっている。
【0040】
ここで、送信権は、ReqメッセージおよびRespメッセージを送信する権利のことをいう。各無線通信装置は、送信権を有しているときには、ReqメッセージおよびRespメッセージを送信できる状態になり、送信権を有していないときには、ReqメッセージおよびRespメッセージを送信できない状態になるようになっている。
【0041】
このように、送信権を有する無線通信装置は、Pass Controlメッセージを他の無線通信装置に送信することによって、他の無線通信装置に送信権を譲与するようになっている。したがって、本実施の形態においては、常に1つの無線通信装置が送信権を有することになる。
【0042】
一方、図4(b)に示すように、無線通信装置11bによって送信されたRespメッセージが無線通信装置11aに受信されると、無線通信装置11aは、Respメッセージが受信されたことを表すAckメッセージを無線通信装置11bに送信するようになっている。無線通信装置11bは、Ackメッセージを受信すると、Pass Controlメッセージを無線通信装置11aに送信するようになっている。
【0043】
図1において、無線通信装置10は、Reqメッセージに一度に応答させる無線通信端末の最大数を表すポーリングノード数PNumを含むReqメッセージを生成し、生成したReqメッセージを下位の無線通信装置11aに3ウェイで送信するようになっている。なお、ポーリングノード数PNumは、予めメモリ24に設定されているものとする。
【0044】
無線通信装置11は、上位の無線通信装置からReqメッセージを3ウェイで受信した場合には、メッセージの内容に応じた情報を表示部35に表示させ、表示部35の表示に応じて入力部36を介して入力された応答情報(以下、単に「自己応答情報」という。)をReqメッセージに含まれるポーリングノード数PNumと共にメモリ34に格納するようになっている。なお、メッセージの内容によっては表示部35に表示しなくてもよく、また、応答情報の入力がない場合があってもよく、これらのような場合には「入力なし」という自己応答情報がメモリ34に格納される。
【0045】
無線通信装置11c、11d、11eのように、下位の無線通信装置11が割り当てられていない無線通信装置11は、上位の無線通信装置からReqメッセージを3ウェイで受信した場合には、メモリ34に格納された自己応答情報と、Endフラグとを含むRespメッセージを上位の無線通信装置に送信するようになっている。
【0046】
ここで、Endフラグは、当該Respメッセージを上位の無線通信装置が送信することによって、当該Respメッセージの送信元である無線通信装置11およびこの無線通信装置11の全ての下位の無線通信装置11の応答情報が上位の無線通信装置に送信済みとなることを表している。
【0047】
一方、無線通信装置11a、11bのように、下位の無線通信装置11が割り当てられている無線通信装置11は、上位の無線通信装置からReqメッセージを3ウェイで受信した場合には、下位の無線通信装置11にReqメッセージを3ウェイで送信するようになっている。
【0048】
無線通信装置11は、下位の無線通信装置11からRespメッセージを3ウェイで受信した場合には、受信したRespメッセージにEndフラグが含まれているか否かを判断するようになっている。
【0049】
ここで、受信したRespメッセージにEndフラグが含まれている場合には、無線通信装置11は、Respメッセージに含まれる応答情報をメモリ34に格納すると共に、メモリ34に格納したポーリングノード数PNumからRespメッセージに含まれる応答情報の数を引いた残余ノード数を算出し、算出した残余ノード数でメモリ34に格納したポーリングノード数PNumを更新するようになっている。
【0050】
また、無線通信装置11は、算出した残余ノード数が1以上であり、Respメッセージを受信していない下位の無線通信装置11が他に割り当てられている場合には、残余ノード数をポーリングノード数PNumとして含むReqメッセージを他の下位の無線通信装置11に3ウェイで送信するようになっている。
【0051】
また、無線通信装置11は、算出した残余ノード数が1以上であり、Respメッセージを受信していない下位の無線通信装置11が他に割り当てられていない場合には、メモリ34に格納した下位の無線通信装置11の応答情報と、自己応答情報と、Endフラグとを含むRespメッセージを上位の無線通信装置に3ウェイで送信するようになっている。
【0052】
一方、無線通信装置11は、算出した残余ノード数が0であった場合には、メモリ34に格納した下位の無線通信装置11の応答情報を含むRespメッセージを上位の無線通信装置に3ウェイで送信するようになっている。
【0053】
また、下位の無線通信装置11から3ウェイで受信したRespメッセージにEndフラグが含まれていない場合には、無線通信装置11は、受信したRespメッセージに含まれる応答情報をメモリ34に格納し、受信したRespメッセージに含まれる応答情報を含むRespメッセージを上位の無線通信装置に3ウェイで送信するようになっている。
【0054】
このように、Endフラグが含まれていないRespメッセージは、このRespメッセージを送信した下位の無線通信装置11のポーリングの工程が完了していないことを示している。
【0055】
