説明

無線リソースの割り当て方法および基地局装置

【課題】周辺の基地局装置が連携して混雑している基地局に無線リソースを譲り、干渉を低減し、セル境界またはセクタ境界における移動体端末毎のフェアネスを実現する。
【解決手段】予め定められたタイミングで、セルの混雑状態の判定(401)を行い、その結果を隣接基地局に通知するとともに隣接基地局から受信した混雑状態の判定結果を記憶し、基地局が混雑していない状態と判定した場合には、隣接基地局が混雑状態かどうかを確認(402)し、隣接基地局が混雑状態の場合には、リソースブロックの使用を自粛して空きリソースブロックを決定(403)し、決定した空きリソースブロックの情報を隣接基地局に通知(404)する。また、混雑状態であると判定された場合には、隣接基地局から受信した空きリソースブロック情報を確認して基地局の空きリソースブロックとしてセル内の移動体端末に割り当てる(407)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信技術に関し、特に、移動体無線通信システムにおいて、セクタ境界またはセル境界における干渉を回避するための無線リソースの割り当て技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体無線通信技術が進歩するにつれ、ユーザは、移動体端末の利用場所や移動速度の制約から解放され、いつでも、どこからでも、より自由にネットワークへの接続が可能なユビキタスネットワークの実現が期待されている。
この移動体無線通信システムは、複数の基地局装置とその基地局装置と無線通信を行なう複数の移動体端末とで構成される。複数の基地局装置は分散して配置され、それぞれの基地局装置から送信される電波が到達する範囲にセルと呼ばれる無線通信可能な領域を提供する。基地局装置は、指向性アンテナを用いることにより、セルを角度で分割して、セクタと呼ばれる複数の電波到達範囲を持つ場合もある。セクタ構成としては、セルを3つに分割する3セクタ構成が一般的である。セクタは、アンテナの指向性を利用して空間を角度で分割して構成されるセルと見なすこともできる。以下、本願発明では、セクタとセルの両方の概念を含めてセルと称する場合がある。
【0003】
無線通信システムは、移動体端末の移動に応じて、移動体端末に提供中の通信路を基地局装置間で次々にハンドオーバし、移動体端末が移動しながらにして、無線通信を維持できる仕組みを備えている。通信が途絶えることなく基地局装置間でハンドオーバできるように、基地局装置が形成するセル領域は重なり合っている。この重なり合った領域で、移動体端末が無線基地局と無線通信を行なうと、その通信はセル領域が重なっている別の基地局装置の通信にとっては干渉となる。干渉は他の移動体端末の通信にとって妨害波であり、無線通信における信号品質やスループットの劣化などの要因になる。
【0004】
このようなセル境界またはセクタ境界における干渉を低減するための1つの方法として、FFR(Fractional Frequency Reuse)がある。この技術は、隣接する複数の基地局装置が、互いに周波数リソースを分け合い、送信電力に重みを付け、特定の周波数帯での干渉を抑えてスループットの向上を図るものである。
【0005】
その他に干渉を回避する技術としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されたようなものがある。特許文献1は、無線基地局がアップリンク信号からセル間干渉量情報を抽出し、その情報に基づいてアップリンク制御情報を生成し隣接セルの移動通信端末機に送信し、端末機がアップリンク制御情報を参照してアップリンク資源をスケジューリングするものである。特許文献2は、送信フレームを時間軸方向にサブチャネルサブセット使用ゾーンとサブチャネル使用ゾーンに分割し、サブチャネルサブセット使用ゾーンを周波数軸方向に複数のゾーンに分割し、複合的な優先度順にコネクションを予め決められたゾーンに割り当て、優先ゾーンとし、所要信号品質まで改善するのに必要な電力値を割り当てるようにしたものである。また、特許文献3は、端末局へのユーザデータの伝送に、時間軸方向で分割されたセクタエッジやセルエッジに存在する端末局に対するユーザデータの伝送に用いるセクタ毎に異なるサブチャネルが割り当てられたセグメント領域と、セクタエッジやセルエッジに存在しない端末局に対するユーザデータの伝送に用いる非セグメント領域とを備えるフレームを用いるようにしたものである。
【0006】
一方、標準化に目を移すと、標準化団体のひとつである3GPP(Third Generation Partnership Project)では、ロング ターム エボリューション(LTE:Long Term Evolution)とよばれる直交周波数分割多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)をベースとした無線方式が提案されている。非特許文献1には、LTEにおける基地局装置間通信について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-61250号公報
【特許文献2】特開2009-21787号公報
【特許文献3】特開2009-44397号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP TS36.423 8.3.1 Load Indication
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のFFRは、各セル内の移動体端末数が一様であると仮定している。しかし、実際には、各セルの移動体端末数は一様ではなく、セルによって偏りが大きい。例えば、新宿、渋谷といった主要ターミナル周辺では、人口密度が非常に高くなるが、少し離れた周辺のエリアは必ずしも人口密度が高くならない。このような偏りのために、移動体端末が集中しているエリアはリソースが枯渇するが、隣接している移動体端末が少ないエリアはリソースをもてあます現象が発生する。一般にセル中心の電波環境のよい位置にいる移動体端末よりも、セル境界に近い位置にいる端末ほど、リソースの枯渇の影響が深刻になると考えられる。また、セル境界では前述のような領域が重なりあっていることによる干渉のためにスループットの低下をさらに助長する。そのため、セル境界の干渉を避け、さらには余裕がある隣接リソースを有効利用するため技術が必要とされていた。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、周辺の基地局装置が連携して無線通信が混雑している基地局装置に対して無線リソースを譲り、干渉を低減し、セル境界またはセクタ境界における移動体端末毎のフェアネスを実現することを目的とする。
また、基地局装置が混雑しているかどうかの判定の閾値を自動調整できるようにし、適応的、効率的に干渉の低減を実現することを目的とする。
また、混雑している基地局装置同士が隣り合っている場合にも、基地局装置同士が協調し合い、セル境界、セクタ境界での干渉を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、予め定められたタイミングで、セルの混雑状態の判定を行い、その結果を隣接基地局に通知するとともに隣接基地局から受信した混雑状態の判定結果を記憶し、基地局が混雑していない状態と判定した場合には、隣接基地局が混雑状態かどうかを確認し、隣接基地局が混雑状態の場合には、リソースブロックの使用を自粛して空きリソースブロックを決定し、決定した空きリソースブロックの情報を隣接基地局に通知するようにした。
また、混雑状態の判定の結果、混雑状態であると判定された場合には、隣接基地局から受信した空きリソースブロック情報を確認して基地局の空きリソースブロックとしてセル内の移動体端末に割り当てるようにした。
【0012】
より詳しくは、混雑状態の判定は、セル内の一定時間あたりの平均接続端末数または一定時間あたりの端末の平均スループットを、予め定めておいた閾値と比較することにより行なうようにした。
さらに、混雑状態の判定の結果、基地局および隣接するすべての基地局が混雑状態であると判定された場合、閾値を予め定めておいた値だけ変更し、再度混雑状態の判定を行なうようにした。
また、混雑状態の判定の結果、基地局および隣接基地局が共に混雑状態であると判定された場合、基地局と隣接基地局とでリソースブロックを周波数帯域が重ならないように予め定めておいた割合で分配し、分配した無線リソースを無線基地局および隣接基地局それぞれのセル内の移動体端末に割り当てるようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、周辺の基地局装置が連携して無線通信が混雑している基地局装置に対して無線リソースを譲り、干渉を低減することができ、セル境界またはセクタ境界における移動体端末毎のフェアネスを実現することができる。
また、基地局装置が混雑しているかどうかの判定の閾値を自動調整することができ、効率的、適応的に干渉低減を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例におけるリソースの使用自粛例を説明する図である。
【図2】移動体無線通信システムの構成例を示す図である。
【図3】FFR適用時の基地局装置の無線リソースの分配を説明する図である
【図4】隣接する複数の基地局装置にFFRを適用する場合の周波数分配例を示す図である。
【図5】FFRを使用していない場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す
【図6】FFRを使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す
【図7】シミュレーション結果を確率分布関数(CDF)で示したグラフである。
【図8】本発明の一実施例における基地局装置の構成を説明する図である。
【図9】本発明の一実施例における基地局装置の構成を説明する図である。
【図10】本発明の一実施例における基地局装置の無線部の構成を説明する図である。
【図11】本発明の一実施例における隣接セル間のリソース割り当てのイメージを説明する図である。
【図12】基地局装置における空きリソース有無の判定および通知処理を説明するフローチャートである。
【図13】基地局装置における空きRB情報の確認方法を説明するフローチャートである。
【図14】基地局装置における混雑/閑散判定処理の一実施例を説明するフローチャートである。
【図15】基地局装置における混雑判定処理を説明するフローチャートである。
【図16】基地局装置における混雑/閑散判定処理の一実施例を説明するフローチャートである。
【図17】基地局装置における混雑判定処理の一実施例を説明するフローチャートである。
【図18】空きRBの状態の情報化について説明する図である。
【図19】本発明の一実施例のシミュレーション結果を示す図である。
【図20】本発明の一実施例のシミュレーション結果を示す図である。
【図21】本発明の一実施例のシミュレーション結果を示す図である。
【図22】本発明の一実施例における隣接基地局間の関係を説明する図である。
【図23】本発明の一実施例における隣接する基地局装置同士の周波数リソースの配分例を説明する図である。
【図24】本発明の一実施例における基地局装置の処理内容を説明するフローチャートである。
【図25】空きRB情報テーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図2に移動体無線通信システムの構成例を示す。
【0017】