このため、無線通信装置11は、上位の無線通信装置から同一のReqメッセージを3ウェイで再び受信した場合には、他の下位の無線通信装置11に先立って、Endフラグが含まれていないRespメッセージを送信した下位の無線通信装置11に当該Reqメッセージを3ウェイで送信することにより、下位の無線通信装置11のポーリングの工程を完了させるようになっている。
【0056】
また、無線通信装置11は、Respメッセージを上位の無線通信装置に3ウェイで送信した後に、Respメッセージに含めて送信した下位の無線通信装置11の応答情報が送信済みである旨の情報をメモリ34に格納するようになっており、上位の無線通信装置から同一のReqメッセージを再び受信したときに、送信済みの応答情報を重複してRespメッセージに含めないようになっている。
【0057】
また、無線通信装置11は、下位の無線通信装置11にReqメッセージを3ウェイで送信してから予め定められた時間T1(例えば、3分)内に、この下位の無線通信装置11からRespメッセージが受信されなかった場合には、この下位の無線通信装置に生存確認メッセージを送信し、この下位の無線通信装置から生存応答メッセージが受信できるか否かに基づいて、この下位の無線通信装置が機能しているか否かを判断するようになっている。
【0058】
ここで、無線通信装置11は、この下位の無線通信装置11に生存確認メッセージを送信してから予め定められた時間T2(例えば、3秒)内に、この下位の無線通信装置11から生存応答メッセージを受信できないことが予め定められたN回(例えば、10回)以上連続して発生した場合には、通信異常が発生したものとして、ポーリングにおける次の工程を実行するようになっている。なお、N=1であってもよく、この場合は時間T2内に生存応答メッセージが受信できなくなればすぐに通信異常が発生したものとして、ポーリングにおける次の工程を実行することになる。
【0059】
例えば、図5に示すように、無線通信装置11aは、無線通信装置11bにReqメッセージを3ウェイで送信してから予め定められた時間T1内に無線通信装置11bからRespメッセージが受信されなかった場合には、無線通信装置11bに生存確認メッセージとしてHelloメッセージを送信するようになっている。
【0060】
ここで、無線通信装置11aは、無線通信装置11bにHelloメッセージを送信してから予め定められた時間T2内に、無線通信装置11bから生存応答メッセージとしてHello Respメッセージを受信できなかった場合には、更に無線通信装置11bにHelloメッセージを送信する。無線通信装置11aは、無線通信装置11bにHelloメッセージを送信してから時間T2内に無線通信装置11bからHello Respメッセージを受信できないことがN回連続した場合は、通信異常が発生したものとして、他の下位の無線通信装置11eに対してReqメッセージを3ウェイで送信するようになっている。
【0061】
なお、無線通信装置11aは、Hello Respメッセージを受信できなかった場合には、無線通信装置10に3ウェイで送信するRespメッセージに無線通信装置11bから応答がなかった旨を含め、無線通信装置10は、無線通信装置11b以下の無線通信装置11に対するReqメッセージの再送信を試みるために、無線通信装置11aに対し、Reqメッセージを再送信することが好ましい。
【0062】
このように構成された無線ポーリングシステム1について図6を用いてその動作を具体的に説明する。なお、以下の説明においては、無線通信装置10において、ポーリングノード数PNumとして3が指定されている例について説明する。
【0063】
まず、ポーリングノード数PNumとして3が指定されたReqメッセージが無線通信装置10から無線通信装置11aに3ウェイで送信される(S1)。
【0064】
このReqメッセージが無線通信装置11aに3ウェイで受信されると、無線通信装置11aでは、メッセージの内容に応じた情報が表示部35に表示されると共に、Reqメッセージに含まれるポーリングノード数PNum(=3)がメモリ34に格納され、このReqメッセージは、無線通信装置11aの下位の無線通信装置として割り当てられた無線通信装置11bに3ウェイで送信される(S2)。
【0065】
このReqメッセージが無線通信装置11bに3ウェイで受信されると、無線通信装置11bでは、メッセージの内容に応じた情報が表示部35に表示されると共に、Reqメッセージに含まれるポーリングノード数PNum(=3)がメモリ34に格納され、このReqメッセージは、無線通信装置11bの下位の無線通信装置として割り当てられた無線通信装置11cに3ウェイで送信される(S3)。
【0066】
このReqメッセージが無線通信装置11cに3ウェイで受信されると、無線通信装置11cでは、メッセージの内容に応じた情報が表示部35に表示され、入力部36を介して入力された自己応答情報Cと、Endフラグとを含むRespメッセージ[C,END]が無線通信装置11bに3ウェイで送信される(S4)。
【0067】
このRespメッセージ[C,END]が無線通信装置11bに3ウェイで受信されると、無線通信装置11bでは、Respメッセージに含まれる応答情報Cがメモリ34に格納されると共に、メモリ34に格納されたポーリングノード数PNum(=3)からRespメッセージに含まれる応答情報の数(=1)を引いた残余ノード数が算出され、算出された残余ノード数(=2)でメモリ34に格納されたポーリングノード数PNumが更新される。
【0068】
ここで、残余ノード数が1以上であり、Respメッセージを受信していない下位の無線通信装置11dが無線通信装置11bに割り当てられているため、ポーリングノード数PNumとして2が指定されたReqメッセージが無線通信装置11bから無線通信装置11dに3ウェイで送信される(S5)。