基地局装置20〜22はコアネットワークに接続するため、コア装置28と通信を行っている。コア装置28からの信号はスイッチ27を介して、例えば基地局装置20に入力される。基地局装置20はコア装置28からの信号を高周波信号に変換し、無線信号25により移動体端末23に送信する。移動体端末23は無線信号25を受信し、信号処理を行い情報に変換することで、コア装置28との通信を確立する。移動体端末23が生成する情報は、移動体端末23において高周波信号に変換され、無線信号26により基地局装置20に送信される。移動体端末23から送信され、基地局装置20が受信した無線信号26は信号処理によって情報に変換され、スイッチ27を介してコア装置28に送信される。複数の基地局装置20〜22はスイッチ27を介してコア装置28と接続し、それぞれ異なる信号を送受信している。図2のように、移動体端末23が基地局装置20と隣接する基地局装置21、22の境界に存在するとき、移動体端末23へ向けた無線信号25が基地局装置21,22からの無線信号25−1、25−2と干渉してしまう。
【0018】
このセル境界における干渉を低減するための1つの方法として、前述のFFR(Fractional Frequency Reuse)がある。FFRは、隣接する複数の基地局装置が、互いに周波数リソースを分け合い、送信電力に重みを付け、特定の周波数帯での干渉を抑えてスループットの向上を図るものであることを以下で少し詳しく説明する。
【0019】
図3はFFR適用時の基地局装置の無線リソースの分配を説明する図である。
図3において縦軸が電力P、横軸が周波数fを示している。基地局装置20を例に取ると、セル中央エリアには電力の低い30で示す周波数を割当て、セル境界エリアには、電力が高く、他のセルと干渉しないような31で示す周波数を割り当てる。基地局装置21と基地局装置22も同様にセル中央エリアは電力の低い周波数30を割当て、セル境界エリアには、それぞれ周波数32、33を使用するように割り当てる。このようにFFRでは、隣接する基地局間のセル境界エリアにおいては、移動体端末に割り当てる周波数として同じ周波数を使用しないようにすることで、セル境界エリアの干渉を避けている。
【0020】
ここで、このように周波数の割り当てを行なうと、互いに隣接する3つの基地局装置のセル境界では全周波数帯域を再利用していることになる。これを、リユース3(周波数繰り返し3。以下R3とする)で使用しているという。隣接する基地局装置の使用する周波数が異なれば、無線信号の干渉はない。そのため、干渉する無線信号を送信する基地局は隣接基地局ではなく、隣接基地局の次の隣接基地局になる。しかし、次の隣接基地局までの距離は遠く、干渉電力は小さくなると期待できる。FFRはこのようにして、干渉の影響を低減しようとする技術である。一方、主にセル中心の移動体端末に割り当てられるためのリソースである周波数30は、隣接する基地局装置でも繰り返し利用することになる。これをリユース1(周波数繰り返し1。以下R1とする)で使用しているという。
【0021】
FFRを行なう場合、複数の基地局装置へどのように周波数が割り当てられるかについて図4を用いて説明する。
図4は、隣接する複数の基地局装置にFFRを適用する場合の周波数分配例を示す図である。図4には、7つの基地局装置20〜26を示している。それぞれの基地局装置は、3つのセクタを持ち、中心に黒の四角で示す基地局装置から扇型の3つのエリアをカバーする。セクタとはアンテナの指向性を利用して、空間を角度で分割して構成されるセルの名称である。
各セクタは基地局装置20に近い中央エリアとセル境界に近い境界エリアの2つに区分されており、中央エリアでは図3で説明したリユース1で使用する周波数30が使用される。また、境界エリアでは3つの周波数31,32,33が隣接セルと干渉しないよう割り当てられ、隣接する基地局装置から受ける干渉を軽減している。
【0022】
次に、シミュレーション結果により、FFRの効果について説明する。
図5にFFRを使用していない場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す。このシミュレーション結果は、障害物によるシャドーイングや基地局装置のアンテナパターン、伝播損失なども考慮したシミュレーション結果である。
図5において「3Sector BTS」と記された黒の四角が基地局装置の場所を示す。この基地局装置の図の上方向を0度とおいて、120度、240度の方向をもつ3セクタ構成においてシミュレーションを行なっている。白い丸の位置はSINRが9dBより高く信号品質が良好であることを示す。また黒い丸の位置はSINRが0dBより低く、信号品質が劣悪であることを示す。この結果から、隣接するセクタ、またはセルの境界は黒い丸が目立ち、すなわち信号品質が劣悪であることがわかる。
【0023】
図6にFFRを使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す。図3に示した周波数割り当てに基づいたFFRを使用した結果である。図5のFFRを使用していない場合と比べると、隣接するセクタ、またはセルの境界の信号品質が改善されていることがわかる。
【0024】
図7に、図5と図6のシミュレーション結果を確率分布関数(CDF)に直したグラフを示す。
確率分布関数で、FFR無しとFFR有りとを比較してみると、特にSINRの低い領域が改善されていることが確認できる。
【0025】
発明が解決しようとする課題の欄でも述べたように、FFRは、各セル内の移動体端末数が一様であるということを前提としているが、実際には、各セルの移動体端末数は一様ではなく、セルによって偏りが大きい。そこでFFRをさらに進めた本発明のセル境界の干渉の低減技術について、以下説明する。
【実施例1】
【0026】
まず、本発明の第1の実施例を説明する。
まず、基地局装置の構成および基地局装置の各部の動作について説明する。
図8は、基地局装置の構成を説明する図である。
まず、アンテナ(図示せず)は図の左に接続されており、アンテナが受信したアナログ信号は、図の左からRF(Radio Frequency)部201に入力され、デジタル信号に変換される。デジタル信号は、CP抽出部(Cyclic Prefix Extract)202で基地局固有のタイミングにおいてCP(Cyclic Prefix)を抽出する。CPは、マルチパスの影響を除くためにOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing 直交周波数分割多重)信号に付与される一定の冗長期間である。CPを抽出した受信信号はFFT(Fast Fourier Transform)部203において、FFTが掛けられる。FFTにより時間領域の信号は周波数領域に分解され、サブキャリヤ毎の情報に分離される。DMX(DeMultiplex)部204では受信信号は周波数×時間で分割された情報として認識され、予めDSP(Digital Signal Processor)部215で実現されるスケジューラによって決められたリソース割り当てに従ってチャネルの分解を行なう。以下で詳細に説明する本発明の特徴となる混雑/閑散判定や、リソースブロックの情報、FFR等のスケジューリング処理はこのDSP215で行われる。
主にパイロット信号、制御信号、ユーザデータ信号に分割される。ここで、パイロット信号(またはリファレンス信号)は、CE部205に送られ、伝搬路の推定に利用される。制御信号はDEM部208に送られ、CE(Channel Estimation 伝搬路推定)部205にて計算された伝搬推定結果を使ってMMSE(Minimum Mean Square Error 最小二乗誤差法)を行い復調、復号を行なう。ユーザデータ信号はMLD(Maximum Likelihood Detection 最尤判定)部206に送られ、CE部205にて計算された伝搬路推定結果を使ってMLDを行なう。MLD部206によって計算された対数尤度比はDEC(Decoder)部207に入力され、DEC部207にてターボ復号処理が行われる。得られた情報はDSP215に入力され、レイヤ2(L2)処理を施した後にネットワークインターフェース216を介して、図2に示したコア側装置28に送られる。
【0027】
一方、コア側装置(図2 28)から伝送されてきたユーザデータ情報は、ネットワークインターフェース216を介してメモリ220に記録される。そして、DSP215で実現されるスケジューラの指示により取り出され、MOD(Modulation)部209にてターボ符号化、インタリーブ等の符号化処理とQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)符号などへの変調処理が実施される。変調された情報はMUX部211にてスケジューラに指示されたリソースに配置される。このときパイロット生成部210が生成するパイロットと、制御チャネル変調部219が作成した制御チャネルが一緒に配置される。制御チャネルは情報をDSP215が作成し、制御チャネル変調(CCHMOD:Control Channel Modulation)部219が変調処理をしたものである。MUX部211によって統合された送信情報はIFFT(Inverse-FFT)部213にて時間領域に変換される。そしてCPI(Cyclic Prefix Insertion)部214にてCPが付けられてRF部201に入力される。RF部201ではデジタル信号から高周波信号への変換・増幅が実施されて、図には記載されていないアンテナに出力される。
【0028】
基地局装置の別の構成としては、図8に示す基地局装置20のRF部とその他の構成(制御部と称する)を分離した基地局装置も一般的である。
図9および図10は、RF分離型の基地局装置の構成の一実施例を説明する図である。
図9は、RF分離型基地局装置の制御部の構成例を示し、図10は、RF分離型基地局装置のRF部の構成例を示した図である。
図9に示した制御部と、図10に示したRF部の間の通信は光通信方式であるCPRI(Common public radio interface)によって行われる。CPRIインターフェース217以外のブロックの動作は先に説明した図8と同じである。図9からCPRIインターフェースを介してRF部に届いたベースバンド信号は、RF−TX(無線送信)部305にて無線周波数に変換され電力増幅される。無線周波数に変換された信号は、ディプレクサ302経由でアンテナ301に伝わり、空中に放射される。また、アンテナが受信した信号はディプレクサを介してRF-RX(無線受信)部303に入力され、ベースバンド信号に変換される。変換されたベースバンド信号はCPRIインターフェース304を介して図9の制御部のCPRI I/F217に送信される。
【0029】
次に本発明を実施した場合の、隣接するセルにおけるリソース割り当てについて説明する。
図11は、本発明の一実施例における隣接セル間のリソース割り当てのイメージを説明する図である。
図11には、お互い隣接する3つの基地局装置20、21、22を示している。ここでは基地局装置20のセクタ44が混雑状態である場合の例を説明する。