【0069】
このReqメッセージが無線通信装置11dに3ウェイで受信されると、無線通信装置11dでは、メッセージの内容に応じた情報が表示部35に表示され、入力部36を介して入力された自己応答情報Dと、Endフラグとを含むRespメッセージ[D,END]が無線通信装置11bに3ウェイで送信される(S6)。
【0070】
このRespメッセージ[D,END]が無線通信装置11bに3ウェイで受信されると、無線通信装置11bでは、Respメッセージに含まれる応答情報Dがメモリ34に格納されると共に、メモリ34に格納されたポーリングノード数PNum(=2)からRespメッセージに含まれる応答情報の数(=1)を引いた残余ノード数が算出され、算出された残余ノード数(=1)でメモリ34に格納されたポーリングノード数PNumが更新される。
【0071】
ここで、残余ノード数が1以上であり、Respメッセージを受信していない下位の無線通信装置が無線通信装置11bに割り当てられていないため、無線通信装置11bでは、メモリ34に格納された無線通信装置11c、11dの応答情報C、Dと、入力部36を介して入力された自己応答情報Bと、Endフラグとを含むRespメッセージ[C,D,B,END]が無線通信装置11aに3ウェイで送信される(S7)。
【0072】
このRespメッセージ[C,D,B,END]が無線通信装置11aに3ウェイで受信されると、無線通信装置11aでは、Respメッセージに含まれる応答情報C、D、Bがメモリ34に格納されると共に、メモリ34に格納されたポーリングノード数PNum(=3)からRespメッセージに含まれる応答情報の数(=3)を引いた残余ノード数が算出され、算出された残余ノード数(=0)でメモリ34に格納されたポーリングノード数PNumが更新される。
【0073】
ここで、残余ノード数が0であるため、無線通信装置11aでは、メモリ34に格納された無線通信装置11c、11d、11bの応答情報C、D、Bを含むRespメッセージ[C,D,B]が無線通信装置10に3ウェイで送信される(S8)。
【0074】
このRespメッセージ[C,D,B]が無線通信装置10に3ウェイで受信されると、無線通信装置10では、Respメッセージに含まれる応答情報C、D、Bがメモリ24に格納され、ポーリングノード数PNumとして3が指定されたReqメッセージが無線通信装置10から無線通信装置11aに3ウェイで再び送信される(S9)。
【0075】
このReqメッセージが無線通信装置11aに3ウェイで受信されると、無線通信装置11aでは、Reqメッセージに含まれるポーリングノード数PNum(=3)でメモリ34に格納されたポーリングノード数PNumが更新される。
【0076】
ここで、Respメッセージを受信していない下位の無線通信装置11eが無線通信装置11aに割り当てられているため、ポーリングノード数PNumとして3が指定されたReqメッセージが無線通信装置11aから無線通信装置11eに3ウェイで送信される(S10)。
【0077】
このReqメッセージが無線通信装置11eに3ウェイで受信されると、無線通信装置11eでは、メッセージの内容に応じた情報が表示部35に表示され、入力部36を介して入力された自己応答情報Eと、Endフラグとを含むRespメッセージ[E,END]が無線通信装置11aに3ウェイで送信される(S11)。
【0078】
このRespメッセージ[E,END]が無線通信装置11aに3ウェイで受信されると、無線通信装置11aでは、Respメッセージに含まれる応答情報Eがメモリ34に格納されると共に、メモリ34に格納されたポーリングノード数PNum(=3)からRespメッセージに含まれる応答情報の数(=1)を引いた残余ノード数が算出され、算出された残余ノード数(=2)でメモリ34に格納したポーリングノード数PNumが更新される。
【0079】
ここで、残余ノード数が1以上であり、Respメッセージを受信していない下位の無線通信装置が無線通信装置11aに割り当てられていないため、無線通信装置11aでは、メモリ34に格納された無線通信装置11eの応答情報Eと、入力部36を介して入力された自己応答情報Aと、Endフラグとを含むRespメッセージ[E,A,END]が無線通信装置10に3ウェイで送信される(S12)。
【0080】
このRespメッセージ[E,A,END]が無線通信装置10に3ウェイで受信されると、無線通信装置10では、Respメッセージに含まれる応答情報E、Aがメモリ34に格納される。
【0081】
ここで、無線通信装置11a乃至11eの全ての応答情報A乃至Eが無線通信装置10によって得られたことになり、例えば、メモリ34に格納された無線通信装置11a乃至11eの各応答情報A乃至Eが表示部26に表示され、通信IF25を介して無線通信装置11の状況を収集する外部装置等に送信される。
【0082】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態の無線ポーリングシステム1は、ReqメッセージおよびRespメッセージを送信する無線通信装置を、送信権を有するものに限定するため、ポーリングに関するメッセージを互いに衝突させずにマルチホップすることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 無線ポーリングシステム
10、11、11a〜11e 無線通信装置