まず、セル境界の移動体端末の干渉を低減する場合について説明する。この例では、基地局装置20のセクタ44が混雑状態であり、基地局装置20のセクタ44とセル境界を介して接している基地局装置21のセクタ42、基地局装置22のセクタ41は閑散状態であったとする。ここで閑散状態とは、カバーするエリアに無線の利用者が少ない状態であり、具体的には、無線通信中の移動体端末数が予め決められた閾値よりも少ない状態を言う。一方、混雑状態とは、カバーするエリアに対して無線の利用者が多いセルであり、具体的には無線通信中の移動体端末数が予め決められた閾値よりも多い状態を言う。セルとセクタという言葉を正確に使い分ける必要があるが、前述のようにセクタは、アンテナの指向性を利用して空間を角度で分割して構成されるセルと見なすこともできることから、セルをセクタと読みかえた場合にも本発明の範疇である。閑散状態、および混雑状態を自立的に判断する具体的な方法については図14、15に詳述する。混雑/閑散判定を行なった結果、セル境界の移動体端末の干渉を低減する場合には、本発明では、図11の上の図ように、混雑セクタ40に隣接するセクタ41,42が、予め決めておいた周波数領域の使用を自粛する。その結果、隣接基地局が自粛した周波数領域において基地局装置20が隣接セルの干渉の影響をうけずにより多くのリソースを使えるようになる。図11のセクタ41、42のそれぞれ4つの細い扇形は、周波数的な間欠のイメージを示しているものである。(本発明ではビームフォームの説明をしていないため、ビームフォーミングによる空間的な間欠を示しているものではない。)
次に、基地局装置間での空きリソースの有無の判定および基地局装置間での通知処理について説明する。
図12は、基地局装置における空きリソース有無の判定および通知処理を説明するフローチャートである。
基地局装置は、混雑/閑散判定を定期的に実施している。まず、混雑/閑散判定を行なう周期内に、基地局装置のエリア内の状態を判定する(ステップ401)。混雑状態の時、ステップ407に進む。閑散状態と判定された場合、隣接する基地局も閑散状態かどうか隣接する基地局装置の空いているリソースブロック(以降RBとする)の情報を確認する(ステップ402)。隣接基地局も閑散状態であり、空きRBがあるまたは空きRBが一定値以上の場合はステップ404へ進む。具体的な空きRBの確認方法については図25を用いて説明する。隣接する基地局装置に空きRBがないか一定値以下の場合は、隣接基地局装置は混雑状態と判定し、ステップ403に進む。ステップ403にて空きRBを決定し、決定した空きRBについてリソースの使用を自粛する。
【0030】
図1にリソースの自粛例を示す。
基地局装置の使用する周波数領域を例えば図1に示すように6分割されているとする。隣接基地局が混雑状態で、閑散状態と判定された基地局装置は、図1の斜線で示した部分の周波数領域の使用を自粛すると予め決めておく。そして、隣接基地局が混雑状態である閑散状態の基地局装置は、図1に示された予め決められた周波数領域の使用を自粛する。具体的には、基地局装置は、無線リソースを複数のリソースブロックに分割して情報の送信に用いているので、図1で斜線で示した周波数領域に該当するRBをそれぞれ例えば左側から(低い周波数から)使用しないようにすることでリソースをあけていく(リソース13〜18)。RBは急激に空けるのでなく、徐々にあけていく方が好ましい。RBを空けた後、すなわち空きRB決定後、非特許文献1に規定されているRNTP(Relative Narrowband Tx Power)を用いてRBの状態を情報化して空きRB情報とし、隣接する基地局装置に対して送信する(ステップ406)。
ステップ401で混雑状態と判定された場合、隣接し、かつ閑散状態と判定された基地局装置から、空きRBを提供してもらう。提供してもらったRBは干渉の大きい移動体端末から優先的に割り当てていく(ステップ407)。
【0031】
空きRBの状態を情報化し空きRB情報を生成する方法について説明する。
図18は空きRBの状態の情報化を説明するための図である。
空きRBの状態を情報化するために、電力の閾値を設定し、閾値を越えるか否かで「0」か「1」かの情報に変換する。図18に示すようにFFRを適用することによって、R3の電力には、R1と比較し重みをつけているため、R3とR1のそれぞれに、別々の閾値を設定する。「0」か「1」かの情報への変換は、前述のようにRNTP (Relative Narrowband Tx Power)を使用する。RNTPは、閾値を超えれば「1」閾値を越えなければ「0」という情報に変換する。R3とR1のそれぞれについて、Th1、Th2と2つの閾値を設けて、RNTPにより空きRBの状態を判定し、「0」「1」の情報に変換する。この情報を隣接する基地局装置でやり取りし、リソース情報を共有する。基地局装置間での情報のやり取りは、非特許文献1に規定されているメッセージを用いて行なう。具体的には、例えば、Load IndicationをX2 Interfaceを用いて基地局装置間で情報を交換することができる。
【0032】
次に混雑/閑散判定について具体的に説明する。
図14は、基地局装置における混雑/閑散判定処理を説明するフローチャートである。
まず、基地局装置は、カバーするエリアに存在する平均Activeユーザ数を計算する(ステップ502)。この平均Activeユーザ数は、Activeユーザとなっている移動体端末の数を予め設定された周期で平均をとったものである。またActiveユーザとは、無線通信を行っている移動体端末を指し、通信を行っていない移動体端末は対象外として説明する。
【0033】
次に、現状が混雑/閑散判定を行なう適正な時間帯か、あるいは基地局装置が設置されている地域が指定地域かどうかといった環境条件を確認する(ステップ503)。混雑/閑散判定は、都市部のトラヒックが集中する特定の地域に適用するべきであり、混雑状態となることがなく常に閑散状態であるような地域や、都市部でも深夜など、周囲のトラヒックが閑散状態となっている場合などは、判定対象から外す必要がある。なぜならば、地域的、時間的に複数のセルに跨る広い地域で基地局装置が閑散状態となる場合には、閑散判定をして、使えるリソースを制限しても隣接するエリアも閑散判定となるため、空いたリソースを活用する基地局装置がない。混雑状態の基地局装置が存在しないのに、閑散状態の基地局装置がリソースの自粛を行なってしまうと、結果的に本来使えるはずなのに誰にも使われないリソースができてしまい、かえって効率を下げる結果となるからである。
【0034】
ステップ503で混雑/閑散判定の実施対象外、すなわち混雑/閑散判定をしない時間帯や地域であると判断した場合にはノーマルと判定し、ステップ508へ進む。ノーマルという状態は、隣接基地局にリソースを提供もしないし、受け取ることもしない基地局の状態のことを示す。一方、ステップ503で混雑/閑散判定の実施対象であると判断した場合には、次のステップ505に進む。
【0035】
次のステップでは、ステップ502で計算した平均Activeユーザ数を予め決めておいた閾値Lと比較する。平均Activeユーザ数が閾値Lより多い場合には混雑判定処理を行なう(ステップ507)。混雑判定処理についてはこのあと図15を用いて説明する。
一方、平均Activeユーザ数が閾値Lよりも少ない場合には、閑散状態と判定する(ステップ506)。
【0036】
基地局装置は、ステップ504、506、507のRBの空き判定結果より基地局装置の状態を認識すると、隣接する基地局装置に対して閑散または混雑状態の情報(Status Reporting)を発信する(ステップ508)。
以上で、閑散判定を終了する。
【0037】
次に、混雑判定(ステップ507)について説明する。
図15は、基地局装置における混雑判定処理を説明するフローチャートである。
まず、閑散判定と同様に、予め設定した周期で平均Activeユーザ数を計算する(ステップ601)。
次のステップでは、ステップ601で計算した平均Activeユーザ数を閾値Mと比較する(ステップ602)。Activeユーザ数と閾値Mと比較し、閾値に達しない場合にはノーマルと判定とする(ステップ604)。Activeユーザ数が閾値よりも多い場合に、混雑と判定する(ステップ603)。以上で混雑判定を終了する。
【0038】
次に図12の隣接基地局の空きRBの情報を確認するステップ402の詳細について説明する。
図13は、基地局装置における空きRB情報の確認方法を説明するフローチャートである。
基地局装置は、周期的にまたは上位の装置からの制御に従って、図12のフローを実行して混雑/閑散判定を行い、隣接する基地局装置に対して空きRB情報を送信する。この空きRB情報を受信した基地局装置は、受信した空きRB情報をテーブルに格納して空きRB情報テーブルを最新の状態に更新する。
【0039】
図25に空きRB情報テーブルの構成例を示す図である。
各基地局装置は、図25に示すような空きRB情報テーブルを例えばメモリ220に持っている。空きRB情報テーブルは、例えば図25のように隣接基地局装置の各セクタについて、そのセクタのRB毎に図18でRNTPにより求めた「0」「1」により表される情報を格納したテーブルである。図25では、各セクタについて、そのセクタのRB毎に空きRB状態を管理する例を示しているが、これに加え、セル(セクタ)ごとの混雑/閑散/ノーマル判定結果(図14の508で隣接基地局に通知)もテーブルに格納して管理するようにしてもよい。
【0040】
空きRB情報の確認方法の説明に戻り、まず基地局装置は、空きRB情報テーブルを参照し、空き状態のRBが存在するか検索する。空き状態のRBがない場合は情報検索処理を終了する(ステップ405)。
空きRB情報がある場合、空きRBと同じRBを空けるよう動作する(ステップ406)。この動作によって、隣接基地局装置の空きRBと同じRBを空けることができる。
【0041】
以上説明した実施例1についてシミュレーションを行なった結果について図19ないし図21を用いて説明する。
図19は、隣接するセクタ間で本発明を実施した場合のシミュレーション結果を示す図である。
図20は、隣接するセル間で本発明を実施した場合のシミュレーション結果を示す図である。
図21は、隣接するセクタ、セルの両方について本発明を実施した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【0042】
図19に示すように、隣接するセクタ間で本発明を実施した場合、FFRを適用した場合よりもさらにSINRの改善が見られる。具体的には、黒点で図示した部分では、FFRを実施した場合よりも3dBの改善が確認できる。しかし、SINRの低い箇所はFFRと比較してあまり改善が見られない。
図20の隣接するセルに対して本発明を適用した場合のシミュレーション結果においても、FFRを適用した場合よりもさらにSINRの改善が見られる。黒点で示した部分では、2.5dBの改善が確認できる。隣接するセルに対して本発明を適用した場合、図19の隣接セクタのシミュレーション結果とは逆に、SINRの高い箇所はあまり改善が見られず、非常にSINRが高い箇所では、若干本発明を適用する以前の結果のほうが良好であった。
図21に示した隣接するセクタ、セル両方に対して本発明を適用したシミュレーション結果では、全体的にSINRの改善が見られる。シミュレーション結果から、本発明は隣接セクタ、隣接セルの両方に適用することで、大きな効果が期待できることが確認できた。
【0043】
以上説明した実施例においては、Activeユーザ数を計算して閑散または混雑判定を行っているが、これに限らず平均スループットを判定基準にしてもよい。平均スループットを判定基準にする場合には、例えば、移動体端末から通知される送信パケットの平均スループットが閾値P以下になった場合閑散と判定する。また閾値Q以上となった場合に混雑と判定する。このような移動体端末から送信される数値を判定基準にしても本特許の範疇である。
【実施例2】
【0044】
以下本発明の実施例2について説明する。
本発明の実施例2を、図1、図8、図12、図13、図16、図17を用いて説明する。実施例1と同じ部分については説明を省略する。
図16は、実施例2における混雑/閑散判定処理を説明するフローチャートである。
図17は、実施例2における混雑判定処理を説明するフローチャートである。
実施例2は、閑散判定、混雑判定の閾値を自動で適応的に変更する場合の実施例である。
【0045】