20、30 アンテナ
21、31 RF部
22、32 周波数変換部
23、33 信号処理部
24、34 メモリ
25 通信IF
26、35 表示部
36 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信装置(10、11a乃至11e)を有し、前記複数の無線通信装置がポーリングによる通信を行う無線ポーリングシステムであって、
前記複数の無線通信装置のうち送信権を有する無線通信装置は、
前記複数の無線通信装置のうち下位の無線通信装置が割り当てられ、前記ポーリングにおける問い合わせを表すReqメッセージを該下位の無線通信装置に送信する場合には、該Reqメッセージを該下位の無線通信装置に送信し、該Reqメッセージが受信されたことを確認した上で、該下位の無線通信装置に前記送信権を譲与し、
前記複数の無線通信装置のうち該Reqメッセージの送信元である上位の無線通信装置が存在し、前記問い合わせに対する応答を表す応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信する場合には、該Respメッセージを該上位の無線通信装置に送信し、該Respメッセージが受信されたことを確認した上で、該上位の無線通信装置に前記送信権を譲与する無線ポーリングシステム。
【請求項2】
前記各無線通信装置は、前記Reqメッセージの送信先である下位の無線通信装置から前記送信権が譲与され、まだReqメッセージを送信していない下位の無線通信装置が他に割り当てられている場合には、該Reqメッセージを該下位の無線通信装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線ポーリングシステム。
【請求項3】
前記各無線通信装置は、前記Reqメッセージの送信先である下位の無線通信装置から前記送信権が譲与され、前記上位の無線通信装置が存在し、前記下位の無線通信装置が他に割り当てられていない場合には、前記下位の無線通信装置からそれぞれ受信されたRespメッセージに含まれる応答情報と、自己の応答情報とを含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線ポーリングシステム。
【請求項4】
前記各無線通信装置は、前記上位の無線通信装置から前記送信権が譲与され、前記下位の無線通信装置が割り当てられていない場合には、自己の応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の無線ポーリングシステム。
【請求項5】
前記各無線通信装置は、前記上位の無線通信装置が存在し、前記Reqメッセージに一度に応答させる無線通信端末の最大数を表すポーリングノード数(PNum)が該Reqメッセージに含まれ、前記下位の無線通信装置から受信済みのRespメッセージに含まれる応答情報の総数が前記ポーリングノード数に達している場合には、前記受信済みのRespメッセージに含まれる応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の無線ポーリングシステム。
【請求項6】
前記各無線通信装置は、前記上位の無線通信装置が存在し、自己の応答情報を含むRespメッセージを該上位の無線通信装置に送信する場合には、自己および全ての下位の無線通信装置の応答情報が該Respメッセージに含まれることを表すEndフラグを該Respメッセージに含めることを特徴とする請求項5に記載の無線ポーリングシステム。
【請求項7】
前記各無線通信装置は、前記下位の無線通信装置から受信したRespメッセージにEndフラグが含まれていない場合には、前記上位の無線通信装置から前記Reqメッセージを再び受信したときに、前記Endフラグが含まれていないRespメッセージを送信した下位の無線通信装置に該Reqメッセージを他の下位の無線通信装置に先立って送信することを特徴とする請求項6に記載の無線ポーリングシステム。
【請求項8】
前記各無線通信装置は、前記下位の無線通信装置に送信権を譲与してから予め定められた時間(T1)内に該下位の無線通信装置からRespメッセージが受信されなかった場合には、該下位の無線通信装置に生存確認メッセージを送信し、該下位の無線通信装置から生存応答メッセージが受信できるか否かに基づいて、該下位の無線通信装置が機能しているか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の無線ポーリングシステム。
【請求項9】
前記各無線通信装置は、前記下位の無線通信装置に前記生存確認メッセージを送信してから予め定められた時間(T2)内に該下位の無線通信装置から前記生存応答メッセージを受信できないことが予め定められた回数以上連続して発生した場合には、通信異常が発生したものとして、前記ポーリングにおける次の工程を実行することを特徴とする請求項8に記載の無線ポーリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−226324(P2010−226324A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70274(P2009−70274)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(307030588)アンリツネットワークス株式会社 (8)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】