実施例2においても、閑散判定、混雑判定、閾値の自動変更は図8のDSP215で実現する。また、図12のフローは実施例1と同様である。実施例2では、図12の混雑/閑散判定の内容が以下図16および図17で説明するようなものとなっている。
【0046】
実施例2の混雑/閑散判定について、図16を用いて説明する。
実施例2では、基地局装置は、まずステップ501で隣接ステータスを確認する。
【0047】
ステップ502からステップ507は、実施例1と同様である。
本実施例においては、ステップ506で閑散状態と判定すると、次のステップで、隣接する基地局装置の状態を確認し、隣接する基地局装置が全て閑散であるか判定する(ステップ509)。隣接する基地局装置も全て閑散状態であった場合、ステップ505で閑散判定に用いた閾値Lを変更し、その変更した情報を隣接する基地局装置に通知する。通知を受けた隣接基地局装置も、閾値Lを変更する(ステップ510)。この動作によって、隣接する基地局装置がすべて閑散判定になることを避けることができ、隣接基地局に使われることがないのに、無駄にリソースを空けるという問題が発生しなくなる。閑散以外の状態が隣接基地局装置に存在する場合ステップ508に進む。ステップ508では、隣接基地局装置に対して自身の閑散または混雑状態の情報を発信する。これらステップを踏み、閑散判定を終了する。
【0048】
実施例2の混雑判定について図17を用いて説明する。
ステップ601から604は実施例1と同様である。
実施例2では、ステップ603で混雑状態と判定すると、次のステップで、隣接する基地局装置の状態を確認し、隣接する基地局装置が全て混雑であるか判定する(ステップ605)。全て混雑であった場合、ステップ603で閑散判定に用いた閾値Mを変更し、その変更した情報を隣接する基地局装置に通知する。その通知を受けた隣接基地局装置は、閾値Mを変更する。
【0049】
このように混雑/閑散判定および閾値の自動変更を行なった後、図12のステップ402以降の処理は、実施例1と同様である。
【0050】
実施例2よれば、隣接する基地局装置がすべて混雑判定になることを避け、最もリソースを必要とする混雑状態の基地局装置にリソースを提供することが可能になる(ステップ606)。閑散以外の状態が隣接基地局装置に存在する場合は、混雑判定を終了する。
【実施例3】
【0051】
次に、実施例3について説明する。
本発明の実施例3を、図1、図8、図12、図13、図16、図17、図22、図23、図24を用いて説明する。実施例1または実施例2と同じ部分については説明を省略する。
実施例3は、混雑している基地局装置が隣り合わせになった場合に、それらの基地局装置同士が使用するリソースを協調しあう実施例である。
【0052】
図22は本発明の実施例3を適用する場合の隣接基地局間の関係を説明する図である。
図23は実施例3において、隣接する基地局装置同士の周波数リソースの配分例を説明する図である。
図24は実施例3の基地局装置における処理内容を説明するフローチャートである。
本発明における第3の実施例の隣接基地局とリソースを協調するフロー図である。
【0053】
実施例3の処理も、図8に示したDSP215において実現される。
また、図12のフローは実施例1および2と同様である。図12の混雑/閑散判定の内容は、図16および図17で説明したようなものとする。
【0054】
図22は混雑状態の基地局装置が隣り合わせになっている様子を示す。
実施例3では、基地局装置20の混雑セル800、基地局装置21の混雑セル801が隣り合わせになった場合、リソースを協調しあう。
図24を用いて実施例3の方法について説明する。
図12のステップ404にて空きRBの情報を送信後、隣接する基地局装置(セル)の状態を確認する(ステップ1000)。隣接セルの状態が混雑以外であればステップ508に進む。状態が混雑である場合、隣接するセルから、RNTP情報が送信されているか確認する(ステップ1001)。自身のRNTP情報テーブルと隣接セルからのRNTP情報が適合すればステップ1002に進む。具体的に説明すると図22で示す、基地局装置20の混雑セル800と隣り合わせの混雑セル801が干渉しないよう、例えば図23に示すように、基地局装置21は周波数割当てをRB904からRB905に変更する902。その逆も本発明の範疇である。図24に戻り、次のステップでは、混雑セル801のRBを提供元である閑散セルのRB904もRB905に変更する。変更後、ステップ508へ進む。
【0055】
以上の説明ではRB904とRB905の配分割合は説明をわかりやすくするために1/2ずつ(50%)で表しているが、このRBの割合も0%、10%、20%、30%、40%、60%、70%のように閑散レベルに応じて変更してもよい。この閑散レベルに応じて割合を変更することも本特許の範疇である。ステップ1001で隣接するセルからのRNTP情報がなければ、閑散セルからRBを提供してもらう(ステップ1005)。
【0056】
その次のステップでは、定期的に閑散判定が行われる次のタイミングまで、R1に割り当てられたRBの電力をR3の電力レベルを上昇させる(903)。この電力レベルを上昇させることにより、RNTP情報に使用するRBが追加され、隣接基地局にRB904を使用することを通知できる。ステップ508では、隣接基地局装置に対して自身の閑散または混雑状態の情報を発信する。
【0057】
この動作によって、混雑状態のセル、またはセクタが隣り合わせになっても、リソースを協調することが可能になり、セル境界、セクタ境界の干渉を回避することができる。
【符号の説明】
【0058】
20〜22…基地局装置、23…移動体端末、24…セル、27…スイッチ、28…コア側装置、201…RF部、202…CPE部、203…FFT部、204…DMX部、205…CE部、206…MLD部、207…DEC部、208…DEM部、209…MOD部、210…Pilot部、211…MUX部、213…IFFT部、214…CPI部、215…DSP、216…ネットワークインターフェース部、217…CPRIインターフェース部、219…制御チャネルMOD部、220…メモリ、301…アンテナ、302…ディプレクサ部、303…RF-RX部、304…CPRIインターフェース部、305…RF-TX部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体端末と無線により通信を行なう基地局であって、
前記複数の移動体端末への無線リソースの割り当て制御を行う制御部と、記憶部を有し、
該基地局は移動体端末との無線通信に利用可能な無線リソースを、周波数および時間軸であらわす領域上で複数のリソースブロックに分割し、前記複数の移動体端末に前記リソースブロック単位でリソース割り当て制御を行なうものであり、
前記制御部は、
予め定められたタイミングで、前記基地局の電波到達範囲であるセルの混雑状態の判定を行い、その結果を隣接基地局に通知するとともに隣接基地局から受信した混雑状態の判定結果を前記記憶部に記憶し、
前記基地局が混雑していない状態と判定した場合には、隣接基地局が混雑状態かどうかを確認し、隣接基地局が混雑状態の場合には、リソースブロックの使用を自粛して空きリソースブロックを決定し、前記決定した空きリソースブロックの情報を隣接基地局に通知することを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記制御部は、
前記混雑状態の判定の結果、混雑状態であると判定された場合には、隣接基地局から受信した空きリソースブロック情報を確認して前記基地局の空きリソースブロックとしてセル内の移動体端末に割り当て制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記基地局のセル内の移動体端末へ隣接基地局の空きリソースブロックを割り当てる際、セクタ境界に位置する移動体端末に対し干渉の大きい順に割り当てることを特徴とする請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記混雑状態の判定は、前記セル内の一定時間あたりの平均接続端末数または一定時間あたりの端末の平均スループットを、予め定めておいた閾値と比較することにより行なうことを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【請求項5】
前記混雑状態の判定の結果、前記基地局および隣接するすべての基地局が混雑状態であると判定された場合、前記閾値を予め定めておいた値だけ変更し、再度混雑状態の判定を行なうことを特徴とする請求項4に記載の基地局。
【請求項6】
前記混雑状態の判定の結果、前記基地局および隣接基地局が共に混雑状態であると判定された場合、前記基地局と隣接基地局とで前記リソースブロックを周波数帯域が重ならないように予め定めておいた割合で分配し、該分配した無線リソースを前記無線基地局および隣接基地局それぞれのセル内の移動体端末に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項7】
基地局のセル内の複数の移動体端末への無線リソースの割り当て方法であって、
該無線リソースの割り当ては、移動体端末との無線通信に利用可能な無線リソースを、周波数および時間軸であらわす領域上で複数のリソースブロックに分割し、前記複数の移動体端末に前記リソースブロック単位で割り当て制御を行なうものであり、
予め定められたタイミングで、前記セルの混雑状態の判定を行い、その結果を隣接基地局に通知するとともに隣接基地局から受信した混雑状態の判定結果を記憶し、
前記基地局が混雑していない状態と判定した場合には、隣接基地局が混雑状態かどうかを確認し、隣接基地局が混雑状態の場合には、リソースブロックの使用を自粛して空きリソースブロックを決定し、前記決定した空きリソースブロックの情報を隣接基地局に通知することを特徴とする無線リソースの割り当て方法。
【請求項8】
前記混雑状態の判定の結果、混雑状態であると判定された場合には、隣接基地局から受信した空きリソースブロック情報を確認して前記基地局の空きリソースブロックとしてセル内の移動体端末に割り当てることを特徴とする請求項7に記載の無線リソース割り当て方法。
【請求項9】
前記基地局のセル内の移動体端末へ隣接基地局の空きリソースブロックを割り当てる際、セクタ境界に位置する移動体端末に対し干渉の大きい順に割り当てることを特徴とする請求項8に記載の無線リソース割り当て方法。
【請求項10】
前記混雑状態の判定は、前記セル内の一定時間あたりの平均接続端末数または一定時間あたりの端末の平均スループットを、予め定めておいた閾値と比較することにより行なうことを特徴とする請求項7に記載の無線リソース割り当て方法。
【請求項11】
前記混雑状態の判定の結果、前記基地局および隣接するすべての基地局が混雑状態であると判定された場合、前記閾値を予め定めておいた値だけ変更し、再度混雑状態の判定を行なうことを特徴とする請求項10に記載の無線リソース割り当て方法。
【請求項12】
前記混雑状態の判定の結果、前記基地局および隣接基地局が共に混雑状態であると判定された場合、前記基地局と隣接基地局とで前記リソースブロックを周波数帯域が重ならないように予め定めておいた割合で分配し、該分配した無線リソースを前記無線基地局および隣接基地局それぞれのセル内の移動体端末に割り当てることを特徴とする請求項7に記載の無線リソース割り当て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−49617(P2011−49617A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193785(P2009−193785)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】